MOVIE大戦2010
破壊と救済の物語。
風と『欲望』の物語。
その二つの物語で誕生した二組の仮面ライダー。
彼らはプラチナとイエローで彩られた世界の境界に区切られながらも、
同じ場所を疾走していた。
――ブゥゥゥゥゥン!!――
金属生命体ドラスと邪眼究極体を倒した直後、ネオ生命体と邪眼精神体が同化・支配するスーパークライシス要塞とスーパーフォッグマザー、そしてマンモスメカとエラスモテリウムオルフェノクの攻撃を優れたバクテクニックでかわすのは、マシンディローダーとマシンディケイダーに乗ったディケイドとディロード。
Wとイーヴィルもバイクと融合したジョイント・ドーパントと、巨大なタイヤに化けたダミー・ドーパントをハードボイルダーとイビルホイーラーで追跡する。
途中、リボルギャリーの体当たりを喰らって体勢を崩すも、すぐに持ち直して逃亡を続ける。
『貴様ら、何故諦めんのだ?』
『もう好い加減、諦めろよ!』
邪眼とジョイントはそう言った。
「諦めるものか!」
「諦めるかッ!!」
しかし、イーヴィルとディロードは決して諦めない。
「俺達が、自分と向き合ってくれた者のことを、忘れない限り!!」
「掛け替えの無い絆を利用し、弄んだ貴様だけは、絶対に許さん!」
ディロードの頭にはユリ子の姿、イーヴィルの頭にはレイズの姿が思い浮かぶ。
『お前らは一体!?』
『貴様ら、何者だ?』
ジョイントと邪眼が聞くと、
「くたばっても憶えとけ!俺は・・・!」
「『私達は・・・!』」
二人の言う台詞、それは・・・!
「『二人で一人の!!』」
「最強最悪の!!」
そして・・・!
「「『仮面ライダーだ!!!』」」
――パリィーーーン!!――
世界を隔てる境界という名の壁は砕け散り、二つの物語は一つとなった!
仮面ライダー×仮面ライダー
イーヴィル&ディロード
MOVIE大戦2010
「なんだアレ!?一体どうなってんだ!?」
平行世界を隔てる境界が無くなったことで現れたスーパークライシス要塞とスーパーフォッグマザーなどに、Wは驚きを隠せない。
『君達も僕と遊びたいのかい?・・・いいよ、遊んであげるよ』
『新たな仮面ライダーよ、滅ぶが良い!』
スーパークライシス要塞とスーパーフォッグマザーはWとイーヴィルにまで攻撃を加え始める。
「あれは・・・」
その時、イーヴィルは見た。
自分達と平行に並んで走る二人の戦士の姿を。
しかし、スーパークライシス要塞とスーパーフォッグマザーは火炎弾と巨大円刃を放ち、四人を攻撃するも、四人のライダーは巧みにそれを避けながら走行し、激しい爆風が起ればそれを背景にジャンプして一気に攻撃の届きにくい場所に行った。
ディケイド・ディロード・W・イーヴィルはそこでバイクを停めた。
「来たな、仮面ライダーW」
「待っていたぞ、仮面ライダーイーヴィル」
ディケイドとディロードがバイクから降りながらそう言うと、Wとイーヴィルもバイクから降りた。
「また会ったな、ディロード」
「お前、確か・・・ディケイド」
――バシューーン!!――
突如、マンモスメカとエラスモテリウムの飛ばした牙と巨大針が四人の近くに降り注いだ。
『素晴らしい!此処は天国か?私が好き勝手するには、最高の世界だ!』
『なんて興味深い!ライダーどもを始末したら、ゆっくりと研究させて貰おう!』
当然の如く、マンモスメカの上にはダミーが乗り、エラスモテリウムはジョイントに支配されていた。
「・・・W、力を貸せ」
「・・・どうする、フィリップ?」
『やるしか無いみたいだね』
『ディロード、力を合わせよう』
「あぁ!」
「行くぞ、皆!」
二組のライダーが協力を決めた。
だがこの隙にダミーとジョイントは、
『『よーし、さぁ行けェェェ!!』』
マンモスメカとエラスモテリウムで踏み潰そうとすると、側面から突如として現れた次元の壁がそれを遮り、24人の仮面ライダーを導く。
『邪魔しないでよ』
『目障りだ、消えろ!』
ネオ生命体と邪眼が機嫌を悪くして駆けつけたライダー達に電撃とエネルギー波を放った。
しかしライダー達は立ち上がる。
