第013話 惑星コムネス編04 異世界地上軍、惑星コムネスに展開す
『中隊規模BETA群殲滅完了、残存0、情報渡らない事を確認したよ』
「こっちも出し終わったし、戻るよ」
会議終了後から1時間、地球出立から35分、惑星コムネス地表到達してから15分…
地球から収容していたトレー級18隻を全部出しきり、
別の医療カーゴを先頭艦と連結させ街と発見した兵隊の救助に向かわせ、
B1を惑星偵察に発進させようとしていた。
[まずは…こちらの被害はないけど、携行火器は補充待ちだって]
B1のT-850分は使いきったとの事だ。
「と、街や兵隊の様子等は?」
[センサー持ちがまだ到達してないし、ビッグワンはまだ地上、正確な数もまだ〜
街のは…2分まって…ただビッグワンの上空通過ログ、1時間前には生体反応が点在してたね。
兵隊は…歩兵隊みたいだね〜]
兵隊の映像が投影されはじめた。
ワスプの目が装備を分析し、それを立体処理している。
[救助はまだ向かってる最中だけど、装備は統一されてるみたいね]
「両手持ちの盾…と盾仕込みの剣だけか?あとは…」
[脚の横に地面に突き刺さる杭をつけた脚鎧だね]
「槍は無いのか…」
[無駄だしね]
「で、彼等の方に医療艦は…?」
[あと…5分ちょい…街がセンサー範囲に入り始めたよ]
街上空のログ映像にポツポツと点が重なる。生体反応だ。
「街に取り残された人の救助を急いでくれ」
72時間がタイムリミットの目安だ。
[死者の蘇生は諦めてね]
「だな…」
街が襲撃受けてから1時間は過ぎている。
「それで冷凍素体と避難民の収容状況は?」
冷凍素体とは蘇生不可と蘇生可…いわゆる頭部がの判断が入り混ざってるための死者の当座の呼び方だ。
後にカプセルにて蘇生不可と、蘇生中にわけられる。
[避難民列側の冷凍素体は数が多すぎるから…後30分はかかりそうね]
街からの避難民は約7千、カウントが出たがその内約95%が冷凍素体化されている。
実に約6千5百の人々がだ。
かなりの死者が出たのだがこれには理由がある。
避難は西の方角への1方向のみしかされてなかった。
馬車等が踏み外したり轍にはまったりしない安全に通れる石畳街道を念頭に避難に設定された様だ。
今でいえば国道の1本であろう…
そこに突撃級が襲来したわけだ。
人間、咄嗟の時には脅威から遠ざかる動きで、横に逃げようとしない。
一旦逃げ出す方向が決まったらそこから逸れようとしない…
火事現場にてもそうだ。
その為に背後から迫る脅威に対して皆が逃げた方向…正対の方向に逃げる…
つまり直線的方向で死亡者数が増す傾向になる。
15km程度で迫るならある程度判断つくが、人の走る速度の40倍以上の170kmで迫られると時間的余裕が無かろう。
[避難民の収容は怖がってる人がいて…もう少し…10分程度かかるよ]
異世界軍にはBETAに襲われている最中の民間人を救助したノウハウはない。
戦闘部隊を救助したは何回か程度だ。
[こういった人達には食事で胃を掴めば良いんだろうけどね〜]
「通常食で釣れれば…特にカレーとかで匂いで胃袋を…」
[でも長期交換の必要がない救難食しか積んでなかったもん]
難民艦は異世界軍の中では基本的に非稼働艦の部類になり、
非稼働時には長期間補給や交換せずと整備の手間を省略していた。
その為に特に腐りやすい食料品は長期保存可かつ大量保管できるコンパクトを求めていた。
保存が効きその場で直ぐに食べれる物、といえば防災食の乾パン等だろう。
少量にて高カロリー、あらゆるサバイバル状態に適した部類だ。そして次の段階の非常食、温めなしても食べられる保存できるものを指す。
そのまま飲めるスープや温めなして食べれるおかず等だ。
保存のできる飯は冷えている状態だとβ化し湯煎しなければならないため、
つまり水と熱する熱源を必要とするのは救難食や非常食ではないといえよう。
その点から言えば戦闘糧食1型の缶飯は非常食ではないと言えるが…
野外炊飯等により湯煎される為…支援体制前提の非常食という定義ともいえる。
ただ…戦地投下では戦地で湯煎できる環境ではないだろうし、航空機に積む前に湯煎するのだろうか?という疑問もある。
さて缶飯からリアルで1番保存の効くとすると缶詰をあげられる。
過去は瓶詰でもあるが耐久性のあるスチール、鉄製に変わっていった。
今作られる製品の殆どが中身と液体で構成され、空気は抜いて真空状態で封をされる。
真空状態にする事で菌の増殖、発酵を防ぐわけだ。
さて…どれくらいもつか?
