機動戦士ガンダムSEED Destiny
〜Whereabouts of fate〜
第四話 星屑の戦場(後編)
背後から迫るミサイルをCIWSで撃ち落しながら、ミネルバは必死に逃げ続けていた。
だが、CIWSの弾数は無限ではない。
このまま撃ち続ければいずれ弾切れとなり、そうなればもうミサイルを防ぐ術はない。
「後ろを取られたままじゃどうにも出来ないわっ! 回り込めないの!?」
タリアが苛立ちながら訊ねるが、マリクは首を振った。
「駄目です! 回避だけで今は……!」
「レイのザクを……」
アーサーが進言しかけるが、タリアはそれを一蹴する。
「これでは発進進路も取れないわ!」
確かに、小惑星にへばり付いた今の状況では、MSをカタパルトで射出するスペースを取る事は出来ない。
だがここで小惑星の陰から出れば、ミサイルの直撃を受けるのは目に見えている。
「これではこちらの火器の半分も……」
タリアが悔しそうに呻く。
主砲などの射角では背後の敵を捉える事は出来ず、ミサイルを放ってもデブリや小惑星の破片に阻まれて敵に届く事はない。
つまり、今の自分達には敵を攻撃する手段は無く、出来るのは敵から逃げる事だけなのだから。
「ミサイル接近! 数6!」
その時、バートが敵からの砲撃を告げ、タリアは反射的に迎撃を命じる。
その様子を背後から眺めていたアスランは、ミサイル群の予想コースを見て違和感を覚えた。
モニターに映し出されたコースは直撃コースではなく、ミネルバ前方の小惑星を指し示している。
牽制の為に当てずっぽうで撃ったのかとも思ったのだが、その時、アスランの目は外部の岩壁に吸い寄せられた。
「―――っ! まずいっ、艦を小惑星から離してください!」
「えっ!?」
思わず席から立って叫んだアスランをタリアが怪訝そうに見るが、もう遅い。
ミサイルはミネルバが身を寄せる小惑星に次々と突き刺さり、岩壁を抉り、その破片をミネルバへと撒き散らした。
無数の破片が反動のままミネルバの船体に襲い掛かり、横殴りの衝撃を与えていく。
身を護る盾は砕かれ、その破片は鋭い矛となってこちらに牙を剥いたのだ。
「右舷がっ……艦長!」
アーサーが悲鳴のような声で叫び、轟音に掻き消されそうになりながら、タリアが指示を飛ばす。
「離脱する! 上げ舵15!」
「さらに第二波接近!」
「減速20!」
ミサイルの進路を読み取ったタリアが命じる。
第二波のミサイルはミネルバ前方に命中し、今度は正面から吹き飛ばされた岩の弾幕を食らう。
岩の破片は凶器となって襲い掛かり、目の前に巨大な岩塊が突き刺さった。
タリアが減速を命じていなければ、今頃船体はあの岩に押し潰されていたかもしれない。
だがその代償として、ミネルバは完全に進路を塞がれてしまった。
「四番、六番スラスター破損! 艦長、これでは身動きが……っ!」
アーサーの言葉に、タリアは小さく呻いた。
先ほどの岩の弾丸でスラスターが潰されたのだ。
前へは進めず、右には岩壁、後ろからは敵艦が迫り、スラスターが使えないから回頭も左方向への移動も出来ない。
「ボギーワンは!?」
「ブルー22デルタ、距離1100!」
そこに、メイリンの言葉が飛び込んだ。
「さらにMA、MS接近!」
その内容に、一同は暗然たる表情になる。
間違いなく自分達に止めを刺す為に来たのだろう。
緊張した表情で自分を見るカガリに、アスランは唇を噛んだ。
自分はカガリの護衛としてやって来たのに、その彼女が危険にさらされている今この時も、ただ座っている事しか出来ない……っ!
