コードギアス反逆のルルーシュR2
Double Rebellion
TURN-6 蒼の力
あれから数日後、ライはC.C.と共に学園にいるルルーシュと通信していた。
迷彩はかかっているため問題はない。
画面上のルルーシュはチェスの駒で机をコツコツと叩いている。
「新潟での物資受け取りはうまくいった。ただ、この総領事館に戻る方法がないんだが」
「そうだろうな」
報告を聞いてもルルーシュの態度は変わらない。
ライは先ほどルルーシュから聞いた事を再び話題に出した。
「まさか新しい総督がナナリーとはね…。驚いたよ。……それで君はどうするんだ?」
「どうとは?」
「取り返すのか、見過ごすのか、それともナナリーと戦うのか…」
そこでルルーシュがライの方を見た。
「戦う?ナナリーと?それは何の冗談だ?」
「可能性として言ったまでだ。でも放っておく気もないんだろ?」
「ああ。…このままではまたナナリーが政治の道具に……!」
「目も見えず、足も動かせず、継承権も低い皇女。駒として使い捨てるつもりかな?」
C.C.は平然とした顔でとんでもない事を言った。
と言ってもこれについてはライは想定済みだったので、特に何も言わなかった。
当然ルルーシュもそれに気づいていたのだろう、顔が激情に歪む。
「そうさせないために俺は行動を起こしたっ!そのための黒の騎士団だ!ナナリーのためのゼロなんだ!」
「それがおまえの生きる理由である事は知っている。しかし……」
C.C.が続きを言う前にルルーシュの声が遮った。
「俺はナナリーが幸せに過ごせる世界を創る。そのためにもブリタニアを破壊する!」
ルルーシュは言い放つと同時にチェスの駒を盤上に叩き付けた。
ライはそこで息を吐いた。
「という事はナナリーを取り返すという事でいいか?」
「ああ」
「僕としてはその作戦にはあまり賛成できないんだが、僕はゼロの部下で司令補佐だ。君の指示に従う。それに僕としてもナナリーの事は気にかかるから」
「先ほど送ったファイル。実働部隊、地下協力員の全員にコピーして目を通させておいてくれ、ライ。ナイトメア用のプログラムメモリは起動ディスクと連結す
れば開くようにしてある。作戦内容は先の通りだ。俺が直接指揮を取る。決行は明後日だ」
「了解」
「それとライ、おまえはC.C.と共にラクシャータと合流してくれ」
ライは目を細めた。
「もしかして新型を?」
「ああ。念のためだ。先ほど連絡もあったしな」
神楽耶から以前ライとルルーシュが作戦について話をしていた時、連絡があった。
調整、開発中の新型の中でライの新しい専用機とカレンの紅蓮の強化パーツ、フロートユニットである飛翔滑走翼が完成し、それをこちらに届けるとの事だっ
た。
「わかった」
「では頼む」
その言葉で互いに通信を終えた。
ライは総領事館を出る前に色々な意味で世話になった黎星刻に挨拶をしておく事にした。
「お世話になりました、星刻さん」
ライは星刻に一礼する。
「気をつけてな。もし、中華連邦に来る時があれば、是非天子様に会ってほしい」
「僕が、ですか?」
ライは首をわずかに傾げた。
何故そんな事を星刻が言ったのか見当がつかなかったからだ。
「ああ。できればあの方と良い友達になってほしい。君なら問題ないだろう」
そうやって笑顔で星刻は手を差し出してきた。
以前の事もあって星刻の事を少し警戒していたライであったが、これは彼の本音だとすぐに気づいた。
「ええ、その時が来れば」
ライは笑顔で握手に応じた。
先から警戒する気持ちが先行していたライだったが、改めて彼を見ると、彼も本来は優しい人なのかもしれない。
そう思えてきたライだった。
そして、ライとC.C.が去っていくのを見ていた星刻は呟く。
「彼となら天子様との永続調和の契りを……。いや、よそう。彼はゼロの部下で、あの黒の騎士団の双璧なのだ」
そして、星刻は総領事館へ戻って行った。
一寸先も見えない深海を、群青色の潜水艦が進んでいる。
凹凸のある体には腹ビレや尾びれのような物が付いており、一種の魚を思わせる。
一年前には黒の騎士団の母艦となっていた潜水艦は静かに、高速で日本へ向けて進んでいる。
その中の発令所には黒の騎士団の主要人物が勢揃いしていた。
司令補佐であるライ、幹部の一人であるC.C.、スポンサーである神楽耶、技術主任のラクシャータ・チャウラーだ。
「斬月、暁はインド軍区に?」
「そうよ〜。一応は完成したけど、細かい調整が必要だからね。斑鳩の事もあるし、すぐに動かせると言ったらアンタの専用機くらいね」
「そうですか……」
ライとラクシャータが当面の新型の話を進めている中、神楽耶とC.C.が楽しそうに話している。
どうやらゼロの事で盛り上がっているようだ。
「それにしてもこの間の戦闘見させてもらったわよ。まさかあの帝国の先槍に勝つなんてね〜。ホント、あんたすごいわね〜」
