ふふ、今はアキトさんと買い物に行った帰りです♪今日の晩ごはんはアキトさんが作ってくれるんです♪
買い物にかなめさんがついてきてたり、晩ごはんにサガラさんとかなめさんが一緒なのは些細なことです。ええ、些細なことですよ?・・・なんですか!本当は
二人きりがいいに決まってるじゃないですか!!
ちなみにサガラさんは留守番中です。
フルメタルパニック!、機動戦艦ナデシコ、クロスオーバー
〜テクノロジー、その先に・・・〜
第8話 非日常の入り口
「む。」
「どうしました?」
玄関の前まできてアキトが訝しそうに足を止める。家のなかにソースケのものとあと2人気配を感じたのだ。
「いや、なんでもない。」
しかし中からは争うような雰囲気はなく、1人の気配はかぎりなく薄い。どうやら寝ているようだ。
「まったく、なんでもないならさっさと鍵開けてよね。いまから作るには結構遅い時間でしょ?」
そんなアキトをかなめが急かす。アキトは荷物を両手に持っているにもかかわらず素早く鍵をあけ扉を開いた。それを追い越しかなめが最初に部屋にはいる。
「サガラさん、なにかTシャツとかを・・・あら?」
部屋に入った瞬間、今度はかなめが足を止めた。いや、硬直したというほうが正しい。そこには風呂上がりでバスタオルを巻いただけの少女がいた。テレサ・テ
スタロッサ大佐だ。
「こんにちは。」
テッサはしばらくかなめの顔を見つめながら呆けていたが少し照れくさそうに微笑を浮かべて言った。
「何者だ!!」
そのときソースケが奥の部屋から出てきてかなめたちに拳銃を向けた。しかしその先にいる面子に安堵した。
「なんだお前たち・・・か・・・。」
しかし同時に言い知れぬ不安に襲われる。不安の発生源はかなめからおくられる鋭い視線だ。
「かわいい彼女ね。お邪魔しました。あんたたちも馬に蹴られたくなかったら違うとこに行くわよ。」
かなめは努めて淡々といいながらアキトとルリに目配りする。だがどうしても内心の動揺が見え隠れしている。
「なにをいっている?」
「まぁ・・・そう勘違いするのもしょうがないですが、それは見当違いです。・・・たぶんですが。テッサさん。なんであなたがここに?あと服なら私のを貸し
ます。」
かなめの言葉をアキトは全く理解できないと、ルリは理解しつつ否定する。
「ありがとうございます。説明は少し長くなると思うので中で。」
テッサの言葉にアキトもルリも部屋に上がる。かなめだけは玄関で呆けていた。
テッサの話を要約すると、<A21>というテロ組織の少年が日本政府につかまり、テッサはその少年を訪問した。その時、その<A21>はASを使い、少年
を取り戻そうと政府施設を強襲した。そして日本で唯一信頼できる施設であるここまでその少年を連れて逃げてきたというものだ。
「・・・でその子は16歳で潜水艦の艦長です・・・って?」
「肯定だ。」
かなめは疑念を通り越してあきれたように尋ねる。そしてソースケはそれを当然かのように肯定する。
「はぁ・・・私のこと馬鹿だと思ってるでしょ。その子がここに来た理由も信じられないのに、おまけに潜水艦の艦長?嘘ももう少し上手につきなさいよ。なん
だってんのよ・・・まったく・・・。」
「・・・どうやらおれの話を信じてくれていないようだ。大佐殿、大佐殿からも彼女に説明していただきたいのですが。」
かなめの態度を見てソースケはテッサに助けを求める。しかしテッサは聞こえていないかのように反応しない。
「大佐殿?」
「ああ、わたしのことですね。それで何をすつめいすればいいんです?」
この反応でルリはテッサの思惑、というよりも気持ちに気付いた。『そういう感情』を表に出すのもそれに気づくのも苦手なアキトのそばに長くいたたまもの
だ。
「テッサさん、状況から考えてふざけてる余裕はないと思いますよ?・・・大丈夫です、私は応援しますから。」
ルリの言葉に男性陣には頭の上にはてなマークが浮かぶ。かんめはというとあきれと怒りから話半分も聞いていないのでルリのセリフを特に考えたりしなかっ
