前回ようやく一つの山場を終える事が出来た。
なんて格好いい事いってるけど、これからの事と比べればほんのお遊戯程度。
でもまー、三沢の空気化はかなり率が落ちたはず。
とはいえ、2年以後はいろいろ入り乱れるから必ず戦力になるとはいえないんだけっどもね。
それでも三沢そのものは強いから、いろいろと役に立ってくれるんじゃないかなと思うけど。
そうそう、イリーニャの手紙でこの前の地方大会で上位入賞しているので全米大会に呼ばれたとか。
全米大会には不滅のクイーンがいるので、優勝は厳しいらしいが、頑張ってほしい所だ。
そして、光帝のカードが同封されていた、うれしい限りなんだが、戦士族ではなくなった今使いどころに困る所だ。
使用感を聞きたいと書かれていたので、デッキには入れておくが。
雫からも近況報告があったが、デュエルスクールで順調に成績を収めているらしいと言う事だ。
ジュニア大会をするのは、来年の事らしいので、応援に来てほしいとか。
ジェネックスとタイミング重ならなきゃいいけど。
さて、あの後、黒蠍盗掘団が出てきて笑わせてくれたが、万条目の敵じゃなかった。
次の実は弱いファラオも恐らく十代の敵じゃないだろう。
この2人はセブンスターズお笑い担当だしな、実際1話こっきりしか出ていない。
だがその次は少し色合いが違ってくる、タイタンが闇のデュエリストとして復活し、明日香を苦しめる事になる。
明日香の変わりにデュエルするにも、今のデッキは少し心もとないのも事実、
ファラオとの戦いをやっているうちにデッキ強化といきたいところ。
そんなわけで、俺はアウスの勧めで、またアカデミア近郊の森にやってきていた。
正直この森、いくつの秘密だあるんだか……。
実は困ったときは森に来るようになっていないか(汗)
「どうしたの?」
「いや、この森色々な事がありすぎて……」
「それは当然ね、この森は異世界への門が沢山開いているもの」
「異世界への門?」
「そう、あの時墓守の世界に呼ばれたように、この森にはいくつ者世界への門が開いている」
「なるほど……それで、俺は一体どうすればいいんだ?」
「あの木に触れてみて」
「大きな木だな……樫か? いや檜か?」
そういいつつ俺は木に触れる、するとまるで吸い込まれるようにするりと突き抜けた。
そう、穴でも開いていたかのように簡単に裏側へと突き抜けてしまった。
アウスも俺と同時に抜けてきたのだろう、背後でぴたりと寄り添っている。
「アウス……それでここはどこだ?
やけに熱いというか、熱帯気候っぽいんだが」
「ええ、アマゾンの奥地に近いかしらね、ここは密林の世界」
「密林……獣族の世界か」
「ええ、でも私たちの目的は獣族じゃない、獣戦士族」
「何、もしかして……」
『ほう、人がよくこの世界まで来れたものよ。
いや、隣にいるのは精霊か、ならば不可能ではあるまい。
しかし、ここは我の領域、何人たりとも侵入者は排除あるのみ』
獣の瞳を赤く光らせて現れたのは……。
上半身は人のようだが、髪はたてがみのように逆立ち、手にはランスと盾を装備し、
下半身は豹のように黒い体毛に覆われた4本足で、尻尾には太い針が生えているという合成生物にしか見えないもの。
だがこのモンスター、俺は知っている。
「神獣王バルバロス!」
「我の存在は人の世界には広まっておらぬはずだが、まあよい。
わが領域に踏み込んだものの末路、味あわせてくれる」
「待ってもらいましょう、神獣王バルバロス」
「精霊の娘よ、何かあるのか? その言次第ではお前も同じ末路をたどるぞ」
「この世界へは、貴方の力を借りに来たのです」
「我の力? 我は全てを食らう神獣王、お主らに力を貸す道理もあるまい」
そう、その通りではあるが、この異世界でもデュエル脳が通じるのなら……。
それに、神獣王バルバロス、確かに時系列的にはまだ2年ほど先に登場するカード。
だが、この世界では関係ない、その効果は俺がのどから手が出るくらいに欲しい確実性の高いフィニッシャー。
思わずニヤリと笑みがこぼれるほどだ、神獣王のカード、絶対もらってやる。
