お互いの情報を交換し、その場はお開きとなった。

結局鍛錬できなかったけど、ま、これはこれで収穫あり、かな?


灼眼のシャナ
〜闇と焔の二重奏(デュエット)〜


第四話  決戦T(VSフリアグネ)
                                                                                      著・神威

「行ってきま〜す!」

僕と命がそれぞれ挨拶をし、学校に向かう。

「おはよ、悠ちゃんv」

ギョッとして後ろを振り向くと、案の定。

其処には平井さんの姿があった。

と言うか僕の事を悠ちゃんと呼ぶのは、母さんか彼女しか居ない。

「はよ、平井さん」

軽く手を上げて返事をする。

「むぅ〜、私の事はゆかりでいいって言ってるのに」

頬を膨らませながら言う平井さん。

実は彼女、燐子に殺されそうになる所を助けた事があるのだ。

実は彼女にも、自分以外の人格を持っている。

彼女の中に居るもう一人の人物は『アリス』さん。

実はそのアリスさん、人間では無い。

ある戦艦に搭載されていたAIとの事だ。

アキトはアリスさんと会った時、かなり驚いていた。

何でも前の世界での相棒だったらしく、驚いてはいたけどかなり嬉しそうだった。

アリスさんのほうもかなり嬉しそうだった。

勿論その時は入れ替わって当人同士で話をさせてあげた。

その時に、もともと『オモイカネ・ダッシュ』という名前だったアリスさんに、今の『アリス』という名前をアキトがつけて上げた。

彼女も気に入ったようでとても喜んでいた。

因みに平井さんの体は元々の体となんら変わりは無い。

とまぁ、そんな事もあってか妙な親近感が湧き、勿論アキトとアリスさんが知り合いだと言うこともあって、平井さんとはよく一緒にいるようになった。

朝の通学路も途中から同じになる事も多く、よく一緒に登下校をしている。

他愛も無い話をしながら学校に向かう。

下駄箱の所で池と合流し、四人で談笑しながら歩く。

しかし命は終始平井さんを睨んでいたような気がするけど、気のせいかな?




命と別れ、教室に入ると既に中に居た田中と佐藤が談笑に加わる。

チャイムが鳴る。

昨日のテレビの事や、人気のある漫画等の事を話しているうちにSHの時間になった。

「ほら、席について!」

担任が教室に入ってくるなり注意して、今日も学校での一日が始まる。

「今日は、皆に新しい仲間を紹介します」

そう言いながら生徒を見渡す。

一瞬にして教室内が静まる。

「火渡さん、入って来なさい」

その言葉を合図に、一人の少女が入ってくる。

艶やかな黒い髪を靡かせ、芯の通った意志を宿す黒い瞳。

誰が見ても彼女は綺麗だった。

「あっ・・・・・」

そして其の少女は、僕の良く知っている人物だった。

先生が黒板に転校生の名前を書いていく。
 ヒワタリ  シャナ
『火渡 紗那』

「じゃ、火渡さん、挨拶を」

黒板に書き終えるとそう告げる。

「火渡 紗那です。宜しく」

そう言って頭をペコリと下げる。

瞬間、教室は歓声に包まれた。

昨日のぶっちょうずら(アキトの前では違ったけど)とは打って変わって、表情豊かな顔。

正直別人かと思った。

此れもヴィルヘルミナさんの教育の賜物なのかな?

「それじゃぁ、火渡さんの席は坂井君の隣になるから・・・・・・。坂井君、手を上げて!」

そう言われて手を上げようとすると、僕の隣には何時の間にかシャナが居た。

「昨日ぶり」

なんとも妙な言葉で挨拶。

「・・・・・昨日ぶり」

とりあえず返してみたり。

一瞬、教室内の温度が下がった気がした。

皆笑顔のまま固まっている。

何かシュールな光景だ。

硬直が解けると、一部の女子はシャナの方を恨めしそうに見て、男子は僕を睨んでくる。

――――何でさ?

「さぁ〜かぁ〜い〜」

何か、蛙が潰れたみたいな微妙な声で佐藤が呼ぶ。

「何さ」

正直関わりたくなかったけど、そうも行かないようだったので返事をする。

(悠二、お前も罪作りな男だな)

何か遠い顔をしてアキトに言われた。

僕の何処が罪作りなのさ。

「何さ。じゃな〜い! さぁ、お前と火渡さんの関係をはけぇい!」

あれ? 佐藤の性格ってこんなだったっけ?

キャラが変わってるような・・・・・・。

等と軽い現実逃避に入ってみたり。

「何だろ・・・・・」

正直本当に分からなかったのでシャナの方を向いてみる。

「この町に来る前からの友達」

あっさりとそう言われた。

「あ、そうなの?」

下がった温度が元に戻った。

なんていうか、女子のホッとした顔がとても気になった。

特に平井さんの安心ぶりは・・・・・。

僕とシャナが友達以外だと何か困るのだろうか?

