あのタッグデュエルの日から一週間ほど、ダークネスこと吹雪が攻めて来た。

カギに関しては結局、俺もメンバーに含まれる事になった。

代わりに大徳寺先生が抜けた。

校長先生は、俺達に7つのカギを渡す時こんな事を言っていた。



「二年の姫神君にも伝えたのだが、来てもらう事は出来なかった。

 という訳で一人数合わせになっているが……」

「きっとドロップアウトボーイの事なノーネ!」



まあ、十代にこんな言葉を叩きつけていたが、実はクロノス教諭の事だろうと皆当たりをつけていた。

万丈目の場合、この間まではクロノス教諭とあまり変わらないレベルだったわけだが。

おジャマイエローとはいえ精霊がついたことで引きはよくなっているだろう。

まあ、あれは3匹で一人前なところがあるが。

今はアームドドラゴンがメイン、サブがXYZ、おジャマはイエローのみだ。

サポートカードもほとんどないので、おジャマの利用は難しいだろうな。


そうそう、また家とイリーニャからの手紙が来ていた。

だが内容は視点が違うだけで同じなのであまり気にしても仕方ない。

雫(しずく)がデュエルスクールに編入する事を決めたらしい事。

イリーニャの校内成績が1位になっている事。

はっきり言って雫も同格なので、デュエルスクールでは直ぐに上位に位置する事が出来るだろう事。

イリーニャも雫もアカデミアに来る気まんまんだな。

しかし、今回何かを察したのだろうか、俺が地属性デッキに変更した事を前の手紙で書いた所。

イリーニャから地属性機械族のモンスターカードを一枚、

そして雫からは昆虫族を一枚もらったのでデッキに追加しておくことにした。

これらカードの事を知られても、恐らく相手は手出し出来ない、但しどちらが先に出すかという点はあるが。

デッキにはそのまま追加して、差し引きはしなかった、デッキ内のカードを蝙蝠に見られたくはないからな。


そして、毎度の事ながらイリーニャの手紙にはペガサス会長のものも入っていた。


”この手紙は自爆シマース”


