機動戦艦ナデシコ


〜For Dearest Sister〜



第五話
「初陣」






「パイロット各員に通達!作戦時間は10分間!敵をひきつけ誘導せよ!以上だ。」

ゴートからアキト、ガイのパイロットに通信が入る。

ゴートの通信が終わり今度はガイがアキトに通信を入れる。

「・・・・・おいアキト。俺たちは囮みたいだぞ。」

「仕方ないんじゃないか?ゴートさん俺たちの実力知らないんだし。」

「なんだ?アキトにしちゃえらい強気だな。いつもは俺に勝ってもたまたまだとか言 うくせに・・・。」

「今日は訓練じゃない。しくじれないんだぞ!気持ちだけでも高めとかないと・・・ ・。失敗は許されないんだ!」

「なにいってやがんだ?シュミレーションでいつも軽く蹴散らしてるくせに・・・ ・。」

「シュミレーションは本番とは違うだろ!」

「そりゃそうだけどよ・・・・。・・・俺なんかお前の相手にもな らないってのに・・・。

「なんか言った?」

「何にもねぇよ!」

「お二人とも準備はよろしいですか?」

オペレーターであるルリから二人に通信が入る。

「うん、いつでもいけるよルリちゃん。」

「おうよ!くぅ〜、燃える展開だぜ姫!」

「ヤマダさん、いい加減姫っていうのやめてもらえないですか?」

「姫こそ俺はガイだって言ってるだろ!」

「もういいです・・・。」

ピッ

ルリはあきれたように通信をきる。

「ガイ、ルリちゃん怒らすなよ・・・。」

「なぜだ!俺は怒らせるつもりなんかないのに!」

「しつこいんだよ、きっと。それより自分のこと心配しとけよ。」

「はいはい、おめぇのお荷物にならねぇようにするさ。」

そうこうしているうちに再び二人に青い髪の女性から通信が入る。

「あのぉ〜、パイロットの方ですか?」

女性の言葉を聞きガイが目を輝かせる。

「そうとも!俺はガイ!ダイゴウジガイだ!

