えっと随分遅くなりましたが、五十万ヒットおめでとう御座います。

それではリクエストにそって本日のお題は『シャナとアキトのほのぼの休日』

因みに、本編より大分時間軸を進めて書きますのでご了承下さい。

それでは、お楽しみ下さい。





灼眼のシャナ
〜闇と焔の二重奏(デュエット)〜


裏話  シャナ、でーとする
                                                                                   著・神威


「なぁ坂井」

僕の親友メガネマンこと、池が終始ご機嫌な様子のシャナを見て聞いてくる。

ちなみに今は下校の途中。

「どうしの? 池」

わかってはいるものの、何となく聞き返す僕。

「火渡さん、どうしたの? 何かかなり嬉しそうだけど・・・・・」

確かに今日のシャナはご機嫌だ。

朝からずっとニコニコしている。

「あぁ、明日アキトがシャナとデートするんだよ」

ピキッ

空気が一瞬凍った気がした。

「アキトって、あのアキトさんが!?」

ずざざぁっと後ずさりながら佐藤が聞く。

「あの鈍感な人がデート・・・・・・」

ポツリと呟くのは田中。

(心外だな。俺の何処が鈍感なんだ?)

皆に反発するのはアキトだ。

でも、僕も同意見。

アキトってかなり鈍感な気がする。

ルリさんとかラピスさんとかに迫られてるのに自覚無いし。

全く、あんな可愛い人達に迫られるのに自覚無いって・・・・・。

どんだけ鈍感なんだか。

でもあの二人、偶に宝具を使うから周りの被害が尋常じゃないんだよね。

「あれでシャナはアキト一筋だからね」

嬉しくもなるだろう、と言いつつシャナを見た。

「〜〜♪」

相変わらず鼻歌なぞを歌いながらスキップしている。

普段のシャナからはあまり考えられない光景だ。

「でも、ヴィルヘルミナさんは大丈夫かな?」

心配すると言えば其処だった。

ヴィルヘルミナさんは自他共に認めるアキト至上主義者だ。

そんなヴィルヘルミナさんが、いくら娘同然のシャナが相手とは言え、そういったものを認めるとは思えない。

何と言うか、あの人ってああ見えて嫉妬深いからなぁ・・・・。

「直接会った事は無いから何とも言えないけど、アキトさんが何か対策立てたんじゃないかな?」

(――――ふっ、聞くな)

池の質問に答えたアキトは、何故か黄昏ていた。

(シャナちゃんの相手をする代わりに、今度の休みはヴィルに一日付き合う事になった)

アキトはあっさりそう言う。

「何か今度の休みはヴィルヘルミナさんに付き合うんだって」

「「「「「なるほど」」」」」

皆は其れで納得した様子。

「〜〜♪」

相変わらずシャナはご機嫌だ。

其れは家に帰っても変わらなかった。










「じゃ、変わるね」

悠二がそう言うと、俺が表に出てくる。

今日はシャナちゃんと約束していた日だ。

なので今日一日は俺が表に出る。

「シャナちゃん、何処行きたい?」

「ん」

そう言ってシャナちゃんが指を指す方向には、つい最近出来たばかりの遊園地が見えた。


説明しよう!

ここはジェットコースターが目玉の超巨大遊園地だ!

偶に人気アイドルのルリを呼ぶほどなので、スポンサーは相当な財力を保有していると見て間違いない!(本当かどうかは不明)

アトラクションも豊富で、大人子供だれもが楽しむ事が出来る夢のような遊園地なのだ。

説明終わり。


「はっ! 今のは何だ!?」

突然幻聴のように聞こえてきた説明に焦る俺。

自分でも大丈夫なのかと心配してしまう。

「アキト、どうしたの?」

心配そうに顔を覗き込むシャナちゃん。

うん、可愛いな。

じゃ無くて

「何でもないよ?」

そう言って何時もの癖でシャナちゃんの頭を撫でる。

「〜♪」

嬉しそうにしてくれたのでよしとしよう。

それにしてもルリちゃんも随分と人気になったなぁ。

ランドの方向を見ながらしみじみと思う。

確かに彼女は妖精みたいで愛らしいからなぁ、何て納得してみたり。

「じゃ、いこっか?」

「うん!」

俺達は手を繋ぎながら遊園地へと足を進めるのだった。






歩く事二十分。

更にバスに乗って三十分。

そして今、俺達は遊園地の前に居る。

「ふわぁ〜」

何時もの冷静沈着な様子からは想像出来ないような感嘆の声を上げる。

何時もは凛々しいシャナちゃんが可愛く見える。

「アキト、いこっ!」

無邪気に笑顔を振りまくシャナちゃんに手を引かれ、俺達はランドの中へと入っていった。

「大人一人に子供一人、フリーパスでお願いします」

入場口でフリーパスを購入。

子供一人、といった所でシャナちゃんが口を尖らすが、見た目がそうなのだから仕方が無い。

節約できる時に節約しないとな♪(邪笑)

