一夏達の前にヘルマが不敵に笑っていた。



「どうだった、私なりに編集して見せた奴の、
やつが生きていた世界を知った気分は?」




その言葉に千冬が質問した。


「さっきのは貴様の仕業か?」


「ああ、そうだ、私なりに編集したんだぞ、
なかなかだっただろ?」



笑みを崩さず言う。



「それで、やつの過去を知りたかったのだろう、
感想を聞きたいが? 自分達との力の差に納得いっただろう?」



その言葉で一夏達は何も言えなかった。



自分達とライの経験はもはや別次元だと自覚していた。


「力の差を自覚したならこの場から消えろ」


「そうそう、君達じゃあ前座すらならないから」


「同感ね、貴方達との戦闘は萎えるだけだし」



「なんだと!」


一夏は白式を展開した。


「吠えるな小僧」


その一言で、一夏の動きは止まった。


「貴様らなどに興味の欠片もないんだよ。
まだ、あの娘たちの方がマシだ」


「娘?」


千冬がそう口にしたとき、突然マリーカが現れた。


「ここは?」


「マリーカ!?」



「え!? 鈴さん? って皆さん!? どうしてここに?」


「お前こそ、純菜とランペルージは?」


箒の質問にマリーカは突然二人とも消えたといった。



「ああ、あの二人には先客がいてな、
今頃、会っているなだろう」



「先客?」

「ああ、さて、先ほどの話の続きだが、
お前たちよりその娘の方がまだわずかにマシだという話だ」


「マリーカが私達よりマシだと?」


ラウラはその言葉に半ば苛立ちを感じた。
確かにマリーカの腕は代表候補に選ばれてもおかしくい腕であるが、
だからといって、教官であった千冬よりうえだという言葉に納得できなかった。


「当然だろ、そこの教師はまともに人を殺したことすらないが、
その小娘は既に戦争で何人も殺しているぞ」


その言葉に、一夏達は驚愕した。


「そうよね、元ブリタニア軍人さん」


アルヴィが一夏達の反応をみて、さらに口にした。



「もっとも、貴方達が見た世界のブリタニアじゃないけど?」


その言葉でさらに混乱する一夏達。


「ミカ、それ言ったら可愛そうよ?
だってその世界での彼はすごく幸せそうに暮らしてるし、
彼女たちにとって悪夢よ?」


「どうでもいい、それよりヘルマ」


「わかっている」



ヘルマが口を開いたとき、ライもマリーか同様突然現れた。


「ライ!?」


シャルロットが名前を呼ぶがライは返事しない、
それどっころかライの表情は先ほど見た王だったら頃の表情だった。



加えて、ライの視線は一夏達の後ろに向けられていた。


「久しいな、ライ陛下」


その言葉に一夏達は後ろに視線を向けたら、
そこに甲冑を着た男が槍と剣を持って立っていた。


「お前は確か、イゴール?」


「ほう、私のことを覚えていたのですか?」


「・・・」


イゴールと呼ばれた男は嬉しそうに質問した。



「あなたの率いていたブリタニア軍と戦い、
私は部下である兵達を、守るべき国を主を貴様に奪われた」



「復讐か?」


イゴールの言葉にライが王だった頃の人間だと思った一夏達。



「貴様に敗北して、守るべきものがなくなったあと、
ほかの国に仕える気は全くなく、だからと言って野良のように大陸を渡ろうとも思えなかったあの時、
私とっては貴様の首を取ることだけが生きる目的だった」

「鍛錬を積んでいたときのことだ、貴様の国が滅んだと風の噂で聞かされたときは絶望した」



その言葉で一夏達もライも無言になった。



「噂では北の蛮族に滅ぼされ、
私は死んだと思ったのか」



「ああ、だが絶望した私に嚮団が接触してきた」



「私はただ眠りについたと知らされ、
自分も眠りにつく決心をしたか」


「そういうことだ、貴様と同じ時代に目覚める可能性に賭けてな」


「貴様の復習に関わっている時間はない、
直ぐに死んでもらう」


ライは殺意を込めて言い放つが、イゴールは笑みを浮かべる。


「勘違いするな、今はもはや復讐する気はない」



ライは無言になる。


「私は騎士として、男としてここに生きた証を立たせてもう為にいる!!」



イゴールはそう言って、ライに向かっていった。

ライは純菜がもってきた、刀を構える。


その刀は、かつて名刀だったものが折れて、
とある刀匠が打ち直された刀である。


歴史の表舞台に載らなかった名も無き名刀である。




イゴールが自分達を蹴散らす動作もなく、
ライの下に向かったことに不思議に思っていた一夏達は直ぐにその理由を理解する。


イゴールの体が自分達をすり抜けた。



そして、剣がライに振り下ろされるがライは難なく刀で受け流し反撃に出る。
受け流したあと、そのままイゴールの斬りにかかったが、イゴールは一歩下がりもう一本の腕で握っていた槍でライの攻撃を防いだ。


