第023話 惑星コムネス編08 ゴア国王との会談
会談相手の連絡員から指定された時間前に軍の展開が終わった。
ネフェトの門から1.5クラン離れた平原だ。
「ん?」
今まで晴天で雲ひとつなかった快晴の空に雲ができはじめみるみるうちに、
暗い分厚い雲へとかわる。
雨の際の会談用のテント用意してない…
近衛兵に声をかけ、用意する様に伝えると、ネフェトの街へと隊員20名程引き連れていった。
(雨の中会談か…)
まだ雨は降ってはないがこうまでどす黒い雲では…雨が確実だろう。
日時計の変わりの砂時計がまもなく約束の時間を示している。
(ところで…見えないが…どの様にして来るのだか…?)
すると聞き慣れぬ音が…
音の方、雲を見上げると…
雲を割って巨大な物体が突き抜けてきた。
2.5トー、人の身体の約5倍以上の長さの物体…ほほ視界いっぱいだ。
しかも1秒、2秒唖然としている内にでかくなってくる。
潰される!!
兵から声が上がる。
「陛下!退避を!!」
近衛隊士が馬を引いてきた。
「す、すまぬ」
馬に騎乗しパニックをおこしている軍隊とは違う方向、南の方向へと馬を走らす。
巨大な物体は南の方が長さは無い。
未だに頭上に見える巨大な物体…
クソどもとの闘いで死ぬ覚悟はできていてもワケわからないもので潰されて死にたくはない。
雲を突き抜けた時に視界いっぱい…
飛竜は雲を嫌うが、大体の大きさはわかる。
最低でも飛竜100匹以上の長さはある。
地上において翼を広げたら人の身長の10倍近く、首から尾までが人の身長の5倍近い。
それほどでかい飛竜が雲の高さまであがると視認できるか、モス1粒分の大きさ…1ミー程度になる。
比較するとあれは巨大すぎる…
ドワーフどもとの戦いの際に飛竜の足に潰される兵士もいた。
飛竜の足の大きさは人一人分程度…
あの物体が落ちてくると絶対に2000人は潰される…
最低でも頭上に見えなくなる位置まで走らせねば潰されるのはわかっている。
その一心で馬をはしらせ…
頭上にあった物体が少し後方へとながれ、頭上にはなくなった。
しかし…予想より大きくならない…
(まさか…あれは飛ぶものか?)
石弾…投石機で放たれた石は頂点に達したら自由落下する為に、
滞空時間は短い。その常識でそれをかんがえると…
だがあり得ない…あの質量感あるものが…
「陛下!!前!!前!!」
グフゥ!ボキボキボキ
ヒヒーーン!
急な衝撃で乗馬してた馬の首に叩きつけられた。
わき見で立木か何かに突っ込んだか?
だが…馬は賢く避けるはず…
ヒィヒーー
馬は何処か折れたのか?だが転倒せずに我は落馬もしてない。
「とまれ、マスターは脅かしすぎました。すまんと言ってる」
ダリの声が前から聞こえる。
(まさか…)
身体を動かすと痛いが…上半身裸のダリが確かにいる。
15クラン以上の全速力疾走の騎馬の巨体ごと止めたのか?…
「貴様ぁ!!」
護衛していた近衛兵が、一般人風情が王に無礼を働いたと、攻撃体制にはいった。
ランスによる騎馬突撃だ。
「やめぃぃぃ!!」
自ら止めの命令を出すも、腕が上がらない。
近衛兵当人の勢いは止まらない。攻撃がダリに……
「きゃっっ!!」
「いっ!?」
困惑の声が上がる。我は言葉を失ってた。
ランスが突き刺さるどころか、ランスの先端をダリは握り潰している。
止められた勢いで近衛兵の手からランスの柄を剥がされ、
腕が折れてしまったのか痛がっている。
「治療はする。エレファントよ。マスターは脅かしすぎたと詫びてる。
会談を」
「あ、ああ…」
そう言わざるえない…否定したら拘束してでも従わせる感じはする…
エレファントは騎馬から…
(つっ…)
胸の中が痛む…肩も痛む…腕も上がらない。
馬の最高速で走っていた中を止められ、馬の首に打ち付けられたのだ。どっかは折れよう。
落馬しなかっただけましかもしれない。
頭などうったら…訓練中の落馬事故でそのまま帰らぬ者の報告は数回聞いてるし、
頭など打たなくとも落下した衝撃で骨折は当たり前だ。
いかに落下時に受け身をとれるかが騎馬兵での訓練の重要さだ。
それよりか…
降り立つと、騎乗していた馬の様子は、
両前脚ともにだらりと下がって、
ダリが支えている状態と言えていた。
(両脚部が折れてるか…)
「馬を下ろしてくれ」
ダリが馬を横たえさせた。
左腕で剣を抜くと…
「まて、何をする?」
「何をするといっても…介錯し我らの血肉にだろう?」
「骨折だけだぞ?」
「骨折だからだろうが」
このダリは何を言っているのだろうか?