「いえ、ギルフォード卿は手強かったですよ。あの月下と本気でなければ、ああはいきませんでした」
それを聞いてラクシャータは笑った。
「フフッ、ホントあんたっておもしろい子ね。私が作った新しい子に相応しいパイロットね」
そこまで言われるとさすがにライは照れ臭かった。
「ライ司令補佐、東京から通信が入ってきています」
発令所の通信士に呼ばれ、ライは話を中断する。
「繋げてくれ」
すぐに発令所の大型モニターが切り替わった。
映ったのは幹部の一人である。
「ついに動いたのか?」
『はい。当初の予定通り連絡をと』
「わかった。ありがとう。すぐに作戦地へ向かう」
ライは通信を切ると、操舵士に告げた。
「進路をポイントT-4301へ。予定通り当艦はゼロと黒の騎士団の援護及び支援に向かう」
操舵士がそれに従って進路を変更する。
ライはラクシャータに向き直った。
「ラクシャータさんは僕と一緒に新型の最終チェックを。それと紅蓮の強化パーツと飛翔滑走翼を念のためいつでも射出できるように準備しておいてください」
決戦の地へ向かうため艦内は慌しくなった。
振るわれるMVSをかわし、すぐに反撃の一撃を銀色のヴィンセントに放つ。
しかし、相手は軽やかに舞い上がり、紅蓮弐式の射程外へ逃れる。
「くっ!」
今カレン達黒の騎士団は新総督の船にて作戦を行っていた。
敵の進路を予測した上での待ち伏せ。
さらに本来陸上機のナイトメアを戦艦の上に着地させる事での超近接戦闘。
そこからゼロは無事に艦内に侵入し、始めは上手くいっていた。
しかし、黒の騎士団の圧倒的優勢に血迷ったのか、敵は総督の乗る旗艦のエンジン機関部を攻撃。
艦が傾きつつある中、さらに悪い事態が起きた。
後ろ備えの部隊が追いついてきたのだが、その部隊が問題だった。
それはフロートユニットを搭載したヴィンセントとグロースターの部隊だったのだ。
それらの出現により黒の騎士団でエース級の腕を誇っているカレン、藤堂、四聖剣とその支援を行っている機体以外は落とされてしまった。
パイロットも相当の腕で戦況は最初の頃から一転して、黒の騎士団に分が悪いものとなっていた。
しかも、さっきの一閃で無頼がまた一機破壊されてしまった。
『各機、二機以上で背中合わせになって連携を強化しろ!バラバラで背後を取られるとひとたまりもないぞ!』
ナイトメア部隊を指揮している藤堂の声が響き渡る。
今問題なのは数やパイロットの腕ではなかった。
単純に艦上の陸戦ナイトメアと空中戦が出来るナイトメアでは取れる戦法に幅がありすぎるのだ。
後方からの増援部隊は一個小隊程度の数だったが、それが今の劣勢の原因だった。
『紅月君、私と千葉で動きを止める!その間に撃破してくれ!』
そのとき、紅蓮の正面からグロースターが迫った。
反射的に左手のミサイルランチャーを構えると、それに気づいたグロースターが横にそれた。
さらにその背後から千葉がグロースターを狙う。
それに気づいたグロースターが一瞬気を取られた瞬間、藤堂がグロースターに死角からスラッシュハーケンを放った。
貫いたのは右足。
グロースターがバランスを崩し、飛翔速度が落ちる。
『紅月君!』
「はい!」
言った瞬間には既に操縦桿を動かしている。
グロースターの右足に繋がっているワイヤーを器用に渡って右手の甲壱型腕をグロースターに叩き込む。
内部からグロースターが爆散した。
「よし!まずは一機!」
着地し、次の標的に目を向けようとした瞬間、近くにいた無頼が何かに貫かれた。
ハッとして攻撃された方向を見ると、奇妙な形の戦闘機が迫っていた。
飛翔速度はかなり速く、みるみるこちらに近づいてくる。
『何だ?戦闘機?随分速いな』
朝比奈の月下が射撃するが、青い戦闘機は軽やかにかわす。
『変な奴だね。でもさ…』
と朝比奈が言いかけた時だった。
飛んでいた戦闘機が朝比奈の月下の前で変形した。
戦闘機から一気に人型へ。
『可変型ナイトメア!?』
朝比奈がそう驚く間に可変型ナイトメア『トリスタン』はすばやくトルバートを抜いて朝比奈の月下に叩きつける。
一撃目は何とか受けきれたが、二撃目で回転刃刀を弾かれ、三撃目で胴を両断されてしまう。
『すいません、後は…!』
コクピットはどうやら無事のようで何とか脱出はできたようだ。
今即行で朝比奈の月下を屠ったのはナイトオブスリーが操るナイトメア『トリスタン』だ。
他国でも有名な機体である。
『おのれ!』
『よくも!』
朝比奈と組んでいた仙波、卜部が左右から切り掛かる。
それをトリスタンは避けず、トルバートで一旦受け止めると、軽やかな手さばきでトルバートを一閃。
両方向にいた卜部と仙波の月下を切り裂く。
これも両者共コクピットは何とか無事のようで脱出していく。
カレンがトリスタンを睨みつけたその時だった。
コクピットに警報が響く。
その方向を見ると、護衛の小型戦艦が旗艦に向けて落下してきている。
(あんなものが直撃したら…!)
