シルフェニア150万HIT作品としては遅れたものになりましたね(汗)
ついでに言えば、これは本来100万HIT時に完成させる予定だったようで(爆)
申し訳ないです。
ですが、一応終わらせるつもりはありますので今後もお付き合いください(汗)
ええっとぉ、なんだかかなり長い間止まっていた気がしますが、
午後の部に移りたいと思いますぅ。
内容は相変わらず特にありませんけど、
平穏な一日の流れについてお伝えできたらって思います。
でも、平穏な日々って大事なんですよぉー
機動戦艦ナデシコ
〜光と闇に祝福を〜外伝
第五・五話「メイドさんから見た景色」午後
皆さんとの面会を済ませて、そのままおうちに帰ろうかと思ったんですけど、
考えてみると私だけしかいない状況は変わらないので、
どこかで昼食を済まそうかなぁって思いました。
考え事をしていつうちに<こうずき>にたどり着きます。
普段探していると迷うのに……
方向とか気にしていないとすぐにつきます。
不思議ですぅ……(汗)
特に迷う事も無く、<こうずき>の中へと入り込んだ私は椅子を引いて座って待ちます。
メイドがいる事は珍しいとは思いますけど、常連なのであまり奇異の目を向けられたりしません。
私もくつろげるお店というのが、ここの良いところです。
「あ、コーラルちゃんいらっしゃい♪」
「サチコ様、こんにちはですぅ♪」
いつ見てもスラっとしてて格好いい感じのサチコ様は、
テキパキと仕事をしていてなんだか見習わなきゃって思いますぅ。
ちょっとかがみこんでサチコ様は私に話しかけます。
「こら、駄目よ。ここでは貴女はお客様なんだから、ウエイトレスに様なんて付けちゃ」
「えっ、でも……」
「貴女もメイドだから、私がアキトちゃんの所にお邪魔させて頂いたときはそれでもいいかもしれないけど。
ここでは、貴女がお客様。だから、私のことはサチコでいいわよ?」
「はぁ……では、サッ……サチコ……さっ……う……さん」
「あはは……まあすぐにとは言わないけど、対等に付き合いたいから、あまりかしこまらないでね」
「はい、気をつけますぅ」
「それで、何にする?」
「でも、本当にメニュー多いですねぇ」
「まあね、それがウチの自慢だし。和洋折衷数百種取り揃えてるよ」
「んー、そうですねぇ……最近は火星丼の研究ばかりしていましたしぃ……
あっ、シェパーズパイもあるんですか。
じゃあ、お願いしますぅ」
「うーん、それはいいけど、羊肉は今は無いからコッテージパイになっちゃうけどいい?」
「はいぃ、イギリス料理は久しぶりだからわくわくしますぅ♪」
もっとも、イギリス料理はちょっとゴテッとしててあまり他の国の方には人気が無いことが多いんですが。
よくメニューに取り入れているみたいですねぇ。
それから暫く、トウジ様が料理をしている音が聞こえていたんですが、
サチコ様が料理を運んできてくれました。
「はい、どうぞー、でも単品でよかったの?」
「どうもですぅ、この料理ボリュームがあるのでこれだけで十分ですぅ」
「ふふ、じゃあゆっくりとしていってね♪」
「はい、いただきますぅ」
因みにシェパーズパイと言うのは、
元々はラムローストの残り肉を使って作っていたと言われているイギリスの家庭料理です。
ラム肉だとシェパーズ(羊飼い)パイ、牛肉だとコテージパイという言い方をすることが多いですね。
ボリューム満点の料理なんですけど、寒いときでないとちょっと熱いので食べるのに時間がかかります。
「はふはふ、マッシュポテトも火の通りがいいから美味しいですぅ♪」
私は、熱いうちに殆ど食べてしまいました。
スープをのんでのどの調子を整えながら一気に食べるのが好きですぅ。
「ふぅ、やっぱり懐かしい気がしますねー」
私がイギリスに住んでいた時期はそう多くない筈なんですけど、
不思議と料理はイギリスのものが好きです。
甘いものには敵わないですけど(汗)
そして、支払いを済ませて<こうずき>を出ようとした時、丁度見知った人が入ってきました。
「あ、ウリバタケ様」
「おお、久しぶりじゃないか、コーラルちゃん」
「はい、お久しぶりですぅ♪」
「しかし、いつ見てもコーラルちゃんはいいねぇ。メイド……いい響きだ」
「はぁ……(汗)」
ウリバタケ様は私を見てほうけたようになっていました。
目線が私の首の下……
あぁ!