呼んだ瞬間小爆発を起こして燃え上がった。

寮内で読まなかった事を安堵するはめになった。

まあ寮内にプライベートなんて無いしな、皆娯楽に飢えてるから手紙なんて読んでたら見つかって冷やかされるし。

しかしあれだな、ペガサス会長にきっとタラシだと思われてるよ俺……。

あの人も一途な人だからなー、とはいえこの悪ふざけもどうかと思うが。


ともあれ、その後ダークネス戦には参加したものの。

カギのことに気づかなかったのか、それとも十代のオマケ程度にしか考えていなかったのか。

ともあれ、ダークネス戦は俺も隼人や翔と一緒に溶岩の近くであっぷあっぷしつつ十代に助けてもらうはめに。

まあなんだかんだ言っても、ダークネス戦そのものは、そんな無茶なカードは出なかったのである意味安心だったわけだが。

ダークネスドラゴンは攻撃力こそ高いが、言わばそれだけのモンスターに過ぎない。

その上、サポートも手札消費が激しい、真紅眼のデッキはワイバーンが出てから多少使いやすくなるが……。


因みに、レッドアイズダークネスメタルドラゴンはアニメ効果の場合、

実は城之内の使っていたレッドアイズブラックメタルドラゴンをフューチャーした召喚法となっている。

メタル化魔法反射装甲プラスといういまいち意味不明なトラップを装備したダークネスドラゴンを生贄に捧げて召喚する。

プラスいらない気がするが……。

ともあれ、効果はかなり強力だ、墓地のドラゴン族1体につき400の攻撃力アップ、

そして、自らを対象を取る魔法効果を無効にして破壊し、その他の魔法効果は手札1枚消費で無効にして破壊できる。

つまり、魔法反射装甲の能力を残したまま、攻撃力400アップと共に、攻撃力の上昇効果も100あがるという。

手札から最短で召喚するにしても、雛、ブラック、ダークネスの3つを生贄にするので1200アップする。

よって4000にはなるのだ、最低でも。4枚消費になるので手間もかなりかかるが……。

お触れとあわせればかなりしぶといモンスターになることは事実だろう。

まあ、OCGのほうが強い気はするが、召喚条件は緩いは特殊召喚能力があるわ。

耐性はないのですぐ除去されるものの、その対策は他のドラゴンに任せればいい。


話がそれてしまった、ともあれダークネス戦は無事に十代が乗り切ってくれたものの、

十代は闇のデュエルによるものか、火山でデュエルしたのが悪かったのか、暫くデュエルをしていはいけないと診察を受けた。

そして、数日後、蝙蝠達とともに、チート吸血鬼がやってきたのである。

くるべきものが来たなと俺は思った、彼女と十代を戦わせるのは不味い。

以前にも言ったが、シャイニングフレアウイングマンは既に使ってしまっている。

しかも、本当ならセブンスターズ編で始めて使うだろうカードを何枚か彼に渡していた。

それをカミューラに知られる可能性が高い以上、あまり悠長には出来ない。

ともあれ、カミューラのデッキで恐ろしいのは、

1つ目、モンスター全てを破壊するフィールド魔法:不死の王国−ヘルヴァニア。

アンデット族モンスターを手札から1枚除外する事で発動できる。

この効果は、もしアンデット族をこちらも入れていれば発動可能、一応フィールド魔法だから。

でもまーチートカードであることは間違いない。

2つ目は有名な幻魔の扉、こいつは効果も恐ろしいがコストにこちらの味方を使う所が問題だ。

発動させればコストにされた人間は人質となり、もしカーミュラがデュエルで負ければ死ぬ。

これは発動させてしまえば、もう対処の仕様が無い、最低でも無効化し破壊しなければいけない。

まあ、対処カードは一応組んである、後は何とかして最初に俺がデュエルすることだ。



「とはいったものの……」



俺が来たときには既にクロノス先生が前に出ていた。

やられてもすぐに死ぬわけではないが、彼女が消えなければやられた相手も戻らない可能性がある。

ただ、デュエルで勝てばいいだけではないのだから、俺は割り込みを賭けることにした。

湖の上の城からやってくるカミューラを半ば舐めたような目をしながら、俺は言葉をつむぐ。



「クロノス先生、ここは一番下っ端の俺から出るべきだと思うのですが」

「おおディーオその通りなノーネ! まだワターシが出る程の局面ではないノーネ!」

「いいのか、あんな事といわせておいて?」

「気にするな三沢、俺はどうしても奴と一番に戦いたくてな」

「フンッ、やられたら俺が次だ、気楽にやられてくるといい」

「済まないがサンダーの分を残す気は無い」



そんな言葉を交わしながら、カミューラの前に立つ。

そんな俺に対してのカミューラの第一声は。



「チェンジで」

「あのな……」

「だって、あの殿方が一番この中ではいいんですもの」

「そりゃ結構だが、どの道全員とやるつもりなんだろ? 楽しみは後に取っておくことだな」

「フンッ、仕方ないわね。アンタで我慢してあげる」

「どうもそれはありがとう」

「生意気なガキね」



ふむ、それなりに苛立たせることに成功したようだ。

