※今回の話は、本編より若干時間軸が進んでいます。
また独自の設定が出てきています。
それらにより色々と矛盾点が出て来ると思いますが、其処は寛大なお心でお読み頂ける事、願います。
では、本編をどうぞ。
キィンッ!
キィンッ!
ギィンッ!
シャナの持つ贄殿遮那と僕の持つ草薙の御剣がぶつかり合う。
「踏み込みがっ、甘いッ!」
シャナの叱咤が飛ぶ。
ギィンッ!!
「ぐっ!」
重い一撃に手が痺れる。
思わず御剣を取り落としそうになる。
「まだまだ!」
ギィンッ!
ギィンッ!
刀と刀が組み合い、力比べになる。
男と女である以上、僕に分があるが此処ではフレイムヘイズが相手なので意味を成さないだろう。
事実、僕の方が押され始めている。
「チッ!」
僕は距離をとり、間合いを開ける。
「天河式抜刀術・『隼』ッ!」
直後に瞬速の四連撃。
「――――ッ!」
二撃目までを驚異的な身体能力を持って避ける。
―――が、三撃目にして斬撃を受ける。
尤も、『夜笠』と言う特殊な衣服によってダメージは無い。
「覇ッ!」
存在の力によって具現した炎を纏い、シャナ渾身の一撃は僕に迫る。
斬ッ!!
「ぐっ!」
此方もアキト譲りの身体能力を持って避けるも、完璧に避ける事は出来なかった。
それにより、浅くではあるが切り傷を作る。
再び間合いを取って対峙する二人。
そして――――――、
(そこまでっ!)
アキトの声によってそれは唐突に終わりを告げた。
アキトの声は僕にしか聞こえないので、僕が御剣を下ろすことが合図になる。
シャナも太刀をおろす。
「「ありがとうございました」」
互いに礼をする。
こうして、シャナが来てからは恒例になった実戦形式での鍛錬は幕を閉じた。
(悠二、ちょっと変わって)
アキトが言う。
僕が頷くと変化がおきる。
既になれた変化である。
俺に変わり、気になった事を聞く。
「シャナちゃんから見て、悠二はどうだ?」
「まだまだ。でも、アキトに師事してた事はある。基礎はもう完璧に近いと思う」
俺の質問に、即答するシャナちゃん。
「ん、良かった。そろそろ千草さんも気付く頃だし、どうする?」
俺がそう言うと、シャナちゃんは小首を傾げ、思案する格好をとる。
「悠二の家に行く。千草にも会いたいし」
「決定、だね」
そうして俺達は家路についた。
勿論、悠二に変わる事も忘れずに。
家について直ぐ、母さんに見つかった僕達は母さんに一風呂浴びるように言われ、今はシャナが風呂を使っている。
命は相変わらず僕の隣を陣取っている。
ガチャ
ドアが開く音がする。
どうやらシャナが出たようだ。
「命、今から部屋に行くから、また後でな?」
腕を掴んでた命にそう言い、居間を後にする。
部屋に入るなり、僕はアキトに変わる。
何でも、聞きたい事が他にもあるらしい。
「聞きたい事って?」
シャナちゃんが聞く。
「シャナちゃんの昔の事を知りたくてね。良かったら、フレイムヘイズになる前の話し、聞かせてくれないかな?」
「良いよ〜♪」
一体何を吹き込まれたのやら。
シャナちゃんは俺に全般の信頼を寄せているらしい。
「じゃぁ、話すね」
時は遡る事、四年前。
物語の中心はそれ自体が宝具である『天道宮』。
物語は、当事者たるシャナの口から語られる。
シルフェニア十万ヒット記念
灼眼のシャナ
〜闇と焔の二重奏(デュエット)〜
著・神威
外伝 シャナの育成日記
午前八時
此処は天道宮内にある図書館(と言っても本当に本が詰めてあるだけの部屋だが)。
一人の少女が一心不乱に本を読んでいる。
黒い髪に黒い目。
服は何故かチャイナ服。
なのに靴はいかにも頑丈そうなブーツ。
なんともちぐはぐな格好である。
そして、そんな少女が読んでいる本。
それは――――、
花嫁修業(第三巻)である。
これまた格好に合わないものである。
其の中には延々と花嫁修業についてやら、良い妻になるためだのという事が書いてある。
と、言うか第三巻という事はこんな物が他に二巻あるということだろうか?
