機動戦艦ナデシコ 逆行のミナト
第七話 いつか歌う『愛の詩』 -前編-
サツキミドリにナデシコが到着した翌朝のミナトの部屋━━━━
アキトを元気付けるため、ミナトの部屋で一緒に寝る事になったルリとアキトがミナトと並んで一つのベッドで寝ていた。
「ん〜〜……。はぁ……」
ミナトが目を覚まし、三人で寝るには狭いベッドの上で伸びをする。
やや寝不足のようなその顔は……ちょっと赤かった。
(まったく、二人とも……)
そう思って横を見ると、アキトがルリを抱きしめていた……。そう、ちょうど抱き枕のように。
いや、ただの抱き枕ではなかろう。
なぜならアキトの左手はルリの胸に当てられ、右手はルリの股間に伸びていたのだから。
寝ているルリの顔も赤いし、息も荒い。しかも下着は……透けて見えるほどに濡れていた。
その理由は、アキトの両手がただ添えられているだけでなく、指先が小刻みに動いているからだ!(犯罪だろ!? つーか俺が代わりてぇ! by魂の叫び)
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恐るべし、無意識の女誑し。
しかしルリも負けてはおらずアキトと反対側に寝ていたミナトを抱き枕にしていた。
しかもその手はアキトと同じく、左手をミナトの豊満な胸に当て、右手はミナトの毛の生えそろった股間に伸び、アキトの指先と同じように動いていたのだ!
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二人でミナトを愛撫しているようなものである(うらやましい……byミナトファンの声)。
そして寝ている二人を起こさないように静かに起きたミナトは一人、シャワーに向かい、濡れた下着を取り替えるのだった。
ミナトがシャワーから出てくると、起きたアキトが同じく起きたルリの股間に手をやっている事に気づいて、真っ赤になっているルリに土下座していたのだっ
た。
とりあえずナデシコ艦内は半舷休息しているため、艦長とヤマダはコロニー内でショッピング。
ジュンはブリッジに詰めている。……今回は荷物持ちをやらずに済んだようだ……。
メグミはプロスと共にサツキミドリの管制室へ。今後の打ち合わせとあの時のサツキミドリの通信士に会いに行ったそうだ。
整備班は全員ナデシコの整備とサツキミドリの修理。
ナデシコ食堂のメンバーもホウメイを含め半分が艦を降りている。何でも食料の補給に立ち会うらしい。
そのため本日の食事はカレーライスと火星丼のみになっていた。
ゴートとフクベはブリッジに詰めている。緊急起動時用の面子である。
その他主要なメンバーもそれぞれが休息、あるいは仕事をしていた。
そしてミナトとルリも休みのため、自由行動となっていた。
それぞれ、どんなすごし方をしていたかと言うと━━━━
ミスマル・ユリカ、ヤマダ・ジ『ダイゴウジ・ガイ!』ロウの場合━━━━『おい、聞けよ!?』(ナレーションに突っ込まれてもどうしようもありません。あ
しからず)
サツキミドリ内の店でショッピング(ユリカ的にはデート)していた。
「待ってくれ艦長、流石にこれ以上は持てん!」
そう言うヤマダ『ダイゴウジ・ガイ!』の両腕には紙袋が八個ずつかかり、両手には服や靴とおぼしき箱を前も見えないくらいの量を抱えていた。
「大丈夫! ヤマダさんならあと三箱は持てるから!」
そんな事を正確に計算されても……。
アオイ・ジュン、ゴート・ホーリー、フクベ提督の場合━━━━
ブリッジ居残り組のため、ブリッジにいた。
「周辺索敵は異常なし…と」
真面目に仕事をしているようだ……。不憫なヤツ……。
「うむ」
パチン。
「うむ」
パチン。
