対立はどこにでもある。



二人いれば何かが違う。



それは当然の事。



同じ存在はないのだから……。



だが、それならば。



違う場所から来た者は一体どうすればいいのだろう。


俺のいる世界は一体どんな世界なのか、



実感できる言葉は無い、



だが、この世界で生きていかなければいけない以上



俺に出来る事は一つだけ。



あがく事……。



俺に出来ることは外に無いのだから……。





光あふるる場所
In a far star of the future



第七話 「審議会」



「よって双方ともに、ガルデローベで学ぶ事を認める」


先日の事件の後、再度開かれた審議会において、学園長ナツキ・クルーガーはそう締めくくった。

二ナは舞闘において殆ど勝利寸前であったこと、アリカは会場の賓客を助けた事が評価されたようだ。

もっとも、ナツキの考えは最初から二人とも学ばせたかった訳であるから、むしろこの事態は好都合ともいえた。


二人の審議に関してはそうして早々に決着を見たわけであるが、もっと頭の痛い問題が残っていた。

アキトの事である、事情が不鮮明であるという事がネックだ、場合によっては刑罰の対象になりかねない。


「続けて、

 先日の飛行機の飛翔の是非、及び被告人テンカワ・アキトと被告人ブラック・サレナの行動について審議したいと思います」


ナツキとしては、アキトの行動理由が不明であり、どのように係ったのかサッパリ分からない、

しかし、審議はしなければならず、ほとほと困った状況であった。


「被告人は被告席に座ってください」


入ってきたアキトは以前二ナが座っていた辺りに腰を下ろす、背後にはサレナも控えている。

アキトは今は病人用の服を纏っている、バイザーももう無いので童顔があらわになり、バイザー越しの顔を知っている人間は少し驚いた顔をした。

サレナは何故かメイド服である、黒を基調として選んだだけなのだが、そもそもガルデローベにはその手の服があふれかえっていた。


「まず先日、飛行機が何者かによって起動、飛翔して舞闘会場上空まで飛んだ後、

 二つに割れて後部が落下、破片を撒き散らしながら会場に落下する所をユメミヤ・アリカ及びハルカ・アーミテッジ准将のお力で事なきを得ました。

 損害は軽傷6名、河川及び道路が一部損壊、いたって軽微ではありますが、一歩間違えば大惨事であった事は言うまでもありません。

 被告人テンカワ・アキト及びブラック・サレナは飛行機の飛翔とほぼ同時にガルデローベより脱走、

 飛行機に乗り込んだと言う証言がありますが相違ありませんか?」

「そうだ」


アキトは童顔に似合わず渋い声で答えを返す。

その返事で自分の立場が悪くなる事は知っているはずなのだが、あまり気にした様子は無い。

ナツキははらはらしながらそれでも議長の立場上追求を続けざるを得ない。


「どのような理由で乗り込んだのです?」

「義理だな」

「誰に対して?」


それを聞かれたとき、一瞬アキトは視線を走らせ審議会の席にいるマシロ女王を見た。

しかし、すぐに目を伏せ、ナツキに向き直る。


「黙秘する」

「黙秘する事によって立場が更に悪くなる可能性があるが、いいのだな?」


思わず口調が本来の物に戻るナツキ。

しかし、アキトは表情を変えることは無かった。


「ではブラック・サレナ、貴女はどうですか? 理由を話す気はありますか?」

「マスターが黙秘する以上、私も意見は同じです」


サレナもまた表情を変えることなく言葉をつむぐ、そもそもサレナに表情があるのかナツキは疑問でもあったが。

このままでは審議が進まないので話の路線を変更する事にした。


