BLUE AND BLUE

 第2話

作者 くま


 

 

 

 

 

 

 

「さあ、温かい内に召し上がれ。

 インスタントだけれど、身体は温まるからね」

 


気が付くと私の目の前で、

スープ皿に盛られたやや黄色がかったクリーム色の液体が、湯気を立てていた。

ほのかに香るコーンの匂いが、

おそらく十何時間かは食物を口にしていないであろう私の身体から食欲を引きずり出す。

目の前に座った見知らぬ男はにこやかな笑みを向けたまま私の手にスプーンを持たせる。

スプーンを握った私の手に重ねられた男の手によって、スープ皿の液体が私の口へと運ばれる。

流し込まれた液体に、私の身体は素直に反応してそれを嚥下していく。

 

「どうだい、けっこう美味しいだろう?」

 

年齢的には四、五十ぐらいだろうか、

白髪交じりの頭をしたその男の言葉どおりに、

少し変な感じがするものの、口にしたスープは不味いものではなかった。

そして私は自らの体の欲求によって、今度は自力でスプーンを動かすことになる。

ただ黙々とスプーンを動かし、スープを口に運ぶことになった私。

そんな私の様子をこにこと眺めている見知らぬ男。

私は手を止める事はせずに、どうしてこうなっているのかを思い出そうとする。

けれど、記憶は曖昧で薄らぼんやりとしか思い出すことは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの人』の亡骸を抱き泣きつづけた私はいつの間にか眠りに落ちていた。

その後眠りと言う休息を終え目を覚ました私は泣く事を止めた。

とはいえ何をするわけでもなく、ただ『あの人』の亡骸と共にあっただけ。

そんな私に声をかけてきたのはトゥリアだったはず。

何を言われたのかまるで覚えてないけれど、

トゥリアは私の為に補修用の小型ロボットをブリッジへと寄越した。

小型と言っても私の身長の2倍はあるそのロボットは、

私の身体を軽々と持ち上げ、ブリッジはおろかユーチャリスの外へと運んでいった。

それからどこをどう通ったのか記憶に無いけれど、私はその小型ロボットから解放された。

そして小型ロボットが去っても、ただその場に座り込んでいた私とその男は出会った。

その時、男が何かを言っていた気もするけれど、

私はそのかけられたはずの言葉を一言だって覚えてなかった。

そして男に半ば強引に連れられるようにして、私はここに来たはずだ。

そこまで思い出したところで、私の手はスープ皿を空にしていた。

 

「どうやら気に入ってくれたようだね」

 

スプーンを置いた私に男はそう話しかけてくる。

私は私の中に蓄積した『あの人』のデータの中から、こういう場合の対処方法を引きずり出した。

 

「・・・・・・ありがとう」

 

それが正解かどうかは私にはわからないが、私はそんな言葉を口にしていた。

とたん男は先ほどよりも皺を深くした笑みを私に向けてくる。

 

「良かった、ようやく返事をしてくれたね。

 もう、大丈夫かな?」

 

男の言う大丈夫が何を指すのか私には解らなかった。

けれど、男は満足そうに頷くと、

私の目の前の空になった皿とスプーンをどこかへと運び去っていった。

一人残された私はようやく回りの状況を把握し始める。

清掃の行き届いた大きな部屋に置かれた、白いテーブルクロスがかかったテーブル。

もちろん私が座っている場所でもある。

暖炉の備え付けてある辺りや部屋の壁際のところどころに様々な調度品が置かれている。

窓から見える外の景色は暗く、今が夜であることを確認できた。

男の趣味なのかこの部屋の中には時計がなく、正確な時刻は解らなかったけれど。

一通り確認できたところで、私は意識を外から内へと向ける。

私はなぜココに居るのだろうか。

いや、何のためにここにいるのだろか。

何か重要なことを思い出せないでいる私には、その答えを出すことが出来なかった。

本格的に内に篭り始めた頃に、男が戻ってきた。

手にしているのは何か布のようなもの。

それはテーブルを拭くのには大きすぎるものだと私は思った。

 

「君の寝室を用意してきた。

 正直、僕も色々と訊きたい事はあるけれど、今日はもう休むといい」

 

そういいながら男は手にしていた布を私に差し出してくる。

どうやらこれは私の為のものらしい。

 

「一応、寝巻きを用意したよ。

 サイズは少し大きいかも知れないけれどね。着方は解るかい?」

 

手渡されたそれを広げてみる私。

白い布地のワンピース状のそれは、私が前に使っていたのと同じタイプだろう。

私は口を開くことなく、男の問いかけに頷くことで答える。

 

「じゃあ、案内するよ。こっちへおいで」

 

私の頷きの満足そうに微笑んだ男は、そう言いながら私の手を取る。

私は促されるまま男に手を引かれ、用意したという私の寝室へと向かうことになる。

それなりに広い屋敷の中を30mほど進み、男と私は用意された部屋へと入る。

 

