第027話 スターゲイト編10 DHD入手へ…


銀河標準時2002年9月14日

トリア号艦内

[惑星コムネス用のハブチューリップステーションが準備整ったよ〜]

惑星コムネスにハブチューリップステーション、以下Hab Tulip Station=HTSta.が投入されるのがコバッタより伝えられた。

スフィンクス、2001式、重機関銃ホバーの継戦に必要な実弾運搬補給経路ばかりか、
小型チューリップによる通行網の確立で、
パワーローダーや、レイバー、ASサイズ、
一般的に道交法制限内車両サイズ…オーバーでも可であるが、
小型チューリップによる急行が可能で、
BETA戦には支援砲撃機、XE-10改…90機程でトレー級1隻相当の戦力とよべる機体だが、8XE-10改が惑星コムネスの戦場にかけつけられるのが大きい。

XE-10改…8mサイズのパワーローダー改造型でGCX-210EHCを2門装備し、
そこから放たれるのは210mmの射程56kmの装甲殻のあるクラスター弾だ。

国連会議時点で300機、原型機のXE-10の改造及び新造で総計約700機が現時点で運用可だ。

そんな80機相当でトレー級1隻の働きをする程度のみみっちい戦力いるの?と思うかもしれないが、
移動する手段がチューリップがあればよい…
つまり1時間以内に360機の支援砲撃機がチューリップネットワークがあれば現地にて展開可能で、
チューリップの数が現地にあればある程…短時間に展開できる数は増え、
更には時間経過ごとに生産していた数分だけ展開できる数は増えるわけだ。

そして戦い終わったら即座に転移で転戦可能で、それは光の距離も超え、
惑星コムネスの南地方の端で砲撃を行ったら、1時間後には惑星ロドニアで砲撃を行っている…
そういった事が可能といえよう。

またサブ主力の2001式戦車、小型級相対時の主力の重機関銃ホバー等も多目的輸送艇に積載すればチューリップでの移動が可能で…
これらの車両は既に万台クラスの為にスフィンクスが足らない場合の転移急行部隊として活躍中だ。


時間かかった理由だが派遣予定のトレインカーゴとのリンクチューリップあわせが理由ともいえる。

まずチューリップ転移使用の際は双方とも回りの空気の流れがほぼ等しいのが好ましい。
これはわかりきった事だが、終点チューリップが音速突破飛行していて、
始点チューリップが停止状態で潜ると、潜った途端に衝撃波がくる状態だ。

なのでハイヴ攻略時で内部突入以外は室内、またはカーゴ内にという条件をつけている。
で、また以前も述べたが重力も…という事だ。

その為にカーゴに保管してあったチューリップをHTSta.に積み込み派遣して待機中の流れで、
これから先新品チューリップセットも惑星コムネスに移動したHTSta.に一回よって対なるチューリップが設置され、惑星コムネスに…の流れになる。

因みにトレインカーゴ内には小型チューリップのみ、
中型チューリップは標準カーゴには入らない為、基本基地間のみだ。

またつい先日建設開始した要塞ライン、
BETAの水地より陸地を優先する習性を利用して、
現在南北間800kmの中央部警戒ラインをトレー級の射程圏以下の、50kmまでに短縮を目的とする、
要塞が建設開始された。

土壁と水堀でBETAの侵攻方向を誘導し、 幅50kmの人工的な谷間に誘導し、
100kmの道程を撃ちおろす形の砲撃要塞にはなる。
要塞には無限装填装置による供給がなされる。

水堀といっても幅300m、深さ50mの運河並みは必要な大工事にはなっている。

水源はディフォル山脈南側のチュラグ=ブトニー=ツア川から取り、また地下水脈から汲み上げる形になる。
言いにくいが現地の川をさす名称がそうなっている。

異世界軍では惑星コムネスに展開するにあたってとりあえずの命名をした。
北地方、中央地方、南地方、その間の山脈を北山脈、南山脈と名付けたが…

勿論、正式な呼び名がコムネス人にはある。
地図も貰ったので正式な呼び名はわかった。

ただ…異世界軍翻訳機無しに喋るとなるといささか発音しにくい名称がある。

その理由として、見つけた当人の名称を地名に用いるというルールがあるそうだ。

更には…当時はワイバーンで上空から探索など技術もなく、間違っている場所に名前がつけられたり、
2つの名が実は1つの森林や山や川に名前がつけられたりした。

アートディンク社のThe ATRASというSLGは存じているだろうか?

そのゲームは大航海時代、ポルトガル国王に命じられ世界地図作成するゲームだが、
明らかになってるのはヨーロッパ周辺のみだ。
で、だ…地図に関してだがそれ以降は提督の報告による地図が作られてくが…
大西洋が無かったり、アフリカ大陸何処な状態になったり…
まさにそんな具合に進んだだろう。
だが、ゲームと現実は違い報告であった山や川が実は…と修正されていったが、
探索者を尊重し名前が結合されていったという…


