機動戦士ガンダムSEED DESTINY
もう一つの世界で
それは極めて近く、そして限りなく遠い世界での話…。
連合本部ヘブンズベース。そこでは今連合軍とザフト軍の激戦が続いていた。
その上空で二機の機動兵器の戦い。
一方は右手に黒刀、左手に盾を装着している。背中に二門の長大なビーム砲と大きいブースターが特徴の赤いガンダムタイプの機体。
機体の名称は『リベリオンセイバー』。
もう一方は右手に西洋大剣(ツヴァイハンダー)、左手には盾を装着している。背中に大型のブースター、その右側に装着している巨大なライフル、そして騎士
を思わせる外見の黒い機体。
機体の名称は『ナイトメア』。
「うあああ!!」
「………」
お互い刀と剣を構えて突っ込む。
すれ違う度に火花やエネルギー波が飛び散る。
そして、お互いぶつかり合い、つばぜり合いを起こす。
「おまえはここで…!」
「……」
お互いに均衡が崩れた所ですぐさま離れる。
離れて飛びす去る間にセイバーは黒刀を下から切り上げる。
そこから漆黒の斬撃波が飛び出す。
それをナイトメアはなんなくかわしたかと思うと姿が消える。
「!」
あまりにも速い加速だったため一瞬セイバーの反応が遅れる。
正面から剣を構えて突撃してきていたナイトメアの剣をセイバーはかろうじて防ぐ。
しかし体勢が不利なためじょじょに押されている。
「この程度で!」
セイバーは腰の右にある折り畳んであったビームソードを左手で掴む。
抜くと展開させてビーム刃を出す。
そして相手の腕目掛けて切り上げる。
それすんでの所で後退して避けるナイトメア。
再び両者の距離が開く。
「黒騎士!おまえはここで倒しておかなければ意味がない!ここで闇との連鎖を断ち切る!」
「上等だ。来いレオンハルト」
セイバーのパイロット『レオンハルト』が吠える。そしてそれに応えるナイトメアのパイロット『黒騎士』。
その言葉を合図に今度はセイバーの姿が消える。
だが、黒騎士には見えている。
(後ろ)
セイバーがナイトメアの後ろを捉える。
速い。だが、ナイトメアは剣を背中越しに向ける。
ガキィン!
ナイトメアはセイバーが右手の刀から繰り出した横薙ぎの斬撃をいともたやすく受け止める。
そして刀をいなすと、逆に剣を横薙ぎに振る。
剣を弾かれたセイバーだったが、すぐに間合いを取ったため剣がセイバーを捕らえる事はなかった。
「くそ…!」
レオンハルトは毒づく。
この状況では自分がやや押されている。
このままでは殺る前に殺られるだろう。
(あれを使うか…!)
レオンハルトはコックピットのあるスイッチを押す。
すると、目の前の画面に文字が現れる。
『ヴァイザーモードの発動を確認。これより、機体のリミッターを解除します』
文字が出た次の瞬間セイバーの様子が一変する。
セイバーの顔に異形な仮面が形成されていく。
そしてその仮面が形成し終わると、今度は黒刀とビームソードの様子が変わる。
黒刀からは赤黒いエネルギーが溢れ出し、ビームソードはビーム刃がかなり太くなっている。
「ほう」
その様子を見た黒騎士は感心したような声を出す。
レオンハルトのセイバーは要はリミッター解除をしたのだ。
その時、メインカメラを保護するために頭部に、ある液体状金属を出力させて、仮面を形成する。
「なら、こちらも本気で行こう」
セイバーの様子を見てとった黒騎士は呟くとある機体にある操作をする。
すると、ナイトメアの様子も変わる。
いや、機体の外見状の変化は認められない。
ただ、大剣からは物凄い量のエネルギーが放出され、威圧感も先ほどに比べると別格だ。
機体ごしからでもビリビリ来るのがレオンハルトにはわかる。
(なんて威圧感だ…!)
レオンハルトはナイトメアを見て一瞬驚愕する。
だが、それが命取りだった。
その驚いた一瞬の隙にナイトメアが目の前にきた。
「!」
ただ目を見開いているレオンハルト。
ドガァ!!