50年前のソビエトの練乳が開けられ…口にしたらしい…
外観の印刷が薄まり、錆が外部、
そして開けたら内部にも錆が…そして発酵した空気が抜けたらしい…
勿論今の製品と比べ練乳に錆が移ってない?という若干変化していた。
そんな状態のを飲むとは…
一応…無事らしいから…もったのかな?といえる。
そして…旧日本軍の昭和19年製造納品の状態の良い缶詰が2015年7月に発見され、
湯煎し赤飯の試食式が開催されたが…異臭を発した為に断念された。
小豆が経年変化したらしい…
米だけなら食えたのか??
中身は崩れてはない。
一応日本缶詰協会では保存状態によるが、高温多湿でなければ10年はOKということだ。
ツナ缶10年物はおいしく食べられたという。
保障はしないが…
今の製品の賞味期限はツナ缶で3年、ジュース缶で9カ月、ジャム缶で1年で設定はされてるが、あくまでも消費期限ではない。
因みにシュールストレミングの25年物はニシンが崩れて食べられなかったという…
欠点は容量をくう為にかさばり、携行に的さない。他のと比べて重い…
なもんだろう。
長点はちゃんとすれば長期保存可能、耐久性があるということだ。
国民食?カップラーメンは…賞味期限は半年〜1年で案外短いので長期保管には適していない。
一応2〜3か月過ぎても食べられます。
ただし、油であり酸化し腐ってるかは見た目にはわからない。
味も…
さて17年前賞味期限切れのカップ麺…
まず外装ビニールが材質変化し黄ばんでなかなかとれません。
あけると…カビが生えてます…
外装ビニールから空気が通過したっう事でしょう。
ということで賞味期限切れは食えて1年、保障せずって事で…
レトルトは市販されてる大抵が湯煎を必要とするが、
長期保存可能だが、ただ味が濃くご飯とセットといえよう。
賞味期限は物によりけりで1年〜2年で設定されている。
さて…賞味期限切れのご紹介だが…せいぜい1年ったところでしょう。
基本金属でパウチされてる為に缶詰同様ともいえるが、
缶詰よりも外部からの温度差等の影響が受けやすいとおもわれる。
賞味期限切れ4年経過のものを食べた人の体験談だが…
匂いは問題ないが不快感感じる味で、しばらくすると涅槃が見えトイレからでられないそうです。
ここまで一般的な保存可な食品をあげたがここからは防災食、非常食というジャンルをあげよう。
防災食や非常食は災害時にも食べられる食事であり、
自己完結でのセットであり、他にガスコンロや野外炊飯器を必要としないジャンルだ。
カップラーメンは防災食からは早々脱落はする。熱湯を必要とするからだ。
更には容器の強度も弱く…
探しあてた時には地震で崩れた荷物の下ということがあるだろう。
缶詰は缶飯以外は基本は湯煎…お湯は必要としない。
特に防災食のジャンルでは先の乾パンの他に、
25年保証のアメリカの会社のサバイバルフーズというのがある。
味は……
そのかわり表現通り25年持つ。
そしてレトルトにも防災食のジャンルでは湯煎を必要としない。
ただしご飯は?になるだろう。
米にかんしては精米後や精米前の基本βデンプンの状態で販売している。
生米の状態だ。非常に消化が悪く栄養素もとれなく、これを柔らかくするのが炊く行為だ。
柔らかい白米がαデンプンと呼ばれていて、暫く放置してると冷えて固くなってしまうのがβ化…老化現象だ。
食パンも同様であり、トースターで焼いてα化させる。
そんなβ化した米をつかった保存食でも、発熱剤とセットでの販売でレトルト飯が防災食として活用されている。
大体3年〜4年が賞味期限。
戦闘糧食2型のご飯は加熱を必要とするが、カイロがセットしており加熱可能だ。
他にもα化米、冷えた状態で食べれる米は…水を必要とするが水を備えていれば問題ないといえる。
代表的なのはレスキューライスという商品であろう。
水をそそげば食べられるというこの商品、7年と長期保存可能でもある。
大量に必要な綺麗な水を必要としない飯も、もちろんある。
レスキュー飯の商品で販売されている、
フライドライスだ。
長期保存3年と…水をそそがなくてもちゃんとカロリー摂取でき、
味わいはドライライスでボリボリ…ただ唾で直ぐに炒飯化するといえばよいか…?