その光景を想像し、ぞっとした時だった。
突如、巨大な赤い光が落下していた小型戦艦に突き刺さる。
直撃を受けた小型戦艦は巨大な炎をあげて爆散する。
「くぁ!」
あまりの爆発と光にカレンは目を眩ませた。
そして、光が来た方向を見ると、そこには赤紫色の機体があった。
かなり大きい砲塔をこちらに構えている。
黒の騎士団にとって状況はさらに悪化した。
ナイトオブスリー、ジノの操っていたトリスタンに加えてナイトオブシックス、アーニャのモルドレッドまで来たのだ。
ただでさえヴィンセントの部隊に手を焼いていたのに、これは痛かった。
(ライ……まだなの!?)
カレンはこのとき新型を取りに行っているライを一瞬思い出していた。
ライ達が乗る潜水艦は作戦ポイントに到達しつつあった。
今は浅い深度で海中を進んでいる。
ライは既にコクピットへ飛び込み、機体の発進準備に入っている。
「どうです?上の状況は?」
『アンタの予想した通り良くないわねぇ。途中回収した団員によると、フロート付きの小隊のほかにナイトオブラウンズも着てるみたいだしね〜』
ライは既にここに到着する時間を予測していた時点で決着が付いていなければ状況がこちらに不利であろうという事はわかっていた。
この作戦は時間勝負。
長引いた時点でこれは見えていた。
既に脱出していた団員や幹部を何人か回収し、その裏付けも取れていた。
かなり嫌な裏付けでもあったが。
「……ゼロは?」
『まだ艦内のようね』
彼には一応脱出の際に居場所がわかるように発信機をつけておいた。
それがまだ艦内を示しているらしい。
(ゼロ、一体君は何をしているんだ……?)
正直彼がこれほど作戦の肝である時間を無駄にするはずがない。
しかし時間が経ち過ぎているという事は彼に何らかの予期せぬ事が起きたのかもしれない。
「状況はわかりました。じゃあ当初の作戦の最終予備段階に入ります」
『という事はアンタがそれで出るって事?』
「はい。まさかというかやはり使う事になってしまいましたが……」
話している間にライの新型は上への射出口に入る。
『海上まで出るかい?』
「いえ、戦場が空中に集中しているとはいえまだバレるのは避けたいですから、このまま浅い深度から空中に出ます。スペック上はこの機体も水中活動は可能で
す
から」
このライの乗る新型は蜃気楼と同様水中での活動も可能にしている。
そのための機密処理もしてある。
「発進後、僕はそのまま戦場に向かいます。ラクシャータさん達はこのまま潜水艦でアヴァロンの真下あたりまでつけてください。それから海上で待機を」
『了解〜。じゃあ注水始めるわよ〜』
ライの新型が入る射出口に注水が始められる。
『ライ』
「何だ?C.C.」
ふいにC.C.が通信してきた。
顔が若干不安そうである。
『……頼む』
「…ああ、わかってる」
ライは微笑む。
注水が完了した。
射出口のハッチが開く。
ライは表情を引き締めた。
「崩月、出る」
ついにライの新型『崩月』が発進した。
カレンは生き残ったメンバーと共に艦載機射出口へ向かった。
千葉の月下を追って飛ぼうとした時、コクピットに警告音が鳴った。
ハッとして振り向くと、そこにはヴァリスを構えるランスロットの姿があった。
「まさか、そんな角度で撃ったらーーーーー」
紅蓮に命中する以前に足元の重アヴァロンにも被害が及ぶ。
あの弾丸は戦艦の装甲なんて易々と撃ち抜く。
銃口が青く光るのを見た瞬間、カレンは即決して行動に移した。
発射されたヴァリスの弾丸を輻射波動を放射して盾を作り、受け止める。
輻射波動が何とか勝った。しかし。
「……スザクゥッ!!」
まだ乗員やナナリーがいるのに撃ってきた。
ヴァリスを防いだ安堵よりも何かに裏切られた思いの方が強かった。
それを気にした様子もなく、パイロットであるナイトオブセブン枢木スザクはコクピットの武器管制パネルに指を走らせる。
それに応じるようにランスロットの背中側から巨大なソケットが構えたヴァリスに被さる。
これはあのブラックリベリオンから一年近く、ロイドが新たに開発した武装だった。
ヴァリス・ハドロンブラスターモード。
あのアーニャのモルドレッドのシュタルケハドロン砲並の威力はないものの、極一点集中のハドロン砲。
通常のヴァリスの威力をはるかに凌駕する。
さらに高度も既に重アヴァロンとほぼ水平になっていた。
この角度で撃っても重アヴァロンには大した被害は出ない。
「カレン、僕はナナリーを助けなくちゃならない。今更許しは…請わないよ」
言うと同時にハドロンブラスターを構えて照準を合わせる。
『隠れろ紅月!艦内に入れば…!』
「でも、みんなが逃げ切るまで…!」
一方のカレンはその場に留まっていた。
スザクは艦に被害が及ぶような角度でこちらを撃ってきた。
今度もそうかもしれない。
なら、逃げる訳にはいかなかった。
「お願い、耐えて紅蓮!」
次の瞬間ランスロットから赤い閃光が放たれた。
それをカレンは再び輻射波動の盾で防ごうとする。
しかし、拮抗したのは一瞬だった。
思ったよりも出力が上がらない。
「まさか!」
紅蓮弐式の右腕が溶解し、さらに頭部の右半分を持って逝かれる。
そして、次の瞬間紅蓮弐式の右腕は大爆発を起こした。
『紅月!』
月下のコクピットで千葉が叫んだ。
紅蓮は爆発の反動で艦から落ちていく。
『脱出しろ!紅月!』
カレンは言われるまでもなく、脱出レバーを引いた。
しかし、反応がない。
「だめ、動かない!」
『整備不良!?ええい、こんなときに!』
身を隠していた射出口から千葉が月下を飛び出させた。
そのとき、背後からモルドレッドに頭部を鷲掴みにされる。
『なっ!』
『おしまい。かくれんぼは…』
モルドレッドが恐ろしい程のパワーで頭部を握りつぶそうとする。
千葉はその前に廻転刃刀を振るったが、全く刃がたたなかった。
傷すらついていない。
抵抗むなしく、千葉の月下は頭部を握りつぶされて破壊された。
ただし、脱出はしているので彼女は無事だ。
カレンは脱出もできずに、落下していく。
「ああ、落ちちゃう。ごめんね、紅蓮……」
(ここまでなの……?)