微妙である。
少女は真剣にその本を読んでいる。
その姿はとても愛くるしく、微笑ましい。
・・・・まぁ格好に若干の問題があるが。
リーンゴーン
リーンゴーン
リーンゴーン
鐘が鳴る音が聞こえる。
少女は本を閉じるとその図書室を後にした。少女はいつもと同じ道を通り帰途につく。
「今日こそはっ!」
何やら気合いを入れる少女。
唐突に戦闘態勢に入ると、そのまま駆け出した。
気配を探り、神経を研ぎ澄ます。
―――見つけた。
目標を見つける。
白骨のような人物だった。
「覇ッ!」
少女が蹴りを繰り出す。
白骨は軽く避けると逆に攻撃を加える。
「――――――ッ!」
痛みに顔をしかめる。しかし意にかいさず再び攻撃に向かう。
「だぁっ!」
今度はコンビネーションを加えて攻撃する。しかしそれも難無く避けられてしまう。
直後、背後からの一撃により、少女の意識は闇に沈んだ。
午後十二時
意識を取り戻した少女を迎えたのは、自分の養育係をしている女性だった。
「油断大敵であります」
女性はそう言いながら少女の手当てをしている。
「ヴィルヘルミナの意地悪」
女性―ヴィルヘルミナ―に少しは慰めてくれと言わんばかりに言う少女。
「シャナ、其れでは強くなれないのであります」
ヴィルヘルミナは少女―幼き日のシャナ―にそう言う。
「む〜っ」
頬を膨らませ不満顔になるシャナ。
しかしシャナがすればそんな姿も微笑ましいものになる。
「手当てが終わり次第料理の練習に入るのであります」
手当てを続けながら言うヴィルヘルミナ。
しかし、戦闘訓練の後は料理練習?
接点がつかめない。
「は〜い」
しかし、シャナは気にする事も無く承諾する。
既に恒例の事らしい。
「では――――」
ヴィルヘルミナ指導の下、シャナが料理を開始。
料理が完成し、二人で食べる。
「――――合格、でありますな」
ヴィルヘルミナの言葉を聞き、ホッとするシャナ。
「良かったぁ」
ニッコリと微笑む。
「これであの人にも食べさせてあげれるね」
「そうでありますな」
シャナの言葉に頷くヴィルヘルミナ。
「きっとアキトも喜ぶのであります」
続けて言う。
「うん!」
やはりシャナも笑顔だ。
料理の練習を終えたら家事の練習に入る。
炊事は既に終わったので、掃除・洗濯に取り掛かる。
まさに花嫁修業だ。
この間にヴィルヘルミナは買い物に出かける。
この天道宮はその存在を『存在の力』によって隠している。
其れと同時に、その中の『時』を早める。
下界の半年がこの天道宮では一年になる。
故に修行にはうってつけなのだ。
午後二時
ヴィルヘルミナが増設したテレビを使い、ヴィルヘルミナが何時の間にか撮って来たアキトのビデオを見る。
上手い具合に悠二とアキトが入れ替わっているタイミングだけが映っている。
因みにシャナが見ているのは、観察日記(!?)〜日常編〜だ。
シャナは其れを見て、時折にへらと笑う。
傍から見たら異常者だ。
何時の間にか帰ってきていたヴィルヘルミナも、シャナと一緒になってビデオを見ている。
序にヴィルヘルミナはアキトの事を熱く語る。
そんなこんなで二時間が経過。
午後四時
ビデオを見終わった二人は、ヴィルヘルミナ指導の下戦術を学ぶ。
勿論其れを使った実戦形式の訓練もする。
白骨―シロ―も其れに協力する。
今は戦術を習っている所だ。
勿論シロも居る。
「――――で、あるからして、この場合はこうするのが正解であります」
ヴィルヘルミナが具体的な説明をし――――、
ブォン!
「―――っだ!」
シロが実戦で(身をもって)教える。
実戦で出来なければ意味が無いので、これは正しいと言えよう。
実戦形式の訓練により体験する事によって、確実に戦術を磨いていくシャナ。
ブォン!