骨折だからこそ馬は命取りだ。
走れなくなった馬は狼などの餌になってしまう。
ならば介錯して感謝の意を込めて食するのが恩情ではないか…
王の言葉に補完する解説をここでいれる。
よく競馬で予後不良の為に殺処分という言葉が聞けよう。
骨折により以後回復見込みがないので、早く安楽死させようという言葉だ。
たかが骨折でなぜ回復見込みなしと判断して殺害?と思うかもしれない。
脚部の骨折はそれほど馬にとっても命取りになるのだ。
まず助ける場合においては…
テンポイントという競争馬がいた。
1978年没のGTレース馬だ。
5歳時に天皇賞春と、有馬記念を制した馬で、6歳時に国外レースへ遠征が決まっていた実力馬で、
人気も高かった……
GUの壮行レースに出場、レース中に後脚が骨折、医師は安楽死をすすめたが、
馬主が承諾を保留している間にファンより助命が殺到し、中央競馬会は成功の確率を数%と認識しつつテンポイントの手術を行うことを決定した。
中央競馬会はテンポイントの手術と治療のために33名の獣医師からなる医師団を結成し、1月23日に手術を行ったが…
2月13日に患部が腐敗して骨が露出しているのが確認され、2月下旬には右後脚に蹄葉炎を発症して鼻血を出すようになるなど症状は悪化の一途をたどる。
3月3日には事実上治療が断念され、
3月5日午前8時40分、テンポイントは蹄葉炎により苦しんで死亡。
骨折前に500kg近くあった馬体重は死亡時に300kgを以下とも推測されるまでに減少し、大きな犬と思うほどに痩せ衰えるほどであった。
牧場に土葬される際に。頼みで獣医師が左後脚のギプスを外すと…
異臭が立ち込め、飛節から下の部分が腐っていたという。
ならば…競争馬の道をたってでも義足を!の意見もあろう。
アメリカでは安楽死でなく切断術により脚を切断、義足をつける選択をした馬が年3頭ほどのペースでいる。
たが100%助かるわけもなく…
まず義足にかかる体重は100kg〜150kg、さらには走る際の勢いで接続部の負荷はわかろう。
義足にあたる部分の皮膚が耐えられるかどうかが一番重要で、蹄叉を切断肢の先に移植できれば、負重と摩擦に耐えやすくなる。
だがそれでも毎日の管理と看護が必要で、しかも何年も生きられることは少ない…半年とか1年とかで耐えられなくなることが多い。
接続部からまた壊死が発生したり、他の脚部から負荷による炎症が発生したりして衰弱死してしまう…
それが1年生存確率30%の理由だ。
あげたのは開放骨折等で、それ以外でも助かる見込みのある骨折も勿論ある。
だが馬主の経済的負担で薬殺されるケースが多いのも事実だ。
過去には予後不良で死を選択されながらも、安楽死ではなく屠殺処分され馬肉が流れたケースもある。
ハマノパレードだ。
レース中に骨折し予後不良と判断されたが、人が食べる肉に麻酔は使えず苦しんだまま屠殺処分、電気による麻痺させて撲殺され…
その時間苦しんだであろう…
以後、安楽死のみになるケースとなった。
ここまでが人間に飼われている馬の話だが、自然状態、野生では文字通り肉食獣の餌となる。
狼がいれば狼に…アフリカ等ではライオン、チーター等など…
日本でなら熊の餌になるだろう。
といったかんじで馬にとって脚部骨折は命にかかわり、
この時点で介錯を選択した王の判断は戦場馬にとっては当たり前ともいえよう。
特に機械化されてない文明においては馬運車等あるわけもないし、ましてや馬車を用意して運べてもだ…
開放手術できる現代においてでも数%の場合もあり、惑星コムネスの技術では到底手術できる環境でもない。
ある意味血肉と無駄にしない習慣が根付いているのでよいとも言えただろう。
「治療を行えばまた走れる」
「治療を?我らには運ぶ手段もない、また馬の脚の治療をする手段もない」
そなたが運んでくれるなら…と口にでかかっていたが…
運んでもらっても無駄であろう。
走れなくなった馬は例え厩舎に運ばれても、ほぼ衰弱して死んでしまう。
運ぶのも一苦労で台車がきても横たわったままでは乗せられず、
馬にたってもらいおとなしく乗ってくれれば…
「だから介錯せざる得ないのだ」
「まぁ、まて」
「そなたがいうなら…だが、どうするのだ?
馬の体重がかかる脚が2本折れてるのだぞ?
しかも折れた骨が皮膚を突き破ってるではないか」
「両脚ともくっ付けて治療する」
(はぁ?人間の腕の様にはいかないのに…)
ダリが何かを取り出した。
「まずは右脚の治療をおこなう」
言いながらダリが痛みで暴れる馬を押さえつけて、何かをかざして光を照射すると馬の前両脚が根元から動かなくなる。
死んでいるわけではない。今も首をひっしに動かしている。
両足で、馬の折れている脚を伸ばし…
嵌め込んでからさっきの光を当てた。
光を当てた部分の折れた骨により裂けた傷がみるみる内にふさがっていく…
「はぁ?」
あり得ない…裂けた傷口は縫うのが基本で、人でも傷だけでも数週間はかかるのが常識だ。
「右脚の治療は終了した。次は下にある左脚だ」
ダリは左に横たわっていた馬の巨体を力強くで担ぎ上げると、右が下になるように横たわらせる。
人間一人で馬の体重持ち上げられるもんなのか?
……なんなんだ?このダリは…
左脚も同様に…あれほど痛がっていた馬が…
「治療終わった」
ダリがまた馬を持ち上げると、脚を地面につかせるように離れる。
骨折していた馬は理解及ばないといった感じで脚で地面をマエガキしている。
「他の箇所は大丈夫…だな」
さっきの何かから出る光を当てて確認していた。
「さて、そこの者」
先程の静止が間に合わなく、腕を骨折した近衛が呼ばれた。
近衛兵は鎧を剥ぎ取る時に痛がって…
「ふむ…右肘の複雑骨折か…治療を始める」
光を照射しながらダリが外側から肘患部を揉んで…
「よし、これではまったな。細かいパーツを移動して嵌め込むのがやっかいだった…
動かしてみろ」
「えっあっ…動く…動く!!」
(我のもみてもらうか…)
まず肋骨は非常に折れやすい。
エレファントは医療知識不足の為に、
作者解説がまた入る。
まず、心肺蘇生法による心臓マッサージ…
大人だとだれもが聞くだろう。
正しい位置に手を置けば肋骨をおらないでマッサージができる。
ただし正しい位置だ。
肋骨折るから正しい位置に置けない等ためらって死亡のケースが多く、
緊急避難…心臓マッサージしなければ相手は確実に死ぬ、肋骨骨折は無問題を前面にして、最近は、
肋骨折っても致し方ない。とにかく迅速なマッサージを!!