そこから、両者の攻防が始まった。



「これは、ほかの空間で行われている殺し合いだ」


ヘルマはそういって、一夏達に視線を向けた。



「どうだ、躊躇なく殺しにかかる人間の強さは、
奴にはもう一度、その手で人を殺す感覚を思い出してもらわないと」


「あんた、そのためにアイツを起こしてライと戦わせたの?」

鈴がヘルマに怒気を含んだ声で質問した。


「ああ」


ヘルマの答えに怒りを感じた鈴。



「それより、面白い場面だ」



ヘルマがそういった時、今度は純菜が現れた。




純菜はISを展開しておらず、ライと同じく刀を手にしていた。



「自分の主の過去を見て、
その忠誠心は偽物かもしれないのにまだ彼の為に武器を握るのか?」




純菜の前に立っている男が質問すると、
純菜は笑みを浮かべ答えた。



「たとえ、この忠誠心がギアスによるもどたとしても、
私の忠義は変わらん」



純菜は迷いなく答えた。

「なぜだ?」


純菜はギアスという存在を知ってもなお、
ライに忠義を果たすことに男は疑問に持った。



「あの時、あの方に出会う直前まで、
私は生きる意思は全くなかった。
私と同じ両親を亡くした子供達と
一緒に殺される寸前だった私を助けてくれたあの方に出会ったとき、
あの方の剣となり盾となることが私に天命だと思っただけだ」



「その忠義がギアスによるものだとしても同じセリフを吐くのか?」


「ああ、それだったらむしろ感謝している。
生きる意志の失くした私に生きる目的を与えたことになるのだからな
私にとてギアスによるもだろうがなかろうが関係ない、
私はあの方のために剣を握る」


「……」


迷いなく堂々と答えた純菜に一夏達は無言になった。



「クク…クハハハハハハ」



男は躁狂的に笑いを迸らせた。


「あはははははははは、そうかそうか。
今まで、色んなやつを操って殺したり遊んだろしたが、
お前のような奴は初めてだ」





その言葉で、一夏達は旅館でライに宣戦布告した男の正体だと確信した。





「面白れぇ、だったらその忠誠心を見せてもらおうか?」



男がそう言った瞬間、男の前に突然、
甲冑を着た兵士たちがたくさん現れた。



「さーて、ゲームをやろうか。
俺を殺したいのなら、まずこいつらを殺してみろ。
こいつら、このCの世界に残った意識を具現化させたものだが、
この世界ならお前と変わらない人間だ。
騎士らしくその剣を見せてみろよ」



距離が一番近かった兵士が武器を持って、純菜に襲い掛かった。



純菜はためらいなく刀を振り下ろし、
兵士を斬った。

斬られた兵士は血を流し倒れる。

そして、純菜は自分の握っていた刀を見る。



「どうだ? この世界なら感触は生きている人間と変わらないぞ?
俺の操作とこのCの世界の相性は抜群みたいだ」



笑みを浮かべて純菜に言い放つと純菜は笑みを浮かべた。

しかも、その笑は今までと違う笑だった。


まるで、探していたものが突然見つかった時の笑み。


「そうか…そうだった、これだったのだ、
私に足りなかったものは」



「あん?」


「こ…人の命を奪う、
嫌な感触」



その言葉を聞いて、一夏達、特に箒は疑問に思った。


「この感触をあの方に一度でも多く、
感じて欲しくなかったから戦場に出た、私がひとりでも多くの敵を殺して
あの方の負担を減らすためにと常に思っていたのではないか?」


