対立はどこにでもある。
二人いれば何かが違う。
それは当然の事。
同じ存在はないのだから……。
だが、それならば。
違う場所から来た者は一体どうすればいいのだろう。
加担する?
傍観を貫く?
結局は同じこと。
世界に関わろうと関わるまいと、そこにいる以上対立には巻き込まれる。
そこにはただ能動か受動かの違いしかない。
光あふるる場所
In a far star of the future
第六話 「落ち行く炎」
アリカの攻撃を受けてからの二ナの反撃は凄まじいものだった。
瞬間的に筋力の限界の加速で移動。
更に重力を中和して蹴り上げ、空中で止まる瞬間を狙い竜巻のように回転しながら頭突き。
そのまま上昇した後、上下を入れ替えて落下し踏み潰す。
普通の人間なら3回は死んでいる。
生かしているのはローブの防御能力のお陰だが、それでも衝撃の何%かは届いている。
アリカは朦朧としながらなんとか立ち上がろうとした。
「ハァーッ!!」
二ナはそれを見て腰溜めに両腕をそろえて何かを握るかのように構える。
見えないボールでも抱えているかのように……。
「いかん!」
それを観客席から見下ろしていた二ナの養父、セルゲイ・ウォン少佐は今にも駆け出していきそうな顔をしている。
二ナのやろうとしている事はそれだけ過激だということである。
アリカがぼーっと立ち上がったところに、また凄まじい速さで飛び込む二ナ。
両手を広げたままアリカにぶつける様に押し当てる。
瞬間、何かが爆発した。
もうもうと煙が拡散し、二ナの両手の前に吹き溜まる。
それを見て誰もが決着はついたものと思った。
しかし……。
「ばっちゃが……言ってた。諦めたら終わりだって……」
「なッ!?」
そう、アリカは倒れていなかった、両側にある柱にエプロンのリボンを伸ばして巻きつけることによって反動を減殺、威力を半減させていた。
それでも会場の端まで飛ばされているところからすると、かなりのダメージではあるが。
それでも、彼女の目はまだ死んでいない。
「あたしの夢はここにある! だからあたしは負けられない!」
アリカの額から血が流れる、頭に衝撃を受けたのだ、ドクターストップがかかってもおかしくはない。
だが……アリカがローブを操って見せた事に二ナは表情を厳しくする。
二人はまた激突のために静かに間合いを詰めた。
舞闘会場へと来客が移動し、警備が手薄になったころ、会場の上空に飛行物体が近づいていると騒ぎが起こり始めた。
飛行機と思われる影に対し警戒を行うため更に警備の人員は移動していく。
その隙を縫って、影のように進む人影があった。
姿はフード付きのマントに遮られ不明ではあるが、ただ、残った警備兵を一瞬で戦闘不能に追い込む技術はかなりのものである。
人影は暫く城内を動き回っていたが、謁見の間えと足を踏み入れると玉座に近寄った。
玉座をゆっくりと眺め始める。
何か玉座に仕掛けでもないのかと探っているように見えた。
しかし……。
「そこまでどすえ」
「何!?」
「あんたも、あの黒い手紙に踊らされている可哀想な人たちどすか?」
背後の人影は逆光で視認し辛くなっているが、フードの人影はその方向を微塵の迷いも無く見据える。
フード付きマントに隠れたその人陰は、くぐもった声を返す。
「シュバルツなどと一緒にしないでもらおう」
「ほな、どなたさんどす?」
その質問に対し、フードの人影はフード付きマントを引き抜きながら応じた。
出てきた姿は人のものではなかった。
いや、人型はしている、しかし、見えるところ全てが金属に覆われており、甲冑を着こなした騎士のようにも見える。
色から見れば黒騎士だろうか?