になっている。
位置は関係ない。とりあえず胸の中心でok。
ただ、折った骨が心臓に突き刺さらないような微妙な力加減…を求められてはいるが…
心肺蘇生法程度で折れる代物であり、一瞬の加圧から肺等をまもる役目であった。
ついでにいうと鼓動が左胸から強くするのは、
生きている筋トレの結果であり、左胸に心臓が位置するわけではない。
馬の襲歩、時速60km以上だした状態でターミネーターに激突、
それで骨折程度ですんだのは幸いといえよう。
ただ肋骨骨折すると後がやっかいだ。
基本外部からの圧迫固定で過ごす形になる。
多少のずれは前提だ。
そのズレが酷かったり、粉砕や骨折箇所が多かったりなどは皮膚切開による接合術へとなる。
他に腕が上がらなくなる症状を出しているのは鎖骨も骨折している。
これも折れやすいが治りやすい箇所の骨折だ。
ターミネーターがエレファントをみてとった手法は…
「突き刺すぞ」
「ああ…痛くはないな」
「神経を部分麻痺しているからな…ズレを直して…照射」
直接損傷箇所に指を突き刺して骨をつかんでズレを直してから、光を照射し、
接合させてから、突き刺した傷口を修復させていた。
(しかしこの様な方法とはな…)
治療が終わり近衛隊の面々も落ち着いたので、巨大な物体…未だに空に浮いている…
「しかし…あれは何だね?」
「バトル4、バトル級宇宙戦艦」
「宇宙戦艦…異なるルナを結ぶいくさ船か…」
「さあ、いくぞ」
「……いくさ船の真下にかね?」
「そうだ。会見場所にだ」
「いくさ船の横に変更できないかね?流石に潰されそうな圧迫感が半端ないのだが…」
「潰されそうか…連絡しよう……バトル級を動かすようだ」
「そうしてくるれると助かる」
(ん?影?)
大地にうつるバトル級の影に気付く。いつの間にかに空は晴れていた。
(しかしあれが船とはな…)
我が国の新型大型商船のアレア級を思い浮かべる。
常識として船を動かす人数…最低人数を下回ると船を操ることもできなくなる。
その人数は我が国の船、
4本マストの、長さ7.5トー、積載量50カジュエルの帆船の場合…
【1カジュエル=4tになります】
30人で、1トーあたり4人必要な単純計算だ。
目の前のバトル級を腕をのばして目算で測ってみると…クランまではいかないが、300トーあたりか…?
となると最低1200人必要計算だ。
だがあくまでも長さだけであり、横巾は みてない。
アレア級は横巾2トー、バトル級はその62.5倍の125トーあたりか?
すると7.5万人…
更にバトル級は高さもあり、船体として人員が必要とすると…
アレア級は喫水船下からマストまで9.5トー、バトル級は100トーとみて…
約78万人と、我が国の総人口を超えている…
いかもよくみるとバトル級とやらのいくさ船以外にも空に浮かんでいるいくさ船があるではないか…
その数……22隻、
遠目ではっきりしないがバトル級との対比で…
長さ100トー?横巾は見辛いが…12トーはありそうな気がする。高さは1部船体が高いが、それを抜かすと15トー程か?
高さは1.5倍とみて、
3600人が必要な艦船が…22隻、それでも約8万…
正直勝てないな…
勝てないにしろ戦うとしたら飛竜は必要で、数としたら大食い飛竜が1万や2万でも効かない。
間違いなく破綻するわ…
……
逃げ散った我が軍の兵士達も戻ってきた。
将軍は退避後に踏みとどまったものの、多くの兵士がてんでバラバラに逃走、
中には街に戻らずに山まで走っていった者もいたらしい。
嘆かわしい事に数は揃えられても我が国の実情だ。
聖峡谷の闘いにおいて派遣した軍は飛竜部隊を除き全滅。
一から再建し練度をあげている。
バトル級というものは形を変えて巨大な…見上げると首が痛くなりてっぺんが見辛い巨大な人型といったほうがよいだろうか…になって着地していた。
飛竜の様に舞っていたのが、編隊を組んで大地に接近、
向こう側の軍兵の1種なのだろうとわかる…
だが脚を2本、腕を2本いきなりはえて…
接地すると鎧を着た巨人兵の様なものになった。
「あの巨人兵の様なのがソナタたちのマスターか?」
「いや、あれはバルキリー、変型する機動兵器だ」
着地し巨人兵になったバルキリーとやらは向かい合わせに並び…
「兵器?……攻城鎚の様な兵器か?」
「そうだ。あのバルキリーを操る者はお前たちと体格はさほど変わらない」
「……巨人兵になれる兵器…」
「マスターが見えてきた」
空から一人の男がゆっくりと降りてきて、
バルキリーとやらは立て槍から捧げ槍の様な動作を一斉にし始め儀仗兵のごとく見事な動作をきめていた。
…………
「初めまして、異世界軍元帥、渚カオルといいます」
「初めまして、私はゴア国国王のエレファント・ル・イリスファー」
「クソども…私達はBETAと呼んでますが、によって滅亡の危機にあったこの惑星コムネス」
「コムネス?」
「失礼ながら私達でこの自星の名前をつけさせてもらいました」
「なっ?」
「本来ならあなた方の自らの星の呼び方、ケフィュカチュクチュアと名付けるべきなんでしょうが、翻訳した際に自星という言葉になり、
他の異星人類がつかっているかもしれませんのでご理解下さい」
「そうか…惑星コムネス…他にも異星人?」
「ああ、異なるルナの民ですね。ルナが星という単語なので、異星人です」
「……それであなた方以外の異星人類が?」
「生存している可能性があります。逆に既に滅んでいるのも多数の可能性ありますね」
「というと…?」
「この宇宙…あなた方の言葉なら天はBETAの勢力の拡大によって侵されてます。
BETAは私たち地球人類の天敵でした。
地球圏からは一掃できましたが、他の箇所にてBETAが勢力拡大しているのを知りました。