「では、一つ別の視点から見てみましょう。

 実は飛行機の事件と時を同じくしてもう一つの事件が起こっていました」


そうして、ナツキは一同を見回す。

この事は審議員全員が知っているはずだ、国家の代表である以上情報収集は怠っていないはずだから。

テンカワ・アキトが何か表情を読ませることはしないか、みな一様に注目していた。

しかし、アキトは特に表情を動かした様子は無い。

全く知らないのか、それとも予測して構えていたのか現時点では判断できない。


「王宮内に賊が侵入、玉座の間にてシズルが交戦し撃退しました。

 進入の際、殉職2人重傷1人軽傷6人の被害がでています。

 被害が比較的小さいのは、飛行機の事件で警備兵が出払っていたためであり、飛行機の事件が陽動である可能性を示唆しています。

 賊は<黒き谷の使い>を名乗っており、恐らくは<アズワド>のサイボーグと思われます」


審議会に動揺が走る、<アズワド>という情報まではつかんでいなかったのだろう。

この世界には二つのテロ組織が存在する。

元々は同じ組織だったという話もあるが真偽は明らかではない。

ただ、<シュヴァルツ>と違い<アズワド>はあまり表には出ないというより活動が活発ではない。

人数が少ないのが原因なのだが、逆にアズワドのサイボーグはマイスターオトメも手を焼くほどに強い。

<アズワド>の事件は対処が難しいのである。


「詳しくはシズルの報告書に目を通してもらえば分かると思いますが、議題はそこではなく、

 テンカワ・アキトに<アズワド>との関わりがあるかどうかという点です。

 現在周辺の聞き込みなどをヴィント市警が行って下さっておりますが、マシロ女王には報告が上がっておられますか?」

「来ておる。だが……。

 なんでもそこの女に乗って空を飛んでいったとか、破片と一緒に落ちて来たとか、誘拐を企てていたとか、水難救助をしていたとか、

 情報が錯綜していてよく分からん」


マシロは困ったように表情をしかめている、ナツキは不思議に思った。

マシロは基本的に他者の事を優先的に考えたりしない、先に自分の事情を押し付けようとするきらいがある。

アリカや二ナのこともそうだ、守ってもらったにも拘らず、二人ともガルデローベから更迭しようとした事は記憶に新しい。

そのマシロがアキトの事になると意外にもかばおうとするような行動に出ている。

今回の事にした所で、アキトに対してある事無い事言ってこき下ろす事も出来たはずだ、命に係る一大事だったのだから。

何か理由があるのだろうか?


「ふーん、随分といろんな噂が乱れ飛んでいるね……全く君は面白いよ♪」


ニヤニヤと面白がっているようにアキトを見ているのはアルタイ公国大公ナギ・ダイ・アルタイ。

彼は自分の思惑があるようだが、それを表に出すようなことはしない。

実際、この中の誰より先を読んでいるのかも知れない。



「でっ、どうするんだい? 疑わしきは罰する? それとも、本人の釈明を聞く?

 もっともまともに釈明する気があるのか疑問だけど」

「なれば、拘束し様子を見るのが妥当かと」


ナギの言葉に追従するように見せかけてアンナン王国の大使が拘束案を出す。

元々アキトに関しては出現時から多数の国家で情報が乱れ飛んでいた。

いきなりガルデローベが拘束しなかったのも、他国への配慮の結果ではある。

しかし、実際の所みなどうやってアキトが現れたのか、どこの人間なのか、

また瞬間移動の様な事が自分たちにも出来るようになるのかなど、知りたい事は山のようにあった。

だが、今までは互いの牽制もあって口に出せなかっただけだ。

しかし……。


「待て。その者はわらわの家来じゃ!

