それは、異端の証明。
注目される事、その事こそが他者との違い。
誰もが異端を無視できない。
それゆえに異端は排除される。
無視できないという事そのものが苦痛なのだ。
なぜなら、近づけばその者も異端となるのだから……。
光あふるる場所
In a far star of the future
第十五話 「取り巻く現状」
「やはり拘束し、研究すべきなのでは?」
「いや、むしろ解剖してナノマシンを本格的に調べるべきだ」
「それもありますが、マスコミへの対応も考えねば」
「確かに、アレを口外すれば12王戦争や竜王戦争に続く第三の世界大戦となるのは必
至証、拠隠滅を図るべきか?」
「静粛に!!」
マシロ女王以下、視察に出かけた人員は全て無事戻ってきたものの、
レルゲンシュタット侯爵の反乱、その処刑によりヴィントブルーム国内はかなりゆれていた。
更に、今日はアキトが使った高次物質化能力を擬似的に操る能力について緊急招集された審議会が開かれていた。
因みにマシロ女王はレルゲンシュタット侯爵領及び、侯爵の一族の処遇、及び事後処理のため代理を立てて出席していない。
ただでさえ最近はシュバルツの動きが頻繁になっている、ハルモニウムを探っているふしも見せていたのでその件かと思っていたが、
今回はこのクーデターの為に囮をかってでていたらしい。
ナツキは紛糾する問題に頭を痛めていた。
「シズルの報告によれば、もう一人おかしな力を使う男がいるらしい。
スレイブを少女の形に召喚して使ったそうだ。
そのスレイブはシズルよりも早く動いて翻弄し続けたとある。
ただでさえこの状態だ、これ以上不安要素は増やしたくない」
「それはどういう意味ですかな?」
「人体実験ばかりが国益ではないと言っている!!」
「何を言っているのかね? 我々が何故この場にいるのかを考えてみたまえ」
「くっ……」
ナツキと審議員の一人がいがみ合う。
実際、ここは仕方の無いところであったが、両論それなりに正しくはある。
つまり、早急にこれらの力を評議員のいる国に持たせて国力バランスを取ろうという評議員達の考えと。
オトメの現状を崩したくないナツキ達ガルデローベの考え。
どちらの考えでもアキトは殺されても文句は言えない。
非常に微妙な立場の上に存在していると言ってよかった。
そんな時、皆の意見を嘲笑するかのような発言をする人物がいた。
「やれやれ、出来もしない事を話し合うのはよくないな」
「何を……」
「僕達が望むのは世界の平和なんて高尚な物じゃないし、それぞれの国があの力を欲しているんでしょ?」
「いや、我々は……」
「だってテンカワ君やその変な奴ってさ、ローブを纏ったオトメより強いって事じゃない?
極端な話、高次物質化能力を持つスレイブの様なものをテンカワ君のナノマシンを使って操ればいい。
量産も可能かもしれないね?
そのナノマシンが公開されればオトメの必要性すら疑わしくなってくるってわけだ」
「ぐ!?」
ナギ大公は皆の中で暗黙の了解だったものをわざわざ口に上らせる。
議員達の考えている事はおおむね同じだ、自国になんとしてでも持ち帰り、そして高次物質化能力を持つ何かを操らせて武器とするというもの。
サレナを研究して量産しようという考えを持つ者も多い。
もし、これが現実になればオトメは無用の長物と化すだろう。
「だけどさ、それはつまり我々審議会の面々以外の国にもアドバンテージがあるという事でもあるんだよ?