頭はまるで鳥のように額の部分を頂点として後頭部に向けて広がっている。
下には人間の顔に相当する目と、あごらしきものはあったが、それだけだ。
この姿ならただのロボットであると言っても信じてくれるだろう。
そう、北辰より重度のサイボーグである。
「黒き谷よりの使いだ」
「かなわんわー。レディの前でそないなこと、無粋な人にはぶぶ漬けでもご馳走しましょうか?」
その言葉と共に、逆光の人影が前に進み出る。
その姿は、舞闘会場から姿を消したシズル・ヴィオーラだった。
「マテリアライズ」
髪をかき上げながら耳元に触れ、キーワードを呟くと、次の瞬間光と共にローブが出現し体を覆う。
紫色のマイスターローブで身を包んだシズルは先ほどとは別人のようなプレッシャーを放っていた。
きょうえんのむらさきすいしょう
「<嬌嫣の紫水晶>か、相手にとって不足はない」
そう言うと黒いサイボーグは背中から伸縮式の槍を取り出す。
それを両手で持ち、ぶんぶんと振るデモンストレーションを行ってから、構えなおした。
その時を待っていたかのようにシズルは突撃する。
手に握られているエレメントは双剣。
ただ、刃の部分は直刀ではなく、日本刀や長刀のように反っている。
両者は似通った武器を持って激突した。
「ねぇ、イリーナちゃん。飛び出してきたのはいいけど、そのテンカワさんって言う人どうやって探すの?」
「そりゃ簡単よ! ヨウコ先生からレーダーもらっているから、光っている方向に進むだけ!」
(イリーナちゃん、いつの間にもらっていたんだろ?)
エルスティン・ホーは不思議に思う。
イリーナは確か同時に出てきたはずだ、レーダーを受け取っている暇があったのだろうか?
そんな風に考えたが、自分が気が付かなかっただけということも考えられるので、首を振って邪念を追い出す。
しかし、それとは別に気がかりなこともあった、二ナ・ウォンの事だ。
二ナ・ウォンはエルスと同室であるため、話す機会も多い、一途で融通が利かないところもあるが、一生懸命な人である。
エルスにとっては親友と言っていい存在である、
そのため、出来ればこんな知らない人の捜索よりも二ナの試合を応援したいという思いのほうが強かった。
「んー、レーダーの光はあっちを指しているみたいね」
「えーっと、あっ!」
「何?」
「空! あそこ!」
イリーナはエルスが指差した方向を見る。
そこは王宮とガルデローベの中間地点だ。
最初イリーナは何の事か分からなかったがよく見ると上空に何かが飛んでいる。
飛行機……現在は飛ばせる人がいないはずのである。
しかも、そこに向かって小さな点のような何かが飛んでいくのが見える。
あのサイズだと人と同じくらいだろうか、そういう風にイリーナには映った。
「もしかして……」
「あっ、レーダーも丁度そうなってる。あの飛んでいる飛行機に向かっているのがテンカワさんみたい」
「あんなの追いかけられないよー」
「うーん、どうしようかなーって、そういえばさ」
「何? イリーナちゃん」
「あの飛行機の向かっている先って、舞闘の会場じゃない?」
「え? ああ!! 大変だ、みんなに知らせないと!」
「ちょっと待ってね」
イリーナはエルスにそう言うと、携帯電話を取り出し短縮でダイアルした。
すぐに返事があったらしく、耳元につけてすぐに話し始めるイリーナ。
「はい、飛行機が飛んでます。それに舞闘の会場に向かっているみたいです。
テンカワさんも飛行機に向かっています。
どうやって飛んでいるかですか? ちょっとこの距離からじゃわからないです。
はい、分かりました」
「どう?」
「んー、ヨウコ先生は静観してろって言ってるけど……」
「でも、それじゃ二ナちゃんが」
「だよねー、テロとかの可能性もあるって言ってたし。どうしよう?」
今まで率先してアキトの連れ戻しに来たイリーナだったが、事件が係ってきた事でしり込みしてしまっていた。
しかし、逆にエルスは決意をしたように一つ頷いてから、イリーナを真剣な目でみる。
「助けなきゃ駄目だよ!」
「うーん、でも……」
「イリーナちゃんが行かないのなら私一人でも行く!」
「分かった、どのみちテンカワさんを追いかけていくならあそこにいかないと駄目だし。
でも、エルスちゃん。間に合わない可能性が高いよ?」
「うん、それでも……やっぱり助けなきゃ」
「んっ、それでこそエルスちゃん! も〜か〜いーんだから!」
「今はそんな事をやっている場合じゃないよー!」
イリーナにかいぐりされながらエルスは反論する。
しかし、少しだけ緊張が解けたようだ。
普段は心配性で引っ込み思案なエルスがここぞという時は行動力があることはイリーナも数ヶ月で身にしみていた。
(それだけに心配なんだけどね)
と少し心の中で付け足してから、イリーナはエルスとともに舞闘会場へと急ぐのだった。
「マスター、今から下ろしますので時間を……」
「大丈夫だ、今の俺はナノマシンが正常に稼動しているお陰ですこぶる快調だ、それよりも飛行機を落とさせるな」
「しかし……」
「時間が無い、急げ!」
「yes. my master」
サレナを追いやりながら俺は取り付いている窓から再度飛行機内に入ろうとする。
幸いシャッターの制御システムはコックピットと共に吹き飛んだのか降りる様子は見られない。
だが、正直吹き付ける風と胸の傷のお陰でかなり辛い状況だ。
しかし、これが会場に落ちれば恐らく千人単位で死人が出る。
サレナにはなんとしてもこの飛行機の軌道を変更させなければ……。
「クッ、流石に体力の方が持たないか……」
俺は窓から這い上がっていく途中で腕に力が入らなくなっていくのを感じる。
<纏>を発動したのが不味かったか、反動で筋肉が痙攣を起こしているようだな。
それでも必死に懸垂を行い、右足を窓にかける。
もう一息で窓から飛行機の内部に入れるというその瞬間。
ボガーン!
