隠されたら知りたくなる。人の心理であり自身を優位に立たせるためにも人の隠す秘密を知ろうとする。
ああ、なぜ知らなくてもいいことに人は手を出すのだろうか?愚かにも、愚かにも探究する大馬鹿者。
けれども・・・・。
「ラット1からグランパへB13ブロックロックの解除成功。」
「グランパ了解した。ラット1は、そのまま研究施設へ潜入せよ。」
「ラット1了解。」
人は危険を冒して未知へと挑戦していく。ああ、愚か。ああ、愚か。
「グランパへ。研究施設への潜入に成功。・・・・こいつは」
愚か故に後々わかる。これは、知ってはいけないものだと。
マブラヴ・リヴァイヴ
第4話「隠す者(中編)」
消毒液臭いと白で染められた独特の部屋。医務室、病院の白というイメージが心を落ち着かせるのかもしれないが彼、白銀武にとっても白とは縁が深い。けれども個人として別に好きではなかった。
「ふむ。異常なし・・・か。」
眉間にしわを寄せて武の検査結果を見ている。
「先生。その言い方だと異常があってほしいように聞こえますよ。」
「いや、そんなことはないよ。うん。」
聞き手であるほうからしてみれば、白衣の男、沙霧の言葉には異常があってほしいそのように聞こえた。
「まぁ、いいんですけどね。」
理由を聞いたとしてもわからないだろう。異常がなければそれでいい。
「そういえば、白銀君は、訓練兵だったね。」
「そうですけど?」
「・・・なら、彩峰慧を、知ってるかな。」
武は、首をかしげた。訓練兵の事を聞いてくるならば確かに知り合いがいるから聞いてくるのだろう。
しかし、彼の顔には曇ったように聞いてくる。それがどうも、釈然としない。
「まぁ、同じ部隊すから顔は見知ってますよ。」
「そうか。彼女は、元気かな?」
「元気ですよ。っていうか、会いに行けばいいでしょうに同じ基地内なんだから。」
その言葉に寂しそうな顔をして否定する形で首を振った。
「いや、彼女には会えない。僕は彼女に酷いことをしてしまった。だから、会えない。」
教会で神に罪を懺悔する信徒のように眼の中に深い罪悪が目を細めさせ唇を強く噛みしめていた。
「あ、すまない。愚痴をこぼしてしまったね。」
「いや、誰だって愚痴をこぼしたいときはありますよ。今回のことは俺の中で秘密にしておきますよ。」
「ああ、助かるよ。」
医務室を出て廊下を歩いて行くと水色の髪をした女の子と彩峰が何やら会話をしていた。
彩峰が会話をしているのを見ていると水色の髪の子がこちらに気づいて目線を向けてきた。つられて彩峰もこちらの顔を見て嫌そうに顔をそらしてきた。
(なんだ?昨日のことをまだ気にしてるのか?)
彩峰は意識して武と目を合わせないようにしているのが読み取れた。それは、怒りという感情はなかった。
前に何度も見たあの表情、期待していた人や物に裏切られた失望という感情が小さく見えていた。
「ねぇ、君。」
「うぉ!」
水色髪の少女が武の目の前に現れた。怪訝そうに武の全身をジロジロと見る。そして、少し考えたあと。
「う〜ん、君がもしかして噂に聞いてた新戦力なのかな?」
「新戦力?」
「そう207分隊にきた男。噂だと100キロ離れた相手を狙撃したり、中国暗殺術の使い手だとか。」
「ああ、どこか、間違えた情報が入ってるな。」
「ええっ、そうなの!?ああ、100キロ離れた地点での狙撃する作戦なんて戦術機でも使わないと無理だよ・・・ね?・・・あれ〜、てことは皆は、もう卒業しちゃったてこと?」
「いや、まだ卒業してねぇよ。っていうか、さっき彩峰もまだ訓練兵の制服だったろう。」
「あ〜、そうだね。ドキドキしたよ〜。ところで、君は誰だっけ?」
「お前ね。俺は、白銀武だ。よろしく頼むぜ。」
ため息をはいてポンポンと彼女の頭をやさしくなでる。
「ん?この手はなに?」
「気にすんな。」
「う〜ん、わかったよ。あ、そうそう僕の名前を言っておかないとね。僕の名前は、美琴。鎧衣美琴だよ。」
ニッコリと明るい笑みを浮かべていた。それを見て武も笑みを返す。また、ポンポンと頭を撫で始めた。
「・・・・・。」
それを見ていた彩峰は、一瞬、顔を歪め、足早にその場を離れていった。
「なんだ?彩峰の奴?」
「慧さんも頭なでてほしかったのかな?」
「まぁさかぁ!」
武は彩峰の頭を撫でるところを想像してみる・・・少し顔を赤らめて顔を武からそらして初心な少女のような顔をして黙ったままだった。
『ねぇ、白銀・・・。』
『どうしたんだ彩峰?』
『うん・・・お願いがある。』
スッと顔を上げて濡れた瞳と紅潮した顔で武の顔をジッと見つめる。それに対して武も覚悟を決めた顔をした。