いざっというときにあってうれしいだろう。
お湯を使わないのが非常食とあげてるが、お湯を沸かして使えばよい!炊けばよい!と考えもあろう…
代表的なのは登山用バーナーで湯沸かしという考えもあるかもしれない。
確かに携行ガスボンベ直さしバーナーは携行性優れゴトク=コンロもつている。
だが…一応ガスだ。震災時に漏れて火花に着火爆発の危険性もあるだろう。
火力は充分にある。
だが、4人家族の鍋いっぱいの汁物調理ならともかく、1リットル以下の湯沸かしやご飯炊きではオーバースペックといえよう。
アルコールストーブ…エストック社のが有名だが、MLVのトリニティライトが一番最軽量で、
そのまま直では燃えないアルコール燃料を使った取り扱いのしやすさもあるだろう。
鍋のお湯炊きには力不足だが、メスティン…携行型フライパン一杯、約600ccのお湯炊きには充分だ。
燃料はペットボトルでも携行できる手軽さ、大手薬局やホームセンター、アウトドアショップ、
珈琲豆販売店等で販売している。
また自作でアルミ缶でもカッターがあればストーブが作れるのが強みだろう。
更に手軽なのは固形燃料だ。
万が一横にこぼしても引火しない限り燃えひろがないのが利点だ。
だが火力も燃料によるが弱い。お湯炊きするのに一苦労だ。
ただ時間を大きさで図れるもんであり、先のメスティン使用で一人分なら放置で蒸らしまで行くのも可能だ。
もうひとつ利点が、ゴトクが非常にコンパクトになる。
ただ火気を使える環境は大概が避難所に逃げ込んで安全を確保してから…
大震災で建物崩れて寒いから携帯コンロで食べようとして、火をつけたら…
ガスが漏れて引火したり、ガソリンスタンドのタンクからガスが漏れて引火したり、等あるかもしれない。
あとは救難食、救難遭難食という部類もある。
ジャンボ機や民間船の救命ボートには定員分の1週間分のが搭載されている。
ジャンボ機の救命ボートとは?と思うかもしれないが不時着時に使うシューターが水上にて救命ボートになる。
そしていままでの防災食とか非常食は味わいをもった調理済みのがはいる。
避難場所でも楽しみを持ちましょうだ。
サバイバルフーズはそう考えると除外され次の救難食に入りそうだが…
更にコンパクトで生命維持を考えたのが救難食だ。
ジャンボ機の普段は表に出てないシューターに人数分78名の3食分の食糧…
B747なら8個のシューターがあり、常時膨らむ前のシューターに入っている為にコンパクトになっている。
JALのは6cm7cm15cmの缶でシューターに78個、卸しているのが萬有食品さんのERの乾燥ゼリー入り缶セットで、
アメリカ系は多分アーク3が入っていると思う。
実食は…かんだらホロホロとけるビスケットバーで、水もいらない。
乾燥ゼリーもちとまずい和菓子で、生命維持目的であれば1食476kcalでよく考えられてはいる。
動かなければこれで足りるだろう。
さてリアルの方を紹介してたが、
異世界軍が関わる前の防災食といえば…ある意味合成食であろう。
日本帝国もBETA侵攻前には度々震災に備えての合成食でない防災食はあった。
1961年の伊勢湾台風を契機として災害基本対策法が定められた。
国が主体の1925年制定の災害救助法ではなく各道府県に対する法律によって防災備蓄倉庫が至るところに設置されはじめた。
この世界の制定年なので違う突っ込みは無しで…
ただ1998年からの1連の出来事で発生した避難民で備蓄分を使いきってしまい、
以後難民食は太平洋プラント産の合成食を食べるようになる。
北海道の米の生産分、東北の米の生産分で米は合成食を食わなくともいけるだろ?の意見もあるかもしれない。
が難民キャンプ設置の為に耕地面積低下、また労働力低下の為に追いついてない状態であった。
さて…難民艦は基本各艦にて炊事調理可能であるが、先ほどもあげた通り非稼働艦で、医療艦も同様だ。
生鮮食品は腐る…生肉であろうと…冷蔵冷凍保管スペースが必要となり、
人間1人分1日分の未加工では1m^3必要とする。
難民艦1ヵ月分では別の同サイズ専用の保管艦、2ヵ月分では2隻目を必要としている計算だ。
勿論常時中身入れ替えでは破棄も増えもったいないだろう。
常時稼働艦で見てみると…
稼働必要人数が一桁のヤマト級の原型、宇宙戦艦ヤマトは汚物再生装置…便を食料の原材料として再生可能な装置を搭載しある程度の食品再生可能だ。
なので長期間の無寄港航行は可能でもある。
スターゲイト世界の宇宙船は…
まずちゃちなプロメテウスは基本1ヵ月以内の補給、