いや、他になんか言えよ、あんたら。つか、報告そっちのけで将棋してるなよ。
メグミ・レイナード、プロスペクターの場合━━━━
サツキミドリの中央管制室に今回の一件の状況確認に来ていた。
「いやいや……、今回は本当に大変でしたね〜」
しかし、プロスの話を聞くものはいなかった。なぜなら……。
「へぇ〜! じゃあアンタが本物のメグミ・レイナードって訳かい!? いや、俺アンタのファンなんだ! えっと、その……こ、この帽子にサインしてく
れ……じゃなかった、して下さい!」
「はい、いいですよ。えと、書くものは……」
「これどうぞ。そいつの分が書き終わったら僕にもお願いします」
「お、オレも!」
メグミが大人気だったからである……。
プロスがガン無視されるほどに……。
ホウメイ、テラサキ・サユリ、サトウ・ミカコ、ウエムラ・エリの場合━━━━
「ふ〜ん。まあまあだね」
仕入れる予定の食材を手にとって呟くホウメイ。
元々積み込む予定の食材については自分のこだわりを理解する業者からの仕入れにしていたが、間違いなく届いているかの確認に来たのだった。
予定通りの食材を搬入する手続きをとった後、ミカコから声が掛かる。
「ホウメイさ〜ん! これも買っていっていいですか〜!?」
ミカコが手に取ったものを見せる。
……小学生の買い物じゃないんだから……。
「なんだい? チョコレートかい?」
「ええ」
「……そっか、火星に着く前にバレンタインデーになるもんねぇ……。ま、いいさね」
少し考え、許可を出すホウメイ。
「「「やったー!」」」
喜ぶ食堂組の三人。
「ああ、他の子の分も買っておくんだよ!」
「「「はーい!」」」
さすがホウメイ、気配りのススメだった……。
こうして追加で搬入される大量のチョコレートが、新たなる騒動の火種となるかどうかは……神(筆者)すら不明である。
テンカワ・アキト、ミズハラ・ジュンコ、タナカ・ハルミの場合━━━━
食堂は三人で切り盛りされていた。
別に、外に食べに行ってはいけない訳では無いのだが、いまナデシコに残っている人間は大半が整備班のため、忙しくて外へ出られないのだった。その為、次々
と腹を空かせた子羊たちがやってくるのである。
「カレー五人前! 火星丼四人前と大盛り三人前です!」
「あいよっ!」
ジュンコの声に厨房のアキトは威勢良く返事する。
今度はハルミから声が掛かる。
「こっちもカレー大盛りで三人前でーす!」
「はいはいはい!」
……相当に忙しいようだ……。
まあ、すぐに食べて整備に向かわなければならないのなら、仕方の無い事かもしれない……。
スバル・リョーコ、アマノ・ヒカル、マキ・イズミの場合━━━━
パイロット三人娘は自室の巣作りをしていた。
「さあて、メシメシっと」
と、終了したリョーコが真っ先に立ち上がる。
次いで、終了したヒカルも立ち上がる。
「アタシはヤマダ君の部屋にいこーっと」
「おいおい、彼女のいる男に手を出そうってか?」
からかうリョーコに、ちちち、と指を振るヒカル。
「ざ〜んねん。ヤマダ君、ゲキガンガー3の全39話を持ってるんだって。見せてもらう約束してたんだ〜!」
「……はいはい、アニメね……」
呆れて肩をすくめるリョーコに力説するヒカル。
「いいよ〜、熱血は! リョーコも見てみたら?」
「いいよ、オレは……。イズミはどうする?」
すでに巣作りは終えていたが、静かにしていたイズミに声をかけるリョーコ。
「そうね……。毒でも使っているわ」
「「毒!?」」
発言の危なさに叫ぶ二人。
「ちょ、ちょっと待て! いくらなんでもそれはまずいだろ!?」
「そうだよ、イズミちゃん! いくらギャグがつまらないからって!?」
慌てて止めようとするリョーコと何気に酷い事を言うヒカル。