「あ……あの、ウリバタケ様!」
「おっ、あああ……すまん!」
あわてて目線をそらすウリバタケ様。
ちょっと気まずい空気が流れ始めたころ……
「こら! あんたまた来たの!? ここは、あんたみたいな危ない人間の来るところじゃないよ!」
「何を言っている! 俺はただ純粋にだな……」
そういいつつも、ツイと目線をそらすウリバタケ様。
サチコ様はそれを見て余計怒ったようでした。
「兎に角! 女の子達に近寄らないで!」
「何をー!! 俺はただ純粋にキャストのための資料として女性を眺めているだけだ!
もちろん恋人は欲しい! しかし、別に無理してまで何とかしたいと思うほど困ってないぞ!!」
「恋人って!? あんた奥さんいるでしょ!!」
「うっ、グッ!! それとこれとは別だぁ!!!」
「……最低」
口げんかはどうやら、サチコ様の勝利のようですね。
ウリバタケ様はうつむいてぶつぶつ何か言ってますが、ちょっと怖いので確かめられません。
私は、この状況の中でいるのが辛くなって、お店を出てしまいました。
ご主人様が言うにはこういうのを、戦略的撤退と言うそうです。
<こうずき>で昼食を済ませた後、
ご主人様のお部屋に戻って洗濯物を取り入れます。
4人分ですから、干す場所に少し困ります。
仕方ないので、多すぎる分は私の部屋のベランダに干したりしてますぅ(汗)
本当にご主人様いい加減お屋敷くらい買わないと……
以前ご主人様の誕生日に言った通り、お屋敷とかは提供するつもりなんですけど。
ご主人様が嫌がるんです。
「きちんと自分が稼いだ金で買いたい」って……
だからって6畳に四人はきついと思いますけど……
「さて、洗濯物の取り入れも終わりましたし。次はアフタヌーンティの準備をしましょうか」
簡単なおやつなら私も作れます。
一応これでもキッチンメイドでしたし。
「でもぉ、昨日買い付けた材料で作るとなると何がいいでしょう?」
冷蔵庫の中を覗き込んで見てみると、量は結構あります。
でも、おやつ用の買い付けは無いですね。
「うーん、じゃあこっちで準備しましょう」
と言う事で、私は自分の部屋に帰りオーブンに火を入れます。
ご主人様の部屋では危ないので出来ないんです(汗)
まあ、食事時以外は全員そろう事が少ないですから、怪我や火傷をする人は少ないと思いますけど。
「でも、こっちもあんまり残ってないですぅ。どうしたらいいでしょう?」
冷蔵庫を物色していたんですが、あまりいいものが無かったのでショートブレッドを作る事にしました。
ショートブレッドは小麦粉とペーキングパウダーなどの調味料があれば出来るので、比較的簡単です。
そういいながら、オーブンに手を……
「あつぅ!?」
滑って熱したオーブンの中に手をついてしまいました。
どうにか腫れ上がらずにすんだみたいですが、手が赤くなっていますぅ!
ジンジンと傷む手を水道水で冷やしてから再度オーブンに生地を入れます。
後は出来上がるのを待つだけ。
最近は確認作業で何度も中を見る必要もないです。
生地の焼け具合から勝手に判断してくれるので、よほどの事が無い限り私も失敗しません。
焼き上がりを待つ私に、足音が聞こえてきました。
とはいえ、軽い足音ですし、話し声も聞こえます。
おそらくアメジスト様とラピス様でしょう。
私はあわてて部屋を飛び出し迎えに出ようとしました。
「ちょっとまってくださいぃー!」
そのまま玄関を開けて、隣へと向かう廊下に出ようと踏み出したとき、
丁度、玄関の段差につまづき、体制を崩します。
「あわ!? あわ!! あわー!!!」
ゴツン!!
