幕間〜ノアと鬼一との邂逅〜(Noah'sGate×乱れ雪月華)


鬼一はただならぬ気配に目が覚めた。
──賊か?否、そういう類のものであれば、とっくにこちらに攻撃を仕掛けているはずだ。

そう思い直し、注意深く部屋を出る。
気配の主は中庭に憮然と佇んでいた。

鬼一は、その姿を見て、絶句した。

肩にかかる程度の長さのツインテール。
黒いドレスのような衣服から覗く肌は月明りに照らされて青白く、まるで大理石のようななまめかしさを強調させていた。
金髪の可憐な少女だった。

あまりにも場違いな「それ」を見た鬼一は状況を正しく理解できていなかったに違いない。
いや、幼さが残る中にも妖艶な「彼女」の本質に一瞬心を奪われたのかもしれない。
鬼一の反応は明らかに遅れた。

その瞬間を少女は見逃さなかった。少女は一瞬で間合いをつめて鬼一の顔を覗き込んだ。
「私がここに入ってから10分、まぁ思ったよりは遅かったわね。」
そういって──しかし、その言葉は鬼一は理解できるはずもなく──、彼女は鬼一の腕をつかんだ。

即座に空蝉の術を発動し、再び間合いを取る。
生剥を構え、逆剥を逆手に持つと、人差し指と中指を突き出し、虚空に印を刻みつつ、呪文を唱える。

少女は興味深そうに、その一連の動作を見ていると、次の瞬間、もう一人の鬼一が現れ、少女に襲い掛かかる。
「へぇ」
感嘆の声を漏らす少女は依然余裕すら見える。

ギン、と金属音がし、2人の鬼一は驚愕の表情をしながらも、数歩後退し、間合いを取る。
この女、今、剣戟を手の平で受け止めた??
長い廊下で、挟み撃ちにしている鬼一は圧倒的な有利であるにも関わらず、追撃の手を止める。
いまだに、鬼一はこの得体のしれない少女の技量を推し量れずにいた。

鬼一が次の一手を繰り出すのを躊躇しているとき、少女が舌なめずりし、ニタリと妖艶にほほ笑む。

鬼一は下半身に違和感を感じた。…勃起しているのだ。
戦いの最中、緊張している状況下での勃起はまずありえない。何が…おきた!?
鬼一がほんの一瞬、気がそれた瞬間をついて、ノアが呪詛の言の葉を紡ぐ。
「そのまま、射精なさいッ!」

次の瞬間、鬼一は猛烈な射精感に襲われた。
「うっ…ぐぉっ…」
耐えきれず、衝撃的な快楽とともに、精が放たれた。下着の中が精液で満たされる。
ねっとりとしたそれが、衣服と下着の間で性器にまとわりつく。射精が終わってしまえば、快楽は一瞬で消える。不快なことこの上ない。
その隙を突き、少女が鬼一を床に押し倒す。本体がバレたのだ。
体が拘束されたかのように動かない。不覚だ。
この手の修行は満月と始めたばかりだったというのは言い訳にしかならないだろう。射精の快楽で隙を作られたのは自分の失態だ。

そのまま少女は鬼一の唇を奪う。ねっとりと味わうように鬼一とのキスを堪能すると、満足そうにつぶやいた。

「ふふ。これでやっと話ができるわね。」
少女が口を開いた。日本語?彼女は日本語を操れるのか?いや、さっきは何か別の国の言葉を発していたはずだ。
「私はノア。時空剣ノア。大丈夫、別にあなたの命を取ろうとは思っていないわ。」
鬼一は口をパクパクさせる。ノアの魔力により拘束されているため、声が出ないのだ。
「まぁ、言いたいことはわかるわ。何のためにここに来たか?よね。単に興味かしら?」
そうさらりと言うノアに鬼一は絶句した。