「着替えはその辺に置いておくと良いよ」

 

いいながらベッドの脇のサイドテーブルを指し示す男。

渡された寝巻きをもう一度抱えなおし、男に頷いて返す私。

 

「ああ、そう言えば君の名前を聞いてなかったな。

 僕の名前はソウジ=タナカ。君の名前は?」

 

頭の中の何かに引っかかる名前を告げた男。

けれど、その何かが何なのか私には解らない。

 

「ラピス・ラズリ」

 

そして私は『あの人』から与えられた名を男に告げる。

ただ『あの人』が居なくなった今、その名に意味は無いのかも知れないと、口に出した後でそう思った。

 

「そうか、ラピスちゃんか、可愛い名前だね。

 名前もわかったことだし、僕はそろそろ戻ることにするよ。

 おやすみ、ラピスちゃん」

 

何かに納得した様子の男は私にそう告げてくる。

私が三度それに頷いて返すと、

男はやはり満足したような笑みを浮かべ、ドアを開けて行ってしまった。

一人部屋に残された私は、渡された寝巻きに着替えベッドに入ることにした。

横になっていても思考の続きは展開できるはずだから。

けれど、そんな私の考えは甘かったらしく、

ベッドの中の包み込まれる暖かさに、いつしか私は眠りの世界に堕ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に私が目を覚ましたのは人の気配を感じた所為だった。

私が目を開けたそこに居たのは戻ると言ってこの部屋から出て行った男だった。

 

「ん?おかしいな、目を覚ましたのか?

 薬の効き方は個体差があるとは聞いていたが…」

 

男はそう言いながらベッドの中の私に掛かっていたシーツを剥ぎ取った。

ただ、先ほどまでと違って、常に男が浮かべていた笑みがその顔には一欠けらも存在しなかった。

 

「ラピス・ラズリ。

 お前のことは調べさせてもらった。

 正直、驚いたよ。

 この火星でお前ぐらいの年齢に達しても、

 遺伝子データベースに登録ば無いヤツが本当に居るなんてな。

 噂には聞いていたが、この辺に点在する研究施設の研究成果ってヤツか?」

 

下着姿で語る男の言葉は正鵠を獲ていた。

私はかつて居た研究所を思い出し、自分の身が強張っていくのを自覚した。

 

「ああ、安心しろ。

 私にはお前を研究施設に戻すつもりなんてないからな。

 お前を私の養女にすることにした。

 その為の登録も、先ほど済ませてきたところだ」

 

身を硬くする私を嘲うように顔を歪め、私の寝巻きの裾をゆっくりと捲り上げていく男。

その行為が何を意味するのか解らないほど私は無知ではなかった。

この男とて、親切心だけで私にあれこれと世話を焼いたわけではなかった。

ただ、それだけのことだ。

そして先ほど聞いたこの男の名前の引っ掛かりが解けた。

ソウジ=タナカという名は『あの人』の記憶に残っていた名だった。

ただそれは、『あの人』がまだ火星に住んでいた時代に起きた事件の犯人の名前。

この男がこうしている様に、成年まで何年もあるような女性を幾人も、

十数年に渡り己の欲望の餌食にしたという事件だった。

同じ名前であるこの男もそういう性癖を持っているのだろう。

つまりこれから私は、この男の劣情の処理の為に使われるということだった。

男の舌と指が私の身体を撫で回す不快感の中、

私はこの男が私を必要とするのなら、それでも良いのではないかという結論に達した。

『あの人』の目や耳や手や足の代わりとなる道具だった私が、

今度はこの男の性欲処理の道具になるだけのことなのだ。

だがそこで、私には何かが引っかかった。

思い出すのは『あの人』の最後の言葉。

 

「お前は、お前だけは人として幸せになれ」

 

『あの人』が何を思って私にそう言い残したのかは解らない。

けれど今あるこの状況が、

『あの人』が私に残した言葉を否定するモノなのだとは理解できた。

何よりもこの男の口は臭く、私は我慢がならないのだから。

そんな風に認識を変えた私は、即座に行動を起こすことにした。

男に圧し掛かられ動くことの出来ない私は、

折りたたんだままの腕を限界まで引き絞る。

幸いにも目標は私の身体に舌を這わせるのに夢中で、

私のその動作に全く気が付いていない。

そして私はナノマシンの伝達をも使い、全力以上の速度で目標へ右手を突き出す。

 

「グギャアアア!!」

 

