「ふぅ、こんなものでいいですかね?」
「んっ、いいんじゃねぇの?」
「では、行きます」
アルが描いた魔法陣を見てナギがOKを出す。
それは、数年前ナギがある場所に封じた魔を呼び出す呪文であった。
とはいえ、自分では魔法陣の構築が面倒なため、アルに描かせていたという訳である。
「でも一体どう言うつもりなんです?」
「まぁ任せとけって」
「分かりました、では召喚をお願いします」
エウォケム・ウォース
「おう、召喚」
唱えたのは一言だけ、しかし魔法陣は輝きだし、辺りが全て光につつまれる。
それが徐々に収まっていくと、そこには……。
パジャマ姿の少女がいた……。
「ようエヴァ、元気に登校してっか?」
「……むにゃ……っ!?」
驚いて目を開いたエヴァという少女は金色の髪と深い蒼の瞳を持ったフランス人形さながらの顔でナギを見る。
その顔は見る見る内に赤らんでいき、最後に爆発した。
「寝ている最中に呼び出すなーーーー!!!」
魔
法使いにできる事
課外授業その2 『それでも生きて……』
一通り怒鳴り終えた後、エヴァと呼ばれた少女は一息ついてナギを見る。
少女の顔は怒りに染まってはいたが、それは恥ずかしさからくるものだ。
つまり目の前の男を気にしている証拠でもある。
「フンッ、まあいい。それより登校地獄などという呪い早く解け!」
「最近は忙しいんだ、まぁ後3年くらい頑張ってくれ」
「……っ!! 貴様! この私がどれくらい苦労していると思って!!」
「大丈夫だって、大体賞金首として狙われる事も無くなったろ?」
「うっ、それはそうだが……だいたいこんな弱々……弱々?」
「ああ、その結界内ではお前の力も普段通り使えるはずだ。なにせアルの仕込みだからな」
「お前じゃないのか!!?」
「はっはっはっは、言ったろ。魔法学校中退だってよ」
「……(汗)」
唖然とするエヴァにナギは悪びれるでもなく微笑んでいる。
のれんに腕押しの、まるで堪えていないその顔に毒気を抜かれるとエヴァはため息をついてから聞いた。
「でっ? <闇の福音>たる私、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルをわざわざ呼び出す用件とは何だ?」
「いやーお前の力が必要だったんでよ、ちょっと呼ばせてもらった」
「ふんっ、いーだろう。呪いを解いてくれるのなら一度だけ何でも聞いてやる」
エヴァはナギに向かってふんぞり返るように胸をそらすが10歳程度の外見であるため、お子様の背伸び以上には見えない。
それを微笑ましげに見つつナギは言う。
「んーああ、そうだな。やってくれたら次に日本に行った時に呪いを解いてやるよ」
「本当だな!?」
「大丈夫だって、嘘はつかねぇよ」
「日本に当分来ないとか言うのは無しだぞ!?」
「わかったわかった、予定を早めて1年以内になんとか行ってやるから」
「ふんっ、本当はこの場で解かせたい所だが……それで我慢してやろう」
「おお、頼む」
エヴァはナギの反応を見てうれしそうに頷く。
ナギをやり込める事が出来たことに満足しているのだろう。
とはいえ、曖昧な約束に終始している不安はどこかにあった。
「それで、私は何をすれば良い?」
「ああ、その件だが……」
ナギが足元に倒れている男を見せる。
鎧は既に剥ぎ取られて、黒いボディスーツのみとなっていたが、今日ロボットとともに拾ったテンカワ・アキトであった。
寝ている限りでは、童顔のその顔はまだ20歳で通る。
肉体はボディスーツのせいで分かりにくいが細身で筋肉質、ただし体からは不自然なひずみが何箇所か見受けられた。
「ほほう、死にかけているな、魔法で処置してあるようだがもって一日か?」
「その通り。そんでよ、ちょっと強大な魔法儀式でこいつを何とかしてやろうと思うんだが……」
「ふんっ、そんな事をすれば儀式に体力が耐え切れずに死ぬか悪くすれば術式の暴走であたり一面焼け野原だな」