しかし……。
「毒を使う……。毒、使用……。どくしよう……。読書……」
「こんのど阿呆ぉぉぉぉぉっ!!」
直後、リョーコが抜く手も見せず振り下ろしたハリセンがイズミの頭に命中した。
そして我らがハルカ・ミナト、ホシノ・ルリの場合━━━━
ミナトの自室に遊びに来ているルリにミナトが甘えた声で話しかける。
「ねぇルリルリ〜。ちょぉっと手伝って欲しいことがあるんだけどいいかしら〜?」
「いいですけど……。何をするんですか?」
ミナトの言動に何か不審なものでも感じたか、尋ね返すルリ。
「ルリルリのハッキング能力を見込んで頼みたい事があるのよ」
最初の甘えた声はもう出さない。
それだけでルリはミナトのやろうとしている事が危険で、かつ真剣なものだと感じた。
「危険な事ですか?」
「……そうね……。確かに危険といえば危険よ……。ばれたら犯罪者だもの……。もし嫌なら無理にとは言わないから、遠慮なく言って頂戴。自分で出来たら自
分ひとりでやるつもりだったけど……私じゃ無理だし、ウリピーは忙しすぎて頼めないから、ルリルリにお願いしたかったの」
「……それは私たちの……ナデシコの未来に関係する事ですか?」
「……少し違うわ。でもいずれ大きく関わってくるはずの事よ……。勿論断ってもかまわないわ。ルリルリの好きにしていいわよ」
真剣な顔のミナトを見て、ルリは嘆息する。
「……そんな事を言われたら断れませんよ……」
「ありがと、ルリルリ」
そう言ってルリを抱きしめるミナトであった……。
オモイカネとルリはサツキミドリの回線を利用してネルガルのデータバンクにハッキングを仕掛ける。
流石にブリッジでは出来ない(ジュンたちがいる)のでルリの私室から行われた。
そして出てきたのは非合法のマシンチャイルドに行われている実験データの数々であった。
「やっぱり……。こんなことをしているなんて……。ルリルリの事があったから、もしかしてって思ってたけど……その通りだったなんて……」
「ミナトさん……」
すでに知っていたミナトと、今回の件でもしかしたら自分もこうなっていたかも知れない、と言う恐怖に襲われているルリ。
「ルリルリ、悪いけどこの不正な実験のデータ全部コピーしておいて。この子たちも助けなきゃ」
「でもどうやって……」
一企業の不正を公表するのは簡単だが世間がそれを信じるための証拠は殆ど無い。
下手に公表すればネルガルのSSに消されるのがオチだ。
「忘れた? 私はネルガル会長に貸しがあるのよ? まだ貰っていない特別ボーナス、とかもね」
ウィンクで返すミナトに合点のいくルリ。
「その時のための交渉材料にするんですね?」
「そ。行動が起こせるのは火星から帰ってきてからだけど、これ以上この子達に実験とかをさせないようにしないと……。……そうだ。ねぇルリルリ、時限ウィ
ルスでデータの数値が読み出すたびに変化するようにするとかデータを更新できないようにする事は出来るかしら? 特にグラフやヒストグラムみたいに目で見
てすぐ判るようなデータの数値を滅茶苦茶にするようなヤツなんだけど……」
「出来ますけど……。実験の妨害をするのならデータを全て消してしまったほうが良くないですか?」
ルリがミナトに疑問を返す。
「こんな実験をする連中よ? もしデータが無くなったら復旧させるより、もう一度実験したほうがいい、なんて考えかねないわ。そうなったらますます酷い事
になりかねない。かといって、今その事を世間に知らせると、裏をとる前に研究所ごと消滅させて証拠隠滅、なんて事にもなりかねないし……。そうなったら助
けられるものも助けられないわ」
今のネルガルならありえる可能性を考慮するミナト。