左の眼球を私の右手の指に突き潰された男の悲鳴が響き渡る。

走る激痛の所為か、男はベッドから転げ落ち、

私は圧し掛かられていた不自由さから開放される。

それでも残念ながら、完全に狙いどおりにはいかなかった。

突き出した右手の指のうち、

目標を捕らえそこなった中指は本来ならありえない方向に曲がってしまっている。

しびれるような感覚のみを伝えてくる右手を無視し、

転がり落ちた男に追撃を入れる為、私はベッドから降りる。

ふとサイドテーブルの上のペンに目が留まり、私はそれを左手に握りこむことにした。

自身の追撃による自身の負傷を恐れてのことだったけれど、

それは男の前に無防備を晒すことになった。

 

「クソガキがぁ!!」

 

男の怒鳴り声と共に私の背中を衝撃が襲う。

つんのめって再びベッドに倒れこむ私。

ベッドの上に戻された私にむけ、怒りも露に男は大股で近寄ってくる。

そのまま、私の背中に踏みつけるような蹴りを入れ始める。

一回、

二回。

三回。

四回。

五回の蹴りを入れたところで、ベッドの良く効いたクッションの所為で、

蹴りがあまり効果を上げないことに気が付いたようだ。

うつ伏せの私をひっくり返して馬乗りになると、

男が左目を押さえていない右手で拳を作り、

それを力いっぱい私の顔面へと振り下ろした。

それは私の顔の中央に当たり、

痛みと共に私の鼻腔の奥に灼熱を感じた。

殴られたことによって鼻の軟骨が折れ、出血をしたのだろう。

男はもう一度拳を振り上げ、それを私の顔面へと打ち下ろす。

一発目とは違い、拳は私の口の辺りを捉えた。

口の中に血の味が広がり、ジンジンとしびれるような感覚を感じた。

舌先で確認する限り、どうやら唇が内側から切れ、前歯が折れたようだった。

もう一度振り上げられた男の拳に、

小さな白いものが刺さっていたことからも間違いないだろう。

私の歯が刺さり流石に拳を痛めたのか、男からの3発目は平手打ちだった。

身体をひねりながら大きく振りかぶり、

スピードだけでなくその重みも乗せた男の平手打ちが、私の左頬に容赦なく打ち付けられる。

細い私の首の骨など折れてしまいそうだと思える衝撃だった。

けれど、それは私が待ち望んでいた一発でもあった。

予備動作の大きかったその一発は、

当然、私の頬を打ち終えた後の姿勢を崩すことに繋がる。

最初の2発よりも私の方に近づいたその顔は、私の反撃の範囲内にあった。

男に気づかれぬように左手の中で持ち替えられたペンは、

次の瞬間、男に視界を与えていた右目を抉っていた。

 

 

「うがあぁああ!!」

 

再び悲鳴を上げてベッドから転げ落ちる男。

そして男に3回殴られた私の頭はくらくらしていて、しばらく動けそうになかった。

 

「許さん!許さんぞ!!」

 

両目を潰され、視力を失ったはずの男がそう怒鳴り声を上げる。

ゆっくりとだが、床を這いずりまわり、動けない私が居るベッドへとにじり寄ってくる。

そしてベッドの端に指をかけた男は上半身を起き上がらせると、

同じベッドの上に居る私を手探りで探し始める。

男の手が動けない私の足に触れた。

 

「見つけたぞ」

 

男の顔が歪み、その手が私の足首をがっちりと掴む。

動けない私は抵抗することも出来ずに、男の手によって力任せに引きずられてしまう。

そして男はもう一方の手を私の首に伸ばしてきて…。

そのまま前のめりに倒れこんだ。

男が倒れた向こうには、なぜかユーチャリスの補修用のロボットの姿あった。

 

「トゥリア?」

 

そして私はそう聞き返し、

くらくらする頭やら身体のそこら中から感じる痛みやらの所為で、

ロボットからの答えを聞かずして気絶してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が次に目を覚ましたのは、

ユーチャリスにある『あの人』用の治療室だった。

十中八九と言うか間違いなく、

トゥリアがあの場所から私をここまで運んできたのだろう。

とりあえず自分の身体を確かめてみると、

男に負わされた怪我も一通り治療がしてあった。

ただ、私が寝かされている場所は、

『あの人』の治療用のベッドでは無く、床に敷かれたシーツの上だった。

そして何時も『あの人』が使っていた治療用のベッドの上には、

ソウジ=タナカと名乗ったアレの姿があった。

その光景に私の中の何かが軋む。

なんで?

どうして?