 今までは体の不調もあって身近においておらなんだが、これからはわらわの警護を勤めさせる。

 他国に拘束など言語道断っ!」

「しかし、事実としてこのような不祥事が起こった以上……」

「こやつがやったという証拠はない!」


マシロは更に言い募ろうとする大使達に感情的に反論してしまったが、両方に論拠が無い場合、疑ってかかるのが国家と言う物である。

審議会の参加六ヶ国のうち三ヶ国は既に方針を決めている、不利は免れない所である。

一度も給料を払ったわけでもなければ、正式な契約を交わしたわけでもない、アキトをヴィントの家臣とする方針もこのままでは少し辛いものであるといえる。


「少し待ってもらえるかしら」


議事堂の扉を空けて、渋面を作るマシロらの前に現れたのは、ヨウコ・ヘレネ科学主任であった。


「どうやら、異端審問法廷のような場になっているようね。

 でも、お歴々も国家の代表であるならば、証人の受け入れはしてくださるのでしょう?」

「ヨウコ・ヘレネ科学主任、何が言いたいのだ?」

「現場で彼を見た人間に証言をする機会をあげてもいいかしら?」

「……分かった、証人を連れてきてくれ」


表向きは中立でなければいけないためいかめしい顔をしているものの、

ナツキはむしろ万々歳であった、本来彼女は強攻策をとって国家間の陰謀にアキトを放り出すのを良しとしない。

特に国家間の軍事バランスが崩れかねない場合はガルデローベで全てを確保しておきたいという思いがあった。


「では、入っていらっしゃい」

「はっはい!」

「失礼します」


ヨウコの指示で入室してきたのは赤毛の活発的な感じの少女と金髪の引っ込み思案そうな少女。

コーラルオトメのイリーナ・ウッズとエルスティン・ホーであった。

ナツキは二人の入室を確認すると、質問を始める。


「一応この場は裁判ではないので嘘の証言をしないと誓う必要は無いが、それでも嘘があった場合は厳しい処罰が課される物と思いなさい」

「「はっ、はい!」」

「では、先日のテンカワ・アキトの行動について知っている事を述べよ」

「えっと、昨日は私達TVの……」

「エルス!」

「あっ!?」


一瞬二人は目を見合わせ、困った顔になる。

考えてみればヨウコの研究室でTVを見ようとしていた事は内緒である。

支援国家の大使もいるのに、そんな恥ずかしい話はしにくい。


「どうした?」

「あっ、いえ兎に角、ヨウコ先生に話を聞いて私達は追いかけていたんです。

 テンカワさんもまだナノマシンの問題で体調が万全じゃなかったはずですし」

「ふむ」

「ですけど、サレナさんに乗って飛んで行ってしまったみたいで……」

「いえ、飛行機を見かけたんですけど。それに向かっている所を確認しました」

「それで?」

「飛行機で戦闘が始まったんです。空を飛ぶ赤いスレイブとサレナさんだったと思います」

「赤いスレイブ、初耳だぞ?」

「なんだそれは?」

「よくは分かりません。でも凄い速度でサレナさんと空中戦を行っていたのを見ていました」

「ふむ、シュバルツの量産品的なスレイブと随分違う所からすると、アズワドのスレイブと考えてもよさそうだな」

「それで、小さい影がもう一つの小さい影を蹴りだした直後に飛行機が割れたんです」

「なるほどな、だがそれではテンカワ・アキトがアズワドと関わりが無いと言うには弱いな」

「でもその後、破片の衝撃で川が溢れ返った時に溺れたエルスちゃんを助けてくれました! 自分だって胸に傷を負っていたのに」

「……」


イリーナの言っている事は確かに正しいのだろう、

テンカワ・アキトがどのような人物であるか、またアズワドと敵対している可能性は示唆された。

しかし、どれも状況証拠であるし、決定打とは言いがたい。

それでも動いた人物はいた。


「信じてみてもいいんじゃないでしょうか?」

「ちょっ、ユキノ!?」


エアリーズ大統領ユキノ・クリサント。

エアリーズの技術力を10年進めたという、特異な政治システムを作り出した人間である。

その功績が湛えられ、二十台で大統領職につくという偉業をしてのけている。

栗毛の髪の毛はぼさぼさにも見えるが、そういう風にセットしているらしい。

服装も大統領の服に着られている感がいなめないものの、柔和な表情で心を和ませる。

彼女のオトメである、ハルカ・アーミテッジとは真逆であるといえる。


「クリサント大統領、それはどういう意味ですか?」

「実際の所、彼がアズワドと係わり合いがあるのかどうかは不明です。しかし、二人の証言によると敵対しているように聞こえます」

「それは……」

「それに、我々としても証拠が何一つ無いのは同じ。肯定も否定も出来ないとなれば、様子をみてみるしかありませんよね?」

「そのとおりです。ですから拘束して……」