一瞬の静寂の後、タリアは艦内通話の受話器を取った。
「エイブス、レイを出して!」
<しかし艦長! これでは発進通路も確保出来やしませんが……>
「歩いてでも何でもいいから! 急いで!」
怒鳴るようにして通話を切ると、メイリンに鋭い声を掛ける。
「シン達はっ!?」
「駄目ですっ! 全機、依然としてガイア、カオス、アビスと交戦中です!」
その会話を聞きながら、アスランは援護は期待出来ないだろうと思っていた。
あの三機を相手にしている以上、墜とされないように戦い続けるだけでも困難なはずだ。
それに向こうは、MSの足止めを頼まれているに違いない。
「……この艦には、もうMSは無いのか?」
今まで黙っていたデュランダルが問い掛けると、タリアは無造作にこちらを振り返った。
「……パイロットがいません」
その言葉に、アスランの心臓がビクリと跳ね上がった。
カガリが弾かれたようにアスランを見る。
―――パイロットなら、ここにいる……。
後ろめたいような気持ちに囚われ、アスランは周囲の目を避けるようにして俯いた。
その頃、カオスと戦闘を続けていたゲイルとルナマリアは、決定打を打てない事に苛立っていた。
機動力ならセカンドステージにも引けを取らないゲイル専用のゲイツRだったが、流石にMA形態のカオスには敵わない。
元々カオスは宇宙空間での運用を考えた機体であり、その装備もそれに準じたものだ。
それを最もよく表しているのが、さっきから縦横無尽に砲撃を続けている兵装ポッドだろう。
ルナマリアが砲撃を行えばMA形態の機動性を駆使してそれを避け、ゲイルが斬り掛かろうとすれば兵装ポッドで牽制して懐に入らせない。
「くそっ! 流石はセカンドステージって所か」
<ホント、厄介なものを造ってくれたわよね……!>
ゲイルの洩らした文句に応えながらルナマリアがオルトロスを放つが、その一撃は幾つかのデブリを粉砕しただけだ。
その間にカオスはMA形態のまま兵装ポッドをパージし、ファイヤーフライ誘導ミサイルを放つ。
ばら撒かれたミサイルはゲイツRへと迫り、その手前で一斉に爆発した。
「ちぃっ、煙幕のつもりか!?」
爆発に揺さぶられ、センサー類が一時的に麻痺する。
さらに正面モニターも煙に覆われ、完全にカオスを見失った。
「くそっ、どこに……」
舌打ちしながら周囲を見渡していたゲイルだったが、その煙の中から一機のMSが眼前に、それこそ目と鼻の先に現れた。
現れたのは特徴的なツインアイを持ったモスグリーンの機体―――カオスだ。
「しまっ……!?」
言い終える前にカオスが至近距離からゲイツRに銃弾を次々に撃ち込んでいく。
銃弾は装甲を削り、コックピットにアラートが響き渡る。
「―――このっ、舐めるなぁっ!」
そう叫ぶとゲイルはフットペダルを思いっきり踏み込んだ。
それに従って背部スラスターが火を噴き、機体が後方へと移動する。
カオスとある程度距離が離れると同時にレールガンを展開し、弾丸をカオスへと叩き付けた。
さらに、
<ゲイルッ!>
その声と共に、天頂方向から野太いビームがカオスのすぐ側へと突き刺さる。
たまらずカオスが離れた隙に、ゲイルは全速力でその場を離れてデブリの影に飛び込んだ。
そこに、ルナマリアの乗る赤いザクもやって来る。
<大丈夫っ!?>
「ああ、なんとか無事だ。……あれがシールドを失っていて助かったぜ。こりゃシンに感謝だな」
あの時カオスから放たれた銃弾は、頭部と胸部に搭載されたCIWSから放たれたものであり、その口径は12.5ミリと20ミリという比較的小さなも
のだ。
そしてゲイルの機体は格闘専用に装甲を厚くしてあった為、銃弾は装甲表面を削っただけに止まった。
これがシールドに装備されている76ミリ徹甲弾であれば、今頃機体は蜂の巣にされていたかもしれない。
その事に内心冷や汗を掻きながら機体各部の状態を確かめる。
「よし、異常は……っ!? くそっ、やられた!」
<どうしたの?>
「関節部をやられたらしいな、左肩が動かねぇ」
ゲイルの言う通り、放たれた銃弾の何発かが左肩関節に当たったらしく、指、手首、肘は動くのだが、肝心の肩が動かない。
これでは斬撃を放つ事はおろか、相手を殴る事も出来やしない。
<……どうする?>
「とりあえず逃げる。その為には相手の目を眩ませる何かがいるが……そうだ。ルナマリア、腰の物を寄こせ」
そう言って開いた左手にルナマリアが腰から外した筒状の物を載せると、ゲイルはそれを慎重に握った。
そしてタイミングを見計らってデブリから飛び出すと、こちらを見付けて近付いてくるカオスに向けてレールガンを放つ。
それをかわしてビームサーベルを掲げて飛び込んでくるカオスを見ると、ゲイルは機体の左腕を肩からパージした。