次の瞬間、ナイトメアに思いっきり蹴り飛ばされるセイバー。
蹴り飛ばされたセイバーは付近のぼろぼろの建物を壊しながら後方に飛ばされていく。
そこへさらに飛んでいる軌道の先に一瞬で回り込んだナイトメアがセイバーを空高く蹴り上げる。
機動兵器ではありえない程のパワーだ。
「くっそ!!」
なんとか蹴られた下の方向に体を向けるセイバー。
しかし、ナイトメアはすでに上方に回り込んでいる。
「遅い」
そしてナイトメアはセイバーを思いっきり地に叩き付ける。
白い煙が地面を覆う。
ナイトメアは背中にあった巨大なライフル『メガキャノン』をセイバーを落とした方向に向ける。
「死ね」
メガキャノンが火を噴く。
巨大なビームの奔流が地を呑み込む。
終わりかと思われた時、煙が晴れたその中から無傷のセイバーが姿を現す。
セイバーの周りにはどす黒いフィールドが覆っている。
「この程度でやれると思うなよ」
レオンハルトは黒騎士に向けて言う。
セイバーは黒いフィールドを解除したかと思うとまた消える。
後ろを取り、刀を振り下ろす。
「喰らえ」
刀から飛び出した赤黒い斬撃波がナイトメアを包み込む。
しかし、ナイトメアはそれを大剣で払う。
「そうこなくてはな」
セイバーの攻撃に楽しそうに呟く黒騎士。
セイバーはすかさずビームソードを振るうが、ナイトメアの盾に受け止められる。
それを弾いて間合いを取ったセイバーはすかさず肩の砲身を跳ね上げる。
アムフォルタスからビームが迸るがナイトメアは間一髪で避ける。
避けたナイトメアは下方からセイバーに再び突っ込んでくる。
ナイトメアは勢いのまま大剣を振り下ろす。
しかし、それを左手のビームソードでなんなく止めたセイバーは刀で下から切り払う。
さすがにこの攻撃はかわせなかったのか、ナイトメアはこの斬撃で左足を持って逝かれる。
しかし、ナイトメアはビームソードを弾いて間合いを取ると盾からヒートロッドを出す。
それに反応しきれなかったセイバーはビームソードに巻き付いたヒートロッドでビームソードを奪われる。
しかし、そんな事は気にした様子もなく再び両者は刀と剣を交える。
すると、不意に黒騎士が口を開く。
「おまえはこの世界をどう思う?」
「何?」
刃を交えながらレオンハルトは反射的に答える。
「私は一度すべて作り直してしまった方がいいと思っているんだがね。無論、これは闇の全体の意志としてでもあるが」
「何!?」
「この世界は至極簡単な理由で戦争をする、あれが憎い、許せない、そして誰かを守るために戦うと言ってな」
「…………」
「そして自らを滅ぼし合っていく。ならばそれを早めて世界を我らの色に染めてしまおうと思うんだがね。そう、世界をあるべき姿に」
「そんな物がこの世界のあるべき姿のはずがあるか!」
レオンハルトは叫ぶと剣を弾いて間合いを取る。
「それが人の本質だよ。貴様もそうだろう?誰かを憎い、殺したいと思った事が。そして、その結果がこれだ。結局はデュランダルもジブリールも本質では言う
ほど変わらん」
「黙れ!確かに人は誰しもそう思った事があるかもしれない。けど、人はそれだけじゃないはずだ!」
「はっ!どうしてそう言い切れる!?この憎しみと引き金を引く指しか持たぬ者達の世界で!」
ナイトメアの剣がセイバーの左肩の装甲を貫く。
「っ……そんなおまえの理屈…!」
セイバーは刀を切り上げてナイトメアの左腕を切り落とす。
「ああ、そうだよ。だから戻すのさ、世界をあるべき正しき姿に!」
黒騎士の発言にレオンハルトは猛烈な反発をおぼえた。
確かに人は欲望、独善、無関心、それらが戦いを生み、人はさらに戦い続ける。
結局自分も黒騎士達を倒すために剣を取っている。
だが、あるべき正しき姿とは何だ?
