神の代行者 第1話 


翌朝

浩介サイド

屋敷の地下室

その薄暗い部屋の中に、人形を持って俺はいた。

「始めてくれ」

「了解しました。シミュレーター起動します」

シミュレーターが起動し、木人達が襲い掛かってくる。

「散れ!!」

一体の木人を蹴りで壊す。

しかし、そうしている間に、次々と木人達は襲いかかってくる。
     オフ
「くっ!!消えろ」

木人達が、砂になっていく。

それに伴って、手にもった人形も消える。

「もういい」

「了解しました。シミュレーターを終了します」

シミュレーターが消える。

「これじゃ、ダメだ。力を使った時、あいつも一緒に消しちまう」

ちっ、と地面を蹴る

「今度こそ守るって決めたのに……」

「そういや、あいつの名前どうしよう?」

少し、考えてみる。



「浩君。見てみて、桜だよ桜」

「それがどうしたんだよ」

「すっごく、綺麗でしょ? いつか、一緒に見たいと思ってたんだ」

彼女は微笑みながらそう言った。

「確かに、綺麗だ。君よりは劣るけどな」

「お褒めの言葉感謝します。来年も来ようね」

「ああ」

そう約束した。しかし、その約束が果たされ無かった。



「桜にしよう。百合のことを、忘れないためにも。彼女を、百合と同じにはさせないと言う、誓いの意味も含めて」

そう決意し、地下室を後にする……




桜サイド


「ん……」

目がさめた。

周りを見渡す。

閉まっていた窓は開いていて、一緒に寝ていたはずの浩介さんはいなかった。

――浩介さん、どこいったんだろう?