「おい、デュエルしろよ」
「なっ!?」
「俺が勝てばお前は俺のデッキに入ってもらう。お前が勝てば俺を好きにするといい」
「貴様などに、我のデュエルを見せること与わず」
「ほう、神獣王ともあろう者がただの人にビビるとは、所詮井の中の蛙だったか」
「貴様!!」
「ならば、勝負を受けるか?」
「いいだろう、後悔するなよ」
目を血走らせて、随分腹がたったと見える。
まあむしろその方が好都合なんだが、悪いがバルバロスの効果は知っている。
当然、対抗策もなくはない。
ただ、バルバロスそのものはいろんなデッキに入れられる非常に使い勝手のいいモンスターだ。
それゆえ、どんなデッキで来るのかがわからない。
先攻は譲るべきか……。
「「デュエル!」」
佳克:LP4000 バルバロス:LP4000
相変わらずだが、精霊のデュエルディスクは腕から生えてくる事が多い。
精霊ってのは本当にデュエルのためにいるんだなと思う瞬間だ。
そんなこんなで見ていると、ボーっとしていると思ったのか、口元をゆがめてきた。
「先攻は我がもらう、ドロー!」
さっき、様子見する事を決めたばかりなので、俺としても願ったりではあったが、
一体何をたくらんでいるのか、多少気になりもする。
「我は素早いモモンガを守備表示で召喚する、そのままターンエンド」
素早モモンガ:効果モンスター/星2/地属性/獣族/攻1000/守 100
これはまた厄介なカードを持ってきてくれたな。
このモンスターはパラメーターこそ低いが、2つの効果が強力だ。
一つは戦闘破壊されるとライフを1000回復するというもの、
もう一つは同じく戦闘破壊時にデッキから同名カードを2枚まで特殊召喚できるというもの。
マジックカードなどで破壊されればそれまでだが、この世界は破壊系のマジックは少ないため厄介である。
使う場合は、生贄がほしいとき、ライフゲインの回復にと、重宝するカードである。
「俺のターン、ドロー!」
俺の引いたカードは、
巨大ネズミ:効果モンスター/星4/地属性/獣族/攻1400/守1450
ギガンテス:効果モンスター/星4/地属性/岩石族/攻1900/守1300
地帝グランマーグ:効果モンスター/星6/地属性/岩石族/攻2400/守1000
トラップマジックもそこそこだ、これなら何とかなるかもしれない。
だが、モモンガをどう対処するかはかなり問題だ。
これがライフ8000のデュエルならとりあえず破壊して、相手の上級モンスターを呼ばせるのも一つの手だ。
しかし、ライフ4000のデュエルだと少し厳しいともいえる。
どちらがいいとは言い切れないが……。
停滞するデュエルをするくらいなら火中に飛び込んでみるのも手か。
「俺は、巨大ネズミを召喚!」
巨大ネズミ:効果モンスター/星4/地属性/獣族/攻1400/守1450
「そしてバトル! 巨大ネズミで、素早いモモンガを攻撃! 大暴食!」
巨大ネズミが素早いモモンガに飛びついて食らう。
すると、モモンガは破壊されて消えてしまった。
しかし……。
「素早いモモンガの効果発動! このモンスターが戦闘破壊されたときライフを1000回復する!」
バルバロス:LP4000→LP5000
「更に! デッキから2枚の同名カードを裏守備表示で特殊召喚する!」
素早モモンガ:効果モンスター/星2/地属性/獣族/攻1000/守 100
素早モモンガ:効果モンスター/星2/地属性/獣族/攻1000/守 100
やはり3枚積んでいたか。
ならばむしろ、それを使ってきてくれたほうがこちらもいろいろと仕込めるというもの。
まあ、まだ向こうのやり方が見えているわけではない、ゆっくり観察といこう。
「カードを一枚伏せてターンエンド」
「我のターン、ドロー!
フンッ、いきなり決着がついても面白くないな。
だが、我の恐ろしさはしっかりと刻んでもらおう、素早いモモンガを生贄に、暗黒のマンティコアを召喚する!」
暗黒のマンティコア:効果モンスター/星6/炎属性/獣戦士族/攻2300/守1000
「更に、永続魔法、生還の宝札を発動!