「悪くない。」
「そうだね。頭をなでてもらえるのは嬉しいよね。子供にもどれたみたいで、そうそう子供といえばね。」
邪な妄想に対し頭を撫でてもらうことへの同意をする美琴。はたから見ていて不思議に思っている。
「?」
霞ちゃんがいたとかいないとか。
パチンッ!乾いた音が響く。堅い木の板の上に同じく木で作られた駒が盤上を戦場として駒を動かし敵の駒を狩る。
将棋という日本の遊戯となっている。しかし、単なる四角い板の上で遊ぶゲーム。西洋のチェスなど似たようなゲームは多々ある。また、将棋は古代インドのゲームをもとにしているとも言われている。
狭いマスの上で自身の駒を戦わせるという点では同じであるといえる。だが、多いに違うのは、倒した駒を自分の物にできるというところだ。
「銀・・・捕ったわ。」
銀将のいた場所から将が消えて角がその場に現れて我が物顔で成り上がった顔を見せるかのように裏側になった。
「はい、ごくろうさん。」
ただ、次の瞬間には角が消えた。元から配置していた駒がスムーズに角を消し去った。
それを見て対戦相手の眼鏡が光った。獲物を罠に嵌めた瞬間を喜ぶ狩人のように笑みを浮かべ相手の駒を奪う。
「どう?あと一手であなたの首がとぶわよ?」
「いいや、あと一手遅かったんじゃないかね。」
「なんですって。」
怪訝な顔をしながら相手の顔をする。しかし、相手が自分の角を手にした瞬間に相手のもくろみに気づき親指の爪を噛む。
自分が王手を取るために犠牲にした角が盤上におかれる。
「ほい、王手。・・・んで。」
言葉を催促する。その目は、敗者を決定つける勝者の視線が敗者である人物をみつめる。
屈辱に顔を歪める。敗者が語る言葉は一つしかない。その言葉が敗者から勝者へと向けられることにより決着がつく。
「・・・・参りました。」
参りましたという降伏の言葉により決着がついた。そして、周りからパチパチと小さな拍手が起きる。207分隊の面々が辺りを囲んで将棋の決着を見ていた。
「まさか、貴方に負けるとはね。別に言い訳しないけど侮っていたわ。」
「それが命取りになる。まぁ、こんな駒じゃ戦場を体験できるわけがないから気にすんな。」
「慰め?」
目を細めて睨んでくる対戦相手・・・榊千鶴が武を睨む。それを見て息をふ〜っとはく。
「女の子を慰めれるほど経験は豊富じゃないんでね。」
「そう?あなた結構、女遊びしているタイプに見えるけど。」
自分でも思っていないことを言われ目をパチパチしてスッと後ろを見る。
「榊の言う通りだな。」
「あははは。」
「う〜ん、会ったばかりでなんだけど・・・僕も同意できないね。なんていうか会った瞬間に女の子を口説きそうだね。」
千鶴の言葉を否定してほしいのだが全員が千鶴の言葉を肯定する。これでは、「自分の性格が軽薄な人になってしまっているじゃないか」ということに頭を抱える。少し息を整え目の前にいる少女たちに注意しようとする。
「お前らね・・・。」
「あ、あれですよね。タケルさんは、優しいから困っている人を放っておけないんですよね?」
珠瀬が必死にフォローをしようとしているのを見て心の中に熱いものを感じる。
もし、周りに人がいなければ抱きついて頬ずりをしていたかもしれない。
「まぁ、優しいだけじゃね。」
「お前ね、俺のこと嫌いだろ。ええ!委員長。」
「だから、委員長じゃないわよ!」
いがみ合う二人に対して止めようとする珠瀬と美琴。そして、呆れる冥夜達を見ながら1人席を立った人物がいた。
「ん?どうした彩峰。」
「別に・・・。」
冷たく言葉を吐き捨てメンバーから離れようとして武は、そんな彼女に対して苦笑している。
だが、千鶴は、そうはいかなかった。和を乱すこと嫌う彼女にとって彩峰の態度に千鶴は我慢できずに彩峰のほうに近づいて行く。
「ちょっと、彩峰さん。」
彩峰に注意しに近づいていく。しかし、それを遮られた。大音量の危機を伝えるブザーが基地中に鳴り響いたのであった。
あとがき
えっと、何か月ぶりでしょう?
え〜っと、3か月くらいですかね。ちょっと日常が大変に修羅ばってましたよ。書こうかなと思ったら色々障害がありましてね。
と言い訳はこれくらいにしましょう。更新を待っていたかたお待たせしました。そして、ごめんなさい。
マブラヴ・リヴァイヴ4話の中編を更新しました。さて、後編はかなり動いてきます。
本来なら後編も一緒にするべきなんでしょうが先に出して書き貯めていこうと思います。
最後に更新を待っていた人に感謝の気持ちを伝えてあとがきを終えます。これからも、マブラヴ・リヴァイヴをお願いします。