どうにか魔法学校の卒業試験をクリアした俺だが、魔法学校のしきたりではその後修行に出る事になっているらしい。

結局学校で覚えた事は、実践では大して役に立たないという事だ、それゆえに学校内では基本的な魔法以外は殆ど教えていない。

それは兎も角、そういうわけで俺は修行の通達を受けるべく校長を尋ねる事にした。

とはいえ、場合によっては修行を投げ出す事になるかもしれない、なにせ俺がしたい事は決まっているのだから。

そんな事を考えているとネカネ・アーニャ・ネギの仲良し三人組が廊下を歩いてくる。

俺は一瞬声をかけるか迷っていたが、迷っているうちにも彼女達は近づいてくる。


「まったく、ノーコン魔法使いに先を越されるなんて思いもしなかったわ」

「アーニャちゃん、そんな事言っちゃだめでしょう? アキト君はアーニャちゃんより3つも年上なのよ。

 先に卒業して当たり前じゃない」

「だけど……」


ネカネは頬を膨らませているアーニャの肩をやさしくぽんぽんと叩き、アーニャに微笑みかける。

アーニャは虚をつかれたようにネカネを見返すが、ネカネはそのままの表情で問いかけた。


「アーニャ寂しいの?」

「ふ、フンッ誰がよ! 私にはネギっていう手のかかる後輩がいるんだから、ノーコンの面倒まで見てられないわよ!」

「だからそんな事言っちゃ駄目でしょ?」

「あんなの一生ノーコンで十分よ!」

「えらい言われようだな」

「え!?」


俺はかな近くに来ていた三人に呼びかける、とはいえ三人ともかなり白熱していたのだろう俺のことに気付くのに数秒をようした。


「あ、アキト。卒業おめでとう」

「おめでとうアキト君」

「一応祝ってあげるわ、ノー……アキト」

「ああ、ありがとうな」


三者三様の祝いの言葉がかけられる、それを聞いて俺もこの世界で何かをする事が出来たのだなと思った。

しかし、あくまで小学校の卒業と同程度の意味合いではあるが(汗)

兎に角、校長に会うために三人といったん別れて校長室へと向かう。

そこでは卒業生が並んで修行先を聞きにきているようだ。

俺も並んで順番を待つことにする。

それほど急ぐ事でも無いしな。



そうして一時間ほど待たされてようやく俺の番が回ってきた。

校長に呼ばれて入室する俺。

一体どんな修行をしろというのか、少しだけ気になる。


「おお、お前の番か、ほれ受け取りなさい」

「ああ」


えらいそっけない言葉とともに封筒を渡される俺。

校長の言葉を待つこともなく、そのまま封筒を開けた。


「は?」


封筒を空けた俺は目が点になる。

今やバイザーもなく服装も学校指定の制服を着ている俺が表情を隠せるわけもなく、

してやったりという校長の顔を見る羽目になった。


「これはなんだ?」

「ほぅ、変わった札を引いた物じゃの」

「それはいい! こんなのどうしろと!?」

「他のことをしながら少しづつでええんじゃないかの?」

「ふざけているのか?」

「ふざけてなどおらんよ、お主には似合いの修行じゃろ?」

「貴様!?」

「活動は年に一回は報告するように、それ以外は自由にして結構じゃ」

「……」


あまりにもふざけた修行の内容に俺は頭がくらくらしていた。

幾らなんでもアバウトすぎる、他の生徒の修行がこんなのであるなどというのは信じられなかった。

しかし、確かに俺の目的と合致している上に、殆どなにをしていても問題の無い内容ではある。

それでも、これは無いだろうと思った。

正義の味方>などという修行聞いた事も無い!!?




魔 法使いにできる事








課外授業その7 『決別』



修行の開始から一年半、賞金稼ぎを主な職業として生計を立ててきた。

魔法界で賞金のかけられた魔族(悪魔、妖怪、怪物、妖精、魔道器など)、はぐれ魔法使い、発生した魔界との通路等を相手にする仕事だ。

小学校を卒業する程度の年齢の人間が従事する仕事ではないが、魔法界というのはおかしな所で、

10代前半の仕事もちや、見た目が子供実際は大人な人間はさして珍しくも無いらしい。

まぁそれほど頻繁にいるわけでもないが、魔法界全体としてはそういうのが数千人規模で存在するというのは驚きだった。

とはいえ、魔法界全体の総人口は六千万人以上に及ぶらしいから、実情は一万人に一人くらいだが。

しかし、地球の総人口対して百人に一人は魔法使いという比率を考えるとそれほど不思議ではないのだろうか?