考えても見たまえ、アレを手に入れればオトメがいらなくなるという事は、そこに大金を注いできた僕らのリードは逆にマイナスと化す。
国力が周辺各国よりは高いとはいえ、そうなれば泥沼、権益を考えている暇も無いだろうね」
「そっそれは、だが我々の方が先に作ってしまえばそうそう動けないのでは?」
「さあ、でも確実なのは技術っていうのは完全に秘匿する事は出来ない、ましてガルデローベは諜報員の巣窟だ」
審議員は難しい顔をして考え込む。
実際問題、学園のセキュリティレベルはかなり高い。
しかし、学生がいる以上、どうしても情報は漏れる。
卒業に際し、マイスターオトメとなればマスターに機密を漏らすこともあるし、
また、マイスターになる事よりも情報収集を目的として送り込まれてくる学生もいる。
実際、毎年各国から200人以上が送り込まれてくるのに対し、マイスターの空きは年間で10人にも満たない。
大体一年目で7割以上が脱落するのである、元から諜報を目的として入学してくるものも出るのは仕方ないだろう。
つまり、下手な研究は情報が世界中に散らばる可能性があるということ。
もちろん、諜報員は学生だけではないが。
そういった諜報活動を行う者にとって、
今までの研究はあまり実績効果を上げていなかったが故に問題にならなかったという点は大きい。
そして、オトメはロストテクノロジーの塊であるため、再現が不可能であるという点で今までは諜報にあまり大きな意味はなかった。
もちろん、各国のオトメの情報を知る意味では重要なのだが、この場合は利用できる技術ではなかったという事だ。
しかし、アキトのそれは違う、ナノマシンがあれば、オトメでなくてもオトメに匹敵する能力が得られるという事になる。
そうなれば各国はこぞってそれを手に入れようとするだろう。
結果がどうなるのか、誰の目にも明らかであった。
「では一体どうすればいいというのですか!?」
「さあ? 僕には何とも、でもその辺は学園長が何か考えてくれているんじゃない?」
ナギはそういいつつナツキのほうにニヤリと人の悪い笑みを浮かべる。
当然あるんでしょう? というポーズであると同時に、ガルデローベの内情を把握しているという意思表示でもある。
ナツキは苦虫を噛み潰したような顔となったが、それも一瞬の事。
毅然とした態度で会議を進める。
「ガルデローベは元々オトメを生み出すための学園という側面と同時にロストテクノロジーの研究機関という側面を持ちます。
テンカワ・アキトに投与されたナノマシンは我々の使うナノマシンとは少々違うものの、機能や形態はかなり似通っています。
よって100%の確率とまでは言いませんが、ナノマシンを消去する事で彼の能力を奪う事も可能であると我々は考えています」
「だが、彼のナノマシンはY染色体を持つ特定酵素では分解されないのだろう?」
「はい、確かに。そういう意味では同じとはいえません。ですが、何もそれだけがナノマシンの弱点ではありませんので」
「というと?」
「ナノマシンを分解する特性を持つナノマシンを投与すれば殆どのナノマシンは消滅するでしょう」
「なるほど、しかしそのような特性を持つナノマシンが……」
「存在しています」
「我々は聞いた事も無いのだが……」
「テンカワ・アキトの持つナノマシンの中に」
「!?」
審議会の面々は驚きに息を呑む、先ほどまでのざわつきは殆ど感じられない。
それほどに意外な答えだったのだ。
だが、それでは一つ矛盾が生じる。
「今まであったのなら、何故彼のナノマシンは分解していない?」
「それに対する答えは簡単です。絶対量が少なく、そして指令を与えられていなかったからです」
「そんな物をどうやって使うのかね?」
「まぁまぁ、学園長の事だし、もう培養はしているんじゃない?」
「それは……はい、既に培養はしています」
「だったら後は学園長の決断次第だよね?」
「…………」
ナツキは黙り込む、テンカワ・アキト。多分彼は悪くない。
しかし、今アキトに対して下そうとしている判決はかなり過酷である。
とはいえ、今のナツキにはこれ以上の手段を考える事はできそうに無い。
アキトを殺すことなく場を修める方法は……。
「キーッ!! あのジャリども、また面倒事を増やしてー!!」
「まあまあ、シホ、落ち着きなよ」
ここはガルデローベの生徒会室、
生徒会役員は基本的にトリアスと呼ばれるパールオトメ(2年生)の上位3名が選出される。
基本的にオトメ候補生はコーラル(1年生)とパールしかいない。
パールの上位数名から十名程度がその年のマイスターオトメとなるため3年生は存在しないのだ。
そんな訳で生徒会室にいるのはもっぱらトリアスの3人なのだが今はその一人チエ・ハラードが療養中であり、2名しかこの場にいない。
残る二名、パールbRのシホ・ユイットとパールbPのアカネ・ソワールがその場にいるのだが。
シホ・ユイットは不機嫌そうにその場を行ったりきたりしている。
「なに言っているのよ! あの子達、向こうでも騒ぎを起こして!