飛行機の一部が爆発、爆風と衝撃で凄い揺れとなって俺を襲う。
北辰め! 時限爆弾を仕掛けたのか!
俺はどうにか体勢を立て直すが、既に遅い、別の場所でも爆発音がするのを感じていた。
今度の衝撃はただゆれるだけではない、何かが傾き始めるのを感じる。
良く見れば後部がきしんで、徐々に傾いている。
「クッ、やってくれる。このままでは……」
俺は何とか飛行機の内部に入り込むと、よたよたと後部へと向かう。
何とかサレナが飛行機を安全な場所に下ろすまで持ちこたえなければ。
サレナは重力をある程度操れるようだからこの飛行機が分裂しない限りなんとか持たせてくれるだろう。
しかし、北辰が仕掛けた爆弾がここまでならまだいいが、後一つでも爆発すれば、飛行機が崩壊するのは免れない。
そして、北辰は中途半端な事をする奴じゃない。
「くそ! どこに仕掛けた!?」
俺は重い体を引きずりながら飛行機の内部を探し回る。
爆発物が無いのか確認するなどという作業は、素人に毛が生えた程度の俺では荷が勝ちすぎる。
しかし、俺のほかには誰もいない。
「くそっ! いつもいつもあいつは……!!」
外道と自らを標榜してはばからないあの男……だが、あれはあれで理想に燃えてもいた。
理想の為に自分は汚れ役を買って出るというわけだ。
もちろん、あいつの理想も、あいつのやってきた事も俺にとっては許すこと等出来はしないが。
それでも奴なりには矛盾はなかっただろう。
しかし、今は違う。
明らかに関係ないこの世界でなぜ奴はここまで……?
そんな事を考えていた俺は何とか爆弾の場所を発見したときには、その爆弾の爆発までの時間はわずか10秒にまで迫っていた。
これを爆発させれば当然飛行機は爆散してそこらじゅうに破片を落とすことになる。
俺は迷うことなく爆弾を引きちぎり、全力で窓を蹴破って投げ捨てた。
振動で爆発するタイプでなかったのは幸いだ。
しかし……。
俺が投げるタイミングは少し遅かったらしい、飛行機からさほど離れていない場所で爆発した爆弾は、飛行機に致命的なショックを与えた。
船体が徐々にたわんでいく、まずい……このままでは……。
そう考えているうちにも、後部が歪み、前部から引きちぎれるようにして離れ始める。
「間に合わなかったか!?」
そうして飛行機の後ろ半分が降下を開始した。
俺は絶望感と共に、何とか後部をつなぎとめる方法を模索していたが、
それを考えている間にも落下速度は上がっていき、地面へと加速を始めた。
「最後の手段と言うことになるか……」
殆ど後先考えることも無く、俺は空中に身を躍らせた。
二人の対決は大詰めを迎えていた。
観客もコーラルとは思えない熱戦に息を呑む思いで見つめている。
だが、現状二ナとアリカには動かしがたい経験の差があるのも事実。
アリカは善戦していた、と言うよりも、奇跡に近いほど素早く舞闘というものを覚えてきていると言ってもいい。
最初は野生のカンのようなもので動いていただけだったが、エレメントや腰のリボンの動きもある程度追えるようになっていたし。
何より自分でもナノマシンをコントロールし始めていた。
それでも、二ナとの差は歴然、そしてアリカの体力は既に半分以下。
次の一撃で終わりだろうと大半の観客も思っていた。
二ナは厳しい顔をしているが、それはどちらかと言えばアリカの実力よりもセルゲイの反応の方を気にしているようだ。
それでも、アリカは諦めていなかった。
彼女にとって、やる前から諦めるという選択支は存在しないのだ。
「じゃ、いくよ!」
アリカは最後の力を振り絞って一撃にかけるつもりでいた。
二ナにとってはむしろありがたいことでもある、なぜならアリカが今まで粘っていたのは二ナが攻撃に回ることで防御に集中していたからだ。
逆に言えばアリカが攻撃に回ればその隙を狙ったカウンターを入れられる、さすがにアリカでも咄嗟の防御は出来ないだろう。
ゆえに、アリカが攻撃に回ったことでアリカの勝ちは無くなっていた。
しかし、二人とは関係の無いものが勝負に水をさした。
「空に何かいるぞ!!」
「飛行機だ! 飛んでいるぞ!!」
「何!?」