(やれやれ、だな)

アキトに飽きられ、なんだか馬鹿にされた気分になった。

そんなこんなで何時の間にか授業は終わり、休み時間になる。

チャイムが鳴り終わった瞬間、シャナは僕の腕を掴み一言。

「校舎の中、案内して」

僕の返事を聞く間もなく逃走(なのかな?)開始。

授業中質問攻めにあった(今日の一時間目は担任の授業だった為)のが相当堪えたと見える。

勿論言葉通りに校舎を案内する事も無く、屋上に直行。

「と言うか、どうして学校に?」

走りながら気になった事を聞く。

「そっちのほうが確実。共同戦線はるんだから、近くに居た方が何かといいし」

階段を駆け上がる。

「それに、一度こうやって『学校』に通ってみたかった」

シャナは基本的に学校に行かず、ヴィルヘルミナさんの元で勉強をしていた、と聞いた事がある。

何でも、学校に行くときと言っても、それは任務の時が殆どで滞在する期間は長くても精々二週間程度だったそうだ。

同じ場所に居ると不都合が起こることもあるそうで。

「で、火渡ってのは?」

確かシャナには名字が無かった筈だ。

そもそも、シャナという名前さえ本当のものでは無い。

こないだヴィルヘルミナさんにつけて貰ったと、本人が言っていた。

「アラストールと一緒に考えたの。名字無いのって、変でしょ?」

「いや、まぁそうだけどさ・・・・・。何で『火渡』な訳? 別に『カルメル』とかでもいいんじゃない?」

シャナ曰く、アラストールに関係のある文字が欲しかったとの事。

確かにアラストールは『火』だしね。

納得したとこで時間の関係もあり、教室に戻る事にした。

が、其の時。

(悠二、封絶だ!)

あたりを見回すと、何時の間にか封絶に囲まれていた。

『ぬかった! よもやこのような場を狙ってくるとはッ!!』

僕もシャナも封絶は張ってない。

其れが意味すること。

即ち、敵が攻めて来た――――。

「何で此処が!?」

(恐らくこの前取り逃がした燐子だろう。顔を見られていたから、あの後何らかの宝具で監視されていたのかも知れない)

迂闊だった。

あの時追って討滅しておくべきだった。

しかし過ぎた事を悔やんでも始まらない。

「皆が危ない!」

シャナを伴い、急いで教室に戻る。

教室に入る。

しかし、生徒の姿は無く、ただ其処には一体の人形を抱え、憤怒の形相をした青年が、文字通り空中に『浮かんで』いただけだった。

「やぁ、フレイムヘイズとミステスいや、イレギュラーと呼ぶべきかな。兎も角、この前は僕のマリアンヌがお世話になったね・・・・・・」

恐らくこの青年が、昨日アラストールに教えてもらった、フリアグネなのだろう。

しかし、イレギュラー? 何のことだ?

まさかアキトの事がばれてる?

僕自身がミステスなのは、通常のトーチでは封絶内を動く事すら出来ないということを知っていたから、特に疑問には思わない。

相手も其れは知っているはずだし・・・・。

ただイレギュラーの言葉は見逃せなかった。

しかし、今は其れよりも――――。

「皆を何処にやった!?」

「クククッ」

僕の言葉を笑い、指を鳴らす。

何時の間にか立体映像が出現していた。

これは――――、

「体育館?」

この学校の体育館だった。

其処には、何か球状の物に覆われ、閉じ込められた級友達の姿が。

「なっ!」

流石にシャナも驚いたようだ。

「イレギュラー、僕とゲームをしよう」

驚き、固まっていた僕にフリアグネが声をかける。

「何、ルールは簡単さ。どちらかが滅びるまで戦いあう。勿論、一対一でね」

「マリアンヌに傷をつけた罪は重いよ――――?」

背筋が凍ったかと思った。

其れほどまでに、強烈な殺気を浴びる。

「さぁ、君達に拒否権は無い。拒否すれば、分かるよね?」

暗に、拒否すればこいつ等を殺す、と脅してくる。

「シャナ、君はもしもの為に残ってくれ」

――――これは、僕があの時燐子を逃した事が原因だ。

ならば僕が戦おう。

(悠二、お前ではまだ無理だ!)

(とめてもダメだよ。あの時逃がした結果がこれだから、僕が行く)

アキトにとめられるも、僕の決意は曲がらない。

「じゃ、外に行こうか。場所は移動するのもあれだから、此処の校庭でやろう」

そう言うと、フリアグネの姿は景色に解けるように消えた。

「はぁ」

パンッ!

