造られた者

一騎打ちでの戦いの後、三人と元は家に居た。

「それじゃ聞かせてくれ。この世界のこと」
「そうだな、何処から話すか…」

元は少し悩んだが、話すポイントが決まったのかキリッとした表情で話し始める。

「この世界にはアンデッドと呼ばれる不死身の生命が存在していて、俺はそいつらと戦ってきた。そしてとうとう53番目たるジョーカーを封印した時、俺の役割は終わると思っていた。だが、実際はそうじゃなかった…。一体だけ残っていたんだ、しかもそいつはジョーカーの亜種たる”アルビノジョーカー”だったんだ」

その時、元の顔は暗いものへと変わっていった。

「結果としてあのアルビローチ達が暴れまわってるってことか」

最後の部分を廻が述べると、元は頷いて肯定する。

「バトルファイトにおいて、ジョーカー種が勝ち残ればその先にあるのは…全生命の死滅…」
「となあるとアタシらの役割は…」
「アルビノジョーカーを倒すこと」

廻、流姫、信彦はこの世界の現状と役目を理解した。





世界の救済者、ディロード。九つの世界を巡り、その心は何を映す?





「で、アルビノジョーカーを探す手段は?」
「……そんなもんあったらとっくにバイクのエンジン吹かせて出発だな」

信彦の言葉に元は冷たく言い切った。
それによって場の空気が冷めていく。

「一つ質問」

廻がその場を持たせるための質問を切り出す。

「何だ?」
「お前確かアルビノ以外のアンデッド、全部封印したんだよな?」
「そうだが」
「コンボ使えるカード揃ってんのになんでラウズカード一枚であの技が使えんだ?」

流姫が口にしていた疑問をこのように利用する。

「…あれは合成ラウズカード、アンデッドの能力データをブランクカードに植えつけて二枚以上のラウズを行わなくともコンボ技が出せるようになっている。俺、オリジナルの技を発動する為のカードもあるけどな。ついでに変身に使ったのもカテゴリーA四枚のデータを合成したやつだ」
「ふ?ん」

会話終了。

「………」
「………」
「………」
「………」

沈黙が続いた。

「…帰る」

沈黙に耐えられなくなったのか、元は帰宅宣言。
引き留めても話題にすることは無くなっていたので、三人は何の躊躇いもなく帰したとか。
元は近くに止めてあった紫色のバイク”ヴァイオベクター”を走らせた。

「…なんか気疲れした」
「確かに…。でも、アルビノジョーカーが見つかるまではアルビローチ達を倒していくしかないのかな?」

信彦と流姫はそう言った。

「ちょっと元のところに行って来る」
「ちょ、居場所わかんの?」
「追いかければ良いだろ」

と言って廻は出て行った。



***

廻が出た頃、元はヴァイオベクターで街中を疾走していた。

『仮面ライダークレスト』
「!?」

突然聞こえてきた謎の声。

『俺を探しているのならば出てきてやろう』

その台詞を耳にして元は確信しながらも驚いた。

「アルビノジョーカー!?」
『フフフフフ…』

微笑しながら登場する白き身体に人間に流れる鮮血の如く赤を取り入れた姿、正にそれは”アルビノジョーカー”だった。

「アルビノ…今日こそ貴様を封印する!」

≪CHANGE≫

クレストに変身して武器を構えた。

『たかが人形如きが…!』

≪SPINING WAVE≫

それを聞いた途端、いきなりカードをラウズするとクレストの周囲に竜巻が起こり、手刀部分に力が宿っていく。

「セアァァァ!」

その一撃はアルビノに届いた、しかし…。

『詰めが甘い』

アルビノは手に持った大鎌でスピニングウェーブを防いでいた。
そこからアルビノは掌からエネルギー弾”ヘルファイア”を打ち込む。

「グオォ!?」

ヘルファイアによってダメージを受けたクレスト。
急所に当たったせいか片膝をついてしまう。

『…ようやく、邪魔者が居なくなる』

アルビノは止めを刺そうと歩み寄る。

≪KAMEN RIDE…DEROAD≫

『!?』

そこへいきなりディロードが現れてアルビノの進行上に立った。

「…ディロード」
「やっぱりついて来て正解だった」
『ほ?、お前か。魔王ディロード……我々に怪人にとって最も脅威となる仮面ライダーとは』
「?…そうかもな。俺は目的を邪魔する者には容赦だなんて言葉を持つ覚えは無いしな」

