行き当たりばったりの協奏曲(コンチェルト)
『日本のハロウィンはここ数年の流行』
ハロウィンそう呼ばれる祭りがある、それは元々収穫祭の時期でもあり、キリスト教の全てがしているわけでもない。
ならどういった経緯でしているのかと言われれば、
ケルト民族における魔女やドルイド僧などといったいわゆる異教徒がいた地域で行われる事が多い。
キリスト教が他の宗教を吸収した際にできたものと考えるのが妥当だろう。
一番メジャーな風習としては、アイルランドにおける子供達が化け物の仮装をしてお菓子をもらいに練り歩く祭りがある。
「トリック・オア・トリート」の習慣は、
クリスマスの時期の酒宴の習慣に似た、ヨーロッパの習慣から発展したと思われる。
11月2日の死者の日に、キリスト教徒は「魂のケーキ」(干しぶどう入りの四角いパン)を乞いながら、村から村へと歩いた。
物乞いをするときには、亡くなった親類の霊魂の天国への道を助けるためのお祈りをすると約束した。
魂のケーキの分配は、サウィン祭のとき徘徊する幽霊に食べ物とワインを残す古代の風習に代わるものとして、
キリスト教会によって奨励された。
ここからは、推測が多いためあくまで個人的意見となるが。
おおよそ、仏教における托鉢と同じような起源をもつと思われる。
ほんの十数年前に米国風に変わった祭りであるため、普及率は高くない。
キリスト教に必須の祭りというわけでもないからでもある、収穫祭の方が重要とかんがえるからでもあるのかもしれない。
だが、農業に携わらない人達にとって、10月末〜11月の間にはイベントらしいものはない。
アメリカ人は祭り好きであるため、何かそういう風習が欲しかったのかもしれない。
広まっているのはこのアメリカ風ハロウィンである。
最も、日本人にはピンと来ないだろう、米軍基地の近くではわりとやっているらしいのだが。
「で、何が言いたいの?」
「日本人には関係ない話だと言いたいだけだ」
「ぶっ、そんなのやり始めてからいうものじゃないよ」
そう、何の因果か俺はハロウィンパーティの手伝いをしている。
アメリカ式においては、トリック・オア・トリートそのものより仮装パーティになっている気もする。
わいわい騒ぎたいという国民性だろうか?
「まあ、何にしろ始めてしまったものは仕方ないな。
今時の子供にレーズン入り食パンで祝えともいえないしな」
「お国柄もあるしね、いいんじゃないの?」
「所で忍、お前はなんでこっちなんだ?」
「んー確かに、折角だから恋人とって言いたいところなんだけど、まあそっちは深夜に取っておくことにしたのよ。
というか、個人的には祝うつもりはないし」
「ぶっちゃけ過ぎだ……」
今パーティ会場にいるのは俺と忍の二人きりだ。
とはいっても、今もメイド達が菓子を作っているし、リニスも参加している。
後、20分もすれば戻ってくるだろう。
「それにしても、物好きよね。私だってすずかは大切だけど、こんなこまめな事はしないわよ」
「いや、なんというか……俺の発案ではないんだが……」
「なるほどね、巻き込まれ型っていうのは伊達じゃなさそうね」
「面目ない」
実際の所は、桃子さんが店でそういう企画をしたいと言っていたのをリニスが聞いて、
子供たちがやってみたいとはしゃいだのが原因だ。
まあ、俺としても別段さほど手間のかかることではないので、忍に相談したのだが、
結果飾り付けの手伝いという一番の雑用を仰せつかった。
実際お菓子を作る能力のある人間はたくさんいたし、
俺としても料理に関してはまだ少しだけ抵抗があったので丁度よかったともいえる。
売り物を作ることには抵抗を感じなくなったが、誰かを思って作るというのは苦い……。
そうこう考えている間に、騒がしさが近づいてくるのがわかった。
少しまずい、まだ料理の用意が出来ていない、お菓子はできているころのはずだが……。
「忍お菓子を持ってきてくれるか?」
「あら、家主を使うなんていい度胸ね、まあ、こんなに早く来るとは思ってなかったし仕方ないけどね」
「頼む、俺は車椅子だからどうしてもな……」
「はいはい」
忍は半笑いで部屋を出ていく。
この先どうなるのかが予想できているのだろう、俺としても忍に代わってやってもらえば一番なのだが。
まあ、リニスがいない手前、やられるのは俺の役目ということになりそうだしな。
そして1分もしない間に、ノックの音が響く。
しかし、どうしてこんなに早く来たのやら……。
俺は、返事をして扉を開いた。
目の前に立っているのは吸血鬼の仮装をした少女が目の前に立っている。
まあ、仮装だからアレだがばればれだ。
「とっ、トリック・オ……」
「トリック・オア・トリート!」
吸血鬼なフェイトがどもっていると、背後からフォローのつもりか勢いのいい声がかかる。
日本で一番有名な怪獣の仮装をしたアリシア……。
怪獣はハロウィンではOKなのだろうか……。
「「「「トリック・オア・トリート!」」」」
続いて唱和する子供たち。
魔女、ジャックオーランタン、ミイラに……東京タワー?