それも私達が尻拭いに奔走していたって言うのに、向こうだけ評価されるのはどういう事!?」
「仕方ないよ、私達は今回シュバルツの陽動に引っかかっていたって言う事だし。お咎めが無いだけまだいいほうだと思うよ」
イライラと言葉をつむぐシホに返すアカネ。
シホという少女は濃い桃色の髪をしている、色も特徴的だが髪型もまた特徴的だ。
一般的にツインテールと呼ばれる髪型と似ているが、尻尾の数が左右二本ずつ四本に分けられている。
それもその一つ一つがカールしていてドリル状に巻いている、額は少し大きく、前髪を切りそろえているせいで余計に大きく見える。
変わった髪形だが良く似合ってはいた。
対するアカネは、明るい栗色の髪を肩の上で切りそろえてセミロングにしている、一見特徴の無い少女だ。
ただ、おっとりとした感じが家庭的に見える。
どちらかというとオトメを目指しているのが不思議なタイプの少女である。
「それより、チエちゃんと、それにテンカワ・アキトさんへのお見舞いに行かないと。私達の後輩が助けられたわけだし」
「そもそも、あいつが行かなきゃ巻き込まれずにすんだんだからいいの!」
「シホちゃん……」
「何よ、そんな目で見られたって私は知らないんだから」
「シホちゃん…………」
「うっ……」
アカネの訴えかけるような視線にシホは目をそらす。
こうしてトリアスにいる以上、ただの純真というわけではないはずなのだが、
ただいま絶賛恋愛中のアカネの瞳にはある種の熱がある、シホはそういう部分が苦手であった。
「分かったわよ! 好きにすればいいでしょ! でも私は行かないから。一応チエの見舞いは行くけどさ」
「仕方ないね、じゃあシホの分も私が言っておくから」
「はいはい」
気のなさそうに言うシホに、それでもアカネは微笑む。
シホはアカネの幸せそうな顔にはちょっと勝てない。
元々、黒い部分の多い自分がまざまざと見せ付けられる気分になるから。
しかし、それでも彼女に対してそういう部分を向ける気にもなれなかった。
「ふぅ、やっぱアンタには勝てないわ」
「えっ、何が?」
「なんでもないわよ!」
俺は気配を読むという事が得意だ。
何故なら、五感が狂わされて以来、目や耳があてにならないからだ。
バイザーで補正した視界も信用は置けない、コンマ1秒ずれるからだ。
つい最近は一度戻っていた感覚が、今は無い。
だが、それでも俺は気配を読む事で何とか外界の事を探っていた。
もっとも、皮膚感覚で知れる事はたいした事は無い、感覚が鈍っているのは同じだし、総合して気配を読むのもやはり難しい。
鼻と口は繋がっているので嗅覚、味覚も殆どゼロだ。
それでも、現在ガルデローベに戻ってきている事は何とか知れた。
白衣の女が目の前にいる、声は遠いが恐らくヨウコ・ヘレネだろう。
白衣の女が俺の指に何かを通すと、俺の視界は少しづつ回復してきた。
「どう? コーラルジェムとはいえ、かなり高額なんだから、あまり壊さないでね」
「んっ、すまない。ようやく聞こえるようになってきた」
「それは良かったわ、でもね、今回の事、結構上ではもめているみたいよ」
「……」
「今回は強制停止コード付き。アレを使おうとしたらジェムが作動しなくなるから気をつけなさい」
「それだけか?」
「本当は、あなたを殺せとか、実験体に使えとかって言う話も出たんだけどね。
正直あなたの体そのものは珍しい物じゃないし、ナノマシンのサンプルは十分手に入れているわ。
だから、あなたにはナノマシンがなくなった事にしてもらいます」
「……?」
「いえ、色々培養している中にナノマシンを除去するナノマシンがあったって言う事にしてもらっているのよ。対外的にはね」
「何故そんな事を?」
「理由は幾つかあるけど、あなたが協力的だったからその対価という事にしておくわ。
この前教えてもらった、地球の座標とかも興味深いし」
「……分かった。そういうことにしておこう」
ヨウコ・ヘレネは俺に対してニコリと微笑むと、席を離れた。
恐らく、ガルデローベ内でも意見が分かれているのだろう。
だからとりあえずの処置として俺に対する制限の強化で落ち着いた、といった所だろうか?
