第二話「ナインボール」
「排除する・・・」
ナインボールは、ブースターを吹かしながら距離をとり、ライフルを連射してきた。
数発当たるが、このクリスタルヴァイスには大したダメージではない。
「今度はこっちからだ!」
カタスは右肩のグレネードを構え、ナインボールに撃つ。グレネードはロックタイムが長いが、
当たればその分のダメージは大きい。
三発撃った内、二発が当たりナインボールの装甲が吹き飛んだ。
同時にナインボールが後ろに吹っ飛んだ。
立ち上がろうとするが、吹っ飛ばされた衝撃でブースターがやられたらしく、起き上がれない。
「これで終わりだ!!」
カタスはチェインガンを構え、ナインボールめがけて撃った。撃った後には煙が上がっていた。
煙が上がった場所にはナインボールの姿は無かった。
「誰が終わりだと言った?」
「何っ!?」
いつのまにか、クリスタルヴァイスの背後に「奴」はいた。こちらにライフルの銃口が向いていた。
どうやら、ブースターは完全にはやられてはいなかったらしい。
「ふっ・・・どうやら、お前が終わりのようだな」
「まだだっ!」
カタスはクリスタルヴァイスのコアのOBを作動させ、一気にナインボールに背を向けたまま距離をとる。
そして180度旋回して再びナインボールに向き直る。
「やるなイレギュラー、それでこそ倒しがいがあるというものだ!」
「お前もイレギュラーだろうが!!」
バズーカを構え、撃つ。「HIT」と出るものの、まだ相手は動けるようだった。
次の瞬間、ナインボールは全ての武器をパージし、ブレード「月光」を構える。
どうやらブレードで決着をつけようという気らしい。
「お望み通りにしてやるよ!」
カタスもクリスタルヴァイスのブレード「月光」を構える。
そしてブースターを吹かし、ナインボールとの距離を詰める。
向こうもその気らしく、ブースターで加速し、距離を詰めて来る。
「今度こそ終わりだぁ!」
ブレードを振り下ろす。斬ったのはカタスが早かった。
ナインボールのコアが真っ二つに裂け、ナインボールはその場に崩れ落ちた。
「カタスさん!大丈夫ですか!?」
ナターニャの声がコックピットから聞こえる。
「・・・大丈夫だよ、俺は生きている」
「良かった!無事で・・・!」
こういう優しい所が好きなんだよな、とカタスは思う。
カタスとナターニャは恋人同士で、ナターニャがオペレーターになって一緒に働くようになってから
だんだんと気が合うようになってきて結ばれた、という感じだ。勿論今でも仲良くやっている。
「周辺に敵反応ありません。作戦終了です」
「ふぅっ、やっと終わったか」
「お疲れ様です」
「やっとこれで、ナターニャの美味い飯にありつける」
「今日もうんと美味しい料理、作りましたからね」
「なら期待させてもらうか」
”作戦目標クリア システム通常モードに移行します”
合成コンピューターの音声が流れ、戦闘モードから通常モードへ自動的に切り替わる。
しばらく待っていると輸送ヘリがこちらに飛んできて、ACを回収して西へ飛び立った。
戦場には、多数の煙があがっていた。
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