銀河英雄伝説 十字の紋章


第十四話 十字、汗をかく。






結婚式から3ヶ月後、駆逐艦の艦長に就任した俺は訓練をする傍ら、色々な人と会っていた。

まず最初に、トリューニヒトを十字教本部に案内、教主リディアーヌ・クレマンソーに会わせる。

事前に、トリューニヒトがどういう人物かは伝えてある。

信頼は出来ないが、能力は高く、十分な利益を与えている限りは裏切らないだろうと。

彼が本当に銀河大統領になるつもりなら、俺と手を組むしか無いのは事実だろうが。

何せ、他と組んだら必ず妥協しなければならないから。

勢いが無くなるまではこちらにつくだろう。


そして、今俺は全く別件ではあるがアレクサンドル・ビュコック准将と対面していた。

アンリ先輩の件で色々あったせいで、俺の事も目に止まったのだろう。

むしろ、今まで接触がまるで無かった事のほうが不思議なくらいではある。

ただ、原作でも老練とは彼を指すと言ったくらいで威圧感が凄い。



「君がジュージ・ナカムラか」

「はい、閣下」

「ふん、部下でもない男に閣下と言われる筋合いはない」

「ではどう呼べば」

「じじいでも、おっさんでもなんでもいい」

「ではビュコックさんで」



まあ、確かに直接の部下ではないし、今は軍務中ではないが。

ビュコック提督にじじいなんて言えそうにはない。

ともあれ、彼との接触はいずれするつもりではいた。



「うちの息子が世話になったようだな」

「いえ、アンリ先輩にはいつも世話になっています」

「ふん、まあいい。お前のおかげでアンリを退役させられたのは感謝している」

「……」

「だが」



原作でも、子供をお国に取られた的な事を言っていたし、理解はできなくもない。

ただまあ、俺は彼の将来を潰したとも言えるからな……。

突っ込まれない訳がない。



「今流行りの新興宗教の教祖とはな……」

「申し訳ありません!!」



俺は思わず土下座しようとしたが、考えてみれば日本式の謝罪なんて知るわけもなかった。

とりあえず立ち上がって腰を90度を超えるほど曲げながら謝罪する。

士官学校式ストレッチがこんな所で役に立つとは……。



「ふん、あ奴は言葉を濁していたが。お前さんが何か大きな事をするために必要なんだろ?