探索者の名前を尊重する理由はある。

外部からは元々の原住民がつけた言葉を使えばいいじゃんという意見もあろう。
呼びやすい呼び方だ…と…

だが…異世界軍がコムネス人と呼んでいるエルフ耳の民は元々は遥か東、聖峡谷の東の住民で、
今のゴア国やハイトあたりは魔境と呼ばれた魔物の生息域の一部だったという。

つまり元々の原住民は魔物で、コムネス人から魔物とよばれるオークやゴブリン、ミノタウルスとの生存競争を勝ち抜いた歴史があるということだ。

アメリカのインディアンみたく先住原住民で生存圏を争っても今では共存、また地名にもつけらはれよう。
言葉が通じればまだ現代の首狩り族みたく共存できただろう。
ただそれでも1997年と1999年、2001年におきたダヤック人によるマドゥラ人大量虐殺事件の様に、
ふとした拍子に発生する首狩り事件はある。

ひよっとしたらこの地はゴブリン王国がBETAと戦っていた可能性もあったともいえよう。
そしてゴブリンがコムネス人となった可能性もあったわけだ。

でだ…魔物と称するゴブリンやオークの生態はまだ異世界軍とカオルはわかってはないが、
生物であると仮定すると、赤子として産まれ成長する胎生動物、
卵から産まれる卵生動物、
卵から産まれ胎内で成長する卵胎生動物、
アメーバーの様に分裂して数を増やす分裂生物などもある。
またよくファンタジー魔法生物の様に魔素から生成したり出現したりする場合もある。
BETAの様に成体で生産される生物、生産生物もあろう。

分裂生物や魔法生物、生産生物でないかぎり、いずれか小さい状態から成長してくる筈だ。

寄生生物は主に卵生動物でもある。

オークやゴブリンにも雄雌があり、赤子がいて生活している可能性もある。
集落をつくり、文明をもって言語を持ってるかもしれない。
土器を作ってたかもしれない。
だが、このミッドライド大陸から魔物は駆逐され、その生態は把握できてはなかった。

大陸から西の大きな島、西島と異世界軍は名付けたがにはいるのが確認できてるが、
…まだ異世界軍は接触をしていない。


名称から大分話は脱線してしまったが…

そんな大規模な工事を…と思うかもしれないが、過去に実績もある。
鉄原ハイヴ攻略前後に完全開通した鉄原運河だ。

鉄原ハイヴ攻略時に水上艦の魔紀伊の砲撃射程圏内にハイヴをおさめる為に掘削され、
また攻略後に大陸方面から鉄原基地後方、日本本土の安全確保の為に朝鮮半島横断運河を完成させた。
それよりかは掘削する長さが長いが、約一年程前の出来事でもある。

この要塞により中央戦線で警戒及び迎撃を行うトレー級の数は5隻程度に抑えられ、
南地方戦線に戦力が集中でき、
またチューリップでの急行可能であるため、
惑星コムネスの戦闘面に関しては専任で見る必要がなくなる見込みというらしい。

可及的食料援助も残存人口の少なさから上手くはいってる。
恒久的な食料援助はまだまだ成果に時間はかかる。

外交面はまだ南地方の都市領主がのこっているがほぼほぼであろう。


「となると…また技術取得にいっても問題ないか?」

[そうだね〜…惑星ロドニアは問題なし、
惑星コムネスは…フェイズ4やフェイズ3の3つ合流発生したらまだ厳しいかもだけど、
2週間は大丈夫かな?
あとは宇宙戦闘種だけど…]

今すぐ宇宙戦闘種BETAを撃ち破る究極兵器等は流石に存在しない。
銀河中心部が生息域で…って事なら話は別だが、
まだまだ把握してなく結局は守勢状態で、
こないで〜、こないで〜、の状態で来たら全力でぶち当たり…の状態で、
1戦したら限界、連戦はできもしない状態だ。
1か月半経ってヤマト級に関しては前回程の戦力が回復していた。
回復には時間がかかる。

今すぐ殴り込んで殲滅…という事はできもしない。
コツコツと…100年たてば100万隻の大艦隊で銀河内掃討、別銀河へ進出できれば…
つまり年間1万隻以上の建造能力を有しなければ…って事であった。

[多分2週間は同じく大丈夫かな…前は外縁部に宇宙母艦隊がいたからやばかったけど]

「そうか…じゃあ…」

(どこにいくか…)

グレートマジンガー、トップを狙え…といかなきゃいけないと思うところはあるが…

(ん〜あっ、DHDかな…)

前日に話題にのぼっていたスターゲイトのDHD、
ナクアダ鉱山、洗練場とナクアダ系統の産出も可能になりつつあり、
ちっとまだナクアドリア精製には時間がかかるものの…の状態だ。
DHDの現物の技術情報はまだ取得してなく、
やはりパワーソース面での超技術の為にほしいと思っていた。

(あ…え〜っと要塞取得はあと…何日だっけ?)

