イギリスへの船旅と不正入国、この体になってからはいつもの事だが。
せっかく戸籍を手に入れたのに意味が無いのは寂しい気はする。
とはいえ、不法滞在を続けながら目的地を探すのは結構事だったが。
地図が分かりにくかったせいもあるな(汗)
俺がイギリスに来たのは彼女達にとって俺がお邪魔虫であったためという事もあるが、
基本的には俺が資料を漁る事まで先読みしてわざわざ手紙を仕掛けていた人物にあうのが目的だ。
手紙には俺の名前が書かれていた、ご丁寧に乗船券と地図付きで。
こんないたずらをしそうなのは、俺に思いつく限りではナギとその一行しかいないと踏んでいるのだが……。
日本ではあまり知られていないが、イギリスというのは連合国家なので、地方毎に国としての体裁をもっている。
もともと、北の海からきたり、フランス方面から来たりした移民と先住民族などを合わせ主に4つの国家、
イングランド、スコットランド、北アイルランド、そしてウェールズの4つがそれぞれ分権を主張している。
俺の来ているウェールズはスコットランドほどには強行でないもの一つの国家であると言える。
「しかし、からかわれただけのような気もするな……」
俺の目的地は山の頂上であった。
それほど高い山ではないものの、人気の全く無いその場所で待ちぼうけをくらうのはかなり嫌な物だ。
時間の指定があるわけでもないので、今日一日だけ待ってみようと思っていたのだが……。
「なんだ?」
さっきまで空だけしか見えなかった場所に、もう一つ山が出現したように見えた。
俺は目をこすってよく見る、やはり山が増えていた。
良く見れば山だけではない、その周囲には開けた土地もかなりある。
一気に周囲が広がったように見えた。
「これは……」
「ようこそ、魔法学校へ、というべきじゃろうな」
「なっ!?」
先ほどまで何もなかった場所に半透明の老人が浮かんでいた。
幽霊かと思ったが、よくよく見てみれば光が出現した山から伸びている。
幻の類か?
「驚かせてしまったようですまんな。わしが魔法学校の校長じゃ」
「……」
「ん? もしかして聞いていないのかの?」
「何をだ?」
「サウザンドマスターがお主を魔法使いにしてくれと言っておったのだよ」
「なんだって?」
ならばあの手紙や乗船券、その他もろもろも、全て奴の仕込みか!?
踊らされた!
「くそ、奴はどこだ!」
「……それは」
先ほどまでのからかう口調が急に歯切れ悪い物となり黙り込む校長。
俺は何か嫌な予感を覚えた。
「サウザンドマスターは死んでしもうた」
「なっ!? そんなばかな……」
「わしも、信じられんのだが……」
「奴は殺しても死なないような奴だったのに」
「じゃが、奴のパーティも散り散りになって、今や連絡がつくのは詠春とタカミチくらいじゃ」
「本当なのか……」
「サウザンドマスター、ナギ・スプリングフィールドの死はほぼ確定的であるとワシは考えておる」
あまりの唐突なその言葉に、
俺は一瞬目の前が真っ暗になるのを感じた。
魔
法使いにできる事
課外授業その5 『雪の降り積もる地にて』
それから4年の月日が経ち、まだ俺は魔法学校に通っていた。
いや、宿舎を借りているから住み込んでいたというほうが正しいかもしれない。
校長にナギからの言伝を聞かされて以来、俺も魔法を覚える事にしてみはした。
とはいえ、4年がかりでも覚えた魔法は4つ程度、初級の辞書を手放せない俺は半人前だが。
ナギが俺に魔法を覚えさせたかったわけは直に分かった。
俺の体は常時大量の魔力を放出しているため、きちんとしたガス抜きの方法を知っていないと危ないからだ。
事実あの時既に限界に近かったらしく、学校内に入って一ヶ月もしないうちに俺の魔力が爆発した。
宿舎を吹き飛ばし怪我人を出す惨事になったが、流石魔法学校というべきか、治癒魔法の使い手達がすぐに癒していた。
つまり、きちんと魔力を排出していないと俺は周囲を危険に晒す存在になってしまうと言うことのようだった。