分離用の炸薬に引火し、小さな爆発と共に左腕が機体から離れ、カオスへと流れて行く。
その間にゲイルはレールガンを展開し、発射。
放たれた弾丸は狙い通り左腕に着弾し―――炸裂した。
巨大な爆発にカオスが飲み込まれたのを見て、ゲイル達はその場を離脱した。
<やったわね!>
「ああ。だが安心は出来ない、あれはVPS装甲を採用してるからな……。あくまでも目晦ましだよ」
ゲイルが左腕に握らせていた物、それは、ザクに装備されている『ZR20E 高性能炸裂弾』だ。
駆逐艦の装甲であれば破れるそれを、たかだかMS一機への目晦ましとして使う。
それだけ、PS装甲とそれを搭載したセカンドステージは脅威だという事だ。
「向こうもいつまでも黙ったままじゃない、さっさとこの場から離れるぞ!」
<了解っ!>
ルナマリアが応えると同時に両機はスラスターを全開にし、未だ爆発の余波が収まらない戦場を離脱した。
そこから離れた場所では、シンの駆るインパルスがアビスと砲撃戦を繰り広げていた。
ケルベロスを有し、一撃一撃の威力は大きいインパルス。
それに対し、威力こそインパルスに劣るものの、砲門の数は遥かに上回るアビス。
その勝負は、ややアビス優勢に傾いている。
インパルスがケルベロスを放てばそれをかわし、逆に動きの止まったインパルスに向けて広範囲のビームを撃ち出す。
なんとかデブリを盾にしのいではいるが、このまま砲撃戦を続けても勝負は付かない。
それにケルベロスは一撃の威力は大きいが、同時に消費するエネルギーも半端じゃない。
下手に撃ち続ければエネルギーは尽きるだろうし、レールガンやミサイルも弾数は無限ではないのだ。
「……だったらっ!」
シンはケルベロス底部のミサイルポッドを展開すると、一斉にファイヤーフライ誘導ミサイル数十発を放った。
だがそれはアビスではなく、その周囲に漂うデブリに着弾、爆発する。
機体を覆うようにして粉塵が舞い、モニターは何も映さなくなる。
つまり少し前に使った目隠しと同じようなものだが、今回は逃げるのではなく、
「―――っせぇええええっ!!」
逆にアビスへと向かって行った。
ビームシャベリンを振りかぶり、まだ煙に包まれているアビスへと切り掛かったが、その一撃はアビスの掲げたビームランスに阻まれた。
こういった槍のような得物は、刃で突くのが一般的に知られている攻撃方法だ。
だが、オーブにいた頃のシンに格闘技を教えた師はこう言っていた。
『この手の得物の一番の強みは、その持ち手の長さが可能とする間合いの自由性と、攻撃の幅の広さだ』、と。
「ふっ……!」
鍔迫り合いの状態から刃の反対側、石突と呼ばれる部分を振り上げ、アビスの脇を打ち据えた。
それでアビスが軽く後ろに流れた隙に、振り上げた反動を使い回転し、同時にスラスターも片方だけ吹かす。
遠心力とスラスターによる加速を使った薙ぎ払いは、ビーム刃が触れれば機体を切り裂き、柄の部分でも相当な衝撃を与える事が出来る。
だがその一撃はアビスのショルダーシールドで防がれ、同時にスラスターも使ったのか弾き飛ばす事も出来ない。
「ちぃっ!」
舌打ちして離れようとしたシンだったが、アビスはそれを許さない。
ビームシャベリンの柄部分を両手で握り、インパルスを正面に持って来たのだ。
(……一体何をする気だ? この距離じゃ撃てる武装なんて……っ!?)
アビスの行動に首を傾げたシンだったが、その武装を思い出して顔色を変えた。
すぐさまシャベリンから手を離し、スラスターを全開にしてその場を離れる。
直後、アビスの胸部から高出力のビームの奔流が放たれ、完全に避け切れなかった左足と、ケルベロス一基を半ばから持って行かれた。
「くそっ!」
悪態をつきながら慌しくコンソールを操作し、左のケルベロスをブラストシルエット本体から切り離す。
それとほぼ同時に逆流したエネルギーが底部ミサイルボッドに到達し、ケルベロスは一瞬で巨大な火球へと変化した。
その爆発の隙にデブリの中へと逃げ込みながら、シンは思わず冷や汗を掻いた。
シルエットで覆われているコアスプレンダーはPS装甲ではなく普通の装甲だ。
つまり、あと少し切り離すのが遅れてれば、爆発の余波でコックピットも一緒に爆発していたかもしれない。
とりあえず無事な事に安堵しながら機体各部を調べていたシンだったが、すぐに顔を顰めた。
「……くそっ、最悪だ……」
モニターに表示されたのは『ERROR』の文字。
緊急だったとはいえ正式な手順をすっ飛ばしてパージした影響か、残った一基のケルベロスにエネルギーが完全に行き届かない。
今の状態だと撃てても出力は普段の四割がいい所だろう。
「あ゛〜、帰ったらヴィーノやエイブスさんにどやされるな……」
ぼやきながら腰にマウントされたビームライフルを持ち、周囲を探る。