ナノマシンでの技術取得に時間がかかっているのが1つ…
カレンダーを見て確かめた。まだもう2週間は余裕がある。

あとは…惑星コムネスにまだ楔を打ってなかった事だろう。

現在トリア号に直にでてるが、トリア号が惑星コムネスはなれると地球からは約3時間、約1000光年の距離だ。
GU製ハイパードライブで時速400光年…
まだその上の性能の地球SG製ハイパードライブの実用化にまだ目処がたってなく、
時速1000光年以上の制限なし型超空間航法は製造できてない。

危険性あるワープドライブや追突危険性ある超光速航法なら別ではある。
またはハイパードライブを同化でちびちび作り上げるか…にはなる。いわばワンオフ状態だ。

その他やり残しの案件を頼んで、

惑星コムネス上に楔を打ちに降り…


==SGの世界SGC基地==

時期を考えないで世界扉にてSGC基地へと…

SGC基地…アメリカ、シャイアン・マウンテン空軍基地がSGC基地となっている。

冷戦期には北アメリカ航空宇宙防衛司令部の地下司令部が所在したが、
アビドース作戦の際に重さ25tの耐爆ドア、内部の建物自体も核出力数Mt級の核爆発が数キロ以内で発生しても耐えられ、
主要な内部構造物は15個あり、うち12個の構造物は3階建てで、残り3つは1〜2階建ての独立した構造という、
核シェルターという特徴から、スターゲイトから不用意な悪影響を及ぼすものを封じ込める事ができる点に着目し、
スターゲイトリングをシャイアン・マウンテン空軍基地の地下深くに工事と共に設置した。

悪影響を基地内で封じ込めできない場合は爆破でもって土中に封じ込める自爆システムが備わっている。

アビドース作戦が開始され、作戦が終了しスターゲイト自体が保管状態になったが、
巨大なリングの置場所がなくそのままシャイアン・マウンテン空軍基地に保管され、
スターゲイトが再び再稼働後に表向きはシャイアン・マウンテン空軍基地、軍内部ではSGC基地と命名されている。

以前打ち込んだ楔、SGC基地の倉庫内にでてきて…

どっかのSGチームの探索に紛れ込めばオリジナルDHDの技術情報の取得の機会がある。
床に同化しながらゲイトルームへと向かう。

ゲイトルーム…直径5.6m、3階分の高さを必要とするスターゲイトが設置してある部屋だ。
部屋に入るには常時は開放してあるが2箇所の防護扉から入る必要がある。
イレギュラーなトラベラーに対し、5.56mmNATO弾ではゴアウルド兵の鎧に威力が低かった事を反省し、
7.92mmNATO弾採用の自動小銃装備部隊及び重機関銃2丁が出迎え、
更に防護扉にて封鎖される。

ゲイトルームに入って部屋の奥にリング、リングに向かってタラップが延び、
その手前に迎撃等や出発待機ゾーン、
で、背面にゲイトルームの様子を監視するコントロールルームの形だ。

『プローブ発進します』

(おっ?)
ゲイトルームのタラップにのってるプロープが進み始めた。
「頼んだぞ」

「頑張れ」

どっかのチームが出発する前段階の探査機を送り込むようだ。

『P3W-451のスターゲイト到着まであと5秒、4、3、2、到着』

(どのチームがいくのかな?)

前回同様にSG隊員の靴に同化してゲイトをくぐろうと、
タラップに同化しつつ分裂体を虚数空間へと避難させて準備し始める。
靴に完全同化は100分の1までにならなければならない。

だが準備が終わって、待てど待てども……どのSGチームもタラップをのぼってこない。

そのうち警報ブザー音が切られ、ツナギ姿の作業員が、脚立をもってきてリング脇にてたてて…

(あれぇ?)

ワームホールが繋がってる状態なのに作業員が何かをし始めようとしている。
何かおかしい…がカオルは待ちづつけ…

『軍曹、超伝導インターフェイスをはずして』

「やっていますが硬くて」

ゲイトルーム内にSG1のティルクが入ってきた。

ティルクは異星人のジャファで…
ジャファは元は地球人を祖先に持つが、ゴアウルドにより遺伝子改造を受けた種族。
ゴアウルドの幼生の生きてる保育器ともいえ、
幼生が腹の中にいないと成人は死んでしまう。
その変わりに幼生ゴアウルドの恩恵で、怪力、病気かからず、長寿の恩恵を受けている。

ティルクの身体的特徴は額にヘビをシンボルとした、金の刺青が入っていること。
通常は黒で、位が上がると色が変わる。
また刺青の形は誰に使えているのかが一目瞭然で、
ティルクの場合は他のゴアウルドや使えているジャファから見たら、裏切り者のティルクと一目瞭然であった。

本来ならSGCと敵対するゴアウルド、アポフィスの親衛隊長であったが、
オニールの説得により、アポフィスを裏切り地球のSGメンバーとして、SG-1に参加している。

因みに今はツルッパゲで、シーズン7以前の時系列と分かる。

「手伝うことあるか?」

「助かります。ここが硬くて、お願いします」

「わかった」

ティルクがボルトを挟んだモンキーレンチを掴みその怪力にて……

むん!!ポキッ

「あっ」「あっ」

いやな音をたてて…モンキーレンチにネジの頭が残って、穴にネジ軸が残って…
分離してしまった。

「あっちゃ〜」「…すまない」

「あ〜ネジ穴のなかで切れちゃったか…」
ネジ軸がネジ穴に残った状態で、ネジ穴より表にでない状態で、ボルトネジの頭が折れてしまっている。
こうなると摘まむこともできない。