 アンリはそれに乗ったにすぎん」

「はい」

「で、お前さんは何をするつもりだ?」



やはりそこに来るか。

無論、言う事に否やはない。

ただ信じてもらえるかは疑問だ。

初対面で更に息子を誑かした男でもある。



「ありていに言って、勝って戦争を終わらせるためです」

「ほう。それと宗教がどうつながる?」



当然そう来るな。

納得してもらえるかはわからないが。

言うだけ言ってみるか。



「地球教は色々黒い噂がある事を知っていますか?」

「詳しくは知らない。だがキナ臭い話を聞いた事はある。

 サイオキシン麻薬を流通させているのは奴らだとかいうな」

「話はそれだけで終わりません」

「ほう」



俺は詳しく話し始める。

地球教の実態を。

そしてフェザーンの実態を。



「本気で言ってるのか?」

「はい」

「ならお前さんは誇大妄想狂だな」

「そう思われても仕方ないと思っています」



戦争をフェザーンが管理しているとか、フェザーンが地球教徒に牛耳られてるとか。

自由惑星同盟もまたフェザーンによる経済掌握が進んでいるとか。

地球教の広がりはそれが関係しているとか。

そういう事を集中的に語ったのだが、当然そうなる。

証拠もなしに聞けば単なる陰謀論にしか聞こえないだろう。



「だが、アンリはその言葉を信じたのだな?」

「そうですね。そして、地球教の分割という手段に手を貸してくれました」

「その結果があれか?」

「それだけというわけじゃありません。ただこの先はリベラルの人達にとってはあまり好ましい話ではないと思いますが」

「ふん、今更じゃな」



まあ、ビュコック提督はリベラル派閥に近い人ではあるが、別にリベラルを吹聴してもいない。

少なくともシトレ校長に言えないレベルの事を言っても捕まりはしないだろう。



「政治です。先程話した通り私は既にフェザーンの金が政治家連中にも渡っていると見ています」

「だとしてそれが宗教に結びつく?」

「簡単ですよ。得票数です」

「ッ!? 貴様まさか……票を操作するつもりか!」



そう、リベラルの人には絶対受け入れられない。

リベラルの人にとっては目的は手段を正当化しないのだ。

もちろん、俺が天才ならそんな事をするまでもなく政治を正常化するべく動いただろう。

だが、俺にはそこまでしか思いつかない。

だから俺はこの方法を取るしかないんだ。

そして、迷えば先に進まなくなるのは目に見えていた。



「そうですね。強制するつもりはありませんが。自分たちの候補をアピールするくらいなら当然しますよ」

「自分たちの候補……つまり、政治に介入するつもりか。

 お前さんのやろうとしている事は、お前さんの敵がしている事と同じじゃないのか?」

「はい」

「はいだと?」

「はい、同じ事をしていますよ。目的が手段を正当化しないのは理解していますが。

 俺はこのやり方しか知りません。

 もっといい方法があるなら、その方法を取りますが」



これに関しては譲るつもりはない。

そもそも、俺はかなり恵まれているのは理解しているが。

それでも、主人公達と比べれば大したことはない。

特にラインハルトの幸運は戦略戦術を覆しかねない。

入隊が15歳で19歳になる頃には元帥って人を馬鹿にするのも程がある。

大貴族がどうこうの話じゃない、普通に考えれば帝国の存亡をかけた戦いを20回以上彼の手腕で勝たなければならないくらいだ。

原作を見る限り、彼が元帥になる前に艦隊戦に参加したのは片手で数えるほどでしかない。

300程の分隊司令の頃から命令無視で勝手に動き回り、成果が出たら出世。

次はもう3000を率いている。

そして、その次はもう大将になっていたのを記憶している。

物語だから飛び飛びだろうと思うし、その通りではあるが期間を考えてみれば分かる。

分隊司令になってから僅か2年で元帥になるのだ、異例すぎるスピード出世は確かに皇帝のせいだろう。

それでもおかしすぎると思わざるを得ない。

そんなのの相手をするのだ、いくら準備をしてもしすぎるという事はない。



「リベラルの人達が言っているシビリアンコントロールというものですが」

「ん?」

「現実には不可能なんですよ」

「それは共和制の否定か?」

「そうじゃないです。民間の自由さは間違いなく共和制が一番いいと思います。

 帝政にしろ軍政にしろ国民を縛り付けるのは間違いないですから」