行くぞ! バトル! 暗黒のマンティコアで巨大ネズミを攻撃! フレイムブラッド!」
「がぁ!?」
佳克:LP4000→LP3100
暗黒なのに炎属性とは何事と言う感じで、炎の弾丸を吐き出したマンティコアに巨大ネズミを破壊される。
暗黒のマンティコアは見た目は獣っぽいんだが、一応獣戦士族、まあ羽も生えているし合成種なんだけどね。
しかし、元々リクルーターである巨大ネズミは破壊されてなんぼ、むしろ感謝したいくらいだ。
「墓地に行った巨大ネズミの効果発動! 激昂のムカムカをデッキから特殊召喚する!」
激昂のムカムカ:効果モンスター/星5/地属性/岩石族/攻1200/守 600
「更に、激昂のムカムカの特殊効果、手札の枚数×400ポイント攻撃力を上げる。
俺の手札は4枚、よって攻撃力は1600アップ!」
激昂のムカムカ:攻撃1200→攻撃2800
「ふっ、小賢しい、カードを一枚伏せてターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー!」
俺が引いたカードはサイクロン、おあつらえ向きだが、ムカムカの攻撃力を考えると……。
この際仕方ないか、攻撃力よりも優先すべきは相手のコンボ破壊だ。
まさかエグゾディアも積んでいないだろうが、生還の宝札と暗黒のマンティコアのコンボは強力だ。
暗黒のマンティコアの墓地から復活するためのコストを実質ゼロにしてしまうのだから。
「速攻魔法サイクロンを発動! 生還の宝札を破壊する!」
「トラップ発動! マジックジャマー! 手札を一枚捨てて効果発動! 魔法の効果を無効にして破壊する!」
「むっ!?」
マジックジャマー? 手札消費の激しいカードできたな。
いや、もしかして手札を墓地に落とす事に意味があったのか?
もしや、今墓地に行ったのは……やはり、暗黒のマンティコア!
このままじゃ不味い、暗黒のマンティコアが復活するのに必要なコストは手札かフィールドのモンスター一体。
種族は、獣族、獣戦士族、鳥獣族の3種のどれかとあるものの、マンティコア自信も獣戦士族。
つまり、一方が復活するために一方をコストにする、そして墓地に行ったほうがフィールドのマンティコアを更にコストに。
永久ループが成立してしまう。
それだけならたいした意味はないが、これに生還の宝札が加わると、無限ドローが可能になってしまう。
「意地でも無限ドローを成立はさせない!」
「ほう、どうするというのだ?」
「こうだ! 墓地の巨大ネズミを除外しギガンテスを特殊召喚!」
「自爆特攻か、なるほど考えたな」
「それだけで終わりじゃない! 激昂のムカムカを生贄に、地帝グランマーグを召喚!」
地帝グランマーグ:効果モンスター/星6/地属性/岩石族/攻2400/守1000
手札が減ってきたので、ムカムカを維持するよりも地帝を出すほうがマシになってしまった。
出来ればもう少し引っ張りたかった所だが。
「地帝グランマーグの効果発動! 地殻激震!!
伏せカード一枚を破壊する! 俺は、裏守備の素早いモモンガを破壊!」
「ぬぅ!?」
「バトル! ギガンテスで暗黒のマンティコアを攻撃! ギガス・クラブ!」
「当然、貴様のほうが攻撃力が低いためギガンテスは破壊される」
「ぐっ」
佳克:LP3100→LP2700
「墓地に行ったギガンテスの効果発動! フィールド上のトラップマジック全てを破壊する! ギガス・トルネード!!」
「ぐっ」
この効果で生還の宝札が破壊される。
たった一枚のためにここまでするのもどうかと思わなくもないが、無限ドローを成立させたら終わりだ。
この場はどうしても防ぐ必要があった。
「そして、地帝グランマーグの攻撃! グランド・ブレイク!」
「ガッ!?」
バルバロス:LP5000→LP4900
相手のフィールドはがら空き、墓地のマンティコアは怖いが一応攻撃力では勝っている。
しかし問題は手札を消費しすぎた事だ。
残り2枚、相手のカード次第だが、どうなる?