未来ではアカツキの改心でやらなくなっているが、今はまだその時期ではない。
下手な干渉は事態の悪化を招く事になるとミナトは考えていた。
「だから、時間稼ぎをするの。データベースを数値が滅茶苦茶になったり更新できていない事が判れば、まずは入力のミスを疑う。次はセンサー類の異常。その
次にコンピューターのデータベース。最後にコンピューターのOS関係。だからOS側をいじって、データベースを数値を滅茶苦茶にする。あるいは正常に更新
している様に見せかけて、その実、更新はされていないようにすれば原因究明に相当時間が掛かるはず。その間に情報を集めてカードを用意して、そして交渉す
る。現状ではそれがベストのはずよ」
「時間稼ぎ……ですか……」
「直接行動しないと失敗するからね。ネルガルの会長に会いに行くまでこの事は隠し通さないと……」
「……オモイカネ、今回のハッキングのログは……」
<全部消しておくんだね? 了解だよ、ルリ>
ルリからの質問に、打てば響くようにオモイカネから返事が来る。
「ありがとう、オモイカネ」
「ありがとね」
二人はオモイカネに礼を言うと、更なるデータの吸出しに掛かったのだった……。
半舷休息の交代でブリッジに詰めているルリに同じくブリッジに詰めている艦長が話しかける。
「ねえルリちゃん、ちょっといいかな?」
「何ですか、艦長?」
いつに無く真剣な表情の艦長に、緊張するルリ。
「エステバリスのシミュレーターみたく、各部署ごとでの戦闘時や緊急時のシミュレーションが出来るソフトってあったっけ?」
「そういったものは無いですね。艦長用の作戦立案シミュレーターならありますけど……」
「そっか……。皆が参加するシミュレーションでもあれば途中で訓練しながら行けるかな、って思ったんだけど……」
サボりがちだった艦長、どうやらジュンやプロスに色々言われたようである。
「……じゃあ、艦長用の作戦立案シミュレーターを大規模化、あるいは各部署化して作ってみますか?」
「出来るの?」
「少し時間をもらえれば……」
「お願い。間に合わないようなら出航を少し遅らせられるかどうかプロスさんに相談してみるから」
「判りました」
一週間後、各部署長との連携により全艦用戦闘シミュレーションシステムが完成する。
前回無かったこのシステムが出来た事はミナトの行動がいい方向にみんなを変化させてきた結果だろうか?
サツキミドリ到着から二週間後、補給と改修を終えたナデシコは、さまざまな想いを乗せてコロニー『サツキミドリ2号』を出発したのだった。
「では今後の方針ですが、ネルガルとしては最速で火星にたどり着き、速やかにデータと生存者の回収を行いたいと思います。その為無駄な戦闘は極力避けるよ
うにしたいのですが……」
プロスペクターがブリッジクルー、と言うか艦長に対して説明する。
「そうですね。じゃあ、ディストーションフィールドを張り続けたまま、最大巡航速度で火星に向かいましょう!」
艦長がお気楽に宣言するのを止める人物が一人。
「ねぇ艦長〜。わざわざ自分たちの全力を教えることなんてないんじゃな〜い?」
ミナトだった。
「えと、どういうことでしょう?」
「だからぁ、ここから火星までって制宙権が木星蜥蜴にあるわけじゃないのよね〜? だったら集中砲火を浴びるような事も無いと思うんだけどな〜。むしろ火
星宙域まで行ってからが本当の攻撃になると思うのよ〜。そこまでに全力が判っちゃったら到着する前にそれ以上の戦力を揃えられちゃうと思うんだけどな〜」
ミナトの台詞を聞いて少し考えたあと、『おお!』とばかりに手を打つブリッジクルーたち。
「言われてみれば……」
「確かにその可能性が高いですね」
頷く副長とプロス。