あれだけ派手な事をしでかした俺にて対してだとするなら寛容な処置だといわざるを得ない。
そういえば何か足りないような……。
何か気配の様なものを感じ、ふと俺は背後を見る。
「マスター!」
俺のいるベッドに駆け込んでくる姿がある。
あれは……サレナか。
「マスター、ご無事ですか!?」
「……ああ」
サレナはいつも無表情だと思っていたが、俺を見ると表情を歪める。
何か泣きそうな、そんな顔をしている。
まるで人間が誰かを心配する時の表情そのものだ。
「マスター……私の目的は貴方を守り、貴方の敵を倒す事です。
マスターがいなくなれば私という存在の意味は失われてしまいます。
だから、マスター……貴方が倒れるならば私を破壊してください……」
「……それは」
「私はただのAIに過ぎません、アンドロイドのボディがサポートしてくれていますが、
本来エステバリスに搭載されている戦闘サポートAI。
マスターがいなければ、存在価値の無いただの鉄くずです。
ですから、私にあるべき仕事をさせてください。貴方を危険に晒さずにすむよう。
私に剣であり盾であれと……」
「ありがとう」
俺は、すんなりととの言葉が出てきた事に驚き、そしてまたサレナのその人であるかのような感情の動きに戸惑っていた。
しかし、悪い気分ではない。それは、失われたはずの暖かさ。
必至に覆ってきた心の鎧の先にあるそれを自分から覗かせているということなのか。
サレナはひとしきり俺に注意を促し、そして自らが俺を守る事を誓った。
俺は何も言い返せなかった、確かにこの世界に来てから倒れたのは2度目。
このままでいいはずも無いのだから……。
「すみません、取り乱してしまいました。
ですが、今回のような事は二度とないように全力を尽くします」
「ああ、そうだな。俺としても毎回倒れているんじゃ格好がつかない……」
俺はベッドから上半身を起こして見る。
体の各部を確認するが、特に異常は無いようだ。
かなりやられていた筈だが、それでも骨や筋肉には異常が無いらしい。
「そういえば、サレナ。お前もかなりやられていた筈だが?」
「私は基本的に自動修復ですから、2日ほどで大部分の機能は回復しました」
「そうか、流石だな」
サレナに関してはもうほぼ問題ないという事か。
ん?