「とはいえ、当のナギがもう死んだんじゃ話にならないがな」
俺は独り言をつぶやく。
ナギ死亡に関してはどういう理由で死んだのか、またパーティがその後どうなったのかすら分からない。
帰ってきた二人に関しても口を閉ざし本当のことを言おうとしないようだ。
ナギが本当に死んだのかそれすらきちんとは分からないままに、ナギは死亡は魔法界全体の常識となっていた。
「いつの間にか俺も染まってるな」
魔法界などという言葉が頭に浮かぶ今の俺は随分変わったのだろう。
この小さい体にも随分なれた。
8歳ではまだ大した事は出来ないが、それでも4歳のころよりは随分マシだろう。
実年齢は30だが(滝汗)
「どうしたのかな? アキトよ」
「んっああ、校長か、そうだな、少し考え事をな」
「ほう、また体の事を嘆いていたのかの?」
「いや、ナギに子供がいるという話を聞いてな」
「ほっほ、耳聡いの。確かにおるよ」
「名前はネギだったか」
「良く調べたのう」
「ネギは4歳だったな」
「お主がここに来たときの姿もそうじゃったの」
「……まあな」
「それで、会うて見たいのかの?」
「ああ、だがその前にネギという少年、ナギが死んだ時期とほぼ同時に生まれているな」
そこで初めて校長の動きが止まる、何かを知っているのかそれとも知らないのか。
判断はつきにくいが全く知らないとは考えにくいな。
「生まれるのには十月と十日かかるのじゃ、仕込まれたのは旅に出る前じゃよ」
校長はシモネタで話をそらしにかかってきた。
仕方なく俺は話に付き合いしばらくして教室に戻る。
そうして準備を整えた後、魔法実習のため野外へと出た。
正直魔法について4年学んで俺に分かった事はそう多くない。
ただ、俺の場合魔法を出すだけならさして集中はいらないという事がわかったのみだ。
なにせ体に埋め込まれた賢者の石のお陰で魔力が売るほどあるのだ。
三段階ある魔法の使用の第二段階までは全く問題がなかった。
つまり、魔力の放出。
そして、魔力の収束、増幅。
放出は常に行われており、むしろ止める方が難しい。
収束、増幅の方も特別しなくても事足りる。
ただし、第三段階は俺にとってかなりの難問だった。
つまり、魔力の制御である。
こればっかりは、有り余る魔力が逆に災いし、魔法の暴発は日常茶飯事と化している。
そういうわけで俺は今魔法の制御を勉強しているわけではある。
そもそも、俺がここでやるべきことは魔力の制御なのだから、これが一番重要だろう。
「闇の矢!」
詠唱もそこそこに放たれる闇の矢。
しかし、一本だけのその矢は矢というには大きすぎた。
これは槍というか、電柱のような大きさになる。
放たれた矢は地面を抉って消えた。
「威力は大きいが……」
そうこれも、魔法の制御が出来ていないせいだった。
ついたあだ名はノーコン魔法使い。
魔法がどれくらいの威力なのか、そしてどこに飛んでいくか分からない。
魔法使いの失敗作というわけだ。
「ちょっと! あぶないじゃないの!」
「んっ、ああ……すまない」
どうやら俺の放った<闇の矢>は隣で実習をしている初年度生の所に飛んでいったらしい。
入学したてだろうから、5〜6歳と言う所か。
この学校の入学条件も卒業年度もきちんとした枠組みは無い。
しかし、最低年齢の場合、5歳で入学して10歳で卒業できるようなシステムになっている。
その後は学院に上がって研究を続けるもよし、卒業して一般社会に出るもよし。
ただし、卒業試験は奇抜なものが多く、卒業の段で手間取る者も多いと聞く。
そのため、年齢を基準に判断するのは魔法学校では危険だが、この少女はおそらく今年が初めてだろう。
「ぼっとしないでよね、ネギじゃないんだから」
「ネギ?」
「ドジでぼーっとしててほっとけない奴よ」
少女は栗色の髪を耳元のリボンで後ろへ流している、二つとも大きいのが特徴だな。
もっとも、全体をまとめているわけではないようでストレートヘアとしかいい用が無いが。
目は髪の色とほぼ同じ栗色、混血だろうか?
