第4話 「トップランカー」

目を開けると、白い天井が見えた。ここは自分の部屋だ。
部屋はあまり散らかっていないが、実はナターニャが掃除してくれていたからだった。
カタスは面倒臭がり屋で、部屋が汚い時が多い。

カタスはベッドから起き上がりクローゼットの方へ行き、服を出して着替える。

「カタスさん。ご飯できましたよー」

ナターニャの声がする。
カタスは着替え終わり、部屋の扉を開ける。そこにはナターニャが居た。

「おはようございます。カタスさん」

ナターニャが笑顔で挨拶をする。カタスも笑顔で挨拶を交わす。

「おはよう。ナターニャ」

カタスはナターニャと一緒にリビングへ向かった。
テーブルにはパンと目玉焼き、そしてサラダが置いてあった。
もう朝食はできていた。

「ほら、早く席に着いて下さい」

そういわれ、カタスは椅子に座る。ナターニャはカタスの真正面の席に座った。
そして目の前で手を合わせ、「いただきます」の挨拶をする。

カタスは目玉焼きをパンの上に乗せ、ほおばりつつ携帯端末の電源を入れた。
すると依頼が一件、入っていた。
依頼は「対AC演習」というもので、どうやらクレストからの依頼らしい。
内容を確認する。内容は、クレストが雇ったレイヴンの演習をして欲しいというものだった。
報酬金額を見てカタスは驚愕した。

「226000c!?」

おもわず口に出してしまった。

「何がですか?」

ナターニャが質問してきた。カタスは答える。

「依頼の報酬金額のことだよ」

「依頼でその金額は考えられませんね・・・」

ナターニャの言う通り依頼だけでこの金額は異常だ。
よほどの金持ちで無い限り、こんな金額は出さない。せいぜい最高でも100000cが限度だろう。

「受けるんですか?その依頼」

「何か裏がありそうだけど、受けて損は無い依頼だな」

カタスはこの依頼を受けた。すると、クレスト社からメールが届く。
場所はレイヴンズ・アークのアリーナで、時間は今日の午後2時と書かれていた。

「午後2時か・・・」

カタスは呟く。
朝食を食べ終わり、カタスはガレージへと足を運んだ。
ACの機体構成を確認した後、コックピットに入りシュミレーターを起動させる。
いきなりぶっつけ本番では大した戦果は出ない。
そうならないためにシュミレーションで腕慣らしをしておく。
カタスにとって、これは日常的なことだった。



昼食を食べ終え、依頼通り午後2時にアークの専用アリーナへと向かう。
するとクレスト社のオペレータから通信が入る。

「ようこそレイヴン。今日はこちらが雇ったレイヴンとの演習を行ってもらいます」

目の前の床のハッチが開き、中からACが出てきた。
そのACを見た瞬間、カタスは驚いた。
漆黒の色をした中量二脚のACで、頭部の一つ目の赤いモノアイがこちらを向いている。
ライフルとブレードを装備しており、両肩にはグレネードが搭載されていた。

「ジノーヴィー・・・!?」

それは今のアリーナのトップランカー、ジノーヴィーだった。無敗を誇る最強のレイヴンである。
ジノーヴィーが乗る漆黒のACは「デュアルフェイス」と呼ばれている。

「それでは、演習を開始して下さい」

オペレータから通信が入る。次にジノーヴィーから通信が入った。

「お手柔らかにな」

俺はコイツに勝てるのか・・・?

そんな考えが頭をよぎる。だが今は戦うしかなかった。



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