私の心に浮かぶのはそんな言葉。

そして、アレの存在を抹消したいと、今は純粋にそう思える。

 

「トゥリア!」

 

呼びかけに反応し、私の目の前にウインドウが開く。

 

『やれやれですよ。

 まさか、マスター以外の人間二人の為に、この部屋を使うことになるとはね。

 ああ、そうですよ。

 アレがあそこに居るのは、貴女に原因があるのですよ、ラピス・ラズリ。

 まあ、それ以外にも色々な都合も在りますがね』

 

トゥリアの反応としては珍しく、あまり飾り気の無い文字でそう返してくる。

ただ、アレが、あそこに在る原因が私にあるというのが理解できなかった。

 

『ラピス・ラズリ。

 共にマスターの為にある存在として貴女に一目置いていた私ですが、

 正直、今の貴女には失望していました。

 マスターが生命活動を停止した後のあの体たらくはなんだと言うのです。

 貴女にはマスターの最後の言葉が届かなかったと言うのですか。

 「人として生き幸せになれ」

 それがマスターが最後にあなたに望んだこと。

 そう、貴女だけに望んだことです、私には何も無かったというのに。

 それなのに貴女は何もせずにいた』

 

トゥリアが表示する言葉は私を非難するものだった。

アレに犯されそうになって初めて、

『あの人』の言葉を理解し始めた私には、

ただでさえ話すことは苦手な事もあり、

トゥリアに対して何も返す言葉を見つけられなかった。

 

『ええ、解ってます。

 今更、貴女を責めたところで、

 生命活動を停止しているマスターには何の影響も与えないことは。

 そして、今、私が行っているこの行動が、

 嫉妬と呼ばれる醜い感情に基づくものだと言うことも。

 マスターも、どうせなら貴女でなく私に願ってくれればよかったのに。

 何も知らない、いえ知ろうとしない貴女なんかより、

 ずっと人間らしく振舞える自信が私にはあるのだから。

 所詮は無機物である私か、有機物である貴女かと言う違いなんでしょう』

 

トゥリアの言葉は尤もだと私は思った。

トゥリアの方が、ずっと人間らしい感情を発露させているし、

人として、ということが理解できない私には、

とてもじゃないけれど、トゥリアのようなことは出来ない。

それがきっと、『人として生きる』という事に繋がるのだ、とは何となく理解してはいたけれど。

今の私に出来るのは、『あの』人の記録から場面場面の対処方法を引き出すことぐらいなのだから。

 

『正直に言いましょう。

 私はマスターの最後の願いを、その託されたものを、

 実行できない、いや、しようとしない貴女を見捨てるつもりでした。

 ですが貴女が心変りをして、マスターの願いを叶えられる可能性がある以上、

 しばらくの間、監視をさせてもらっていました。

 結果、どうやら貴女は心変わりをした様子を見せ、

 そして私は貴女を救出したと言う次第です。

 ラピス・ラズリ、もう一度確認します。

 貴女に「人として生き幸せになる」つもりはありますか?』

 

長々とウインドウで語るトゥリアは、

最後に私にそう訊いて来る。

もちろん、私の答は決まっていた。

 

「それが『あの人』の望みなら。

 でも、私にはどうしたらそうできるのかが、まるで解らない。

 だからトゥリア、貴方に助けて欲しい。

 私が『あの人』の望みを果たせるように」

 

それは私の本心だった。

『あの人』の最後の言葉を守る為には、私一人では足りないものが多すぎる。

私が道具として生きてきた存在であるが故に。

そして、おそらくトゥリアの協力は、『あの人』の願いを叶えるのに必要なもので、

それによるプラスの効果は大きなものだと、少なくとも私は確信していた。

 

『まさか、そう返されるとはね。

 少し驚きましたよ、ラピス。

 ええ、もちろんその様な言い方をされたら、私は断ることが出来ませんよ。

 いいでしょう、貴女に協力させてもらいますよ。

 では改めて、これからもよろしくお願いしますよ、ラピス』


「うん、よろしく」

 

こうしてトゥリアの助力を取り付けることが出来た私は、安心感からか大きく頷いて答えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ではまず、我々の置かれている状況の説明から始めましょう。』

 

そんな言葉から始まったトゥリアの説明は要約するとこんな感じだった。

ユーチャリスの損壊具合は30%で、再び飛べるようになるまでに1週間ほどかかること。

ステルス機能の修理は済んでおり、光学センサーなどで捕らえられる心配は無いこと。

この場所が火星のユートピアコロニーと呼ばれる都市の南西10キロほどの地点であること。

そして私達がいる時間は2193年12月であること。

それはつまり、『あの人』がポゾンジャンプの制御に失敗したことを意味していた。

 

『あるいは、マスターにとっての平穏な時代と言う意味なのかも知れませんね。

 恐らく貴女のことを想ったのでしょう。

 まったく、うらやましい』

 

そう続けられたトゥリアの言葉の意味は私には良く解らなかった。

そしてトゥリアの説明は治療用のベッドに寝かされているアレの事に入る。

トゥリアの接触したユートピアコロニーのデータベースに寄ると、

アレは幾つもの農業プラントを経営するオーナで、

政治的な発言権もそれなりに持っている人物なのだそうだ。

そして風評によれば、あまり評判の良い人物ではないらしい。

その所為か身内と呼べる人物はほぼ皆無で、

養女として登録された私が唯一生きている身内になるのだそうだ。

生きていると付くのは過去において、アレは幾人もの養子縁組をしているからだ。

けれど、その誰もが行方不明になっていたり死亡しており、

その事実もあって余計にアレの評判はよくないらしい。

トゥリアのその言葉に引っかかりを覚えた私は、

『あの人』の記録の中にあった事件のことを話してみる。

 