私は廊下にヘッドバッドを叩き込んでそのままヘッドスライディングしていきます。
額はすりむくし、格好悪いしで散々です(泣)
「おっ、おかえりなさいですぅ!」
「たっ、ただいま(汗)」
「ただいマ……」
アメジスト様もラピス様も私に気をつかってくれているのは分かるんですけど。
どちらかと言うと、怒ってくれた方が気を使ってもらえるより楽だったりします……
私はメイド失格なのかなぁ……
でも、他の仕事なんて出来そうに無いですしぃ。
「もっ、申し訳ありませんでしたぁ」
あわてて立ち上がり。
お二人に頭を下げます。
「うんうん、気にしなくてもいいよ」
「ウん、ドジでもコーラルのお菓子ハ美味しい」
お二人が慰めの言葉を口にしてくださいます。
私は、少し胸が温かくなるのを憶えます。
でも、どうしても直らない自分のドジは嫌になりますぅ。
「あんまり気にしなくていいよ」
「ソウソウ」
「はい、頑張ります!」
「うん、じゃあただいま」
「ただいマ」
「おかえりなさい♪」
お二人に挨拶を交わして、お部屋に戻った事を確認すると、
アフタヌーンティの準備を再開しました。
今回はアッサムティにしてみましょうか。
紅茶を入れるのは、いつもの事ですし流石にそうそう失敗しません。
ショートブレッドを盛り付けてから、アッサムティのポットと一緒にお部屋に向かいます。
そして、ノックをしてから。
「ラピス様、アメジスト様アフタヌーンティをお持ちしました」
そう言ってお部屋に入ります。
お部屋では、着替えを済ませたお二人がくつろいでいます。
本当は着替えも手伝うべきとも思うんですけど、何度か断られていると言う事もありますし、
また、手が足りないと言う事もあります。
せめてご主人様の分くらいはとも思うんですけど、家族全員に怒られる始末です(汗)
「今日はアッサムティとショートブレッドにしてみました。お口に合えばいいのですが……」
私が、テーブルの上にアフタヌーンティ用の軽食を置いて行くと、アメジスト様とラピス様がテーブルの下まで来て座ります。
私は一度お湯を入れて捨てた後、アッサムティをカップに注いでミルクを入れました。
基本的にアッサムティはミルクティでたしなむものです。というかそのままでは苦いですし……
「今日はミルクティと……ホットケーキ?」
「えぇっと、少し違います。
ホットケーキでもそれほど間違っては無いと思いますが、
小麦粉でなくて薄力粉を使う場合もありますし。
どちらかと言うとビスケットでしょうか」
「ふーん、そうなんだ」
「でもこれハ、ビスケットじゃないネ」
「うん、やわらかくて美味しいよ」
「あはは……実は私もどこからショートブレッドって言うのか分からないんですぅ」
「「(汗)」」
ショートブレッドは王室御用達から、家庭料理まで、幅の広い料理だったりしますので、
私にも何種類あるのかさっぱりですぅ(汗)
まあ広義的に焼き菓子で通ってしまっているので、あまり気にした事はありませんでした……
「美味しかった、でもコーラルってイギリス料理詳しいね?」
アメジスト様は興味を持ったのか私に質問を投げかけました。
「はい、というかイギリス料理以外はまだ挑戦中といいますか……」
「それしか、習った事ガ、無いんダネ?」
「はいぃ……そのとおりですぅ(汗)」
「うん、でもこれならそのうち全部美味しく作れるようになるよ」
「そうだといいですねぇ」
私もがんばってはいるんですが、やっぱり文化圏を越えた料理は作り方に違いがあって難しいですぅ。
でも、ご主人様たちの為にも頑張らないと!
そんなこんなで、夜も更けてもうすぐご主人様が帰ってくる時刻です。
私は夕食を準備しつつ、その時間を待ちます。
アメジスト様やラピス様も興味深そうに見ている事がありますが、お手伝いを頂くわけにも行かず、
取り合えず見ていて頂くだけという事にしています。
本来は料理を覗き込むのははしたないんですけどね。
この部屋狭いですしぃ(汗)
そんな事を考えていると、ドアの前でブザーがならされます。
あっ、お帰りになられたのでしょうか?