「とれるのか?」

「時間はかかるけど取れないことはないですね。
うん。締まったままか…取るための専用工具をもってきます」

固定してあるインターフェイスを掴んで緩んだか確かめたがしっかり固定したままであった。
ネジ穴からネジ軸をとるしかない…
作業員が取りに離れてく…

その間にティルクが折れたネジ軸を指でつかもうとするが、
ネジ穴の中に指がはいるもうまく掴めない様で、
ムッムッとしている。

「あ〜掴んでも多分力点的には無理だと思いますよ。こいつでないと…」

作業員が専用工具エキストラクター等作業に必要な一式を纏めて持って戻ってきた。

エキストラクター…今回の様なネジ軸をねじ切ってしまい、穴の中に軸が折れ残り、
表に出ない場合の専用工具で、逆ネジになったドリルネジと言ったものだ。
左周りにねじ込んで行くと刺さりながら入っていく、
先が入ったら、左周りに回せば折れ込んだネジも左に回されて抜けていくという…
理にかなった専用工具だ。

ただこれをもっても突っ込むまでが非常に厄介で…

作業員が作業を再開する。
手順としてはポンチで下穴…基準を切れたネジ軸につける。
次に電動ドリルでネジ軸をほりエキストラクターを突っ込む穴をつくる。

エキストラクターを突っ込んでネジを抜く…

文面では非常に楽そうに表現せざる得ないが実際は…

まずポンチ穴、なるだけネジ軸のセンターに打つ必要があり、
それがずれるとネジ山が傷つく。
ネジ軸が残ってネジ山が削れることもある。

ネジ軸をほるドリルの刃だが、切れ味のよいのを使い、固い素材の刃が必要だ。
途中でドリルがポッキリいくかもしれない。

エキストラクターも折れる可能性がある。ヤキが入っているのが折れたら…
もうドリルで穴あけはダイヤモンドドリル刃等で行わなければならないだろう。
非常に高価だ。
なのでオーバートルクは厳禁だ。

さて、作業は…

「かー、かてえなぁ…」
ドリルで穴あけで2本目のドリル刃が馬鹿になった。
超硬ネジで固定していたので突っ込むネジ軸穴あけが難儀していた。

ティルクはタラップにのって来たが探検する格好でなかった為にカオルはまだ靴に同化してない。

暫くドリルで穴あけが続き、ようやくエキストラクターを突っ込む段階で…

『ゲイトから離れて、何がおこるかわからないわ』

(ん?何がおこる?)

「一旦外に出よう」

「作業中止!!」

何をするかわからないが、何かが起こるかもしれない。素直に責任者の指示に従い作業員が退出してく…
ティルクが作業員の残りが居ないか見回している段階で、ゲイトルーム内の明かりが消えた。

(停電?いや遮断か?)
ゲイトへの電力の供給が遮断されゲイトが閉じる…
だが…電力が遮断されたのにゲイトが閉じなく、そればかりか嫌な音をたてて…火花が飛び散り、
(はっ?)
ティルクがタラップから床のコンクリート面に傷を覚悟してダイブして避難した。

『医療班ゲイトルームへ!!』

『医療班種電源室へ、非常事態発生!!非常事態発生!!
主電源室で火災発生模様、消火作業急げ!!』

ゲイトルーム内にカーター大尉がかけよりティルクを助けおこす。

「直ぐに、助けがくるわ…」

「俺のことはいいからゲイトを」

「いくらあなたでも…酷い火傷よ」

「スターゲイト…」
発生した煙がゲイトへと流れる。

それに気がついたカーターがタラップをのぼりゲイトへ近づき認識票を…
認識票が地球の重力に逆らいゲイトへと直角に引っ張られチェーンが切れた。

「シモン!アイリス閉じて!!」

『流れは向こうです。こちらにはこられない』

「ブラックホールの重力は別よ!早く」

アイリスが非常措置にて電力なしのバネ式にて閉鎖してく。

「ひとまず…これで安心だけど…シモン、
アイリスにかかっている重力を計測する必要があるわ。誰かお願い。
計算上では13Gあたりまでは耐えられるけど…
5Gより超えたら報告してね」

ティルクが運ばれていき、カーターもついていった。

アイリス…スターゲイトの防護シャッターというべき物で、
通常用語ではカメラのレンズやスポット照明器具における絞りの名称だ。
アイリス・シャッターとも呼ぶ。
中心に円状の穴ができるように、複数の羽根を重ね合わせたもので、
それらの羽根の開閉により、穴の大きさを調整する。

その穴の調整ができる特徴からリング状のスターゲイトの防護扉にアイリス・シャッターが採用され、
防護シャッターがアイリスと名付けられた。

アイリスは地球から歓迎しない異星人の訪問を防ぎ、
わずかの隙間3マイクロメートルで再構築を防ぎ、
ワームホールへと押し戻す。押し戻されると一方通行で原子の彼方の存在になるわけだ。
アイリスを攻撃して崩せば通過かのうであるがエネルギー系でしか攻撃できず、
そもそもスターゲイトリングを破壊する威力でないと難しい。

しまっているままのアイリスを通過したのはアザーズ=高みに昇った天の川銀河のエンシェント…
なもんである。

今回の様に電力なしでの閉鎖も可能だが、再び開くには巻き上げる必要がありかなり手間がかかる。


カーター大尉…アメリカ合衆国軍空軍大尉、1965年生まれ。初代SG-1メンバー。
理論天体物理学者だが、量子力学やプラズマ粒子物理学の専門家でもある天才。
軍人としても非常に優秀。

SG基地に配属される前は国防総省におり、アビドース作戦の2年も前からスターゲイトの研究に携わっていた。
そのため作戦から外された時には、とても悔しい思いを味わったという。

頭がきれ、腕も立ち、全てにおいて万能だが、弱い者を慈しむ情緒豊かな女性である。
しかし好奇心の固まりのような人間で、たまの休暇には狭いラボにこもって研究をするのが一番楽しい…
という変わり者。


彼らの去ったゲイトルーム内はイベントホライズンからの光が光量を保っていて、
非常灯の明かりだけでは足りない光を補っていた。

(しかし…電力は何処から?)