「お母さん、お兄ちゃん……ライ……」
(私、もう……)
そして、カレンが目を閉じた時だった。
コクピットが大きく揺れた。
「!?な、何?」
目を開けると、そこには一つのウィンドウが表示されていた。
『間一髪だったな。…遅れてすまない』
言って、柔らかい微笑を浮かべたのはカレンが待ち望んだライだった。
『ライ……なのよね。その機体は…あなたの…?』
紅蓮のカメラで見ているのだろう。
ライの新型崩月はあの月下改よりも流線型で鋭くなったような外観と以前とは違うツインアイ、なびく水色の髪、背後には鋭く尖った翼、左腕の新型輻射波動は
伝説によくある竜
を連想させる、
鋭くて力強いイメージが見受けられる。
だが、今はのんびり質問に答えている場合でもない。
「説明は後だ。カレン、紅蓮の新パーツだ。いきなりだけど、換装してもらう」
『え?もしかして空中で!?』
『その通りよ〜』
『ラクシャータさん!?』
キセルを持った褐色の女性の映るウィンドウを見て、カレンは声をあげた。
『黒の騎士団特製の飛翔滑走翼。教本の予習はちゃんとやってた?』
『あ、はい。大丈夫です』
『それじゃあ本番行ってみようか〜』
「じゃあ悪いけどカレン、放すよ」
そう言ってライは半壊状態の紅蓮を放すと、上空を見上げた。
敵はランスロット、トリスタン、モルドレッド、ヴィンセント、グロースター二機。
そのいずれもがフロートユニットを装備している。
ライは戦況の把握を努めると同時に紅蓮の空中換装にも目を離さなかった。
普通なら無茶にも程があるが、彼女なら問題はない。
ライの目下で紅蓮が着実に新パーツを換装していく。
(久しぶりに“本当の”全力で行くか…)
戦力の把握を努めると同時にライはそんな事を考えていた。
その間に紅蓮が換装を終えたようだ。
「紅蓮可翔式」
見事に空中換装を終えた紅蓮は鋭く尖った翼、さらに獲物を切り裂く肉食獣を思わせるかのような右腕に生まれ変わっている。
その名も紅蓮可翔式。
ライの崩月、カレンの紅蓮可翔式こそがゼロの双璧の新たなる力。
「行くよ、カレン」
『ええ!』
崩月と紅蓮が同時に舞い上がる。
みるみると高度を上げる二機に相手方が気づいたのか視線を向けてくる。
そのとき、脱出した藤堂(正確には乗っているコクピット)が落下していくのが見えた。
『紅月君、ライ君、ゼロを』
「助けます、必ず」
ライはそう返すと、藤堂を追っていたヴィンセントの部隊を睨みつけた。
相手の部隊が射撃してくるが、二機は避けるそぶりさえない。
実弾が二機に届く前に熱壁に阻まれる。
それを見た敵機が近接武器に切り替えようとしている。
『この紅蓮が通用しなかったらお終いね』
「それは僕も同じだ。でもやるしかないから撃ってみようか」
『それはそうね!』
カレンが言うと、崩月は左手を、紅蓮は右手を隣り合わせにしてかざす。
二人は同時にボタンを押し込んだ。
二つの熱線が合わさって巨大な熱線を作り出す。
その巨大な砲撃がヴィンセントとグロースター二機を易々と飲み込む。
攻撃を喰らったとわかったヴィンセントのパイロットは即座の判断で脱出する。
直後、三機は爆散した。
今紅蓮と崩月が使ったのは輻射波動砲。
輻射波動のエネルギーを無反動式の砲撃兵装として収束可能にした弾丸だ。
まあこの場合は二機が同時に合体させて本来の威力を二倍ではなく、二乗にして放ったものだからW輻射波動砲とでも言うべきか。
かつて黒の騎士団の双璧と恐れられ、抜群のコンビネーションを誇った二人ならではの技である。
「カレン、君はゼロを。ナイトオブスリーとシックスは僕にまかせて」
『大丈夫なの?』
「久しぶりに本気でいくから、大丈夫だ。それに本来の目的は総督の奪取とゼロの救出だ。今ならまだそれが可能かもしれない。それに、あの二機に僕達二人と
もかか
ず
らっている訳にはいかないからね」
『……わかったわ。あなたにまかせるわね』
「ありがとう。…突破口を作ったらカレンは真っ直ぐ突っ切ってくれ。後は僕が足止めして引き受ける」
ライがそう言うと、二機は軽やかに舞い上がる。
そこにトリスタンとモルドレッドが襲い掛かった。
ランスロットは総督の救出に行くみたいだ。
速攻で放たれたトリスタンのハーケンを二機は舞うようにかわす。
すかさず反撃の輻射波動砲でそれぞれトリスタンとモルドレッドを狙う。
それで上手い具合に攻撃を避けた二機が別れた。
そこにできた穴を紅蓮が全力で突っ切る。
モルドレッドとトリスタンがさせまいとするが、その進路にライの崩月が割り込んだ。
「悪いが、させないよ」
