< 統也side >
「ふぁぁ〜・・・・」
「・・・眠いねぇ」
寝不足気味の二人は電車に乗って、夢崎区のピースダイナーへと向かっていた。
なぜ、彼らが眠たそうにしているかというと、前夜に大騒ぎしたのが原因である。
(まぁ、ほとんど真名が騒いでいたわけだが・・・)
夢崎区は若者の町と言われるほど、にぎやかな場所として有名なのだが来たことも
ない統也にはどこへいったらいいのか、まったくわからない。
真名の後について行き、数分後、目的の場所に着いた。
「ふぅ、やっとついた。さすがに電車で寝そうになったときはどうなるかと思ったけど・・・」
「お腹減った〜。なんか食べよっか?」
「そうだな。まだ時間もあるし、まかせる」
二人は注文を済まして、席へと向かう。
「まだ、来てない見ないだねぇ。雅ちゃん」
「まぁ、昨日いきなり頼んだ訳だし、少しぐらい遅れてもしょうがないって」
「それもそうだね。じゃ、早速いただいまぁ〜す♪」
見事な食べっぷりにおもわず目を奪われてしまう。
「うまそうに食べるよなぁ」
「だって、ここのピースバーガーおいしいから、しょうがないってば」
などと話しながら食べていると、
「あの、月野先輩おまたせしました」
声がした方に顔を向けると、ぽっちゃりしたとした感じの女の子が話しかけてきた。
「あっ、雅ちゃん。ひさしぶり〜、でも急に電話しちゃってごめんねぇ」
「い、いえ。学校もいろいろあって、ほとんど休校状態になってしまったので・・・」
「そうそう、聞いたよ〜。あの時計台動いたんだって、それに奇病にかかった生徒が
たくさんいるって ニュースでやってたけど、大丈夫だったの?」
「はい。ちょうどその時、学校の外で調べ物をしていたので奇病にはかかりませんでした」
「そっか。良かったぁ〜。でも何を調べてたの?学園祭の準備とか忙しい時期じゃない?」
雅は言いにくそうに、
「え〜と。仮面党って聞いた事ありますか?
なにかの組織らしくて、周防先輩達や栄吉く・・・じゃなくて、春日山高校の番長さんが
探してるのを手伝おうと思って調べてるんですけど・・・」
思わぬ言葉に驚き、大声を上げてしまう。
「ど、どうしたの?急に大きな声だして」
「あっ、ごめん。そ、それで、その仮面党っていう組織について詳しく聞きたいんだけど・・・」
「え〜と、先輩この人ですか?噂について聞きたい方というのは?」
「うん、そう。なんか噂話に興味があるらしくて、良かったら教えてあげてくれないかな」
「はぁ、そういうことなら。仮面党についてですね?
私もあまり詳しくは分かっていないので、知っている範囲でよければお話しますけど」
「それだけで、十分だよ。教えてくれ」
雅は一呼吸すると、
「私が調べた結果、仮面党といわれる組織はジョーカー様に理想を叶えて貰った人が
必ず入らなければならないらしいんです。」
「ジョーカー様?それって何?」
「「え!?ジョーカー様を知らないの(知らないんですか)!?」」
・・・ま、まずい!それってそんなに有名な話だったのか・・・・
「ほ、ほら。俺ってそういうの疎いから・・・は、はは」
なんとか、誤魔化しにかかる。
「う〜ん、それならしょうがないかぁ。ジョーカー様っていうのはね。
理想が叶うって噂されてる儀式みたいなものなんだよ。
確か、自分の携帯から自分の携帯に電話するんだけど、普通は話中なってつながらないはずなのに繋がるらしいの。
それで、理想を述べると必ず叶うっていわれてるんだよ」
「へぇ。でも、そんなに都合の良い話があるか?」
「はい。事実なのは間違いないです。私自身も、一度だけ見ましたので。
この近くのゾディアックっていうクラブで入党儀式があったのは、まちがいないですし・・・」
