スーパーロボット大戦
        INNOCENCE



















第二話  目的地は火星


ネルガル重工本社

???「さて、いよいよスタートか。なんとか間に合いそうで良かったじゃないの」

???「時期的には少々微妙ですわ。例の件ですが、大西洋連邦はいつ動いてもおかしくない状態です。もちろん、あくまで連合としての行為にみせてくるで しょうけど」

女性と思われる人が男性の言葉に客観的な意見を述べる。

???「やっかいな連中だよ。『青き清浄なる世界のために』ってさ、要は無能な人間が妬んでいるだけじゃない。旧世紀の馬鹿げた差別思想よりもくだらない ね」

男性の人は肩をすくめながら言う。
どうやら地球の状勢について話しているようだ。
しかも、かなり裏の部分の。

???「ですが影響力は無視できません。末端はともかく、各国の議会や軍上層部、経済界のトップの中にもおりますし、今回のプラントに対する強行策は…」

女性は話を続けようとするが、男性に止められる。

???「ストップ。それは今僕らが考える事じゃない。第一次火星会戦から半年余り。そろそろスキャパレリプロジェクトを進めないとね。とりあえず自由に動 ける今の内に、火星の調査をする事が一番大事だよ。なんとか始まる前に送り出せるんじゃないかな。後からでは遅いからね」

???「ですが木星蜥蜴の襲撃は予想外でした。テスラ研のプリベンターチームのおかげであの艦のポテンシャルは明らかになりませんでしたけど。ただし、連 邦の横槍が入るのは確実かと思われますが」

???「まあ戦力は多いに越した事はないからね。彼らもあれだけの戦闘能力を誇っている事だし。でもあの艦の彼らもだけど、自力でなんとかしてくれるさ。 人格に問題はあっても最優秀な人材だそうだからねぇ。それにプリベンターの彼らはその中でも別格と言っていい。そのためにテスラ研に無理言って協力を取り 付けたんだ。ま、しばらくは成り行きを見るとしようじゃないか」







地球連合軍パナマ基地 某所

「この非常時に民間用戦艦とは。ネルガルめ、ふざけるにもほどがある。それを言うならテスラ研もだが」

愚痴をこぼしたのは連合軍の総司令官である。

「ミスマル提督、確かあのナデシコとやらの艦長は提督の娘さんでしたな」

「何がおっしゃりたいのですか」

ミスマル・コウイチロウは司令官から目をそらさずに真っ向から見ている。

「あれは我が連合軍の戦力とすべきだ。あの艦の能力は情報によると、かなりの物らしい。木星蜥蜴にもプラントにも使いでがある。これはすでに統合作戦本部 の決定だ。提督にはすぐにでもナデシコ拿捕のために月に向かってもらいたい。期待しておりますぞ」

「……」

そしてミスマル提督にナデシコ拿捕が命ぜられた。









ナデシコブリッジ

エン達はプロスペクターに呼び出され、ブリッジに来ていた。
何でも重大発表をするらしい。

(たぶん火星に行く事についてだろうな)

出発前にノーマン博士から聞かされていたのでエンにはそれだとすぐにわかった。

「ホシノさん、艦内放送をオンにしてください」

重大発表をする前にルリに頼むプロス。

「どうぞ」

準備ができたルリに促されて話し出すプロス。

「え〜みなさん、今まで軍の追求をかわすため、一部の方意外にはナデシコの目的を明かしていませんでした。ネルガルが独自に戦艦を建造及び運用するのには 理由があります。以後当艦はスキャパレリプロジェクトの一環をにない、軍とは別行動を取ります。我々の目的地は火星です」

それを聞いて騒ぎ出すクルー。

「火星ですって?またすごい事考えるものねぇ」

ミナトが感心したように言う。

「ユリカ、知ってたのかい!?」

「もっちろん!ユリカは艦長さんだよ、えっへん!」

驚いた口調のジュンに胸を張りながら答えるユリカ。

「では現在地球が抱えている問題は無視するというのですか!?」

ジュンの言葉に答えてトウゴが説明する。

「連合軍は多くの人々が火星に植民していたというのに見捨てて地球圏のみの防衛を選択した。どこの国家も火星については沈黙したままだ。火星の人達はどう なったのか…、それを確かめるだ。別に見捨てると言ってる訳じゃない。大体地球圏だけならまだ連合だけでも持つはずだ」