ですが現在侵攻にさらされている異星人類を救えば、その分BETA全体が弱まる…ですので無償の援助になりますのでご安心してください。
ただいくつか条件があります…」
会談はまずこちらの要求、異世界軍の自由な展開および、
現地コムネス軍の展開禁止を求めた。
技術レベルの差がありすぎて正直に足手まといって理由でもある。
文化交流や自由な入国等も…こちらの要求はすんなり決まり、また不平等だが治外法権も認めさせる。
なにしろ領主が罪の重さをきめて刑罰をおこなう文明だ。
ひったくりの罪でも処刑もありえる以上、致し方ないといえよう。
無実の罪でも領主が有罪ときめたら処刑もある。
その度救助にターミネーターや特殊部隊を投入し現地治安組織と衝突してたら感情も悪化しよう。
また引き渡し迄の身体保全の徹底も求めた。
よくあるパターンでは兵士等が逮捕後に暴行を加えて無理矢理証言を吐かす等だ。
現地では当たり前かもしれないが、それを地球人や異世界軍、また異星系民にまで行うとなるとたまったもんではない。
取り調べ行為等も禁じて、MPが急行し犯罪者は引き取り、
異世界軍法にて裁く取り決めをした。
あとは貨幣レート等だが、経済価値がまだ全く違う為に、物品を持ち込み販売し貨幣をえる手段が問題なかろうと話し合う。
一方、ゴア国側からは食料援助をもとめられた。
まず日本ならご飯が主食で4、おかずが4、味噌汁が2って割合であろう。
ゴア国ではパンが1、肉が7、スープが2のスタイルが本来という。
肉が主食の今の西欧スタイルともいえる。
また魚がとれるので肉の変わりに魚のケースがある。
備蓄関係はその割合を基準としていたそうだ。
だがBETAが東から迫って逃げてきた難民により食生活がくずれつつあると…
特に西部沿岸部、肉が主食から消えてパンが主食に上がるも、
パンをつくる穀物も備蓄からの持ち出している状態との話で、
東のネフェトの方が食料事情はまだよい。
東はBETAの侵攻間近で人気がなく、西が一番到達遅いからそれは当たり前の現象といえよう。
人口が1万〜2万程度の都市に10万人以上の難民が一気に短期間で来たら…そりゃあ食料事情悪くなるも目に見えている。
それ以上、国の総人口の一気に4倍以上の難民で…
食料事情がよい東側からの輸送する手段で長引きさせようにも、保存技術が低く、
また食料輸送も多大なコストがかかる。
聞くと肉や魚の保存は干し肉、干魚、酢漬け、塩漬け位しかない。ソーセージやベーコン等はなにそれ状態。
詳しく聞くと滅んだら丸耳族の国には別の名前であったらしいが伝わってなく伝聞程度。
干し肉はジャーキーではなく、釘を打てるカチカチ物で、
干魚は鰹節や鮭とば位までカキカチにした全乾ものだ。
日本人がよく食するアジの開き等は半乾もので、
生干し、一夜干し程度の処理しかしてない。
生魚相当ともいえ常温では痛みはじめるので保存不可だ。
肉は輸送に使役した動物をそのまま現地解体した方がコストが低い状態ともいえ、
だがその場合は今は事情がよい中央部及び東側もつられて悪くなるのは見えてくる状態との事だ。
ただし馬を食する習慣はないそうだ。
海洋資源が豊富な魚に関しては、難民らも仕事を求めて職をえるが、
漁船の建造がおいつかず貧弱な小型船での海岸での漁か、海岸での船を使わない漁業に従事してるにすぎない。
また技術が無いものが無茶をして海難事故が後をたたないという。
幸いにして塩田技術はあるために岩塩に頼らず塩だけは増産されている。
現状、漁業だけでは不漁になる可能性があり、
その場合パンのみしかなくなり、都市の備蓄が現状半年もつのがもって2週間という…
国としても1ヶ月もつかという。
ましてや野菜にしたってそうそう増産できるわけもない…
(ふむ…炭水化物源がないのか…脂質やタンパク質からカロリーを補う…危険だな)
炭素系生物は脳の活動に必要な炭水化物を摂取しなければならない。
草食動物は草木から、肉食動物は草食動物の消化中の内臓から炭水化物を搾取する。
そして人間に必要なのは1日ぼーっと寝状態でも80gの炭水化物は必要であり、
脳の活動が活発化するとより多く必要とする。
足りなくなると…脳の活動に必要なエネルギーがなくなる為に下手すると昏睡状態になるというわけだ。
炭水化物100gとしよう…一番の入手源は穀類で、
まずご飯ですべてとる場合、257g、431kcalだけですむ。
たったご飯1膳半程だ。
食パンだけでなら…100gあたり24gとしたら、417g必要であり、658kcal、
1斤と6枚切りのが1枚ひつようだ。
サンドイッチにしたら…コンビニのでパンだけ考えたら4パック程、
実際は野菜などからもとれるので2パックの計算だろう。
ビールがあるじゃないか!とおもうかもだが、
1Lのビールつくるのに必要な大麦芽はたった30g〜40g、
サントリーのビールの栄養価は100gあたり39kcal、炭水化物は3.1g…
つまり毎日1日3.26Lのまなければいけないのだ。
その場合のcalは1271kcalになるので、いかに肥り肝臓に負担かける方法になるかわかろう。
食料援助は勿論だが、より食料をつくる恒久的なシステムは必要といえる。
地球では汚染された大地を浄化よりも新たな土地を用意する手段をとった。
だが惑星コムネスは汚染はされてない。
土地はある、海洋資源もある。
ただ国民の食料を養うレベルだったのがその10倍までいくかもしれないが、
人口が押し寄せて更に1箇所に集中し食料生産がおいつかず悲鳴をあげている状態といえよう。
穀物等の播種率が低いのも関係しているかもしれない。