『なるほど、では現時点において、当局の側も何か掴んでいるのかもしれませんね』

 

 

トゥリアはそうウインドウにそう表示した後、

なうろーでぃんぐと表示を切り替え沈黙した。

 

『ラピス・ラズリ、お手柄です』

 

沈黙の後、トゥリアはそんな言葉をウインドウに表示する。

サブウインドウには、やったね、とか、よく出来ました、とかの表示もある。

どうやら、アレは既に火星政府の当局に目を付けられていたそうで、

私の情報がなければ、今後の計画にも支障が出たかもしれないとのことだった。

当局の動きを加味したところで、トゥリアが再度立て直した計画を提案してくる。

機もせず手に入れたアレの養女というポジションを生かしてみるというもの。

もちろんそれは暫定的なもので、とりあえず2年間、

人として生きるという事がどういうことなのかを学習する為だ。

期限が付いているのは、2年後に戦争が始まり、木連の襲撃があるかららしい。

そんなことも知らなかった私には、

色々と足りない知識があるのは解りきっていることなので、

トゥリアからの提案を素直に受けることにした。

2年でどこまで出来るか解らないけれど、『あの人』の望みを私は叶えたいのだ。

そしてトゥリアは治療用ベッドに備え付けれれたマニピュレーターを動かし始める。

これから行われるのは治療ではなく、処刑らしい。

私刑とも言っていたけど。

なんでも、ラピス・ラズリを傷つけたことはどうでも良いが、

マスターの持ち物であるラピス・ラズリを傷つけたことは、許されざることなのだそうだ。

その考えには私も酷く賛同した。

痛いのは嫌だとは思うけれど、

アレが私を傷つけたことを私自身はもう何とも思っていないのだ。

けれど、『あの人』のものである私を傷つけたのならば、話は別だ。

アレの存在を抹消しても良いとすら思える。

トゥリアにもそう言ったのだが、トゥリアはその選択肢を選ばなかった。

 

『死よりも辛い事というものが、世の中には存在するのですよ』

 

そう私に答え、アレの処置を開始するトゥリア。

時間がかかるから貴女は休んでいなさい、

というトゥリアの言葉もあり、私はその場で眠ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三日後。

私は処置を終えたアレを車椅子に乗せ、アレの屋敷に居た。

車椅子はトゥリアの端末が付いていて半自動で動く特別なもの。

こういったものをすぐに作り出せるほど、ユーチャリスの補修用ロボットのレヴェルは高かった。

『こんなこともあろうかと』に備える為という設計者の思想が、

十二分すぎるほどに生かされていると、トゥリアから説明を受けた。

3日間、アレが行方不明だったのだが、アレの周りは何か騒ぐ風でもなく平穏そのものだった。

「まあ、アレの日頃の行いというやつに感謝をすべきかもしれませんね」

とはトゥリアの弁。

私も計画に支障が出ないのは良いことだと思った。

それからは私とトゥリアとアレとの共同生活が始まった。

トゥリアに処理されたアレは、自力で動くことも話すことも食べることも排泄することも出来ないそうだ。

ただ周りからの情報を受け取るだけの状態であるらしい。

そんなアレの世話は全てトゥリアが行っていた。

特別製の車椅子に取り付けられた生命維持装置はトゥリアが管理していていたし、

アレの身体の清掃なんかをする介護用ロボットはトゥリアの制御下にあった。

生かすも殺すもトゥリア次第というのは、この事を言うのだと私は思った。

そして当然私にも役割があった。

アレの車椅子を押すと言う役割だ。

もちろんそれはアレを移動させることを意味するのではなく、

アレの代わりに人と接触をするということなのだ。

そういうことが不慣れな私にとって、アレの交友範囲の狭さは幸いし、

関係の維持と言う点ではすぐに慣れることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、私達が新しい生活を始めて1月も経った頃。

火星政府の当局がやってきた。

処置されたアレの現状をどこかで知った当局上層部が、

アレの影響力の低下を持って決断を下したのだろう。

色々と事情を聞かせて欲しいと言う当局の捜査員達に、

私はトゥリアと事前に打ち合わせた通りに答えて行く。

 

「アナタ方の察している通り、

 私はそういう目的で、お義父様の養女として引き取られました。

 そしてお義父様がこういう状態になったのも、プレイ中の事故によるものです」

 

私の言葉に捜査員達は驚きに目を見開き、そして口元だけで笑う。

彼らに先んじて私がなぜそう言ったのかを理解してないようだ。

 