「どうせ全滅でしょ」

ルリが冷たく言い放つ。
だが、トウゴは別段気にしていない。

「それはわからないが、確かめる意味はある。違うか?プロスさん」

「ええ、その通りです」

プロスの言いたかった事をすべて言ったトウゴに驚きながらも同意するプロス。

「じゃあ、もしかしてみなさんそのために?」

メグミがエンの方を向いて聞く。

「ま、そういう事だ。俺達の機体は元々異星からの侵略に対抗するために作られたわけだしな」

笑顔でエンはメグミに答える。
ただ、エン達の本当の目的は別にある。
それを明かさないように当たり障りのない返事で済ませておこうという訳だ。

(異星からの侵略って言っても木星蜥蜴だけじゃねぇだろうけどな)

「火星の人々を救うため、単身過酷な戦いの赴く仲間達!くぅっ、これが熱血だ!」

「…バカ」

ダイゴウジ・ガイ、本名ヤマダ・ジロウの一人盛り上がりを見て冷たく言い放つルリ。
ガイはナデシコのパイロットの一人である。
こういう暑苦しいのが少々問題だが。

「とにかく、ナデシコは本日月を発進し、そのまま火星へと向かいます」

「では艦長、発進の準備に取りかかってくれ」

プロスの言葉を聞いてフクベは艦長のユリカに発進準備を促す。
そして各自持ち場に戻って準備を始めた。









それからしばらくして準備が整い、発進しようとするが…。

「艦長」

ルリがユリカに呼びかける。
しかし、艦長のユリカは艦内放送中で全く聞いていない。

「艦長艦長」

今度は大きな声で呼ぶルリ。

「はい?」

それでようやく反応するユリカ。

「ネルガルのドックは連合艦隊に包囲されつつあります。進路確保できません」

「あらら、手の早い事で」

エンは軽く言う。
ほかのパイロット達はみんな食堂にいるのだが、エンは部隊長なのでこちらに来ていた。

「へ?なんで?」

「艦長、連合からの通信です。回線開きます」

メグミが言うと、スクリーンに相手の顔が出る。
出たのはミスマル・コウイチロウ。

「こちらは連合宇宙軍第三艦隊提督、ミスマルである。おお、ユリカ元気だったかい?」

偉い人物だが、親バカらしい。

「お父様、これはどういう事ですか?」

「いやね、ナデシコは連合の管理下に置く事が決まってな。これも任務なのだ。許しておくれ、パパもつらいんだよ」

「提督、お気持ちはわかりますが、軍との話はついているはずですが」

プロスが話に割って入って交渉に立つ。

「我々連合軍は確実に木星蜥蜴と戦える兵器、プラントの独断的な行動を抑制できる兵器を必要としているのだ」

「正確には俺達のも、だろ?」

コウイチロウの言葉に付け加えするエン。
それを聞いてコウイチロウの目線がエンに向く。

「エン君か、久しぶりだね」

「お久しぶりです、提督。話に割って入って悪いですが、連合が本当にほしいのは俺達の機体でしょう?ナデシコのスペックはまだわかってない部分が多い。そ れでも強行手段を選んだのは俺達が目当てだからだ。違いますか?」

それを聞いて黙るコウイチロウ。
エンがコウイチロウと面識があるのは所長であるノーマン博士の代理でテスラ研の代表として何度か会っているからだ。
理由は博士は研究で忙しいので時々エンが代理を務める事があるからだ。
単に博士が面倒くさがりだからという事もあるが。
そして構わずにエンは話を続ける。

「当然ですね。俺達の機体能力は地球圏の中でもトップですから。以前からも俺達を取り込もうと色々ありましたしね。だけど、俺達は国連の所属でしかもプリ ベン ター。それにテスラ研の管理者達が地球圏でもトップの人間のため手が出せない。あわよくばこの機会にナデシコと一緒に俺達とテスラ研を手に入れようという 考えなんじゃないんですか?」