ガイって呼ん でくれ!」


「・・・ガイうるさい(怒)それよりあなたは?」

「あ、申し遅れました。ミスマル・ユリカ、艦長です。」

「な・・・「なんだってぇ〜!!」・・・ガイうるさい (怒)」

「そうです、私が艦長でぇ〜す。ブイッ!」

アキトは不安顔になる。おそらく誰もがそうなるだろう。

そのときユリカが思い出したようにアキトに向かって聞く。

「あなたの所属と名前を教えてください。」

「テンカワ・アキト、パイロット兼コックです。」

「テンカワ・・・?アキト・・・?」

アキトの言葉を聞きユリカが思案顔になる。

「おいアキト、艦長いったいどうしたんだ?」

「俺にわかるわけないだろ・・・。俺の名前ってへんかなぁ・・・?」

「そんなことな・・・。」

「ああ〜!!」

キィ〜ン・・・・

ガイがそんなことはないといおうとしたとき、ユリカの声が響く。

「アキト!アキトなのね!?」

「さっきそう言ったはずですが?」

「私よ!ユリカ!ほら、火星でお隣だった・・・。」

「ユリカ・・?・・まさか!?」

「もう、アキトったら知らん顔なんてユリカもうプンプン。でもアキトは照れ屋さん だから大目に見てあげる!」

「ちょっ・・・誰が照れ屋なんだよ!」

「ううん・・言わなくてもわかってる。アキトは私が好き!」

「ちょっと待てコラぁ!!」

ピキッ・・・・

どこかでそんな音がした。

「アキトさん・・・・。(怒)」

「ル、ルリちゃん・・・(汗)お、落ち着こう、ね?」

ルリからの通信にアキトは大粒の汗、いや冷や汗と呼べるものを流す。

「おめぇが姫怒らせてんじゃねぇか・・・・。」

「ガイ、ちょっと黙れ(怒)」

「アキトさん、後でお話しましょうね。」

ニコッ

いい笑顔だった。それはもう怒ってますって全面に出したような笑顔だった。

「ル、ルリちゃんあのね・・・。」

ピッ・・・

通信が切れた。

「ちょっとアキト!ホシノさんとばかりお話して、ユリカプンプン!」

「うるせぇ!誰のせいだ!誰の!」

アキトの叫びはもはや心の雄叫びであった。

「ちょっとユリカそいつ誰なんだ!?」

ユリカの後ろにいたジュンが口を開く。

「アキトはね、私の王子様!ユリカが困ってるといつも助けに来てくれるんだよ!」

「誰が王子様だ!誰が!俺の話を聞けぇ!」

「アキトさん・・・(怒)」

「ミスター・・・この船は大丈夫なのか?」

「奇遇ですねゴート君・・・私も今それを考えてましたよ・・・・・。」

「でも、おもしろそう♪」

「そうですね(フフフ、あの三人は面白そうな関係ですね)」

上からユリカ、アキト、ルリ、ゴート、プロス、ミナト、メグミである。

「地上軍撤退開始!」

モニターを見ていたルリの声がブリッジに響き皆が仕事に戻る。

「アキト、後でたっぷりお話しようね♪・・・エステバリス隊発進!」

ユリカの号令でアキト、ガイの乗る二体のエステが射出される。

「アキトさん、無茶しないでくださいね・・・・。」

先ほどまでの表情は一変し心配顔のルリがそうつぶやいた。



〜サセボドッグ直上〜


アキトの乗るピンク色のエステとガイの乗る青色のエステが姿を現す。

「うひょ〜!いやがるいやがる。」

「そうだな、結構数がいるみたいだ。」

「んじゃさっそく行かせてもらうぜ!

レッツゴー!ゲキガンガー!

「テンカワ・アキト、エステバリス。出ます!」

各々の掛け声と同時に二体のエステは空に舞う。

空に舞うといってもガイは空戦フレーム、アキトは陸戦フレームなのでアキトはバー ニアを吹かせてジャンプしたという形になる。

「ゲキガンパーンチ!」

ガイの掛け声と同時に青いエステの腕が伸び敵バッタに命中し爆発する。

「なっはっはっは!ちょろいちょろい!さくさくいくぜ!」

そう言ってガイは再びエステを大空に舞い上がらせる。

「いくせ!!」

「ゲキガンフレア!!」

そう言うとガイのエステはバーニアを吹かせ地上に向かい急降下する。

地面の近くまで行くとエステは水平に飛び周りには何か膜のようなもので覆われてい た。

「くらいやがれ!!」

エステがバッタの集団を通り過ぎバーニアにより振り返り停止する。

ドカァン!!!

「ガイもやってるな・・・俺も行くか!」

アキトはエステのローラーダッシュのよりバッタに接近する。

ラビットライフルをけん制に使い打ち逃しはワイヤードフィストによって撃破してい く。

「本気で行かせてもらう!」

アキトはそう言うとエステに装着されているイミディエットナイフを取り出し逆手に 持つ。

「テンカワ流、一刀術・・・・瞬閃!」

その瞬間アキトのエステがその場から消える。

次の瞬間にはバッタたちの向こう側に現れる。

ドカァン!!!