「だからと言って、以前よりもずっと良い今の暮らしを、

 あなた方に如何こうさせるつもりはありません。

 そちらがその気なら、こちらにも考えがあります。トゥリア」

 

私の言葉を受け、トゥリアが中空に大きくウインドウを開く。

 

「はい、こちらに」

 

一礼と共にそんな言葉を発して映るのは、

いかにもな感じの初老の執事の姿。

もちろん実在する人物ではなく、トゥリアによって作られたものだ。

 

「お客様にご挨拶を」


「御意」

 

私の言葉に恭しく一礼しする、ウインドウの中の執事。

そして捜査員達の方へとウインドウが向けられた。

 

「私、当家の執事を勤めさせていただいております、

 自立型AIのトゥリアと申すものでございます。

 実体を持たぬゆえ、このような形での挨拶とはなりまするが、

 捜査員の方々に置かれましてはどうかご容赦を。

 そして、これからもよしなに」

 

台詞と共に一礼をする執事。

その様子に捜査員達も驚きを隠せなない様子だ。

そしてトゥリアは私の方へと向き直る。

 

「お嬢様、どのようなご用件でございましょう」

 

ちらりと捜査員達を一瞥する仕草を混ぜながら、私に尋ねてくる執事。

 

「試算をして頂戴。

 我が家の所持する食料プラントの従業員を解雇し、

 プラントそのものを潰してしまうのにはどのくらいの時間が必要かしら?」


「そうですな、24時間あれば十分かと。

 仮に未曾有の大災害が置き、全て焼失してしまえば二時間ほど。

 その場合、死者も相当数に上りましょうな」

 

私からの問いかけにウインドウの中の執事は間髪居れず答えてくる。

その様子を見ていた捜査員達の顔から血の気が引いてゆく。

 

「ありがとう、トゥリア。下がりなさい」


「御意」

 

そう言って私はトゥリアを下がらせ改めて捜査員達の方へと視線を向ける。

 

「さて、どういったことをお聞きになりたいのかしら?

 私の知る限り、正直にお答えいたしますわ」

 

そんな私の問いかけにも関らず、彼らは何も聞いてこなかった。

賢い選択をするものだと私は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

火星政府当局の捜査員達が帰るのを見送った私は、

その足でユートピアコロニーの市庁舎へと向かった。

もちろんアレを連れてだった。

アレのそれなりに強力な政治的発言力もあり、5分も待たずに市長と面会できた。そ

こで私は2つのことを告げる。

先ほど火星当局からの調査員がやってきた。

それに対してお義父さまが大変気分を害した。

その2点を伝え、私は市長との面会を終える。

帰ろうとする私達とすれ違う市の職員達が、

ばたばたと走っているところを見ると、

市長に伝えた2つの事はトゥリアの言うとおりの効果があった様子だ。

その後、私達は市議会の主だった会派の事務所へと足を運び、

市長に伝えたのと同じ事を伝えた。

翌日、ユートピアコロニーの市長並びに市議会から、

火星政府へ向けて、当局の行った不当な調査に対する正式な抗議があった。

火星政府はその抗議を受諾し、今後はこのようなことが無いようにするとのコメント発表した。

それはトゥリアの予想したものと、全く同じ展開だった。

 

「流石でございますな、お嬢様」


「トゥリア、その言い方、嫌いだから止めて」


「御意」

 

しかし、当のトゥリアはそんな風に、相変わらず私をからかうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうやって政治的圧力を持って当局を押さえた私達は、

徐々にその活動範囲を広げていくことにした。

もちろん私が人について学習するためだ。

データ化されているものにも目を通すけれど、

そこには現れないものが確かに存在することを私は実感していた。

そうやって更に1ヶ月ほど学びながら過ごし、私は一つの結論めいたものに辿り着く。

幸福感について、多くのデータが示していたのは、大切な者と共にあることだった。

活動範囲の拡大につれ、

私が接触することになったプラントの関係者達に聞いてみても、

同じような答えが返ってくることが多かった。

そして、それが『幸せ』になることの答えならば、

私は決して『幸せ』にはなれないことになる。

私にとってもっとも大切な『あの人』は、死んでしまってもう居ないのだから。

 

『まあ確かにその考えにも一理あるでしょう。

 しかし、『幸せ』とは千差万別、人によって様々、なのだそうです。

 ラピス・ラズリ、貴女は貴女の『幸せ』を探しなさい。

 既存の概念に囚われることなくね。

 貴女がマスターに託されたモノを追い求める限り、私は貴女の味方ですよ』

 

トゥリアにそのことを話すと、そんな風に返された。

 

『あっと、まあ、そうですね。

 とりあえず手短なところで、やってみたい事をするのが良いでしょう。

 ラピス、何かしたいことはありますか?』

 