「…とにかく、ナデシコは即刻明け渡してもらいたい。抵抗は無用に願う。ユリカ、おとなしくパパの言うことを聞いておくれ」

下手に反論するのを避けたのかユリカに向き直り通告、というか頼むコウイチロウ。

「ユリカ、提督が正しいよ。これだけの戦艦をむざむざ火星になんて」

この中で唯一同意を示すジュン。

「俺達は軍人じゃねぇから従う必要ねぇと思うけど」

しれっとエンが言う。
艦長の判断で行く末が決まる状況になっていた。





ナデシコ食堂

「だってさ」

今の話は艦内に放送されていたためパイロットのみんなは状況を食堂から眺めていた。
ユーリアが興味なさそうに言う。

「どうも雲行きが怪しいですね」

「なんとなく予想はついたが」

リンの言葉にやれやれといった表情で言うトウゴ。

「とにかく、艦長次第ってことでしょ」

「まあ、そういうことだ」

そう喋りながらみんなそれぞれブリッジの様子を見続けた。






ナデシコブリッジ

「さ、ユリカ。大人しく艦を渡しておくれ」

「ミナトさん、エンジン出力上げてください。ルリちゃん、ナデシコ発進します」

「ユ、ユリカ?」

ユリカの思わぬ行動に驚くコウイチロウ。

「発進と同時にディストーションフィールド展開。ちょっとくらいぶつけちゃっても構いません。連合艦隊を強行突破します!」

「ひゅー、艦長過激ぃ〜」

おもしろそうに笑顔で言うエン。
こういう展開がおもしろくてたまらないといった表情をしている。

「エンジン、いいわよ」

「ナデシコ、発進。連合艦隊を強行突破」

ミナトとルリが報告する。
すると、ルリの口元がわずかにつり上がる。

「あれ、今ルリちゃん笑った?」

「別に」

目ざとく見つけたメグミの言葉にしれっと反応するルリ。

「ユリカ、待ちなさい、ユリカ!」

ユリカと艦内の様子で本当に強行突破する事がわかったのだろう。
慌てた様子で止めようとするコウイチロウ。

「艦長たる者、いかなる時も艦を捨てたりするな。そう教えてくださったのは、お父様です」

「ドック出ます、ディストーションフィールド展開」

「総員対ショック体制!全速前進、いっちゃってください!」








ナデシコ食堂

「いい判断だ」

「どこがですか。無茶もいいところです」

トウゴの言葉に反論するリン。

「フッ、熱いぜ」

「ミスマル提督の艦隊は振り切れそうね、でも月軌道の艦隊に捕捉されるのは間違いないね」

ユーリアが状況を判断して言う。

「今の内にみんなはパイロットスーツに着替えておけよ。すぐにでも乗り込めるように」

トウゴの言葉に全員が頷くとみんな食堂を出ていった。








ナデシコブリッジ

「包囲突破しましたけど、別の艦隊が接近中。まもなく接触します」

「交戦は避けられないようだな」

ルリの報告にフクベは交戦が避けられない事を悟る。

「みたいですね。俺も出ます」

エンはそう言ってブリッジを出て格納庫に向かった。

「総員戦闘配置。パイロットのみなさん、出撃用意してください」

ユリカはすぐに戦闘配置に入るよう指示を出す。










「接近中の連合艦隊から機動兵器の離艦を確認、きます」

ルリの報告と同時にメビウス五機、デルフィニウム一個小隊、トーラス五機をレーダーが捕らえる。

「パイロットのみなさんは発進してください」

ユリカの指示で各機の発進準備に入る。

「よっしゃあ、いくぜぇ!」

「エステバリスはナデシコの重力波ビームの供給圏から出るなよ。動かなくなるぞ」

「了解」

アキトはウリバタケの指示に頷く。
ガイは全く聞いてないが。

「気合い入ってるねぇ」

「おまえはもうちょっと気合いを入れろ」

「はいはい」

トウゴの指摘をエンは軽く流す。
緊張感のカケラもない。
ガイとアキトが発進したのを見て発進位置に着くエン。

「ソウルゲイン、発進どうぞ」

「了解だ。ソウルゲイン出る!」

発進すると、視界が一気に広がる。
エンは発進して艦の前方付近で止まる。
続いてトウゴ達も発進してくる。
どうやら全機発進したようだ。
エンは味方全機に通信を入れる。