雅はそう話すと、何かを思い出したのか塞ぎ込んでしまう。
「何かあったの?雅ちゃん」
真名が心配そうに、雅の顔を覗き込む。
「えっ・・・な、なんでもないです。私が知っているのは、それぐらいなんですけど。
ごめんなさい、ジョーカー様を実際にやった人にも聞いてるんですけど。みなさん知らないといわれるだけで・・・」
「あぁ、十分だよ。わざわざ、ありがとね」
「いえ。先輩とお付き合いしている方の御力になれたのならよかったです」
「「・・・・へっ?」」
「違うんですか?仲よさそうに見えたんですけど」
真名は顔を赤くしながら、
「は、はは。そ、そんなんじゃないってば」
「そうそう。友達だから、友達〜」
統也にあっさり答えられ、真名は少しムッとすると、
「かはっ・・・な、何するんだよ!・・・いっつぅ・・」
「別にぃ」
思いっきり、腹に肘による一撃を喰らい、悶えている統也を他所に真名はもくもくと食べていた。
雅はその光景を苦笑しながら眺めている。
その後は、話もそこそこに雅と別れ、二人は帰路に着くことにした。
統也は自室で横になりながら、今日の事を振り返っていた。
・・・疲れた。でも、得られた情報は大きいかもなぁ。理想を叶えてくれる「ジョーカー様」に
それを行った人が、入るという仮面党か・・・以下にも怪しい感じがするなぁ・・・
「・・・そのジョーカー様ってのも、案外噂から出てきた話かもしれないな」
理想が叶う儀式なんて本当にあるはずがない、しかし実際に起こっているのだからそう考えてもしまう。
だけど、そこまで大きい組織だったとなるとペルソナだけで本当になんとかなるのか・・・?
それに、また出すことができるのか、わかんねぇし・・・
実際、帰ってきてから呼び出そうと何度も試してはいるが、どうしてもあの時の感覚を思い出すことができない。
起き上がり、窓から外の景色を覗き込む。
「いずれにしても、しっかりした対抗策を考えなきゃダメかもな・・・」
今、頼れるのは自分しかいないのだから・・・
翌日、約束通りにMUSESのコンサートを見るため、会場のある青葉区へ向かう。
ここ青葉区には、学生向けの雑誌「クーレスト」を発行しているキスメット出版や、珠阯レTVなど
あらゆる情報が発信されている情報社会の中心的存在でもある。
「すごい人数だねぇ」
「・・・ん?あぁ、確かにすごいな」
「どうかしたの?さっきから、顔色が悪いけど・・・」
顔色が悪くなっているのは、だれからみても一目瞭然だった。
なぜなら、ここにくるまでに、何度も悪魔の姿を目にしており、
しかも、ここ野外音楽堂に近づくにつれて悪魔の数が確実に増えている。
・・・どうやら、普通の人にはまったく見えてないようだけど・・・
・・・何かあるってのか?・・・はぁ、いやな感じがする・・・
「いや、なんでもない。それより、これからどうする?まだ開始時間まで、時間があるけど?」
「う〜ん。並んでるみたいだから、私はここで待ってるよ。
良かったら、その辺を散歩してきたらどう?」
顔色が悪いことを気にしてくれているのだろう。
迷惑掛けちゃったかな・・と思いつつ、その厚意を素直に受けることにした。
「じゃあ、そうさせてもらうよ。すぐもどってくるからさ。」
「うん。しっかり気分転換してきなさい♪」
真名と一旦別れ、すぐ隣にある青葉公園をうろうろとしている。
「はぁ、よく見ると悪魔ってのもけっこうたくさんいるのね・・・」
ここに来るまでにも、悪魔達がそれぞれ話していたり、人に見えない事をいい事に
悪戯をしたりしているのを見かけていた。
「・・・悪魔っていうのも、すべてが凶暴な訳じゃないんだな」
見方によっては、人とそんなに変わらない様な印象も受ける。