くう〜〜〜〜〜

腹が鳴る

「……おなか空いたな」

ベットから起き上がり、姿見の前に立つ。

「変なところは、無いよね」

適当に髪を整え、キッチンへ向かう。


キッチン

冷蔵庫には沢山の食材があって、どんなものを作ろうか迷ってしまった。

「普通のものを作ろう」

冷蔵庫から、卵と、野菜を取り出し、サラダを作る。

その間に、パンをトースターにセットする。

「おはよう。なにを作ってるんだい?」

どこからか、浩介さんが現れた。

「あ、おはようございます。サラダを作ってるんです。もう少しで出来ますから。待っていてください」

「わかった」

浩介さんが、居間の方へ行く。

「さあ、がんばろう」

少し、気合を入れて作る。

――誰かに食べてもらうって思うと、うれいしいな。

少し、笑みがこぼれる。

「〜〜〜〜〜」

鼻歌を奏でながら、スープに取り掛かる。


2分後

「できた」

出来たものをお盆に載せて、居間に運ぼうとした時、浩介さんが見に来た。

「何か手伝うことは、あるか?」

「ちょうどいいところに来ました。これ、運んでくれますか?」

そう言って、お盆を差し出す。

「わかった」

浩介さんは、お盆を持って、居間に行く。

私はそのあとをついて行く。


居間

「うまい」

「本当ですか!!」

「ああ」

「よかった〜。私、料理とかあまりした事が無くて」

あまり料理をした事がないと言ったら、浩介さんは驚いていた。

「ほとんどやらないのに、ここまで上手いとは、やはり、百合の記憶が…?」

「なにか言いましたか?」

「いや、なんでもない」

他愛のない話をして、食事を終える。

「片付けますね」

「手伝おう」

私が食器を片付けようとしたら、浩介さんが手伝ってくれた。

「ありがとうございます。あ、忘れてました」

私は、キッチンに向かう途中、聞きたかったことを聞いた。

「なんだ?」

「私の名前、考えてくれましたか?」

「桜だ」

「桜…ですか。いい名前だと思います」

私は、そう言って、浩介さんに微笑みかける。

「そうか。喜んでくれてうれしいよ」

浩介さんも微笑み返した。

――あれ? 少し揺れた? 気のせいよね。

「それじゃあ俺は出かけるから。片付けがんばれよ」

「はい。それじゃあ、気をつけて」

「ああ」

そう言って。浩介さんは何処かへ行った。

「片付け。がんばるぞ〜!!」

私は、とり合えず洗い物を片付けることにした。





浩介サイド


桜とわかれた後、俺は、この家の地下にある、祭壇に向かっていた。

「なぜ、こうも人の身は脆い!!」

廊下の壁を殴る。

「……祭壇に急がなくては」

服を正装へ変える。

足を速め、地下に向かう。


地下

そこには、亡者どもがいた。

「ふっ。俺を舐めているのか? ふざけるな」

神気を解き放つ。

亡者どもがうろたえる。

「貴様等ごときにこの祭壇は渡さん」

空中から鎌を取り出し、振るう。

祭壇に群がっていた亡者どもを切り刻んでいく。

亡者どもを切り倒した後、祭壇に上る。

「力を使えないというのは、不便だな。勘を取り戻さなくては…」

そういって。祠にいる親父との念話を開始する。

「親父、聞こえるか?」

「あ、久しぶり。元気してた?」

「昨日あったばかりじゃないですか」

こんなのが自分の父親だとは、少し思いたくない。

「で、何の用だい?」

「そっちにある、本体を送ってくれないか?」

「……何をするつもりだ」

「この国に攻め込んできてる、国の軍隊を滅ぼしてやろうと思ってね」

そう、返事をすると、返答に少し間があった。

「…………よかろう。その愚かなる人を滅ぼすがいい」

「イエス。マイマスター」

「今、送った。もうそろそろ、着くはずだ」

親父がそう言った直後、目の前に俺の本体が落ちてくる。

「サンキュー。じゃ、また後で」

「……死ぬなよ」

「人間ごときに殺されると思うか?」

「……母さんのようにはしたくないのだ」

「……わかってる。それじゃあ」

「うむ」

念話を終える。

「さて、替えますか」

本体に限りなく似せた偽者の体から出て、本体に入る。

「やっぱり、こうじゃなくちゃ」

体を少し動かし。異常が無いか確認する。

「間接が少し硬いか。封印させてたからしかたないか」

間接をほぐし、戦闘用の服を纏う。

「行くか。人間ども覚悟しろよ

今、軍隊がいる場所を確認し、飛ぶ。


荒野


人間界とは違うあちら側の空間から、荒野を見る

そこではちょうど、3人の能力者と鉄の国の軍が戦闘をしていた。

――何も知らない人が見たら、鉄の国が有利だと思うだろうけど、能力者たちのほうが今は、有利だな。

軍5個師団と、たった三人の子供が戦っているのだ、普通はそう思うだろう。

――指揮官が屑だな。火と水を一緒に使っちゃダメだろ。反作用で力が弱くなっちまう。せめて、風がいればなんとかなるんだが…。いや、水と土が上手く立ち 回ればなんとかなるかも……

そんなことを考えている間にも、戦況は進む。

「あ、やられた」

気配的に水の能力者だろうか、その少年が砲撃を受け、宙を舞う。

「そろそろ助けますか。種族を超越できる可能性を持ったものを見殺しにすると、長老達がうるさいからな〜」

次元の狭間から出て、一方的に攻撃を開始する。

「フェアリー、1〜10コール セット ロック リリース」

流れるような動作で、爆弾をこちら側に呼びだし、敵に狙いをつけて、放った。

ドガアアアア

フェアリー一発が、大型ミサイルと同じ威力を有しているため、敵はあっという間に減った。

「うん。いいね」

そんなことを言っていると、能力者の1人が、炎をぶっ放してきた。

「あぶねえ」

飛んできた炎を片手で握りつぶしながら言う。

「貴様、何者だ?」

「私か?私は貴様等が神と崇めるものの一柱よ」

その言葉を聞いて、少年の顔に驚愕の色が浮かぶが、すぐに消えた。

「神だと?そんなはずは無い、彼等は最果ての地に行ったはず……」

「でも、いるもんはいるんだよ。後かたずけ任せたから」

そう言って消えようとする……が

「まて」

「?」

「なんで俺らを助けた」

待ってました、って感じの顔で返事をする。

「それはね、君たちが人間という枠組みを越えた存在ということと、
少年少女を虐めるのは、私だけで良いかなって思ったから。
あと、お前達が、私たちと同じ領域に立つことのできるものになれるからだよ
そんだけ。理解した?」

「あ、ああ」

「うん。いい子だ。後これ、私の電話番号と住所。用があったら来なさい。それじゃあ」

住所と電話番号の書いてある紙を強引に渡し、家に帰る。

「……なんだったんだ、あの人は」


祭壇 


人間の体に戻り、いつものように、体を封印しようとする。

突如、体に異変が起きた。

「くっ……」

封印したはずの、忌々しい記憶が蘇る。


この失敗作め      

         化け物の分際で

                       親殺しが

反逆者

         やはりこやつは処分すべきでは? 
                       