「アキト、あれ!」

シャナちゃんが指を指す方向には巨大なジェットコースター。

「あれに乗ろっ」

速く速く、と急かしながら俺達はコースター乗り場に足を進めた。

俺達の番が周って来たのでシートに座り、ベルトを締める。

ガゴォン、と音を出しながら発進。

徐々に上に上がって行き――――急降下。

『キャァァァァァァッ!!』

周りが叫ぶ中、俺達は非常に困っていた。

「なぁ、シャナちゃん」

「何? アキト」

叫び声をバックコーラスに、俺とシャナちゃんは会話する。

「なんかさ、こういった事って割と日常的にしてるよね? 俺達って・・・・・・・」

「――――そうだね」

ぶっちゃけ怖くも何とも無かった。

と言うか生と死が常に隣り合わせな状況で生きてきた俺達にとって、こんな事は日常茶飯事のような気がしてならない。

正直皆、何が怖いんだろう? とか思ってしまうぐらいだ。

一般人にはスリルがあって、其処が面白いのだろうけど俺達はほぼ日常的に戦闘を繰り返している。

今はそんな事も無いが今まで経験してきた戦いはこんな物じゃなかった。

ありていに言ってしまえば、この程度じゃ恐怖を感じないのだ。

「次、どうしよっか・・・・」

「そうだね・・・・」

周りが絶叫に包まれる中、俺とシャナちゃんはそんな会話を交わしたのだった。

次に俺達が目指したのは、遊園地の定番『お化け屋敷』だ。

定番は押さえておきたい、と言うかシャナちゃんが入ってみたいとの事なので次は此処に入る事にしたのだ。

今俺達はそのお化け屋敷の中に入っている。

『ヒュ〜ドロドロ』なんて情け無い音が響く中、俺達は暗闇を歩く。

今は丁度墓場になっている所を歩いている。

ガシャン!

何かがなる音がしたと思うと、骸骨が襲い掛かる様に出て来た。

過去、『Prince of darkness』と呼ばれていた俺にとって、亡霊ほど近しい物は無い。

大体ルリちゃん達にも自分の事を『亡霊』と言ってからな。

まぁ、要するに全然怖くないって事だ。

特に驚く事も無く、先に進もうとした。

所がシャナちゃんの反応は違った。

何処からともなく贄殿遮那を取り出したかと思うと、行き成り骸骨に斬りかかったのだ!