二日……確かに今運び込まれている場所を考えれば数日経過していてもおかしくない。
「あれからどのくらいの時間がたったんだ?」
「はい、計測上78時間21分17秒です」
「……3日と少しか」
実際問題寝続けたというわけでも無いが、感覚が無い状態では時間の進み方もわからない。
昼と夜に関してもこういう地下施設では曖昧になってしまうしな。
しかし、そうなるとサレナとの融合物質化能力はある程度知れ渡っているという事になるな。
情報を隠そうにもあれは街に近すぎた、見ていた一般人がどれ位いたのか想像もつかない。
「なるほど、消されて無いだけ温情措置という事か」
「……そうなります。マスターのナノマシン制御上の問題からも、
ここから離れる事は望ましくないと考えましたので失礼を承知で運び込ませていただきました」
……ジリ貧だな。
そう考えていると、扉がノックされる。
ノックに返事を返すとガチャリという扉を開ける音とともに4人ほどの少女が入ってきた。
「失礼します」
「「「失礼します」」」
「ああ」
入ってきたのはパールの生徒らしき制服を着た見知らぬ少女とアリカ、エルス、イリーナの三人だ。
パールの少女はセミロングの栗毛を肩で切りそろえ、前髪も整えておかっぱとでも言えばいいのか、折り目正しい感じを受ける。
服装もアリカ達と色が違うだけだが、印象的に清潔そうに見えた。
印象はあまり強いとはいえないが、どことなく心に残るタイプのようだ。
パールの少女は折り目正しく挨拶をし、サレナにも頭を下げる。
「お初にお目にかかります。テンカワ・アキト様。
私はパールオトメのアカネソワールと申します。
この度は妹達をお助け頂き感謝します。
いえ、以前の事もあわせてお礼を申し上げます。
前回の折は校外に出ておりましたのでお礼できず申し訳ありません」
「いや、むしろ俺が巻き込んでしまっただけに過ぎない……礼を言われる事じゃないな」
「そんな事はありません、むしろ巻き込まれたのはテンカワ様だと思います」
そういいつつ、お見舞いなのか果物をサレナに渡し、また俺に向き直る。
アリカ達も上級生の前だからかおとなしいな。
「今後、学園側からの締め付けも厳しくなると思いますが、私達で出来うる限りフォローさせていただきます」
「……分かった、何かあったときは世話になる、だが一言いいか?」
「はい、なんでしょうか?」
「俺は高い地位にいる人間じゃない、警戒するのも分かるが、今後も顔をあわせるなら敬語はいらない」
「あっ……」
アカネは俺にそういわれると口元に手を当てて頬を染める。
別段どうでもいいのだが、妙に緊張されるのも好きではないしな。
「では、今後はテンカワさんとお呼びしますね。改めてよろしくお願いします」
「よろしく」
「お姉さま、挨拶終わりって言う事でいいですか?」
「うん、いいけど。イリーナちゃん何か用事があるの?」
「うふっふっふ〜♪ 実は新しい発明があるのです!」
じゃじゃーんとかいう擬音とともに、イリーナは手に持った何かを突き出す。
それは小さな羽根の形状をした銀細工だった。
「あれから私考えたんですけど緊急事態にはすぐに対応できないといけないと思うんですよ。
その羽根はこうやって、ジェムに取り付けるように出来ています。
ジェムが壊れたり、取り外されたり、反応が途絶えたら強力な信号を発信する仕組みです。
私の携帯電話とか、ここの管理センターで受信できるようになってるので、敵がいたとしてもこちらが先に察知する事が出来ます」
「すまない」
「いえいえ〜」
「私達も心配ですし、あまり無茶はなさらないでください」
指輪としてつけているジェムに羽根細工が取り付けられた。
ここでも心配される側になるとはな、先が長くないと思い心配されないために人との距離を置いていた俺が……。
この世界ではこの指輪さえつけていればナノマシンの競合を気にする事もなく、五感すら戻ってきた。
だが、俺には目的が無い、女王は面白いと思うが生きる目的となると……。
ただ、復讐すべき人間はいる。
あの北辰もまたこの世界に来ているのだから……。
「あの、大丈夫ですか?」
「ああいや、すまない。ちょっと考え事をな」
「じゃあじゃあ、アタシもお見舞い持ってきたんだけど、良かったらみんなで食べて!」
アリカが俺を励ますつもりなのか、雰囲気が暗くなるのを嫌ったのか急に明るい口調で割り込んできた。
アリカの料理か、エルスの料理は旨かったがここでは料理のスキル等も鍛えているのだろうか?
そういえば、オトメというのはおかしな職業だな……。
また考えに沈もうとした俺だったが、凄まじい刺激臭が現実に引き戻す。
「なっ!?」
「沢山召し上がれ!」
気がつくとアリカ以外のオトメの少女達は部屋の外まで退避している。
そして俺の前に突き出されたそれは、そう、一言で言えば未確認生命体とでも言うべき代物だった。
どどめ色とサーモンピンクとどぶ色のコラボレーション。
肉の様なものをベースにしているようだが、スープがうぞうぞと動いているような気がするのは気のせいか?