「アキトとガイ、ユーリアはナデシコを援護。俺とトウゴとリンは前に出て突破口を開く」

「おいおい、ずるいぞおまえらだけ!」

ガイがエンの指示に反論する。

「そう言うな、おめぇはナデシコのエネルギー供給圏からは出られねぇ。なら艦の護衛がベストだ。それに突破戦だ、おめぇにも見せ場はある」

「ならいい。俺にまかせとけ!!」

「まかせる」

エンはガイをうまく乗らせるとトウゴとリンと一緒に敵隊に向かった。








「中心にいるトーラスとデルフィニウムを優先して破壊する。俺とトウゴが前に出るからリンはやや遅れて前に出た俺達を後ろから狙う敵を攻撃してくれ」

「了解」

「それじゃ、行くぞ!」

ソウルゲインとセイヴァーはさらにスピードを上げる。
二機は中央以外の敵は無視して突撃。
敵が慌てて迎撃に入ろうとするが、遅い。

「うおりゃあ!」

エンは先手必勝でトーラスに思い切りパンチを喰らわせる。
装甲の薄いトーラスは簡単に砕け散る。
セイヴァーもデルフィニウムの懐に飛び込んで右手のソードで腰を両断する
さらに反転しながらもう一機に一閃。
デルフィニウムを撃破。
前に出過ぎた二機をほかの敵機が後ろから攻撃しようとするが、あえて遅れてきたアクスに逆に後ろを取られて次々と撃破される。
ナデシコの方にはメビウスとデルフィニウムが何機か向かったが、アンジュルグとエステに撃破されていく。

「どうだ、このダイゴウジ・ガイ様の力は!ガハハハハ!!」

思いっきりエステで威張ってるガイだが、攻撃されないのはユーリアとアキトのおかげだろう。
二分足らずでほとんど敵機はいなくなったが、ルリから通信で報告が入る。

「艦長、活動休止状態にあったチューリップに活性化反応。こちらに接近してます。迎撃に向かった連合艦クロッカス消失。機動兵器も出現しています。30秒 後に接触」

ユリカは特に慌てた様子もなくルリに指示を出す。

「まとめてやっちゃいましょう。パイロットのみなさんに教えてあげてください」

「わかりました」

そう言って各パイロットにルリとメグミが報告する。
その間に残り一機になっていたトーラスにエンがトドメの一撃。

「ラストッ!」

懐に飛び込んでのアッパーでトドメをさす。

「連合機沈黙。増援なし」

「さあ、後は木星蜥蜴さんたちですね!さっさと片づけて火星へ向かいましょう!」

「敵機動兵器来る」

ルリが言った途端にバッタと敵艦『カトンボ』を二艦認識。
視界でも見える程に接近してきている。

「今度は木星蜥蜴かい」

少々うんざりした口調で言うエン。
すると、今度はレーダーが別の機体を捕らえる。
だが、これは味方の識別信号。

「友軍機接近。ネルガルの機体みたいです、数3」

「間に合ってくれましたか」

ルリの報告にほっとした様子のプロス。
別方向からエステ三機が来る。
すると、エステ三機から通信が全機に入る。

「やっほ〜」

「なんだよ、いきなり盛大にやってやがるじゃねえか。おい、おまえら聞こえるか。手伝いに来たぜ」

「あれは…」

「エステバリス…。味方か」

トウゴはエステを見ながら味方と判断する。

「私達は猿の軍団。…援軍。ククク、アーッハハハハッ」

「偉く寒いギャグだな」

苦笑いしながら言うエン。
空調でコックピットは寒くないはずなのだが、何故か寒い。

「おいイズミ、くだらねぇこと言ってんじゃねえ!とにかく、何でもいい!いくぜ!」

「またバカばっか?」

一連のやりとりを聞いて呟くルリ。

「まあノリは合格だな」

またも苦笑いしながら言うエンだった。
トウゴは一連のやりとりを無視して状況把握に努めていた。

(それほど数は多くない。問題は戦艦か)

「で、どうする。エン」

エンに通信を入れて指示を求めるトウゴ。

「そうだな、バッタはあいつらに任せて俺達は敵艦をやろう。俺達ならカトンボを破壊するのは容易い」

「わかった」

ソウルゲインとセイヴァーはバッタをほかの奴らにまかせて敵艦に突撃する。
もちろん進路上の敵は排除しながらだ。
二機はスピードを落とさずに敵艦に迫る。
もちろん近づけさせまいと敵艦がこちらに向けて砲撃してくる。
セイヴァーはそれを軽々と避け、シールドで受け流し、敵艦に接近する。
ソウルゲインはさすがに大きいため全てをかわすことは難しいが、いくら戦艦といえどカトンボ程度の攻撃では特機の装甲には傷もつかない。
ソウルゲインは敵艦の真横に出ると腕を前に掲げる。