それ以外は3ヶ月以内の寄港補給する型で運用され、その分巨大化している。
生鮮食品保存スペースだ。
異世界軍のヤマト級は人間の搭乗人数が一桁であり、後はバルキリー隊の分と500m級でもあり、充分余裕がある。
常に緊急出動に備えて常時補給している。
難民艦は2400人対応と考えて…
その為に食料は常温で長期保存可能、かつコンパクトな救難食の部類が搭載され、
後はチューリップによる通常食補給運用を想定している。
救難食は高カロリーをメインとしたクッキーとゼリーのセットを採用。
食感と味わいは未来技術で高度にはなっていた。
あと異星人に地球人類の食物を〜は体当たりでやるしかない。
スターゲイト世界では天の川銀河内の大半はゴアウルドに拉致された地球出身、
ジャファやゴアウルド、ウナスは別起源ではあるが食あたり程度はあるも食べて死亡は無かった。
なので大丈夫だと思いたい…
「それで彼ら…避難民の責任者は生きてる?」
[都市長というひとだろうね〜]
聞き取り調査で避難民の責任者は都市長というものらしい。
責任者…まぁ世襲制か選挙制、任命制によるものだろう…
人それぞれ考え方は違う。
ここの責任者は推薦制との事だ。
当座の交渉相手は都市長だろうで動こうとすると、都市長は行方不明であった。
彼はBETAの侵攻を受けた避難民らの都市にいたらしい。
つまり現状現地人側の責任者と呼べるのが軍属のものになる模様だが責任割合がかなり低くなるらしい。
「となると…意思決定の責任者はいないって事が」
[という事だね〜]
「都市長の上は?国をとりまとめる長や機関はある筈だろ?」
[お隣の国にいった方が早いかもね]
「あ〜…じゃあ…」
[で、現在の状況なんだけど〜]
惑星コムネスのハイヴ、地形図、異世界軍戦力が映し出される。
現在の惑星コムネスに展開済み戦力はトレー級18隻が主役で、
スフィンクス等は補給ラインが確立せずで携行した弾薬のみで未稼働相当。
その戦力では完全停滞阻止殲滅という条件…距離を稼がなく、移動なしBETA残存0、突破0、
の条件では1個師団…中型種2万と小型種5万弱が良いところだ。
理由としては的面積のでかい中型種は問題ないが、数がおおく的面積の小さい戦車級闘士級あたりに対して、
トレー級の主砲、徹甲弾や徹甲榴弾では効果がうすいのが理由だ。
漏れが出てくる筈であり、クラスター弾を使ってやっと砲撃だけで完全殲滅できる計算で、
基本は徹甲榴弾で接近させてCIWSで殲滅の形にだと考えている。
またクラスター弾は容易には使いたくはない。残存探知が困難になるのも理由だ。
なのでBETA群後方に漏れ殲滅要員のスフィンクス等が回り込む必要がある。
そして徹甲榴弾選択した場合だが、
トレー級によるCIWSの迎撃は弾薬無限大でもあるが、各艦に4基であり単艦では漏れはでてくる。
18隻が陣を組んで一方向に36門が向く形だ。
何時もの後退しながら距離を保てば殲滅時間がかせげるが…現状後方は後がない。
補給ラインが確立しなければ、持ってきたスフィンクスや重機関銃ホバーも、
いずれは弾切れをおこし、小型BETAには剣や鈍器や徒手による近接格闘戦を挑まなければならなくなる。
また情報を持ち帰ると、光線級等の発生が予想される。
補給ラインが確立し、小型種相手が心配ならなくなってから、 20隻で3個軍団規模中型種以上約9万の小型種約24万、総数約33万の完全停滞阻止殲滅できるといえよう。
明日、惑星ロドニアより抽出の20隻到着予定で38隻体制、
地球とのチューリップ補給路は2日後に完成予定見込みという形であった。
それを使えばの話に進む前に、惑星コムネスのハイヴ状況と地形だが…
B1着陸前の偵察でハイヴ数は本大陸が26、別大陸が21なのはわかっていて、
本大陸はフェイズ4が最高、別大陸はフェイズ7が最高と、
重頭脳級は別大陸のどれかというのがわかる。
ただ別大陸のフェイズ7が3個ありどれかは不明の状態だ。
今いる地点から最寄りのハイヴは東微北の方向1301kmの地点。
習性的に大体1500kmでハイヴを作るから、救助しなければここか西の街かあたりでつくられよう。
別大陸のを仮に東から順番にα1としてα21まで、
本大陸のを東からβ1として26まで振り分け、
一番進出してるのがβ26、現在地点から東微北の方向のフェイズ2だ。
東側からβ3までがフェイズ4、β14迄ととんでβ16がフェイズ3、後がフェイズ2と、
陸続きなので防御態勢と補給整えれば20隻態勢でも攻略は可能ともいえよう。