ノアは倒れた鬼一の上に馬乗りになって言葉をつづける。
「この時代につかえそうな(・・・・・・)人間がいるかどうかが知りたかったのよ。まぁ、あなたがこの程度じゃ、ちょっと興ざめね。」
そのまま、ノアは鬼一の下着ごしに股間をまさぐり、中の精液まみれのペニスと陰嚢をもみしだく。
クチャクチャという淫らな音が響き、また鬼一のそれがムクムクと硬化し始める。
「んふ。かわいいわね、あなた。若い子だから仕方がないのかもしれないけど。」
楽しそうにそう言うと、そのままノアは後方に下がり、鬼一の下着に手をかけて引きずりおろした。

半勃ちとなった、鬼一のペニスがあらわになった。
「どちらにしても、私がここから立ち去るためには、魔力が必要なのよ。せっかくだし、あなたから補充させてもらうわ。」
恍惚な表情を浮かべ、ノアは精液にまみれた鬼一のペニスに軽くキスをする。
「ん…すごい匂い。ん、、ちゅっ」
ノアは丹念に鬼一のペニスについた精液を舌で舐め取る。それが愛撫となって、ペニスは本来の硬さを取り戻していく。
回復も早くて素敵よ。などと言いながら、亀頭を口に含み、口内で舌とほほ肉全体で刺激する。
鬼一は声が出せずとも、呼吸を荒げ、そこから受ける快感に抗おうとしていた。

すっと、ペニスから口を外すと、ノアは残念そうにつぶやいた。
「あなた、どうせ何もできないんだから、せっかくだから楽しみなさいよ。それともなに?別の女の事でも考えてるの?」
鬼一はカッと顔が赤くなった。
「あら、やだ。図星なの。大丈夫。この屋敷にいる彼女たちには手出ししないから安心してイキなさい。」
手で鬼一のペニスをしごきながらつまらなさそうに続ける。
「それに、そのうちの1人は今もお楽しみ中だし、気にしないでいいんじゃないのかしら?」
…恵慈か。あいつは…なんだかんだいって雪那と相思相愛だしな。ふっと顔に優しい笑みがこぼれる。

ノアは再び鬼一のペニスをくわえこむ。吸引し、のどの奥まで使って、ペニス全体を激しく刺激した。
鬼一も経験が浅いせいか、徐々に快楽に抗うことができなくなってきた。
そろそろね…そう思い、ノアはスパートをかける。
陰嚢をさすり、そのままアナルのほうまで滑らせ、中指で軽くアナルの入口をトントンと刺激する。
アナルを刺激するたび、ぴくっと震える鬼一の反応が面白く、かわいいと感じていた。

もうだめだ。出るッ…鬼一は耐えきれずに二度目の射精をした…。
ドクドクとノアの口中に精が放たれる。
ノアはそのまま口の中にため込み、ペニスをそっと吐き出す。口の中に残った精液を味わいながら、嚥下する。
その後、鈴口に軽くキスをして、ちゅるっと尿道に残る精液をすすると、軽く微笑んだ。

「ふふ。ごちそうさま。なかなか悪くなかったわ。イキっぷりもまぁまぁね。」
鬼一はうつろな目で肩で息をしながらノアのほうを眺めていた。

「ひょっとしてこっちの穴のほうを期待してたの?それならちょっと悪いことしたわね」
ノアが股間に手を添えて自分自身を愛撫すると、クチュっと淫水の音が聞こえた。
「私自身、男も久々だったしね。こっちの穴でもよかったんだけど…でも、それだとあなた人をやめることになるわよ?」
その見た目にそぐわない冷酷な声を聞き、鬼一は彼女の本質を見抜いた。
鬼一の背筋に一瞬寒気が走った。
このモノは人ならざる者、「じくうけん」と言っていた…まさか、剣の、人型に顕現できるほどの強大な魔力を持つ妖剣か。