ともかく、カミューラの一番の問題は、顔と声という気がする。

あの顔も、妙に高音な声も切れたときしか出さないが、むかむかしてくる声だった。

出来れば聞きたくないが、追い込まれると切れるので仕方ない。

なんとしても、ぼろぼろになってもらおう。



「「デュエル!」」


佳克:LP4000  カミューラ:LP4000



「俺の先攻、ドロー!」



このデュエルだけは、今までと同じようにはいかない。

負けてもいいなんていうようなものではない、だから。

俺にはアウスの宿ったこのデッキの力を信じるしかない。


手札に来たモンスターは、

巨大ネズミ:効果モンスター/星4/地属性/獣族/攻1400/守1450

荒ぶるアウス:効果モンスター/星4/地属性/魔法使い族/攻 800/守1500

戦士ダイ・グレファー:通常モンスター/星4/地属性/戦士族/攻1700/守1600


ふむ……案外使いやすいカードがあるな。

問題は、耐性はないという事か。

だが、トラップやマジックとの兼ね合いでわりといけるかもしれない。



『私が最初から手札に来ているといっても、単体ではあまり使えないわよ』

「ああ……使いどころは決めている」

『任せるわ』



荒ぶるアウスのモンスター効果は非常に強力だが、使いどころが難しい。

それゆえ少し使用に時間を要するだろう。

切り札と出来るかどうかは俺次第だな。




「巨大ネズミを守備表示で召喚! そしてカードを一枚伏せてターンエンド」

「アタシのターン! ドロー!」



このおばちゃん、普段は悪くはないが、切れた時やたら壊れるからそれは見たくないんだよな……。

まー、その時は壊れカードが出る合図だから分かりやすくていいんだが。

今のところは警戒しておくだけでいいか。



「アタシは不死のワーウルフを召喚!」

不死のワーウルフ:効果モンスター/星4/闇属性/アンデット族/攻1200 /守600


「更に、装備魔法悪魔のくちづけを装備! 攻撃力が700アップ!」

不死のワーウルフ:攻撃1200→攻撃1900



カミューラが発動すると、悪魔っ娘がワーウルフの隣に飛んできてキスをした。

すると、ワーウルフが明らかに凶暴化、うん、装備魔法っていうより憑依魔法だな(汗)



「不死のワーウルフで巨大ネズミに攻撃! ハウリング・スラッシュ!」



凶暴化した不死のワーウルフにより巨大ネズミが撃破される。

リクルーターの宿命だねぇ、まあ、無理にトラップを使わなくてもいいのが強みだが。



「墓地にいった巨大ネズミの効果発動! デッキから激昂のムカムカを特殊召喚!」

激昂のムカムカ:効果モンスター/星5/地属性/岩石族/攻1200/守 600


「激昂のムカムカの効果発動! 手札の枚数×400攻守をあげる!

 俺の手札は4枚、よって1600アップ!」

激昂のムカムカ:攻撃1200→攻撃2800


「なっ、攻撃力2800!?」

「うかつに巨大ネズミを破壊したツケというわけだ」

「くっ!」



流石雫、このモンスターかなり使えるな。

相手の攻撃をストップするにはかなり向いている。

もっとも、今回召喚する必要があったのかは微妙だが。

だがカミューラににあのカードを使わせるには向いているな。



「カードを一枚伏せてターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」



今回引いたカードは……ビックバンシュート、相手が守備表示なら使えるな。

追撃を考えるなら普通は追撃モンスターを出すものだが、今回はやめておいた方がいい。

どの道、リクルートされれば攻撃力があがるのだから。



「手札が増えたことで激昂のムカムカの攻撃力がアップ!」

激昂のムカムカ:攻撃2800→攻撃3200



「バトル! 激昂のムカムカで不死のワーウルフを攻撃! アンガー・シザース!!」

「くぅ!?」

カミューラ:LP4000→LP2700



「不死のワーウルフは戦闘で破壊された時、攻撃力を500アップしてデッキから同名カードを特殊召喚出来る!」

不死のワーウルフ:効果モンスター/星4/闇属性/アンデット族/攻1200 /守600

不死のワーウルフ:攻撃1200→攻撃1700


「バンパイアと言っても大したことはないようだな、ターンエンド」



これで、カミューラは奥の手を出さざるを得ない。

普通にバトルしていたのでは激昂のムカムカを倒す事は出来ないのだから。

攻撃力3200が相手ではキラーカードのはずのバンパイア・ジェネシスでも勝てない。




「マダオンナモシラナイコゾウガチョウシニノリヤガッテェェ!!」



出た、恐怖の顔面崩壊……。

口が裂けたり、目がイっちゃってるのはまだいいが、あの口中に顔があるみたいに見える。

更にキンキン響いて何言ってるのか分からない言葉もめんどくさい。

さっさとデュエル進行してくれ……。



「不死の王国−ヘルヴァニアヲハツドウ!!

 テフダカラアンデット族モンスターヲ墓地二送リアイテフィールドモンスターヲ全テ破壊スル!!