「そこでお前の出番ってわけだ」
「……まさか!? こやつを吸血鬼にするつもりか!?」
「いやいや、そんな事はしねぇよ。お前の体液をちょっと拝借しようと思ってな」
「体液!?」
そういって一歩引くエヴァに背後から声がかかる。
一瞬あまりの気配の薄さに驚くエヴァ、そんなエヴァに薄く笑いながらアルが補足する。
「ヴァンパイアの生命力の秘密は血液そのものにあります。その事は魔法使いなら誰でも知っている事です」
「つまり、こいつにお前の体液をちょっとやる事で一時的に生命力を上げてその間に延命の処置を施しちまおうつうわけだ」
「なっ!? なっ! 何ー!!?」
飛び上がるように驚くエヴァその姿は見た目相応ではあったが、ヴァンパイアとしては威厳もへったくれも無かった。
それを見て、ナギはちょっと悪戯っぽく笑いながら聞いてくる。
「そんなに驚く事か?」
「何って、お前。ヴァンパイアの血を分け与えるという事はつまり、眷属を作り出すという事だぞ!?」
「ああ、大丈夫だ。多分そんな制約は軽く無効化するだろうし」
「っ!? 眷属の制約を甘く見るなー!!」
「……あ。お前まさか初めてなのか?」
「……」
ナギは頭をボリボリとかく、考えて見ればエヴァは数百年ほどしか生きていない。
もちろん、ヴァンパイアとしての能力は一級品だし、魔法まで使うのだ、戦闘に関しては一流である。
しかし、ヴァンパイアとしてはまだ若い。
眷属を作るという事はつまり、恋人を作るのに等しいめったにする行為ではないのだ。
ナギにそれを求めたのが初めてであったとしても不思議ではない。
「あー、別に血をすってその代わりに血を与えるなんてそんな硬い事は言わないからさ。なんならツバとか鼻水でもいいぞ?」
「だー!! 汚い方向に話を持っていくなー!!」
エヴァは自分の中の思いをバカにされたような気持ちになって暴れる。
そう、彼女はナギのことが好きなのだ。
しかし、それを正面からぶつけるのは少し難しいらしいが。
「あー、わかったわかった。そんなに興奮するなって」
「う〜!」
頭をなでながらエヴァを落ち着かせるナギ、子ども扱いであるのだが、顔を赤らめて大人しくしている所を見るとエヴァも嫌ではないらしい。
「とりあえずその男をこっちまで運んで来い、私は動けないんだからな」
結界はほんの2mほどの大きさに過ぎないそこから出たら、一瞬で呪いにつかまって学園に連れ戻される。
ナギの作った呪いは学校に通い続けるというちょっとアホっぽい呪いではあったが強力さは折り紙つきだ。
ナギはエヴァがOKしたのを見計らいガトーとタカミチにアキトの体を運ばせた。
その体は死体だと言っても誰も否定しないほどに冷たく呼吸も遅い。
だがどうにか生きてるのは事実のようだ。
エヴァはそれを見て一度顎に手を当てた後、首筋を見る。
そこに少しの躊躇の後噛み付いた。
「あっ、この人吸血鬼になったりしませんよね?」
タカミチは少し動揺しつつ聞く。
それに対し、近くにたたずんでいたガトーはタカミチの肩を叩いてから、
「吸血鬼になるよりもっと怖い事になるかもな。はっはっは」
「何ですかそれ!?」
エヴァが首筋に噛み付いてから一分くらいの時間が立った、周りの人間がじれ始めたころふぅという少し疲れた顔とともに顔をあげる。
「……もっ、もういいぞ」
「一体どうしたんです?」
「こやつの血、古の神々につらなる血の味だった。混じり物もあったがな」
「ほう、そりゃおもしれぇな」
「結局血を吸ったんですね」
「うっ、うるさい。くせのようなものだ、あまり気にするな」
真っ赤になって弁明するエヴァ、しかし、ナギは既に興味をなくしたかのように次の準備に取り掛かる。
「詠春準備できたか?」
「賢者の石の加工なんてやった事ありませんから、ガトーにも随分手伝ってもらいましたが、とりあえず形にはなったと思います」
