1500万HIT記念作品
マブラヴ オルタネイティブ インターミッション
 〜てっきり○○かと〜




 207小隊の解隊式。
 武たちの任官は本当に突然で誰もが驚いたが、そうして武たちは『訓練兵』から『正規兵』になったのだった。
 翌日のXM3のトライアルの説明を受けたあと、夕食を兼ねたささやかな任官パーティが始まった。

 「では、我等の門出を祝して━━━乾杯!」
 「乾杯!」
 「乾杯」
 「かんぱ〜〜いっ!」
 「カンパーイ!」
 「ごあ!? オレのセリフ〜〜!!」

 こうしてささやかだが賑やかなパーティーは始まった。


 パーティーも中盤に差し掛かった頃、彼らに声をかける人物たちが来た。
 斯衛大19小隊の面々である。
 「あ……月詠さん」
 真っ先に気づいた武が声を上げる。
 その声に委員長からの敬礼指示が走り、小隊全員が敬礼を行う。
 それに答礼を返す真那たちは武のほうを向いた。
 「……名前を呼ぶことを許した覚えは無いがな……。まあ、今日は許してやろう」
 「ありがとうございます」
 皮肉とも取れる言葉にあっさりと返す武。
 「月詠……中尉、一体何用でしょうか?」
 冥夜が思わず今までのように呼び捨てようとして階級に気づく。
 正規任官したのだから今までのような呼び方は出来ない。
 それは真那とて同じこと。
 故に、相応の態度で臨む。
 「貴様らが無事任官したと聞いたのでな。一言祝いに来たのだ」
 「感謝しろ白銀武」
 「感謝するんだな白銀武」
 「感謝しやがれ白銀武、ですわ〜」
 「って、オレ限定かよ!?」
 真那の後に続く三馬鹿のセリフに突っ込む武。
 「当たり前だ」
 「当たり前だろ」
 「当たり前ですわ〜」
 ……一人で言えば十分だろうに……。
 そこへ残りの料理を持って、京塚のおばちゃんがやってきた。
 「はいよ、お待たせ! これで全部だね! ……おやおや。月詠さんじゃないかい? どうしたんだい、こんなところで?」
 「京塚曹長……。いえ、彼らの任官を祝いに来ただけです」
 「そうかいそうかい! じゃあ、一緒に食べて行きな! 食事、まだなんだろ?」
 「そうですが……」
 「ほらほら! 座ってなさいって! すぐに持ってきてあげるからね〜!」
 そう言って、真那たちを座らせ、追加の料理を取りに行くおばちゃん。

 恐るべし、京塚のおばちゃん。
 斯衛の中尉ですら手玉に取るのであった……。


 そんな宴も概ね問題なく終盤に差し掛かり……、そろそろお開きか、というところで武が雪乃に質問をした。

 「なあ、巴少尉。ちょっといいか?」
 「なんだ?」
 武のセリフに睨む雪乃だが武は一向に気にしない。
 「前からずっと気になっていたんだが……」
 真剣な表情の武に困惑する雪乃。
 「な、なんだ……」
 少し顔を赤らめて聞き返す雪乃とわくわくしながらこちらを見ている巽・美凪両名。
 逆にピリピリした空気になる元207隊員たちと真那。
 「夜も眠れないくらい気になっていることがあってな……。このままだと任務に支障をきたしそうだからスッキリさせときたいんだ」
 「な、なんなんだ一体?」
 すでにPXにいる全員が武の言葉に聞き耳を立てていた(笑)。
 そして今まで全員が見てきた中で最も真剣な表情で尋ねる。
 「その髪型ってどうやって維持してるんだ?」
 ずるっ!×武以外全員分
 ……あれだけ期待させといてそれかよ……。
 こけた全員の内、一番早く回復したのは雪乃。
 「な……、何を考えているのだ!? 貴様は!?」
 「いやさぁ、その髪型ってちょっといないじゃん。横にまっすぐ突き出た状態で維持できるなんてどういう風になってんのかって考えたら夜も眠れなく て……」
 後頭部をかきながら雪乃の質問に答える武。
 「真剣な顔で聞いてくるから何かと思えば……。これは…その…クセ毛だ」
 赤らめながら武の質問に答える雪乃。
 「なーんだ。俺はてっきり
揚力
かと思ってたよ」