これだけいて魔法の存在を秘密にし続ける事が出来たというのは凄まじいの一言に尽きる。


まぁそんな事を考えても仕方ない、とりあえず目の前の仕事を片付ける事にしよう。

今回の仕事は、護衛任務だ。

本来は俺の請け負う仕事ではないが、魔法使いによるNGO団体<四階音の組み鈴>からの依頼だ、そう断ることも出来ない。

現在魔法使いのは幾つか存在しており、NGOとは国際組織の事だから、当然それらの国家に縛られず活動するのが目的となっている。

国家間の軋轢は当然あるが、それぞれの国家に一目おかれる程度ではあるようだ。


そういったわけで、俺は合流地点であるデリーへと来ていた。

インド側からヒマラヤ山脈に行く事になっている、護衛対象はハカセという名前だったか苗字だったか、兎に角一応日系らしい。

既に<四階音の組み鈴>経由で護衛がついているらしいが……。

待ち合わせ場所が裏路地とは何か隠さねばならないことでもあるのか?


「ッ!?」


バキューン!! キュン!! ズドッ!!


突然の銃撃、俺は遮蔽物に身を隠しながらリボルバーを取り出す。

<S&W M19>魔法を普通の場でぽんぽん使うわけにも行かないので、通常戦闘にはこれを使っている。

かなり旧式だが357マグナム弾を装填できるため貫通力は期待できる。(ルパン三世の次元大介愛用の銃)


かなりの精度、それも連続して撃ってこれだ、凄腕としか思えない。

狙われる理由にも心当たりがありすぎてどれだか分からないという状況では作戦も立てにくい。

銃撃を散発的に繰り返す敵に苛立ちを覚える。


「遊んでいるな……」


俺は今までの射線から敵の位置を割り出し、通路に飛び出す。

通路に出た瞬間連続で銃撃が来るが、方向はわかっているので射線を読むことが出来た。

壁を蹴って飛び上がりながら接近する。

そして目視で相手を確認と同時に銃を撃つ。

反動が大きいため少し体制を崩すが、それでもお構いなしに俺は撃ち続けた。


しかし、相手は直に場所を移したのかその場にはもういない。

俺はシリンダーを交換しつつ前進する。

突然飛び出してきた相手は既に銃を俺に向けていた、発射される瞬間を狙って俺は自分の銃を相手の銃に叩きつけようとする。

相手は驚いたように銃を持つ手を引くが、左手の袖からデリンジャーがスライドして現れる。

俺はそれに対して更に踏み込む事で応じた。

相手は足を跳ね上げて俺の接近を阻もうとするが、それを掻い潜り足払いをしかける。

相手は飛び上がって避けながら左のデリンジャーで俺に二発撃った。

俺はギリギリの所でスゥエーしつつ、体を掠める程度でやり過ごす。

頬と右肩が熱い、そこを通り過ぎていったのだろう。

そして、俺と相手はほぼ同じタイミングで銃を突き出す。

それぞれが相手の額をポイントした所で動きを止めていた。


「<四階音の組み鈴>では銃を持って歓迎するのが流行ってるのか?」

「いや、同じ護衛として互いの実力を知っておきたかった」

「そうか、満足したか?」

「魔法を使わなかったから、全ての実力は分からなかったが合格だよ」

「お互い様だ、その目の力どういった力か知らないが、使えば結果は変わっていたんじゃないか?」

「魔眼の事よくわかったね」


今頃になって確認する、目の前にいるのはは黒髪を腰までストレートにたらし、

耳元の髪を紐のようなもので縛っている、浅黒い肌をした少女、背丈からして高校生くらいだろうか?

とはいえ、先ほどの攻防を考えるとただの学生などと言う事はありえないのだが。

落ち着いた物腰と全てを見透かすような瞳を見るともっと年齢がいっているのかもしれない。

ふと気付くと少女は俺を睨みつけていた。


「今、私の事を高校生じゃないかと思っていたな? 誤解の無いように言うが私は今年中学に進学したばかりだ」

「……そうかすまない」


同い年、いや俺の実年齢は33だが……外見年齢と同じか……その年齢で大人にすら見えるのは良いのか悪いのか(汗)