「キャー!!? 飛行機が爆発してる!」
予期せぬ事態の前に会場はパニックになっていた。
しかし、それぞれの来賓はオトメの助けを借りて素早く脱出を開始する。
アリカたちも舞闘を行っている余裕はなくなっていた。
「マシロ様!」
ナツキはマシロを庇いながら脱出していく。
来賓もかなりの数が脱出し始めた。
「二ナ! 殿下をお守りしろ!」
セルゲイの声に二ナは反応して観客席に飛び込んでいった。
アリカは、それらを見守り、そして全員が脱出することは不可能だと悟る。
折しも飛行機の後ろ半分が崩れながら落ちてきている。
「逃げて! みんな!」
(みんな助けなきゃ、助けなきゃ!)
アリカはふらつきながらも会場に向かって落ちてくる飛行機の後ろ半分に向けて歩き出す。
普通なら人間にどうこう出来るものではない。
しかし、彼女には確信があった。
それは自分なら何とかできるかもしれないというような漠然としたものだったが、それでも彼女を突き動かすには十分だ。
アリカはコーラルのローブとは思えないほどの速度で飛び上がり、そして落ちてくる飛行機の後部にぶつかった。
そして、そのまま推し戻そうかとでも言うように全力で踏ん張る。
その時に大きな破片が割れて川辺の方向に落ちて行ったようだがアリカにはどうしようもなかった。
破片の取れたことにより、現在の質量は飛行機の半分よりも少ないかもしれない。
だが、飛行機の重量に重力加速度を加えられたその質量は半端ではない。
減速すらままならないままに地面へと向かっていく。
しかし、アリカは腰のリボンを限界まで伸ばし、足の変わりに踏ん張った。
すぐにつぶれるはずだったそれは、青い光と共に安定する。
「逃げて……今のうちに、逃げて!」
アリカの胸には輝く青い宝石が踊っていた。
それは神秘的な輝きと共にアリカに力を与えているように感じられる。
しかし、それもナノマシンが限界以上の力を発揮しているからであり、
重力もまともに操れないアリカにとってみれば全力でも、その使い方ではナノマシンは燃え尽きていくしかなかった。
ナノマシンが燃え尽きるとローブを構成している高次元物質も剥がれ落ち始める。
「あっ! あぁっ!?」
そしてとうとうローブを維持していられなくなり、落下が始まる。
誰もがもう駄目だと思ったその瞬間。
場外から凄まじい勢いで飛び込んでくる影があった。
「あれは! エアリーズの!?」
すずのこうぎょく
「珠洲の黄玉! 」
その影はアリカを片手で引き上げながら、もう片方の手で飛行機の残骸を受け止める。
そして、その状態のままアリカに向き直るとよく通る声で言った。
「そこのコーラル! よく持ちこたえたわね」
「……」
アリカは声も出ない、目の前にいるその女性は金髪のロングヘアをなびかせ、まるで女神のように輝いて見えた。
緑色のローブにつつまれたその姿はスタイルが良く、しかし、シズルのような淑女と言う感じではない。
太い眉毛は自信に満ちてつりあがり、目の輝きも鋭く獰猛な感じだ。
どちらかと言えば活動的な女社長のようなイメージを植え付ける女性である。
「なかなか前途窮乏(きゅうぼう)よ!」
『有望だよ! はるかちゃん!』
下から拡声器でその女性に突っ込みを入れる女性がいる。
着ている服の豪華さとは裏腹に酷く庶民的な感じのする女性である。
髪型も栗色のショートヘアがくせっ毛で飛び跳ねており、アキトの髪型と似ていなくも無い。
すこし垂れ気味の目にかかった眼鏡は鼻が低いのかずり下がり気味である。
彼女こそ<珠洲の黄玉>ハルカ・アーミテージのマスターにしてエアリーズ共和国の大統領ユキノ・クリサントである。
基本的に凄まじい戦闘力を持つマイスターオトメのマスターは国家の重鎮が多い、
しかし、彼女らは幼馴染であり、それゆえに契約したと言ってもいい。
そのせいか、不思議と大統領のユキノよりハルカの方が偉そうだった。
「いーい? そこのコーラル。オトメって言うのは、力と技と……」
そこでハルカは息を吸い込む、力をためているのかナノマシンの光が動き出した。
「根性ぉーーー!!! でぇい!!」
そして、飛行機の残骸は星になった……。