       ↑↑↑↑
       ↑揚力↑
        ↑↑ 
     →風↑髪髪↑風→
    →風↑髪髪髪髪↑風→
   →風↑髪髪髪髪髪髪↑風→
  →風↑髪髪髪髪髪髪髪髪↑風→
 風風↑髪髪髪髪髪髪髪髪髪髪↑風風
 →→→→→→→→→→→→→→→→
 風風風風風風風風風風風風風風風風


 一瞬PXにいる全員がキョトンとし、それを理解した者から口を押さえて声を出さないよう必死になっていた。
 そしてさらに武の発言は続く。
 「もし、揚力じゃなかったら
骨格
かとも思ったし」
 すでに臨界になっている観衆の、必死の苦労を叩き潰すかのように落とされた追加の爆弾に、ついに限界に来た者がいた。
 誰あろう、月詠真那である。
 「プッ……。クックック……。はーっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「だーはっはっはっはっはっはっはっは!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
 その笑いにつられたか、その場にいる武以外の全員が大爆笑を始めてしまった。
 床や壁を叩く者、腹を押さえて転がる者、中には笑いすぎて呼吸困難になるものまで現れた。
 もちろん同僚である巽や美凪も同様である。
 その爆笑の渦の中、雪乃は一人拳を握り締めていた。
 それに気づかぬ武はさらに言葉を続ける。
 「いやもう何であんな状態の髪の毛が固定されているのか気になって気になって……。って、あれ?どったの?その握り拳は?」
 「お・お・き・な…お世話だーっ!!」
 「うげぼっ!」
 その日、武は久しぶりに拳のエネルギーを推進力にして宙を舞った。
 「ぐおっ!」
 しかしそこは屋内のPX。
 すぐに天井にぶつかり、落ちてきた。
 「白銀武! きっさまぁぁぁぁぁぁっ!!」
 落ちてきた武の上にマウントポジションを決めた雪乃は、そのまま武を殴打する。
 「ぐへっ! ぶごっ! がはっ!」
 「死ね! 死んでしまえ!!」
 雪乃の叫びと共にPXに肉を打つ響きが木霊する。

 結局、武が怒りに燃える雪乃から救出されたのは、真那が笑い終えてからのことだった。
 夜に夕呼の部屋に行った際に、腫れ上がった武の顔を見た霞にビビられたのには……ちょっとだけ凹む武であった。





あとがき

 ども喜竹夏道です。
 1500万HITの記念作品です。
 この作品、実は元々は私が『マブラヴ オルタネイティブ』ではなく、『マブラヴ アンリミテッド』の二次創作で書いている作品のオチ部分を一部流用しま した。
 判る人は判るかもしれませんが、『エクセル・サーガ』のあのネタです。
 当てはまるんじゃないかな〜と、巴雪乃の髪型を初めて見た時から思っていました。
 やってみて結構違和感が無く、オチに盛り込めました(笑)。
 しかしホントにあんなクセ毛あったら大変でしょう。
 手入れとか、切るときとか。
 私自身は基本的に直毛なため、伸ばし続けると歌舞伎の児雷屋(児雷矢?)っぽく伸びてしまうのでパーマをかけて曲げてます。

 あと、髪の毛で思い出しましたが、ぶっとい緑のツインテールが特徴の初音ミク嬢。
 最近やたらと見る機会が多いのですが、先日購入した電撃ホビーマガジン2008年4月号252ページにフェイ・イェンをベースにハイペリオンのバック パック(アルミューレ・リュミエール)のツインテールとエクシアのGNショートブレイドのネクタイを付けて塗装をした作品が載っていました。
 違和感なく眺めてしまい、思わず『この手があったか!』唸ってしまう作品でした。
 私自身は現在、ゲルググとアストレイレッドフレームを合体させてマーズジャケット仕様にしようかと目論んでいますが、時間が無い……(涙)。

 それと実はもう、2000万HIT用の作品に取り掛かっていたりします。
 ではまた、『逆行のミナト』か次回の記念作品でお会いしましょう。




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