「ターンエンド」
「エンドフェイズ、手札から激昂のミノタウルスを墓地に送り、暗黒のマンティコアを特殊召喚する」
暗黒のマンティコア:効果モンスター/星6/炎属性/獣戦士族/攻2300/守1000
「くっ!」
「我のターン! ドロー!
クククッ、残念であったな、我はもう一枚生還の宝札を引いたぞ」
「なっ!?」
そういえば、まだこの頃は生還の宝札は制限どころか準制限にすらなっていない。
つまり、3枚積み込んでも誰も文句を言わないという凄まじいカードなのだ。
まあ、あれだ、制限がきつくなったのはDヒーロー・ディスクガイのせいだから仕方ないが。
ディスクガイは墓地から特殊召喚すれば2枚ドローできるレベル1モンスター。
生還の宝札とコンボすると復活するたびに3枚以上ドローできることに……。
恐らく、E・ヒーローのバブルマンと同じようなドローカードのつもりだったんだろう。
しかし、墓地からの特殊召喚手段が増えている最中だった事もあり、禁止に制定されるにいたった。
ともあれそれらは先の話、今はそんなものはないと言う事だ。
「我は、永続魔法生還の宝札を発動!」
「だが。そのターンに墓地に送られたマンティコアしか復活は出来ないはず」
「その通りだ、ゆえに、我は強欲な壷を発動する! デッキから2枚ドロー!」
「何!?」
「くくっ、流石我よの、死者転生を引き当てたわ」
「なんっ、だと……」
「死者転生の効果発動、カードを一枚墓地に送り、墓地の暗黒のマンティコアを手札に戻す」
「だが……」
「バトル! 暗黒のマンティコアで、地帝グランマーグを攻撃! フレイムブラッド!」
「なっ!? 自爆特攻か!?」
「その通りよ!」
バルバロス:LP4900→LP4800
「そしてエンドフェイズ! 墓地の暗黒のマンティコアの効果発動!
フィールドの暗黒のマンティコアを墓地に送り、墓地の暗黒のマンティコアを復活する!」
暗黒のマンティコア:効果モンスター/星6/炎属性/獣戦士族/攻2300/守1000
「復活した事により、生還の宝札の効果が発動! デッキから一枚ドロー!
更に墓地の暗黒のマンティコアの効果発動!
フィールドの暗黒のマンティコアを墓地に送り墓地の暗黒のマンティコアを復活!」
暗黒のマンティコア:効果モンスター/星6/炎属性/獣戦士族/攻2300/守1000
「生還の宝札の効果発動! デッキから一枚ドロー!
墓地のマンティコアの効果発動! フィールドのマンティコアを墓地に送り、墓地のマンティコア復活!」
暗黒のマンティコア:効果モンスター/星6/炎属性/獣戦士族/攻2300/守1000
「生還の宝札で一枚ドロー!
墓地のマンティコアの効果でフィールドのマンティコアを墓地に送り、墓地のマンティコア復活!」
暗黒のマンティコア:効果モンスター/星6/炎属性/獣戦士族/攻2300/守1000
「生還の宝札で一枚ドロー! 墓地のマンティコアとフィールドのマンティコアを入れ替える!」
暗黒のマンティコア:効果モンスター/星6/炎属性/獣戦士族/攻2300/守1000
「生還の宝札で一枚ドロー! 墓地のマンティコアとフィールドのマンティコアを入れ替える!」
暗黒のマンティコア:効果モンスター/星6/炎属性/獣戦士族/攻2300/守1000
「生還の宝札で一枚ドロー! これで手札は6枚になった。
これ以上はエンドフェイズに持っていても捨てなければならないからな今はよしとしよう。
ターンエンド」
不味い、これはかなりまずい。
相手の手札は6枚、こちらはドローして3枚。
その上、向こうは生還の宝札とのコンボでいくらでもドローできる。
恐らく、このターン中に生還の宝札を破壊できなければ、また同じような戦法を取ってくるだろう。
それ以前に6枚あるならいつ逆転されてもおかしくない。
「くっ、俺のターンドロー!」
俺が引いたカードは、メタモルポッド。
なるほど、悪くない。
この状況においては、使いやすいカードだといえるだろう。
「俺はモンスターを1枚伏せ、カードを2枚伏せてターンエンド!」
迂闊に墓地に送っても生還の宝札の効果で意味をなくしてしまうため、
追撃が出来ない現状では、暗黒のマンティコアを破壊する意味はない。
だが、問題はあからさま過ぎただろうか、という問題。
いや、そのための札も一応用意した。
後は運次第だな。
「我のターン、ドロー! クククッついに諦めたか。ならば、我は激昂のミノタウルスを召喚!」
激昂のミノタウルス:効果モンスター/星4/地属性/獣戦士族/攻1700/守1000
「伏せカードが3枚か、攻撃反応型などがあっては困る、ハリケーンを発動するとしようか」
「トラップ発動! マジックドレイン!