SGC側からの供給は切れている筈だ。
未だにワームホールが開いている要因がわからなかった。

(とっとと…地震?)

地盤が安定して起きない内陸部で地震がおきた。珍しい…
多分ゲイト渡航は無い…なので虚数空間から分裂体を引き出して合体してたら…

アイリスの状態調査に人が入ってくる。

「カーター大尉」

『少尉どうしたの?』

カーターの声がいやに甲高く早送りに聴こえる。
なに早口になってるんだか…

「重力が増してます。アイリスには7Gがかかっています」

『そこから離れて少尉!』

(アイリスが壊れるのか?)

調査していた人員がゲイトルームからでて…

『よく聞け!私はハモンド将軍だ』

(おお、ハモンド将軍)
ハモンド将軍は2008年に心臓発作で死んでしまう…65歳の若さだ。
SGCにいるという点はウエスト将軍の後任の2代目司令官としていて、2004年までの期間を勤めあげていた時期だろう。

『基地内の全スタッフは基地の外に退避せよ。
繰り返す。全スタッフは基地の外に退避せよ。以上だ』
赤サイレンと短音で自爆システムシークエンスが開始された事が告げられる。

(自爆?自爆…あっ、思い出した!!)

自爆システム作動でイベントを思い出した。
SG-10の4名と救出チームのリーダーのクロムウェル大佐が死亡するイベントであった。

SG-10の4名が調査に向かった惑星のそばでブラックホールが発生した。
SG-10はスターゲイトで逃げようとし、
ゲイトがSGCに繋がるも…

SGC側でアイリスを開けて受け入れ体制を整えるも、SG-10のメンバーは誰も出てくる事なくゲイトが閉じてしまう。
SGCは救出チームを送ろうとし、渡航前の状況確認の為にプローブを送ったのが冒頭だ。

ブラックホールの重力場でSG-10の動きは客観時間から遅延している。
此方からの救助に向かったとしても、惑星からの脱出は不可能。

理由としては、渡航後に動きは遅延しブラックホールに引き込まれるまで下手したら1分も無い。
更にゲイトを切断後に向こうから接続を試みてもタイムスタンプは遅延してない側になり、ゲイト接続は1秒程になる…
とカーターは主張した。

救助を断念してゲイトを閉じようとしたが、コマンドを送ったが閉じなく原因不明の事態に陥る。

何とか閉じようとして電源落としても駄目であった。
そしてワームホールに引き込む重力が発生し、ブラックホールへの死出のワームホールと化す。
ゲイトがエネルギー絶たれても閉じない理由としてブラックホールからエネルギーが逆送してゲイトに供給、
その為にワームホールが維持される結果となる。

このままゲイトが閉じないと地球内部にブラックホールの吸引重力場が発生し地球が滅亡する…
ゲイトを破壊する自爆を大統領命令で決定した。

だがそれでもゲイトは破壊されずにのワームホールは閉じないとカーターが主張し、
その代案をあげて採用される。
指向性爆弾によりワームホールのルートを強制変更させて、
ゲイトを閉じるという手段だ。
クロムウェル大佐が作戦中にスターゲイトに引き込まれるも、
ゲイトに指向性爆弾を浴びさせ進路変更に成功し地球は救われた。
というイベント内容だ。

(て、いうかヤベエ、早く脱出しないと…)

SG-10の救出は現時点では過去に戻らなければ無理で、
彼らが重力場に捕らわれるのがカオル主観で経験した以上、変えることはできないだろう。

彼らはブラックホールの重力場に捕まり、彼ら主観では数分でも客観時間は数時間になってしまっている。
なので必死に逃げても数mしか動いてない。

そしてブラックホールの重力場はSGCにも影響している。

現在カオルのいるゲイトを中心とした箇所は外からみると非常にゆっくりとした流れの中にいる。

既に客観時間の1日は経過している。
クロムウェル大佐は5時間SGC基地と連絡が途絶えた。
ハモンド将軍は18時間基地の外に出ていて、ワシントンへと往復し協議していたとの事だ。

(あっ…それか……)

いっその事、P3W-451にいってブラックホールの重力に抵抗しながら5名を救助するのもよいかもしれない。
脱出方法は世界扉で他世界に逃げればよく…
問題となるのは客観時間でどんだけ時間が進むか…といった問題があろう。
オニール大佐が爆破から気づいたら13日たっていたという筈であり…

ただ…メリットとしてはスターゲイトの現物とDHDの現物がゲットできる話になる。
ブラックホールに吸い込まれ破壊される物だ…持ち帰っても問題ないだろう…
さらに優秀な人材がまた5名ゲットできる。