陸続きが本当に問題なのだが…
ここから、地形的にはイタリアの様に大陸に突き刺さっている半島が西へと延びる。
大陸として太くなった付け根から東へ150km程内陸へと入った街がこの街であった。
そして大陸の南北から西へと細い半島が若干伸びて、三つ矛の矛先が西へとでている。
南北にまだ長細い人類勢力圏で街が計5つ、そして山脈で隔たれこの街のある中央部という形だ。
西に見てみると森林地帯があって越えた箇所に街があり、
さらに中央半島に街が点在する。
つまりこの地点からトレー級が西の街にいくには森林地帯破壊してくか、大きく迂回して海岸線沿いに向かうしかない…という地形だ。
「ん〜…当面の戦力が…たらないか…全面的防御よりかは…」
大陸の中央部に位置するこの場所で防衛した方がよいかもしれない。
明日惑星ロドニアからの戦力で当座の戦力となる。
だが現状展開できる地域は少ない。
陸上戦艦であり、平地やなだらかな丘陵またはなだらかな海岸でないと展開できない。
BETAの侵攻を受けた箇所は必然的に削られその条件にはなるが、
未侵攻の箇所はかなりの障害物がある。
中央部で20隻の防衛線をはると、南か北のどちらかは切り捨てざるおえないだろう。
「北を難民艦むけて、住民回収、BETAに明け渡して海上で魔紀伊級おくってもらって沿岸警戒したほうが無難だよな…
南は4つ街あるし…」
[だよね…]
「BETAが山脈削ってくれたら北も守備範囲にはいるが…」
[5000〜7000m級のだから…4年はかかるよ]
「だな…それでいこう。あと翻訳は…?」
[明日くらいには挨拶程度の言語解析できそうだよ]
「じゃあ…それ次第っと…あとは中継ステーション建設手伝ってくるか…ルーロス」
「あいでち〜」
…………
「で、ルレアを殺したのはお仲間?」
「ルレアトハ?」
「えっとあのクソども…妹を襲ったでかぶつよ」
「アア、BETAノコトデスネ」
「ベータ?」
「ワタシハソウヨンデマス」
「お姉ちゃん、クソどもに名称なかったよね?」
「そうね…で、あなた達は何?」
「TOK715ノエリシア・ナギサ」
「いえ、単体ではなく複数よ複数」
かしげている。わからないようだ。
「えっと…私と妹で複数でしょ?それの多数よ」
ジェスチャー交えながら…
「つまりあなた達複数よ」
「アア、イセカイグンデス」
「イセカイグン?…団体の名前ね?どっから来たの?」
「チキュウトイウ、ルナカラキマシタ」
ルナはコムネスの言葉で星をさしている。
「ルナから?あの空に浮かぶルナから?」
「ソウデス」
「うそ…生物が存在できるの?」
「ソンザイシテマス、ミドリユタカデス」
「えっ?緑豊か?」
「お姉ちゃん、お姉ちゃん、どのルナを指してるかいわないと…」
「あっ、一番内側の軌道を回っているルナね」
どうやら天動説らしい…
「イチバンウチガワ…ヤク40マンkmデスカラ…ヤク10マンクランノデスネ」
「えっ?10万クラン?あなた達そんな遠くから?」
「イエ、チガイマス。モットトオクデス。1045#%&カラキマシタ」
「1045…何?」
「1045#%&デス」
「ごめん、わからない。クランになおして」
1045光年は9823兆qであり…
「2455〇〆クランデス」
「〇〆って?」
一応兆をいってるのがわかるだろう。
但しだ…万進とか万万進とか、漢字で定義が違ってくる。
億は漢の時代に定義があり、万の10倍が億、その10倍が兆、京と制定されてた。
M=メガ、10の6乗が兆とされていた。
これは下数での定義であった。
その後上数で10の16乗が兆と定義され…10ペタ=1万テラ、1京が10の32乗=100グルーチョであり、
さすがにその辺りで支障きたして、
次に中数…万万進法が定義されて…
これでもまぁ10ペタ=10の16乗が兆であり、1ヨッタが1京=10の24乗、
現代では万進法…1兆は10の12乗で1テラ。
1京は10の16乗で10ペタとなった。
そこら辺で語弊、翻訳に支障がきたしていて、
エミリアは数字をかいて、何とか双方の単位の言語を学習した。
幸い0が定義されている10進法の為、齟齬はないだろう。
2進法や7進法なら計算も筆者にとっては大変だ。
「2455万億クランね…到底わからない数値だわ…」
コムネスでは兆は定義されてなく、億がかろうじて定義されていた。
「私達の足で何日かかるのかしら?」
「ヤク305オクネンノニッスウガカカリマス」
コムネスでの1年は335日とききだしてはいる。
「寿命が尽きるわね〜…そんな遠くから何の目的できたの?」