「コードネームを聞かされていないが、龍宮真名という事でいいんだな?」

「ああ、特に名前を隠す理由が無いからな、お前はどうする?」

「アキトでいい、お前は龍宮と呼べば良いか?」

「そうしてくれ」

「分かった、それで護衛対象は?」

「こっちだ」


裏路地を出て表通りに、ジープが4台並んでいる。

一番前と一番後ろのジープは護衛用であり、また食料の保管や車道が使いにくいときの牽引用でもある。

二台目と三台目はそれぞれにインド人と思われる運転手がつき、後ろのジープには色々な機材が、前のジープには二人の少女が乗っていた。

それぞれに護衛が一人乗り込む事になっているらしい。


「なるほど、では俺が機材の護衛か?」


普通護衛が途中から変わるのはよくない、護衛対象の事を良く知っていたほうが護衛がしやすいという事もあるし、

護衛対象の精神衛生上も頻繁に知らない人物と入れ替わるより好ましい。


「普通ならそうだと言いう所だが、機材の護衛はそれなりに機材を熟知していないとジープの揺れだけで駄目になりかねない。

 人の護衛を任せる。挨拶もあるだろう? 丁度良いんじゃないか?」

「それもそうだな」


少々ゴタゴタはあったものの、護衛対象の葉加瀬聡美(通称:ハカセ)という少女と合流。

挨拶をしようとしたその時。


「初めまして超・鈴音ネ!」


二つのお団子を頭に載せた(注:本物の団子ではありません)中華少女が突っ込んできた。

俺は思わず回避行動を取るが、なかなかにたくみな移動法を使い少女は方向を修正する。

更に回避、更に方向修正と何度も繰り返すうちいつの間にかジープからかなり離れた場所まで行ってしまった。


「ハァッ、ハァ……なんで避けるネ?」

「フゥッ……なんで突っ込んでくるんだ?」

「やだな親愛表現ヨ」

「初対面の男にか?」

「さあ、初対面じゃないかも知れないヨ?」

「どういう意味だ?」

「だから、親愛表現を……」

「意味が分からん」


超・鈴音と名乗った少女は俺に飛びつこうと間合いを計っている。

俺は、どういう事なのかわからずとりあえず間合いを外すのみだ。


「くっ、流石は王子様ネ……そう簡単には近寄らせてくれないか……」

「王子様?」

「知らない? 貴方の二つ名ヨ、事件を解決して名前も言わずに去っていく凛とした少年、そりゃ有名にもなるネ」

「そんな二つ名が……(汗)」

「昔を思い出したカ?」


唐突に少女は俺に言葉を投げかける、それは俺の何かを知っているという意味なのか。

それとも……。

アルカイックな微笑みと、何か独特の緊張感を表す超・鈴音という少女……只者ではない事は間違いないだろう。


「王子様、怖い目をしているネ。私何かいけないことを言ったカ?」

「いや、それよりも護衛対象から離れすぎた、それに君も護衛対象ではあるしな」

「なっ、それ差別ネ! 私も重要な護衛対象だヨ?」

「……ああ」

「何カ、その間は!?」

「何か問題のある事を言ったか?」


超・鈴音の性格には少しもてあましたものの、ハカセと言う少女は普通そうに見えた。

眼鏡と三つ編み、白衣を着ていなければただの小学生にしか見えないだろう。

素朴な感じを受ける少女だった、しかし……。


「あら、貴方が護衛の……興味深いわね、出血の跡があるけど、みるみるふさがっていくわ、どんな代謝をしているのかしら?」

「?」

「昆虫類並の代謝速度と言う事になるわね、全体比としては、大きさがそのまま代謝の低下に繋がることを考えると、概算でも100万倍は硬いか」

「着任の……」

「一概に昆虫の巨大化をすれば強い生物になるなんて考えている人もいるけど、実際はありえない事よね。

 巨大化すれば大きさに比して代謝速度が低下するから、昆虫が人間大になったらその時点で自重で潰れて死ぬだけ。

 ただでさえ外骨格生物の体重比は重いんだから、人間大になればその重さだけでも何百キロという重さになるし、

 筋力比は基本的に大きくなればなるほど低下する、ゾウがゆったり動くのはなにも性格のせいじゃなくて代謝と筋力比が低いせい。

 だから、昆虫が巨大化したら人間ほども筋力があるかどうか怪しい所ね。代謝も同じで大きくなればなるほど比率的に低下する。

 それにあの羽根なんて使い物にならない事は確実ね、もともとのスピードで振り回す事も無理だし、それが出来ても浮き上がらないわ。

 つまりは、人間大でこの代謝速度を維持するためには、エネルギー総量もさることながら代謝システムが完全に再構築されていないといけないわけ。

 興味深いわねー、ねっ、君。解剖させてくれない?」

「断る」


俺に対してわかりやすく説明するという風情だったが、それでも今一飲み込めない、脱線している部分が多いせいもなるな。

その辺はイネスさんに良く似ている、やはり普通の人間ではなかったか(汗)

魔法に関わっている時点で普通の人は殆どいないと見る必要がありそうだな……。


兎に角、むくれたハカセとはしゃぐ超の護衛として同じジープに乗り込む。

デリーからチャンディガールを経由してヒマラヤの山里マナリへ。

道中は特に何事もなく二人の相手が少し疲れた程度だ。


マナリでは超とハカセが聞き込みをする事になっていた、龍宮と共に護衛としてついていく。

一応機材には一般の護衛もついているので、少しくらいなら大丈夫なのだろう。

……ただ、ここには来た事があるような……。


「どうかしたのか?」

「いや、ここを調査する目的は一体何なんだ?」

「さあな、私は何かを探すという程度の情報しか受けていない」

「ならもう一つ。超という少女、かなりの使い手のようだが何者なんだ?」

「同級生だ、スポンサーでもあるな、因みにハカセもだが」

「同級生……」

「何か言いたいことでもあるのか?」

「……いや」


世の中色々だな……龍宮の身長は180cm近くあった、だが年齢が本当ならまだ伸びそうだ(汗)

