機動戦艦ナデシコ×DARKER THAN BLACK
―瑠璃色の太陽に抱かれ―
作者 まぁ



 ――――交差する電子の妖精と黒の死神

 出会いは運命の悪戯。
 アキトとユリカを失ったルリは失意のまま一日中誰もいない浜辺で海を何日も眺めていた。
 何日経ったか、ふと気配もなく黒の死神は現れた。

「あなたも、大切な人を亡くしたんですね。私もです。家族を……亡くしたんです」
「……そうか」

 お互いに掛替えのない存在を失った2人は、傷を癒すように寄り添った。
 涙を流さないルリに、黒はルリの頭を優しく抱き寄せる。
 人肌に触れ、塞き止めていた涙が決壊したように溢れる。
 日が沈んでもルリは黒の胸の中から離れることはなかった。


   ◆


 ――――いつしか、大切なものを失った2人は共同生活が始まる

 自然と始まったルリと黒の不思議な共同生活。
 深夜、腕の違和感に目が覚めた黒。
 その腕にはルリが頭を乗せて眠っている。
 ルリは毎晩、眠っている黒の布団に忍び込んでくる。そして、涙を流しながらつぶやくのだ。

「アキトさん……アキト……さん、ユリカさん」

 失った大切な人の名前を何度も何度も……。


   ◆


 ――――電子の妖精は、テンカワアキト――prince of darkness が待つ宇宙へ黒の死神と共に

「黒さん、私は軍に復帰しようと思います」
「そう……か。その方が安全だな。何度も襲撃を受けたからな」
「はい……だから、一緒に来て私を守ってくれませんか?」

 差し出されたルリの手に吸い込まれるように黒は手を取る。
 ルリにとって他の誰よりも信頼できる人となった黒に差し出した手。
 黒もいつしかルリの事を大切に思っていた。
 妹の(パイ)、パートナーの(イン)、仲間の蘇芳(すおう)と同じように……。
 だから自然に黒はルリの手を取った。

 2人はオモイカネと新しいナデシコクルーと共に、prince of darknessが待つ宇宙へと帰っていく。


   ◆


 ――――黒の死神によって危機に直面するナデシコ

「なんで……なんでですか!? 黒さん!」
「……」

 補給まで残り一週間。
 空になる食料庫。
 鳴り響く黒の腹の虫。

 冷たい方程式が静かに顔を出した。


   ◆


 ――――始まる火星の後継者たちの復讐
 ――――渦巻く思惑
 ――――冷たい方程式と戦うナデシコクルーたち

 ――――くだされる奇襲戦

『やぁルリ君。君と後ろにいる彼にしか出来ない作戦なんだ。
 こっちの切り札を切る時が来たみたいだね』

 ネルガルの会長アカツキ・ナガレに呼び出されたルリと黒。
 そこでルリは思わぬ再会を果たす。

「アキト……さん。生きてたんですね……!

 あ、それとイネスさんも」

「ナデシコを冷たい方程式に追い詰めた黒の死神と、

 味覚は失ったとはいえコックのテンカワ君。
 テンカワ君の味を覚えているルリ君。
 イネス博士は…………うん。

 ――さぁ、それではこの4人で火星の後継者に一泡浮かせようじゃないか!」

 開始される誰もが予想だにしなかった奇襲。


   ◆


 ――――黒の死神とprince of darknessの会合

 大きく黒いバイザーを着けたアキトと、仮面を着けた黒。
 2人は見つめ合う。
 それを近くで見ていたルリは、お互いの変な格好について何か言いたいのだろうか? っと思いつつも黙ってみている。
 しばらく2人は言葉も発せず、見つめ合う。
 先に口を開いたのはアキト。

「その仮面……」
「そのバイザー……」
「「いいな!」」

 なぜかお互いの変な格好を褒め合い始めたアキトと黒。
 何時の間にか、ガシッと力強く握手が交わされている。
 それからはお互いにこだわっている格好について話し合い、褒め合っている。
 会って1時間も経っていないはずの2人の間にはルリには理解しがたい絆が出来上がっていた。


   ◆


 ――――奇襲により徐々に追い詰められる火星の後継者達

「なぜだ! なぜ……」
「閣下! またやられました!」
「っく……あの男はブラックホールか!!?」

 焦る火星の後継者達。
 トップである草壁もモニタに映る惨劇を見ているしかできない。

「既に今日だけで20人はやられている……」

 モニタには、黒が余裕綽々とスープを啜っている。
 その横で身動きを取れずに、動けない火星の後継者がプルプルと震えている。

「なぜ大食い対決で勝てないのだ! あの者はあそこに倒れている20人が食べたよりも多くの料理を食べたのだぞ!!?
 なぜ余裕を見せるのだ!」

 アカツキ・ナガレが仕掛けた奇襲は、優勢だった火星の後継者達を確実に追い詰めた。


   ◆


 ――――奇襲の末に

「やられました……」
「まだだ! まだ北辰がいる!!」
「あのガリガリをあの化け物の前にだすのですか!!?」
「北辰ならば勝ってくれる!」

 草壁の変な期待を胸に北辰は黒の前に立つ。

「クククク……奇天烈な勝負、受けて経とう。黒の死神」
「お前達に勝ちは無くなった……」
「やってみなければわからない」


   ◆


 ――――アマテラス崩壊から始まった火星の後継者の襲撃
 ――――未だかつて、歴史上誰も見た事もない無血作戦が火星を席巻する。

「でっきましたー!!」

 満面の笑みのミスマルユリカ。
 その手には、“料理らしきモノ”が煙を上げながら盛られた皿がドッシリと持たれていた。

「「!!!?」」

 ユリカの手料理と気づいたアキトとルリは、目をひん剥いて思考全てが停止する。
 “料理らしきモノ”はゆっくりと黒と火星の後継者の元へと運び込まれる。


   ◆


 ――――混乱を極める火星はどのような結末を迎えるのか
 ――――果たして、黒は生きて帰れるのか
 ――――火星の台所事情はどうなってしまうのか

「好きです……誰よりも」

 ルリの告白のその先にはいったいだれが……





 【瑠璃色の太陽に抱かれ】

 作者:まぁ


 いつの日か連載……するかも?





お久しぶりです、まぁです。

本当に久しぶりに……一年強ぶりに投稿させていただきました。

絵の方ではちらほらと顔を出していたんですが……SSは諸事情により中々出せずじまいでした。

『ふたつの大樹は世界を揺らす』
『電波的なヴィヴィオ』
『紅のなのは』

 まだまだ出したい話は一杯あるんですがねw

 なんとか出せるように頑張ってみますが、いつになるやらw


 そして、今回初の挑戦をしたのが、嘘予告です。

 お世話なってるシルフェニアの7000万記念だから記念作品書きたいなーっと思いつつ、

 書き始めてみると時間はなくなっていくし、出せるの来年じゃね? って思うような忙しさでした……。

 その結果、私のアドバイザー的な御方から、

 「嘘予告でいいんでね?」

 的なお言葉を貰った結果、この作品は出来ました。

 嘘予告といっても、作品の全てのプロットは全て組んでから書き始めたので、長編にしようと思えば出来るんですがね……ハハハ


 まぁ言い訳的なお話をグダグダと書いても面白くないので、

 私なりに精一杯遊びを入れたので、存分に楽しんでくださいますと嬉しいです。

 感想お待ちしています。



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.