「玄武剛弾!撃ち抜けいっ!!」

ソウルゲインの両腕が高速で回転し、カトンボに向けて射出される。
ソウルゲインの玄武剛弾はカトンボの横腹に風穴を二つ空ける。
敵艦は一瞬後爆発し、爆発から抜け出た両腕が返ってくる。
それをがっちりはめて構えを解くソウルゲイン。
時を同じくしてトウゴのセイヴァーももう一隻のカトンボの真上に躍り出る。
右手のソードを展開し、まっすぐに振り下ろす。

「はああああっ!!」

セイヴァーのソードが敵艦の装甲を易々と切り刻む。
敵艦を真っ二つにしたセイヴァーが離脱した直後、爆発するカトンボ。
瞬く間にソウルゲインとセイヴァーによって敵艦は破壊された。
そして残ったバッタの掃討にもそれほど時間はかからなかった。

「へっ、この程度の奴らにやられるかよ!」

リョーコの余裕ぶった言葉通り、出現したバッタ達は五分と経たずに全滅した。
敵がすべていなくなったかどうか確認するルリ。

「敵残存兵器なし。連合に追撃の様子もないです」

「みなさんを回収後、そのまま進路を火星に向けてください」

ユリカの指示を受けて、全機ナデシコに帰投した。














ナデシコ格納庫

ソウルゲインを降りたエンは何やら格納庫が騒がしいのに気付いた。
近くに行ってみると、新しく来たエステのパイロットが何やら喋っている。

「ったく、急がせやがって。ろくな準備もできなかったじゃねえか。おう、まずフロ、それからメシな」

というか愚痴のような気がする。

「いきなり失礼な奴だな、名前くらい言えよ」

トウゴがリョーコの態度を見て咎める。

「人に聞く時はまずてめえからだろ」

「別に聞いてない。おまえの行動があまりにも無礼だったから言っただけだ」

平然と返すトウゴ。
リョーコは眉を顰めるが、自分の方に非があると思ったのか自己紹介を始める。

「あたしはスバル・リョーコ、エステバリスのパイロットだ。てめえは?」

「トウゴ・ヒョウガだ。セイヴァーのパイロット」

「ふーん、あの青い剣戟機か。で、フロどこ?」

そこにもう二人のエステのパイロットも自己紹介をしてくれる。

「はいはーい、わたしパイロットのアマノ・ヒカル。18歳でーす。好きな物はピザの端の固い所と、ちょっとしけったおせんべいでーす。よろしくお願いし まーす」

「アハハハ、あ〜空気がおいしい」

(一体どこに入ってたんだ?)

(ツールボックスの中です)

(あー、なるほど)

エンは今のイズミの言葉が気になってリンに聞くとどうやらツールボックスに入ってたらしい。
自己紹介の一部だとか。

「あ〜こいつはマキ・イズミ。見たとおりの変な奴。しかしおまえら本当にパイロットか?ガキもいるし」

「ガキとか言うな」

不満そうに言い返すトウゴ。
そこにアキトが話に入る。

「俺はホントはコックなんだ」

「やっぱりな。ま、いいや。とりあえず誰かフロに案内してくれよ」

そう言ってリョーコ達は格納庫を出ていった。

「なんかとんでもねぇ面子だな〜」

「人の事は言えねえだろ、エン」

エンの呑気な言葉に鋭くつっこむトウゴ。

「でも実力は確かのようですね」

「そうでなきゃ困るでしょ」

先ほどの実力を見て少なくとも実力はあると判断するリンとユーリア。
それに火星に行くのだから性格がどうだろうと実力があればそれでいい。
実力もなければ目も当てられないだろう。

「とにかく、俺達もさっさと着替えて飯でも食うか」

エンがそう言うと、みんな頷いて格納庫を出ていった。













すでにエン達はネルガルとの契約の確認などは終了していたので、特にする事もなく食堂に来ていた。

「ナデシコを見て回ったんだけど、さすが民間用ね。お風呂とかすごく広かった」

「確かに銭湯みたいでしたね」

ユーリアが話しているのはどうやらナデシコの風呂の大きさの事らしい。
リンは別段興味なさそうだが、ちゃんと答えている。

「へぇ〜、そりゃすげぇな」

「覗くなよ」

感心したような声のエンにトウゴがすばやく指摘する。
エンは女好きだから、どうも女風呂を覗く傾向がある。
ただし、その分ボコボコにされているが。

「覗かねぇって」

(絶対覗く気だな、こいつ)