ある意味懐かしい、それでいて二度と見たくなかった悲しい思い出。
料理が出来る女性が幻想なのだと思ってしまうその出来栄え、そして既に逃げ出している周りの人々。
「……これ、食べるのか?」
「うん、アキトは3日ほど寝たきりだったし、体力がつくように色々混ぜてみたの!」
そうだ、こんな時こそ盾となってくれサレナ……って、一緒に退避されてる!?
むしろ眩しそうな目でアリカを見ているような気がするが……気のせいだよな(汗)
「いや……今は食欲が無いんだ」
「料理は粗末にしちゃだめだよ! それに少しでも食べて体力をつけなきゃ!」
アリカが自分の料理に疑問を持っていないらしい、そういえばナデシコの女性陣もそんな感じだったな……。
というかその辺まで昔の記憶を刺激してくれなくてもいいのだが(汗)
「もう、じゃあ食べさせてあげる。はい、あーん」
「……」
俺の前にスプーンが突き出された。
気が遠くなるような刺激臭と、明らかに食べ物では無い見た目。
そして、生命を持っているとしか思えない微妙な動き。
これは案外命の危機かも知れない……。
しかし、断ることが出来る時間を過ぎてしまった。
アリカの目が潤んでくるのが分かる……。
「ええい、くそ!」
一口、口に含んだとたん苦味と酸味とが舌を貫き、喉へと至る間に100回は脳を直撃する。
エグさという味覚を知っているだろうか、実際の所おえっとなる刺激の事だと思ってくれて大差ない。
そう、次に来るのがこのエグさの連続攻撃、俺は脳天を貫く不味さというのを久々に味わっていた。
別に味わいたくは無いが……。
だんだんと気が遠くなりかけたところで、次の状態に移行する。
つまり胃腸が刺激されて、いても立ってもいられなくなるのだ。
「ぐは!?」
「ねぇ、美味しい?」
俺は返事もせずに近くのトイレに駆け込んでいった。
すぐさま閉ざし出てきたのは半時間後、その時にはもう誰もいなくなっていた。
アリカにはかわいそうな事をしたなとは思ったが、正直あれを全部食べる事を考えたら一安心ではある。
その日は結局10回トイレに行く羽目になった……。
それでも、泡を吹いて気絶しないだけ強くなったのかも知れないが……。
アリカには料理を教えないと不味いだろうな……(汗)
あとがき
最近スパロボWをやりこんでいます、黒い鳩です。
まぁなんというか今回はナデシコの扱い良いようでちょっと気に入っています。
とはいえ、TVから劇場版のルリまでが半年というのはオイって思いましたが(爆)
ネタバレ申し訳ない。
今日の内容はアリカの料理。
それ以外はなんとなく流してくれれば良いです(爆)
次回以後しばらくヴィント市から動かないので、ちまいネタを振って見ただけです。
そうそう、自作の投票ですが、特に集計する訳でもなくどんな作品が皆さんは見たいのかなという風に見ていますが、
以外にコレの人気は無いですね。
ナデシコ×ネギま!は誰かやってくれって言ってた人いますね。
票数も多めですが、ネギとアキトがぶつかりそうだなー、ここみたいに。
とはいえ、マシロ君程とは思いませんが、ネギほったらかし小説って多いですし。
ナデシコ×うたわれるものは私も少し考えていた時期がありまして、
ある程度考えもあるんですが、首挿げ替えしか無理ですね。
でもそれをやるとなるとまた並行連載になってしんどそうなので今は控えています。
二つともやってみたいとは思っていますので、反響が大きければお試し版とか書いてみても良いですが。
700万HITの時にでもやるかな?
あくまでこの先次第ですけどね。
前回、今回と動きの無い話が続いています……。
次回からはもう少し盛り上げていかないと、このSSも廃れる可能性が出てきたかな……。
頑張らねば。
WEB拍手をもらえるよう頑張らねばなりませんね(汗)
今後もがんばって行きますのでお許しあれ.........orz
2月21日
23:22 ニナ行き成り父の為にアキトを回収に・・・・ 物語は急展開
23:23 になる、アキトはアルタイにつれてかれて実験されてしまうのか、それともナギに何かされるのか、
23:23 けどサレナがいるからまだわからない、 次回の更新を楽しみにしてます
23:24 シズルおばさん扱い・・・・ シズルのライバル決定か!?