アルビノの言葉に一瞬何だと思ったが、大抵ライダーと怪人は敵対関係なので否定することもなく肯定する。
だが、”魔王”だなんて異名には覚えがなかった。

『厄介な芽は早めに潰すとしよう』
「それなら丁度良い、お前を倒してこの世界から出るとするか」

アルビノは念を押したつもりなのか、アルビローチを誕生させる。

「数ならこっちも負けないがな」

≪ATTACK RIDE…ILLUSION≫

”ディロードイリュージョン”で素早く分身。敵を効率よく倒していく。

「俺もやるか」

クレストはカードをラウズした。

≪GEMINI≫
≪MACH≫

”ダイヤの9”ジェミニゼブラ”で発動する”ゼブラジェミニ”によってクレスト分身を一体生成はすると”スペードの9”マッハジャガー”による”ジャガーマッハ”の高速移動で攻撃を開始する。

「下僕ばっかに戦わせてお前は高みの見物か?」
『俺は手の内も知らぬ者と無鉄砲に戦う趣味はない』

≪ATTACK RIDE…SPEED≫

新たなカードの力”ディロードスピード”で超高速移動したディロードは雑魚(アルビローチ)を無視してアルビノの眼前に出向いた。

「俺ってさ、そういう自分でやるのはともかく敵にそう言う余裕たっぷりな態度とられると腹立つんだよ」
『貴様、いつの間に!?』

余りのスピードのせいで気付くこともできなかったアルビノは大鎌で攻撃しようとする。

―ガギン!!―

「そう、お前自身が来い!」

ライドセイバー、セイバーモードで受け止めたディロードはそのまま鍔迫り合いに持ち込む。

そして、クレストは残りのアルビローチを片づける為にカードをラウズする。

≪FUSION≫
≪ABSORB≫

二枚の上級アンデッドのカード”フュージョンエレファント”と”アブソーブオーキッド”でAPをチャージすると、

≪EXTREAM SHOT≫

すると、クレストシックルが雷・風・炎・氷の四属性エネルギーを纏う。

―斬!!―

三日月の形をしたエネルギーの刃が飛ばされ、残りのアルビローチは全滅する。
そして、ディロードとアルビノの鍔迫り合いの結果は?

『フンッ!』
「ドワァ!?」

力勝負では勝てないとふんだのか、アルビノはヘルファイアでディロードを軽くふっ飛ばして距離をとった。

「セコいな、お前」
『何とでも言うが良い』

そこへ

「それじゃ、言ってあげようじゃないの!カミキリムシ野郎!!」

≪KAMEN RIDE…DI‐GUIDE≫

ディガイドが登場。

「流姫!?」
「あんた一人に行かせると後々が面倒だから来てみれば、しっかりと戦ってるし」
「戦うのが、仮面ライダーだ」
「だからと言って一人で戦わない!」

アルビノは二人が言いあっているときを好機と感じて再びアルビローチを生み出そうとするが、

―バンッ!バンッ!―

ディガイドライバーの銃撃で妨害される。

『くそっ…!』

アルビノはそう言うと、どんな攻撃を受けようとも逃げて行ってしまった。

「逃がしたか…」

ディロードがそう言った時、

「………ッ!!」

急にクレストの雰囲気が変わった。

「何だ?」
「う、う…うあぁぁぁぁ!!」

突然叫び始めるクレスト。
すると、姿が一気に変化して怪人のようになってしまった。

骸骨を連想させる顔、灰色の身体とそれに添うようにある青、バックルにはクレストラウザーに似た青色のバックルがあった。

「これって…!?」

ディガイドはクレストの変化に驚く他無かった。

「元!!」

ディロードは叫ぶも、今返ってくるのは、

『ウオォアァァァ!!』

異形と化した元の咆哮だけだった。

この姿は何なのか?
元は一体何故…?



次回、仮面ライダーディロード

「対アンデッドトライアル…A(エース)!?」
「所詮…俺は…」
『世界が、終わる」
「創造無くして破滅はない!」

”人として…”

全てを救い、全てを砕け!

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