「皆、行くぞ!」
「踏ん張りどころだ!」
クウガとSHADOW RXが叫ぶと、ディケイドとディロードはライダーカードを装填。
≪≪FINAL FORMRIDE・・・ALL RIDER≫≫
ライダー達は一斉に一列に並んだ。
「ちょっとくすぐったいぞ」
「ちょっとくすぐったいよ」
「ちょっとくすぐったいですよ」
「ちょっとくすぐったいぞ」
「痛みは一瞬だ」
クウガの背中をアギトが、アギトの背中を龍騎が、龍騎の背中を響鬼が、響鬼の背中をカブトが触り、ディエンドがカブトを発砲すると、クウガゴウラム・アギトトルネイダー・リュウキドラグレッダー・ヒビキアカネタカ・ゼクターカブトにFFRする。
「堪えろよ」
「堪えろよ」
「堪えろよ」
「堪えてね」
「失礼するよ」
テンガの背中を龍焔が、龍焔の背中をシャインが、シャインの背中をネガ電王が触り、ディルードがネガ電王を切り裂くと、テンガイエガン・リュウエンドラグフレイム・シャインバット・ネガデンライナーにFFRさせた。
残った者達は、
ファイズはジェットスライガーを呼び出して空中戦。
ブレイドはジャックフォームとなって空中を飛び回って戦う。
電王はデンライナーに乗ってスーパークライシス要塞に攻撃。
キバもキャッスルドランを召喚してスーパークライシス要塞に攻撃する。
リュードはアギトトルネイダーに乗って戦い、
サタンはテンガイエガンに乗って戦い、
クレストはFLOATのラウズカードで空中戦を可能とし、
輝鬼はカラクリ動物・白金大鷲に乗って、
グライズはシャインバットに乗り、
刻王はコクライナーを操縦して戦う。
ディエンドはヒビキアカネタカにつかまり、ディルードはネガデンライナーを操縦する。
G4もキャッスルドランに搭乗してギガントを発射する。
そしてSHADOW RXはクウガゴウラムに搭乗して勇ましく戦った!
≪FINAL ATTACKRIDE・・・DE・DE・DE・DECADE≫
ディケイドはディメンションブラストを使うも、マンモスメカはそれを糸も容易く弾き、頭部のレーザーユニットから赤いビームを発射する。
【LUNA/METAL】
Wはルナメタルとなってメタルシャフトを伸ばしてマンモスメカに絡ませるが、マンモスメカのパワーが思ったより強く、逆に振り回されて崖に叩きつけられる。
『踏み潰してやる!』
ディケイドがやられそうになると。リボルギャリーが体当たりしたことで助かり、プラットホームが開くと、中からハードタービュラーにのったWが。
「乗れ、ディケイド」
「・・・ハッ!」
ディケイドはハードタービュラーにのり、Wと一緒にマンモスメカに突っ込んでダミーをライドブッカー・ソードモードで攻撃してマンモスメカから引き摺り下ろしたのだ。
『あー痛ててて・・・・・・って!』
「待て!」
ディケイドはダミーを追撃する。
≪FINAL ATTACKRIDE・・・DE・DE・DE・DEROAD≫
ディロードもディメンションエクストラスラッシュを放つも、エラスモテリウムは巨大な口と牙で粉砕。眼から巨大針を発射し続ける。
【MAGICAL/BLASTER】
イーヴィルはマジカルブラスターとなって巨大針を全弾撃ち落す。
【TRICK/BLASTER】
今度はトリックブラスターになり、エラスモテリウムの攻撃を相殺しながら飛び移ると、エラスモテリウムの巨体に手を置いた。
「魔界777ッ能力・・・解放無き束縛」
『化物共々、永久に封印されるが良い!』
イーヴィルの手から現れた赤錆色の鎖はあっと言う間にエラスモテリウムの全身を捕縛する。
『封印などされて堪るか!』
ジョイントはエラスモテリウムの体を捨てた。
『ガルァァァアアアアア!!!』
エラスモテリウムは咆哮を上げるも、それは無謀な抗いであることを示すように全身は光に包まれ、遂にはアラスモテリウムの頭部をモデルにしたシルバーアクセサリーとなって封印される。
「行くぜ!」
『クッ!』
ディロードはジョイントに攻撃を加えた。
スーパークライシス要塞は自身の下半身にあたる部分は反転させることで地上戦艦となった。