ちょっとツリ目気味な所が勝気さを表しているようで分かりやすい。
「俺はそんなにボーっとしているか?」
「ボーっとしていなくてこんなコントロールじゃ魔法はやめたほうが良いわね」
きつい事をいうな(汗)
まぁ否定は出来ないが……とはいえ、魔法を使える程度の制御能力が無いとこの先マズイしな。
また寮を爆砕したくはない……。
それは兎も角、
「君はネギを知っているのか?」
「アーニャ」
「?」
「アーニャ、私のなまえ。あいさつもできないの?」
「……なるほど、アーニャか。俺はテンカワ・アキトだ」
「もしかしてノーコン魔法使い?」
「……」
やはり有名人らしい……嬉しくは無いが。
少し打ちひしがれた表情をしていたのだろう、アーニャがばつが悪そうに俺に言った。
「うっごめん」
「いや、いい。それよりネギ・スプリングフィールドの知り合いなのか?」
「あーもしかして、アンタもサウザンドマスターのファンなの?」
「まぁそんなようなもんだ」
「ふーん、でもネギはそんなごたいそうな奴じゃないわよ。未だにピンチになったら助けに来るって思っているんだもん」
「助けに?」
「サウザンドマスターがよ」
「なるほど」
確かに、ナギの活躍はこの魔法界に鳴り響いていて、ヒーローのようなイメージが先行しているらしい。
俺は奴と直接面識があるが、ネギとかいう息子は一度も合った事が無いだろう。
そうなれば父親にそういう像を重ねても不思議ではない。
「でも私、あの子のそんな所は嫌い、死んだ人は帰ってこないんだから……。自分でなんとかするしかないのに」
「……」
アーニャだったか、この少女の考えは意外に深い。
恐らく自分も家族を失っているのだろう、そうでもなければ死んだ人は返ってこないなんて子供のいうことじゃない。
「兎に角、今は授業中なんだから! 無駄話してると減点されるわよ!」
そう言いながら戻っていくアーニャ。
視点が低いせいか、子供にもそれぞれ主張があるのだということが分かる、実の所、前の世界ではここまで子供の視点で考えた事はなかったな。
こうして、アーニャと話をする仲になってから暫くたっての事。
2月も末で試験等も終わり時間も空いたのでアーニャが里帰りをする事になったのだが、その際俺を連れて行ってくれるとの事だった。
幸い金はある程度貯めていたので、不自由することなくその村へと向かう事になったのだが。
アーニャは途中、急用が出来たとかで一度学園に戻る事になったらしい、
一人で行く事になるのかと思っていたのだが、そこで合流する人物と俺は初めて知り合いになった。
「あら? アーニャちゃんの友達?」
「うん、いちおうだけどね」
「そんな事言うものじゃないわよアーニャちゃん」
「こいつもサウザンドマスターのファンなのよ」
「あら、そうなの」
「まあ、そんなようなもんだ……」
「そうなの、何も無い村だけどゆっくりしていってね」
金髪碧眼、ロングストレートの髪に、透き通るような白い肌。
だがその目は今、細められて笑っているように見える。
口元も少しだけ笑みの形に整っていた、年齢は12、13歳だろうか?