更には同化手段とらなくとも、ゲイトの異常電流からコントロールルーム内の機器を守る為にブレーカー落とす前に切断している筈であり、
更には今も接続してない筈で記録に残らない。
ゲイトルームと主電源室は火花やサージが発生し火災になったのにコントロールルーム内は無事…
つまりブレーカー落とす前に回線は物理的に外していたということだ。
更に今接続してるとブラックホール側からの異常エネルギーにコントロールルーム内の制御機器が壊れるかもしれない。
観測機器ならともかく地球版DHD…
通常のコンピューターが壊れたら…という事だ。

(………いってみるか…)

少なくとも2週間は問題ないという…事を信じて…

P3W-451へと…

タラップからリング、アイリスへと同化した身体を移動させ…
(結構引かれるな…)

アイリスに同化してるので身体がきしむ感じがする。
ワームホールへと突入…P3W-451のゲイトを出ると、

「踏ん張れ!!助けはくる」

「し、少佐…もう駄目」

「バーラー少尉!!」

SG10の一人がブラックホールに向かって吸い寄せられそうになっていたので、
そのまま抵抗せず重力に身を任せ、

「だ、だれだぁ?!」

虚数空間に引き込む。

「少尉?!」

「き、消えた」

使徒シャムシェルの飛行能力で高重力井戸に抵抗、
DHDにへばりついている3名の元に…
プローブは吸い寄せられたのだろう…既にない。

「SG10の人ですね。貴殿方は助けが来ません」

「嘘だ!!助けは来る」

「ここはブラックホールの重力場にとらわれ地球時間では既に1日以上たってます」

「馬鹿な!!」

「SGCからのゲイトが繋がりましたが繋がったままでは、
此方からのゲイト脱出できませんよね?」

「だからSGCが接続を断つのを待つわけだ!!」

「それが向こう側が1時間以上繋がったままでも?」

「1時間以上?!、閉鎖コマンドは?いや電源カットは?!」

「両方ともしましたが駄目でしたよ」

「そんな…」

「もうあれの時間がありません。私の軍に救助されこの世界の縁をきるか、
バラバラになって死ぬかを選んでください」

「……わかったお願いします」
「私も」「同じく」

「わかりました。詳しくは避難所で…」
といって3名を引き込み、DHDを引き込み……

(ちとゲイトもヤバイか…)

大地と同化しゲイトを大地に縛り付け補強。
虚無魔法の加速の10乗かけ…1024倍速で備える。

加速の過剰かけで客観時間の遅延にとらわれながらも、高速行動が可能になった。
つまりその空間内でみれば…通常投球動作でみればカオルの投球速度は300kmをマークしている。
手首のスナップが200km、肘が80km肩の移動速度が50km腰が20kmと使徒の力の恩恵で動作が早い。

で、加速の恩恵で放たれたボールは時速約30万kmと超え大気圏内では燃えつきる。
手首時速約20万kmと大気圏内では着火する速度だがそこは加速の魔法で空気抵抗がない為に無問題だ。
肘の速度も約8万km、
肩の動作がやはり基準と見てよいが時速約5万kmと普通なら衝撃波を出す速度で行動が可能になる。
これも加速の魔法の恩恵で衝撃波はない。
正し時間の遅延がある為、客観時間的には肩の速度は時速60km程とみてよいだろう。

ゲイトから吐き出されたクロムウェル大佐を問答無用で引き込み、
爆弾エネルギーで接続が解除されたスターゲイトを引き込みながら、
世界扉を唱え…
世界扉が開いた瞬間にATフィールドを世界扉の向こう側に張り大量流出しないように重力を遮断。
ATフィールドの内側のものが世界扉でブラックホールへと吸いだ…されない。
大気のみがすいだされるが物質は吸いだされなかった。
重力をフィールドで遮断したからであり、大量に流出はしてない。
世界扉をくぐり…


==銀河英雄伝説の世界、惑星ヴェスターラント==

扉を転がり抜けたカオル、世界扉をとっとこ消し…加速を解除してATフィールドも消す。
惑星が死の星となったヴェスターラント…
こういった時の問題の無い楔候補地の1つであった。


帝国歴488年8月、ブラウンシュヴァイク公の命により惑星ヴェスターラントに核が撃ち込まれた。
本来の歴史の流れでは惑星住民200万人が核で全滅であるが……

カオルが大体を救助し、ヴェスターラントの地には核に焼かれた擬体が残る結果となったがこの世界の者にとっては、
それはわからず、
ただ単に惑星住民全滅と死の星になった結果が残された。


ヴェスターラントに撃ち込まれた熱核弾頭ミサイルの数は約600m級、20隻の巡航艦から放たれた総計3600発。
1発でも2km級同盟軍戦艦を完全破壊レベル威力の100Mtの出力と、
古い技術の熱核弾頭へと換装された艦載ミサイルだが、
それを3600発も惑星全土にまんべんなく向け撃ち出された。
過去に冷戦時代地球上にあった核ミサイルの合計は2万Mt…じつに18倍の核の量がヴェスターラントへと撃ち込まれた。

本来なら艦載ミサイルはレーザー核融合、放射能無しの純水水爆による弾頭が主流だが…
わざわざブラウンシュバイク公はシャイド男爵を殺された制裁の為に熱核弾頭…古い技術の放射能を撒き散らす死の原子力起爆型核融合弾頭、
今の水爆型弾頭を持ち出した。