これもネオ生命体が同化した結果だろう。
その時、ハードタービュラーで飛行していると、フィリップが提案する。
『翔太郎、コイツを頂こう』
「あぁ」
Wは電撃を上手く避けながら操縦し、タービュラーユニットを切り離してマンモスメカと合体させる。
【HEAT】
ヒートメモリを起動させ、ライトスロットに。
【HEAT/METAL】
ヒートメタルになると同時にマンモスメカは銀色から紅蓮の赤へ変色したハードマンモシャーになった。
『上手くいった!ゾクゾクするね』
フィリップもこの作戦成功に喜んでいるようだ。
Wは操縦席を介してハードマンモシャーを操り、スーパークライシス要塞と激突させる。
「フン!ハァ!」
メタルシャフトで攻撃を加えるも、それは微々たる物。
寧ろ向こうがこっちに与えるのほうがダメージが大きい。
Wもそれを知ってか知らずか、メタルシャフトをしまい、ノーズカッターを起動させるとスーパークライシス要塞の無数の足を一回転して全て叩き折る。
そして思い切り突進してバランスを崩させると、距離をとってヒートメモリをベルトのマキシマムスロットにインサート。
【HEAT・MAXIMUM DRIVE】
ガイアウィスパーと同時にWを含め、ハードマンモシャーも紅炎に包まれ、上空に飛び上がる。
そうすると、一気に突っ込んでいく。ただしWは直前にハードマンモシャーの長い鼻を滑り台にしていくと、飛んできたタービュラーユニットと操縦席が合体し、再びハードタービュラーとなった。
スーパークライシス要塞はハードマンモシャーの特攻を口から喰らってしまい、機体の至るところで爆発が起こり始める。
「自分達の武器でブッ潰れろ!!」
一方、
「魔帝7ッ兵器・・・国を喰う土地」
イーヴィルは全長149mもある頑強な泥巨人(ゴーレム)を召喚。
「よし、それなら」
≪FINAL FORMRIDE・・・DE・DE・DE・DEROAD≫
ディロードは自らを超絶変形させてジャンボディロードライバーにFFR。
国を喰う土地<イビルマッド>に装着し、”全長150mのジャンボディロード・コンプリートフォーム”となったのだ。
≪FINAL KANEN ATTACK FORMRIDE≫
「ハァッ!!」
天空に届く勢いの跳躍。
≪DE・DE・DE・DEROAD≫
20枚のジャンボライダーカードが現れ、それを通り道にしてジャンボディロードの必殺キック・”ジャンボファイナルディメンションキック”が炸裂し、スーパーフォッグマザーを陥落させた。
『(おのれ、仮面ライダー・・・!)』
この時、ディロードは巨大化していて気付くことができなかった。
禍々しい色をした”何か”が、スーパーフォッグマザーから飛び出していたことに。
*****
スーパークライシス要塞内部。
「うわあああぁぁ!!」
スーパー死神博士の首筋から一本のガイアメモリが排出され、砕けた。
そう、園咲琉兵衛はおでん屋で同席していた栄次郎にこのメモリを密かに埋め込んでいたのだ。
【SHINIGAMI HAKASE】
ガイアウィスパー直後にシニガミハカセメモリは完全に壊れた。
「わ、私は・・・?」
正気に戻った栄次郎は自分が今迄してきたことが記憶になく、混乱する。
「おじいちゃん!!」
「大丈夫だった!?」
そこへキバーラとディガイドが登場してきた。
「無事でした?」
「その声は、夏見かい!?」
「はい!早く逃げましょう!」
「・・・・・・二人とも、そういうわけにもいかなそうよ」
ディガイドは要塞のなかに残っていた怪人たちを指差す。
「私がなんとかする。その間に夏海・・・・・・ん?」
ディガイドは気づいた、コンプリートカードに描かれたライダークレストが、ケータッチに装填した途端に一つ増えたことに。
≪GILLS・KNIGHT・KAIXA・CHALICE・ZANKI・GATACK・ZERONOS・IXA・KIVA-LA≫
≪FINAL KAMENRIDE・・・DI-GUIDE≫
ディガイド・コンプリートフォームに強化!