それだけを見るとその少女は幸せそうに見えた。
「それじゃ、私行くから! また後でね」
「アーニャちゃん気をつけていくのよ」
アーニャと別れ、俺とその少女はバスに乗る。
バスとは言ってもマイクロバスの類だ、田舎である事はそれだけでも良く分かった。
この少女もナギのいた村の出身のようだ。
俺が少女を見ていると、少女は俺に微笑み返し挨拶をしてきた。
「私はネカネ、ネカネ・スプリングフィールドです。よろしくね」
「俺はテンカワ・アキト。ネカネ……さんでいいかな?」
「ネカネでいいわ、その代わり私もアキト君って呼ぶわね」
「はぁ……では、ちょっと聞きたいんだがそのセカンドネームは村では普通なのか?」
「いえ、確かにあの村はサウザンドマスターの知り合いやファンの人達が多く集まっているけど、私はサウザンドマスターの血縁なの」
「そうか、では従姉妹といったところかな?」
「当たり〜、って名前を聞いてそこまで考える子なんて初めてよ」
「サウザンドマスターの子供はネギ・スプリングフィールド一人だけだろう?」
「あの子の事を知っているの?」
「校長から少し」
「そっか、もしかしてノーコンの」
「……(汗)」
そうとう有名らしいなその二つ名は……(汗)
まぁ寮を破壊したんだから有名にならないわけも無いが……。
「ごめんなさい……私、失礼な事を言っちゃって」
「いや、俺が悪いんだから仕方ないさ」
「でも、それはアキト君が悪いわけじゃなくて魔力が大きすぎるだけなんだから」
「それよりも、校長の話を出して俺のことを気付くと言うのはどういう事だ?」
「あら、有名よ。アキト君は校長のお気に入りでいつも話しかけているって」
「……そうなのか」
ノーコンと校長のお気に入りはセットらしい、俺がいじめに会っていないのもそのせいかもしれないな。
孤立しているのは間違いないし、寮の件を考えればうらまれていてもおかしくない。
それでも俺にちょっかいをかけてくる奴がいないのは校長の目が光っていると思うからか。
そんな風に思いつつバスに揺られていると、ふと目に留まるものがあった。
「そっかー、アキト君はいろんな所を旅してるんだね」
「ああ、別に旅がしたかった訳じゃないが、奴に……な」
「サウザンドマスターの助け方って男には厳しいらしいわよ?」
「そうなのか……」
いや、ありそうな話だ。
「しかし、まだ雪が降っているとは、随分寒い所なんだな」
「標高が高いし、今頃はいつもそうよ」
バスは目的地について、俺たちはゆったりとそのバス停に降りる。
白く雪で染まったその村は情緒のあふれる物だったが、ひとけの少ないその村はどこか寂しげでもあった。
「そうそう、ネギは私の家の離れに住んでるの。一緒に住みましょうって言ったんだけど、お父さんが帰ってくる場所が欲しいって」
「そうなのか」
「うん、だから合ったらサウザンドマスターの話をしてあげて、きっと喜ぶと思うから」
「幻滅しなければ良いがな」
「あは……あはははは、そのあたりは少し脚色してあげると嬉しいかな?」
「了解」
「うん、良いお返事です♪」
そう言うと俺の頭をなでるネカネ、本来立場が逆だと思うのだが言った所で聞かないだろう(汗)
そうしてナギの息子が住んでいるという家へと向かう間、ネカネと話をしながら歩いた。
しかし……俺がその家にたどり着く事はなかった。
どんよりとした雪雲の合間から黒い影が無数に湧き出してくる……。
それはまさに悪夢の光景と言えた。
空を飛んで現れたのは異形としかいい用の無いもの、人の出来の悪い模造品。
羽根の生えたその怪物どもの名を……悪魔と言った。
「アキト君! 逃げて!」
「ネカネ、君はどうするんだ?」
「私は村の事を、ネギを守ってあげなくちゃ」
「なら、俺も手伝おう」
そう言うと同時に飛び込んできた悪魔に拳をぶつける。
そこからは大量の魔力が流れ込み、オーバーロードで悪魔は燃え始める。
「ギシャァーー!!?」
「消えろ」
そこに、更に追撃の拳を叩き込むと、その悪魔は肉体を失った。
勉強した所によると悪魔の体はこの世界での依り代に過ぎず、例え肉体を失っても死ぬわけでは無いらしいが……。
その代わり、直接の打撃より魔力を乗せた一撃の方がダメージになるらしい。
下級悪魔でなければこうも上手くいかないだろうが、キャパシティ以上の魔力というのは意外に堪えるものだ。