相手はマジックカードを一枚捨ててこのカードを無効にすることが出来る」
「むっ、マジックは……死者転生があるが使わぬ、よって無効化はせぬ」
「ならば大嵐を無効にして破壊する!」
「バトル! 激昂のミノタウルスで伏せモンスターを攻撃! 狂気の魔戦斧!」
「伏せていたのはメタモルポッド! よってそのリバース効果により互いに手札を全て捨ててデッキから5枚ドローする!」
メタモルポッド:効果モンスター/星2/地属性/岩石族/攻 700/守 600
「くっ、考えたな小僧……」
「地が出てるぜ王様!」
「だが、貫通効果ダメージは受けてもらう!」
「ゴァァ!?」
佳克:LP2700→LP1600
はぁ、はぁ、そうだった……このデュエルもまた闇のデュエル。
一気にダメージなんかもらってたら痛みで気絶してしまう。
暗黒のマンティコアの追撃は地帝グランマーグがいる以上ないがそれでも厳しい。
気絶も負けになるからな……闇のデュエルは。
「しかし、手札が入れ替わってしまった故、暗黒のマンティコアのコンボは使えぬようになってしもうた。
ただし、別のコンボがもうすぐ完成する。
次のターンまた地獄を見せてくれようぞ! カードを3枚伏せてターンエンド!」
カードを3枚伏せた、これはまた……。
普通なら攻撃反応型も一枚は入っているものだが、恐らくあれは……。
いや、ブラフの可能性もある。
どちらにしろ一度は何とかせねばならないか。
「俺のターン、ドロー!!」
今回引いたカードは、ギガンテス。
とはいえ、この場でそのまま召喚するわけにはいかない。
俺は、傍らのアウスに向けて視線を投げかける。
「そうね、私もここが重要だと思う。私に出来る限りの事はするわ」
うなずき返しながら言葉をつむぐアウスを見てこのデュエルにかかっているものの重さを再確認する。
闇のデュエルはいつだって命がけになるのだから。
「俺は手札から天使の施しを発動! デッキから3枚ドローし、2枚墓地に捨てる」
墓地に送ったカードはギガンテスと融合呪印生物−地。
そして、ここからが重要だ。
「手札からダークヒーローゾンパイアを召喚!」
ダーク・ヒーロー ゾンバイア:効果モンスター/星4/闇属性/戦士族/攻2100/守 500
「そして、手札からマジックカード死者蘇生を発動! 融合呪印生物−地を特殊召喚!」
融合呪印生物−地:効果モンスター/星3/地属性/岩石族/攻1000/守1600
「トラップ発動! 亜空間物質転送装置! 地帝グランマーグを除外!