「拘束なら既にされています。彼はマシロ女王の護衛となられていますし。

 先のアズワドの攻撃で城が半壊、修復中である以上、ガルデローベに留まって護衛をしてもらわなければなりません。

 つまりは、ガルデローベで拘束中と考えて問題ないでしょう」

「しかし、ガルデローベは男子禁制ではないのですか?」

「庭先までなら皆様も良く来られていますし、ウォン少佐は校舎内にも度々足を運ばれているご様子。

 どこまでを禁止とするのかは明文化されていませんし……後は学園長の判断に任せましょう」


一瞬、ナツキはユキノを睨みつける、一緒に泥を被れと言われたのだ、多少は腹も立つ。

しかし、お膳立てはしてもらったのだ、ナツキとしてもいやは無い。


「では、テンカワ・アキトの処遇について結論を下します。

 ガルデローベにて一年間の拘束、その間に不審な行動が見られた場合、本格的に刑を言い渡します。

 ただし、マシロ女王の護衛の任に関してはガルデローベが相談に乗ります。

 現時点ではマシロ女王もガルデローベに住まわれる事になりますので、さしたる問題は無いでしょう。

 何か意見はありますか?」


ナツキは審議会に集った面々を見回す。

意見がありそうなものもいたが、アルタイとエアリーズの二大国が賛同し、ヴィントとガルデローベが動いている以上、

今から意見を言っても却下される可能性は高い、情報を公開する事を条件に折れるしかなかった。


「では、これにて審議会を閉会します」


元々、この審議会は先の審議会と違い特別審議会となっているため、予算や経営方針の話し合いはない、議題が終了したため早々に閉会となった。




















審議会の後、アルタイ国大使用のリムジン内

一仕事終えて少し気だるげにしながら、ナギはふと口元を緩める、そして徐々に笑いを濃くしていく。


「くくくっ、今回の審議会も面白かったよ」

「殿下……」


正面で向かい合うように座るセルゲイ・ウォン少佐は渋い顔になり、ナギに言葉を返す。

しかし、ナギは特に気にした様子も無く笑みのままでセルゲイに対した。


「何、この車内で聞いているのは運転手程度のものだろ、気にする事は無いさ」

「しかし……」

「相変わらず硬いね君は。しかし、あのテンカワ・アキトっていう男、君と同じくらい血や硝煙の匂いのする男だと思ったんだが……。

 どうやら違ったらしいね。いや、匂いはするが、根本的に甘い。

 多分まだ染まりきっていないんじゃないかな?」

「確かに、あまり政治的な駆け引きは上手くなさそうでした、しかし、こと戦闘に関するならかなりのものでしょう」

「戦闘だけならオトメのほうが上さ、そんな物は所詮一時的なもの、

 力の代わりをする代替物なんて幾らでもある、問題は機転と決断力だと思うんだけど?」

「それは……」


確かにそれは間違いではない。

なにより、ナギが大公になったのも機転と決断力の賜物であるからだ。

この場合の機転とは知った情報を即座に生かす能力であり、決断力とは迷い無く実行する決意の強さである。

そうやてナギは他の大公の候補達を全て叩き潰し、あるいは姦計に落としいれ、その上で頂点に立った。

常に冷静に観測し、それを最大限に利用する。

それゆえに、ナギにとっては相手を観察する事は日常の内であった。


「多分決断力はある方だとは思うけど、機転はあまり期待できないかな?」

「そうでしょう、しかし、その方が殿下にとっては都合がいいのではありませんか?」

「それは違う、僕にも何ともいえないけど、多分彼は利用される事に関しては敏感だ」

「ほう、それは……どうしてそうお思いに?」

「勘……としか言いようがないね」

「殿下もですか、私も普段は勘などあまり信用していないのですが……」

「じゃあ、彼の確保は諦める?」

「殿下の御心のままに」

「ぷっ、アッハッハッハッハ! 喰えないねぇセルゲイは。……じゃあその件は追って伝えるよ」

「ははっ」


面と向かったままセルゲイはナギに頭を下げる。

ナギはセルゲイが全面的に自分に尽くしているわけではない事を知っている。

あくまで今の所目的が一致しているだけ。

互いにいつ切り捨ててもおかしくない関係であった。

それは、不安定な関係ではあったが、面白いとナギは感じていた。





















審議会が終わり俺の処遇が決定した後、また俺とサレナは学園長に呼び出された。

学園長の執務室では、6人の人物が俺を迎えてくれた。

とはいえ、場の雰囲気はあまり良いとはいえない。

悪い雰囲気の発生源はマリアとかいう老婦人のようだ。

審議会で顔をあわせてはいたが面と向かって話すのは初めてだろう。


「ムッシュ・アキト・テンカワ。そうお呼びして宜しいですか?」

「……ムッシュはいらない」

「ではアキト・テンカワ。以前はお話しておりませんでしたが、ここは女子校であり、男子禁制です。