何せ俺自身、賢者の石を移植されたさいは100回死んでもおかしくなかったらしいからな(汗)
ネカネは一瞬呆然としていたが、視線をまた家のある方へ向ける。
「少なくともこの程度なら出来るぞ?」
「……わかったわ。お願い手伝って」
「ああ」
ネカネに先導され村の中央を目指す。
そこにはわらわらと悪魔の集団が押し寄せていた。
村一つ落とすには多すぎるくらいだが、この村にはナギを慕って集まった一流の魔法使いやその従者達もいるらしい。
少なくとも簡単に落ちる村ではない事を相手も知っているのだろう。
「くそっ、きりが無い!」
「召喚している術者を見つけないと村がなくなっちゃう!」
「……」
なるほど、確かにこれだけ大量の悪魔を召喚しているのだから、指揮をとるためにも村からそう遠く離れていない所に術者はいるはず。
しかし、雪に埋もれるようなこの村の周囲は隠れる場所には事欠かない。
どうすれば良い……。
「ネカネ、村を見渡せる場所はどのくらいある?」
「術者を探すの? でも、遠見の魔法も併用場合されていたら特定は無理よ」
「だが。これだけの術を使うのには儀式を重ねなければ無理だろう?」
「召喚の魔法陣ね? 確かにあると思うけど……」
「そう、それだけでの特定は難しい。
だが、魔法陣の中で遠見の魔法を使う事は出来ないはず。
併用すれば魔法陣が乱れる。
あれだけの術だ、魔法陣から出れば術を維持できないだろう?」
「そうね、となると周囲の山のどれかという事になるんじゃないかしら……でも、もうここから出るのも難しいわよ?」
「……そうだな」
ネカネと俺は既にお互いが十匹以上悪魔を倒していた。
息切れしていないネカネはかなりの術士なのだろう。
俺のように拳を叩き込んでいるだけと言うわけには行かないだろうからな。
「しかし、一体どれだけ召喚しているんだ」
「多分666体だと思うわ……」
「獣の数字か」
「うん、大量に呼び寄せる場合は言霊が必要だから」
案外冷静に対処している風に見えるネカネだが、いかんせん魔力は無尽蔵と言うわけではない。
息が上がってきているのは仕方の無いことだった。
そして、周囲の悪魔をとりあえず屠ったと思った瞬間。
背後から閃光が走る。
「うそ!?」
「くっ!」
火炎弾のような攻撃を滑り込むように回避する俺とネカネ。
しかし、空中に浮かぶ悪魔は既に次の攻撃を角と角の間に蓄えていた。
次は直撃をくらうと考え、ネカネの前に出ようとしたその時、悪魔は光の中へと消えた。
「スタンさん!?」
「おおう、ネカネ無事じゃったか、ん……そっちのコゾーは?」
「魔法学校の学生さんです。アウザンドマスターの足跡を見たいって言うから一緒に来たんですけど」
「そりゃまた間がわるかったの」
それはいかにも魔法使いという帽子や杖、ローブをした白髪で鼻の高いサンタクロース髭のじいさんだった。
魔法使いと言われれば普通はこの姿を思い浮かべるというそのままの姿をしている。
「間が悪いのはいつもの事だ、気にしていない」
「くっくっく、運の悪い奴じゃ、しかし、ここからはさっさと逃げた方がええぞ?」
「状況はそんなにわるいんですか?」
「ああ、ネカネ……お前の父親が自警団を率いて魔法で応戦したんじゃが、上級悪魔がおったんじゃ」
「!?」
「今は村人の殆どが石にされておる」
「それじゃ……」
「ネギは確認されておらんが……」
その時、爆風と共に無数にいた悪魔の何割かがいっきに吹き飛んだ。
これだけの魔法、俺はいまだかつて見た事が無い。
これは……。
「何があったんじゃ?」
「さあ、兎に角いってみましょう」
二人は爆風の起こったほうへと駆け出していった。
俺も少し遅れて駆け出したが、周囲にまた悪魔が群がってくる。
そいつらを倒しながら進んだせいでかなり遅れる羽目になってしまった。
俺がたどり着いた時は既に二人は交戦にはいっていた。
それは、悪魔といっていも今までの下級悪魔とは比べ物にならない強さを持っていた。
動きも素早く、攻撃力も高いようだ。
何より、口から発せられる光は浴びたものを石にしてしまう特性があるようだった。
ねじれた羊のような角、大きく太い腕、それに比して細い足と、こうもりの翼を持ったその悪魔は。
一人の子供を庇うようにたった二人を翻弄していた。