とりあえず、今は生きて帰る事が最優先だ。
帰って艦も皆も無事なら、その時は素直に怒られよう。
そう考えて溜息を一つ吐くと、シンは気付かれないようにゆっくりとデブリの中で移動を開始した。
ゲイル、ルナマリア、シンの三人が少しずつだがミネルバへと向かっていた頃、ショーンは未だにガイアを振り切れずにいた。
デブリを利用して距離を離し、時折牽制に砲撃を加えつつ逃げる。
そうして撃墜こそ免れてはいたが、何度か追いつかれ接近戦に持ち込まれていた。
結果、左アレスターは無くなり、胸部CIWSは残弾数が残り数十発、そして右肩部燃料式スラスターは中破して使用不可能。
そしてそれ以上に厳しいのが、ハンドレールガンのエネルギー残量だった。
外部エネルギーパックの使用により、機体からエネルギーを回さずに砲撃が可能なこの装備だが、欠点はある。
元々、このブラックホークは対戦艦を想定した強襲用MSとして開発された。
そしてこのハンドレールガンのような武装も、そのコンセプトに基づいている。
戦艦の装甲としてビーム対策用のラミネート装甲が普及した現在、MSが携帯するビームライフル程度では一撃でそれを破る事は難しい。
だがレールガンのような実弾兵器であれば、アンチビーム爆雷の影響も受けずに装甲を突き破る事が出来る。
そうして開発されたこのハンドレールガンは、フリーダムに装備されていた『MMI-M15 クスィフィアス・レールガン』と同等の破壊力
を持つ。
しかし、フリーダムのような核エンジンではなく、外部パックでそれだけの電磁加速を得る以上、当然エネルギー消費は激しくなる。
エネルギーに限りがあるゆえの発射可能数の少なさ、それが、このハンドレールガンの欠点だった。
「……まずいな。右レールガンは残り二発で撃ち止め、左は……もう限界か……。くそっ!」
悪態をつきながら、デブリの中で何か使えそうなものを探す。
MSや戦艦の残骸もあるだけに、当然ライフルの類も漂っている。
だが、その大半が壊れているか、エネルギーも残弾も無いものばかり。
無事なものもあったが、連合製MSのものであり、規格が合わないので使えない。
「ちっ、ろくなものがない……ん、あれは……?」
ショーンが見つけたのは、頭部とスラスターを切り取られたシグー。
だがコックピットは閉じられたままで、パイロットが脱出した様子もない。
「……エマージェンシーシステムが破損したのか。となると……パイロットは窒息死だな……」
自分の言葉に顔を顰めながら、ショーンはシグーが握っていた銃を掴んだ。
銃を取り、マガジンを抜き取って中に入っている弾の種類とその数を確認する。
「強化APVS弾……それにほぼ満タンで残ってるな……悪くない。墓荒しみたいで気は引けるが、悪いな……」
再びマガジンをセットすると、シグーとそのパイロットに対して黙祷をし、その場を離れた。
デブリの中に隠れると、右肩関節部を覆う装甲をパージする。
無茶な機動で右肩が捻じ切れるのを防ぐ為の追加装甲なのだが、右スラスターが使えないなら用はない。
追加装甲を排除した事で右腕が肩まで上がるようになったのを確認し、確保した突撃銃を腰にマウントしながらそっと周囲を窺う。
レーダーで見る限り、そろそろガイアを目視出来る距離になるはずだ。
「……いた、あれだな?」
ショーンの視線の先では、ガイアがこちら目掛けて急速に接近している。
「流石、セカンドステージのレーダーは優秀な事だ」
そう呟きながら、撃ち止めとなった左ハンドレールガンを取り外し、前方に放り投げる。
レールガンを視界に納めながらその場を離れ、ガイアが鬱陶しそうにレールガンを払った瞬間、それ目掛けて銃弾をばら撒いた。
「だが、今回ばかりはその優秀さが仇となったなっ!」
撃ち出された強化APVS弾はレールガンを穿ち、僅かに残っていたエネルギーが溢れ出して爆発を起こす。
機体には損傷がないだろうが、センサーの類は別だ。
優秀過ぎるが故に、至近距離で閃光を受ければ一瞬ではあるが光学式のメインカメラが焼き付く。
いくらヘルメットのフェイスカバーを下げていようが、あれだけの閃光は防げまい。
考えた通りの展開になった事に内心ほくそ笑みながら、スラスターを全開にして予め見つけておいたポイントに向かう。
すると、視界が回復したのかガイアも猛スピードでこちらを追いかけて来る。
その様子を見ながら、ショーンは微かにだが口元を歪めた。
そして急に立ち止まってガイアの方に向き直ると、突撃銃をガイアの右側に浮かぶデブリへと乱射する。
放たれた弾丸はデブリの奥へと消えて行き―――轟音と共にデブリを粉砕し、その爆発がガイアを飲み込んだ。
このデブリ帯は、宇宙に漂うありとあらゆる残骸が辿り着く墓場、そして、そこに辿り着くのは宇宙ゴミやMSだけではない。