気分転換になっているのか、なっていないのか分からないまま辺りをうろうろとしていると、
「ん?」
どうやら、会場の裏口へ出てしまったようだ。
裏口へ目をやると、4人の男女が裏口から中へ入ったのが見えた。
(具体的に言うと、それぞれ違う制服を着込んだ高校生二人と派手な服の女性、
首にカメラをぶら下げている女性だったが)
疑問に思いながらも、
「バイトの人か?なんか凄い個性の持ち主に見える人達だったけど。
まぁいっか、ここにいてもしょうがないし、そろそろ戻ろっと」
「おかえり〜。もう始まるっぽいよ」
「ちょうどよかったなぁ。」
「それでどう?少しは気分良くなった?」
「おう。かなり良くなった」
「ふぅ、よかったよかった。気分悪いと、おもしろくないもんね〜」
真名は安心したように、息を吐いた。
「只今より、会場いたします。二列になって、順序よくお入りください。」
アナウンスが流れ、ぞろぞろと会場へ入っていく。
「よし、じゃあ中へ入るか」
「うん。精一杯楽しんじゃうよ〜♪」
会場はMUSESの登場により、異様な熱気を放っていた。
「コンサートなんて始めてだけど、凄いなぁ」
「それはそうだよ!なんてったって、MUSESのプロデューサーがあの佐々木銀次なんだもん!」
「佐々木銀次?へぇ、そんなに凄い人なのか・・・」
二人がおしゃべりしている間に、会場に歌が流れ出す。
「けっこう、いい歌じゃないか」
「でしょ!いい曲だよね〜」
つい最近、発表されたばかりのグループとは思えないほど、慣れた感じで
歌っているのを見て、正直驚いていた。
観客が静かに酔いしれているのも、わかる気がする。
あっという間に、歌が終わり拍手の嵐が起こる。
覚め終わらぬ熱気の中、メンバーの一人がマイクを取って、
「今日、みなさんに話さなきゃいけない事がありまーす。さぁ、リサ」
リサと呼ばれた金髪の少女はステージの前まで歩いてくると、
「みんな、驚かせてゴメンね。わたし、実は・・・英語、全然しゃべれないんだ。
こんな外見なのに、おかしいよね?でも、みんなを・・・
何より自分をだまし続けるの、もっとかっこ悪いと思ってやめました。
こんな私の歌を聞いてくれてありがとう・・・」
突然の告白に、観客は戸惑うも、勇気をだして言ったリサの姿に感動して
拍手をしたり、中には思わず泣いている人までいた。
横を見ると、うぅ・・と泣いている真名の姿がある。
「そうかぁ、そうだったんだぁ。
道理で、英語のテストが毎回赤点だったわけだぁ・・・」
・・・なんでそんな事、知ってんだよ・・・
呆れつつ、ステージに視線をもどすと、どうやら前の方でリサが誰かと話し合っていた。
「ん?あいつらは・・・さっき、裏口で見かけた人達じゃないか・・・」
見覚えのある人達の方を見ていると、
・・・な!この感じは・・・
微かに不思議な感覚に襲われる。
・・・!?
気が付くと、七姉妹高校(通称:セブンス)の制服を着ている少年がこちらを見ていた。
とっさに、目を逸らしてしまう。
「・・・俺を見ていた?なんで・・・それに、今のは・・・」
「ん?どうかした?」
隣で見ていた真名が不思議そうに聞いてくる。
「いや、なんでもな・・・」
言い終わる前に、会場内にリサの声が響いた。
「え〜〜!ば、爆弾〜〜!?」
突然のリサの叫びに、観客はパニック状態に陥り、我が先にと出口へと走っていく。
「爆弾だって!なんで、そんなもんが!」
近づくにつれて悪魔が増えているという状況が気になってはいたが、まさか
こんな展開になるとは思っても見なかった。
「と、統也!早く、私達も逃げなきゃ!?」
隣で、真名も慌てふためいている。
・・・く、マジかよ!仮面党っていうのは、ここまでしやがるのか!?