「マスターノメイレイデ、アナタタチヲソンゾクサセルタメデス」
少しカチンときたようで…
「マスターの命令?マスターの命令がなければ動けないの?」
「ソウデス」
「じゃあ…何?自殺しろっとマスターが命令すれば自殺するわけ?」
「ジサツシマス」
「えっ?…えっと〜」
「ワタシタチハツクラレタソンザイデス。ソノイミデハそういったことになります」
「あ〜…そうなの?」
「はいです」
「質問変えた方がよいわね。そのマスターは、何の目的でもって私達を存続させる為に?」
「あらたしいおともだちになりたいとおもって」
「本当に?」
「マジです」
「マジですって…なに?」
「ほんとうのいみです」
「ああ、イセカイグン語なのね…私達はとんだ幸運を拾った様ね…
明日も生き残るかわからなかったのに…」
…………
街中にアムボートが入る。
迷わずに生命反応がある方向へ一直線、
道あるところは道をつかうが、
家が崩れて瓦礫で潰れた道は崩れた瓦礫を登り上がる。
登り上がれそうな瓦礫がある場合は外付けのパワーアームが展開し、車体を押し上げて登り上がったり、
瓦礫をいきおいよく叩いて崩す、どかすや、車体で押し退けたり様々だ。
生体反応の側になると横のハッチからTOK715とセクサロイドが飛び出してく。
どうやら崩れた家の中に閉じ込められてるらしい…
迷わずアムボート操るヤドカリが4本あるパワーアームを瓦礫に突き刺し空間をつくりあげる。
確保した空間にTOK715が潜り込み、その後セクサロイドが続く…
先にセクサロイドが生体反応の出ていた要救助者を瓦礫の山の中から連れ出し、TOK715が続く。
抜け出すと迷わずパワーアームを抜き瓦礫崩れて土埃をあげた。
要救助者は意識不明の状態の様で既にセクサロイドは診たのだろう…迷わずアムボート車内に連れ込み、
アムボートは来たルートを引き返す。
そういった光景が廃墟と化した街中で50台近くのアムボートが活動していた。
あるアムボートは直線的に進んでいた瓦礫の山を避けて迂回してく…
瓦礫の下に死者が眠っている為であった。
街が破壊されてから既に1時間以上は経過、救助しても助からないと判断されている死者であった。
死者でも助かる見込みがあるのは…別のアムボートチームが瓦礫から引っ張りだして凍結処置していた。
凍結後にすぐには運ばずまだ点在している要救助者を助けにいく…
別のアムボートチームの動きが変であった。
空間を確保するのは一緒だが丁寧に除去作業、またセクサロイドが鞄を出して中にはいる。
TOK715は支柱を中に運び込み空間を補強し…
「ううう……」
「もう少し頑張って下さいね」
セクサロイドが声かけたのは石の支柱に潰された男性であった。
頭、肩、胸が潰れずにいたが下半側をみると…胸の下辺りから支柱に潰されている。
支柱の上に瓦礫が乗っかっていて重量がかかっている状態だ。
セクサロイドのみたてでは脳への動脈、及び両手が無事なので血流は確保されているとの事だ。
「こっちは準備整った。そっちは?」
「いつでもいいわ」
いつの間にか麻酔を打ち込んだのか男性は朦朧としている。
TOK715が瓦礫ごと支柱を持上げ、セクサロイドが両腕つかみ引きずり出す。
男性から血が大量に流れでる。
下半身はちぎれて内臓もちぎれて引きずられてる状態だ。
直ぐにセクサロイドは腹の中に手を突っ込み動脈を結合させて止血、
内臓も綺麗な部分を残して切断閉塞し…
「これで後はカプセルに入れるまで持つわね」
「外に出ますか」
「荷物収納お願いね」
血まみれのセクサロイドが胸から上の生存者を運び出してく。
カプセルでの再生頼みの救助であった…
…………
「ファタン…マータン」
暗い…ファタンに抱かれたい、マータンに甘えたい…
外に出たい…恐い…
マータン…
ちょっと前なんでちけど…
回りの大人が何かを避けんで走り回ってマータンとはぐれたの。
マータン、マータンと泣いていたらマータンが見つけてくれた。
そしたらマータンが私を抱いて走ったの。
「神よ、我が子をお助け下さい」
神よ、我が子をお助け下さいって何?
その後…マータンが、
「ごめんね」
と言ってわたちを投げたの。
そしたら大きな音と揺れがきて…で体を打っていたいの…
いきなり真っ暗なところになって…
外に出ようとしたら穴に転げ落ち、
マータンに会いたいと思い歩いてはいるの…
何回穴に落ちたかわからないです。
外にどうやってでるの?と思ってるんだけど…
暗い…前に壁が…もう歩けない…
何かが聞こえる…?