シャナの斬撃を避け、シロが回し蹴りを放つ。
「――――――ッ!」
直撃を受け顔を顰めるシャナ。
「其処まで!」
ヴィルヘルミナの号令の元、訓練は終了した。
午後七時
三時間もの訓練を終え、先ずは汗を流す為にお風呂に入る。
元々は無かった物だが、ヴィルヘルミナが増設する事によって出来た。
始めは風呂などに入らなくても、清めの炎を使うなりすればいいと考えていたヴィルヘルミナ(大抵のフレイムヘイズもそうだ)だったが、アキトと出会う事に
よって其の考えは変わった。
以前アキトの家(正確には悠二の家だが)に行った時、ヴィルヘルミナは初めてお風呂を体験した。
それにより、風呂は体を清潔にするだけでなく『楽しい』という事が解った。
其れをシャナにも感じさせたく、また自身も気に入った事もあり、其の次の日には突貫工事にかかった。
今の二人も、とても楽しそうだ。
風呂を上がり、今度は夕食の支度にかかる。
勿論作るのはシャナだ。
これも花嫁修業の一環なのだろう。
今度は昼と違い、ヴィルヘルミナの助言は無い。
今まで習った事を踏まえ、自分で作るのだ。
ただ人に教わった事を繰り返すのではなく、独自のアイデアを組み込む事も忘れない。
程無くして料理は完成。
どうやら今晩は中華を中心としたものらしい。
ヴィルヘルミナは其れを見て満足そうに頷いた。
「ヴィルヘルミナ、食べよ?」
シャナの言葉にこくりと頷くと、二人は食卓に着く。
「「いただきます」」
合掌してから食事に取り掛かる。
シャナは自分の分には手をつけず、ヴィルヘルミナをじっと見つめる。
「・・・・・美味しい?」
恐る恐る聞く。
「美味、であります」
ヴィルヘルミナはそんな少女の不安を取り除くかのように微笑みながら言う。
其れを聞いたシャナは花が咲くような笑みを浮かべ、自分も食事に取り掛かる。
其れを目を細めながら見ていたヴィルヘルミナも、また食事に取り掛かる。
穏やかな時間が流れた。
午後九時
二時間の休憩を挟み、訓練再開。
今度は戦略のみを習う。
次の日の朝にある鍛錬の下ごしらえの様な物だ。
あっという間に時間は過ぎる。
午前十二時
就寝の時間だ。
シャナとヴィルヘルミナは布団に入る。
二人とも等身大アキト君抱き枕を抱え、アキト君ポスターを眺めながら眠りにつく。
勿論其処に映るアキトは笑顔だ。
アキト君目覚ましをセットし、シャナが寝たのを確認すると、ヴィルヘルミナも眠りにつく。
そんなこんなで今日も一日が終わるのだった――――――。
現代
「は、はははは・・・・・(汗)」
(・・・・・(唖然))
シャナから過去の話を聞き、アキトは冷や汗を流し、悠二は唖然とする。
シャナは相変わらずニコニコ顔だ。
アキトに変わっているので機嫌が良いのだろう。
勿論二人の心はこうだ。
――――何で俺(アキト)のビデオとか抱き枕とかポスターと
か、あまつさえ声が入った目覚ましなんか持ってるんだよっ!!
まさに其の通りである。
「?」
シャナは疑問符を浮かべて首を傾げている。
二人が絶句し、一人は首を傾げているというなんとも奇妙な光景が広がっていた。
真相を知るのは、ヴィルヘルミナただ一人―――――――。
終わり
後書き
シルフェニア十万ヒット記念、おめでとーございますっ!!
神威です。
今回はシャナがどうしてあんなのになったか? と言うのがよく判るように仕上げました。
と、言うか私は其のつもりです。
皆さん解りましたか?
ヴィルヘルミナの行動についてはあえて突っ込まないで下さい。
自分でもびびってますから(汗)
では、次回は本編、もしくわサモンの方で。
感想その他諸々もお待ちしております。
二
月十七日・執筆完了 神威
感想
凄いっすね(汗) アキトの花嫁となるように教育したんですね。
ヴェルヘルミナの壊れっぷりがグッドです!
ただ、これじゃ本当に悠二君お呼びじゃないかも(滝汗)
でも、私も個人的にアキトの方が悠二君より好きですからね…ニンともかんとも(爆)
これは、もしかして神威さんの対私用決戦兵器ですか!?
まあ、そういえなくも無いのかも…実際シャナ人気は君より上だったし。
グッ! 君扱いですか…えらくなりましたね…
ふっふっふっふ! 三位程度にはこの程度で十分だ!
ほほう、どうやら忘れたみたいですから、思い出させてあげましょう、レ
インボーブリッド・バースト!!
がどばご
ごーーん!!
なッ
何のこれしき…
続けてもう一発レ
インボーブリッド・バースト!!
ばご
ごごーーんんんん!!!
ぐぉあああああ!! きっ…貴様には情けと言うものが無いのか…
あるわ
け無いでしょう。
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神
威さんへの感
想はこちらの方に。
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