「なっ!? 賢者の石だと……」
「おっ、まだいたのか。アルも結界といてないんだな」
「はい、最後まで見たいと言われたもので」
「まぁ別に良いが、面白くもないと思うぜ?」
「面白いとか面白くないとかじゃない、私の血を分けたのだぞ! 結果くらい確認させろ!」
「はいはい」
エヴァが勢い込んで言うがナギは適当に応じる。
エヴァは更に言いつのろうと思ったが、ナギが急に真面目な顔になったので動きを止める。
「後はこれをこいつの体内に突っ込んでやりゃいいだけだが、こいつの体に適応するかどうかはこいつの体力次第だ」
「ですから、この後は体力回復の魔法を使っていくしかないでしょうね」
「とはいえ、こいつの体に魔法が効きにくいのは確かだからな」
「体内の微生物らしきものが邪魔をしますからね」
「そういうわけで俺とアル、詠春の三人がかりで回復を行う」
「分かりました」
「構いませんよ」
三人とも決意は固いようだ、とはいえ、実の所どれくらいの間唱え続ける事になるのか分からない。
かなりの無茶になる事は間違いなかった。
「じゃ、はじめるぞ」
「ちょっと待て。この青年はお前にとってそんなに大事なのか?」
「いや、違うな」
「ならばなぜ?」
「何を言ってやがる、助けるのに理由なんていらねぇよ、なんとなくで十分だ。それにこいつ面白い奴だからな」
「なんと……」
ナギのあけすけな言葉にあてられるエヴァ。
とはいえ、エヴァもそこに惚れたのだ、明らかに闇に近い場所にいながら優しさを失わないナギの特質に。
エヴァが考えているうちにもナギはアキトに賢者の石を突きつけていた。
石はアキトの胸に吸い込まれていく。
赤い光を纏ったまま、その石は姿をアキトの中に隠してしまった。
そして、アキトのからだに徐々に赤みが差す。
しかし、その顔に浮かんだのは苦悶の表情だった。
「ガァァァア!!!!?」
意識すらないはずのアキトが暴れるようにもがき苦しみだした。
すぐにガトーとタカミチに押さえつけられるが、ものすごい力で抵抗している。
「なんて力だ、こりゃ筋肉の力だけじゃねぇぞ!?」
「そりゃそうだ。賢者の石の魔力は半端じゃねぇからな」
「落ち着いている場合じゃねぇだろ、このままじゃ俺たちも吹っ飛ばされちまう」
「すぐに収まるさ、さあアル、詠春、頼むぜ」
「はい」
「いいでしょう」
二人が結界をアキトの周りに出現させる。
もともと仕掛けては合ったのだ、アキトが暴れだすのは当然なのだから。
賢者の石はほぼ無尽蔵の魔力と制御法を与える。
知識を求めるものが使えばあらゆる謎を読み解く事が出来るようになり、力を求めるものが使えば核爆弾に匹敵する力となる。
アキトの体に埋め込まれたのはその強大な力を持つ石であった。
当然アキトの体にあったナノマシンなどは一瞬で消滅し、それでも飽き足らず体に無限ともいえる力を注ぎ込む。
だがアキトの体は体力すら残っていないそれどころか壊死の進んだ体である。
からだのそこらじゅうで肉体を破壊しながら力が放出される。
その苦痛は常人なら100回は発狂できる代物であった。
アキトは意識がないにも関わらず叫びを上げ続ける。
「ちっ、まずいな。思ったより賢者の石の力が強いのか?」
「いえ、彼の体が壊死していたのが問題なのでしょう正常な細胞の分裂を壊死した細胞が阻害しているようです」
「そりゃ……」
「仕方ありません、別の方法で行きましょう、賢者の石を今更取り出す事はできませんが、壊死した細胞を体から切り離す事は出来ます」
「それは一つ取り除くたびに外科手術レベルの正確さを要求されますよ?」
「やるしかねぇ、ここまで来て死にましたじゃ話にならねぇ!」
「分かりました」
ナギ達は歯軋りをしつつ、細かい作業に没頭した。
体力を維持する魔法に、壊死した細胞を切り離す魔法。
肉体の修復を行う魔法は賢者の石が勝手に行ってくれているのが唯一の救いだ。