頬を両手で叩き、活を入れる。

「シャナ、君は此処に居るように」

シャナに念を押し、教室を後にする。

後ろで何か叫んでいるが、気にしている暇は無い。








グラウンドに到着。

「二人っきりってのもあれだからね。観客を用意した」

再び指を鳴らす。

すると、体育館の方から球体が出て来る。

「君のお友達だ。あれは封絶とは違って、中に居る人間は動く事が出来るし、こちら側を見ることも出来る」

彼の言葉を代弁するかのように、皆が叫ぶ。

「坂井、そいつに関わっちゃ駄目だ!!」

恐らく、フリアグネは直接教室に来たのだろう。

皆はなすすべも無く捕まったに違いない。

「ルールを確認するよ? 勝負はどちらかが死ぬかギブアップをするまで。僕が勝ったら君の命、君が勝ったら僕の命をそれぞれかける」

其処まで確認し、僕は頷く。

皆が息を飲む気配がした。

僕も相手も、構えをとる。

フリアグネは数多くの宝具を使うと聞いた。

警戒しなければならない。

「あぁ、そうそう。僕はこの戦いの中、この宝具しか使わないよ」

そう言ってどこからともなく剣を出す。

「僕のお気に入りの一つ、フランベルジュ。存在の力を通す事で切れ味が変わり、炎をまとうことの出来る宝具さ」

そういうフリアグネの目は血走っている。

よほどマリアンヌという燐子が大事なのだろう。

彼が抱えていた人形には見覚えがあり、そして既にそれからは存在の力が感じられなかった。

恐らく、逃げた後で力尽きたのだろう。

「さぁ、始めよう!!」

フリアグネが一気に距離を詰める。

「疾ッ!」

負けじと踏み込む。

初手はフリアグネ。

上段からの斬りかかり。

急停止からのサイドステップで其れを避け、迷わず懐に飛び込む。

「昂覇砲ッ!」

アキトが来てからの鍛錬で使えるようになった『氣』を練りこんで、それを両手で相手に打ち込む。

ズダァンッ!!

強烈な踏む込み音と同時に相手が吹き飛ぶ。

「グッ」

其れと同時に腹部に強烈な痛みを感じる。

飛ばされるあの一瞬で反撃を受けたようだ。

衝撃で地面をすりながら後ろに後退。

膝をつく。

あいつがこの程度で倒れるはずが無い、と警戒する。

案の定、砂煙から出て来たフリアグネの姿には傷ひとつ無かった。

戦いは、まだ始まったばかりだ。
                                                                                        続く



















次回予告

級友達が(強制的に)見守る中、悠二とフリアグネの戦闘は続く。

其の頃シャナはフリアグネの拠点を探していた。

拠点を見つけ、破壊するシャナ。

しかし一方では悠二が危機に陥っていた。

フランベルジュの一撃を受け地に伏す悠二。

友の、妹の叫びが木霊する中、遂にアキトが動き出す!

次回

灼眼のシャナ
〜闇と焔の二重奏(デュエット)〜

第五話  真なる覚醒                                                 乞うご期待。

























後書き

ども、神威です。

更新に間が空きましたがご勘弁を。

第四話お送りしましたがいかがでしたか?

ちょっとこじつけっぽい所があったかもしれませんが、其れはご勘弁を(二度目)。

では拍手のレス返しを。

4/24 3時 ルリの壊れ様(笑)が最高でした!本編期待してますので、頑張って下さい!
>有難う御座います。気に入っていただけたようで嬉しいです。本編も気合を入れて頑張りますので、応援宜しく、です。


13時 (´・ω・`)bおもろ
>簡単な一言ですが、この一言がとても励みになります。これからももっと面白くなるようがんばります。


18時 さらっと終わりましたなw
>そう言われてしまうと其れまでなんですけどね(汗)


4/29 15時 tuzukiwotanosiminisitmasu
>楽しみにしていただけて幸いです。もっと精進しますので、これからの宜しく!


15時 この作品好きです これからも期待します
>期待がありがたいです。これからも頑張って執筆に励みます!


拍手を送ってくださった皆様、有難う御座いました。

感想、誤字・脱字報告もおまちしております。

では、次回はデジモンのほうでお会いしましょう。
                                                                       五 月二十三日・執筆完了 神威



感想

久々のシャナ本編ですね! 悠二君何だかアキト化が進んでいるみたいですね(汗)

意志が強いし、実際強い、かなりの物です!

でも、次回はアキトの登場で更にハードバトルになりそうですね♪

次回を期待して待ちましょう!

ハァ、それにしても私は一体何時で るんでしょう? 折角この世界でもヒロインになったというのに 出番が遅くてはポイント稼ぎ損ねてしまいそうです(汗)

いや、ヒロインだか、どうだかまでは知らないけど…(汗)

ふふふ…例えそうでなかったとして も、力ずくで候補を排除してヒロインの座を確保すれば良いだけ のことです。

あらあら、ルリちゃん。欲望丸出しね〜♪

いきなり出ましたね、笑みを垂れ流す人。あまり、余計なお世話を焼かないでください!

そうはいっても、私 これからナデシコとサモンナイト以外の感想のアシスタントなんですもの〜

だから、ヒロインの私が居れば大丈夫です!


ルリちゃん可愛いわ〜、でも、そう すると私の出番がなくなっちゃうから、う〜ん、魔法で作品でも作って見ましょうか?

どどどどどどどば ごー んー

けほけほ、いったいなんなんです か!!

ははは…(汗) 呼んだの間違いだったかな?

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