徐々に怒りが込み上げてきた。そして・・・
「ほら、早く行くよ!急いでここから・・・」
彼女は統也の手を掴もうとすると、
「・・・悪い。先に行っててくれねぇか・・・」
「・・・え?」
いきなりの事で、意味がわかっていない様子の彼女を逃げ惑う人達の中へ押し出す。
「な、ちょっと・・・」
声は人々の悲鳴にかき消され、その姿も消えてゆく。
「許せねぇよ・・・あんなに、みんな楽しそうにしてたのに・・・」
右手の拳を思いっきり握り締める。
自分にできる事なんてわからないし、たかが自分一人で誰かを守れるなんて事できるはずもない・・・
・・・でも、それでも。さっきまで笑い、泣いていた彼女の顔が不安に染まっていくのが耐えられなかった・・・
「非力かもしれない、俺なんかにできる事なんて、たかが知れてるかもしれない・・・」
それでも統也は、自分を受け入れてくれた・・・たった一つの居場所を守りたいと願った・・・
そして、観客の消えた会場のステージへと視線を向ける。
静まり返った会場に、仮面を身に付けた男が現れた。
「感動的なショーだったよ、リサ君。獲物は、抵抗が激しいほど愛しい・・・
君は、私を最高に燃え上がらせる。」
「佐々木銀次!?その格好・・・あんたやっぱり!!」
先程まで、歌っていたリサが仮面の男が立っている方に振り返る。
「そう・・・我が名はプリンス・トーラス。礼を言わせてもらうよ。
君のおかげで「異国の詠」が成就された・・・そして」
突然プリンス・トーラスはこちらに顔を向けると、
「創異点の青年・・・・思わぬ獲物だ。君を消しておけば、あの方も安心なされるだろう」
トーラスと対立していた五人もこちらに顔を向けてくる。
その内の一人、カメラを持っている女性が叫ぶ。
「舞耶さん!?まだ、人が残ってるよ!?」
「そこの君!?危ないから、早く逃げなさい!?」
トーラスは合図のように、指を鳴らした。
すると答えるように、数匹の悪魔の群れが現れる。
半人半牛の怪物、ミノタウロスが現れ、統也を目掛けて突っ込んでいく。
・・・思い出せ・・・あの時の感覚を・・・
・・・守るんだろ・・・大切は物を・・・失いたくないんだろ・・・?
周囲の空気が変わり、そして生み出される。
統也の頭上、漆黒の冥王の姿が現れる。
サテゥノスは右手を悪魔の群れへと向けると、左肩の上に浮いていた紫の球体が回転しだす。
その球体は発光を始めると、相手の頭上に重力の塊を作り出した。
生み出された重力弾が、一匹、また一匹と悪魔を押し倒していく。
一瞬にして、悪魔達は跡形も無く全滅した。
「はぁはぁ、そんなあっさりやられてたまるかよ・・・」
息切れを起しながらも、トーラスを睨む。
「おい・・・マジかよ」
「係刀I?マジ・・・」
青髪の少年と、リサが驚きの声をもらした。
「はははは。素晴らしい!?ここまでとは!?。」
トーラスが笑い始めると、
「何を遊んでいる。
観客全員を党員にし、一気にエナジーを集めてみせると豪語した結果がこれか?
達者なのは、口先だけだな・・・」
!?
トーラスの頭上、照明器具が設置されている場所に一人の男が立っていた。
ライオンを彷彿とさせるような仮面を被り、その目は狂気に満ちているように見える。
「フン・・・だが、じきに水晶髑髏は満ち足りる。
思いのほか、スターに憧れる人間のエナジーは多かったよ。
「ナウイ・オリンの終焉」までには間に合うさ。」
舞耶と呼ばれていた女性が叫ぶ。
「そんな髑髏に人々の夢見る力を集めて、一体何を起そうというの?