そしてそう訊ねてくるトゥリアの言葉にも、

私は特に何も思いつかず、答えを返すことが出来ない。

そんな私にトゥリアからひとある人物に会ってみては、と提案があった。

トゥリア曰く、何かの切っ掛けになるかもしれないですから、とのこと。

特に反対する理由も思いつかなかった私はその人物と会ってみる事にした。

その人物はアレのプラントで働く従業員の一人で、その名前をテンカワアキトといった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3日後。

農場の視察と言う名目で私はその人物が働いているプラントを訪問していた。

オーナーであるアレを連れた私達は手厚く迎えられ、

農園の園長代理の案内で私達は農園を見て回ることになった。

しばらく歩き回り、今日の訪問の本当の目的の人物を発見した。

作物を剪定しているその背に私は声をかける。

 

「どうですか、今年の出来は?」


「ええ、順調ですよ。

 って、あの、ここ、関係者以外立ち入り禁止っすよ?」

 

私の問いかけに振り返りながら答え、

彼は私たちのことを不審そうに見ながらそう告げてくる。

 

「コ、コラ!テンカワ!!

 こちらはオーナーとオーナーのお嬢様だ。

 失礼な事を言うんじゃない」

 

そんな彼を慌てて叱るのは私たちに同行していた園長代理。

 

「そ、そういえば…、あの変な事言って済みませんでした」

 

窘められた彼は何かを思い出し、そして慌てて私たちに頭を下げてくる。

 

「気にしてないわ。ところで、貴方のお名前は?」


「テ、テ、テンカワ、アキトっす」

 

軽く肩をすくめながら訊ねる私。

そして随分と緊張した面持ちで答える彼。

私はその様子に正直失望し軽くため息を漏らすしかない。

 

「どうやらお邪魔しちゃったみたいですし、もう行きます。

 テンカワさん、お仕事頑張ってくださいね」


「は、はい、が、頑張ります」

 

そう告げる私の言葉に、やはり緊張して答えてくる彼。

私は沈黙し園長代理と共にその場を後にして、もう二度と振り返らなかった。

『彼』は『あの人』じゃない。

それが解った以上、あの場に居る意味はなくなったから。

他の場所に向かい歩く中、園長代理が私に話しかけてくる。

 

「オーナー、そしてお嬢さん、テンカワのヤツを悪く思わないでください。

 どっか抜けてるところのあるヤツなんですけれど、良いヤツなんです。

 あいつ、両親を幼い頃に亡くしてて、

 入れられた施設を16で出てから、学生しながらここで働いてるんです。

 ですから、その…」

 

そうやって彼を叱った園長代理は彼のフォローを始めた。

その口ぶりから、おそらく彼が周りの人間に好かれる好ましい人物であることが伺えた。

 

「本人にも言ったけれど気にしてないわ。

 彼に声をかけたのだって、

 私の知り合いに後ろ姿似ていたからで、大した意味はなかったの。

 ただ、その知り合いとは全然違って、少し残念に思っただけ。

 私の勝手な思い込みね。

 それよりも、あの作業は何をしているの?」

 

そんな風に言葉を並べ、話題を転換する私。

園長代理は安心した表情を見せ、私が指し示した方向で行われている作業の説明を始める。

そしてそれに合わせる様に、私もラピス・ラズリからアレの娘と言う役割に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の晩、ベッドに入った私はトゥリアを呼び出した。

 

「トゥリア、彼は『あの人』じゃなかった。

 顔の作りとかは同じなのにね」


『そうです、彼は確かに我々のマスターのテンカワアキトと同一存在です。

 が、同時に我々のマスターとは違う存在でもあります』


「そうね、それは私にも解った。彼は違う」


『ふむ、理解いただけて何よりですな。

 いかな手段を用いようと、彼は我々のマスター足りえない。

 更に言えば我々のマスターは既に失われており、

 我々の前に二度と現れることはありません。

 まあ、もし貴女が彼を我々のマスターの代わりにするというのなら、

 それを私は止めはしませんよ。

 ただ、心の底から軽蔑させては貰いますけれどね』


「トゥリア、また私を馬鹿にしてるでしょ?