「ふふ。ご明察。拘束はあと数分で解けると思うし、それまではチンコ丸出しでみっともないけど我慢なさい。」
意地悪くそういうと、思い出したように、「そうそう」と鬼一の耳元で続けて囁いた。
「あなた、…なのね…。かわいそうだけどこればかりは仕方がないわね。」
鬼一の目は見開き、廊下の天井を呆然と眺めていた。
「それじゃ、私は行くわ…。ってよほどショックだったのね。聞いてすらいないわ。」
ノアはくすりと笑うと、その体はふわりと宙を浮き、そのまま闇夜へと消えていった。

ノアの気配がなくなったころ、鬼一は自分の体の感覚が戻ってきたことを実感した。
よろよろと立ち上がり、柱にもたれかかると、顔を手に当てながら、ノアの言葉を反芻する。
まさか、まさかこんなことで。
双子の恵慈は?いや、満月はこのことを知っているのか?
いや、知らしてどうする。満月は…俺は…

そしてふと、気づく。
──なぜ、満月は出てこない?

自分はノアの異質な気配で目が覚めた。満月も気づいて当然ではないのか?
それとも、満月を溺愛するあまり、彼女を過大評価しすぎたか?

散漫とした中、その足はふらつきながらも満月の部屋に向かっていた。
「すまない、満月…いるか?」
鬼一の問いかけ対して答える声はなかった。
そっと引き戸を開け、中を確認する。

満月の部屋には、彼女の姿はなかった。

「それに、そのうちの1人は今もお楽しみ中だし、気にしないでいいんじゃないのかしら?」
鬼一はノアの何気ない一言を思い出すと、心がざわつくのをとめることはできなかった…

その足は…自然と、恵慈の──弟の部屋へと向かっていった…
考えなかったわけではない。

弟の部屋から、女性の声が聞こえる。
ああ。そうだ。自分のよく知る声だ。そう鬼一は確信すると、逆剥を強く握り締めた。

 * * *

翌朝、鬼一は自室で目を覚ました。
目を見開き、口で荒く呼吸をしながら、夢の内容を思い出す。
妙に現実的な夢だった。
満月を寝取った、弟の首を撥ねた感触が今でも生々しく手に残っている。

いや、まさか…な。
しかし…ノアの言った言葉は気にはなる。たかが夢の戯言。問題がなければそれに越したことはない。
その日、鬼一はとある場所へと足を運んだ。

「あんまり驚かないのねぇ。まぁ、でも、心中穏やかじゃないのは確かよね。」
その鬼一の行動を千里眼にて観察していたくの一は、嗜虐的な笑みをたたえて、そうつぶやいた。
「さて、後はどうやって取り入ろうかしら。うふっ…楽しみねぇ。ああいう子は堕ちるのも早いし。」
くの一は今後の展開を妄想すると、ニヤニヤと愉悦の表情を浮かべたのだった。




--あとがき--
えっと、コラボ決定時からやってみたいなーと思っていた初めてのクロスオーバーです。
テスト板で書いていた内容から推敲をした結果こうなりました。
「どうしてこうなった??」というのもあるかもしれませんが。

まー、なんか、あんまり今回もエロくないですね。本番もないですし。

乱れ雪月華はLassの姉妹ブランドとして立ち上げられたLassLunaticの第一弾として出ました。
いわゆる抜きゲージャンルですので。ストーリーは中途半端です。(思いっきり前編)

先日後編が8月末に発売予定と発表され、ちょっとうれしくなったので書いてしまいました。
ちなみに私は満月派でございます。まぁ雪那もかわいいんだけどね。

なるべくネタバレがないように書いたつもりではあります。
そして、この話は「乱れ雪月華〜儚く散る細雪〜」の体験版(導入部)につながるように書いたつもりです。
興味があったら、DLしてみるのもいいかと思います。

個人的には、鬼一にーちゃんと満月は幸せになってほしいんですよね…かなわない夢ですけど。

[6/12追記]
月詠さんの指摘で一部修正かけてみました。
「* * *」のあたりが体験版のシーンにつながってます。
せっかくなので、蛇足かもしれませんがエピローグをつけました。



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