大破した戦艦もまた、この墓場へとやって来るのだ。
そして、先ほどショーンが狙ったデブリは、大破したローラシア級の残骸。
正確には、その中で辛うじて被害を免れていた、多目的VLS用の450ミリ宇宙用ミサイルだ。
その爆発はほんの数機だが残っていたジンやそれ用の弾薬を巻き込み、大爆発を起こしたというわけだ。
デブリにある物を瞬時に把握し、その全てを武器とし、デブリ帯全体を狩猟場とする。
それこそが、ショーンをデブリ内戦闘のエキスパートとする最大の能力だ。
「……さて、今の内に逃げるかね。もう二度と会いたくないもんだな」
軽い口調で、されど背中にはびっしりと冷たい汗を滲ませながら、ショーンは機体をミネルバへと向けた。
機体各部のスラスターを吹かしてミネルバに戻ろうとしたその時、漆黒の宇宙に三色の閃光が迸った。
それよりも少し前、ミネルバから飛び立ったザクのコックピットで、レイは油断無く周囲を窺っていた。
「ミネルバにはギルが乗っているんだ、絶対にやらせるものか……っ!」
普段から冷静なレイにしては珍しく、口調は微かに荒くなりその表情も厳しい物となっている。
そんな自分に気が付いたのか二、三回頭を振ると、大きく息を吐きながらレーダーに視線を移す。
味方を示す光点は自分以外に五つ、ミネルバを除いても四つあり、即ち全員がまだ生きている証拠だ。
「……まあ、あいつらなら心配は要らないか」
そう呟いてからもう一度周囲を窺う。
出撃前に聞いた話では、敵はダガーL二機とMA一機。
MAと聞いて、アーモリーワン付近で戦ったあの赤紫色の機体を思い出す。
ダガーLであれば、高機動使用のブレイズパックを装備したザクなら二機相手でも戦えない事はない。
だが、問題はMAの方だ。
―――もしもアイツなら……!?
そこまで考えた時、不意に肌が粟立つような感覚を覚えて機体を急旋回させる。
直後、ついさっきまで彼の機体があった場所を、左右からビームが貫いた。
「ちいっ!」
舌打ちしながら機体を旋回させ、その周囲をうるさく飛び回る兵装ポッドをビーム突撃銃で狙う。
そのザクを掠めるように、レールガンを放ちながら接近していたMAが交錯した。
途端に重く圧し掛かってきた圧迫感に、レイは苛立ちを込めて吐き捨てる。
「何なんだ! コイツはっ!?」
それと時を同じくして、MA――エグザスのコックピットでも、ネオが小さな呟きを漏らしていた。
「何なんだい君は!? ―――白いボウズ君!」
だがレイとは対照的に、その口調には面白がるような響きが多分に含まれている。
ネオはガンバレル四基を全て展開し、四方向からザクを攻める。
だが、ザクは見切る事など不可能に近いビームを悉くかわし、逆に撃ち返したビームで一基のガンバレルを破壊した。
その様子を見ながら、ネオははっきりと確信した。
あの機体のパイロットは、こちらの攻撃を完全に見切っている、いや、殆ど未来予知に近い精度で予測しているのだ、と。
その時、一機のダガーLがネオをサポートしようとこちらに近付き、対艦バズーカとビームライフルを構える。
だが狙いを付けるよりも速く、ザクが無造作に振り向きながら放った一撃がコックピットを貫き、爆散した。
<ヨーン!>
一瞬で炎の中に消えた相棒の名を呼ぶもう一機のパイロットに、ネオは短く指示を飛ばす。
「下がれミラー! コイツは手強い、お前は敵艦を!」
その指示に従って反転したミラーを追おうとするザクを、ネオはガンバレルで牽制する。
「おぉぉっと、君の相手は私だよ!?」
ザクの行く手を巧みに阻んでいたが、ザクは散らばった岩塊の間に飛び込む。
ネオもそれを追って岩塊の中へと飛び込んだが、ビームを撃っても岩が邪魔して当たらない。
だが、それは相手も同じ事。
この状況では互いに手出しは出来まい。
そう考えてほくそ笑んだネオだったが、その予想はすぐに覆された。
ザクは背面のミサイルポッドから一斉にミサイルを放ち、正面の岩塊を吹き飛ばしたのだ。
その先には、ミネルバへと向かうダガーLの姿がある。
「しまった! 狙いはこれか!?」
自分の判断ミスを悟ったネオが慌てて機体を加速させたが、時既に遅し。
ザクから放たれたビームの矢は正確にダガーLの胴体を貫き、直後に機体は火球となって宇宙に消えた。
その光景を見ながら、ネオは不興気に鼻を鳴らす。
今までの攻防で、ザクのパイロットが高い空間認識能力を持っているだろう事は確信していた。
その能力を持ってすれば、離れた場所にいる敵機の位置を正確に捉える事など容易いというのに。
しかし、これで対艦攻撃装備を持つ機体は無くなった。
この状況であの新型艦を墜とすのは厳しいだろう。
ネオが微かな苛立ちを覚えた時―――。
岩塊に覆われていた敵艦が動いた、いや、爆発した―――?