因みに、超は160cm弱、ハカセは150cmくらいのようだ。

むしろ同い年だと一発で分かる方が変だろう……。


「やけに質問をするのだな、王子様は迅速解決がモットーだろ?」

「護衛任務だからな、情報は多いに越した事は無い、狙っているのが誰か分かるだけでも対処が随分しやすくなる」

「それはそうだが、今回は途中の護衛はオマケで目的が危険物という事になっていたと思うが」

「アバウトだな……傭兵なのだろう、情報は生命線じゃないのか?」

「……」


龍宮は口をつぐむ、表情からは何も読み取れないが何か言いたくない事でもあるのだろう。

俺もそれ以上は問わない事にした。


「やはりも少し上にいかないと駄目ネ、観光地まで降りてくるほどバカじゃないヨ」

「そうですねー、判断能力があるのかそれとも何かに操られているのか、気になりますね」

「じゃ準備もあるし一度宿に戻るネ」


二人は俺達を引き連れ、宿に戻ると一泊し、翌日からヒマラヤ登山をはじめる事となった。

俺や龍宮は問題ないが、ハカセは大丈夫なのか気にはなる。超は護衛対象だが俺達に近いようにも思う。

しかし、拍子抜けする事に、特に何事もなくヒマラヤの外円部にある山の中腹辺りまで来た、

ジープはもう役に立たないが、防寒服と称したパワードスーツのようなものが積まれていたらしく、

丸っこいのを着込んだ超とハカセが俺達の後をついてくるという形になっていた。


「あんなので雪山を良く歩けるものだ」

「彼女達は天才だからな、ハカセは当然だが超など不得意なものが無いと言って良い」

「そんなに凄いのか?」

「ああ、超はマホラ学園都市で全教科トップを常に取り続けている。

 マサチューセッツ大学が喉から手が出るほど欲しいハカセを抜いてな」

「……そのレベルの問題が中学生の試験に出るのか?」

「さあ?」

『そろそろいいヨ、ここでキャンプするネ』

『機材を設置しましょう』


二人の卵型パワードスーツが機材の設置をしている間に、俺達はキャンプの準備を進める。

準備と言ってもこちらはたいした事は無い、ただやはり寒さはかなり強いものとなっている、雪が積もるような場所だ、

俺は魔力が常時自分を覆っているのでさほどでも無いが、龍宮は大丈夫だろうか?


『設置完了ネ、後は待つしかないヨ』

「まるで野生動物の捕獲だな」

『似たようなものネ、普通の生き物じゃない事を除けばネ』


動物の捕獲……いや、魔物か何かなのだろう野生動物の捕獲なら俺達を雇うまでも無いだろうしな。

しかし、いつまでも目的がはっきりしないのではやりづらい。

少し間をおいてから、聞いて見ることにした。


「それで、結局なにの調査をするんだ?」

『ああ、最近発見された未確認物体の解明に来たネ』

「未確認物体?」

『平たく言うと巨大な何かがこの近辺を移動しているのが何度か確認されたネ。

 それが何なのか調査するのが今回の目的……だたヨ』

「……?」

『計器に反応アリネ! 案外早く帰れそうヨ!』

「なるほどな」


超の話を聞いているうちにも重低音の重い音が近づいてくる。

これは……足音か?

やはり野生動物じゃないな、足音は明らかに金属的なものを含んでいる。


「それで、俺達はどうすればいいんだ?」

『とりあえず隠れて計器の具合を見るネ。後はハカセがやってくれる予定ネ』

「アバウトな……」

『世の中そんなものネ』


額に汗をしながらも悟ったような事を言う超の指示に従いながら岩陰に隠れる。

パワードスーツを着込んでいる超は目立つので大きな岩に隠れなければならず目的からはかなり距離が離れた。


「さて一体何が出るのか……」


俺自身少し期待してそれの登場を待つ。

ハカセらは俺から見て左手の茂みに身を隠しているようだ。

殆ど隠れているが、少し上部のガラス(顔窓)が見えている。

強化ガラスなんだろうが、危ないな。

それでも今から注意しに向かうのは問題がある。

護衛についている龍宮を信頼するしかないな。


暫くして、巨大な影が山陰から顔を出す。

全高6m、全長4mそこそこ、手と足が日本づつ……。

黒くて硬い金属で出来た外皮が嫌でも目立つ……ん?

……ブラックサレナ?