ナギ達の魔力が限界に近づいたころ、ようやくアキトの中にある魔力が安定し始めているのを感じた。
その頃には既に夜が明けていたのだが、
疲れのために泥のように眠り込んだナギ達にはそれを感じる余裕は無かった……。
俺が目を覚ましたのはいつの事だったのだろうか。
実の所どれくらい寝ていたのかさえ分からない、眠りの中で誰かと戦ったような気もするが、はっきりとしない。
そんなまどろみの中、俺は徐々に意識を浮上させていった。
「……っ、ここは?」
俺が目覚めたのはテントの中、視界がバイザーに覆われていない事を不思議に思いながら目で周囲を見回す。
周りでは3人ほど眠りこけている男達がいた。
どれも痩せていてあまり体力のあるほうには見えなかったが、それでも不健康そうな感じも受けなかった。
しかし、そこでふと思う、俺の視界はなぜこんなにもはっきりしているのか。
それに、何か違和感が付きまとう。
俺は確認のため自分の手を見た。
「なっ!? なんなんだ!?」
その手のサイズはあきらかに子供、それも3歳児くらいの幼児のものだった。
恐る恐る体を毛布から出して確認すると、更に嫌な事実が発覚する。
それは、俺の全身がどうみても幼児のそれになっていると言う事だった。
「これは……一体どういうことだ?」
俺は仕方なく寝ている男達を起こさないように外に出る。
正直わけが分からなかった。
俺はもう助からないはずだった。
俺の肉体は既に限界を越えていたし、壊死は体全体を覆い始めていた。
血液はまともに循環せず、感覚も殆どが役に立たない。
生きる事に絶望するには十分だ、復讐を果たした俺には何も残されていないのだから。
「それが……どうして?」
今の肉体は全く障害などない、違和感があるとすれば手足の短さ、視界の低さ、まるで俺ではないみたいだ。
いや、本当に俺なのかどうかさえ怪しい。
そう思っていたが、ふと全身の感覚を研ぎ澄ます。
周囲の気配が知れた、以前よりもはっきりと鮮明に。
そして俺の周りにはテントの中以外で3人ほどいる事を知った。
一人は少し離れた所にいるようだ。
視界の中にはいない。
後の二人は目の前で焚き火を囲んでいる。
一人は眼鏡をかけた壮年の男、筋肉質だが引き締まっているせいかムキムキという感じは受けない。
もう一人は金髪碧眼の少女なのだが、妙な光の円の中に入っていた。
「おっ、目を覚ましたか坊主」
「ほほう、随分とまあ縮んだものだな」
二人は俺に好奇の視線を向けてそう言った。
俺は二人を睨み返すが、男の姿には見覚えがあった、夢の中でガトーと呼ばれていた男、とはいえ本当なのか確信はもてない。
「お前達は誰だ?」
「「!?」」
二人は一瞬驚いたように目を見開く。
その後、疑わしそうな目で俺を見つつ、
「ナギの奴、まさか知らない男を無理やり蘇らせたのか?」
「ああ、殆どな。しかし、昨日で面識はあるつもりだが、忘れたのか?」
「……」
俺は一瞬何の事かと相手を見る。
そして思い当たった、どうやら夢と思っていたものは夢では無いらしい。
つまり、魔法とやらがある世界、俺の知らない世界だと言う事だ。
「なら、お前の名はガトーか?」
「そうだ……なんだ覚えているじゃねぇか」
「あまりにおかしな出来事だったから、夢だと思っていた」
「クッ……ぷぷっ、確かにな。おかしな出来事だろうぜ」
「そうかそうか、そいつは一般人なのか」
今度は二人してニヤニヤと俺を見る。
そろっているのが、見ていて少しムカついた。
しかし、俺はそんな事を論議したいわけじゃない。
「と言う事は、俺のこの体も現実と言う事か」
「まぁそのとおりだな。お前の肉体は殆ど壊死を起こしてぼろぼろだった、
無理やり生かそうとしたアイツ等はお前の死んだ細胞を捨てて再度肉体を構築しなおしたようじゃ」
「……」
「そうだな、お前の肉体の構成要素は今4分の1くらいまで低下している」