「ならば、どうして否定するような事を言う?」

「否定はしていませんよ。俺が言っているのはシビリアンコントロールの事です」

「……」

「有り体に言えば、現状の間接民主制は直接民主制と違い、国民は政治に対し、YESかNOしか言えません。

 それも大規模に署名活動なりをして初めて効果が出ます。

 ですが、企業や宗教等によって自分たちの利益を示されると国民はそちらに向かいます。

 それは署名活動よりも素早く、政府に対し影響を与える事が出来る。

 それはこの国にとって致命傷になりかねない案件なんです」



ここまで言えば理解してくれるだろう。

ただ、俺の主張の理屈はあくまで俺の情報網があっての事。

俺の考え方は理解してくれても納得はしてくれないかもしれない。

だが、ここで下手に嘘をついてもバレるだけだし、彼の様な人間に対しては意味がない。

真剣である事だけ理解してくれたらそれでいい。



「宣伝活動、買収、人質、洗脳、相手は何だってやってきます。

 こちらが対処出来なければそれで終わる。

 それを可能にするためには、色々な力が必要になります。

 結局、共和制だとしても権力も金も必要なんですよ、国を動かすためには」

「国を動かすか……まさかそんな事を考えていたとはな」

「このままじゃ、同盟は負けます。

 今ですらギリギリで成り立っているのに、戦争を続ければ経済が破綻してもおかしくない。

 だけど帝国は違う、貴族達のうちの何割かの首がすげ変わればそれだけであの国は劇的に変わります。

 国民の数がうちの倍いるんです。更には貴族達が溜め込んだ裏金が大量にある。

 もしも、帝国が本格的に摘発に動けばその金を利用して軍の再編が可能になります。

 あちらの軍は帝国軍18個艦隊、貴族艦隊9個艦隊の27艦隊。

 帝国がまだ本気になっていないから負けていないだけというのが同盟の実情です」

「……貴族がまともに動けるとは思えん」

「それを含めても、12個艦隊しかない同盟では、しかも一個艦隊の規模ですら負けています。

 貴族艦隊を気にせずに住むようになれば18個艦隊がやってきてもおかしくない。

 まあ、フェザーンの暗躍が止まらない限りはそんな事はないとは思いますが。

 今度は逆に帝国、同盟を両方疲弊させるという彼らのやり方で苦しめられる事になる」



俺はひたすら俺の知る事を語り続ける。

正しい事を言っているつもりだが、言い訳じみている様に聞こえても仕方ない。

理解してもらおうなんて思うべきじゃなかったかもしれない。

今後、俺にとってマイナスになる気もする。



「言いたい事はわかった。だとしたら何故お前は軍人になった?」

「政治、経済、軍。この3つの力を全て持つ必要があると思ったからです」

「十年あれば将官になってみせますよ」

「ふん、それまでに死ぬ可能性のほうが高かろうが」

「生き汚さには自信があります」

「……」



ビュコック提督は俺の真剣さを見て、からかいを口に出すのをやめた。

だが同時に、相容れないとも思ったのかもしれない。

俺は手を払われ退出を促された。



「アンリの事は感謝している。だから何かあれば一度だけ助けてやる」

「ありがとうございます!」



俺は敬礼をして出ていった。

今日は休みだが、やはり彼の前では気が引きしまる。

一度だけ助けるか、ビュコック提督の事だから本当だろう。

だが、どうせ頼るなら原作が始まった後のほうがいい。

もう一つ貸しを作れるかもしれないしな。



さて、俺の配属された駆逐艦なんだが、名をガラパゴスという。

うん、何万隻も作ってりゃ適当につけるのもあるってのがよく分かる名前だね。

で、駆逐艦ガラパゴスだが最新鋭……なわけもなく。

二世代前の型落ちだ。

とはいえ、型落ちだから使えないというほどのレベルでもない。

旧式艦に名を連ねる様になる寸前といったところか。


そして、艦長として俺が赴任したその艦は30人の人員を抱えている。

ブリッジ要員が6名、機関部人員が5名、砲手が4名となっている。

残り半数は艦内の整備及び生活支援班10名と迎撃用の戦闘班5名にわかれている。

とはいえ、一応は別れているといっても戦闘班は警備の見回り以外は暇があるので生活支援に回る事も多い。

とまあ、だいたいの人員把握はそんな所だ。


俺と会う事が多いのは当然ブリッジ要員だ。

副艦長はエマーソン大尉……え?