『あれが未確認物体ネ』

「……あれか」


見た目は確かにブラックサレナだったが、明らかにおかしい。


先ずサレナが歩いている。

基本的に外部装甲のせいで歩くのは下手なのだ。

内部のテンカワSPはローラーダッシュがついているから地上歩行も過不足は無いが、サレナは歩くには装甲が邪魔なのだ。

空を飛べるのだから基本的に歩く必要が無いということもある。


それに、妙な触手が生えていた。

それも隙間からうねうねと……。

明らかにサレナそのものではない。

外部装甲は確か俺がこの世界に来たときパージしたはずだから、あれは外部装甲だけ纏っている何かという事じゃないのか?


そんな事を呆然と考えているうちに、黒い巨体はハカセの観測機械の近くを通り過ぎる。

色々なデータが取得されたのだろう、ハカセは通信でよく分からない話を超としているようだった。

超も興奮気味で他の事が目に入っていない。


そんな時、黒い巨人の気配が変わった。

何かを見つけたのだ、明らかにハカセのいる方に方向転換している。

龍宮はその事にいち早く気付きハカセを誘導してできるだけ危険の少ない場所へと向かおうとする。

しかし、その事で逆に注目を集めたのか意思を持ってハカセと龍宮を追い始めた。

龍宮は銃を取り出して迎撃する、神業とすらいえる狙いの正確さで装甲の隙間に弾丸を撃ち込む。

だが、どうにも触手は再生機能があるらしく、触手がはじけ飛んでもまたすぐに生えてくる。

単細胞生物など機構が簡単なものほど再生は早いというが明らかに異常だった。

魔法が関係しているのは疑うべくも無いだろう。


「超、この場を動かないでくれるか?」

『向こうの援護にいくつもりネ? でも銃が効かない相手に有効な攻撃はあるのカ?』

「さあな」


超の返事を待たず飛び出す。

距離が離れていたためそうでもしないと間に合わないのだ。

それに、雪が足場を悪くしている。

もっとも人ならば足首まであるが、黒い巨人にとっては足の裏だ、制限を受けるのはこちらだけ。

多少動きの鈍そうな巨人とはいえ、このままではやられる。


「ちぃ!」


龍宮が足元の隙間を狙って銃を打ち込む、装甲のひび割れなどがあるため、

本来足には無い隙間が存在するのだが、それでも拳銃クラスでは役に立たないようだ。

俺は巨人との距離が150mを切ったのを見計らい左手を前に差し出す。

左手の中指には女性の顔を細工した指輪がはまっている。

意識を集中すると指輪がぼんやりと光る。

それを確認するとおもむろに俺は言葉をつむぎ始めた。


「アングィス・ルスクス ・クルエントゥス……炎の精霊12人。集い来たりて……魔法の射手・連弾・熱線の12矢」


風の精霊を使って雷を呼び込むように、炎を使ってレーザーを呼び出す。

光と炎の融合とでもいえばいいのか、魔力量もさることながら操るには中程度の制御が必要だ。

俺にはかなりきついが……。

魔法はゆっくりと発動する。


腕の太さほどの熱線が12本、巨人の上半身に向かって伸びていく。

そして、装甲にぶち当たりなおも押し込み続ける。

周囲は発火し、触手はことごとく焼ききれた。

しかし、装甲の内部までは届かなかったらしい。

装甲は大気圏を耐えてきたのだ、かなりボロボロだが熱には強い。

一度あれを剥がさないとどうしようもないな。


「凄い火力だな。普通あの手の魔法の太さは指先ほどもないはずだが……軽く10倍はあるんじゃないか?」

「だが装甲は焼ききれていない、触手も徐々に回復している……」

「大丈夫、その程度なら私のほうで何とかしよう。面白い物を見れた礼だ」


そういうと龍宮は背負っていたM700スナイパーライフルを抜き出し目標を定める。

接近してくる巨人にまるで止まっているかのごとく自然に一発だけ発射した。

銃弾はヒビの入っていた胸部装甲の下に突き刺さり、ヒビを大きくする、それを確認した龍宮は別のポイントへと第二射を撃ち込む。

ヒビの走り方は大きくなり、胸部中央へと打ち込まれた第三射で装甲を完全に破壊した。

言うのは簡単だが、構造物を破壊する計算と射撃タイミング、ポイントがミリ単位で合致しないとこうはいかない。

崩れていく胸部装甲を見つつも、俺は目を疑った。


しかし、いつまでも驚いているわけにも行かず、俺は同じ魔法をもう一度放って内部を焼ききった。

結局残ったのはぼろぼろで所々炭化した物が付着している、ブラックサレナの装甲のみだった。


『よくやってくれたネ、あれが邪魔でもう一つの調査対象が調べられない所だたヨ。

 これも対象としてはいいけどネ、中身は<モルボル(FFの植物族モンスター・毒が怖い)>みたいだたし、装甲の方だけネ調査対象は』

「もう一つ?」