そして、ダーク・ヒーロー ゾンバイアと融合呪印生物−地を墓地に送る事でデッキから特殊召喚できる。
現れろ! 異星の最終戦士!!」
異星の最終戦士:融合・効果モンスター/星7/地属性/戦士族/攻2350/守2300
「異星の最終戦士は特殊召喚されたとき、自分フィールド上の全てのモンスターを破壊する。
しかし、今俺のフィールドには他のモンスターはいない。
そして、異星の最終戦士がいる限り互いに、召喚、特殊召喚、反転召喚をすることはできない!」
「まっ、まさか……読んでいたというのか!?」
「あからさまなんだよ、3枚はトラップモンスターなんだろ?」
「くっ!」
「異星の最終戦士の攻撃! パラレルハルマゲドン!!」
「ガッ!?」
バルバロス:LP4800→LP4750
「まだまだ……、この程度で我をどうにかできると思うな!」
「思っちゃいないさ、だがこの状況をどう返す?」
「次のターンを見ていろ!」
「いいだろう、言って置くが当然、エンドフェイズに暗黒のマンティコアを特殊召喚する事は出来ない」
「分かっている」
「そして、亜空間物質転送装置で除外されていた地帝グランマーグは効果によりフィールドに戻ってくる」
地帝グランマーグ:効果モンスター/星6/地属性/岩石族/攻2400/守1000
「なっ、なにぃ!?」
「亜空間物質転送装置によるフィールドへの帰還は特殊召喚扱いじゃないんだよ。
だから、異星の最終戦士を出した後でも戻ってこれる、さあ、これで決まりか?」
「早くターンエンドしろ!」
「ああ、カードを一枚伏せてターンエンドだ」
バルバロスも流石にロックされるとは考えていなかったらしい。
とはいえ、諦めているようにも見えない。
まさか……持っているのか?
「我のターン! ドロー!!
確かに、お主の連携、見事であったわ、しかし、我を倒すには至らぬ。
速攻魔法月の書を発動!」
「トラップ発動! マジックジャマー! カードを一枚捨てて月の書を無効にし、破壊する!」
手札は残り2枚、墓地に送ったのはブロックマンだ。
しかし、流石に限界か、次を防ぐ事は出来ないだろう。
バルバロスも手札を2枚残している。
「さて、後一枚もマジックを防げるカードならば我の負けだな。
しかし、それはありえまい! 手札を一枚捨ててライトニング・ボルテックスを発動する!
相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊!!」
「くっ!」
やはりまだ残していたのか……、破壊系のマジックカードを。
俺が伏せたカードはもう効果を防ぐ事は出来ない。
「クックックックックッ! 貴様ももう終わりだ、永続罠オープン!」
アポピスの化神:罠・通常モンスター/爬虫類族・地・星4・攻1600/守1800
死霊ゾーマ:罠・効果モンスター/アンデット族・闇・星4・攻1800/守500
メタル・リフレクト・スライム:罠・通常モンスター/水族・水・星10・攻0/守3000
「そして、3体の罠モンスターを生贄に、我を召喚!」
神獣王バルバロス:効果モンスター/星8/地属性/獣戦士族/攻3000/守1200
精霊って自分を召喚するのが好きだなと、俺はこんな状態ながら思った。
やはりあれかね、自己主張なのかね?
アウスが少し俺の事をにらむが、まあ実年齢が実年齢なので覚めてるのは許してくれ。
「我が3体の生贄で召喚された時、相手フィールド上のカードを全て破壊する効果が発動する! ワールド・エンド!!」
「トラップ発動! 和睦の使者! このターン、バトルで受ける俺のダメージをゼロにする!」
「なっ!? まだ小細工を……」
「何とでも言えばいいさ。だがこれでこのターンはしのいで見せたわけだ」
「ならば、手札を一枚伏せ、エンドフェイズさきほど手札から墓地に送った、
暗黒のマンティコアを手札の巨大ネズミを捨てて特殊召喚する」
暗黒のマンティコア:効果モンスター/星6/炎属性/獣戦士族/攻2300/守1000
「3枚目まで来ていたのか……」
「クククッ、モンスター破壊カードでも持ってくる事だな」
俺のデッキ内にモンスター破壊カードはほとんどない。
しかし、俺の手札には既に決め手が来ていた。
相手のトラップが何かが怖いものの、あの口ぶりでは恐らくモンスター破壊トラップではないだろう。
俺は、アウスと視線を交す、アウスも同じ読みのようだ。
ならば……。
「俺のターン! ドロー!!」
来た!
巨大化のカード、1ターンで決めるならこれがあったほうが有利である事は間違いない。
「気でも違ったか? フィールドは空、ライフ差は3000以上、今更逆転などできはしまいに」
「いいや、俺の墓地をよく見てみるんだな」
「墓地?」
「今、俺の墓地には岩石族のモンスターが沈んでいる。
激昂のムカムカ、ギガンテス×2、地帝グランマーグ、メタモルポッド、融合呪印生物−地、ブロックマンの7体」
「それがどうか……、まさか!?」
「そうだ、俺はこの7体を除外して特殊召喚する。出でよ! メガロックドラゴン!!」
メガロックドラゴン:効果モンスター/星7/地属性/岩石族/攻 ?/守 ?