「ナウイ・オリンの終焉」って、なんなの!?」
「それが知りたければ、俺とのゲームに勝つことだ。
俺の役目は、星辰が示す地に「贖罪の迎え火」を灯すこと・・・
火柱は4つ上がるぞ・・・
ヒャハ!一つはここぉ・・・次がどこかしりたきゃ、この会場を探してみなぁ・・・
ありがたい託宣が、どっかにあるからよぉ!!」
「・・・ゲームだと?
・・・お前らにとって、これはただのゲームって事かよ!?」
統也は怒りを露にする。
「ヒャッハァ!?貴様が、あの方の言っておられた創異点か。
だが、俺には興味の無い事だ。
俺が殺りてぇのは、そこにいやがる魔女と大凶星だけだからなぁ!?」
男は舞耶と少年に視線を移すと、
「クックック・・・ヒャーハハハァァァァ!!急げ急げぇ!
あと30分で、ここは火の海だからなぁ!!」
狂気に満ちた声で言うと、男は消え去ってしまった。
「フン。余計な事を・・・しかたない。
残り少ない時間、私と踊っていただこう」
「激氣!?あさっちもみーぽも私が守ってみせる!?」
リサは一旦、距離をとるために後ろに跳ぶ。
5人は、体勢を整えると先程の女性が声をかけてくる。
「ほら、あんたも早くこっちへ来な!一人でいると危ないよ!?」
「は?あんた達のが危ないだろ!?早く逃げ・・・」
「ホォオゥゥゥ。その心配はないぜ!今、見せてやるからよ」
青髪の少年はそう言い放つと、セブンスの少年が叫ぶ。
「いくぞ!俺に続け」
・・・な!あいつらもペルソナ使い!?
「「「 ペルソナ!?」」」
5人の頭上にも、ペルソナが具現しだす。
「まずは、周囲の悪魔を蹴散らす!?」
リーダー格と見える少年はそう叫ぶと、ペルソナを発動させる。
「我は汝・・・汝は我・・・我は汝の心の海より出でし者・・・
一切の不浄薙ぎ払う、業火の運び手ヴォルカヌスなり」
炎を纏いし剣を生み出し、目の前の敵を両断する。
その少年を狙い、遠方から悪魔エンジェルが矢を放つと、
「させないわ!」
舞耶は少年の前に出ると、
「我が名はマイア・・・天蓋に煌くスバルの御業、
望月背負いし、汝がために奮いましょう・・・」
マイアは氷の柱を出現させ、盾にし矢を避ける。
「ユッキー!今よ!?」
「OK、舞耶さん。栄吉!リサ!まとめていくよ!」
「おう!」
「衰ロ羅、パンツ番長といっしょかぁ。情人とがよかったのに〜」
「パンツ番長って言うんじゃねぇ!この、ギンコギンコギンコ!?」
「激氣、そのださいあだ名やめてっていってるでしょ!?この、パンツ番長!?」
「あんた達、こんな時に喧嘩なんかしてるんじゃないよ!?」
その隙にと悪魔達が迫ってくるが、
「「「ペルソナ!?」」」
一瞬にして状況を立て直し、三人は一斉に発動させる。
栄吉、リサ、ユッキーの順にペルソナが具現を始める。
「我はラダマンティス・・・
裁きの太刀にて咎を断つ、冥府の半官なり・・・
いざ、汝が敵の罪を裁かん!!」
「私はエロス・・・金色の矢持ちて、恋の炎を灯す者・・・
我が現身よ、汝が力になりましょう・・・」
「私はヴェスタ・・・まこと愛する男に添い、迷い子導くそなたが宿命
我が火影にて護りましょう・・・」
竜巻のような火柱が生まれ、敵を周囲の敵を一掃する。
・・・す、すごい!次々と数が減ってる。
彼らの戦い方には、無駄がなかった。
リーダー格の少年とリサが先陣を切って攻撃をしかけ、栄吉とユッキーが援護にまわり
傷を負うと、すぐさま舞耶が回復をする。
そして、あっという間に悪魔は殲滅された。
残る敵はトーラスだけとなり、追い詰めた瞬間・・・
「・・・何、やってるの?」