『衛星写真ではもう一つ6m級の巨人が確認されているネ、

 そっちはこれみたいに触手で出来ているわけじゃなくて機械構造、つまりはロボットではないかと思っているね』

「ほう……」


おそらくテンカワSPだな……。

彼女らは<四段音の組み鈴>を通して依頼している以上表面的には問題ないのだろうが、あれを解析されるのは好ましくないな。

場合によっては破壊する事も考えなければいけないか……。


『んー、ああ、そうネ ハカセどうだたカ?』

『大丈夫、リモコン組み立て式飛行機を5台組み立てたから、後は……』

『掘り出すだけネ』

「!?」


思いの他準備が良い、確かにリモコン飛行機では攻撃を受ければそれまでだ、だからモンスターの掃討を任せたわけか。

それで、テンカワSPを見つからずにそのまま持って帰るつもりというわけか。

どうする……。


『王子様、目が怖いネ。やっぱりコレの事知ってたアルか』


そう、先ほどまでは雪に埋もれて分からなかったが。

少し離れた地面に半場埋められたように存在しているテンカワSPは俺が出発する前に埋めたものだ。

露出していたのは年月のせいもあるだろうが、明らかに掘り起こされている。


「そうだといったら?」

『もちろん貴重な情報源ネ、私と共に麻帆良学園都市に来ないカ?』

「ごめんだな」

『んー、確かに何もメリットが無いなら来る意味はないネ、ならこれを使用可能にするというのはどうカ?』

「それはこの世界にあってはならないものだ」

『なるほどネ、つまり軍事利用を恐れていると言うわけカ……』


そう、もしあれが解析され、誰かがディストーションフィールドや重力制御の技術を手に入れた場合、軍事バランスは一気に崩れる。

それに、魔法使いだろうとそうそうディストーションフィールドは破れないだろうし、重力制御は空や宇宙へあらゆる物を運ぶ事が可能だ。

つまり、技術を手に入れたものは支配者となる資格を得ると言う事。


『でも王子様、まだ分からないのカ?』

「……?」

『私達の使っている技術は今の技術だと思うカ?』

「!?」

『そう、私も火星人ネ』


超は俺に何を言おうとしているのか一瞬分からなかった。

しかし、その事を聞いて違和感が解消されていくのを感じる。


「ならばお前は」

『お前だなんて……ア・ナ・タ♪』

「ふざけるな!」

『あら、王子様はご機嫌ナナメネ』

「……お前もなのか?」

『多分違うネ、私は同じ世界から来たわけじゃないネ。

 私もこのロボットの事は知らないヨ。でも、見ての通り私も同じ技術がある。

 そして、火星植民の歴史は良く似ているネ』

「なぜそれを知っている?」

『事前情報ネ、以前の調査隊がこの機体のAIを回収しているヨ』

「……」

『だから王子様の事も少しだけ知っているネ、A級指名手配テロリスト。テンカワ・アキト』

「!?」


超は勝ち誇った笑みを浮かべる。

俺はそれを見て、逆におかしくなった。


「なるほどな、ならば俺がこの次どんな手にでるのか予想しているだろう?」

『……話し合いで解決したかったケド、無理?』

「ああ、少なくともこれはな」


俺が取り出したものを見て超は顔色を変える。


龍宮が素早く反応するがそれでも遅い。


次の瞬間、爆発音と共に、光が全てを覆う。


あまりの衝撃に周囲を巻き込んだ雪崩が発生した。


全員何も反応できずに雪崩に飲み込まれようとしていたが、俺は浮遊術を使い浮かび上がる。

そして、超の乗っている卵型パワードスーツをひっつかむと、

龍宮をその上にのせ、次に雪崩に飲まれたハカセのパワードスーツのハッチを開けハカセも超のパワードスーツに乗せる。

三人を担いだ状態で山を飛んでいくのはきつかったが、どうにか麓まで降りる事が出来た。


息を荒げながらとりあえず座り込んでいると。


「どうして助けたネ? テロリストにしては甘ちゃんネ。私達を置いて逃げれば楽だたヨ」

「俺は目的を達成した、その上で無駄な死人は出したくなかったのさ」

「無駄な死人か……そうともいい切れないと思うが?」


超に続いて龍宮が聞く。

俺は表情を少し緩め、龍宮にいった。


「お前達を殺しても、AI内のデータを悪用しようとするものはこれからも出るだろう。

 だから、麻帆良学園都市には連れてってもらわないとな」

「……なるほどネ、今回は私の負けネ。大人しく言う事を聞くヨ。ただ、私はまだ計画を諦めたわけじゃないネ。

 その為なら汚い事でも躊躇わないネ、その為に今ここにいるのだから」

「そうか……そういう生き方もあるだろうな……」


俺は復讐のためには、手段を選んだりしなかった。

だから、超の思いつめた気持ちも少しは分かる。