あははははは(汗) 申し訳ない、あれは二ナの決意というかもしそう命じられたらそうするというだけの事です。
セルゲイはそういう事で二ナを潰すタイプではないので次回辺り動いてもらいます。
やーちゃんはシズルに恨まれた事でしょうね、何度か接敵させてみるのも面白そうです♪
23:31 第四話のファイル名は「003.html」ですが、第五話は「005.html」になってます。1〜4話を
23:32 直すか、5話以降を直した方がいいのでは?
えーと、何か不都合でもありましたでしょうか?
単に途中から面倒になって話数とファイル数を合わせただけですが……。
何か不都合がありましたらお教えください。
2月22日
0:35 今回はアキトは出番がありませんでしたね、逆にマシロ君はエライ事に・・・そして北辰・・・
0:36 表れた少女はもちろん夜天光だと思いますがまたモノスゴイ性格設定されたようで・・・(w
0:37 面白かったです、次回も楽しみにしてます♪
ははは、やーちゃんはなんとなく北辰にこういう性格の相棒を付けたら面白いと思ったので(爆)
少年はこれから頑張ってもらいます。とはいえ、暫く出番は少なめですが。
1:17 闇を生きた復讐者。悔やみ、嘆き、恐れ見てもそこにあるのは闇ばかり
1:18 されど男は世の界を越え、生きることを許される。光あふるる場所で・・・・・
1:19 うわぁ〜上の詩書いたの自分だけど・・・すんません!変な詩ですねw無視してくださいw
いやいやw私の冒頭文より圧倒的にいいですよ! 私のは正直毎回考えるのめんどくさいので適当になっているのは否めない所です(爆)
アキトがこの世界に訪れて生きる事を許されたという感じですね。
でもそうなると、次を期待してしまいますね〜♪
2:00 夜天光改め「やー」ちゃん可愛かったです。 ただ、言動の幼さが某所の「北辰の娘」を思い出しました・・・
2:02 イヤ、悪くは無いですよ?萌えましたから(爆) あと、前回提案の「鋼鉄の黒真珠」についてなんですが、
2:08 「マイスタージェムの量産は可能なのか?」と言う疑問から「パールジェムの改良品」を使用しようと思った
2:11 ので、「鋼鉄の黒真珠」と名づけたんです。原作でも「コーラル・パール・呪詛の黒曜石」以外は
2:15 出所不明っぽいですし、マーヤが「清恋の孔雀石」を脅しをふくんでいたにせよアカネの耳ちぎってでも
2:16 回収しようとしてましたし・・・ そんなわけで、小ネタ程度に気に留めていただけたら幸いです。
2:36 光あふるる場所は、十二分におもしろいです。続きを楽しみにしています。
おおー色々コメントありがとうございます。
某所の彼女は確かに似ているようですね、何人かに指摘されました。
別に似せるつもりは無かったのですが、というか10歳程度の少女なのであっちより普通かな?
髪の色が同じなのはちょっと辛いかもです(汗)
「パールジェムの改良品」なるほどー、確かにあるかもしれないですね。
でも量産とはいってもあのジェムはコーラルと比べて少ないでしょうしね。
ただ、量産品のマイスターっぽいものというのは別の方法で考えています。
アキトには暫く大人しくしていてもらって本格的に強くする段にはいいものを与えないととは考えています。
7:02 面白かったのですが、フウコ・レイノウッドを倒したのはアキトなのでしょうか?
そうなります、12話でグラビティスマッシャーを使って倒したのがフウコです。
7:28 アキトくんには、クールかつ残酷な感じで戦ってほしいです。
すいません、今回はちょっと普通すぎでしたね、も少し考えておきます。
9:39 マシロ君問題大変ですね。作者が自由に書けるのが
9:41 二次創作の良いとこなのに・・・。私はこの作品好きなん
9:43 で応援してます!
