「お願いします!帰ってきてください、アキトさん!!」


目の前の通信画面から悲痛な声が響く。

銀色の髪に金色の瞳。

ルリちゃんだ。

しばらく見ないうちにずいぶんと大人っぽくなっている。

美人になったんだな。


 「ユリカさんもナデシコの皆も…それに私だって……皆、アキトさんの帰りを待ってるんですよ。

 お願いします、アキトさん。また三人、いえラピスも入れて四人で、家族で暮らしましょう?

 同じ家で生活して、一緒に屋台を引いて……あのころのように…いつも皆で楽しく……笑いあって…」


うつむかせた顔からぽろぽろ涙がこぼれる。

ああ、いまだに俺のことを家族と呼んでくれるのか。

俺も二人のことは家族だと思っていた。

だが、それでも……


 「君の知っているテンカワ・アキトは死んだ。死んだんだ。

 だから、こんな死人になんてかまうことはない。

 過去のことは忘れて、幸せになってくれ。君も……ユリカも……」

 「――――――アキトさん!!」


ルリちゃんの必死に説得しようとする声を聞きながら、自分のことについて思いをめぐらす。

ここは地球と火星のちょうど中間に位置する辺り、俺はユーチャリス、ルリちゃんはナデシコCにそれぞれ搭乗している。

もうあれから、最後にルリちゃんとあったとき、北辰と決着をつけてから3年が経過している。

3年、そう3年だ。

3年間も会わなかったのだ。

一切連絡もせず、アカツキ達にすら姿を見せず、廃棄されたプラントを修復してずっとラピスと二人で暮らしていた。

だから、みんなこんな薄情な男のことなんて忘れて幸せになってくれていたと思っていたのに……

ルリちゃんの、みんなの思いを馬鹿にしていたらしい。

見くびっていたらしい。

つい、苦笑してしまう。


 「………こんな時に何いっているんだ、と思われるかもしれませんが、もう我慢が出来ないんです。

 アキトさん。私はあなたが好きです。

 妹としてではなく一人の女としてあなたの事が好きです。

 ナデシコに乗っていたころは気付きませんでしたが、あの頃から……あなたに人のぬくもりというものを教えてもらって以来、ずっとあなたの事が……」


ああ、本当に自分に嫌気がさしてくる。

全てをリセットしてナデシコに乗っていた頃からやり直したいと思う自分に……

でも、もう3年も経ってしまったいるんだ、ルリちゃん。

顔を真っ赤にして告白してくれてもどうしようもないんだ。

あの頃でさえぎりぎりだったのに今ではもう……


 「……3年は長いんだ、長いんだよ、ルリちゃん。

 もう、無理だ。君の元には帰れないんだよ」

 「そんな、まさか……まさか、もうアキトさんは……

 なら、ならラピスはどうするんです!!

 ラピスは連れて行くつもりなんですか!?」

 「ああ、連れて行くつもりだよ」

 「それなら、私も……!」
 
 「それは出来ない」

 「何故なんですか!!」

 「ルリちゃんとラピスには違うところがあるだろう?

 それが理由だよ」


ルリちゃんと違ってラピスは非合法の研究所で生まれた。

だから、ラピスの体内にはさまざまな作用の知れないナノマシンがうごめいている。

そのせいか、ラピスはまったく年をとらない。

ずっとあの姿のままだ。

いままでも、そしてこれからも。

そんな彼女を社会に出したらどうなるか、考えるまでもない。

迫害されるか、モルモットとされるかどちらかだろう。

そんなことさせるわけにはいかない。

それに……


                                                                             「異なるところ、異なるところですか………ああ!そうなんですね。
 
                                                                         私にはラピスと違って仲間と呼べる人たちが多いからですか。

                                                                          ですが、それでも私は、アキトさんを……」

   

それに、ラピスがいなければ俺は北辰と決着をつけてすぐに命を立っていただろう。

ラピスは俺の心を守ってくれたんだ。

そして、気付かせてくれたんだ、とても大切なことに……


 「アキトさん。イネスさんに頼めばまだ間に合うかもしれません。

 治療を受けてください。お願いします。」


?ルリちゃんは何を言っているんだ?