「―――なにっ!?」
ガーティー・ルーは攻撃していない。
爆発の閃光に目を灼かれながらも飛来する岩塊を裂け、後退しながら何が起きたか確かめようとする彼の前に、淡いグレイの船体が飛び出して来た。
岩塊から飛び出してきたミネルバの艦橋では、アーサーが大きく息を吐いていた。
岩に面している右舷の全砲門から一斉に発射し、同時にスラスターを全開にする。
その反動を使って岩塊の中から脱出するという大博打は見事に成功し、なんとか無事に外に出る事が出来た。
無数の礫で船体が揺さぶられる中、アーサーは後部座席にいるアレックスと言う青年を見た。
この計画は彼が発案した物だ。
部外者である彼の案で助かったというのは癪ではあるが、感謝はしておくべきだろう。
そう考えて小さく目礼をすると、彼も小さく頷いた。
「回頭30! ボギーワンを討つ!」
よく通るタリアの声に正面モニターに目を移すと、青銅色の船体が見えた。
その姿を睨みながら、指示を飛ばす。
「タンホイザー起動! 照準、ボギーワン!」
艦首が開き、そこから陽電子砲が迫り出す。
敵艦との距離が800を切り、タリアが叫んだ。
「タンホイザー、てぇー!」
その声に応えて砲口から陽電子の奔流が放たれ、それは敵艦の右舷装甲表面を削り取り蒸発させた。
右舷装甲を蒸発させられたガーティ・ルーを見ながら、ネオはようやく敵艦のした事を理解した。
ほぼ零距離から岩塊を砲撃し、その反動と爆発のエネルギーを利用して失ったスラスターと同等の推進力を得る。
お世辞にもまともな戦術とは言えない、捨て身の戦法だ。
「ええいっ、あの状況からよもや生き返るとは……!」
腹立ち紛れに怒鳴りながら、機体を翻す。
もう一度、戦場での予測の立て方を見直すべきか。
そんな事を考えながら、まだ追い縋りながら放たれるザクのビームを避けつつ母艦を目指す。
「また会える日を楽しみにしているよ、白いボウズ君! そして、ザフトの諸君?」
一方的に別れを告げながら、退却を意味する信号弾を打ち上げた。
漆黒の宇宙を彩る三色の閃光に、ステラはうっとりとした表情をする。
「あー……」
殺気は消え、あれだけ追い掛けていた黒い機体の事もすっかり頭の中から抜け落ちた。
立ち止まったガイアの側には、いつの間にかアビスとカオスがいた。
<ちぇっ、一機も墜とせなかったぜ>
アウルの不満そうな声に続き、スティングの苦笑交じりの声が響く。
<仕方ない。ステラ、ネオが呼んでるぜ。『帰って来い』ってさ!>
「うん……」
彼女としても、この戦闘の結果は不満だった。
あの白い機体は墜とせず、赤い機体や緑色の機体、それに黒いのも結局は墜とせずに終わったのだから。
でも、次に会った時は墜とせるだろう。
今はもう帰る時間、ネオも待っている。
彼女達は遊び疲れた子供のように、喜び勇みながら母艦を目指した。
「ボギーワン、離脱します!」
どこかほっとした声でバートが告げ、後に続いてメイリンも報告する。
「インパルス、ザク・ルナマリア機、ゲイツR、ブラックホーク、パワー危険域です。内、ルナマリア機以外は中破」
「艦長。さっきの爆発で更に第二エンジンと左舷熱センサーが……」
次々と寄せられる報告は、全てがタリアに一つの事実を伝えていた。
即ち、これ以上の戦闘継続は不可能だと。
ミネルバは満身創痍だった。
撃沈こそ免れたが、ボギーワンを目の前にしながら、もう打つ手がない。
「グラディス艦長」
苛立つタリアに、デュランダルのいつもと変わらない涼やかな声が掛けられる。
「もういい。後は別の策を講じるよ」
それは、任務の失敗を意味する言葉。
タリアは悔しさに唇を噛んだ。
最新鋭の艦と最新鋭のMSを与えられておきながら、艦長としての最初の任務を失敗したのだ。
そんな彼女を宥めるように、デュランダルは言葉を重ねる。
「私もアスハ代表を、これ以上振り回す訳にもいかん」
そういう表現での心遣いが、余計に彼女の胸を刺す。
自国と友好国の国家元首を、撃沈の危険にさらしてしまった。
しかも、その危機を救ったのは自分ではなく部外者のアレックス―――アスラン・ザラの意見だった。
そんな自分の不甲斐無さが口惜しく、彼女は忸怩たる表情で頭を下げた。
「……申し訳ありません」
ほどなくして、彼女はデュランダルともう二人の客人に付き添い、艦橋を後にした。
「本当に申し訳ありませんでした、アスハ代表」
デュランダルの謝罪に対し、カガリは落ち着いた様子で言葉を返す。