その間に紅蓮は離脱して、重アヴァロンとスザクのランスロットの方へ向かって飛んで行った。
ライはそれをレーダーで確認すると、己の中にあるもう一人の自分へと意識を向けた。
そして真っ暗な世界の中でもう一人の自分と向き合っていた。
凄く似ているのに何かが違う、そんなもう一人の自分の存在。
一年前、記憶を取り戻してから知ったこの力、もう一人の自分。
周りに危害を加えないようにとずっと混ざるのも使うのも拒んでいた。
『よう飼い主』
もう一人の自分『ウルフ』は続ける。
『相変わらずのようだな』
ライはまだ答えない。
『しかし、記憶が戻って俺の存在に気づいて以来ずっと俺を拒んでいたおまえが俺に何の用だ?』
「おまえの力に慣れておくいい機会だと思ってね」
やっと答えたライにウルフは笑った。
『はっ、ようやく俺と向き合う気になったって事か』
「まあ、そういう事だ」
苦笑するライ。
『…いいぜ、あまりにも暇でどうしようか悩んでいた所だ』
そして、もう一人の自分『ウルフ』がライに向けて歩き出す。
『俺が少し混ざってやっからよ。俺達の力をあの調子こいてる奴らに見せ付けてやろうぜ』
ニヤッと笑うもう一人の自分はライに重なったかと思うと、溶け込んだ。
そして、意識が現実に戻る。
時間にして一瞬目を閉じていたライは目を開けた。
「さて、随分と仲間をやってくれたみたいだな。ナイトオブラウンズ。…今度は倍返しにしてやるよ」
既に切り替わっていた。
意識がライともう一人のライと混ざって口調も変化している。
崩月が右肩から背負っていた刀を引き抜いた。
刀身が蒼い、藤堂の月下が使っていた刀とほぼ同型の刀。
引き抜くと、崩月が目前でガシャリと構えた。
「……行くぜ」
ライの崩月が神速でトリスタン、モルドレッド目掛けて飛び出した。
トリスタンとモルドレッドを振り切ったカレンは総督を探そうとしていたスザクのランスロットに肉薄した。
「スザクッ!」
『カレン!?』
カレンが武器管制パネルを操作すると、紅蓮の背中からミサイルが射出された。
ランスロットが避けようと動いたが、ミサイルはその周りで止まった。
いや、これはただのミサイルではない。
ゲフィオンディスターバーを搭載したミサイルと言うのが正しいか。
効果はナイトメアの機能を停止させる事。
全てではないが、少なくとも動きを止める事はできる。
今それはランスロットの周りで効果を発揮している。
『それは…対策済みさ』
しかし、ランスロットは巨大なソケットをヴァリスに連結してハドロンブラスターを放つ。
どうやら対策を既に講じられていたようだ。
ただカレンもそれを予測していたようで旋回して避けると、信じられないような速度でランスロットに突っ込む。
「でも、足は止まったね!」
突き出した右腕をランスロットはMVSを抜きざまに逆手で持って受け止めた。
放射された輻射波動をランスロットは受け止めたが、押される。
『そんな…!ユグドラシルドライヴのパワーも上がっているはずなのに…!?』
だが実際のパワーは紅蓮が勝っている。
しかもこの間合いは紅蓮だ。
カレンに分がある。
「さっきの借りを返させてもらうわ、スザク!」
カレンはそう言って左の下段蹴りを放った。
ランスロットは咄嗟に右足で受け止めたが、やはりパワーは紅蓮が勝っている。
押し負けてランスロットが左に仰け反る。
カレンはすかさず追撃を仕掛ける。
しかし、スザクはハドロンブラスターを紅蓮向けて構える。
「!」
至近距離でのハドロンブラスター。
しかし、寸前で気づいたカレンは咄嗟に操縦桿を倒す。
間一髪でハドロンブラスターをかわす紅蓮。
お互いに一旦距離を取る。
この戦いもそう簡単に決着が付きそうもなかった。
一方、ライの崩月と戦っていたジノのトリスタンとアーニャのモルドレッドは2対1のはずが苦戦していた。
トリスタンがライの崩月が繰り出す鋭く疾い連続突きをかろうじて捌く。
「ちっ!」
ジノは思わず舌打ちした。
最初相手の飛行している新型ナイトメアとそのパイロットがどれほどのものか試そうとした。
そして、実際ジノが楽しめる、いや思った以上の実力だった。
しかし、その以上が問題だった。
ジノが予想していた実力より遥かに上だったのだ。
いや、もしかしたら甘くみすぎていたのかもしれない。
最初こそ手を抜いていたジノだったが、今は逆に自分が本気を出させられていた。
正直、このパイロットの実力はラウンズ並、それもナイトオブワンに匹敵する力を持っている。
もしかしたらそれ以上かもしれない。
じゃなければ、これほど自分とアーニャを相手に優勢に立ちまわれるはずがない。
(速い…!)