少女は物知り顔で俺に事実を突きつけた。
俺には何の事かサッパリ分からなかったが、俺の死んだ細胞を取り払ったら残ったのがこれだけだったと理解する。
大筋では間違っていないだろう。
「だがそんな、死者を蘇らせるようなまねできるのか?」
「完全に死んでいてはできんだろうな」
「死にかけていた俺を無理やり復活させたわけか」
そう一俺が言うと背後から人が置きだしてくる気配がする。
出てきたのは昨日ナギと名乗っていた男とアルと呼ばれていた男、もう一人はまだ寝ているらしい。
「つれない事をいうんじゃねぇよ。生き返らせてやったんだから感謝の一つくらいしてくれてもいいはずだぜ?」
「否定はしないが、余計なお世話だ。俺は人生の目的を果たし終えていた。今更……」
「……なるほどな、お前はもういつ死んでも良いって訳だ。だが、俺が復活させた以上はそう簡単には死ねないぜ」
「……どういうことだ?」
アキトは怪訝に思ってナギに問い返す。
特に自殺したいなどと思っていないが、それでも何かがやりたいわけではない。
できればそっとしておいて欲しかった。
それがアキトの本音だった。
「悲劇の主人公気取ってる所悪いけどな、俺がお前に施した魔法はそんじゃそこらの魔法じゃねぇんだ」
「……」
「賢者の石ってのは、錬金術士の究極目標の一つでな、何にでも加工できる魔力の塊みたいなもんだ」
「それが?」
「つまり施したのは、無尽蔵に湧き出す魔力がお前を無理やりにでも生かす。そういう魔法なんだよ」
「な!?」
「文句があるなら受けて立つぜ。
俺はいつでもお前の再戦を望んでいるが、もっともその体じゃ無理だろう、もうちょっと成長してから来な」
ナギは指をボキボキ鳴らしながら俺に近づいてくる。
俺はというと腕の長さが30cmを越えていない。
木連式肉体操作術<纏>を発動しても話にすらなるまい。
なるほど、確かに今戦っても勝ち目はなさそうだ。
「成長だと?」
「ああ、肉体は本当に若返ったようなもんだ。もう一度幼稚園からやり直すのもいいんじゃねぇか?」
「幼稚園……(汗)」
俺は仕方なくここにいる6人と朝食を共にした。
流石に舌の感覚がかなり違う、復活した味覚に感動を覚えるが、同時に幼児の味覚は随分と違った感じであった。
甘いものは無条件で旨いように思えるし、苦いものは我慢がきかない。
「これは……」
「ははは、味覚までお子様化したみたいだな」
「それは興味深いですね。つまり脳神経がそう判断していると言う事ですよ」
食事は和やかに滞りなく進んだ。
焚き火を囲みながら食べるような食事ではなかった気もするが、かなり上等な食事だった事を付け加えておく。
そして食事のすんだ後、ナギはおもむろに俺に言った。
「まぁそういう訳だ。達者で暮らせよ」
「もし日本に来る事があったら関西呪術協会に来て下さい。きっと歓待できると思います」
「は?」
「俺たちはこれでも忙しい身なんでね。まぁお前ならどこでも生きていけるさ」
ナギはそうさわやかに言うと、俺を方って魔法だかなんだかで飛んでいった。
残されたのは俺と少女の二人。
「ははは、ナギの奴助けたと思ったらこれか、お前もついてないな」
俺を哀れむように見せかけてなにやら安心しているらしい少女。
なるほど、彼女はナギのことが好きなのか。
「お前はどうするんだ?」
「ふん、お前にお前呼ばわりされる覚えは無いぞ」
「……そういえば、名前は教えていないな」
「それもそうよな、聞いて驚け。我こそは<闇の福音>エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル!
不死身のヴァンパイアにして究極の悪の魔法使いだ!」
「そうか、俺はテンカワ・アキトだ。よろしくな」
「……」
エヴァンジェリンと名乗った少女は呆然として俺を見返す。
名乗りが派手だっただけに恥ずかしいのだろうか?