ありがとうございます、どうやら落ち着いたようで一安心しております。
次回も頑張りますのでよろしくお願いしますね♪
11:25 アキト信者とマシロ(男)信者の醜い言い争いになってしまってますね
11:25 作者様信者wの私としては、とりあえず、主人公が幸せになってくれればいいですね
11:26 それ以外は、いくら重要なキャラだといっても主人公ではないですし
11:26 まぁ、読んでるうちに感情移入してしまうこともありますが、
11:27 原作と違う駄目だ!ってのは、何か違うと思いますね。
11:27 2次創作が好きでSSを読む人と、原作が好きでSSを読む人の違いでしょうか
11:28 ただ、作品に関しては、作者様のものなので、どうするかは自由。私はみんなに読んでもらいたいほどの
11:29 良作だとは思いますが、原作と一緒にしろという、2次創作の根本を崩すような人には・・・。ですかね。
11:30 勿体無いですけど。 で、感想ですが、今回は北辰に可愛い女の子が生まれた・・・に尽きますねww
とりあえず落ち着いたようなのでありがたい所です。
私としても頑張って行きたいと思っておりますので、できれば今後とも読んでいただける作品でありたいと思います。
ただ、ちょっと動きの無い話が続いているので次回くらいはまた少しネタをかませる話にしたいですね。
12:45 まあ、肯定否定大いに結構。意見の押しつけさえしなければですが
12:46 意見の押しつけって突き詰めちゃうとヒトラーとか虐殺者のやっている理論と同じですよ
12:47 ただ与えている害の大きさが違うだけです。そこの辺自覚した上で好き勝手言うべきじゃないかな?
ありがとうございます。どうやら落ち着いたようなので一安心しております。
これからは紛糾していた問題がなくなった分話を盛り上げていかないといけないと思っております。
次回から頑張りますね〜。
19:04 saiko-
ありがとうございます。これからもそう言っていただけるように頑張りますね!
21:51 良いのです・・ゆっくりとなされて下さい日々楽しみにしておりますから
ありがとうございます。出来る限り2週間以内に一話は続けていけるように頑張ります。
2月23日
1:34 サレナが(アキトも)無事で安心しました。
ははは、今後も活躍してもらわなければいけないので、メインですしね。
中盤までにどうこうというのは無いと思います。
ただ、サレナの感情を育てるのは難しいです(汗)
4:11 今回のコメント群を読んで、もしこれ以降にアキトの能力にバージョンアップがあるならテッカマンの様に完全
4:20 に肌の露出が無い姿もありかな、等と思いつきました。 もしそうなったら、テッカマン風がありならば簡易型
4:23 テッカマンであるソルテッカマン風のものも登場したら面白げだなと思いつつ現状ではアキト固有の能力なので
4:24 ほぼ無理であるという結論が脳内会議にて決議されました。
本当に無理かと問われれば可能ですと応えましょう、というかそれっぽい事を考えてますしね。
量産は戦争には欠かせませんよ(爆)
今回もちょこっとそういう部分も話に出ていましたしね。
うまく話しに盛り込めるように祈っていてください(爆死)
14:10 ほっくん!蝶サイコーです!
ありりですー、頑張りますねー。次回以後は暫く出番少ないですがちょっとづつ出していく予定です。
21:23 どうも 楽しくよませてもらってます。 なんか批判とかが多いみたいですけど読者の意見は参考程度に
21:24 基本 作者様の好きなように書かれていいと思いますよ 二次創作ってそういうもんだと思ういますし
ありがとうございます。どうにかこの問題もひと段落したようで今後は紛糾するネタと一緒にこの話自体を忘れられないように頑張らねばと思います。
今後とも頑張りますのでよろしくです。
3月2日
22:56 北辰とやーちゃんのコンビを見た時のアキトの反応が
22:56 楽しみですwww
ははは、当然ネタをかます予定ですが、どんな風に対峙する事になるかはまだ未定ですw
次回からも頑張りますのでどうかよろしくお願いします。