持ち出した熱核弾頭で惑星住民の核による全滅、熱焼死を命じたわけだ…

これまた大変な事であった。

長崎に使われた原爆が18kt程度の威力では火球は直径100m程度。
至近弾でも水上戦艦クラスでは船体が残ってしまう。
TNT換算50Mtで2.3km直径の火球…

人類史上最大規模の核実験での威力が50Mtで、
1961年にソビエトがツァーリ・ボンバという、重量27t、全長8m、直径2mというサイズの水爆をつくりあげた。
これが実験で半分の50Mtに抑えられたが人類の経験した100Mtの核爆弾の必要サイズ及び重量である。
何故半分の出力に抑えられたのは人口密集地に死の灰が降灰が予想されたから…
という切実な実状があったからでもある。

勿論西暦でいえば3600年程だ。
そんな爆弾に使われた様な2m×8mの様なでかいサイズが必要ではなく、
通常積載サイズの弾頭になる。

銀河英雄伝説では、全長170m全幅38m全高47mの帝国軍駆逐艦から放たれた24発のミサイルが、
貴族連合側に属した帝国標準戦艦、
全長677m全幅179m全高228mを、艦首中腹辺りに1発が命中すると艦前部を爆散させた。
この時点でもう戦艦は死んでる様なもんだ。
更には艦後部にもう一発命中して、戦艦は大爆発をおこして乗っている人員もろとも爆散する。

全長15m直径1mの駆逐艦積載の対艦ミサイルでその威力だ。

確かに地上での対艦ミサイルと比べるとサイズがでかい。
全長5.56m翼幅2.67m直径0.52mが対艦トマホークのサイズで、
速度は880/h、射程が3,000kmと地上では充分ともいえるが、宇宙戦においてはその速度と射程では…

なので100光秒の距離をすすむ艦載ミサイルに搭載する場合…
50cm×50cmサイズが弾頭、あとが誘導やブースターというのはわかろう。

さて…人類が過去にやった核爆弾実験による被爆事故で最大規模はアメリカ、ブラボー実験で、
予想外の威力を出したのが原因でもある。
チェルノブイリは原発なので別だ。

ビキニ環礁から240km離れたロンゲラップ諸島にも死の灰が降灰し、それより内側で第五福竜丸が被爆したのは有名であろう。
これの威力が当初予定4Mt、実状15Mtの威力になった。
実験に使われた島は消滅、水深120m直径2kmのクレーターができたという。

それより高い威力だ。安全に実験できる限界といえていただろう。

ツァーリ・ボンバの50Mtの結果だが、高度4,000mで爆発し、一次放射線の致死域…500remは半径6.6km、
爆風による人員殺傷範囲は半径23km、致命的な火傷を負う熱線の効果範囲は半径58kmとの結果だ。

地上直径116kmが熱焼死の範囲とみればよい。

因みに1Mt威力で東京に撃ち込まれた場合…
2〜3kmでの空中爆発で、日本武道館がグランドゼロの場合、
直径約1kmの火球、直径11kmが爆弾による直接による死亡率50%、直径18kmが直接死亡率が10%、
半径16kmで範囲火災がおきる。
爆弾による死者数は放射能汚染で330万人という計算だ。

再度いうが、ブラウンシュバイク公は核の熱による惑星全住民の熱焼死を命じた。
核の冬による緩やかな惑星住民滅亡は望んではない。

生き延びる事を赦さないの一点といえよう。
なので最低限惑星全土を焼き尽くす威力が必要とも言えた。

地球上にある核は冷戦時代に2万Mtが最高で、全面核戦争で20回地球を滅ぼすというが、
正確には地球人類は文明を失って滅びるということだ。
一般的に核の冬で氷河期が訪れて滅びる。
だがゴキブリや海洋生物が生き残るともいえよう。

実質的に核実験の回数だけなら、西暦1989年で1989回を超えている。

地球で計算しよう。

地球の土地面積14,894万平方kmの内、人類が使っているのは約1,861万平方km、
たったの12.5%に住んでいる。

世界で配備されてる最も力のある核ミサイルはB83。
1945年に広島に落とされた原爆の約200倍の威力1.2Mtの最大出力だ。

B83、1つが焼き払うことのできるエリアは14.9平方km。
比較として、東京渋谷区の面積は約15平方km。
全人類使用エリア÷B83破壊可能エリアを計算すると…
人類完全滅亡に必要なのは、1,241,166個のB83。

今、世界が持っているのはたった10,227個で人類が住んでいる土地全てを熱で焼くには足らないいう計算がでる。

で、今回撃ち込まれた100Mtの場合…
熱による殺害範囲が約5千平方kmとでてるので3702発で全人類熱焼死は可能とはでている。

惑星ヴェスターラントは地球よりも小さいサイズなのでぎりぎり全土を熱による焼死ができたといえていた。
ブラウンシュバイク公の望み通り、一人残らず全住民を熱で焼くことができた…という事であった。


核を使うと問題は放射線と放射能である…

熱核弾頭の場合、熱と爆風による被害の他、
初期放射線と、残留放射物という2種類の被害を発生させる。

初期放射線は火球を中心に回りを放射性物質に変える威力だが…
距離に比例して弱まり、核熱ミサイルの場合、熱線致死範囲よりも範囲が小さい。

広島や長崎が当初100年住めなくなると予想されてたが、1年程は初期放射線による放射性化物質に悩まされたが、
今は問題なくすめるのは、初期放射線による核物質化では半減期が早いためであった。