た。そしてテッサは驚いた表情をした後、すまなさ半分うれしさ半分な微妙な表情を浮かべて眼でお礼を言った。
「かなめさん、テッサさんは間違いなく潜水艦の艦長でミスリルの大佐です。ミスリルは先進的な組織なので能力さえあればそれに見合った階級と地位があたえ
られるのも当然ですよ?とりあえずこれは信じてもらわないといろいろ話が進みませんから信じてください。」
「能力って・・・このとろそうな娘が軍の大佐になる能力があるって?」
しかしかなめはなおも疑念の表情を浮かべた。しかしこの対応はテッサの対抗心に火をつけた。
「では聞きますけど、チドリさん。あなたはアインシュタインの、あの十元連立非線形偏微分方程式の厳密解を出せますか?予備知識なしで。」
「はぁ?」
「わたしは6歳のときにそれができました。わたしの知る限りではこれよりも早くできた人は世界に1人しかいません。」
テッサはこころなし胸を張った。
「私は4歳の時ときましたが?」
が、ルリの一言でテッサの自信はもろくも砕かれた。
「・・・なによ、案外いるんじゃない。やっぱりたいしたことないんじゃないの。」
「いえ、6歳で解けるということはすごいことです。それだけの能力があれば年齢にかかわらず重役を担うのもうなずけます。」
「・・・それ、自分はもっとすごいって言いたいの?」
かなめはそう言いながらため息をつき、あきれた目でルリを見た。
「ええ、すごいですよ?当然。」<サイズ変更+2>
「・・・言い切ったわね。」
「メインヒロインですから!」<サイズ変更+3>
「いや、関係ないし・・・。」
かなめはもう一度、はぁとため息をつくと仕切りなおしたようにテッサの方を向いた。
「まぁ、なんだかぐだぐだになっちゃたけどとりあえず信じたということにしとくわ。話も進まないし。で、これからどうすんの?」
かなめは諦めて力が抜けたように言ったがその時には周りの雰囲気は確かに変わっていた。
「・・・身を守りつつ迎撃だ。ルリちゃん、2人を連れてキッチンにいって伏せていてくれ。」
そういうとアキトは立ち上がりブラスターを抜いた。
「わかりました。テッサさん、カナメさんこっちへ。・・・あっちの男の子はどうしますか?」
「え?なに?どうしたの?」
「相手の狙いはそいつだ。放っておいても大丈夫だ。」
2人はかなめの言葉を無視すると迅速にそれぞれの役目を果たす。
「サガラ、玄関の方は任せてもいいか?」
「ああ、任せろ。」
そう言うと同時にチャイムが鳴り、宅配員に扮した敵の声が聞こえる。それに対しソースケは返事をせずに玄関に近づく。
「みたくなければこっちをみるなよ。」
アキトがそう言うと玄関から銃声が聞こえた。そして同時に窓を割って人が現れ催涙弾を投げ込んでくる。
「・・・。」
だがアキトはまるで当然とでも言うようにぴくりとも動かずブラスターを2発撃った。1発は目の前の敵の額、もう1発は隣の部屋との間の壁に穴をあけてい
た。貫通した弾はベッドのある部屋のベランダにいた人間の急所を的確に貫いていた。
「終わったぞ。」
アキトがそう言うとほぼ同時に玄関の銃声も鳴り止む。そして少し間をおいてソースケがリビングに戻ってきた。
「けほっ、けほっ」
キッチンに伏せていた3人は身を低くしていたことも相まって全員むせ込んでいる。しかし表情を見れば反応の違いは一目でわかる。ルリ以外は顔面蒼白で切羽
詰まった表情だ。
「・・・死んでるの、その人・・・?」
そしてかなめがアキトに問いかける。いや、現実があまりにも急展開過ぎて受け入れきれない、受け入れたくないのだろう。
「・・・そうだな、死んでる。そして殺したのは俺だ。今の状況がわかったか?今、この場所、俺たちのいる立場は殺すか殺されるかだ。」
「若い日本人ですか・・・どうしてここが分かたんでしょうね?」
アキトとかなめが話している間に落ち着いたルリが死体のガスマスクをとって言う。またそろそろテッサも落ち着いたようだ。
「つけられた、とは思えない。大佐殿とタクマを狙う機会はここに来る前にも山ほどあったはずだからな。」