俺は飛行機の残り半分を追って落下を始める。
サレナには気づかれたかもしれないが、それでも俺が死ぬつもりは無いことは分かっているのだろう。
追っては来ないようだ。
この上残り半分まで落下を始めてはもうどうしようもない。
落下していく残骸を見て俺は早く追いつかなければと考える。
しかし、なぜか残骸は減速を始めた。
そして一部を残して落下はほぼ停止する。
「向こうでも何か手段を講じたか、ならば俺は……」
減速の衝撃で離れたもう一つの破片を追うことにする。
俺は方向を転換し加速するために、先ほど再装填しておいた銃を天空に向けて打つ。
そして、破片が落下する方向を見た。
そこには、先日沢山見かけた赤い服装らしき人間の姿が2つ近づいてきていた。
何か言っているようだが風圧もあるし距離もある、全く聞こえなかった。
しかし、これで何が何でも残骸を何とかしなくてはならなくなった。
このままでは残骸が衝突、良くても近くに衝突すればその衝撃は周辺への被害は甚大だろう。
生き残れる公算は限りなく低い……。
俺は銃に残っている弾丸を全て空中に向かって撃つ。
残骸が地面へと接触するほんの少し前に残骸と接触した。
そして、近くに見える川をイメージし、
「ジャンプ」
次の瞬間俺は川の中に出現していた。
加速度は中和されたようだが、突然飛行機の破片が出現したことにより川の中に大きな波が出来る。
俺は急いで水面に顔を出した。
バイザーは川の中で取れてしまったようだが、今更拾いに行くことも出来ない。
ジャンプ用のCCもマントに仕込んでいた分は無くなったのかマントも消滅している。
しかし、そんなことはもう考えていられなかった、水面に出てすぐの視界で俺が確認できたのは、
川に立った波が金髪の少女を引きずり込む所だったからだ。
「エルスちゃん!?」
飲み込まれた娘の近くにいた少女がおろおろしている、その姿には見覚えがあった。
確かイリーナ・ウッズとかいう生徒のはずだ。
必死で助けようとしているようだが、いかんせん波がまだ高い……近寄るのも難しそうであった。
かく言う俺も流されてはいるが、水面に上がってきたばかりだから逆に水は飲んでいない。
俺は寒気を覚えていたが、<纏>を再度発動、高波に飲み込まれた少女の方向に泳いでいった。
この川は割合深いようで、視界が利きにくかったが5mほど潜っていった所で先ほどの少女を見つける。
意識は無いようだ、このままでは不味いな。
俺は少女を捕まえると、一気に水面まで上っていく……。
「プハァ!!」
水面に顔を出した時、ほぼ波は静まっていた。
まぁ当然だな。
川ではさして反射する水もない。
俺は川辺へとゆっくり泳いでいく、そろそろ<纏>の反動が来るころあいだ。
早くあがっておかないと、二人で溺死なんていう笑い話になってしまう。
視界が歪み始めるころ、どうにか少女を川辺に運び上げる。
そこに、イリーナが駆け込んできた。
「あっ、あの。ありがとうございました! テンカワさんのお陰で助かりました!」
「ははは……いや、この破片は俺のせいなんだ……巻き込んですまない。
しかし、今はこの娘の手当てをしてやってくれ」
「あ……はい!」
イリーナは俺に言われるまでも無く、俺が引き上げてきた娘を介抱し始める。
手馴れたものだ、なるほど、オトメとやらの必要な科目の一つと言うことだろう。
俺は、どうにか水面からあがったももの立ち上がることも出来ない。
徐々に視界が暗くなっていく。
全身の疲労と胸の出血、<纏>の副作用もあってか、俺はその場で意識を失った。
後書き
ねむい……夜更かししすぎた。
ってまあ、あんまり関係ないですが。
そういえば私のSSではアキトよく気絶します。
つい限界以上に酷使してしまうので……。
っていうか、酷使するのがすきなんですよ。
アキトは仲間と連携して戦うより、仲間を庇って傷つく方が似合っている気がしてしまって。
ついつい死ぬ寸前まで頑張ってもらっております。
でもコレこそ主人公の醍醐味という気もします。
まぁそういうのも人それぞれではありますが(爆)
WEB拍手にはいつも力を頂いております!