人の声?
ガラガラガラ
壁が崩れて…
「いた!!」
「マー…タン?」
マータンが助けに来てくれたの?
「いや!!マータンじゃない〜マータン!マータン!」
「くらやみにいたら、ま〜たん見つかりませんよ〜」
ミアが近づく〜
「それ以上中に入れると崩れるぞ!」
そこから来ない…
「明るい処に…ねっ?おいで」
「嫌ぁ!マータンが迎えに来るのっ!」
「早くしてくれ、支柱が折れそうだぞ!」
「ねっ?ミミアちゃん、きてちょうだい」
「こっちは支える!そこを抑えろ!」
「わかったわ!」
お姉ちゃんひっしそう…ここから…出たい…
「明るいところにでたら…マータンみつかる?」
「見つかるわよ」
「わかった〜」
わたちは前に歩いて狭いあなをくぐって、
「いいこね〜」
抱き上げられ…いいにおい。
「ちっ!崩れるぞ!」
もうちとりのミアがわたちに近ずく石を手でパンチしてくれる。
「早く出口まで抜けろ!坑道がもたない!手が足りなぇ!」
「ええ!」
はやいはやい〜〜〜
「全く!なんでこんな地下坑道にいるんだ!!崩落するの当たり前だろ!」
「あなたが安全マージンをとらないからですよ!!」
「はぁぁ?! とったさ!おめーが強行するからこんなことになってんだろうが!」
「強行とは何です?強行とは!当たり前でしょ」
「俺は支柱に使えるものが足りないったよなぁ?取りに戻りたいったよなぁ?」
「ミミアの精神がもたなそうっていいましたよね?」
「ちっ!!」
大きな岩がちかよってきて、お姉ちゃんが小さな岩にしてくれたの。
「この現場ぬけたら決着つけるぞ!」
「うけてたちますわよ!格闘技以外で」
「なんでよ!!」
「私はセクサロイドですよ!!あなたに格闘技で勝てませんよ!
チェスで勝負です!」
「おめぇ!!得意分野で決めんな!ちっ」
「とにかく外に出てかー!」
「けんかちちゃあめ〜」
「……だとよ」
「ですわね…あと15!!」
「下がれ!!」
前のあながつぶれたの…
「どうするの!?」
「突き破るさ…はぁぁぁどらっしゃーー!!」
もうちとりのお姉ちゃんが背中から土にあたると土がどけてくれます。
「ミミアちゃん我慢してね」
顔を胸に押し付けてきました。くるちいです。
「抜けたぞおぉ!」
ぷはぁぁぁ
くるちかったです。顔をあげるとルナのあかりが…
「ミミアちゃん、頑張ったわね」
「ミミア、いいこいいこだぁ」
頭をなでてくすぐったいです。
お姉ちゃん達…土で化粧されていて綺麗です…
…………
街の救助活動も蘇生不可遺体掘り出しが一段落した翌日…
アムボートを再改造した偵察装甲車にて彼女らが避難しようとしていた国境を越えた西の街、ネフェトを目指していた。
中世環境での異世界軍の活動は初であり、
普段ならルーロスで直接街に乗り入れよう…だが恐怖をあじあわせるよりかはまだ理解できる物で、
どちらにしろルーロスも直ぐに駆けつけられる為に地上での情報収集を兼ねてもいる。
発する口語についての翻訳には新たな翻訳機が用意された。
偵察車内には…
「マスター、前方に森があります」
「ネフェルの森ね」
地平線で見えなくなる石畳の道は森へとむかっている。
昨日救助したエルフ姉に西の街との接触の協力をして、
TOK715とドライバーのヤドカリ、エルフ姉妹、カオルが車内にいる。
今現状はカオルが上部ハッチから顔を出している状態だ。
エルフ姉妹が、街迄何日もかかると勘違いして旅支度をしてたり、
馬なしで動く車を怖がったりはしていた。
そういった事態はあったが…
そのまま偵察車は進み…
「ほう…」
石畳の道は森のなかへと続き、森に生える木々は巨木であった。
カオルも転生前には山登りで森に入った事もあるがそれとは全く比較できないほど…なんといったらよいか…見事であった。
まずリアル日本の林は大まかにわけて、
40%の人工林、50%の自然林、10%の原生林に分かれる。
まずは人工林…これはいわゆる木の畑であり、統一された木が生えている状態で、杉が並んでいる光景みたいなものといってよいだろう。
要は林業の土地である。
戦後、高度経済成長に伴い林業が振興され、生産性の高いスギやヒノキが植林され、
人の手により作られた林を人工林という。
そして自然林…人の手が入るものの、自然の力で生まれている林で自然の力で更新している。
人工林との違いは一目でわかるが、スギならスギ〜と、いったように統一はされてはない。
そして原生林…人の手が全く入らず太古の自然のままという林だ。