自分に問いただす純菜。


「私はあの方の騎士の一人、
レインだ。こい、お前たちを殺してやる」



自信が探し続け決意(答え)を見つけたレインは、
笑みを浮かべ刀を強く握り、兵士達に向かっていった。




そして、次々と兵士を殺していく。
殺された兵士たちはその場で血を流し倒れた後消えていった。



レインの動きは以前より良くなっていく。
水を得た魚のように動きがよくなっていく。
自分に足りなかったラストピースを手に入れた自分はようやく前世の自分に並んだと確信する。


その意思がレインの動きを成長させた。

体を鍛えた時間は前世の頃とは桁違いに費やした、
それなのに、常に何か足りないと思ったレイン。


それを手に入れたレインは前に進んだ。

進んだ分だけ強くなっていく確信をするレイン。




敵の二割を殺したとき、新たな敵が現れた、
だけどその敵は先程と違って自分のかつての戦友達だった。



「ナイトオブラウンズ?」


「そうだ、かつてお前とともに戦場をかけた者達だ。
こいつらも哀れだな、あの男が怒りに身を任せた一言で人生も仕えた国も滅んだんだからな」


そう男が口にしたとき、一夏達は複雑な気持ちになったが、
レインは笑を崩さず口を開いた。


「貴様は勘違をしている。王とは誰よりも強欲に誰よりも激怒するものだ。
あの方の思いは我々兵士全ての代弁だ」


当時を思って口にするレイン。


「清濁を含めて人の臨界を極めたあの方に我々は羨望し、魅せられた。
一人一人の民草の心に我もまた王足らんと憧憬の灯が燈った国が我々のブリタニアだ」



一夏達はライが自分の過去を思い出した時にわずかに見えた民たちの笑顔を思い出した。


その笑顔を奪ったからライは後悔した。



「だが、そんな国も王によって滅ぼされたのであろう?」


「勘違いだと言ったはずだ。あの時、
国が滅んだのは我々に力が足りなかったからだ!!」



その言葉に一夏達は旋律した。それと同時に敵に異変が起きた。


「よく言った」


「同感すっね」


「全くだ」


その言葉に呼応して、かつてのラウンズ達がレインと戦っていた兵士を斬っていった。



「久しいなレイン」


「ネーベルスタン」



その中でもっとも経験があり、歴戦の戦士とおもわれる男が声をかける。

「ちっす、レイン卿。なんか若返ってないすっか?」



「レイモン。貴様は死んでも変わらんな
レイン卿も相変わらずのようだし」


見た目通りレインに気軽に声に挨拶し、
この場に合わない口調でレインに質問をする男に呆れる騎士は、
変わらないレインに苦笑する。



「そんなことよりも
陛下の敵がいるんだぞ?」




「そうだな、だったらやることは唯一つ」


のんきな態度をする占有に渇を入れる騎士に呼応して、
かつてのラウンズ達が武器を強く握り、
自分達の王の敵に視線を移した。


「俺の操作から離れるとは驚いた」



「当然だ、あの方は誰よりも鮮烈に生き、諸人を魅せ、
我々の道標として立った方だ。我々はそんな王に忠誠を誓った騎士だ」


「同感すっね。陛下以外の人間に仕えるなんてクソ喰らえだし」




その軽薄な言葉に同感だというように、ほかの騎士たちも態度に示した。
男は笑みを浮かべ更に多くの敵を具現化させた。



「俺の能力は操作。このCの世界に残っている意思を操作できるんだが…。
お前達の忠誠心を甘く見ていたな」




「だったら、どうする小僧?」


男はニヤリと笑みを浮かべ答えた。


「お前達のその忠誠心を俺の軍勢で潰してやるよ!!」



そう口にした瞬間、敵の数は圧倒的に増えた。





レイン達の表情は変わらない、それどころか笑みすら浮かべていた。





「我々の忠誠心を嘗めるな小僧!」



ネーベルスタンと呼ばれた騎士がそう口にした時、
彼らの後ろに新たな兵士が現れた。



「!」



「これが、あの方に忠誠を誓った者たちだ」



その数は数千を超えていた。
ラウンズの士気に呼応して、Cの世界に残っていた意識が具現化された。
敵の数に比べれば圧倒的に数はまだ少ないが、
敵の男は驚愕していた。