ウランやプロトニウム等半減期が長い残留放射物はどうなの?だが…
爆弾が爆発した瞬間、紫がかった赤い発光体は直径200mの球体に膨れ上がり、その球体の中心温度は100万℃、球体の外周でも7000℃に達した。

超高熱は、核分裂の分裂片、ウラン235の燃え残り、そして爆弾の容器など、すべてのものを一瞬のうちに気化させる。
爆心地付近の空気を一気に膨張させて一時真空地帯にし、
その後、今度は周りの空気が真空地帯に逆流、
強い上昇気流によって塵や残骸粉そして気化した放射性物質が上昇気流に乗って成層圏近くまで上昇、
多くは気流に乗って拡散した。
いわゆるキノコ雲である。

拡散した為に広島や長崎には半減期が長いのは残ってなく…というながれだ。

勿論繰り返し同地点で核爆発おこれば別だ。
ビキニ環礁…アメリカの核実験場として72発の核が炸裂し3つの島が消滅した。
1958年から残留放射能の調査を開始し、1968年に返還の約束して除染を開始し8月には帰島を許可した。
だが……
自主的避難せざるえなく、1997年IAEAはビキニ環礁で採取する食料では、年間15Svの内部被曝するため定住には適さないとの結論を出した。
人がビキニ環礁で生活に戻れるのは2052年といわれている。

72回の核実験による爆破でもこれ程後年に影響する。
一応今現在は短時間滞在には問題が無く、食料と水は環礁外から輸送してくるリゾートホテルはある。
ダイビングで原爆実験で沈んだ航空母艦サトラガがラスボスと化しているのが見えるだろう。

だがヴェスターラントの様に全面的に惑星全土に撃ち込まれたら…拡散先も放射能汚染されてて希釈できる箇所が無い。
つまり残留放射能だらけの死の星になる。

放射能汚染処理もそうなるとままならない。
基本、除染は汚染された土を交換する形になるが、
全面的に汚染されると、何処と交換の問題が発生する。
他の星から持ってくるか、地下深くと交換するか…

または半減期を利用して自然的に減るのを待つしかないだろう。

更に、ただでさえこの世界は戦争の為に人口減りつつあり、各惑星に土地がありあまってる。
わざわざ死の星を再生する労力を払って復興する利がない。

なので当面は死の星のままであろう…

それにだ…

カオルが出た惑星地表は辺り一面氷に覆われている。
世界扉で物質、土等の流出が無かった原因だ。
爆塵による氷河期到来という環境だ。

よく核の冬と言われるが、正確には爆塵による気温低下…
成層圏まで爆塵を飛ばされた塵が地球を覆い日光を遮断し、気温は低下し氷河期が到来する。
隕石による落下、火山の連鎖的大噴火でも同一現象にはなる。
核の冬と言われるのは核兵器によるからという事だ。

一般的に核によるならば1Mtが1000発で核の冬が訪れると言われている。
1箇所ではなく地球全土で1000発という事らしい。

核兵器実験で回数超えてるじゃんだが、同時期に1000発爆破であり、
また核実験は当初は空中や地上が多かったものの、死の灰の拡散の危険性に人類は気がつき、
ビキニ環礁の惨状から海外領が反対、自国内にせざるえなくなり、地中核実験に切り替えた。
大地の汚染は激しくなるも周囲への拡散や成層圏への拡散等が出力によるが無くなったわけだ。

でも正直に1000発なの?…と思うかもしれんが、こればっかりは滅亡を経験しないとわからないし…
少なくなるかもしれんし、多くなるかもしれない。
気がついたときには既に…というわけだ。

となるとツァーリ・ボンバーなら1000Mtだから20発か?と思うが、出力に粉塵量は比例するが、正比ではない。
なので100発程だとは思われるが…実証したら氷河期到来で人類滅亡だ。

ここら辺はおいといて…

現在、ヴェスターラントは塵に覆われ氷河期に入っているが、核の熱で全土を焼いたので二酸化炭素の割合が増え、
吸収する植物はというと熱で焼かれて全滅なので…
塵が降灰して恒星からの光がさし始めると今度は温暖化で50℃平均以上になると予測はつく。

ま、それも100年程先だとは思われるが…

実際に核に焼かれて全滅したケースは過去においてもここ、ヴェスターラントが初なのであり、
…銀河英雄伝説の世界ではあったようだが、異世界軍として、地球人類としては初ケースなので、
貴重なデーターとりとしては有用であろう。

そんな放射能の惑星の地表に出たのだ。勿論カオル自身も汚染されるが、そこは使徒の為に無問題。
ただ、ここからこのまま世界扉では開いた先に放射能汚染の被害がでる。

以前救出時に作り上げた地下施設に大地で同化して向かい…

この死の星の地下にあるデーター取りの為の地下施設…
勿論地上観察帰還時の除染装置もつけ、
物語外で暇な時に訪れ観測データーの回収はしていた。
施設の除染装置で身体に付いた放射能を除去して、データーを回収してから…

(何日経ったんだか確かめんとな…)

と考えながら世界扉を唱えて…



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.