 ワタシハヴァンパイア・ロードヲ捨テ、効果発動!」

「くっ!」



風景が湖から闇に閉ざされ、更に近くに古城が現れる。

元々あったのよりかなり近い場所だ、蔦なんかもからまりまあ確かにバンパイアにはふさわしい風景かもしれない。


伏せカードは元々一枚、それに、今このポイントで使っていいのか分からない。

というより使ってはならない、あれは発動するだけでもまずい。

となれば、何を召喚してくるのかが問題か。



「トラップハツドウ! 不死族の棺(バンパイア・ベッド)! 墓地ノヴァンパイア・ロードヲ特殊召喚スル!」

ヴァンパイア・ロード:効果モンスター/星5/闇属性/アンデット族/攻2000/守1500


「さあ、華麗なる逆襲の始まりですわ、ヴァンパイア・ロードでダイレクトアタック! 暗黒の使徒!」

「ガァッ!?」

佳克:LP4000→LP2000


「更に、効果により私が選択した種類のカードを墓地に送ってもらうわ。

 私が選択するのはマジックカード」

「くっ、強欲な壷を墓地に送る」
 

「貴方がどんなモンスターを召喚しようともう無駄よ、

 ヴァンパイア・ロードは効果破壊されても次の自分のスタンバイフェイズにはフィールドに戻ってくる。

 正に不死のモンスター! フィールドを全滅させるヘルバニアとのコンボは正に無敵!

 貴方にはもう勝ち目はないわ、ターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」



確かに少しばかり面倒な状況のようだ。

とはいえ、攻撃力2000のモンスターで無敵とはチャンチャラおかしいが。

俺が引いたカードは、リビングデッドの呼び声。

悪くはない、しかし……むう。



「俺は、戦士ダイ・グレファーを守備表示で召喚!」

戦士ダイ・グレファー:通常モンスター/星4/地属性/戦士族/攻1700/守1600


「更に、カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

「私のターン、ドロー!」



このまま、ジリ貧くらうよりはいいだろうと張ってはいるが、出来る限り今は温存しておきたいカードがある。

幻魔の扉攻略のためにも、今は耐えなくてはならない。

さて、彼女はどうでる?



「フン、守備表示にして耐えるつもりですのね? そんな程度の小細工では私は止まりませんわ!

 マジックカード威圧する魔眼を発動!

 選択した攻撃力2000以下のアンデット族モンスターはダイレクトアタック出来る!

 私が選択するのは、ヴァンパイア・ロード!」

「……」

「止めよ! ヴァンパイア・ロードでダイレクトアタック! 暗黒の使徒!」 

「トラップ発動! 和睦の使者! このターンの戦闘ダメージをゼロにする!」

「くっ!

 ならば、私はヴァンパイア・ロードを除外し、ヴァンパイア・ジェネシスを特殊召喚!」

ヴァンパイアジェネシス:効果モンスター/星8/闇属性/アンデット族/攻3000/守2100


「更に、永続魔法、ジェネシスクライシスを発動!

 自分フィールド上にヴァンパイア・ジェネシスがいる時、1ターンに1度アンデット族モンスターを手札に加える!

 デッキから、龍骨鬼を手札に加え、ヴァンパイア・ジェネシスの効果発動!

 龍骨鬼を墓地に捨て、

 捨てたアンデット族モンスターのレベル未満のレベルのアンデットモンスターを墓地から特殊召喚する。

 私は不死のワーウルフを蘇生する!」

不死のワーウルフ:効果モンスター/星4/闇属性/アンデット族/攻1200 /守600


「ターンエンドですわ」

「俺のターン、ドロー!」



一応メタっぽいデッキという訳でもないが、メタが可能なカードを何枚か入れているこのデッキだが、

結構押されてるな……。

今回引いたのは……メカニカルハウンド!

イリーニャ、感謝するぜ!!

よし、このターンでまたピンチに陥らせてやれる。

俺は、隣に薄ぼんやりと見えているアウスに頷く。

それだけでアウスは分かってくれたようだ。



「俺は手札から荒ぶるアウスを召喚!」

荒ぶるアウス:効果モンスター/星4/地属性/魔法使い族/攻 800/守1500


「ふん、そんな雑魚カードでどうしようっていうの?」

『バンパイアレディに雑魚呼ばわりされるほど弱くないつもりよ』

「私はバンパイアレディではない! 吸血鬼カーミュラだ!!」

『カード化していない精霊なんてそれ以下』

「精霊ではない! 私は元からこの世界にいた!!」

『貴方は精霊よ、この世界の住人に吸血鬼なんていない』

「くっ!!」

「おしゃべりはそこまでにしてもらおう! 荒ぶるアウスのモンスター効果を発動!

 このカード以外の地属性モンスターを生贄に、手札から地属性モンスターを特殊召喚できる!