「あの方は誰よりも鮮烈に生き、我々を束ね導いた英雄!!」


『然り! 然り! 然り!』



「我々はあの方に羨望し魅せられ我々はあの方に共に足りたいと願いこの身命を捧げた!!」


『然り! 然り! 然り!』


「あの方の意思は我々の全ての兵士の意志である!!」


『然り! 然り! 然り!』



ナイトオブワンであるネーベルスタンの言葉に兵士たちは唱和の声を返す。


唱和の声はCの世界を震撼させた。


「故にあの方の敵は我々の兵士達の全ての敵だ!!」



『然り! 然り! 然り!』







それを見ていた一夏達は兵士達の士気に圧倒され戦慄していた。


ヘルマ達はその忠誠心に、
ライが狂王と呼ばれる所以の一つだろうと認識した。


あれほどの忠誠心を受ける王はまともではないと敵国なら思ったのだろう。

しかも、死してなおその忠誠心に揺るぎは無い。









「行くぞ!!」



「「「「「「――ウォオオオオオオ!!!」」」」」




時代を越えた戦争が始まった。




数は圧倒的に少ないにもかかわらず、
彼等は敵に向かっていった。



その表情は主君のために戦える喜びをしていた騎士の表情だった。













それをみて戦慄していた一夏達にヘルマは言い放つ。


「これで分かっただろう、貴様らは場違いなところにいる。
今なら貴様等を見逃してやる、来た道を戻る感覚で進めば出られるぞ」




そう言ったヘルマは一夏達から視線を外して、
ライとレインの戦いに視線を向けた。


「ふぜけないで、僕は戻るつもりはない。
お前がライの敵になるなら、僕はお前を止める」

シャルロットは武器をヘルマに向けた。
レインやライのかつての部下だった者達に負けたくないという意志がヘルマの目的に怒りを覚え、
ヘルマの殺意を跳ね除けた。

「同感だ」


ラウラもそう言って戦闘体勢をとった。



「先程言ったように、貴様らと戦う気はない、
戦いたいならこいつを倒してからにしろ」



ヘルマの前に、銀の福音が現れた。


「なっ!?」


「束のやつ、何をやってるんだ?」



「安心しろ、やつは一度止めた。
ただ、そのあとに私が利用してるだけだ」


千冬の言葉にヘルマは銀の副音がいる理由入った。


「ヘルマの能力は操作じゃなくて、
接続。あらゆるモノに接続して自由に操作したり壊したりできるの。
さっきの操作の上位互換。
なんぜ、物や人だけじゃなく世界にまで干渉しちゃうんだからタチが悪い」


アルヴィがヘルマの能力を説明すると、
一夏達は先程、ライの過去をみせたのはその能力だと気づくが。



「さて、我々と殺り合いたいのなら、せめてこいつを倒せ」



そう言った瞬間、銀の副音が一夏達を襲った。

一夏たちも直ぐに避け、反撃に出るが、想像以上の速さで攻撃を避ける銀の副音に驚愕する。



「あ〜、言い忘れてた。ヘルマの接続は何も操作や破壊だけじゃなく、
その能力の限界も軽く突破されちゃうのよ。
だから、速くそれ止めないと、中の人がとんでもないことになっちゃうよ」



それを聞いて、千冬は銀の福音のスペックに納得言ったが、
その所為で焦りが生まれる。



「一夏、私が私達が隙を作る、
貴様は零落白夜で決めろ」

「わかった」

打鉄に乗っていた千冬はそう告げると、一夏は力強く返事をした。



「僕達の攻撃で誘導します」





シャルロットがそういうと、鈴、ラウラ、マリーカ、セシリアは
それぞれの射撃武器を銀の福音を攻撃した。


彼女達の予想通り、全ての攻撃は回避される。


そして、千冬は隙を作るために銀の福音の動きを見続け、一夏は零落白夜を決めるために構える。


「チャンスは一度だ、失敗するなよ」


「わかってる」

一夏は先程見た、ライの記憶の中にあったルルーシュとスザクがフレイヤを止めた時のことを思い出した。


自分に届かない領域にいる二人。


その嫉妬を抑え、自分に出来ることをするために集中した一夏はある音を拾った。



ミシ、ミシ



(何だ、この音?)


その音に集中したとき、一夏はその音が銀の福音から発していることに気づいた。


(なんで、こんな音が?)


銀の副値を見た一夏はさらに気づいた。

銀の福音の動きは尋常じゃない。


いくら、経験の差があると言っても、
専用機相手に全くのダメージを受けていない。


本来なダメージにならない攻撃まで避けている。


(この音って、銀の福音のパイロットの筋肉が軋んでる音なのか!?)