笑いながら言うエンにトウゴはエンが実行する事を確信した。
その時、整備班主任のウリバタケがやってきて、エンの隣に座る。

「おう、だらけてるな、おまえら。あ、火星丼大盛りで」

「はいよ」

注文を受けたホウメイは準備にかかる。

「仕事はもういいのか?」

ウリバタケの方を向いて尋ねるエン。

「いや、ちょっと休憩に来ただけだ。それよりおまえさんに整備の事で聞きたい事があるんだが」

「何だ?」

「おまえさんの機体の整備なんだが、コックピット回りの整備マニュアルねえか?あれだけ載ってないんだが」

「あ、そういえばあれだけ別だったな。後で渡しに行くよ」

どうやら忘れていたらしく、少々苦笑いしながら答えるエン。

「頼むぜ。おまえさんのコックピットは特に特殊だからな」

「おう」

笑顔で答えると机に向き直るエン。
すると、アキトがエンの頼んだラーメンを持ってくる。

「お待ちどうさま」

「お、うまそうだな。いただきます」

エンはそう言うとラーメンを食べ始めた。
そんなこんなで連合と木星蜥蜴との戦闘はあったものの、ナデシコは無事に火星へ航行中。
火星に着くまではこんな状態が続くだろう。
エン達は束の間の平和を楽しんでいる。











あとがき

ウォッカー(以降ウ):どうも、ウォッカーです。第二話『目的地は火星』をお送りしました。前回の予告通り今回からはキャストの皆さんと座談会をやってい きたいと思います。それではまずは自己紹介から。あとがき担当で僕のアシスタントのルリちゃんでーす!どうぞ〜!

ルリ(以降ル):どうも、ホシノ・ルリです。この作品の作者さんのアシスタントをします。よろしく。

ウ:では、記念すべき第一回のゲストは…この人です!

エン(以降エ):よっ!今作の主人公のエンだ!今回はみんなよろしくな!

ウ:え〜、では初めにシルフェニア2000万HIT達成!おめでとうございます!!黒い鳩さん、おめでとうございます!!

エ:お、確かにそれはめでてぇ事だな!

ル:地球は暑くてもみなさん見てるんですね。この作品はほとんど見られてませんけど。

ウ:(グサリ!)ま、まあともかくシルフェニアのサイトの勢いはすごいですね!この前1000万HITのイベントがあったばかりだと思うんだけど…。

ル:確かにすごい勢いですね。作品も新しい物が次々と出てきますし。あなたもがんばらないと枯れますよ。

ウ:何で僕が枯れるのさ。おかしいでしょ。

ル:勢いはすでに枯れてると思いますが。

ウ:ええ、どうせ勢いは枯れてますよ…。

ル:さて、拗ねている作者さんはほおっておいて、今回の話の内容に触れておきましょう。

エ:お、そうだな。危うく忘れるとこだった。

ウ:………。

ル:急に黙りましたね。では、私から聞きましょう。ナデシコの主人公はテンカワさんなのにどうしてヤマダさんの方がセリフ多いんですか!

エ:というかアキトのセリフ一つしかなかったな。

ウ:え、いやあのそれは…、作品を作る都合上でそうなったというか…なんというか…。

エ:要するにあんまり出番がなかったからだろ?

ウ:ギクっ!!

ル:そうなんですか?(ギロリ)

ウ:はい、そうです。すいません。

ル:一度アキトファンの読者のみなさんに詫びなさい!それとこれはついでです。

ウ:え、ちょっと待って(滝汗)。ルリちゃん何をドゴォォォン…す、 すい ませんでした…(バタリ)。

ル:とりあえずそこのバカ作者は成敗したので、読者の皆様は暖かい目で見てやってください。

エ:(怖え…)

ル:ではそろそろ時間なのでまた次回でお会いしましょう。エンさん、いいですか?

エ:いつでもいいぜ!じゃあみんな…

エ・ル:第三話でお会いしましょう!!





*あとがきのルリちゃんは活発だったりしちゃいますが、本編には影響ないので気にしないでくださいね!





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