「そうですね……。でもグラビティブラストの威力はすでに何度も見せているし……。じゃあ、ディストーションフィールドのレベルを落として防御力を欺瞞し
ましょう! ルリちゃん、フィールドのレベルは何処まで落とせるかな?」
艦長の質問にすぐにオモイカネのデータベースから統計を取るルリ。
「現時点までのデータですと、ヤンマ級の砲撃まででしたら、35%の出力でフィールド内部への衝撃まで完全に相殺できます。二隻以上の集中砲火にならない
と言う条件付きですが」
「フィールド内部への衝撃を相殺しないとどのくらい?」
「……オモイカネによると20%は出しておかないと衝撃で船体にダメージが出るとのことです。28%で震度3くらいの振動が来ます」
ルリの言葉に少し考える艦長。
「30%ぐらいならどうかな?」
「……そのぐらいですと、震度1から2くらいの振動で済むようです」
オモイカネに確認したルリの言葉に決断する艦長。
「では、30%のフィールド出力にして戦闘能力の欺瞞を行います。攻撃を受けた場合多少の振動はありますが各部署においては業務の障害にならないよう対策
願います」
『おう、判ったぜ艦長』
『あいよ。注意しとくよ』
『了解です』
ウリバタケやホウメイ、その他の部署の責任者が開いていたウィンドウから返事を返す。
それからナデシコでは各部署ごとのシミュレーションや全体での合同シミュレーションが日常となった。
エステのパイロットたちもシミュレーターと実機による訓練を繰り返し、シミュレーター使用時はブリッジと連動させ、ブリッジとの連携を高めていった。
整備班は組み立て・整備速度の向上や新型武器の開発に余念が無く、生活班は物資の維持・確認を行い続けた。
そうしてナデシコは一つの生き物として完成していった。
サツキミドリ出航から約二ヶ月経ち、シミュレーターなどで各部署の連携を高めてきたナデシコが最近浮き足立っていた。
理由は二月十四日が近くなってきたからである。
男どもはこぞって女の子の手伝いをしたり身だしなみを整えたりして、X−DAYを待っていた。
女性陣は食堂に入り浸り、ホウメイにお菓子の作り方を聞いたりしていた。
しかし、そんな状況に戸惑っている者がいた。
それは……
「ミナトさん、『バレンタインデー』ってなんですか?」
言わずと知れた、我らが電子の妖精ホシノ・ルリである。
皆が浮き足立つ理由が判らずミナトの部屋にまで聞きに来たのだった。
「……そっか、ルリルリは知らないんだっけ……。あのね、『バレンタインデー』っていうのは、日本では女の子が男の子にチョコレートをあげる日なの」
「チョコレート、ですか……? でもなんで……?」
「ん〜、元はヨーロッパの風習でお世話になった人や、好きな人、友達などに贈り物をする日だったんだけど……、日本では女の子が好きな男の子に愛の告白を
チョコレートに添えて贈る日なのよ(はぁと)」
『好きな男』。その言葉に顔が赤くなるルリ。
「す、好きな男の人に、ですか?」
「ええそう。もっともそういうのは『本命チョコ』って言って、職場の同僚や友達なんかに配る『義理チョコ』とは別のものなんだけどね」
「『本命チョコ』と『義理チョコ』……」
まだいまいち理解できていないルリに例えを出すミナト。
「例えば、ヤマダ君がリョーコちゃんにチョコを貰ったり、ジュン君が艦長にチョコを貰ったりしても、それは職場の同僚だったり、友達だったりする、恋愛感
情のない『義理チョコ』になるわけだけど、艦長がヤマダ君にチョコをあげた場合は愛情たっぷりの『本命チョコ』になるわけよね」
「なるほど……」
的確な例えに納得するルリ。
しかし、ジュン! 君はルリにすらユリカに相手にされていない事を理解されているぞ!