一夏は咄嗟にヘルマ達の法を見たら、彼女達は一夏に気づき笑みを浮かべた。





「あ〜、言い忘れてた。ヘルマの接続は何も操作や破壊だけじゃなく、
その能力の限界も軽く突破されちゃうのよ。
だから、速くそれ速く止めないと、中の人がとんでもないことになっちゃうよ」




一夏は先ほどの言葉を思いだし、事態の深刻さに気づいた。


ISの機能があるからパイロットの負担はそれほどでもないと心のどかで思っていた。

だけど、ヘルマは自身の能力でその機能を停止させているかもしれない。

そんなISであれだけの戦闘をしたらパイロットはただではすまない。


それなのに、おもちゃのように扱っているヘルマに一夏は怒りが湧き上がった。


その時、一夏の頭の中に声が聞こえた。



「力を欲しますか・・・?」

「え・・・」

一夏の周りの光景が変わり海が映し出されていた。

そこに人らしきシルエットが見えた一夏だが、それ以上分からなかったが、
そのシルエットは一夏に質問した。


「力を欲しますか・・・? 何のために・・・」



その言葉を聞いた一夏は素直に答えた。


「欲しい、みんなを守るために、あいつに、ライに追いつくために!!」


それと同時に今のライを止めたと強く思う一夏。


どいう理由かはわからないが死ぬはずだったライが生きていた。

だけど、今のライは自分の命のことは考えていない。


今ならわかる。

ライは周りに優しかったが、自分のことはあまり考えていないフシがあった。


それに、旅館を出た時の言葉は。ヘルマ達とともに死ぬとも取れた。

ライがいなくなれば鈴達が悲しむから。

だから、アイツ等を止める力欲しい。





そう、はっきりと思った瞬間、光景がもどったが。



「これは?」


一夏は自分のIS、白式が変わっていることに気づいた。



銀の福音は白式の変化に動きが若干鈍った。

「今だ!!」


箒が斬りかかり、福音はそれを避ける暇ものなく、
初めて防御の姿勢をとった。



「まだです!!」


セシリアは背後からBTを一斉発射した。


「これで!!」



一夏は零落白夜を握り福音にこうげきした。


その攻撃は銀の福音の暴走は止まった。



「一夏、あんたのIS?」


鈴の質問はここにいる専用機持ちの箒達の気持ちの代弁だった。


「今はそんなことより、あの三人から目を離さすな」


千冬の言葉で彼女達はヘルマ達に視線を戻した。




「ありゃ〜、これはちょっと想定範囲からずれてる?」


アルヴィがふざけた口調でヘルマに質問した。


「別に、それより連中はあれを止めたが、
お前達はあれと戦うつもりはあるか?」



「あるわけないじゃない」


「同感。前座にすらならない相手と戦う趣味は無い。
それに、ヘルマは加減がうまいから私達よりは楽しめるでしょう?」


「仕方あるまい」



ヘルマはそう口にして、ISを展開した。


そのISは以前とすこし違っていた。




「これは貴様と第二形態だ、
あの二人は加減が上手いといったが、加減をするつもりは無いぞ?」


そう言った瞬間、ヘルマのISからビットが発射された。



「速い!!」



その速度に一夏達は驚くも、直ぐ二回行動に出たが、
その速さに追いつけず、千冬以外は攻撃を受けた。


「速いだけじゃなく、この威力って反則級じゃない」


鈴がそう口にするが、ヘルマのビットは一夏達の周りを高速で動いた。

「これだけのビットをっー!?」

セシリアはヘルマのビットの扱いに驚愕する暇も無く、
シールドエネルギーを削られていった。




「おいおい、この程度か?
私はまだ一歩も動いてないぞ?」



漫画でよく強敵が言いそうな台詞をいうヘルマ。


そんな時にこの場ではあまりにも不釣合いな武器がブーメランのように回転しながらヘルマに向かって飛んできた。



ISに乗っているヘルマはそれを難なく止めた。
その武器は大きな斧だった。







ヘルマは斧が飛んできた場所に視線を移した。


「ほう、あいつを殺せたか」




その言葉で一夏達の動きは止まった。



斧を投げた人物は満身創痍といってもいいような状態だった。



「今度は貴様の番だ。あの方の敵は私が殺す」



その表情は主君の敵を排除する騎士の表情をしたレインだった。



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