私は喜び勇んで、ドアの前に行きます。
そして、扉の前で留まっていたのですが、ドアが開け放たれる事はありませんでした。
いえ、考えてみればブザーを鳴らしているんですからお客様ですよね。
「どちら様でしょうか?」
私は扉の向こうに向かって話しかけます。
誰が来たのかは分からないので一応用心しないと、とそう思っての受け答えです。
『はい、学生証を落とした方、えっとラピスさんですね、その学生証を拾ったんですけど』
「そうなんですか……少々お待ちください」
私はそれを聞いてラピス様に振り返って確認を取ります。
ラピス様は一通り身の回りを探した後、確かになくなっているという事でうなずいて見せました。
私は、ほっと胸をなでおろし、玄関のドアを開けました。
「どうも、ありがとう御座いますぅ」
そう言って、私が玄関から出ようとすると、いきなりほほに冷たい物が触れました。
私は動揺して、その人の事を見ようとしましたが、
その時には既に首を抱え込まれていて身動きが取れなくなっていました。
「ううっ、一体どうしたんですか?」
「黙れ! お前達、マシンチャイルドを囲っているだろう!?」
「え? え? 一体……ぐゥ!?」
私は、その人……
風体からすれば宅配業者の人のような男の方に首を締め上げられて、声を止められました。
私の悲鳴が漏れたのでしょう、
ラピス様やアメジスト様も驚いて玄関に出てこようとしています。
このままじゃ……
「やっ、やめなさい……です」
「何を言っている、俺は質問に答えろと言っているんだ! マシンチャイルドはどこにいる!?」
「マ……シン……?」
私のはサッパリ分りません、思わず問い返してしまいました。
それに怒った、男の人は一瞬私の首を絞めようとしましたが、
奥から出てきたラピス様とアメジスト様の方を凝視しました。
「あれがそうか……ふん、手間が省けたな……」
「ダレ!? 一体なにガしたいノ? コーラルを放しテ!!」
「ラピス駄目! コーラルに被害が及ぶわ」
ラピス様もアメジスト様も私が人質に取られている事を察したのでしょう、
助け出そうと思ってくれているみたいですぅ。
でも、ラピス様やアメジスト様に危害が及んでは本末転倒です。
どうすれば……
「私が人質になる、どういう理由か知らないけど、私達の力を利用したいのでしょう?」
「ふん、動くんじゃんぇ! お前いやに冷静だな……何か隠してるだろう?」
「見てわからない? 私は丸腰、それとも私が怖い?」
そう言いながらアメジスト様は徐々に近づいてきます。
マシンチャイルドというのはラピス様やアメジスト様の事なんですね……
でも、このままではアメジスト様が危ない……
「アメジスト様お逃げくださいぃ!!」
私はそう言うと同時に、思いっきり背を伸ばしながら、後頭部を男の人のアゴに叩きつけていました。
目に火花が散りそうです……
痛みに涙を流しそうになりますが、少しだけ、拘束が緩みました。
私はそのタイミングを利用して男の人から逃れようとしますが、流石にそこまで動揺は誘えなかったみたいです。
「くっ、この!」
ドガ!