 俺が特殊召喚するのは、メカニカル・ハウンド!」

メカニカル・ハウンド:効果モンスター/星7/地属性/機械族/攻2800/守1500


「ふっ、そのモンスターでは私のヴァンパイア・ジェネシスには及ばないわね」

「いいや、地属性モンスターには地属性モンスターの闘う舞台がある!!

 フィールド魔法ガイアパワーを発動!! 地属性モンスターの攻撃力が500アップし、守備力は400ダウンする!」

荒ぶるアウス:攻撃800→攻撃1300

メカニカル・ハウンド:攻撃2800→攻撃3300


「こっ、攻撃力3300ですって……」



いやー、思わず十代のマネしちまったい。

とはいえ、この場ではこれくらいはしないとね。

蔦なんかのからまった古城を中心とした暗い風景が自然あふれる森へと変化していく。

やはり、デュエルは明るい場所でやらないと、見栄えもしないしな。

ちょっとアウスの視線が冷たいけど。



「バトル! メカニカル・ハウンドでヴァンパイア・ジェネシスを攻撃!! グランド・ハンティング!!」

「まっ、まさか!?」

カミューラ:LP2700→LP2400


「荒ぶるアウスで不死のワーウルフを攻撃! サンドウエェーブ!」

『大地に溺れなさい』

「ぐっ」

カーミュラ:LP2400→LP2300



「だが! 不死のワーウルフは何度でも復活する!!」

不死のワーウルフ:効果モンスター/星4/闇属性/アンデット族/攻1200 /守600

不死のワーウルフ:攻撃1200→攻撃1700


「違うな、あくまで不死のワーウルフの復活はデッキからの特殊召喚、それで最後だ。

 そして、トラップ発動! リビングデッドの呼び声! 墓地からダイ・グレファーを特殊召喚!!」

戦士ダイ・グレファー:通常モンスター/星4/地属性/戦士族/攻1700/守1600


「更に、ガイア・パワーの効果で攻撃力が500アップ」

戦士ダイ・グレファー:攻撃1700→攻撃2200


「ダイ・グレファーで不死のワーウルフを攻撃! グレートソード!!」

「キャッ!?」

カミューラ:LP2000→LP1500



ダイ・グレファー公式で変態の烙印を押されてしまっている悲しい戦士。

カミューラにもやっぱり嫌われてるのか?

いやまあ、確かに女性キャラと闘っているイラストが多いからねぇ。

あれ、なんかアウスも嫌そう。



「カードを一枚伏せてターンエンド」



これで、フィールドにはモンスター3体、TMゾーンにはガイアパワー、リビングデッド、伏せカード2枚の4枚。

手札はゼロ。

そう、手札はゼロなのだ。



「アタシのターンドロー!

 ッ!?

 まさか……」

「そう、手札がゼロの時、メカニカル・ハウンドの効果が発動する! 相手はマジックカードを発動できない!」

「……まさか、ボウヤあんた……、アタシのデッキ内容を知っている!?

 それどころか、ボウヤがデッキをほとんどいじっていないのも……」

「さあな、だがこれでお前の得意な戦術は使えない、メカニカルハウンドを排除しない限りはな」



カミューラは一瞬絶望したような顔になるものの、次の瞬間にはニタリという笑いを披露する。

弱点が分かってしまったか。

くそ、今回伏せたのが和睦なら完勝だったんだが。



「……メカニカルハウンドハツヨイヨウダガ、ザコモンスターニヨル特殊召喚ジャナ!

 ヴァンパイア・レディヲ召喚!!」

ヴァンパイア・レディ:効果モンスター/星4/闇属性/アンデット族/攻1550/守1550


「ヴァンパイア・レディデ、アラブルアウスヲ攻撃!! ヴァンパイアキッス!!」

『くっ……』

「ッ!」

佳克:LP2000→LP1750



「更に、ヴァンパイアレディの効果、デッキからマジックカードを墓地に送りなさい」

「天使の施しを墓地に送る」

「フフフなら、強欲な壺を発動! デッキから2枚ドロー!

 色々考えたようだけど、やはりこれでお終いね。

 さあ幻魔の扉よ、発動せよ!! 先ずは相手フィールドモンスターをすべて破壊!!」

「待っていた」

「何!?」

「この瞬間を待っていたぜ! 速攻魔法発動!! 我が身を盾に!!