石化の魔法にあいながらも、スタン老人は小瓶を悪魔に投げつける。
すると、吸い込まれるように悪魔は小瓶の中に消えた。
既に石化の光を浴びているのだろう、体が石に変わっていく二人に俺はわけも分からず飛び込もうとしたが……。
突然強烈な眠気に襲われ、俺はその場に崩れ落ちた。
しかし、意識を失う直前、何か懐かしい声を聞いたように思えた。
あとがき
前回は4歳児に色々やらせてしまったのですが、それは時期的にナギの事を詠春から聞く事を避けたかったからです。
なにせ、ぼかすにしても結局核心を突いてしまいますので、4歳のうちに日本を離れないといけないのは最初から決まっていた事でした。
イベントが妙に増えて困っているんですがね(汗)
今回も、本来したかったアキトの卒業試験が全くかけませんでした(滝汗)
この話、ネギが入学する時にアキトに事情をある程度理解させるためのイベントというだけの予定でしたので。
当初は5KB程度を予定していました。
残りで卒業試験を書こうと思っていたのですが次回へ持ち越しですね……。
なぜか、3倍以上に膨らんでるし(汗)
この調子じゃ、もう一話追加しないと終われない(泣)
因みにアキトとナギを合わせなかったのにはナギがどうなっているのか分からないからというオチがあります。
実際ネギがナギに会ったという事実はネギの記憶の中にしか無く、
可能性としてはネギ=ナギ説などという極端な説もありますので、下手にあわせると怖いと言う事もあります。
個人的にはネギ=カモ説が面白いので好きですが(爆)
ただ、ナギがネギに杖を渡した時、「この杖をやろう、俺の形見だ」と言ったのが気になりますね。
深い意味がありそうで。
ネカネに対しては漫画をよく読んでらっしゃる人にはわかると思いますが、彼女は姉ではなく従姉妹です。
8巻65時間目のネギの回想においてネギはおじさんの家の離れを借りてほぼ一人暮らしとありますが、
そのおじさんにネカネは”お父さま”と話しかけていました。
あくまでネカネは育ての姉であって実の姉ではない事はそれで分かっていただけると思います。
そうでなくてもネギが栗色の髪と栗色の瞳なのに対し、ネカネは金髪碧眼なわけですから姉弟というのはアレ?
っと思うところではありますが(爆)
舞乙も早くしろとのご意見がある現状。
早い事終わらせたいんですがね(汗)
本編を書くことになってもすぐにって訳にはいかないでしょうし、いい加減舞乙を見ている人がキレるのではと戦々恐々です(泣)
WEB拍手頂き感謝しております!
コメントはやはりパワーになります♪
今後も頑張りますので見捨てないでくださいねorz
4月27日
22:26 終わらさないでください!!シルフェニアに来る理由の一つなのに!!
22:29 頑張って下さい!ネタや設定な考えるのにいくら時間をかけてもいいですか終わらさないでください!!!!!
熱い声援ありがとうございます♪ ただ舞乙と平行連載になると今のようなペースは難しいと思います。
月一程度まで落ち込んでしまう可能性もありますし、設定を作るまでに期間が必要です。
暫く時間をくださいね(汗)
23:05 クーフェイ このか 刹那 楓 みんな好きなキャラですw イギリスか・・・・ネカネ登場かな?
当たりですー。ネカネもアーニャも登場させました(爆) というか別に出さなくても良かったのに話が膨らんでしまって(汗)
23:06 やっぱり31人みんなと出会うのかな?イギリスだから・・・・当時4歳でイギリス・・・・・
23:07 誰でしたっけw 今回も素晴らしい話をありがとうw次回の更新を楽しみにしてます 無理をしないでください
23:08 長編ほぼ決定なのですか・・・・。よっしゃーー!!!
31人は無理です!(爆) イギリスに行かせたのはアキトに魔法を習わせるためと、
もう一つ卒業試験にかこつけて、ちょっと伝説とご対面してもらいたいなと思ったからです。
ネギま!とは関係ないんですけどねw(爆死)
長編……感想が減れば無くなります(ニヤリ)
4月28日
0:01 ひとり立ち後の初仕事日吉ダム工事、懐かしく思いました。続き楽しみにしています。
おおー京都の業者のお方なのですか、偶然ですねー。
私は建設業界とはあまり深い縁というわけではないですが、不動産屋だったり(爆)
1:08 楓ときたら次は真名か明日菜か?