順を追ってアリサ、なのは、すずか、ラピスなのだが……。
ラピス……どういう基準で選んだんだ……。
「あー、その、すまない。お菓子はもうすぐ届くはずだ……」
実際そろそろ届いてもいいころのはずなんだが……。
忍の奴わざとゆっくりしているんじゃないよな?
「お菓子がないならいたずらだー!」
「いたずら、いたずら♪」
「ってでもなにするの?」
「決まってるでしょ、やっぱり基本は落書きよ!」
「ええー!? 基本なのかな!?」
「マジック準備いい?」
「「「おー!」」」
「ノリいいよね……みんな」
「あう、姉さん達……ほどほどにね……」
俺はあっという間に、車椅子から引き出され、顔じゅう真っ黒になるほど書きまくられた。
アリシアやアリサは当然だが、なのはやすずかも結構勢いよく書いていた。
ラピスは面白いのかどうかわからないが、やっぱり遠慮する様子もなく。
フェイトはついていけなくなって困っているようだった。
「ん、画竜点睛を欠く」
「ラピスちゃん難しい言葉知ってるね。でもこれ以上どうするの?」
「仮装させる」
「あーそれいいわね!」
「でも何の格好がいいかな?」
「あの……そろそろやめといたほうが」
「フェイトちゃん、こういう時は一緒になって楽しまないと損ですよ」
「すずかちゃん……」
やばい方向に話が転がっている気がするが……そもそも、仮装なんてここにはないし。
そろそろお菓子が届くころのはず……。
というか、絶対わざとだな!
まさか、組んでいるということはないだろうな……。
「持って来たわよー」
「おお、助か……おい」
「何かな?」
「なぜ衣裳が運ばれてくる」
「決まってるでしょー」
「やっぱりグルか!!」
「あたりー♪」
メイド達を引き連れて戻ってきた忍達は衣装のハンガーを引いてきていた。
それも仮装というか……。
「まずは、落書きをふき取ってあげるわ♪」
「いや、真っ黒でいい」
「そういわないで、女装した時に映えないじゃない♪」
「……」
「マスター、こういう時は観念する方が楽でいいですよ」
「テンカワ様、美人にして差し上げますので任せてください」
「というか、ハロウィン関係ないだろ!!」
「大丈夫、共同でいたずらするだけだから、ねー?」
「義父さん……」
その日、俺は筋肉の付きすぎということでどうにか体のラインの出る服は勘弁してもらったものの。
ドレスだの、メイド服だの、ゴスロリだのを持って追いかけてくる女性陣から這って逃げ回った。
ボソンジャンプを使って逃げようとしたが、リニスがブロックをかけてきたのには驚いた。
その日結局どうなったのか、結末は思い出したくもない……。
あとがき
まー温泉とほとんど同じネタにしてしまいました……。
いつもながらダメダメな私です。
実のところ、掲示板作品の外伝ですので、掲示板で出すべきだと思ったのですが。
ハロウィンイベントみたいにしてちょっとやってみよう的なはなしになったのでこちらに送ります。
とはいえ、短いわ、意味ないわ、感想をつける価値はないです。
でも、今後も頑張りますので見逃してやってくださいorz