高い機動力を持つトリスタンを操ってるジノでさえそう感じるライの崩月の連続突き。
実際に機体のスピードも速いのもあったが、この前みたいに空中で飛翔滑走翼に頼って移動している今はあの時みたいに移動スピードを少しでも上げる事はでき
ない。
じゃあ何が原因なのか。
それがジノにはわかっていた。
(剣の速さ、体、つまり機体のこなしの速さ、そして相手の動きを読む速さ…全ての速さを最大限に活かしているのか!)
ライがもう一人の自分と混ざった事での一番の利点は甘さや揺るぎがなくなった事だ。
ライは何かと相手を殺すような攻撃はできるだけ避けていた。
かつてのスザクに近い戦いをしていたと言っていいだろう。
機体を破壊する攻撃はするが、コクピットを直で攻撃した事はほとんどない。
もちろん相手をそれでも殺してしまった場合はあるが、それを気にしたりはしてない。
しかし、それがなくなって剣閃に躊躇やゆるさがなくなり、完全に鋭く、重いものに変化していた。
今のライは完全にジノやアーニャを殺しにきているという事だった。
しかも荒い太刀筋に見えて実際は最小限で洗練された攻撃に変わっていた。
次々と繰り出す突きをトリスタンはトルバートでかろうじて捌いている。
ライが突きを繰り出す理由はトリスタンが最も受けにくい攻撃だと判断したからだ。
トリスタンのトルバートは大きく、パワーがあるが、細かい取り回しに欠け、しかも刀身部分が端にしかないため突きの受けには向かない武器だった。
連撃の一瞬の隙をついたトリスタンが背後に回りこんでトルバートを横から叩き込んだ。
「何!?」
「遅い」
しかしそれを読んでいたライはそれを輻射波動の爪で受け止めている。
しかも重量級のトリスタンのトルバートを片手で易々と止めているのだ。
(何てパワーしてんだ、コイツ!)
さらに崩月は叩きつけられた力を利用して、体を捻り、遠心力をつけてトリスタンを振り回し、投げ飛ばす。
「うおっ!」
投げ飛ばした直後、崩月が飛び上がった。
先ほど崩月がいた空間を巨大な赤い閃光が貫く。
モルドレッドのシュタルケハドロンの砲撃だ。
砲撃をかわした崩月はすかさずモルドレッドに神速飛翔で懐に飛び込む。
「無駄…!」
モルドレッドの前方にブレイズルミナスの壁が形成される。
月牙の構えを取っていたライは小細工なしに刀をシールドを突き出した。
一瞬、拮抗したが、崩月の刀がモルドレッドのブレイズルミナスを貫いた。
「っ!!」
「それたか……」
崩月の刀はモルドレッドの右肩を浅く削っていた。
モルドレッドのパワーは伊達じゃないといったところだったようだ。
ライの刀は普通のMVSではない。
ブレイズルミナスソードという新武器だ。
本来ブレイズルミナスは強力な力場を発生させてありとあらゆる攻撃を防ぐシールドシステム。
打ち破るのは容易ではない。
そこでライとラクシャータが思いついたのはこれに同質、同量のエネルギーをぶつければどうなるか。
それを元に作ったのがこの新武器だ。
切れ味もMVS並に鋭いため、エネルギーのこめ方次第ではMVSよりも攻撃力が高く、応用が利く武器でもある。
シミュレート通り上手くいったようだ。
この新武器とライの月牙を合わせたら例えモルドレッドのブレイズルミナスのシールドといえど貫けた。
さすがに完全とはいかなかったが、これで右肩部のミサイルは使用できないはずだ。
だが、ライはそれに特に表情を変える事なくすばやく刀を引き抜くとモルドレッドに蹴りを喰らわせ、その反動で背後から向かってきていたトリスタンに向
かう。
トリスタンが戦闘機形態から変形して人型になると、トルバートを振り下ろす。
それを崩月が紙一重で避ける。
しかし、トリスタンのトルバートの軌道が突然変わり、横から崩月に襲い掛かる。
だがそれすらも予測していたライは刀で受け止める。
トリスタンは一旦トルバートを引くと持ち手を分裂させて、今度は二刀で迫ってくる。
あらゆる角度から変幻自在の斬撃が叩き込まれるが、崩月は回避し、防ぎ、隙をついて反撃を放つ。
先読みは元々ライの十八番だが、今の状態のライの先読みは以前ギルフォード戦で使っていたのより正確で速い。
もちろん今のライは以前と同じ様に相手の感情を読んで動きを先読みしている。
つまりどれだけトリスタンの動きが速くても、変幻自在の攻撃をしようとも、パイロットであるジノの感情があれば先読みできる、という事だった。
むしろその方法ならモルドレッドのアーニャの方が読みにくい。
が、モルドレッドの戦法は主に射撃戦。
接近戦と違い射撃戦の読み方はある意味単純でもある。
ライがこの時代に目覚めてからさらに学んだ事でもあるが、射撃戦では対人と同様相手の銃口の動きを見切って動けばいい。
武器の特性によって対応は異なるが、それさえできれば避けるのはそう難しくはない。
モルドレッドが繰り出してくる攻撃は主に大口径のシュタルケハドロンと各部からのミサイルのみ。
ミサイルの避け方はわかっているから、至極読みやすい。
ライはトリスタンが放った斬撃を先読みしてかわすと横合いに出て左薙ぎを繰り出す。