私は、男の人が手に持った大型ナイフの柄で殴られ口元を切りました。
鉄の味とでもいうのでしょうか、口の中が苦味で満たされます。
でも、その時はアメジスト様が動いていました。
「家族を傷付けたこと、許さないから!」
アメジスト様の手足に光の線が浮かび上がります。
まるで、手と足がクモの巣にからめとられたようにも見えますが、その瞬間アメジスト様の姿が見えなくなりました。
「え?」
「そっちか!?」
私が驚いているうちにも、男の人は何かを察知したらしく、
ナイフを持った腕をそちらに向けようとしましたが、その時私の目の前にアメジスト様が現れていました。
「くそ!」
「遅い!」
男の人はまたナイフの向きを変えて、アメジスト様に合わせようとしましたが、
アメジスト様は一瞬早く私達の足元に滑り込んでいきました。
「な!?」
「これで終わり」
いつの間にか私と男の人の間に滑り込んだアメジスト様は、その足を男の人の足に引っ掛け、そのまま引き倒しました。
そして、右腕と首を同時に足で締め上げます。
確か三角締めという柔道の技だったと思います。
「ぐがが……くっ、くそ!」
「このまま、落ちて!」
暫く2人は力比べのように技をかけた状態で動きを止めていましたが、
腕をひねり上げられるのに耐えられなくなったのか、男の人がナイフを離しました。
でも、その時ちょっと手からナイフを弾いたようになったらしくって、
ナイフがアメジスト様の顔の方に飛んできました。
「あっ!?」
「やぁ?」
アメジスト様は、ナイフを避けたものの、閉める力が緩んでしまったらしく、男の人を放してしまいました。
そのまま、男の人はアメジスト様をつかみあげようとします。
「よくもやってくれたな……契約には五体満足でなんて書かれてねぇんだ! 手足の一本は覚悟しな!」
「くぅ……」
アメジスト様の両手足の輝きが失われていこうとしています。
アメジスト様はまだその輝きを上手く扱えないのだと言っていた事があります。
私は、思わず足がすくみそうになりましたが、このままではご主人様のメイド失格なのではないかと思い直し、
一歩踏み出して飛び掛る体勢をとります。
ナイフがなくなったお陰で、一瞬で殺される事は無いでしょう。
ご主人様ほどの使い手でもないようですし。
「あっ……アメジスト様を離しなさい!」
私が、飛び掛るべく踏み出したその時、私はスカートのすそを掴まれ動きを止められました。
「待って、必要ないかラ……」
「えっ? って……おっとっと!!」
私はラピス様に止められて止まろうとはしたんですけど、
勢いがついていたため、バランスを崩し、頭部を前に傾けたまま突っ込んでいってしまいました。
「キャー!!?」
「うご!?」
痛みに頭をくらくらさせている私でしたが、
どうも、男の人の大事なところに直撃したらしく男の人は悶絶していました。
アメジスト様はそれを確認してから後頭部にかかとを落とし気絶させます。
「あッ、やっつけちゃっタ」
「え? ごッ!?」
ラピス様のいっている意味が分からず、私が振り返って尋ねようとした時、
いきなり背後から激突されてしまいました。
「……ん? 犯人の……気配が……無いな?」
「ごッ……ご主人様ぁ、ひどいですぅ」
そう、私に背後から激突してきたのはご主人様でした。
ご主人様は瞬間きょろきょろしていましたが、危険が無いのを悟ったのでしょう、私に向き直り。
「……あわて……てしまったようだ……すまん」
「ご主人様が来てくれたのは嬉しいですぅ。でもご主人様なら気配とかでわかったんじゃ?」
「うッ……(汗)」
本当に慌てていたみたいですね。
ご主人様の汗や息遣いでどれ位急いできたのかわかりますぅ。
あれ?
でもどうやって皆さんの危機を知ったのでしょう?
電話をしていたようでもないですし……
もしかしたら、お二人には緊急用の防犯ブザーみたいなのを持ち歩いているのかもしれませんね。
それから、大事な事を言い忘れていた事を思い出し、
ご主人様の正面から少し下がりながら、
「ご主人様お帰りなさいませ」
「……ああ、ただいま」
ご主人様の所で相変わらず頬を引きつらせていましたが、
それでも素直に聞いてくれるようになっただけ進歩という感じがします。
男の人は警備の人を呼んで連行の後、明日香で聞きだせることを聞くようです。
「ご主人様。今日の料理は腕によりをかけていますので、期待してくださいね♪」
「ああ、そうさせてもらおう」
その後、夕食中にも私のドジでご主人様の頭にスープをひっかけてしまったり。
床掃除をする時に、ルーミィ様の資料を逆に散らばらせてしまったり。
帰ってきたルーミィ様の分の食事を作っておらず、作り直したりと色々ありましたが、
それ以外は特に何事も無く一日が過ぎていきました。
そして、夜になり、ベランダで夜の景色を眺めています。
「はふぅ、今日も一日終わりましたぁ」
いろいろな事が思い出されます。
考えてみれば、私も結構起伏にとんだ人生です。
でも、別にそんな人生は望んでいません。
今日のようにただ平凡……
いえ、今日もなにやら事件は起こっていましたが、
まあ、何事も無くみな就寝を迎えられるような、そんな日々が続いて欲しいと思います。
「どうした?」
「え? あっと、夜空をみていただけ、それだけですぅ、ご主人様は?」
「ん? 俺か……俺は、ちょっと涼みにきただけだ。あの部屋で4人は手狭だからな」
隣のベランダからご主人様が顔を出しています。
私は一瞬誰だろうと思ってしまいましたが、ご主人様は少し無防備な笑顔をよこし、また外を眺めます。
「だったら、いっそお屋敷を購入される事を推奨しますぅ」
「おいおい、俺の収入でそんなのできるわけ無いだろ?」
「それでも、今より大きなところに引っ越すくらい分けないと思いますけど?」
「ははは……確かにそうだな、だが、ネルガルへの出向が決まっているからな。その後で考える事にするさ」
私はその横顔に見とれている事に気付きました。
こう言っては申し訳ないですが。
ご主人様は二枚目というには少し幼い顔立ちをなさっています。
実のところ、もてると言うのはちょっと違うと思うのです。
ご主人様は強い……多分心も……
でも、なぜかその顔を見ていると守ってあげたくなるんです。
母性本能をくすぐるとでも言うのでしょうか?