                        人間に恋をするなど、やはりやつの子か。

そやつを処分しよう
         
         人形は人形のままでいればよい

                       感情など消してしまえ

面汚しめが



「だまれ!!」

忌々しい糞爺どもの顔が浮かび、罵詈雑言を浴びせる。

「貴様等の人形にはならん!!」

祭壇の壁を殴る。

次に蘇るのは、あの桜の木下での出来事。

あの糞爺どもは、俺の心を壊すために、俺自身に百合を殺させた。

俺の体を操って…

「・……」

「浩くん?」

「死ね」

「えっ?」

ザシュ

俺の腕が彼女の体を貫く。

「浩くん…なん…で」

彼女が倒れる、そこで体の自由を取り戻せた。

「百合!!すまん。俺、俺…」

「浩…くん。よかっ…た。自分を…取り…戻せ…たんだ…ね…」

「もういい。喋るな!!」

「ごめん、もう…助から…ないん…だ」

「なんで、そんなこと言うんだよ!!」

「ごめん……ね。最後に、浩君と…一緒に…みたかった…な」

そう言って、彼女は息を引き取った。

「百合?百合?おい、返事しろよ。百合ぃ!!!」

俺は、一晩中泣き続けた。彼女の骸を抱いたまま…


その後、癪に障るが、あの爺どもの下で、人形を演じることになった。

「再封印開始」

祭壇中央にある、泉に、体を投げ込む。

「〜〜〜〜〜〜〜」

人には理解できぬ言語で、封印の呪文を唱える。 

「再封印完了。能力封印。結界展開」

泉が凍る。

俺の体は、再び使われる時まで、眠りにつくことになった。

「今日はもう寝よう。体が持たない。報告もしなくては…」

そのあと、神界へ報告を済まし、リビングに向かう。

なぜなら、二階にある自室へ向かうためには、リビングを必ず通らなければならないのだ。

めんど〜。


リビング

朝に出て行ったの時とは、びっくりするほど綺麗になっていた。

「………」

「あ、浩介さんお帰りなさい」

桜が部屋の奥から出てくる。

先ほどまで掃除をしていたのか、顔が少し汚れている。

「掃除をしていたのか」

「はい。なんだか気になっちゃって。だめ、でしたか?」

恐る恐る、聞いてくる

「いや、別にかまわない」

「ありがとうございます。疲れているみたいですが、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。俺はもう寝る。それじゃあおやすみ」

「おやすみなさい」

桜と別れ、寝室へと向かう。

寝室につくと、ベットに倒れこみ、そのまま眠りに付いてしまった。



後書き

テスト期間中なのに、小説を書いてしまった無です。

今回は、名無しの能力者が、3人出てきました。名前はいずれ決まるでしょう、多分。

ちょっとした秘密が暴かれました。

これからも、ちょくちょく出していこうと思います。

次回をお楽しみに〜。

って、忘れてました。

今回出てきた、用語∩武器説明


あちら側

神族のみが持つことのできる空間。

一人あたり、二つまで有することが出来、その中には、武器や古文書などが入っている。

この空間を経由すると、人間界のどこにでも現れることができる。

簡単に言うと、ドラえもんのどこでもドアと、四次元ポケットが一緒になった感じですね。


フェアリー

妖精の名を冠する、小型爆弾

一発辺り、大型ミサイルと同じ威力がある

その威力ゆえ、あまり使われず、あちら側には沢山残っている


以上です。

今度こそ、さようなら〜



感想

無さん第一話を送ってこられました!

作品の内容は分からない部分も多いですが、

能力者を国家レベルで作り出している団体としての軍と作り出された後に反乱を起こした超能力者たち。

そして、超能力者をも超越し神の領域の力を手に入れた存在。

浩介君が父と呼ぶ神や浩介君自身がその領域にあるみたいですね。

しかし、人を滅ぼすというのは穏やかではないですね〜

今までの彼等の行動を見るに、全ての人は進化しろ、さもなければ全て滅ぼすとそう言っているわけですから、

当然一般人など関係ないと言うことになりますね。

そんな事を気にしていたの? 私の妹なんて世界を滅ぼしちゃうんだから!  大丈夫人類くらい滅ぼしたって可愛ければ問題なし!

世の中に可愛いという事以上の
価値なんてないんですから♪

うわっ! 言い切ってしまいますか(汗)

きっと世界も可愛さの前にはひざまずくわ〜♪

ははは…(そんな世界嫌!)

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