「まぁそれはいいとしてだ、お前はこれからどうするつもりだ?」
「俺はどうとでもなる、おかげさまで極めて死ににくい体のようだしな」
「ふん、そうか……それじゃあ私もそろそろ帰るぞ。二度と会う事もないだろうが適当に生きろ」
「そうするさ」
エヴァンジェリンは光の輪から一歩外に出たその瞬間、何かに引っ張られるように一瞬でここから消え去った。
「なるほど、あれが魔法という奴か」
ナギやエヴァンジェリンの使っていた(エヴァに関しては思い込み)魔法を見てそう思う。
だが、アキトは特別これからも魔法に関わりたいとは思わなかった。
3歳になってしまったとはいえ、やりたいことも見つけられない。
今ならまた料理人を目指せるかもしれないとは考えるのだが、それでも進む勇気はもてなかった。
アキトは何も考えず、ただ日のさす方向へと歩き出した。
それは、アキトが魔法に関わる第一歩だった、だが本人はまだその事を知らない。
あとがき
どうにか二回目を700万HIT前に公開できました。
早ければ三回、多くとも四回でこの課外授業は終わります。
本編に行くかどうかは反応次第くらいの軽いつもりで書いていますので続くつもりは今のところないです。
前回はちょっと強硬に言いましたがね(汗)
まぁ本当の所は感想が多ければ考えます。
個人的には両立は難しそうなんでどうなるか迷っていますが。
とにもかくにも、次回はようやく日本へ。
萌え要素を入れられる状況になんとかなりそうです。
とはいえ学校に行くのはいつのことやら(汗)
あとがきの2
ごめんなさい、エヴァの年齢間違えてました(汗)
どうしよう……。
とりあえずあいまいにして誤魔化して見たけど……。
WEB拍手ありがとうございます♪
私がSSを書き続けていられるのは皆様のお陰です!
出来うる限りお返事を書かせていただきますね。
4月10日
23:35 いい感じです
どうもです♪ 萌え要素は殆ど入っておりませんが、面白いと思っていただければ幸いです!
4月11日
0:00 がんばってください.
はい、がんばります。次回もよろしく!
0:40 おもしろい話でした、ぜひ頑張ってください。
面白いと言って頂けてうれしいです。次回から萌え要素も入る……かな?(汗)
0:52 続きがとても気になりますので頑張ってください。
0:54 もし、アキトにCPがあるなら相手に龍宮隊長をお願い致しますm(_ _)m
カップリングですかー、今のところそこまで行く予定はないですが、人気が出た場合は考えますね。
次回もよろしくお願いします♪
1:09 いいですね!かな〜り意外な始まりがなんとも・・・・ムフフ!! 続き期待してます!
ははは、意外と言って頂けてうれしいです、実際の所どこまで出来るかわかりませんが、アキトを学園に通わせる事が出来るように頑張って見ますね。
18:46 流れに無理が無いのがいいですね。それにおもしろいです。
そう言っていただけるとありがたいです! いや、アキトがネギの世界に順応するには色々条件が要りそうだと思ったもので(汗)
23:48 新作ネギナデ・・・アキトとナギの運命の出会い、アキトはナギに振り回される
23:48 運命ですな・・・ 逆転裁判4ほすい
ははは、その通りです。ナギはあの通りの性格ですしね(汗)
でも基本的には人が良いですからつい人助けをしてしまう、そういうキャラだと認識しています。
逆転裁判4は……もうすぐクリアできそうです(爆死)
4月12日
19:12 話としては面白いんだけど...また増えた...。
お許しアレ、リクが多ければまた増える可能性もあります(汗)
23:08 長編じゃないんですか?面白かったので残念です。
23:08 とりあえず次回を楽しみにしてます!
とりあえず今のところは課外授業だけのつもりです。
後はよほどの人気があればという事で。
次回も頑張りますのでよろしくです!
4月13日
2:19 すごく面白かったです!続きに期待w
はい、この調子で一気にいけるように頑張ります♪
4月15日
20:28 kouittakurosumonomoiidesunele
(こういったクロスものもいいですねぇ)
そう言っていただけるとうれしいです! 話は出来るだけ練って行きますのでもう少しお付き合いください♪
それでは、次回もがんばります!