日本では白神山地や屋久島等があげられる。
もう少しつっこむと…まずは原生林から…まずは白神山地だが、これは核心地と緩衝地帯に分けられ、緩衝地帯は林道等が整備され自然林の部類になろう。
そして核心地は本当に原生林ともいえ、例え原生林探索の観光者の死人が出ても土地管理者の青森県や秋田県は林道を作りもしない、今後も作らないと明言し、
まさに自己責任の世界で、高度な登山技術を要求している。
また核心地へは許可が必要としている。
白神山地が本土なのに原生林の理由は、
まず厳しい冬で大雪に閉ざされる地域である。
土地が常に隆起していて林道を作っても直ぐに土砂崩れが発生し整備が困難な地域。
原生しているブナ等が木材として価値が低く、代採を免れた地域。
のが理由だ。
そして屋久島…こちらも世界遺産として登録されている。
だがトロッコ軌道等観光客歓迎の観光協会や役人により、利益重視政策のために観光客による環境破壊が激しく、
厳密な意味での原生林ではなくなってきてるかもしれない…
「何か長さ測れるロープ無かったっけ?」
石畳の道から見上げる巨木らに思わず測りたくなる衝動になり…
「…救助牽引用ロープなら」
「じゃ、それつかうか」
耐加重3t、T-850の650kgが掴んで降下しても切れない頑丈なロープだ。
ロープの結び目次第でほどけるから掴んでにしておく。
横のハッチを開けてカオルとTOK715が表にでて…ロープをもって測り始める。
目通しが…
「22.1mです」
目通しとは…目の高さ、地面から1.3mでの木の回りの長さの数値だ。
円周率で割ると直径に大体なる。
根が地面より浮きあがってたら付け根からの高さ1.3mの所をはかる。
山地等で斜めってたら測る定義はあるがまたあとにしよう。
長さはTOK715のセンサーが正確に測ってくれる。
高さが…
「うへぇ…結構あるな…ん〜この辺か?」
下でエルフ姉妹が唖然と見上げていた。
カオルが空高く浮かびロープの端をもっている。
「91.3mです!!」
「ほう…大体…い並ぶのがこの高さか…」
カオルの目には緑豊かな高い巨木の森が続いていた。
「破壊するって考えたら…苦労しそうだな…」
ホバー走行な為に衝突エネルギーは逃げやすい…2〜3本を倒して動けなくなる様が頭のなかによぎっていた。
地上に降りてくと…
「ちょっと、何なのあなた!!地球人って一人で空飛ぶの??」
「あっ、自分だけ特別なので…気にしないで下さい」
「気にするわよ!」
「と、満足したので先に行きましょう」
偵察車の中にカオルは戻り…
……
「マスター、前方に生体反応、数約4000」
巨木のネルトの森の出口を抜けると偵察車のセンサーが拾ったようだ。
「ゴウ国の私達の受け入れとBETA迎撃の軍だと思うわ」
街に接近するBETA群発見の狼煙を見つけたら2つ先の街まで狼煙をあげるらしい。
「速度落として接近して。私が名乗り出るから」
怖がらせない様に…
「止まれ〜!!止まれ〜!!そこの手押し車とまれ〜!!」
こちらを発見した騎乗兵が数名近寄ってくる。
ラクスが横のハッチからでて、
「私はハイト防衛兵団所属、レンス・クライン!!」
左の胸上に右手の握り拳で叩き名乗りあげる、敬礼なのだろうか?
ぷるん、と豊かな胸が震える。
「隊司令にハイトの状況を伝え、領主殿にお目通り願いたい!!」
「了解した!!暫し待て!!」
騎乗兵が1名連絡に戻り…
「あれ?領主って…」
「言ってなかったかしら?ゴア国は王国貴族制なのよ」
「げっ貴族かぁ…」
カオルは銀河英雄伝説の中央派閥貴族…傲慢に偉そうにふんぞりかえっている様を連想していた。
……
先程の騎乗兵が数名引き連れて戻ってきた。
「ネフェト防衛兵団隊長、リフィ・タナアイだ。ハイトの状況を聞かせてくれると言ったか?」
「はっ!!」
街は壊滅、避難民も多数死ぬも援軍がやって来てBETAの阻止に成功した旨が伝わり…
「そちらの方が?」
「自分は渚カオル、異世界軍で元帥をやっています」
「なぎさかおる殿初めまして…して、領主は逃げ出してな…」
(やっぱり…)
「今、ネフェトの街も避難指示が出ている。
だが…ハイトの状況が事実なら国王へ連絡を出さなければならないからな…
とりあえず街へ案内しよう…ようこそネフェトへ!!」
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