だが、彼女の目的も知らないのに賛成をする気になどならなかった。


それでも、俺は彼女らを助けた。



自分の中の矛盾、



それを抱えて生きる事。



まだ何も分かっていないだけかもしれない。



だが、俺は先に進んでいくしかない。



だから……。




「とりあえず。色々あるとおもうけど麻帆良学園都市にようこそネ」



「ああ、これからよろしくな」





ただ、次の場所へと向かうだけの事……。




























あとがき


なんかはっきりとしない結末で申し訳ないのですが、とりあえず課外授業完結っす!

最初から最終話はサレナとの対決というのが出来ていました。

ですが、話を作っているうちに超が緊急出演、なぜかは殆ど不明です。

未来人で火星人だからという事もありますが、ネタバレ必死なんで今すぐ出さない方が良いと思っていたんですが……。

出てきたら予想どうりネタバレしまくってくれました(汗)

お陰で本編を作るなら、結構話が変わりそうですね。

そもそも、魔法界とかの設定も良く分からないのにネギのいた場所について書いたのも失敗ですしね。

漫画ではそろそろイギリスに行くから矛盾点続出しそう(泣)


自爆装置については突っ込まれると辛いです(汗)

ただ、ウリバタケ氏、もしブラックサレナに携わったなら間違いなくつけただろうと思いまして(爆)


後、サレナに関してはAIの回収を行っているので、茶々丸化は簡単です。

他の手段もあるかもですが、まぁ本編に行った時にはまた考えましょう。


えと、次にアキトの始動キーですが。

『アングィス・ルスクス ・クルエントゥス』

ラテン語で順に”蛇”・”片目”・”血まみれ”となります(爆)

まとめれば<血にまみれた隻眼の蛇>といったところでしょうか。

北辰を思い出すかもしれないですが、アキトのプリンスオブダークネスというのは悪魔の事でへびの隠喩もあります。

片目は傷害を持つ事、血まみれは言うまでもないですよね。

アキトとも北辰とも言えるそういう始動キーにして見たかったわけです(爆死)


最後に、感想を下さった皆様方に感謝をささげます。

いや、本当に嬉しかったです♪

この作品の続編が続けばまたお目にかかることになるかとは思いますが、一応とはいえ完結までお供いただけたこと嬉しい限りです。

7話完結とはいえ、初の連作完結ですから感動もひとしおです。

次は舞乙が遅れていますので、また頑張ろうと思います。

さすがに週一は無理だと思いますが(汗)

では、またどこかでお会いしましょう!


WEB拍手ありがとうございます♪

コメント頂いた方のお陰でここまでくることが出来ました!

嬉しい限りです♪



5月12日


0:15 更新お疲れ様です 今回で訓練時代は終わり・・・・ 次回があれば お話は続くのかw 
0:16 できれば再開編を呼んでみたい今日この頃、ネギの性格が男らしいw 再開した時のセリフが楽しみですw 
ありがとうございます♪ んむむ、舞乙がたまっていますので、すぐに続きというのは難しいと思います。
ただ、反応次第では早めにやるかも?(爆)
反応多い作品に浮気する私.........................orz

0:17 次回の更新を楽しみにしてます お疲れ様です 
ようやく更新です。最終回お楽しみいただければ幸いです。

0:44 剣の聖女ですか?
それだけでは判断できないですが恐らく正解っす。

1:40 大変だろうとは思いますが、本編まで頑張って頂きたいなと 
1:41 思っています。次回を、楽しみにしてます。 
頑張らせていただいております♪ 本編は行ければ良いと思いますが、連載途中の作品の多さに呆然とする私ですorz

2:09 毎回楽しみに見ていたのに次回は最終回。ぜひ長編で続きを。待ってます。 
とうとう最終回を迎えました。本編を始めるとしても、普通の始まり方は無理になってしまった(汗)
超の登場で色々引っ掻き回された……orz

2:22 もしかして、Fateの騎士王ですか?(指輪ね) 
んー、はっきり決めてないんですが、どっちがいいでしょう?(爆)

7:10 あ〜、ついに次回で最終回ですか(T_T)本編までいくか 
7:12 まだ分からないということは、とりあえず一区切りとい 
7:14 うことなんでしょうか。私としては本編に続いてほしい 
7:16 限りです。そういう訳で、本編に続く事を期待しながら 
7:17 次回の更新を楽しみにしてます! 
はいなー、とうとう最終回っす!
7回……予定の倍以上な上に、更に今回は30KB近く膨らんじまったorz
もうちっとでもう一回増やす所だったよ(汗)