感想は嬉しいもんです!!
今後とも頑張っていきますのでよろしくお願いします♪
11月16日
19:48 早い段階で北辰登場!しかもサイボーグ化してる(ぶっちゃけ予想してましたが)次回も楽しみにしてます。
19:51 北辰はアズワドに身を寄せてサイボーク化、アズワドに居るって事は最終的にはアキトと共闘するの?
感想ありがとーです! 北辰は普通予測しますよね!(爆) まぁガルデローベに二人ともって分けには行きませんでしたし(汗)
アキトとの共闘……まぁ微妙なところですね。ちらっと考えなくもないですが。
20:09 5話にてナノマシン制御に成功、その副産物で凄い身体能力を手に入れたアキト!これでローブを纏ったら
20:09 相当の戦闘能力を保有すると思う…五柱と互角か凌駕するレベルか…兎に角マテリアライズする時が楽しみ。
どうもありがとうっす! ナノマシンの制御は序盤のうちにやっておかないとアキトこの世界では弱すぎでしたからね(汗)
でも、ローブというかそういうのを纏うにはクリアしなくちゃいけない条件があります。
ローブ用ナノマシンは乙女専用であるという事。抜け道を二つほど考えてはいますが(爆)
20:14 早い更新嬉しい限り
20:15 北辰のサイボーク化は予想してましたが…夜天光のスレイブ化は予想もしてなかっただけに驚きました。
感想どうもっす! 夜天光のスレイブは今のところ仕方ないんです、ガルデローベも彼女も多分力を貸してはくれないですしね。
今後もう一ひねり入れる予定ではいますが、最後だろうな(汗)
20:21 アキトのローブってサラ・ギャランガーのローブと似た感じの物になる予感がします。
黒いと言う意味では(爆) 仮面はどうなるか不明です。
20:37 ぎゃあああああほくしんが!外道が出てくるとは!驚きとともに歓喜歓喜です。
20:38 しかも夜天光と一心同体。うっはマジ続き楽しみです。これからも頑張ってください!
北辰好きのお方……どっかで見たことのアル反応だ(爆) 気に入っていただけたようで何よりです!
20:56 面白いです。続きに期待が膨らみます
どうもありがとうございます! 次も頑張りますのでよろしくっす!
21:17 続きが気になるゾーーーー
はいな、頑張って書いておりますよー
22:06 蜥蜴のおっちゃん登場!! 面白かったっス、次回も楽しみにしています。
はい、おっさんもうまく使っていけるといいと思っています。次回も頑張ります!
23:02 面白かったです、ピアス型ではなく指輪なんですね、しかも北辰登場!次回以降も楽しみです!