ただし、今回からはキバーラのKRもヒストリーオーナメントに飾られている。
「行くわよ、夏海ちゃん」
「はい、流姫さん」
≪KIVA-LA・KANEN RIDE・EMPRESS≫
キバーラのFKRでヒストリーオーナメントで埋め尽くされると、キバーラの体は出現したジャンボFKRを潜り抜けてフォームチェンジする。
左腕にゴルディワイバーンの亜種たるプラチナワイバーンの一匹・”ドラゴロット”が留まり、頭部にはティアラが取り付けられ、胸には蒼くて巨大な魔皇石が埋め込まれており、鎧全体のイメージも皇后らしくなると、ベースカラーは銀と蒼になった闇夜の女帝”キバーラ・エンプレスフォーム”に強化変身される。
≪FINAL ATTACKRIDE・・・KI・KI・KI・KIVA-LA≫
「ハァァァ・・・!エンプレスクイーンスリング!!」
キバーラは新たな武器・ザンバットアローを構え、矢として使用しているキバーラサーベルに魔皇力を集結させて射抜いた。
『『『ウェアアアアアァァァ!!!』』』
怪人達は一瞬で塵となり、今度こそ三人は無事に要塞から脱出した。
『チェ、もっと遊びたかったのに』
ただ、ネオ生命体も脱出していたことに気づいていなかったが。
*****
そして外ではダミーとジョイントがスーパークライシス要塞とスーパーマザーフォッグの最期を目の当たりにしていた。
『や、ヤバイ!』
『またしても・・・!』
二人のドーパントは悔しそうに逃げ去ろうとする。
しかしそこへネオ生命体はダミー、邪眼精神体がジョイントの目の前に来た。
『ドーパント君。君の意識も身体も頂くね』
『うおっ、んあぁ・・・!?』
ネオ生命体は強制的にダミーと同化し、意識と身体を乗っ取る。
『力を貸せ・・・!その為ならこの魂、くれてやる!!』
『良いだろう。我が一部となるが良い!』
ジョイントは自らを邪眼に差し出し、融合を始めた。
その結果、誕生したのは・・・。
『ジャーン♪』
『来い・・・!』
ネオ生命体の純真無垢な悪意とダミーの薄汚れた心が同化したことで生まれた新しい最強最悪怪人の一体・アルティメットD
邪眼の闇に染まり果てた魂とジョイントの復讐心が混ざり合った存在であり、新しい最強最悪怪人の一体・マスターJ!
『よくも僕の遊びを邪魔したな・・・!お前ら、許さないぞっ!』
アルティメットDは”お前ら”の辺りから声が幼い少年のモノから成人男性のように低い声になる。
『闇の支配者である我に勝てん。・・・滅び去れ!』
マスターJは邪眼と堺の声が重なり合ったかのような中途半端な声色である。
『『うおおおぉぉぉぉぉ!!!』』
アルティメットDとマスターJは四人のライダーに襲い掛かる。
四人のライダーも必死に戦うも、最強最悪の怪人が二体もいるためか悪戦を苦闘を強いられる。
本来なら4対2と聞けば、四人の方が勝つと思うが、それを覆す程にアルティメットDとマスターJは強かったのだ。スピードもパワーも、圧倒的すぎるのだ。
――ボガッ!ドガッ!――
WとイーヴィルはアルティメットDとマスターJに殴られ、3.4mほど吹っ飛ばされる。
「野郎・・・!」
「なめるな!」
【CYCLONE/JOKER】
【MAGICAL/LEADER】
Wはサイクロンジョーカー、イーヴィルはマジカルリーダーにハーフチェンジしてアルティメットDとマスターJに蹴りかかる。
「『「『ハァッ!!』」』」
「「オリャァァ!!」」
四人・・・いや六人の掛け声が重なる。
勢いを取り戻し、このまま一気に形成逆転かと思われたが、
『うぅぅおおおおお!!』
『フゥゥゥン!!』
アルティメットDは禍々しい破壊光弾、マスターJは両腕から邪悪なビームを発射する。
――ドガァァーーーン!!!!――
激しい爆発が起こり、四人のライダーは膝をついてしまう。
しかし、彼らは”諦めない”
『ディケイド、切り札は持ってるよね?』
『今こそ本領を発揮する時だ、ディロード』