うん、似てるだけかと思ったんだがそうではなかった。

そう、ビュコック提督の旗艦リオ・グランテの艦長をするはずの男だ。

最終階級は中佐、原作開始当初から同じ艦長であった可能性が高いから、俺が介入しなければ8年以内にリオ・グランデの艦長になるだろう。

むしろ、何でこんな凄い副艦長のいる船に当たったのか。

まあ、コネも効いてるのかもしないが。

他の面々も原作に名こそ出ていないが、歴戦のツワモノ感のある渋いおっさんばかりだ。

正直艦長の俺が浮き過ぎて辛い。



「完熟訓練はこんな所でいいだろう」

「はっ!」



俺は精一杯虚勢を張って指揮を取っている。

何か問題があれば、エマーソン大尉が進言の形で補佐してくれるため問題は起こっていない。

ただ、かゆい所に手が届きすぎて、俺がいらないというだけの事だ。

それでも虚勢を崩すわけにもいかない。

何せ、それを崩せば艦長の意味すらないからだ。

冷静さと判断力を維持するためにも取り乱すわけにはいかない。



「この艦は二世代前のものだが、諸君の腕もあり十分戦場に耐えうると判断する。

 報告書と身辺整理を済ませ艦隊招集までの2週間休暇を取る事を許可する!」

「はっ!」



身辺整理というのはまあ分かると思うが、艦隊戦で駆逐艦は真っ先に消されかねない。

遺言状や艦内の私物整理をある程度しておけという意味だ。

もちろん死ぬつもりなんざサラサラ無いが。

俺も既に遺言状は弁護士に預けてある。


艦隊連携は艦隊招集の後訓練するのだが、基本、艦隊連携はプログラムで送られてくる指令に従う。

なのであまり時間を掛ける必要はない。

いざという時のため、マニュアルでの操縦は訓練しておくに限るが。

ともあれ、訓練の終了を言い渡して半時間もせずに駆逐艦ガラパゴスはハイネセンの宇宙港に寄港した。

しかし流石に万単位の艦隊を整備しているだけあり、巨大な地下空間にずらーっと艦が並ぶ様は凄まじいものがある。



「艦長、今日の勤務が終了した後、少しお時間を頂きたいのですが」

「構わない。だが書類の整理もある3時間くらいはかかるぞ?」

「私も少し寄る所がありますのでその時間に第七管区の喫茶アルトメアのほうで」

「わかった」



喫茶アルトメアは巨大な軍事施設であるハイネセン軍港の北西にある第七管区の出入り口付近にある喫茶だ。

無人タクシーで行くので基本10分とかからないが、実際は20kmは離れている。

それでも、この艦の寄港地から一番近い出口なのだ。

だから駆逐艦ガラパゴスのメンバーは割と良く立ち寄る場所である。


日も暮れて夕食時を少し過ぎた頃、俺は喫茶アルトメアに足を運んでいた。

エマーソン大尉は奥まった場所に一人座っており、コーヒーとシフォンケーキがテーブルに乗っていた。

いい年したおっさんではあるが、彼の雰囲気もあり貴族ほど洗練されてはいないがかなり似合っている用に見えた。



「どうも、エマーソンさん待たせましたか?」

「いえ、しかしさん付けとは。私のほうが階級が低いのですよ?」

「別に勤務中さえ上官として対応してもらえれば十分ですよ」

「……ほう」



エマーソン大尉は一瞬目を細め、ため息ともつかない一言を言った。

今のはわざとか、それとも本音か、どちらにしろ侮っていたと考えた様だ。

こういった駆け引きが出来る人だとはあまり思っていなかっただけに俺は少し気を引き締める。



「それで、どの様な用件で?」

「はい、少佐は……いえ失礼、ジュージ殿と呼んでも?」

「呼び捨てで構いませんよ」

「流石にそれは……」

「ははは、若造相手に気にする事はないと思いますが」

「いえ、貴方は普通の若造ではありませんのでとても呼び捨てにはできませんよ」

「……と、いいますと?」



俺は少し不思議に思った、彼は原作においては滅び行く同盟に最後まで付き合ったビュコック元帥の仲間の一人。

頭が硬いと言われようと己を貫くタイプだと思っていただけに。

事前の下調べをして俺を呼び出すというのはビュコック提督とその周りの人達のイメージにない。

どういう事だろうか?



「難しい事じゃないですよ。私の子の仕事関係で貴方のペンネームを知っているというだけです」

「なるほど」



業界人なら当然のように俺の事を知っている、俺は漫画、ゲーム、映画、おもちゃ等色々な方向に顔を出しているため、知る人なら知っている。

流石にメディアに直接出る様なマネはしていないが、それでもツテさえあれば知る事はできる。

つまり……。



「おもちゃか映画、それとも雑誌関係で?」

「雑誌です。今やほとんどの雑誌が貴方原案の漫画を掲載している。

 そうでなければ生き残れないほど、貴方は大きな影響力をお持ちだ」

「影響力……まあ、あれば良いんですが。実際の所それほど大きなものじゃないですよ」

「息子が言っていましたよ。貴方に睨まれたら、業界から干されるとね」

「いや、実際誰も干したこと無いですし」

「それはそうでしょう、睨まれるのは個人じゃない。雑誌なら業者全体ですから」



何を考えているんだこの人?