ははは、ピアス型ってアキトがしてもさして違和感ないですけどね。でもま、一応そっちのほうがいいかなーって思ってそうしました。
11月17日
1:03 フフフ…待ってましたで!来たか北辰、信じてたよw君の事は忘れない(ォィ。ではノシ
気に入っていただけて何よりです! 次も頑張りますえー、よろしゅうに♪
1:43 北辰のサイボーグ化&夜天光のスレイブ化
1:47 このまま彼が生き残れば後半でアリカ&マシロ貞操の危機!?(だって外道だし・・・)
1:48 イリーナ行動力にエルスちゃんがくわれてますね〜
1:50 エルスちゃんがコミック版になるなら「バストインパクト」は必須!!自分は貧乳派ですが期待します(笑)
北辰は幼女好きなのだろうか……そんな気もする(爆) ネタになりそうだったら考えときます♪
エルスちゃんにもフラグ立てておきました! 今後少しづつ出番を増やしていきたいですね♪
4:18 ぬぁ、どうも誤解が生じてしまった様で申し訳ないです。「悪魔もしくは天使風の翼」云々というのは
4:21 付けてみませんか、という提案ではなくありふれたデザインになり易いので良くないのではないかという
4:25 意味だったのです。最近は翼を持つデザインをよく見かけますしね、某ガ●ダムだとか。
4:27 そういった事で少々食傷気味かな、と思っていたのです。ただ、デザインの工夫次第でまだ新しいものが
4:27 生み出せる可能性は有るのでしょうけれど。
うむー、SSでは描写を細かくしないのも気楽に読める条件の一つですからねー。
捻った外見にするのはいいんですが、インパクトがあって簡単に表現できるっていうのが理想かな?
考えて見ますー。
5:01 <纏>はワンピースのルフィーの“ギア・セカンド”の様な技と考えれば良いのでしょうか?
ふむー、ワンピースは最初のころしか見ていないんでよく分からんのですが……。
能力の上昇と言う意味では似て見えますね。
でも、実際のところ自己暗示による肉体強化っていうのは現実でも不可能ではないんですよ。
ただまぁ、当然普段使わない筋肉を酷使しますから反動も凄いんですがね(汗)
一日どころか3日くらい寝込むかも?
5:14 サレナの人型…いまいちイメージ出来ない…モデルとかが居るのなら是非教えて下さい。
モデル……モデルですか……あんまりきっちり考えたことはないですが……。
イメージではCOSーMOSを黒く塗れば似ている気もする(爆)
とはいえ、目つきはもう少し鋭いでしょうし、あんなに露出も多くないかなー。
でも漠然としてる(汗)
5:52 アキト終生の敵・・・・・決着は付くのか! 次回を楽しみにしてます
頑張りますー! 一つの形として決着が付くようにはしたいと思います。がんばりまっせー
6:29 次がどうなるか楽しみ寝れなくなりそうです笑爆笑
ありがとーございます! 私も夜寝ず昼寝てがんばります!(爆)
10:06 アキト専用マイスタージェムを考えて見た、その名も“夜皇の黒水晶(やおうのくろすいしょう)”。ナツ
面白そうですねー♪ 黒い水晶ですかー、確かに、後は思いつくのは黒真珠くらいですし、考えておきますー♪
12:50 アキトがアリカに体術や料理の師になる様な展開を希望、踏破試験時のアリカの料理はヤバ過ぎるので…。
ははは(汗) 確かに、ありゃユリカレベルですな(汗) 次々回辺りから学園編ですので、盛り込んでいければいいですねー。
12:59 シリアスな話が続きますが、“ギャグ”+“萌え”な話が今から楽しみです!特にアニメ6・9・10話辺り。
はい、がんばります! とはいえギャグセンスはないですからあまり期待しないでくださいね(汗)
16:41 えっ?北辰ってアズワドなの?以外です、てっきりシュヴァルツに加わると思っていたので驚きました。
まぁその辺には理由があったりします。敵対する以上シュヴァルツの方が本当は楽なんですけどね(汗)
17:12 アキト、専用コーラルジェムを入手!マイスタージェムを手にする日は来るのか?つか来て下さい。
がむばりますー、マイスタージェム、一応予定にあります。とはいえ普通のそれとはちっと違ったものになるかもしれないですが。
17:55 五話の物語の出足。好い感じです。
ありがとーです、毎回意味があるのかないのか不明な文面で申し訳ないですー。
11月18日
0:36 アキトがマテリアライズしたら外見はブラックサレナに似てるのかな?
0:37 それか腕の部分がカノン砲みたいになるの?
んー多少はブラックサレナをイメージする予定です。
まぁそれだけでもなかったりしますが(爆)
0:51 ジェムとは宝石の銘がつくんですかね?それならアキトのはブラックダイアを希望!