この辺がご主人様の魅力なのかもしれませんね。
「はい、その時は大きなお屋敷を買いましょうね♪」
「いや……そんな金は無いと思う……(汗)」
大丈夫です。
ご主人様はきっと何とかなる、そんな気にさせてくれますから……
それに、屋敷を購入してもらう方法なんて簡単です。
私の家の物件を、明日香系かクリムゾン(アクアちゃん)経由で格安物件としてご主人様に売ればいいだけですから。
ちょっと強引かなって気もしますけど、きっと楽しい生活になると思いますぅ。
またメイド仲間の人達を呼んで、皆で仕事できればいいなぁ……
「何か不穏な事を考えてないか?」
「いえ、きっと皆が幸せになれる方法ですぅ♪」
「……(汗)」
こうして、楽しい未来に思いをはせながらその日は眠りにつきました。
後書き
やたらと時間がかかってしまいましたが、取り合えずメイドさんから見た景色完結です。
前後話の場合、後話を作って完結させるのが結構しんどいですな……
しかし、今回はちょっと説明部分を削ってみたのですが、見やすくなっているかな?
でも、そもそもお話がつまらなければ感想も少ないでしょうからにんともかんとも(古)
取り合えず、外伝はしんどいのであんまり出さないようにしようというのが今回の教訓です(泣)
WEB拍手ありがとう御座います。
拍手をいただける事毎回嬉しく思っております♪
では、拍手のお返事をば。
3月2日23:51 「光と闇に祝福を」の新作だ〜。次も期待してます。
3月2日23:52 ついでに「魔法執務官マジカルアメル」も期待したりして。
期待してくださり嬉しい限りです♪
マジカルアメルっすか……ドンナ話になるのやら……(汗)
ネタとしては面白いかも?(爆)
3月3日15:23 暴走してないルリがちょうどいいです
そう言っていただけると嬉しいです♪
暴走というかコワレルリは非常に多いですからね。
後書きでは壊してますが(爆)
3月4日16:27 更新楽しみにまってます。がんばってください^^
ありがとう御座います。
どうにか外伝を出せました。
しかし……メインが動かない話は辛い(汗)
3月4日17:06 ルーミィの活躍を
はい、大学編では何とか出番多めにしています。
戦闘は、この後次第ですね。
アメジストちょっとないがしろにしすぎな気もしますし……
3月6日0:36 ルリちゃんけなげだねぇ(ホロリ)これからもがんばってください!
はい、彼女にはアキトを支えてもらっています。
アキトとラブラブまで持っていけるかどうかは分りませんが(爆)
3月12日12:24 一日一話読んでます!!
3月13日18:13 読み終わりました!!とても面白いです!!頑張ってください
全話お読み頂きありがとうございます♪
これからも、できるだけ更新して行きますのでよろしくです!
がんばらにゃとは思っているんですが……
最近近所の葬式手伝いで4日ほど取られましたので、一週間で仕上げられませんでした。(仕事も少々長引きましたし)
そんな訳で、次の作品はもう少し早くお届けできるよう頑張ります。
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m
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