「覇ッ!」

裂帛の気合と共に斬撃を繰り出す。

斬られた骸骨は、がしゃんと音をたてて崩れ去った。

「アキト、怪我とか無い!?」

慌てたように聞くシャナちゃんは、不謹慎だけど可愛いと思った。

聞く所によると、どうも敵が襲い掛かって来たと思った様だ。

「くっくっくっく」

俺が笑いを堪えているのを、シャナちゃんはジト目で睨む。

「ゴ、ゴメンって。そんなに睨まないで」

其処から先は特に変わった事も無かった。



お化け屋敷を出た後、またいくつかのアトラクションを周った。

二・三周った所で丁度昼時になったので、直ぐ傍にあった広場で弁当を取ることにした。

勿論俺のお手製だ。

「「頂きます」」

二人して手を合わせ、箸をとる。

「んぐんぐ」

和食で固めた今日の弁当はいたく評判だった。

「美味しいかい? シャナちゃん」

「うん」

もぐもぐと一心不乱に食べる其の姿は愛らしく、そしてまた微笑ましかった。

食後少し休憩をとり、次のアトラクションに向かう事にする。

丁度メリーゴーランドの隣を通った時、シャナちゃんの目がちらりと其方の方を見たのを俺は見逃さなかった。

と、言うか其処に立ち止まって見てたので一目瞭然だったけど。

「じーっ」

という擬音がピッタリなほど、シャナちゃんの関心はメリーゴーランドに向かっている。

「――――乗りたい?」

やけに凝視している物なのだから聞いてみた。

「べ、別に乗りたくなんか無いよ!?」

シャナちゃんらしからぬ喋り方に、明らかに動揺している様子。

俺はくすっ、と笑いながら意地悪してみる。

「じゃ、次いこっか」

「乗りたいっ!」

即答だった。

俺が手を差し出すより早く、其れはもう音速を超える勢いで即答してきた。

「んじゃ、のろっか」

あっさりとそういった俺に、シャナちゃんははめられたと気付き、一気に赤くなる。

そんなこんなでメリーゴーランドに乗る俺達。

とは言っても流石に恥ずかしかったりする。

隣のシャナちゃんを見ると、其れはもう楽しそうに笑っている。

それだけで俺の羞恥は吹っ飛んでしまう。

乗り終わると、まだ時間は残っていた物のシャナちゃんの提案により次の観覧車を最後とする事になった。

時間はまだ三時を回ったところだ。

本当なら夕暮れ時に乗るのが景色が綺麗でいいのだろうが、それでも辺りを一望できるのは景色が綺麗で良いと思う。

「うわぁ〜っ」

初めて乗る観覧車に、好奇心の目を輝かせるシャナちゃん。

俺の前でしかしないそんな様子に、少し優越感を感じてしまう。

シャナちゃんがこんな表情で笑うのは俺かヴィルの前だけなのだ。

「―――綺麗だね」

其れは果たして景色を見て言ったのか、はたまたシャナちゃんを見て言ったのか、それは俺にもわからない。

「うん、とっても綺麗」

シャナちゃんは其れを景色ととったのだろう。

俺に同意してくれる。

観覧車も乗り終わり、俺達は帰途につく。

繋がれた手に確かな絆を感じ、軽く力を込めて握る。

シャナちゃんは少し驚いたようだったけど、キュッと握り返してくれた。

バスを降り、後は家に向かって歩くだけになった所シャナちゃんがおもむろに走り出した。

「アキト、私についてきて?」

そう言って俺の腕を引っ張りながら先に、先にと促す。

そうやってシャナちゃんについていくと、丁度何時も通る河川敷に出た。

今は丁度夕日に染まって何時もと違い幻想的な雰囲気を醸し出していた。

「此処、私のお気に入りの場所なの。アキトと、私とついでに悠二と三人の秘密だよ?」

シャナちゃんはそう言って微笑んだ。

(僕はついでですか)

今まで俺達に気を使ってか沈黙を保っていた悠二が声を出す。
     ・ ・
俺達三人は、笑い出した。

そんな、穏やかな日の話―――。
                                                                                         了




















後書き

ども、お久しぶりです。

五十万ヒット記念に、と書いた本作ですがかなり遅くなって申し訳ないです。

ご期待にそったものになったかどうかは自信はありませんが、楽しんでいただけると幸いです。

それでは、次回は本編にて。
                                                                          八月一日・執筆完了 神威





感想

神威さんより、50万HIT記念作品として、リクさせて頂きました♪

「シャナの懐きっぷりを見れるお話」というリクをしてみた所、

でーと編と相成った訳ですが…なるほど〜いい感じに懐いてますね♪

しかし、アキトは苦労してますね〜(爆)

ヴィルヘルミナの嫉妬っすか…確かシャナをアキト至上主義に教育したの本人の筈じゃあ…(汗)

ルリ嬢こちらに来てますね〜ついででアイドル出来るとは…流石というか何と言うか…

でも、マネージャー大変そう…それにアキトを追いかけにくくなる訳だから…難しい所ですね。

ラピスもいるらしいけど、一緒にアイドルしてるんだろうか?(汗)

まあ私がアイドルになるのは至極当然です、美少女で、頭も良くて、お姫様な私ですし。

まあ、確かに。この世界でお姫様かどうかは兎も角、容姿と頭脳は飛び切り優秀だね(普通自分で言わないけどね)

しかし、私がヒロインとして出てきていないのは、貴方の所為だとい うのは本当ですか?

ああ、今回はシャナのお話をリクしたんだし。

ふふふ…身近に裏切り者がいると は…これは粛清対象ですね?

ええ!!? 別に偶にはいんじゃ…

アキトさんに浮気をさせるなんて…許せる筈も無いでしょう?

地獄の底で後悔なさいレ インボーブリッド・バースト!!

ごばばごーーーー ん!

そんな…馬鹿…な…

裏切り者に は死を。

ていただけると作家さんも喜びます♪

神 威さんへの感 想はこちらの方に。

掲示板で 下さるのも大歓迎です♪



戻 る

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.