「そうですね。ミスリルに内通者いるとは・・・ちょっと考えにくいですけど。敵の情報網を侮っていたのかもしれないし。ほかに考えられるのは・・・ほか
にっ・・・」
かなめは死体を前に平然と会話するアキトたちに恐怖を覚えていたが、テッサの異変に気がついた。
「・・・ほかにっ・・・」
うわずった声、肩は小刻みに震え、テッサは耐えきれなくなったように一番近くにいたソースケにすがりつき断続的に浅い吐息をつく。
「大佐殿?」
「ごめんなさい、わたし・・・いまさら、こういうのを見て、どうこう思う資格がないのはわかてるんです・・・。たださっきまで気が緩んでいたから・・・。
ごめんなさい、すぐ戻りますから・・・ごめんなさい・・・」
テッサはしばらく静かに泣くと「ありがとうございました」とつぶやいてソースケから離れてまっすぐ立った。
「・・・。」
かなめはそんなテッサの反応を見ていた。正直かなめも泣きたかったのかもしれない。だがかなめの場合は涙よりも恐怖が先に立っていた。死体を前に平然と行
動するアキトたちが人間に見えなかった。しかしテッサを見ているとだんだんとその感情が薄れていく。そしてかなめにいつもの調子を取り戻させた。
(そうよ、今は怖がってる場合じゃない。アキトが言ったみたいな状況なんだ。・・・私は完全に巻き込まれただけってのは頭に来るけど。)
そして落ち着いたかなめのなかにはテッサに対する親近感もわいていた。
かなめの中で変化があったちょうどあと、隣の部屋からくっくっと漏らしたような笑いが聞こえてくる。すかさずアキトは隣の部屋へいく。
「目が覚めたか。」
「ええ、あんなに銃声を聞かされたらいやでも目が覚めますよ。それにしてもよく泣いてる余裕がありますね。」
アキトが話かけてもタクマは嘲るように笑いながら言う。しかし嘲笑の対象であるテッサは動じずにタクマを見つめる。
「そんなことはどうでもいい。とりあえず移動するからさっさと立て。」
アキトは言いながらタクマを拘束していた手錠を外した。そうなることは当然わかっていたのでルリとソースケで死体はすでにかたずけられていた。
あとがき
こんにちは、(またはこんばんは)、今回も読んでいただきうれしい限りです。
さてまずはお詫びが2つ。まず・・・宣言より一か月以上出すのが遅れてしまいました・・・ごめんなさい!!PCのデータがなぜかすべて消えたり、中間と期
末(大学のくせに中間あるなんて・・・)が非常に近くて書く時間があんまり取れなかったりといろいろ原因はありますがあえて言い訳はしません!!(すでに
してる罠
そして2つ目は今回は「恋人はスペシャリスト」のところを書くと宣言していたのですがいろいろ考えた結果、長編の方に入りました。いろいろといってもある
キャラを出したいから後回しにしただけなんですけどね。でもとりあえずごめんなさい!!
さて今回のお話。長編ですこしシリアス入ってきました。でもご都合主義だらけですが。たとえばテッサが「十元連立〜」をいうのは自分を馬鹿にされたから
じゃなくて兄を馬鹿にされたからだ、とか、そこのルリで「水の音はわたしの音」を見る限り4歳じゃ解けそうにないとか、いろいろありますがわかっててやっ
てるので許してください!!(爆
ちなみに次からは本筋とはだいぶ違う予定です。あと<ベヘモス>のところでブラックサレナも来ます!(まだ先ですが) 活躍するかどうかは秘密です(マテ
最後に前回、Web拍手をしてくださった方特にコメントを下さった方、本当に励みになりました!ありがとうございます!!それなのに・・・それなのに自分
は!!!最後にもほんとにごめんなさい!!
それでは次回もあえることを願っています。
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m
RYU
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掲示板でも構いません。