トリスタンはそれをトルバートでガードする。
しかし、ライはそれで剣を引く事をせず逆に力を込める。
一時は受け止めたトリスタンだったが、崩月にパワー負けしてじりじりと押され始める。
「くっ!」
「おおおおおお!!!」
ライは咆哮しながら刀を振りぬいた。
完全にパワー負けしていたトリスタンは後方に思いっきり吹っ飛ばされる。
その直後コクピットに響いた警告音でライはモルドレッドを仰ぎ見る。
視界に入ったのはミサイルを発射したモルドレッドの姿だった。
かなりの数のミサイルが崩月目掛けて飛んでくる。
ライはそれに表情も変えず刀を構えた。
「蒼破閃」
構えた刀の刃にブレイズルミナスの光が宿る。
ミサイルがかなり集まった所でライは刀を振る。
そこからブレイズルミナスの斬撃波が放たれた。
それは崩月に迫っていたミサイルを切り落とし、それだけに留まらずそのままモルドレッドに向かう。
若干拮抗したが、モルドレッドはそれをブレイズルミナスの壁で受け止めた。
(やはり堅い……)
今のもブレイズルミナスソードの特徴でブレイズルミナスのエネルギーを刃先に集中、それを斬撃状にして放つ事で遠距離の敵にも攻撃する事を可能にした。
これは単純にブレイズルミナスソードの機能を応用したもので、これはライが思いついたものだった。
威力はかなりのものだが、モルドレッドのブレイズルミナスの方が上だったという事だったのだろう。
先ほどのやり取りでブレイズルミナスの壁の強度を強化しているようだった。
ドゴォォォォン!!!
ライは聞こえた爆発音の方角をサブモニターで見ると、ついに墜落した重アヴァロンが海面に激突して凄い爆発を起こした所だった。
(終了だな)
ライは崩月目掛けて放たれたシュタルケハドロンをかわすと同時にモルドレッドに接近する。
「!」
発射途中で体勢が変えられないモルドレッドの顔面に崩月が蹴りを放つ。
直撃し、モルドレッドが仰け反った。
さすがに装甲が厚く、破壊までには至らなかった。
崩月はそのモルドレッドを踏み台にしてさらに空高く舞い上がる。
「くっ…土足で」
アーニャは呟くと同時にモルドレッドの体勢を立て直し、機体各部からミサイルを放つ。
広範囲に放たれたミサイルの中、崩月は自機にあたるミサイルを輻射波動でガードするとさらに飛び上がってくるりと振り返る。
「なめてくれた分の借りを返させてもらう」
ライの視界にはこちらに追いすがってくるトリスタンとモルドレッドが映る。
そこに向ける輻射波動の左腕。
すると、そこで左手のギミックが動いた。
所定の操作が完了されると、左腕にエネルギーが充填されていく。
それにトリスタンとモルドレッドが若干身構える。
避けてこちらに反撃するつもりなのだろう。
しかしーーーーー。
「甘い」
言うと同時にライはボタンを押した。
その瞬間、左腕から輻射波動砲が発射される。
しかもワイドレンジに。
トリスタンとモルドレッドは避けきれず、まともに喰らい、動きを止める。
単に拡散させただけだから見た目程の威力はなかったが、それでも機体の精密機械には深刻なダメージを与えられた。
元々これ以上の追撃を止めるための足止め程度の攻撃だったからこれで十分だろう。
おそらくトリスタンとモルドレッドはしばらくまともに動けないはずだ。
ライは判断すると、二機に背を向けて重アヴァロン方向に飛び去って行った。
飛び去っていく崩月を見ながら、アーニャが呟いた。
「何、あのナイトメア……」
「いや〜パイロットでしょ。最初から本気出しとけば良かったな」
次に会った時はこの借りは必ず返すと誓うジノとアーニャであった。
ライはとりあえずレーダーと視界を頼りにカレンの紅蓮がいる方向に向かっていると、前方にこちらに向かってきているランスロットが見えた。
モニターが望遠モードになると、その手に抱えているのが誰かわかった。
「ナナリー…!」
ライは一瞬驚いた。
そして、懐かしいものが込み上げてくる。
しかし、ライがそれを見ているという事は作戦が失敗したという事を示していた。
彼女に声をかけたい衝動を押さえつけ、ライは前方のランスロットを見据える。
向かってくる崩月にランスロットが身構えたが、ライは構わずその脇を抜けていく。
そして、すれ違い様にナナリーを見ると、崩月は紅蓮のいる方に飛び去って行った。
それからすぐに紅蓮を見つけたライは機体を寄せた。
「……カレン!ゼロは?」
『無事よ。でも……』
紅蓮の手のひらの上でぐったりとしているゼロ。
おそらく気を失っているのだろう。
『ライ、これからどうする?』
「……作戦は失敗だ。こちらも撤退しよう。目的のナナリーがあちらの手に渡ったのならこれ以上ここにいる理由はないからね」
『…わかったわ』
カレンの返事を聞くと、ライは潜水艦にいる幹部に通信して指示を出し始める。
そして、二機は一緒に海上にいる潜水艦まで戻って行った。
ライは戦闘ではとりあえず勝ったかもしれないが、この戦いに関して言えば完全に負けであった。
あとがき
