機動戦艦ナデシコ〜やーちゃん祭り〜
短編〜やーちゃん日記〜
○月○日 晴れ
今日ほっくんが真っ黒黒助と密会していた。
ショックだった。ほっくんはやーの物なのにッ!!
ほっくんの目を覚まさせる為に、手にしていた錫杖で思いっきり殴り倒した。
真っ黒黒助は、間男のごとくすごすごと逃げていった。
ほっくんを無事取り戻したやーは、何故か寝ているほっくんを引きずって家路へとついた。
○月△日 晴れ
ほっくんに買い物を頼まれた。
急いで買い物を済ませて帰ったら、ほっくんが速すぎると驚いていた。
当然だ。赤を身に纏うやーは、通常の速度の三倍は出せるんだから!
それ以外の色での事は聞かないで欲しい。だって、赤以外の服を着たこと無いもん。
○月×日 雨
やーの目の色は金色だ。
でも、ほっくんとお揃いの目の色にしたくて、クレヨンで自分の目の色を塗り変えようと決心した。
塗る前にほっくんに止められたけど……。
○月□日 曇り
今度はほっくんの目の色をやーとお揃いにしようと考えた。
前回の反省を生かして、水性絵の具でほっくんの目の色を変えてみた。
ほっくんは声が出せないほど喜んでくれた。
……でも、何で呻きながら床を転がってたのかな? 不思議……。
△月○日 曇り
今日は生憎の天気だったけど、ほっくんと一緒にお買い物に行った。
お店に行く途中、ほっくんが変質者扱いされた。
失礼な。ほっくんは変質者じゃなく、外道なのに!
そう言ったら、ほっくんが静かに頷いてくれた。
唇の端が釣りあがってたし、喜んでくれたみたいだ。
ほっくんが嬉しいと、やーも嬉しい。
△月△日 晴れ
また二人で街へと出かけたら、警察官と名乗る人からほっくんとの関係を聞かれた。
ほっくんとの関係? そんなの決まってる。
だから胸を張って応えた。
ご主人様と奴隷だって。
警察官って人の目がギラリと光ったような気がした。
△月×日 晴れ
今日街へと出かけたら、一杯ほっくんの顔写真が張られていた。
やっぱりほっくんは有名人だ。
でも、指名手配ってなんだろう?
△月□日 晴れ
△月×日から、警察官っていう人達から追い掛け回される日々を過ごしている。
でもほっくんは、未熟者どもがっ! って言いながら、追ってくる警察官達を蹴散らしていた。
ほっくんはやっぱり強くてカッコ良い!
×月○日 晴れ
ほっくんと同じ外道の道を歩むべく、やーも外道道を極める事を決心した。
手始めに、公園の砂場で作られていた砂の城を踏み潰した。
作っていた子供達は、泣いた。
これぞ外道道だ。
×月△日 曇り
複数の男達に、路地裏へと連れ込まれる女性を目撃した。
そっと後をつけて、男達を背後から錫杖で殴り飛ばした。
女の人はビックリしていたけれど、やーにお礼を言ってその場から走り去った。
やーは気絶した男達のお財布から現金を全部抜き取って、やーのお財布へと移し変えた。
そのお金で、やーは高級な食材を買って帰った。
ふっ、未熟者どもめ。
×月×日 雪
雪が降った。
積もれば雪で遊べるかなぁ?
明日が楽しみだ。
雪が降る寒い中、ほっくんと二人でカキ氷を食べた。
やーはイチゴで、ほっくんは宇治金時だった。
これぞ人の道を外れしげ……頭がキーンとした。
×月□日 雪
雪が積もったので、ほっくんと雪合戦をした。
巧くフェイントを織り交ぜて、ほっくんの顔に当てる事が出来た。
中に小石を詰め込んでいた為に、ほっくんの顔面は血だらけになった。
けどほっくんは、血塗れの顔で嬉しそうにやーの頭を撫でてくれた。
外道道……極められたかな?
□月○日 雨
今日はほっくんとアニメのDVDを見た。
ほっくんは拳を握り締め、時々叫んでいた。
これが漢の世界なのかな?
やーには良く分からない世界だ。
でも、ほっくんが楽しそうだし、それで良いかな……。
□月△日 曇り
むー、天気が悪くて洗濯物が乾きにくい。
火に当てれば乾くと思って、ミサイルを撃ってみた。
……洗濯物、全部消し飛んじゃった。
失敗失敗。ミサイルだと火力が強すぎたみたいだ。
次は火炎放射器にしておこう。
□月×日 晴れ
今日はほっくんとTVゲームで対戦した。
ロボット同士で戦う格闘物だ。
ハメ技と呼ばれる無限コンボで、ほっくんに連勝した。
ほっくんに見事だと褒められた。
……褒められて嬉しかったけど、ほっくんの顔は歪んで見えた。
□月□日 晴れ
ほっくんは特訓すると言って、TVゲームをしていた。
やーは天気が良いので散歩をした。
街は平穏で平和だった。
むー、もうちょっとスリルとかバイオレンスな展開が欲しかった。
?月?日 ?
明日、ほっくんがまた例の真っ黒黒助と密会する気らしい。
むー。絶対、絶対邪魔してやるんだから!
ほっくんと一緒に居て良いのは、やーだけなんだもん!
明日の日記には、きっとやーの勝利報告が記されるはずだ……。
―――END―――