 ライフを1500払い、モンスターを破壊する効果を無効にし、そのカードを破壊する!!」

佳克:LP1750→LP250


「なっ、なにー!?」

「ヘルバニアの時に使うかどうか迷ったが、待っていて正解だったな。

 コストで他人の魂を使われたんじゃたまらない」



アニメにおいて、コスト選択は破壊が終了してから行われていた。

そうじゃなければ、誰かを人質に取られて既にアウトだったろう。



「カードを一枚伏せてターンエンド……」

「俺のターン! ドロー!!」



俺の引いたカードは、憑依装着アウス……こりゃアウスかなり怒ってるな。

そっと隣にいるアウスを見ると、表情の変化こそないものの、確かにそう言う感じはする。



「俺は憑依装着アウスを召喚!」

憑依装着−アウス:効果モンスター/星4/地属性/魔法使い族/攻1850/守1500


「ガイアパワーで攻撃力が500アップ」

憑依装着−アウス:攻撃1850→攻撃2350


「バトル! ダイ・グレファーでヴァンパイアレディに攻撃! グレートソード!」

「やァッ!?」

カミューラ:LP1500→LP850


「ラストだ、憑依装着アウスでダイレクトアタック!」

『さっきのお返しよ』

「トラップ発動! ドレインシールド!!

 相手モンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分ライフを回復する!!」

「チェーンして、トラップ発動! 地霊術−鉄(くろがね)−!」



さっきのターン、発動すればアウスを破壊される代わりに、ネズミを召喚できたが……。

それをしても、あまり得にはならないとあえて発動しなかった。

それに回復されてまた幻魔の扉を発動されたら泣くになけない。

流石にもう守れるようなカードもない。

ここで決めるしかないんだ!

っと、アウスが睨んでるな。



「憑依装着アウスを生贄に、墓地から荒ぶるアウスを特殊召喚!」

荒ぶるアウス:効果モンスター/星4/地属性/魔法使い族/攻 800/守1500


「対象を失ったドレインシールドの効果は無効になる!」

「ちぃ!!」

「更に、ガイアパワーによりアウスの攻撃力が500アップ」

荒ぶるアウス:攻撃800→攻撃1300


「荒ぶるアウスでダイレクトアタック! サンドウエェーブ!」

『しつこい女は嫌われるわよ』

「貴様等に!! 虐げられたヴァンパイア一族の何が分かると!!」

『分かる気も無いわ、だって貴方も私達の事を分かる気なんて無いんでしょう?』

「ギァーーーッ!!??」

カミューラ:LP850→LP0


『過去の誇りにばかりしがみ付いて、悲しい人……』



最後の一瞬、まるで互いに通じ合ったかのように寂しそうな顔をしたが。

俺はどういう意味なのかわからなかった。

いやまあ、この世界の住人ではないという事なのかもしれないが。



「フン、やはりこの私が出るまでも無かったという事デスーノ!」

「すげぇぜ! 今までと違うデッキだなヨシカツ!」

「いつの間に新しいデッキを、これは俺も負けていられないな、早速新しいデッキを……」

『駄目だよおにいちゃん!』

『あたし達をデッキからはずすなんて許さないんだからね!』

「ぬお!? また体が引っ張られる!? 一体どういうことなんだ!?」

「ふぅん……あいつも精霊が……、だがこの差はなんなんだ」

『アニキー! 早く兄弟みつけておくれよう!』

「うるさい屑が!」

「へへっ、結構みんな精霊つけてるな」

『クリクリー♪』



なんというか、折角カーミュラを倒した割りに、皆の評価はあんまり芳しくないな。

仕方ないとはいえ、メタ張ってしまったしな……。

とはいえ、これくらいのメタは許してもらわないととてもじゃないが勝ち目がなかった。

幻魔の扉なんて発動されたら終わりだし……(滝汗)

なんとかなってよかったよ……。






あとがき

カーミュラ戦終了ー、正直なんかむしろ短いデュエルになってしまいましたが。
それと、こうしたほうが強いという戦い方が他に何種類かありそうなデュエルではあります。
ただ、絶対に幻魔の扉を使用させてはいけないので、それを警戒しているのが原因でもあります。
攻撃云々より、人質がやべーですからね(汗)



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