「あぁ、ちょっとくすぐったいぞ!」
「さあ、堪えろよ!」
≪FINAL FORMRIDE・・・DOU・DOU・DOU・DOUBLE≫
≪FINAL FORMRIDE・・・E・E・E・EVIL≫
FFRを装填し、ディケイドとディロードはWとイーヴィルのセントラルパーテーションに両手を突っ込み、ゆっくりと腕を大きく開いていくことでWとイーヴィルの身体の分離する。
しかし、分離したと同時に右半身と左半身には、失った半身が実体化して与えられた。
【CYCLONE/CYCLONE】
【JOKER/JOKER】
Wはフィリップの精神は宿る緑色のサイクロンサイクロンと、翔太郎の精神が宿る黒きジョーカージョーカーに分離変形。
【MAGICAL/MAGICAL】
【LEADER/LEADER】
イーヴィルはリインフォースの意識が宿る白銀(プラチナ)のマジカルマジカルと、ゼロの意識が宿る紫色のリーダーリーダーに分離変形。
ここに新たなFFR形態が誕生した!
「行くぞ・・・、。ハァ!」
「これでトドメだ!」
ディケイドとディロードは手叩きと肩回しをした直後にジャンプ。
「行くぜ、フィリップ」
「あぁ」
「キメるぞ、リインフォース」
「えぇ」
サイクロンサイクロン・ジョーカージョーカーと、マジカルマジカル・リーダーリーダーもジャンプした。
≪FINAL ATTACKRIDE・・・DE・DE・DE・DECADE≫
≪FINAL ATTACKRIDE・・・DE・DE・DE・DEROAD≫
「「『ハアァァァァァ!!!!』」」
「「『ゼアァァァァァ!!!!』」」
トリプルエクストリーム!
トリプルブレイクラッシャー!
『『うぅぅおおおおああああああ!!!!』』
六人の究極を超越した最強無敵の合体技が、アルティメットDとマスターJを完全消滅させた!
そして見事着地するとき、ディケイド・ディロード・W・イーヴィルがその雄々しい姿を惜しげなく見せていた。
*****
全てが終わり、四人は変身を解除して互いの顔を見合わせていると、丘の上にいる仮面ライダー達は次元の壁を通って故郷に帰っていった。
「また何かあったら呼んでください」
「何時でも賭け付けるよ」
G4とネガ電王が去り際にそう告げ、今度こそ帰っていく。
士と廻も行こうとするが、なにかを思い出して立ち止まり、ある物取り出す。
「これは、お前らが持っておくべきだ」
「大切にしろよ」
懐から取り出したブランクカメンライドカードを翔太郎とゼロに手渡しする。
「は・・・?おい!」
「何だコレは?」
呼びかけるも、士と廻は次元の壁に入ってしまった。
「翔太郎!」
「あーやっと追いついた!」
「ゼロ、そのカードは一体?」
そこへフィリップと亜樹子が”走って来て”、リインフォースは魔界能力を”通って来る”。
「「・・・ッ」」
すると、ブランクだったKRは、SKULLとDUALのカードとして力を取り戻し、それと同時に次元の壁から二人の仮面ライダーが現れる。
それは紛れも無くスカルとデュアル。
スカルは帽子をとり、デュアルはマフラーを口部分から下ろし、仮面部分の変身を解除して素顔を見せた。
「おやっさん!」
「お父さん!」
「兄上!」
「別の世界の、鳴海壮吉・・・?」
「となると、あのデュアルも異世界の・・・」
皆はそれ相応の反応をする。
「誰だか知らんが、良い顔してるな坊主。帽子がサマになるのは一人前の証拠だ」
別人とはいえ、鳴海壮吉に一番言ってもらいたかった台詞を、師匠と同等の存在である鳴海ソウキチに言ってもらえて、翔太郎は嬉しかった。
「御主、良い覚悟を心に秘めておるな。マフラーも似合っておるし、初めて会った気がせんぞ」
ゼロも別世界の存在とはいえ、兄と同じ存在に言って貰った言葉に、至高の喜びを感じた。
「俺は仮面ライダースカル。・・・またどこかの世界で会おう」