ふむ、申し訳ない。ブラックダイアはちょっと難しいかと。
原作で<漆黒の金剛石>っていうのがありますので、既に使われていますー。
3:11 周辺各国に正直にアキトの存在を報告したのは意外でした。ナツキはともかくシズル辺りならば隠蔽を
3:18 考えてもおかしくはなかったのではないかと思うのですが。後一つ、細かい事ですが航空機ならば運転よりは
3:19 操縦の方が適していると思います。
ははは、シズルの隠蔽に関しては私も同感ですが、実はアルタイはガルデローベなどにも間者を放っていますので、大抵のことは筒抜けです。
もし隠匿していることが発覚するとかなり立場的に不味いですので、シズルはその辺りのことまで考えていたということにして置いてください。
自分から保護される場合でも、その辺りはしっかりしておかないと辛いのです。
なんせアキト出現時には時空震が観測されていますから。
運転に関しては申し訳ないです。どうも癖になっていて(汗)
4:55 “光あふるる場所”最高です。舞−乙HiME・ナデシコファンに取ってコレ以上のご馳走は在りません!
4:57 背中に乗るってどんなんですか?些細なことでスイマセン
あちがとーございます! 両方見てくれている人はあまり多くないようですので、そういう方は純粋に嬉しいです!
背中に乗るっていうのは、スーパーマンの飛び方をしている人の上にまたがるっていうことです。
お馬さんですな(爆)
20:35 舞-乙とナデシコのクロス面白いですね!続きも期待してます!
ありがとうございます! クロス作品ですのでネタは多いです! でも、私の気力が続くかは感想をくれる人次第!(爆)
11月19日
19:56 これからのアキトの処遇が凄〜く気になります!
どうなるんでしょうねー(爆)
それも次回へ持越しです。でもま今回はポイント稼げたのでちょっと方向修正が出来そう。
20:05 アキト、ワンピースの六式とか使わないかな…。木連・六式として…。
むむぅ、申し訳ない。ワンピースあまり知らないんです。でも必殺技はいくつか既に外のSSで公開したのがあります。
少しずつ公開していきますねー。
22:31 この作品についてはあまり知りませんがアニメ版なら舞と命は出るんですか?
一応出ますが、前作の主役級という事で割を食っています。後半に少しというのが実情でしょうか。
11月20日
12:22 次回!遂にアーミテージ准将の登場です!彼女の活躍、楽しみにしています。
はうあー、申し訳ない、今回はエルスのフラグを立てるために割を食ってもらいました。
ほぼ原作どおりっす(汗)
17:27 第五羽読みました、早くも北辰登場!第一戦は引き分け?次回第六羽も蝶〜楽しみです。
ありがとうございます! 六話登場ですー。気に入っていただけるかどうか不安ですが、今後も頑張ります!
21:48 次回は ハルカ登場か・・・たぶんアキトに攻撃仕掛けるでしょうね
まぁその場にいればそういうこともあったんでしょうが……ああなりましたので、原作どおりであります。
11月21日
11:25 オリジナルの“萌え”的な話を心の底から期待してます!次の更新も楽しみです。
がんばりますー。実質次回でドタバタが一段落しますので、学園ネタとして何か考えておきます。
13:03 アキト・北辰っと言ったイレギュラーな存在がいる事で物語がどう変わるのか、コレからの展開期待してます。
頑張ります! お話の流れを完全に変えるのも微妙ですし、かといって全く同じルートなんて問題外ですからねー。
難しいです。
11月22日
2:16 これの原作はある程度知っているのですが、これからどのような展開になるか楽しみにしています。
はい、頑張りますのでよろしゅうお願いします! 期待を裏切らないように出来るといいですね。
12:08 近日中にOVA版舞乙が出るだけにこの作品には期待しています。
どうもっす! 失望させないように頑張らなければ(汗)
18:51 アキト対北辰 黒百合対夜天光 宿敵との再開そしてバトル良いですね アキトのスレイブもできれば見たい
18:53 アキトの女たらしは シズルの心を動かすのかミアとかマシロとかナツキもどうにかなるのかぁ気になるデスよ
アキトのスレイブですかー、ちょっと予測付かないですねー。黒そうですが(爆)
シズル……一応フラグを立てられないか考えて見ます。いいネタが必要そうですな(汗)
11月23日
13:02 まだ物語が始まったばかりですがOVA版までご執筆なされるのですか?
難しい質問ですね、実際問題そこまでいけるかまだ不明ですが、もしいけたとしてもOVAで明かされる世界の真実次第では私のSSではフォローできなくなる
可能性もありますし。
かなり難易度が高そうです。
今後もがんばりますのでよろしくです!