「メガロックドラゴンの元々の攻撃力、守備力は、
特殊召喚時に除外した岩石族モンスターの数×700ポイントの数値になる!
俺が除外したのは7体、つまり4900となる!!」
メガロックドラゴン:攻撃?→攻撃4900
「更に、装備魔法巨大化!
この装備カードを装備したモンスターは相手よりライフが低いとき、元々の攻撃力の倍になる!
そう、このメガロックドラゴンは元々の攻撃力が4900となっているため、その攻撃力がそのまま倍になる!」
メガロックドラゴン:攻撃4900→攻撃9800
「攻撃力9800だとぉ!?」
そう、偉大魔獣ガーゼットやモノマネ幻想師などは、巨大化を装備すると元々の攻撃力が0であるため攻撃力0になる。
しかし、メガロックドラゴンなどのモンスターは巨大化などを装備しても元々の攻撃力と判断されるため、
倍にする効果が普通に適用される、リクルートなどが出来ないため、手札に来にくいのは欠点だが、召喚後は強力なのだ。
これで俺に残っているのは手札一枚、しかも速攻魔法のみだ。
ただ、モンスター破壊さえされなければ、このモンスターは守備表示でも強力なため負けないだろう。
しかし、相手ターンにもつれ込むと不味い。
後は本気で運だのみということになる。
「行くぞ! メガロックドラゴンで神獣王バルバロスを攻撃! ギガロックプレス!!」
除外した分だけ大きくなるその巨体でメガロックドラゴンは空中に跳ね上がり落下してくる。
これだけ大きいと回避はほとんど無理だろう。
「くっ、トラップ発動! 援護射撃! 攻撃を受けたダメージステップ時発動!
自分フィールドのもう一体のモンスターの分攻撃力を上げる!
暗黒のマンティコアは攻撃力2300、よって攻撃力2300アップ!」
神獣王バルバロス:攻撃3000→攻撃5300
「わずかばかりでもライフを残すつもりか! だが終わりだ! 速攻魔法発動! 突進! 更に攻撃力が700アップ!」
メガロックドラゴン:攻撃9800→攻撃10500
「グオォォォォォォォ!?!?」
バルバロス:LP4750→LP0
「ふう……」
俺としてもまさかここまで出来るとは思っていなかった。
もしかして初じゃないだろうか攻撃力1万超えは。
アウスも疲れたようで一息ついている。
今回の引きもアウスのお陰と言う事だろう。
「アウス助かった」
「問題ないわ、これも実力の内、それよりも……」
「ああ、バルバロス約束のほうだが」
「分かっておるわ、ただし我をデッキに迎えてふがいないデュエルなどしようものなら……」
「ああ、全力でデュエルするさ」
「フンッ!」
どうやらバルバロスも承知してくれたようだ。
ようやく俺のデッキにも安定したフィニッシャーが出来そうだ。
バルバロス本人は強力な効果こそが自分の本分と思っているようだが、それだけではない。
バルバロスは生贄なしでも召喚できる、妥協召喚ではあるが。
それでも1900、墓地などからの特殊召喚なら攻撃力の低下もないので3000。
そう、ぱっと簡単に攻撃力3000のアタッカーになるのも強みだ。
かなり汎用性が高いため、フィニッシャーばかりではなく、中継ぎなども任せられる。
応用力の高いカードなのだ。
そんなわけで、俺が帰ってみると実は弱いファラオはしっかり十代に倒されていましたとさ。
あとがき
セブンスターズ編のお笑い回である、黒蠍と弱いファラオの回は飛ばす事にしましたw
ゆっくりやってると3年半の放送全てなんてとてもやれそうにないですしw
ともあれ、今回は強化回ということで切り札となりうる2枚のカードを手に入れました。
光帝クライスと神獣王バルバロス、バルバロスUrもだそうかと思ったんですが、
デッキを大幅に変更する必要があるので諦めました。
押していただけると嬉しいです♪
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