「ワシは無限零図。またの名を仮面ライダーデュアル。機会があれば、何時の日か・・・」
そう言い残し、ソウキチと零図はスカルボイルダーとデモンスプリンターに跨り、次元の壁を越えていった。
「・・・・・・帽子、サマになってるってよ・・・・・・」
「私は、兄上の期待に応えられたのだな・・・」
翔太郎とゼロは薄っすらを喜びの涙を流した。
だけど、
――ボカンッ!×3――
ゼロは翔太郎、フィリップ、亜樹子を気絶させた。
「さて、魔界777ッ能力・・・刻まれた記憶」
タイムパラドックスを回避するため、記憶操作は絶対に忘れない。
そして、それが済むと、魔界能力で現代へと帰っていく。
*****
写真館。
「これで僕たち、元通りの仲間に戻ったね」
「これでこそ、私達って感じよね」
皆は背景ロールの前にいた。
「そうだな。・・・これからも旅は続いていく。なぜなら、旅そのものが俺達の世界だからな」
「その通り、俺達の旅は続いていく。仲間と一緒にね」
『そうそう。私達はいつでも一緒にいる、旅の仲間よ』
士・大樹・ユウスケ・夏海も、再び共に旅路を歩めることを喜び合う。
「それじゃあ、士に廻。次の僕たちの世界を」
大樹がそういうと、士と廻は「「あぁ!」」といって背景ロールを作動させる。
「これは良い。皆、並んで並んで」
栄次郎は皆を並ばせてカメラのファインダーに収める。
――パシャ!――
また一枚、旅の歴史が築かれた。
その時廻は、”地平線の遥か彼方にまで続く一本道”が描かれた背景ロールを見て、今迄出逢って来た仮面ライダーの達のことや、wとイーヴィルのことを思い出して考える。
そうか、俺達も歴史の中の一部に過ぎないっていうことか。・・・ヤレヤレ、旅は終わりそうに無いな。この旅が終わる時なんて・・・仮面ライダーを求める時代がある限り、訪れるわけ無いからな
ディロードの旅は終わらない。
そして、仮面ライダーの歴史も続いていく。
世界の救済者・ディロード。幾つモノ世界を巡り、その心は何を映す?
*****
イーヴィルの世界。
ゼロとリインフォースは墓石の前に立っていた。
墓石には二人が手向けたと思われる百合の花が置いてある。
「・・・・・・帰るぞ、リインフォース。ヴィヴィオ達が待っている」
「えぇ」
でも、ゼロがイビルホイーラーに跨ってもリインフォースは墓石の前に立っている。
「また二人で来ます。・・・・・・・・・・・・義兄さん」
誰にも聞こえないような小さくか細い声。
「おい、なにをやっている?早くしろ」
「わかっている」
そして今度こそ、リインフォースは後部座席に座り、二人はその場を後にした。
私達は生きている。
どんな世界の、どんな街でも・・・家族と一緒に。
あの人の、願いを受け継ぎながら。
*****
同時刻。
秘密基地のような奇妙な部屋で、イーヴィルの戦いを観戦している者がいた。
その者は”シングルドライバー”が装着しており、右手には小奇麗なケース。左手には消滅した筈のジョイントメモリが無傷で回収されていた。
「招待状、デュアル、アナザーT2。・・・折角用意したというのに、全く活かせずに逝ったか」
謎の人物はつまらなそうに呟く。
「・・・次は風都だな。”NEVER”と接触する準備をしなければ。・・・時空管理局から盗み出したアナザーT2は有効に使わせてもらい、財団XのAtoZも拝ませて貰おう・・・」
謎の人物はケースを開けると、ケースの中にはジョイントメモリを含めたAtoZ=26本のガイアメモリが収納されていた。
そして、その内の一本を手中にして、そのメモリの記憶を覚醒させる。
【IMMORTAL】
不滅の記憶が風の都に災いを齎すのは、決して遠くない近い未来だった。
次回はオリジナルライダー達の紹介と解説。
おまけみたいなもんですが、見て読んでもらえたら嬉しいです。
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