うーむー、今のところは龍宮嬢以外にキャラを出す予定は無いですね。
とはいえ、暴発の可能性は無きにしも非ずですが(爆)
2:09 真名とパクティオーに1標
本編の方に行ったら考えます(ニヤリ)
2:37 貴方の作品
2:38 中途半端に送ってしまったが・・・貴方の作品生きがいです
ぐお!? ここまで言ってくださる方は初めてだ! 私も頑張らねば。
とはいえ、まだまともに完結作品の無い私............orz
2:56 面白かったです。でも短編(って言うか中編)なんですね…切ないですw
ははは、ここは一つお許しを。長編に出来る気力が出来るかどうかはラストまでお付き合いいただければ分かるかと(爆)
5:24 フィーバーフィーバー
ええっと、フィーバーしておりますでしょうか? 感想ありがとうございます。
5:41 今回のイベントで刹那とこのかの関係は原作よりよくなるのかな?
5:45 楓は放置ですか!!再開した時が楽しみ。アキトの明日はどっちだ!?
刹那とこのかについては原作のイベントとそう変わらないものですので、多分そう変わらないかと(爆)
楓……怒ってそうだなぁ、どういう再開になるかなんとなく想像つく(汗)
アキト頑張らせないといけませんね(爆)
5:56 人間磁石(女性限定)はどこまでいくのか?
そりゃもう、流れ次第でさw話をその場即興的に作っておりますので、あまり先は見えて無いです(汗)
8:15 ウンウン、やっぱり面白い!課外授業はあと1、2回で
8:16 終わってしまうみたいですが、続きを楽しみに待って
8:17 ます。そして、是非とも本編を期待したいっす!
はっはっは、見事に一話分進めなかった(汗) これでまだ後2話くらい必要そうです(汗)
本編は気力次第と言う事にしておいて下せえ(泣)
9:51 超はいつでてくるか・・・○来○だしなぁ・・・
そうなんですよ、彼女結局の所3年前にマホラ学園に来る前の経歴はアレ(バレバレ)なんで出せそうに無いです。
14:07 がんばってください.
頑張らせていただきます♪
17:31 これはハーレムフラグ?アンタ漢だよ!!
そうかも? というか、ハーレム以外の道がネギ世界にあるのか!? といわれると自信ない。
一人のヒロインだけ追いかけるのは格好良いけど物語的につまらない気がして(汗)
ネギ世界のヒロインは数も魅力のうちな気がしますので(暴言)
18:22 えらい局地的やな。ご都合主義が悪いとは言わんや...ほどほどに、な
それを言われると辛いですね、でもお許しくだされ、
後書きで書いている様に詠春が帰ってくるまでをイベント基準にして進めた結果あんな事になってしまったのです(汗)
これ以上話数を増やしたくないですから(泣)
20:29 なんとなく思ったのですが4歳はちょっと低するのでは?と思ってしまいました
20:29 面白いから特に問題はないんですが多少無茶があったのではないでしょうか
否定はしません、事実4歳児に色々させるのはかなり無茶でした、しかし、上の人にも言った事ですが。
イベントスケジュールが押していまして、申し訳ないところです..........orz
4月29日
3:07 アキト、四歳児とは思えないくらい思いっきり旅しまくりですね(汗)
はっはっは、申し訳ないです。その通りだとは思うのですが時間軸をいじれないので、4歳にイベントが偏ってしまった結果です。
今後は気をつけますね。
18:24 これ程の作品が短編なのわ勿体無いです
そう言っていただけると頑張っている甲斐があります♪ でも、長編にするとなると色々問題もありまして。
とはいえ、人気が出ている以上考えるようにはしています。
ただ、シナリオも固まっていないというのが現状ですね。
4月30日
3:25 今回も面白かったです!って次回はイギリス!?てっきりマホラで明日菜フラグが立つもんだと思っていました
3:26 もうここまで来たら、このままアキト君には少年時代に立てられるだけフラグを立てて欲しいですねw
楽しんで頂けて何よりです♪ マホラのほうは学校にいずれ行って貰いますので、魔法を学んでもらおうと思いまして。
アキトのフラグは後2つ程度の予定です。
色々頑張ってはいるんですが、話は進んでいないのが辛い所ですね。
早い事ラストまで持っていかないと……(汗)
それでは、次回もがんばりますのでよろしくです♪