「こちらの事などいい。ただ、このような結果に終わった事、私も残念に思う。―――早期の解決を、心よりお祈りする」
その言葉に心からの懸念がこもっているのを感じ、タリアはこの年若い元首を少しだけ見直した。
先ほどの戦闘中も取り乱したり余計な口を出したりはせず、じっと耐えていた。
やはり、ヤキン・ドゥーエの激戦を潜り抜けただけの事はある。
今の発言にしても、真に国を憂えるものだ。
勿論、彼女が憂えるのはこの事件が世界に投げ掛ける影響であり、それを被る自国の事だが。
「ありがとうございます」
デュランダルが恭しく礼を返し、タリアがそれに言葉を添える。
「本国ともようやく連絡が取れました。既にアーモリーワンへの救援、調査隊が出ているとの事ですので、内一隻をこちらに、皆様のお迎えとして回すよ
う要請してあります」
「……ありがとう」
疲れた顔で頷くと、カガリは士官室に入って行く。
続こうとするアスランを、デュランダルが引き留めるように口を開いた。
「しかし、先程は君のおかげで助かったよ。なぁ、艦長?」
「あ……はぁ……」
同意を求められたタリアは複雑な思いになる。
「流石だね、数多の戦いを潜り抜けて来た者の力は」
だがデュランダルは彼女の表情にも、賞賛された本人の捗々しくない顔色にも気付かぬように、朗らかな調子で褒め称えた。
藍色の髪をした少年は俯いたままそれを聞いていたが、不意にタリアに向き直る。
「いえ。差し出た事をして、申し訳ありませんでした」
礼儀正しく頭を下げるその姿に、タリアは思わず内心苦笑した。
確かに越権行為ではあったが、それが無ければ今頃自分達はデブリの仲間入りをしていたのだ。
だいたい、年少者がこうして頭を下げているのに、自分がいつまでもこだわり続けるのも大人気ない。
タリアは微笑みながら、まだ頭を下げているアスランに声を掛けた。
「貴方の判断は正しかったわ。ありがとう」
タリアの謝辞を受けると、アスランは戸惑ったように目を逸らす。
「では」
敬礼をしてから議長と共にその場を後にしながら、彼女は彼の悩み深そうな表情が印象に残った。
大胆な奇策と決断力を見せながら、若さゆえの脆弱さを僅かながら露呈した、『伝説のエース』と呼ばれる少年。
そんな彼のアンバランスさが、タリアはなんとなく気に入った。
「アスラン・ザラ? あの人が?」
レクリエーションルーム―――通称、レクルームに続く通路を歩きながら、シンが信じられないような顔で言う。
帰艦した彼やルナマリア達に、当直を終えたメイリンが艦橋で起こった事を告げたのだ。
確かに格納庫でルナマリアがそうかもしれない、的な事を言っていたが、まさか本当だとは。
驚愕するシン達をよそに、レイは眉一つ動かさない。
だが一応の興味は覚えているらしく、黙ってメイリンの話を聞いている。
「だってぇ、議長が言ったのよ、『アスラン・ザラ君?』って。それで、彼否定はしなかったし」
興奮した面持ちで言うメイリンを見ながら、シンはそっと隣にいるルナマリアを見た。
なんでこの姉妹はこうも性格が違うのだろうか。
そんな事を考えていたのだが、
「……なによ、その目は?」
「いえ、なんでもないですよ」
ルナマリアにじろりと睨まれ、白々しい言葉と共に目を逸らした。
そんなシンの様子に憮然とした顔だったが、シンの持っているボードに興味を持ったのか覗き見る。
「あれ? シン、それって何?」
「ああ、アビスから送信された文面だよ」
「アビスから!?」
まさか敵から送られた物とは思わず、素っ頓狂な声を上げる。
そんなルナマリアに、シンは苦笑した。
「アビスだって元はインパルスと同じセカンドステージだ。こうして通信が来ても可笑しくないさ」
「……まぁ、それもそうね。で、何が書いてあったの?」
納得したのかルナマリアがそう訊ねると、同じようにゲイルとショーン、それにメイリンもシンの手元を見る。
通信データをプリントした紙に書かれていたのは、一文のみ。
『The following kill, and are
absolute. 』
「次は殺すからな、絶対だ!」とでも訳すのだろう。
それを見て、全員が呆れたような顔になる。
「なんとまぁ……負けず嫌いなのか」
「まあな。……でも、出切れば二度と会いたくないよ」
ゲイルの言葉に苦笑しながらシンが言うと、それにショーンが同意する。
「俺もだ。向こうも接近戦を仕掛ける度に動きが鋭くなってた。……後一回近付かれてたら……正直危なかった」