播種率や播種量…定義によって違うが、ここでは1つの播いた種から成長して収穫できる実の割合として定義する。
米であれば、1粒の植えた種から、どのくらいの米粒=玄米が収穫できるかの割合になる。
播種率が1.7倍であるなら、播いた種の量の70%しか食べることができなく、後の100%は次回の際の種籾になるということだ。
今現代では、米の場合は350倍〜470倍、つまり35,000%〜47,000%の数値をだす。
江戸時代の米は30倍〜40倍、
3,000%〜4,000%という数値だ。
今と10倍近く違う理由の1つに発芽率と、未成長率が関わってくる。
未成長率は文字どおり、苗を植えたにも関わらず枯れてしまう。
現代基準の稲で、1つの苗がくさって、2つしか苗を植えてなければ、播種率は40,000%から20,000%にいっきにさがるということだ。
後は植えた米から苗になる過程の発芽率…
で、実った時に収穫できる収穫率も関わってくる。
それらをふやすのには品種改良、農薬、害虫対策管理等で手を加えているわけだ。
勿論鳥類被害も播種率を下げる要素にはなる。
鎌倉時代が十数倍で、野生原種は見つかってないが、米の場合700%といったところと見ていいだろう。
350倍〜470倍って馬鹿なと思うかもしれないが、
1つの種から成長しきった稲になる籾の数は、
500粒近くの籾が実り収穫できる。
種から芽が出て、その苗が平均6本の茎に分かれそこから出てくる1つの穂に約70〜100粒の籾がみのる。
実際に田植えをするときは、3本くらいずつ苗を植えて、それがひとつの株に成長する形だ。
500粒のは通常品種で、品種改良された多品種のコシヒカリでなら、優良な成長どあいなら1つの苗から1000粒近く実る…
そしてコンバイン収穫の場合、刈取部での脱粒や選別時に藁と一緒に吐き出されてしまう粒などで収穫ロスが数%、
乾燥調製時に選別で、 稔った籾の70%〜80%が出荷適する形になる。
妥当な数値とも言えよう。
さて水田の稲をあげたが、畑ではえる代表穀物といえば小麦やトウモロコシだ。
今の技術での日本での播種率は、
小麦は品種により違うが50倍といえよう。
小麦の播種率が稲と比べて低いが…それは種として致し方ないともいえる。
更には連作障害のハンデも生じる。
因みに現代アメリカでは小麦播種率は20倍〜25倍と日本よりかなり低い…
飛行機で農薬を撒いたりし、手間はかからないけど、どうしても大雑把でムラも生じてしまう。
大目に農薬がかかる部分もあれば、あまりかからない部分も生じるためでもある。
だが広大な農地での大規模な機械的農業により収穫量をあげているため、
作業従事者1人あたりでの収穫量を膨大な量をあげている為に輸出国となっているわけだ。
なのでアメリカの現代播種率は収穫の参照にしにくくなっている。
ヨーロッパ…地中海を除く西欧では現代でも20倍、イギリスに至っては15倍とアメリカよりも更に低い…
土地の力が弱く気候的にも寒く、更には1耕地ごとに作物を変えなければならない。
土地の力…今更と思うが日本は、雨が多く台風がよく通る。
その為に森や山の恵みが流れ出して土地を肥沃にする。
川の流れも早いのも要因とも言えよう。
氾濫が多いのも理由の1つになる。
一方西欧は雨が少なく台風も通らない、山や森の恵みが流れ出す機会が少なく、
川の流れも緩やかだ。
氾濫もほとんどない。
な為土地が養分を吸収する機会は少ない。
さて、現代でその効率だが過去をみてみると…
19世紀に入ってやっと播種率は10倍を超えて、
16〜17世紀あたりが6倍〜7倍、
14〜15世紀あたりが4倍〜5倍、
10世紀あたりが3倍…
更に前あたりになると、ヒトツブコムギと揶揄されるように1.7倍あたりと…西欧ではかなり低い。
機械も入ってなく人力や使役だったので…いかに低いかわかろう。
エジプトは…現代では自国民を養えない程低迷しているが、
古代エジプトでは20倍〜80倍の播種率があった。
理由はナイル川の氾濫による土地の肥沃化であり、
更には気候的にもよいということだ。
西欧で、連作でき、播種率の高い稲を何故導入しなかったと言えるが、稲の生育期に3カ月以上摂氏20度以上、
年間1000o以上の降雨量という最低条件に満たなかったので麦しかないわけだ。
だが…地中海側は稲作条件を満たす。
イタリアではリゾット用に稲作が行われており、フランスでもリヨン南のカマグルでは行われている。
イタリアでは15世紀頃から稲作開始され、
イベリア半島につたわったのが7〜8世紀頃、
そして…現代世界最北端稲作はスイスで作られており、寒さに強い種をつかって1997年から開始された。
と、まぁ…ヨーロッパでは肉がメインになるのは稲作ができずに小麦がメインであった、
しかも小麦の播種率は稲よりも悪いのが理由で、更に土地力が悪いのも理由になる。
土地力が強い日本では自然に生えてくる草は成長して固い草が多い、
一方ヨーロッパでは土地力が弱く自然に生えてくる草は柔らかい為にある意味全面牧草地とも言えていた。
他の穀物ははえてるんじゃ?!についてだが…正直現代技術においての播種率を調べるが精一杯であり…
まず我らが稲はアジアイネに属して、そのなかでもジャポニカ種になる。
その他に大粒のジャバニカ種、なが粒のインディカ種になるわけだ。
他にアフリカイネが起源別れて存在する。
そしてアフリカイネとアジアイネを掛け合わせたネリカ米というのがそんざいする。
トウモロコシもイネ科でイネに近いからあんなに粒がそろうわけだ。
さて、麦属では大麦、小麦、ライ麦、カラスムギ、エンバク、ハトムギが属している。
その他にイネ科にはキビ、アワ、ヒエ、
モロコシ、