少なくとも黒騎士の言っている事は違う、認められない。
認めてしまえば、あいつに付け入る隙を与える。それだけだ。
なら、自分がするべき事は一つ。
「けど、違う!人はそんな物も乗り越えていける!俺はそう信じてる。だから、俺はこの世界を守りたいんだ!!」
そして、セイバーの黒刀から赤黒いエネルギーが溢れ出す。
ナイトメアの大剣からも銀色のエネルギーが溢れ出している。
「なら、問答は無意味だな」
「ああ、これで…!」
「「終わりだ(!)」」
両者ともこの一撃にすべてを注ぎ込むつもりだった。
刹那、二機の姿がかき消える。
空中で黒と銀が交わり、エネルギーが爆風を巻き起こした。
爆風が晴れるとセイバーとナイトメアが立っている。
しかし、ナイトメアは胴体から下がない。
そう、戦いを制したのはレオンハルトだった。
「ふっ、私の負けか…」
黒騎士が一人呟く。
「レオンハルト、ここで勝った褒美にいいことを教えてやる」
それで振り向くセイバー。
「この戦いと世界の行く様をよく見ておけ。デュランダルがこの後どう動くかもな…。そして、すべてに決着が着いたらこの場所へ行くがいい」
その言葉と同時にセイバーにデータが送られてくる。
「我らがいるのはこの世界だけではない…。我らを止めたいのならそこから次の場所へ行くがいい」
「どういう意味だ」
黒騎士の言う意味がわからず問いかけるレオンハルト。
「ふっ、いずれわかる…」
その言葉を最後にナイトメアは爆発した。
謎の言葉とデータを残したまま。
これは極めて近く限りなく遠い世界であった表に出る事のない話。
ザフトに所属する少年パイロット、レオンハルトの未来を決める物語。
この後、レオンハルトは動き出す…。
自らその指し示された道に向かって。
あとがき
ども、ウォッカーです。
即興で書き上げた三周年記念作品、いかがだったでしょうか?
これを書いてて思ったのはやっぱり機動兵器の戦闘でセリフを考えるのは難しいです。
なんせ、オリジナルなもんですからね。
ちなみに今回のストーリーはSEED DESTINYの別世界オリジナルストーリーとして書きました。
ナイトメアはトールギスVを元にして書いています。
今回の話ではザフトのパイロット、レオンハルトと地球軍だが、闇の軍勢と名乗る黒騎士との対決を書きました。
短編なのでストーリー性はあまりないんですがね。
僕はセイバーが大好きです。
もうアニメやってた頃はドツボにはまってました。
で、セイバーをもっと活躍させたいな〜と思った結果がこの作品です。
誤字とかはないようにしていますが気にしないでください。
後、セリフについてはノーコメントでよろしく。矛盾してるかもわかんないので。
大半は趣味で書いているのでかなりつまんない作品かもしれませんがよろしくお願いします。
では今回はこの辺で。さいなら。
今回の短編設定
レオンハルト
ザフトのエースパイロット。しかもフェイス。年齢は17歳。搭乗機はリベリオンセイバー。
地球軍にいる謎の闇のパイロット、黒騎士を追いかけていてヘブンズベースで決闘する。
黒騎士
地球軍のエースパイロット。ファントムペインの所属である。搭乗機はナイトメア。
実はこの人は人間ではない。しゃべるが…。存在自体が闇だとか。
リベリオンセイバー
形式番号:ZGMF-X23S-SP01
装甲:VPS装甲
武装:20ミリCLWS
アムフォルタスプラズマ収束ビーム砲
スーパーフォルティスビーム砲
76ミリ機関砲
ヴァジュラビームサーベル×2
ビームライフルー『ハーディス』
空力防盾(ビームシールド付き)
アロンダイトビームソード
黒刀ー『崩月』
バラエーナ改
ヒートロッド
リジェクトフィールド(基本的にどんな攻撃も防ぐが、パイロットに多大な負担をかけるため、長時間使用は不可)
ナイトメア
形式番号:不明
装甲:TP装甲
武装:バルカン×2
ビームサーベル×2
ヒートロッド
メガキャノン
大剣(ツヴァイハンダー)
ビームシールド
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