 「ルリちゃん、治療ってなんのこ…」

 「とぼけないでください!アキトさんの体のことです!」


あれ?話してなかったっけ?


 「ルリちゃんルリちゃん」

 「……何なんですか?」


うわ、涙目で睨まれた。


 「もう、治ってる」
 
 「…………はあ?」

 「いや、だからもう治ってるんだって」

 「…………………はあ!?どうやってですか!!?」

 「いや、ヤマザキが『作品は完成させてこそ美しい』なんて意味不明な手紙と一緒に送ってきたナノマシン使ったら、一瞬にして」

 「そ、そんな怪しいもの使わないで下さい!

 ま、まあ、治ったんなら良いんですけど…
 
 でもそれなら何故…………まさか!アキトさんが捕まってしまったら、私は軍にとってもう目障りになって……

 それを防ぐために、アキトさんは……私の、私のために……!!」


・・・・・・・ユリカの妄想癖、感染ったのかな?


 「ルリちゃんルリちゃん」

 「何ですか!!」


うわ、血走った目で見られた。


 「えーと、軍とはもう不可侵条約結んでるから。

 攻撃されない限り、攻撃しないって条件で。

 ルリちゃんに俺を追わせるのも条件に入ってるから、そんな考えてるようなことにはならないと思う」

 「そうなんですか…私を守るために、そんな条件を…」

 「いや、軍から言ってきたことだけど?」

 「………はぃい?」

 「大衆に対して言い訳も出来るし、ルリちゃんが反抗するのも防げるしってことで」

 「………そうですか。それ!なら!何故!帰ってこないんですか!!」


うわ、こわっ。

仕方ない、これだけは言いたくなかったんだけど……


 「ルリちゃん、あれから3年経っているんだ」

 「……それがなにか?」

 「3年、子供が成長するのには十分な時間だ。

 ルリちゃんも美人になった」

 「え、あ、あ、ありがとうございます」


頬を染めてうつむいている。

可哀相だけど言わなくちゃいけない。

ごめん、ルリちゃん。

 
 「でもね、俺には嬉しいことじゃないんだ、むしろ哀しいといっていい」

 「…………………ぇ?」

 「俺は………小さい子が好きなんだ」


これを聞いてルリちゃんは呆然としている。

でもここは心を鬼にして言わなくちゃ。


 「3年前でも守備範囲ぎりぎりだったんだ。

 だから、今はもう……」

 「あ、あ、あ、あ、アキトさん!そそそれは本当のこ……」

 「アキト〜、ごはんできたよ〜」

 
ぽふっ、と背中にやーらかい感触。

首筋をくすぐる桃色の髪。

ああ、ラピスか。


 「らららラピス!その格好は一体!?」

 
どんな格好を……なるほど、裸エプロンか。


 「アキト……どう?」


その上目遣いも含めて…


 「ラピス」

 「ん」

 「可愛いぞ」

 「えへへ」


くっ、強烈だ。

いつまでたってもこればっかりは耐えられない。

気を抜くと襲い掛かってしまいそうだ。


 「そそそそそんな!アキトさんがアキトさんが本当の真性のろりこんだっ たなんて!」


あー、だから言いたくなかったんだよな。

こら、ラピス、ひざの上にのるな。


 「ゆゆゆユリカさんのことが好きだったんじゃないんですか!?