もしかして、俺の関係で息子の業者が干されたとか?

した覚えはないが、直接何か言わなくてもありえないことじゃない。

それに、俺は今ほとんど漫画にはタッチすらしていない、原案を漫画家となった人に送りつけるくらいだ。

それも望めばである、もう既にこちらは漫画の関連事業をそこそこ抑えているので、間接的に利益を得られる。

だから、半ば放置に近い状態になっている。

ただまあ、ネームバリューの問題で俺の原案を必ず雑誌に3つ4つ連載させるのが基本となるので未だその辺は続いている。


ともあれ、そういった恨み節なら対処するしかないだろう。

何より今から命を預ける人だ、絶対に機嫌を損ねたくない。

もっともそれにしては嫌に理性的な話しぶりだ、どうなるやら。



「業者ですか? 直接的に関わらない事も多いですからね。

 間接的にならありえなくもないですが」

「実はその間接的な件なのですが」

「はい」

「この会社なんですが」

「ん?」



これは、もしかして俺が作った会社を通して買収した雑誌会社のライバル会社?

買収した会社はまだ可動したばかりのはずだが。

まー確かに、俺のネームバリューが効いたのか株価は上がっている。

その打撃でも受けたのか?



「不渡りを出したそうで」

「はあ……」

「息子がその……」

「なるほど、就職のお世話なら出来ると思いますが」

「いえ、息子がそこの重役でして」

「なんと、出来る息子さんなんですね」

「それはもう、私よりずっと出来る息子ですよ」



なんとなく判ってきた。

つまり、会社を立て直してほしいのか。

しかしこの人、こんな即物的な事を言うタイプには見えないんだが……。

あー、でも確かに俺がいることで不幸になった人なのは事実なのか……。

はぁ……そりゃ金は荒稼ぎしてるから、そういう事もあるよな。



「会社ごとなんとかすればいいんですか?」

「有り体に言えば」

「不可能ではないですが、問題もあります」

「問題、ですか?」

「反対する人もいるという事です。私は複数の会社を同時に運営するほどのお金もコネもない。

 だから、合併という形でならなんとか出来ますが、その場合どうしても足切りをしてもらうことになる」

「足切り……全員を抱えるのは無理ですか」

「無理とまでは言わないですが、経営が破綻しかねない」

「それは……」



出来うる限りの条件を提示した。

一ヶ月後、合併されたその雑誌社は全体の8割を残す事に成功したらしい。

俺が直接タッチしたのは合併案のみなので、息子さんの手腕なんだろう。



「艦長、感謝します」

「いや、俺は合併案を出しただけだよ」

「実のところ、当初は断られると思っておりました。

 私はリベラル派で通っていたという事もありますし」

「民主主義っていうのはさ、皆が建前と本音を持っている。

 自分の事なら主義を貫けても子供の事では無理なんてことも理解できるよ。

 それに……頑固に思えた副長がそういう人間らしさを持っているのを知れたのは嬉しいと思う」



まあ、当然俺はこの貸しを最大限利用するつもりではあるが。

なにせ、生き残るためには彼の信頼は不可欠だからだ。

これから行くのはあのイゼルローンなのだから、個人で用意出来る範囲で生き残るのは不可能だ。



それから3ヶ月、艦隊合同訓練を終えた俺達はイゼルローンへと向かうのだった。










あとがき


やってしもうた!!

リベラル派といっていいエマーソン艦長を汚れさせてしまった。

とはいえ、実際正面からの圧力に対してはともかく、経済的に締め付けられたら尊厳を保つのは難しいと思われます。

家族がいないならそういう事もあるかと思うのですが、銀河英雄伝説ってその辺綺麗な人と汚い人がはっきり別れすぎてる。

出来れば多少、そういう面もあってほしいという考えがあるのは事実です。

ただ、小物っぽいと思われたらそれは本当に申し訳ないです。

批判されても仕方ないと思っております。



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