それが意味するのは、戦いの中で機体に順応していたという事。
奪ったばかりの機体を短時間で使いこなすなど、コーディネイターでもそうそう出来る事ではない。
それを戦闘中にこなす者を相手にしたいなどと思う者はいないし、この場にいるパイロットもそう考えるほど思い上がってはいなかった。
少しだけ重くなった雰囲気を吹き飛ばすように、再びメイリンが件の青年について話を始める。
すると、やはり興味は尽きないのかルナマリアもそれに混じり、重くなっていた雰囲気はすぐに消えた。
「…………でもぉ、ホントに名前まで変えなきゃいけないものなの? だってあの人、以前は……」
「なに言ってんのよ、あんたは。いくら昔……」
ホーク姉妹の会話にシン達男組が苦笑しながらレクルームの入り口を潜り、そこでピタリと足を止めた。
急に立ち止まったシン達の肩越しに中を覗き見たメイリンだったが、すぐにシンの背後に隠れてしまう。
その理由は、レクルームのベンチに腰掛けている一人の人物だった。
藍色の髪をした、自分達より一つか二つ年上の青年が、通路から聞こえていた声に気付いて目を向けた所だった。
「へぇ……ちょうど貴方の話をしていた所でした。アスラン・ザラ」
挑戦的な笑みを浮かべつつ話し掛けるルナマリアに、内心溜息を吐きながらシンは改めて青年を見た。
オーブからの移住者であったシンは、意外かもしれないがザフトの英雄アスラン・ザラや、その婚約者であるプラントの歌姫ラクス・クラインの顔をよく
知らない。
写真や映像では見た事はあったが、少なくとも、実際に見るのはこれが初めてだ。
そんなシンからすれば、目の前にいる青年はとてもザフトの英雄と呼ばれるような人には見えなかった。
「まさかと言うか、やっぱりと言うか。―――伝説のエースに、こんな所でお会い出来るなんて、光栄です」
白々しく聞こえるくらいあっけらかんと言うルナマリアに、アスランは目を逸らした。
「……そんなものじゃない。アレックスだよ、俺は」
「だからもう、MSには乗らない?」
だが、そんな彼に対してルナマリアはあくまでも挑戦的だ。
そして今の言葉は流石に気に障ったのか、アスランが彼女をきつい目で見ると、後ろでメイリンが身を竦める。
一触即発、そんな言葉が相応しい空気に疲れたような溜息を一つ吐いて、シンが前に出た。
「……あの緑色のザクは、貴方が?」
「あ、ああ……そうだが」
突然の言葉に戸惑いながらも答えながら、アスランは話し掛けて来た少年を見て、息を呑んだ。
白灰色の髪と、赤い瞳。
間違いなく、あの時、格納庫で見た少年だ。
だが、あの時とは違い、少年の目はちゃんと感情を浮かべている。
「アーモリーワンでは助かりました。……ありがとうございました」
「……いや、偶々居合わせただけさ。礼を言われるような事じゃない」
「そうですか……。では、自分はこれで」
そう言って敬礼をすると、アスランも反射的に敬礼を返す。
それを見てシンが小さく笑ったのを見て、アスランは訝しげに目を細めた。
「何か、可笑しな事でも?」
「いえ……ただ、一般的なオーブの人間は、ザフト式の敬礼なんて知りません。やっぱり、貴方はアスラン・ザラですよ」
その言葉にアスランが虚を衝かれたような顔をしているのを見ながら、シンはその場を後にした。
一人部屋に戻ると、シンはベットに横になりながらサイドテーブルを見た。
その上には、ピンク色の携帯電話。
それを手に取り操作すると、一枚の写真が出てきた。
まだ髪の黒かった自分と、笑みを浮かべて自分に引っ付いている妹。
その声を思い出しながら、戦闘前に見た少女の顔が浮かぶ。
―――オーブの、アスハ……。
もう自分とは関係ないと思っていた。
もう割り切ったと思っていた。
それなのに……。
「……落ち着かない、な……」
それに誰が答えるでもなく、たった一言だけ出た言葉は、暗く静かな部屋の中に消えて行った。
あとがき
……二ヶ月ぶりにこんにちは、トシでございます。
遅筆。
(グサッ!)はうっ!?
しかも、シ
ルフェニアさんが一周年だって事にも、HP見るまで気付かなかったな?
(グサグサッ!)はうぅ!!
…………こ
の駄作家。
返す言葉もございません。……うぅ、申し訳ありませんでした(土下座)
まぁ、次回
は早く仕上げるように。
…………(遠い目)
(―――プ
チッ)……是、射殺す百頭。
(ヒュドドドドドドドドドッ!!!)ぎゃぁああああああっ!?
……やれやれ。それでは皆
様、今後もよろしく
お願い致します。