 それに、それならなんでナデシコのころに私を襲ってくれなかったんですか!?」


あー、あのころは恋に恋しているって感じだったような気がする。

それに自分のことがよく分かっていなかったしなぁ。

自分のことがわかったのはラピスのおかげだ。

って、こらラピス、体をすり寄せるな。

襲うぞ。

そうだ、思い出した。

ラピスに謝っておかなくちゃならない。


 「ラピス、ごめんな」

 「何が?アキト」

 「ルリちゃんがナデシコの話をしたとき、あの頃のルリちゃんに会いたいと思ってしまったんだ。

 俺にはラピスがいるのに」

 「むぅ〜〜〜」

 「らラピス!さささっきからなにやってんですか!」


ああ、すねたラピスも可愛いなぁ。


 「って、アキトさんもこっちを見てくださいよ!」


ああ、すねたラピスも本当に可愛いなぁ。


 「だから!アキトさんにラピ「キスしてくれたら許してあげる」スは何言ってんですか!!?」

 「ああ、分かった」

 「って、アキトさんも!」


むちゅ〜〜〜〜〜

いつも通りの、いや、いつも以上に情熱的なキスをしておく。

後ろでルリちゃんが騒いでいるが気にならない。

というか、ユリカに似てきたなぁ、ルリちゃん。

性格もそれに……


 「……はぁ、アキトォ

 「部屋に行こうか」

 「アキトさん!?」

 「ご飯冷めちゃうよ〜

 「ラピスの料理は冷めても上手いさ」

 「だから、アキトさん!!」


ラピスを抱えて部屋を出で行く直前、画面も見ずにこういった。


 「ルリちゃん、俺は小さい子が好きでラピスを愛しているんだそれに……」


      何よりルリちゃんの元に帰る気になれないのはそのユリカに似た……


 「巨乳はあまり好きじゃないんだ」


                       巨乳


「どチクショ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

ルリちゃんの叫びが響く中、俺とラピスはこの世の天国に向かって歩いていった。









――――――――――――――――えぴろーぐ―――――――――――――――――――――――


                    それは異様な光景だった。

         一人の美少女、いや、美女が両手を地に付いて体を震わせていた。

                        慟哭していた。

        周りにいる人間はとても哀れなものを見るような目で彼女の事を見ていた。

                 美女は恥も外聞もなく泣き続けていた。

                   周りの人間は動くに動けなかった。

                そんななかただ一つ勢い良く動くものがある。

                          それは

                    彼女の3年間の努力の結晶

                         Fカップの胸

                  ただ激しくばいんばいんと揺れていた。

                  「巨乳は、巨乳は嫌いだったんですか!?」

        「アキトさ〜〜〜ん!!」

                    ばいんばいんと揺れていた。

                         いつまでも

                         いつまでも

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

え〜と、小林です。

初投稿です。

ごめんなさい。

気が付けば、こんなことに……

いや、ルリちゃん好きですよ、本当に。

本当ですってば。


感想

小林さん初投稿です!

大人になるルリちゃん、逃げ続けるアキト…

もう終わった筈の全ての罪を背負ってただ…

それは家族であったその思いを、純粋さゆえに募らせ、一つの恋となる。

しかし、全てを守りたいがゆえ拒絶するアキトの心には少女の思いはとどかない…

とか、普通はつないで行きますが、もしも!

昔から言われているように、彼が! アキトが真性のロリだったら!?(爆)

素晴らしい思い付きです♪

いや、楽しませていただきました。

確かに、アキト劇場版になって、ルリちゃんの変わりにラピス連れまわしてますし、

名前がラピス・ラズリっていうのはね〜(汗)

真性の可能性は否定できませんな…

まあ、エリナ嬢との浮気疑惑くらいには真実味があります!(爆死)

小林さんはこれからも投稿してくださるとの事ですので、どんな作品が来るのか楽しみです♪

はぁ…折角大きな胸になったのに… それでフラレるなんて…

だって、だっておかしいですよ! 
胸以外とりえの無さそうなユリカさんとは結婚したくせに!!

ぶっ…いや、そんな事は無いと思うけど…

他にとりえがあるんですか?

そうだね…戦術眼に、明るい所に、バイトの時に見せていた瞬間記憶能力かな?

戦術眼はアキトさんといると曇りっぱなしですし、明るい部分は天然なだけですし、瞬間記憶能力は私の方が上です!

後は胸だけだと思ったのに!!

いや、もう好きにしてください(汗)

好きに…そういえば…先ほど私を ちゃん付けで呼びましたね?

うっ…あれはだね…

やっぱり、脳みそカリントウです ね、何度でも矯正してあげます!

あう! やめてくれ!

聞くと思いますか!? レ インボーブリッド・バースト!!

どどどばごーーーー ん!!

ひく……ひく………ひく…………

ふん、無駄な手間を取らせてくれま す。


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