同時にバッタたちが爆散する。

なぜ、エステは消えたのか?それはイメージの強さといえる。

IFSによる操作はイメージが大切である。アキトは地球の誰よりも正確にそれをで きる。

無論、それには限界がある。自分のできないことは正確には伝えられないのである。

「派手にやったなアキト!」

「ガイには言われたくないよ。」

そう言ってアキトは苦笑する。

「最後の技、あれは奥の手じゃなかったのか?俺との時はとどめにしか使わないだ ろ?」

「そうだな。あれは負荷がかかりすぎるからできれば使いたくないけど、戦場で出し 惜しみはできないだろ?」

「それは言えてるぜ。さてと、残りも掃除にかかるかな。」

「そうだな、でもナデシコの分も残しておけよ。」

「了解だ。初陣だし華持たせてやろうかね!」

そう言って二人は残りの敵に向かった。



〜ナデシコブリッジ〜


「す・・すごい。」

「・・・・・あんなことができる・・のか?」

「なんか踊ってるみたいだね・・・・。」

「ほんとですね・・・(やるとは思ってましたけどここまでとは・・・おもしろく なってきましたね)」

「・・・むぅ・・・。」

「いやはや、まさしく逸材ですな。」

「・・・ズズ・・・」

「提督!お茶なんかすすってる場合じゃないわよ!何なのよあいつは!」

上からユリカ、ジュン、ミナト、メグミ、ゴート、プロス、フクベ、ムネタケであ る。

スクリーンにはアキトとガイの戦いが映し出されている。

次々と爆発がおこっては敵の残存兵器数が減っていく。

ブリッジの乗組員はその光景に驚愕の表情を浮かべている。ルリとプロスを除いて。

「・・・はっ!?ミナトさん、ナデシコはまだ出れませんか?」

と、ユリカが思い出したようにミナトにたずねる。

「エンジン・・・いけるわ。」

「注水8割がた完了。」

ミナトに続きルリが報告する。

「ナデシコ発進します!」

ユリカに号令とともにナデシコは発進した。



〜地上〜


「なあアキト、そろそろ10分たつんじゃないか?」

「そうだな・・・。じゃあ敵を一箇所にあつめるぞ。」

「合点承知!仕上げだぜ!」

そう言ってアキトとガイはラビットライフルで敵をひきつけ海の方へと敵を誘導して いく。

「この辺でいいのかな?」

「いいんじゃねぇか?これぐらいかたまってりゃ主砲で殲滅できるだろ。数も減らし たことだしな。」

アキトとガイがそんな会話をしているうちに海面がせり上がっていく。

「きたみたいだぜ。」

「よし!飛ぶぞガイ!」

「了解だ!」

二体のエステはせりあがりつつある海面に向かい飛ぶ。

そして海面直前でバーニアを吹かせ空中にとどまる。

そのとき浮上してきたナデシコが現れ、二対は着艦する。

『おまたせ〜!アキト!』

「時間通りだな、ユリカ。」

『あなたのために急いできたの!』

「また人の話きいてないな・・・。」

『それじゃあ、グラビティブラスト発射!』

ヴォンヴォン・・・

ドギャーン!!

次の瞬間、空中で盛大な花火が上がった。




「す・・すごいな・・(汗)」

『すごいすごい!さっすがアキト!』

「別に俺はお前のためにやったわけじゃない・・・。」

『もう!アキトったら照れちゃって!でもわかってる、アキトのことならぜ〜んぶね ♪』

「だから人の話を聞けって・・・・。」

『アキトさん・・・(怒)』

「ちょ・・ルリちゃん違うんだってば!(汗)」

『ほんとおもしろいところね♪』

『ええ。(フフフ、ほんとこれからが楽しみですね)』

『ミスター・・・・。』

『ゴート君、何も言わないでください・・・。私も頭が痛いんですから。』

「俺も活躍しただろうが!!」

『・・・・ズズズッ・・・』

『だからわかってる!アキトは私が好き!』

「人の話を聞けぇ〜!!」




続く








あとがき

紅「お久しぶりです。紅です。」
ルリ「・・・・・・・・。」
紅「あれ?ルリちゃんどうしたの?」
ルリ「なにか言うことがあるんじゃないですか?(怒)」
紅「もしかして更新遅かったことかなぁ?(汗)」
ルリ「それ以外に何かあるんですか!!この獄蟲が!」
紅「ひいっ・・ごめんなさい・・・。」
ルリ「あなたの決めた期日すら守ってないとはどういうことですか!!」
紅「レポートと試験が続いて・・・。」
ルリ「だからなんですか!いい訳と泣き言は聞きたくないといったでしょう!」
紅「はい・・すみません・・。」
ルリ「更新が遅くてこんな駄文を読んでくださる方がいらっしゃるとでも思ってるん ですか!」
紅「ごもっともなご意見で、はい。」
ルリ「まったく、ホントに次はありませんよ!」
紅「申し訳ありませんでした。」
ルリ「さっさと次を書きなさい!わかりましたか!」
紅「・・・了承・・。」
ルリ「それでは、こんな駄文にお付き合いいただきありがとうございます。」
紅「・・・。」
ルリ「次回もよろしくおねがいしますね♪」


感想
まあなんといいますか、ルリ嬢が最初からユリカ嬢と張り合っているシーンというのは、初めて見ました。(爆)
ルリ嬢はユリカ嬢が動なら、静のタイプのキャラですし、コメントで張り合うのは始めてかも知れませんね?
何となくユリカ嬢を抹殺っていうのは意外に多いんですが…珍しく正面決戦が見れるかと期待してしまいます。
そう ですね、私がユリカさんに宣戦布告するものは多いです。でも毒料理対決の中に入った り、
南の島で捕まえて
作戦にも出た事は無かったと思います。
大抵有利なポジションをもらっているお陰ですが、正面決戦で叩き潰すというのも案外いいかもしれませんね。
そうだね、一度見てみたい所だ な〜と言うのは事実だね。
どの みち最後は私のものになるアキトさんなん ですし、途中で遊ぶのもいいかもしれません。紅さんに期待ですね♪
出切れば一方的なショーにならない方が更に面白いだろうね。紅さん頑張ってください♪

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