シコクビエ、トウジンビエ、テフ、フォニオ、コド、マコモ…
といった感じだ。
モロコシは五穀のタカキビの学問上の名前で、
後半のテフ、フォニオ、コド、マコモ…
テフはエチオピア原産の高級イネ科穀物らしい。海外へ輸出を禁ずる程国内需要を賄ってない。
フォニオは…西アフリカでの穀物で非常に実が小さい。
栄養価は高く、貧弱で降水量が少ない土地でも育ち、収穫まで6〜8週間とすぐれているが、
実の小ささによる脱穀の手間が拡大普及を遅らせていた。
コドはインドにて野草のスズメノコビエを食用として食す場合の名称。
時に毒性を持つ場合がある。
マコモは最近注目されてるが、菌におかされ肥大した茎を食べるマコモタケ、
そしてアメリカでは種子をワイルドライスとしてたべて栄養価が高く人気らしい。
古くはインディアンが食べていた。
さて、菽穀類マメ科については、
大豆、小豆、緑豆=リョクトウ、大角豆=ササゲ、
いんげん豆、らい豆、
落花生、エンドウ豆、空豆、ひよこ豆、レンズ豆、
紅花いんげん、ケツルアズキ=もやし豆、モスビーン、テパリービーン、竹小豆、
藤豆、ホースグラム、バンバラ豆、ゼオカルパマメ、キマメ、鉈豆、
立鉈豆、グラスピー、クラスタマメ、四角豆=シカクマメ、八升豆=ハッショウマメ、いなご豆、ルピナス、タマリンド…
擬似穀類に、
蕎麦、ダッタンそば、アマランス、キヌア…
油糧穀類に、
なたね、ごま、エゴマ種子、アサ種子、ひまわり種子、カボチャ種子…
がある。
麦類稲類だけで良いだろ?と思うかもしれないが、
小麦アレルギーの方は日本では3番目に多いそうで…ついでにだ。
パンの定義は、狭義的には小麦を使って酵母菌やイーストを使って発酵させたものとされてるが、
最近ではライ麦、米、大豆、そば等使われてる為に、
穀物を使って発酵させたものとされている。
穀物のでんぷん質及びグルテンを使っているからだ。
またパン以外に、ベーグルやドーナツもパンとも言えるし…
まぁそういったわけでパンもどき、例えばインドのナンもパンと言えばパンであろう。
等もあるので、豆類やらをあげている。
またカオルが食べたパンがもどきの可能性は否定できない。
そこまでの美食でもないので…
……なにはともあれ播種率が高いか収穫量が高く、貧弱な土地でも育つ様な種が必要ともいえるだろう。
救荒食物という言葉がある。
保存性がよいや、飢饉の際に主食代わりに非常食になる食物の事だ。
さつまいもやじゃがいも等は江戸時代に普及させた救荒食物であり、
さつまいもは甘い為に庶民に受け入れられた。
粟や稗なども救荒食物に入るだが、1755年の宝暦の飢饉の際に稲ばかりか五穀…粟も実らず、
東北地方だけで餓死者5万人の甚大な被害となった。
近年でも平成5年の大冷害で海外輸入米に頼った事実もある。
当時米所東北地方は54万4340haの水田に稲を植えたが、作付指数が56、
東北地方全体で平年より124万t分収穫が低かった。
平年であれば1haあたり5.18tの収穫するため281万tの収穫が見込まれたのに157万tしか収穫されない。
本来なら飢饉が発生してもおかしくないが、輸入という輸送手段でしのいだわけだ。
それを考えると冷害等あった場合に五穀や稲では痛いので、地中性成長種を当面援助にて生産、
直に播種率等を調べて惑星コムネス種でか、機械化や農法技術援助、更には地球種栽培が好ましいだろう。
更にゆくゆくはオランダ式大規模工場型農業もよいかもしれない。
野菜の中で炭水化物が高いさつまいもは北限があるために、やまいも、にんにく、西洋カボチャとつづくが、
やはりじゃがいもであろう。
連作障害は怖いが北の大地であるドイツや、イギリスでも盛んに栽培されている。
さらには地中になるため冷害なんかしらず…
エルフに扮して潜入しているターミネーターから市場にないと報告はあがってる。
確認の為にコバッタに倉庫からもってこさせ…
「これありますか?」
「なんですこれ?」
じゃがいもが無い反応で、会談の締めにじゃがいもパーティーを急遽開催、兵士達にも振舞う。
用意したのは、じゃがバター…蒸す手法の料理、
フライドポテト…油で揚げる手法の料理、
ポテトのチーズ窯焼きピザ風…窯焼きで焼く手法の料理、
魚じゃが…煮物手法の料理、
じゃがいもパン及びじゃがいもカレーパン…パン料理を実演しはじめた。
魚じゃがはあんまり聞きなれないかもしれんが、肉の変わりに鰤や鯖等魚の肉を使った料理だ。
煮物と違うのはじゃがいもを前面に強調している。
じゃがいもパンは今回はイーストの代わりにじゃがいもを使用する。
イーストによる発酵の手間暇要らずの失敗しないクッキングだ。
一番最古は焼く、次に蒸す及び煮るをやりはじめて、最後に油を使いはじめてから炒める、揚げるの料理手法がおこなわれる。
惑星コムネスでは…
油で揚げる手法と釜で焼く手法が無さそうで、
もの珍しそうに集まってきている。
できた料理は約2万人規模だ。
テーブルにおかれて勝手に食べてくれで…
「マイウー!!」
「なに?このもっちりパン!美味しい!」
「油ってあんな使い方あったんだ…」
好評に食べられていく…
…………
「ねえ…お姉ちゃん」
「ん?なに?」
だて眼鏡をかけている姉妹、コバッタらは日本語を表示するための翻訳標準機能の眼鏡だ。
「ハイトのお仕事放棄しちゃ駄目なんじゃないの?そろそろ帰らないと…」
「マヨネーズジャスティス」
どんぶり飯にたっぷりのマヨネーズをかけて、マヨラーぶりを見せるレンス。
「マヨネーズが無いところには帰りたくはない」
「確かに…私もケーキが無いところには…帰りたくないね〜」
ダメダメっぷりをみせる姉妹。
[マヨネーズなら作っちゃえば?]