 全寮制の女子校に男性が入るなど言語道断ではあります。

 しかし、事情を鑑み、別館の使用を認めます。

 ただし、オトメ候補たる学園の生徒には出来るだけ近づかず、また話しかける事のなきよう」


言葉だけ聞くと男嫌いにようにも聞こえる。

ただ、俺の場合、男嫌いとか言う以前に凄まじく胡散臭い人物ではあるので、どういう意味での警戒なのか今ひとつ判然としないが。


「善処しよう」

「くれぐれも宜しくお願いします」


そう言ってマリアは会話を打ち切ると、部屋の隅へと移動する。

相変わらず表情はきついが言う事は言い終わったようだ。


「事情はマリア女史の言ったとおりだ。アキト・テンカワ。

 お前はこれからマシロ女王の護衛と言う事で、ガルデローベに住み込んでもらう。

 暫くは監視の必要もあるのでな。前回のように飛び出す事の無いように頼むぞ」

「ああ」

「それと、お前には監視をつける、ここにいるシズルともう一人、今はいないが、交代制で行う予定だ」

「よろしゅうに」

「二十四時間付きっ切りと言うわけではないが、不審な行動をとればすぐに分かるからな」

「分かった」


確かに、俺には前科がある以上多少の不自由は仕方がない。

いざとなればその時に考えればいいだろう。


「サレナ、君も同じ条件となるが問題ないか?」

「マスターに危害が及ばない間は私に問題はありません」

「……君は本当にオトメではないのか?」

「何を持って疑うのか知りませんが、私はマスターの剣であり鎧です。人ではありません、それはスキャニングで分かっているはずですが?」

「それは……君が人ではない事は良く知っているが、オトメと似た性質が多いのでな……」


ナツキはサレナがロボットである事を認識しづらいらしい……この世界でもアンドロイドというのは珍しいのだろう。

俺から言わせれば殆ど魔法のようにすら思えるが……。


「さて、アキトの事はそれくらいでいいか? 次はわらわの話じゃ」

「はい、女王陛下」


今度はマシロ……どうしてもマシロちゃんと呼びそうになるな。

気をつけねば……マシロ女王がナツキに話しかける。


「シズル・ヴィオーラの審議会の承認を得ぬままの戦闘、それによるわが城への被害についてじゃ」


マシロ女王はニヤリと人の悪い笑みをする。

審議会でもその件は話し合われたようだが、一応決着はついたはずだ。

しかし、こうして言いに来る所を見ると、ゆすり……と言う事になるな。


「しかし、あの場合仕方なかったという事は審議会で承認されています」

「じゃが、わが城は半壊、被害額が幾らになるのか聞いて見たいか?」

「いえ、結構です」

「ならばわかっておろう」

「お見舞金ですか……私どももあまり資金は潤沢ではないのですが……」

「何を言う、一人頭の費用とて並みの年収の軽く3倍近いそうではないか。

 更には、六ヶ国から多額の援助を受けて、それで資金が足りないとはよく言ったものじゃ!

 わが城の修繕費くらいぱぱっと出してみせよ!」

「そうは言いましても……」

「ええい! 幾らなら出せるのだ!!?」

「ざっとこのくらい」


そう言って片手を広げて見せるナツキ。

それを見て不機嫌そうになるマシロ女王。

分かりやすい構図であった。


「たったの5億か!!」

「いえ、もう一桁下です」

「何っ!!?」


5億と言われても、そもそも価値基準が分からない俺にはさっぱりだが、

城の修繕費を見舞い金で何とかしようと言うのは無理があるだろうな流石に。


「ちっ、面白くも無い。その見舞金はアキトの契約金として与える。適当に取り立てておけ。わらわは帰る!」

「姫様……あっ、女王様〜お待ちくださいー」


壁でも蹴飛ばしそうなほどの勢いで出て行くマシロ女王を、ちょっとのんきそうな感じの女中……というかメイドだな。

が長い栗毛を揺らしながら追いかけていく。

そういえば確かに俺は、この世界の通貨は持っていないんだったな。


「そういう訳だが、もらってもいいのか?」

「あっ……ああ、まぁそうだが……」

「?」

「もう少し負けてくれ……」

「そんなに苦しいのか?」

「最近色々あったからな……」


そう言って遠い目をするナツキを見れば確かにしんどいというのが感じられる。

結局、更に半値ほどまで値切られたが、俺はさして気にしなかった。

そもそも、城の補修代と比べて安い値段の20分の1でも普通に半年は暮らせる程度もらえるだろうと踏んでいたからだ。

だが、実際には普通のサラリーマン年収の約6倍だと聞かされた時、

やはり個人と比べて金の単位が違うのだなと実感した。



















あとがき


今回はアキトをガルデローベに入れるための布石の回でしたのであまり面白くなかったでしょう(汗)