「で、ルリルリはアキト君に『本命チョコ』をあげるんでしょ?」
「え!?」
それを聞いて、ボンッ! と音を立てて顔どころか耳も首筋も、手まで赤くなるルリ。
「でででで、でも、あ、アキトさんは職場の同僚で……」
「あら、あんな事があっても?」
「あ、あんな事って……」
どもるルリに顔を寄せて呟くミナト。
「キス、したでしょ?」
赤くなるのを通り越して、ルリの周辺の空気に陽炎が発生しているがルリは気づいていない(笑)。
「大丈夫。アキト君はちゃんとルリルリのチョコを受け取ってくれるわよ」
「そ、そうでしょうか……?」
「そうよ。じゃあお姉さんのところでアキト君にあげるチョコを作りましょう」
そう言ってルリを自室の簡易キッチンに連れて行った。
バレンタイン当日━━━━
各部署で義理チョコ、あるいは本命チョコが女性から男性に渡されていた。
アキトはホウメイガールズとリョーコ・ヒカル・イズミから義理チョコを貰い、メグミからは準本命(でっかいハートに『義理』と大きく書かれている)のチョ
コを貰い、ルリからはミナトの指導による本命チョコを貰っていた。
ミナト自身は溶かして小さく分けたチョコの包みに『ホワイトデーは三倍返し』と書いた紙を入れた義理チョコを男性クルー全員に贈っていた。
ちなみにジュンがもらえたチョコはこれ一個だけだったりする(笑)。
なお、艦長であるミスマル・ユリカはヤマダのために本命チョコを手作りで作り、ヤマダを医務室送りにしていた(笑)。
メグミは今回、元々完成していた大判のハートチョコにホワイトチョコで『義理』と書いただけだったので、アキトは無事だった(笑)。
そんな折、とあるクルーの、某所でこんな会話があった。
「はい、義理チョコです」
「いやぁありがとう。なあ、良かったら俺とつきあわないか?」
「駄目ですよ〜。契約違反でクビになりたくないですもん」
「へ?」
「じゃあ、これで」
そう言ってその女性クルーは男性クルーの前から去っていった……
そしてこの事がナデシコの艦内を揺るがす騒動の元になろうとは……、TV本編を知っている読者と神(筆者)以外には判るはずもなかった……。
あとがき
ども、先日軍曹に昇進した喜竹夏道です。
まあ月に二回程度ではなかなか上がらないのは仕方ありませんが、バージョンアップするとの情報を聞き、慌てて連続で出撃して階級アップしました。ドムキャ
ノン欲しいし。でもまだ抽選に当たらない(涙)。
それでもゴッグ・ドムトローペン・ドムを手に入れました。次はザクデザートかV−6を目標にしようと思います。
ザクTスナイパーはセッティングコンプリート。Sを取ってゲルググGを早くゲットしたいです。
でもザクもF2が欲しいしな〜。(基本がコレクター)
すいません。また話を分けてしまいました……。
いや、大体一話辺り300〜500行ぐらいでまとめようとしているんですが、予想外に伸びちゃって……。
今回は前後編じゃなくて前中後編になりそうです(涙)。
話が伸びているので息抜きに他の作品を書いたりしてたりしてさらに間隔が空いていたりしますが、平にご容赦を。
で、まあついでに一言。
あけおめことよろです。
さて、前話発表後、『いるかの曲芸部』についてWeb拍手上で「土木研究会だろ!」というツッコミも多数ありましたが、土研ではなく、わけわからん部活と
言う事で懐かしい名前を使用しました。まともな部活にするつもりなら光画部の方にしてますし(あれも「まとも」な部活とは言いがたいですが(汗))
ま、あ○るを知っている人には結構判ったようですが。
ちなみに他にも○〜るネタを使っています。(何人かは気づくかと思っていましたが意外と気づきませんかね?)
他にも、懐かしいアニメ(1970年代〜)や漫画の小ネタをところどころに入れてありますので「ウォーリーを探せ!」のごとく見つけてみてください。
ジュンのIFSについては賛否両論あったようですが、これが無いと記憶マージャンやら何やらでのジュンの出番がなくなってしまい……
以後の出番が思い切り減ってしまう(っていうかむしろ無いに等しい)<サイズ変更+2>
ので勘弁してください(笑)。
先日、黒い鳩氏を同じ年齢になり、順調に人の道を踏み外している私ですがまだまだ商業誌デビューは遠そうです。
とりあえず、連載中の作品は最後まで書き上げるつもりなので応援よろしくお願いします。
それと、もしかして誤解をされている方々がいらっしゃるかもしれないので、いまさらですが……、
私はミナト&ルリのファンです!!
ミナトとルリはきっと幸せにしてご覧に入れますのでご安心を。
さて、土曜日は鬱病の治療で病院行かなきゃ……。
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m
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