コバッタが会話に参入してきた。
「へっ?作れるの?自星で」
[作れるよ〜ただ、味は違うかなぁ]
他のコバッタが多数よってきてマヨネーズをだしてきた。
[まずは異世界軍が輸入している日本での会社…こちらの言葉なら商会のマヨネーズね]
キューピー、ケンコーマヨネーズ、味の素、日本食研、ユニオンソース、SSK、丸和油脂のメーカーマヨネーズ類が並べられる。
味の素はピュアセレクト、日本食研と丸和油脂は弁当や学校給食につくパックのが、
ユニオンソースはペンギンマークのマヨだ。
[普段お気に召してるのがキューピーのシンプルなのだね〜]
ポリエチレンボトルのを前に押してくる。
「うん。大好き」
エルフを虜にしたキューピー。
[で、シンプルなの以外に…]
様々なのが並べられ…お好みマヨネーズ、キューピー業務用シリーズ、パン工房、ゼロとハーフ、ディフェ、エッグケア、
ケンコーのカラシマヨ、粒カラシマヨ、
豆乳マヨ、
バジルマヨ、メンタイマヨ等…
[多数種類あって〜そのなかでも卵を使用しないのが豆乳マヨとか大豆マヨ、エッグケアだね〜]
「卵を使用しない?」
[あっ、マヨネーズは原材料に生卵を使用するの]
「えっ?じゃあ作れないわよ…生なんでしょ?」
[いや、作れるんだよね〜それが…
前、別の者が、徹底的な衛生管理して、
生で食べられるのは日本だけ、異世界軍だけと…話したけど…]
アメリカのベストフーズ社、フランスのマイユ社等がならび始める
[日本のマヨネーズ以外に外国のマヨネーズ等もあるんだよね。
勿論、外国のは生でそのまま食べると大変な事になる卵を使用してるんだよ]
最近では一部海外のスーパーでは半生調理用に生食可の卵を販売してはいるが、
それを飲食店が使用してるかはわからない。
鶏卵のサルモネラ汚染経路には卵の殻の表面に鶏の糞などが付着するもの、
産卵前に腸管から卵殻内に侵入するものの二通りで、
日本や異世界軍では餌にも抗生剤投与し徹底して二通りの経路は叩いてはいる。
あとは新鮮な内に食べていただくということだ。
因みに2002年、アメリカでは年間におよそ69億個の卵を生産していて、その中でサルモネラ感染しているものは230万個と考えられている。
確立で言うと0.03%、およそ4000個に1個の割合で、
年間サルモネラ菌による食中毒者は140万人…
加熱調理時には、黄身はかっちり固まった状態でないと殺菌できず危険で、
半熟ブームで殺しきれなかったサルモネラ菌が常温で活躍して…または洋菓子で…ということだ。
「それって外国のマヨネーズは食べれないって話じゃないの?」
[ではないんだよね…で、この調味料]
と液体ボトルをコバッタがおいた。
[この調味料がお腹を壊して時には死にいたらす原因を除去するの]
菌の存在はまだ惑星コムネスでは常識ではないのでそのような発言だ。
「へえ…どれどれ……酸っぱ」
[酸っぱいでしょ?お酢なんだよね〜]
「お酢が?」
[あるよね?]
「ええ…」
現地ターミネーターからの報告でモルトビネガーは存在が確認とれている。
ま、アルコールが存在するなら酢は大抵存在しよう。
あとは現地のものが調味料として利用できるかできないかに気付くだけであった。
大抵は失敗作でと気付きはしないが…
サルモネラ菌は酢により劇的な殺菌作用がある。
なので海外で多少のサルモネラ汚染黄卵を生で使っていても多少程度なら完全に殺菌される為に無問題ってわけだ。
メーカー生産のは基本は卵が新鮮な内に殺菌工程にはいるということだ。
ただし、海外飲食店での自家製マヨネーズは、増殖しすぎたサルモネラ菌を酢が殺しきれずに…の可能性がある。
そこは海外では注意してもらいたい。
家でつくるなら自己責任であろう。
[ただ、酢も万能ではないから一応は注意してね]
ボツリヌス菌には酢は殺菌作用はない。
かなり厄介なボツリヌス菌…
土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している嫌気性菌で、熱に強い芽胞を形成する。
適切な治療を受けないと死亡率が30%以上といわれる恐ろしい食中毒になる。
一定の発育条件、酸素がなく、水分、栄養分や温度が菌の発育に適した状態、温度3.3℃、pH4.6以上…がそろうと猛毒の ボツリヌス毒素を作る。
通常、酸素のない状態になっている食品が原因となりやすく、
ビン詰、缶詰、容器包装詰め食品、保存食品を原因として食中毒が発生する。
日本では自家製のいずしに1997年頃まで報告あったが、
それ以降は120℃で4分の加熱調理されない保存食品に発生している。
乳児ボツリヌス症の原因食品として、以前は蜂蜜があったが与えないようになってからは発生していない。
ボツリヌス菌の芽胞は土壌に広く分布しているため、 食品原材料の汚染防止は困難で、
ボツリヌス食中毒の予防には、食品中での菌の増殖を抑えることが重要、
また加熱殺菌による消毒が重要だ。
[外国マヨネーズについては、商会が販売生産してるのはちゃんとした状態であれば安全だからね]
とはいっても保存状態わるければ長期輸送で日本に輸入した時に…
で酸っぱすぎる場合もある模様だ。自分はあたった事はないが…
「じゃあ、この外国のマヨネーズは食べられるわけね?」
[勿論!!