8:21 今回も面白かったです、次回は最終回ですか、どうなるか楽しみですね。 
ありがとうございます♪ どうにか最終回にこぎつけました! 楽しんでいただければ幸いです。

8:47 次回で完結しても続編を待ち続けます!!
はっはっは、とりあえずたまっているものを処理しつつ何とか頑張ります............orz
 
9:18 アルトリアですか・・・。 
んーっと、泉の妖精ならはずれです。

12:30 え!!!!次で最終回!!!!!!麻帆良まで行かないのですか!!! 
申し訳ない、課外授業とはそのまんま授業外という意味でして。マホラに行ったら課外授業じゃないわけです(爆)

15:15 泉の妖精がいっていた能天気な女ってまさかFateのセイバーさんですか? 
15:17 この世界のアーサー王も女と言う設定か…アルトリア・ペンドラゴン…アハハハ((汗)) 
実はもう一人の女性を指していたのですが、そっちでもいいですね♪

17:15 どう終わるのか楽しみです。頑張ってください。
尻切れトンボに見えなければ良いのですが(汗)
きっちりしようと思ったらもう一回増えそうだったので残念しました....................orz

17:31 次で最終回は勿体無い!続けてください! 
17:34 私はもうこの「魔法使いにできる事」の固定ファンです! 
17:34 この作品が終わると日々の生きる楽しみが殆ど無くなってしまうのでで続けてください
そう言っていただけるのはものすごく嬉しいです♪
今後も頑張っていきたいと思えますね、ですが、これだけというわけにも行かない現状でして(汗)
連載がたまってしまっている...................orz
 
19:49 ついにブラックサレナが登場!黒アキトといえばサレナと思っているのでうれしいです 
ありがとーございます♪ サレナは今回悲劇キャラになっております。申し訳ない...............orz

21:37 ネギまも舞乙もいいが、他(棄てプリ・SN3等もわすれるなよー 
ははは、ですが、サモンは難しいというわけではないので時々更新するかも?
ステプリはちとしんどいなぁ(汗)


5月13日


1:10 今回も楽しませてもらいました。月一更新になったとしても読みたい作品だと 
1:10 思うので頑張ってください 
ありがとうございます♪ 今後の反響次第では割とすぐに戻ってくるかもしれませんね。
今後ともがんばらさせていただきます!

6:02 あと少しで完結。がんばれ〜〜!!!
ありがとーです♪ どうにか完結いたしました! 応援くださった事感謝しております♪

17:37 次回を楽しみにしています。ぜひ本編まで続けてほしいですね。 
本編をやる前に舞乙をある程度進めたいというのも本音ですが、人気次第では早めに帰還するかもですね。

19:46 面白かったです。次がラストっぽいので、楽しみに待ってます! 
ありがとうございます! 本日どうにか完結! なんとか格好はついたでしょうか?

22:58 コメントが少なくてもあなたの作品が面白いことは確かです。この作品も面白いですよ。ぜひ続けて欲しいです 
続編は構想段階な部分もあって時間がかかるかもです。舞乙の続きもありますしね。
ただ、反応次第では私もがんばらにゃとは思っておりますが(爆)


5月14日


21:57 アキトにとっての破壊の象徴、それはまさにブラックサレナそのもの、一瞬の夢とはいえサレナが出て良かった 
22:00 です。 次回完結と言うことですが是非本編まで進んで下さい。 
22:02 私は続きの本編も読みたいです。 とても面白い小説になること間違いないですから。 
サレナ今回はボロボロっす(汗) 一応救いっぽいことはしていますが。
続編がどんなものになるか、きちんと構想を練っていないのでなんともかんともですが、これから少しづつ練っていこうと思っております。


5月16日


7:11 泉の精もしかしてWA2の剣の聖女ですか? 杖はリリ 
7:13 カルな奴を参考にしたりしてみてはどうでしょうか。今 
7:17 のは銃もでてるしAIとか載ってますしw 
当たりですー、アナスタシアは私かなり好きでして、WA2のOP2を何度も見返しましたよ(爆)
リリカルですかー、実はあの指輪魔法の発動機でして、魔法銃ってのも面白いですが、さてどうしましょう?(汗)

20:54 どこぞのヒーロー戦記で、ロボットがパワードスーツになっていた様に、サレナもそうしてしまえば良いのでは 
20:58 ないでしょうか。このまま中編で終わるにしろ、本編に入るにしろ、楽しみにしていますので頑張ってください 
んむー、そういう考え方もありますねー。でもそれだと萌えはないですな(爆)
どちらにしろ、十分アキトは強くなりつつあります。奥の手はいくつか用意していますし、ただ反則くさいのは勘弁を(汗)

5月20日


5:07 あのーまだできないのですか?がんばんてください! 
あはははは、一週間に一回をコンスタントにやるのは結構厳しいのです(汗)


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