その声は震え、彼女はその光景をただ呆然と眺めていた。
「なっ!何で戻ってきたんだ!?」
そこには、逃げたと思っていた真名の姿があった。
「ちっ、邪魔が入ったか・・・」
トーラスは舌打ちすると、銃口を彼女に向け、
「見られてしまったからには、いたしかたない。悪いが、死んでもらおう」
「くそっ!そんな事、絶対にさせない!」
震えている真名の前に飛び出す。
次の瞬間、銃声が響き渡った・・・
< 真名side >
「・・・え?」
ただ彼女は、統也が心配で戻ってきた。
彼を見つけたら、すぐにここを離れるつもりだった。
だから、見つけた時は安心し、その光景に呆然となった。
訳のわからないまま、答えを求めて彼に聞いた。
しかし、その答えを聞く間もなく、仮面の男が銃口を向けてきて・・・・・引き金を引いた。
恐怖のあまり目を瞑り、次の瞬間・・・・彼女に銃弾が当たることはなかった。
恐る恐る目を開けると、統也が力なく倒れていく姿が映った。
「・・・何で・・・」
信じられなかった・・・いや、信じたくなかった・・・
目の前で、会って間もない一人の女の子を庇って彼が消えていくのが。
「と、統也!ダメ、死んじゃダメ!なんで、こんな事・・・」
「・・・うっ!・・死なせたく・・・無かったんだ・・・
ここに来て・・・初め・・・ぐっ!う、受け入れて・・・くれた人を・・・」
その言葉を聞いた途端、涙が溢れてくる。
助けたかった・・・自分には何もできないとわかっていても、何とかしたかった・・・
「・・・誰か・・助けてよ・・・統也を・・助けて・・・・」
・・・私の手を取るのです・・・
声が聞こえる。暖かく包み込んでくれるような優しい声が・・・
汝が想い人・・私が力にて救いましょう。さぁ、私の手を・・・
「何!そんなバカな!」
トーラスは目の前の光景に驚く。
「彼女も・・・ペルソナ使い・・・」
舞耶も静かに声を上げる。
真名の周囲が光に覆われ、光が止むとそこには光り輝く女神の姿があった。
「私はヘメラ。人々を照らし、光へと導く者・・・
さぁ、私が半身よ。共に、あなたが想いし者の力となりましょう」
ヘメラは両手を掲げると、統也を温かい光が包み込み、傷を癒していく。
治癒が終わると、ヘメラの姿もまた消えていった。
< 統也side >
温かくて・・心地よい・・
ゆっくりと目を開く。
「・・・ん?あれ、俺って撃たれたんじゃ・・・?」
体中を見渡すが、撃たれたどころか傷一つ残っていない。
「良かった。本当に心配したんだからね!?」
真名はそう言うと、もたれ掛かってくる。
「へ?ご、ごめん。もう大丈夫だから、ほら泣かないでって」
いつまで経っても、顔を上げない彼女が心配になり声を掛けるが・・・
「・・・あっ、聞いてないのね・・・」
覚醒した反動と泣きつかれたのが重なったのだろう。
そんな彼女を見て、思わず笑みがこぼれた
一方、トーラスは予想外の出来事に声をもらす。
「・・・バカな、そんな事ありえん!ペルソナの覚醒だと!」
「余所見をしない事だな」
不意にセブンスの少年の声が響く。
すぐさま、避けようとするも剣撃による一撃を喰らい、地面に膝をつく。
「ふっ、まぁいい。今日はこれくらいにしておこう。
精々、次に会う時まで生き延びている事だな」
「てめっ!待ちやがれ!?」
栄吉が銃口を向けようとするが、トーラスは虚空に姿を消した。
あとがき
・・・やばい。話がよくわからんくなってきた・・・・
こっちのがいいんじゃないかと思ったりして、変えてばかりいました(・w・;)
SSの難しさを実感してる毎日ですな(汗)