あ、それと外国と日本の商会では使用している酢が違うので味わいが違うんだよ]
キューピーのは、
食用植物油、黄卵、純米酢、リンゴ酢含む、食塩、味の素、香辛料、香辛料抽出物が使われている。
海外では否定されているうま味の調味料の味の素が入り、
純米酢にもこだわりっていて、アメリカアマゾンでは1位を記録されている評価だ。
一方、アメリカベストフーズ社のマヨネーズ、好みにあう人はあうが、
使われている酢は、主に野菜などを発酵させて作る酸度10〜15%の高酸度醸造酢がつかわれる。
フランスマイユ社はブドウ酢がつかわれている。
それらの酢は鼻にツンとくる酸味の強さが特徴的である。
現地メインの酢を使う為に味が違ってくるわけだ。
日本のキューピーに対抗するのに現地メインでない米酢を生産するとコストが上がる…
また全卵、卵黄のみでも違い、海外は全卵が主流でもある。
「へぇぇ〜…何種類あるの?」
[……何か添加タイプいれたら…向こうの事だからわからないけど日本国内だけで200種類?外国は国ごとに4〜20種類かな〜]
[じゃあ、実際につくってみよ〜まずは生卵の黄卵]
コバッタが出したのは鶏卵にしてはかなりでかい。鶏卵Mサイズが約6cmに対して、
黒白もようの約12cm程の大きめの卵だ。
トトリの卵だ。
食するのは目玉焼きが多いらしい。
「やっぱり生卵つかうの?本当に大丈夫?」
現地ターミネーターから、トトリの卵にかんしてだが、
生では食中毒をおこし、サルモネラ菌が原因まで調べついている。
そして現地酢による殺菌効果も確認できていた。
[酢、モルトビネガーで原因除去できるから心配いらいよ]
「そう?」
[だから新鮮であり、充分な分量を間違えなければ問題ないの。
酢の量は鶏の卵、64グラム未満のMサイズ計算になるから、
トトリの1個の黄卵だと…モルトビネガーは大さじ8かな〜]
モルトビネガーも用意された。
「でも新鮮ってわからないわ」
[まぁ…確かに…
割った時に見極めるしかないかもね…]
卵は新鮮なうちはこんもりと黄身が浮かぶ。
[それで、つかう油なんだけと、この果実の油ね]
「えっ?ポッポ?灯りや薬、髪洗い薬に使う油なんだけど」
[天然由来の植物油は大抵食用にもできるから大丈夫だよ〜
動物油も調理につかってるじゃない]
オリーブはヨーロッパでは地中海沿岸がほぼ栽培北限である。
オリーブに非常ににた性質のポッポ、
対寒性に非常にすぐれているが、反対に熱帯では育たない性質であった。
[潰してからだと時間かかるから、処理したポッポ油ね]
「えっ?…これがポッポ油?…すみきってる」
[濾過と遠心分離機にかけたからかな?]
自家製でもオリーブオイルはできる。
レンスの話しているのは自家製レベルの油であろう。
更に機械的に遠心分離をかけて細かい果実と油をわけ等するとすみとおってくる。
一般的な販売オリーブオイルクラスだ。
ポッポ油が600cc用意された。
他に塩が小さじ1と半分、
[こちらでは胡椒なんだけど、代わりにこの実を砕いた粉ね]
「クスクスの実の粉ね」
地球にあれば便利な代物だったろう…
寒い地方で栽培されてる香辛料の元の木で、砕いて粉末が胡椒相当になる。
しかも乾燥要らず…
地球のヨーロッパにあれば大航海時代の歴史がかわったであろう。
[まずはボールに卵黄、塩、クスクス粉をいれて箸まぜる]
「黄卵はどう分けるの?」
[何かの器に割っていれる]
どんぶりの中にトトリの卵を割って入れて…
かなりでっかいお玉を用意して、
黄卵を押し付けると…するりっと黄卵だけがお玉に入ってきた。
「お〜〜」
[じゃあかき混ぜてね]
「は〜い」
箸の使い方が上手い…
[これからが大変なんだけど…
酢を半分加えて泡立て器で混ぜながら、少しずつポッポ油をいれながら混ぜる]
「これが泡立て器?」
[そうだよ〜、ケーキ等の生地をつくるときに使うの〜。ひょっとして泡立て器はない?]
「うん…」
[ならフォークを背合わせにして2本もてば代用可だよ〜
またはこっちのを持っていく?]
「考えとく」
そのあとはひたすらマゼマゼ、少しずつ油を加えていく。
「あ、あ、なんか固まってきた!!」
[もうちょいだね〜……残りの酢を入れて混ぜたら完成]
「やったぁぁぁ…じゃあなめて」
[ちょっと待ち、……うん、腹痛のやつは死滅してるから分量は大丈夫だね]
「……マヨネーズ、つくったど〜〜〜!!」
これで惑星コムネスにマヨネーズ文化が……
その頃…
[マスター報告!!β16ハイヴに動き有り!!]
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