前回も感想減っていたし、こんな回が続くと不安だ……。

次回からラブコメを入れていけると思うんだけど……その前に見放されそう(汗)

私の実力なんてそんなもんですが……。


まぁその辺は兎も角、今回ヴィントの貨幣が良く分からんので円と同じ価値にしておきました。

誰か知っている人がいたら教えてください(汗)

城の修繕費は本体部分だけで20億〜30億、かかると思われます。

それに名画や彫刻の再現を含めるとざっと10倍になる計算です。

あくまで20億から30億は小さな城の場合の築城金額ですので、大きな城の場合もっと増えるかも?

何にしろ現時点では美術品の再現も含めて計算されているので桁違いに高いのです。

もっとも、軍事に使われる金額を考えれば無茶な数字と言うわけでもないのでしょうが……。



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今後とも頑張っていきますのでよろしくお願いします♪



11月23日


20:35 エルスフラグゲットですかーーーー? 
はいな、エルスフラグゲットですー♪ とはいえ、次回からすぐ発揮されるかは疑問ですが(汗)

21:04 アキト君またブッ倒れる、そしてまた学園に担ぎ込まれる...どんまい 次回も楽しみにしています。
あははは、次回からラブコメパートの予定ですので、頑張っていきます〜♪
 
21:32 COS-MOSの目つきを鋭くってことは外見はT-elosですか 
21:33 どっちも萌えますがねw 
んー体は黒くないですよ、肌はむしろ白いです。服装と髪の毛が黒いだけなんで。

22:10 週一更新 お疲れ様です 今回もとても面白かったです エルスのフラグが立ったw 次は誰だろう?  
ははは、今回は遅くなってしまいました。感想パワー不足?(爆) まぁ単に忙しかっただけとも言いますが。 次は……誰にしよう?(汗)
 
23:29 アキトがんばってますが後手後手に回ってなかなか活躍できない・・・今回の最後の方はイリーナフラグ?(w 
ですねー、でも後手後手なのは仕方ないです。まだ舞台を整える側にはいませんから、もう一段階パワーUPすればなんとか……。
イリーナもフラグたってますね(爆) エルスにも立てるつもりですが(笑)

11月24日


2:53 エルスとフラグがたった今、アキトの「オトメハーレム」が確実にすすんでますね〜 
2:54 しかし、彼女は「百合の気」があるようなのでこれからどうなることやら・・・ 
2:57 まあ、なんにせよ「ウルトラバストインパクト」の発動条件には近づいたワケで・・・期待します。 
3:00 でも、アニメ設定だと「ホー家の家庭事情」で出番がなくなるのか? そこら辺一考願います。 
んーバストインパクトは面白いんですけど、出すと世界観ごとぶっ壊しそうな気が(汗)
でも、少しそれっぽい技を何かしたいなーとは思っています。
ただホー家の事情を使いながらとなると兼ね合いが難しそうですね。

9:05 私としてはすてプリの続きが見たい。 
むぅ、結構アレは大変なんですよ、原作がいいから原作をなぞるだけになりそうで怖い(汗)


11月25日


20:29 最初にアキトに転ぶのは誰でしょうね。接点が一番多いであろうヨウコ先生あたり?
はははは、ヨウコ先生もありうるかも知れませんね、でも既に傾き始めた人もいますよ(爆)
関係ないけど、ナツキってガードが緩そうだから転ぶときは早いかも(汗)


11月26日


13:49 今回の話からどのように進むかとても楽しみにしています、また続きを楽しみにしています。
一応続きだしました〜、ただ、前回かなり不評だったようなので今回も心配です(汗)


今後もがんばりますのでよろしくです!



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