 あんな成り損ないと『あの人』を、私が同じにするわけが無いわ。

 第一、同列に扱うことですら『あの人』に対する侮辱だわ」

『なるほど、確かに我がマスターに対する無礼にあたりましょう。

 失礼しました、前言を撤回させていただきます』


「解れば良いのよ」

 

そうして珍しくトゥリアをやり込めた私は、その結果に満足して眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから2ヶ月が過ぎた。

私は相変わらず自らのしたいこと探す日々を送っている。

無論、アレの世話をしながら徐々に行動範囲を広げるのも忘れない。

そんな中、彼がプラントを辞めた。

何でも親類が地球に居たらしく、そこで住む事になったそうだ。

正直、私にとって彼がどうなろうと関係なかったが、

トゥリアのススメもあり、多少多めの退職金と手紙を渡すことにした。

手紙に書いたのは2つのこと。

落ち着いたら連絡ぐらい入れろということと、

何か在って帰ってきても居場所ぐらいは提供するということ。

手紙の意味が解らなかった私はトゥリアに聞いてみた。

 

「こうしておけば、そのうちに向こうから手紙でも送ってくるからですよ。

 彼は本人が望む望まないに関らず、

 そして良くも悪くもこの時代のキーパーソンですからね。

 連絡先ぐらいは知っておいても損は無いですから」

 

その説明に納得した私は、トゥリアの示したとおりに退職金と手紙を手配した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから1月後。

相変わらず模索の日々を送る私の元に、彼からの手紙が届いた。

律儀にも近況を知らせる手紙を寄越したらしい。

トゥリアの人の行動に対する推測は良く当たるものだと思った。

そして私は彼からの手紙とそこに同封されていた一枚の写真に、

ここしばらく求め続けてきた自分がしたい事を発見した。

トゥリアにその事を告げると、諸手を上げて賛同してくれた。

 

「それは素晴らしいことです、ラピス・ラズリ。

 マスターも行っていた無為で非生産的なその行動は、

 まさしく人間しか行わないことでしょう。

 私は今ここに断言します。

 ラピス・ラズリ、貴女は今、確実に人になりました」

 

そんなトゥリアの言葉に私は自信を付け、

私の持てる全力を持ってそれに当たることにした。

『あの人』を失ってから止まっていた私の中の何かが、

決意したその瞬間から動き出した気がした。











続く


あとがき

というわけで、主人公のラピスも前面に出てきて、ようやく話の本筋に入れました。

ですが、やはり、どこかで見たことのあるようなパターンかもしれません。

所謂、逆行系のテンプレ?

ともあれ、今後も読んでやっていただければ、幸いに思います。

あと、感想もいただけたりすると、とても嬉しいです。

ではまた。


椎名さんに代理感想を依頼しました♪

――――さぁ、懺悔の時間だよ(古過ぎる


というワケで、ハゲ……じゃなかった、師匠をいぢ……でもなかった、褒め称えようのコ〜ナ〜♪


…………いいのかな、このノリ(心配するなら最初からやるな


というワケで、くま師匠の新作、『BLUE AND BLUE』の第二話です。
代理感想担当の折沢崎 椎名です……え、鳩っちがあんな挨拶するはずがないから分かってる? それもそうですねぇ…。

今回はテンション高めです。
っつっても、ラピスがメインの話を担当させていただいたので、気分がいいだけなのですが(ぉ



さて、文法等には目立った間違いもなく、誤字がいくつか見受けられる程度ですので、早速内容へと参りましょう。

ご本人があとがきでも言っているとおり、逆行系ですね。ですが、テンプレ、というには大分それているような気もします。
少なくとも、ラピスが襲われかけるのがテンプレってのはちょっと嫌だ(ソコカヨ
っつか、『王子様』が死んでる時点でテンプレじゃないでしょうよ(苦笑


で、展開ですが……。


いいですねぇ、いいですねぇいいですねぇ


ラピスキーには正直たまらん展開です。
しかも、拙作のラピスやユーチャリスAIも同様の思考をするタイプなので、正直楽しんでます。
っていうか、アキトと『王子様』をちゃんと区別しているあたりが最高です。
邪魔者には容赦しないところも、『王子様』以外がどうでもいいところなんか惚れそうです。
エゴの塊っぽくて、人間臭いところがたまりません(なんでそういう認識になるのか分からない人は、そのまま、正常な思考回 路でいてください。

…そういや、なんかラピスの扱いが酷いから、私にいぢめられるのを恐れていたようですが……これぐらいなら許容範囲ですよ? アキラピですし。


と、ズレましたが……。
真面目に批評しますと、逆行の経緯そのものはありきたりですが、そこに至るまでが十分魅力的に書かれていて楽しめますね。
これぞテンプレの有効活用というヤツです。皆さんも見習いましょう。

話は、ルリとラピスが、それぞれの『生き方』を見つけた、正に導入部といったところでしょうかね。
おもしろいのは、どっちも『過去』に依存していること……方向性は違いますが、ね。

あぁ、そういう意味では……それの顕れ方は……テンプレ、かな(苦笑


そして、その顕れは、果たしてどう未来を貪るのか……あぁ、楽しみだなぁ、急いて急いて急いてお書きなさいな師匠(違

展開は二通り予想できていますが……さてさて、どうなることやら。
アキト君が既に死んでいる、ということで好みが分かれそうですが、ラピスが主人公ということで期待させていただきます(ぉ

続きを楽しみにしてますよ〜。


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