約一ヶ月ご無沙汰してましたが、やっとこの作品の第六話をお送りしました。
更新は不定期なので長く止まってしまう場合もありますが、そこはご容赦ください。
今回はアニメの第六話にあたるお話を書きました。
さて、いつも通り今回の話を解説していきます。
前回の話から戻ってまたバリバリの戦闘のお話でした。
まずライの新型ですが、これは現代の最新ナイトメア、つまりラウンズ達に対抗するために作ったライの専用機です。
今回はナイトオブラウンズ相手に大立ち回りをしてもらいました。
それで今回の話の中心であるライの新型『崩月』に関して少し解説を。
まず見た目はまあ話に書いてる通りですね。
斬月にあんな感じの改良を加えたみたいな。
まあその改良が実はすごかったりしますが、それはまた先のお話で。
刀はブレイズルミナスソード、左手の輻射波動は徹甲砲撃左腕、唯一の射撃武器のマシンキャノン。
どれも全て進化した最新武器を搭載していて、まさにライの新型に相応しい感じにしてみました。
実はまだ使用していないとっておきの武器もありますが、それがいつ出るかはお楽しみという事で。
で、今回出したブレイズルミナスソードという案は前から考えていたものです。
話にもありましたが、応用したブレイズルミナスの斬撃破というのはオリジナルで考えたものですが、不可能ではないと思います。
だってもっと先の紅蓮聖天八極式なんか輻射波動砲を円盤にして発射なんてのもしてましたし。
この際こういうのもありだろうとこんな新武器を作りました。
また詳しい設定は後に書く予定なので詳しくはそちらで。
そして、ライ君のもう一人の存在がついに!明らかになりました。
ぶっちゃけて言うと、ライ君とは正反対のライ、ですかね。
正確には破壊衝動の塊に近いんですが、姿はライそっくりです。
もちろん性格は残忍で狡猾で好戦的です。
ライの内に存在するものなので、もちろんライにしか認識できていません。
ライとの仲は実はそんなに悪くなかったりします。
ライはそのもう一人の自分の制御法を一応修得しているので、基本的に彼を抑えているという状態です。
そして今回の戦いで本当の本気で戦うという気になると、もう一人の自分との意識を同調させる事で戦います。
ただ完全に混ざる又は同調するのではなく、ある程度同調するといった感じです。
完全にはまだ難しいんで。
もう一人の自分と同調する事での利点は反射神経、速度が異常なまでに上がるのと、完全に戦士に向いた思考、性格になるって事です。
だから口調ももう一人の自分風に変わってしまうという訳です。
今後ももう一人のライも物語に関わってくるのでよろしくね!
最後は今回の目玉、トリスタン&モルドレッドVS崩月です。
原作ならカレンが紅蓮可翔式で大立ち回りなんですが、この作品の主人公はライって事で彼にがんばってもらいました。
なんとナイトオブスリーとシックスを相手して押しているというライは普通に最強!?とかいうイメージを受けられるかと思います。
しかし、それは違います。
ライがもう一人の自分と同調したからあれだけの戦いができたのです。
さらに新型の崩月のおかげもあります。
ライと崩月だけなら五分五分がいいといった所かもしれませんね。
それにライ君もこれまで努力と鍛錬を重ねてあそこまで戦えるようになってるんですから。
まあそれでも強いというイメージは変わりませんが。
それにナイトオブラウンズ強すぎとかいうイメージが原作でついているので、今度は逆にぼこられてもらうのもいいかと思って。
たまにはギャップもいいでしょうし。
それに原作でもカレンが2人相手に押してた部分があるので、これもそんなにおかしくないと思います。
少なくともライはカレンと同レベル以上のパイロットですから。
とまあこんな解説でした。
実は今回の話がいままでで書いた中で一番長いお話になっています。
やっぱりラウンズとの初対戦って事で力が入りましたから。
ただ戦闘ネタが詰まって一時期止まってた事もあったんですけど(汗)
そんなこんなで苦労しながら書いた今回の話、読者の方々に楽しんでもらえれば嬉しいです。
次回は……腑抜けた(?)ルルーシュのためにライががんばるお話です。
おそらくちょっとした日常と戦闘を織り交ぜた話になると思います。
ご期待ください。
またWEB拍手をくれた、感想をくれた方々ありがとうございました!
R2をラウンズ側で見てみたいと言ってくれた方、それはちょっとこの作品では無理かも……。
外伝的なので書くとか改訂でその視点の部分を加えるという事はできますが、今の所その気はないので。
別作品でその視点から書く事はできますが、それで良ければ考えておきますね。
よく長くなってしまうあとがきですが、これで終わりです。
次回の更新は未定ですが、がんばっていきますので応援よろしくお願いします!
では、また次回で!
改訂版修正箇所
ライのセリフの一部
その他の文
星刻のセリフ一部
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