まえがき

この短編は私のちょい復帰作とデュエルがどれだけしっかり書けているかを見る試作作品です。
私のデュエルタクティクスは、ロマン重視で結構低いので、デュエル内容が悪い場合はご容赦ください。
それでも読んでいただけるのならば、どうぞお読みください。





























                               遊☆戯☆王5D's
             Another Dragon's Birthmark

















「……ん、ここは……?」

先程まで研究室で寝ていた大学生の青年『銀 光四郎』は目が覚めた瞬間見慣れない光景に思わずそう呟いた。

(俺、研究室で寝ていたはずじゃあ……)

そう振り返って考えを進めようとした時、

「あ、目が覚めたのね」

女の子が俺を覗き込みながらそう言ってきた。
緑の前髪を結んだ10歳程の少女だ。

(あれ……この子どっかで見たような……)

光四郎にはその少女に見覚えがあったのだが、いかんせん寝ぼけた頭ではそれが誰だったのか思い出せない。
なんとか思い出そうとすると。

「あー!起きたんだ!」

元気そうな男の子の声に中断させられた。
視線を向けてみると、そこには緑の髪の後ろを結んだ少年がいた。
そして、その子にも光四郎にはどこか見覚えがあった。
しかし、やはり頭が寝ぼけているのか思い出せない。

(とりあえずこの子達の事は後にしよう……)

思い出せない物よりこの見知らない場所について聞くのが早いだろう。
そうすれば、何故光四郎自身がここにいるのか検討がつく。

「悪いんだけど、ここはどこなんだ?」

質問した光四郎に対し、少年が笑顔で応えてくれた。

「ここ、俺らん家」

「?君達の?」

「うん、そうだよ」

「ここね、トップスの最上階なの。あなたは下の階で倒れてて、私達があなたをここまで運んだの」

よそ様の家?トップス?倒れてた?
聞きなれない単語が出た上に身に覚えのない事ばかり。
軽く混乱する光四郎。
すると、少年が何かしらの操作をしたのかカーテンが開いていく。
それと同時に光が差し込み、その外は広くて豪華な庭だった。

(わお……リッチな御宅だったよ……)

自分が見た事もないリッチな光景に思わずポカンとしてしまう光四郎。
そして、そんな光四郎に少年が元気な声で尋ねてきた。

「そうだ!えーと……」

尋ねようとしたようだが、どうやら俺の名前を言おうとしてわからないらしい。
言ってなかったから当然である。

「光四郎だ。銀光四郎(しろがね こうしろう)」

「じゃあ、光四郎って呼ばせてもらうね!で、光四郎ってデュエル強いの?」

(はい……?)

「俺とデュエルしようよ!」

目が覚めて早々、少年にそんな事を元気よく言われて今度こそポカンとする光四郎だった。



























そして、光四郎は少年と少女から色々な話を聞き、なんとか現状を把握する事ができた。
まず、大学生だった自分は研究室で寝ていたはずなのだが、何故かこのトップスのホテルの下で倒れていたらしい。
そこをこの少年と少女が助けてくれたとの事。
名前は龍亞と龍可。
結論から言うと、遊戯王5D'sの主要キャラだった。
認めたくはないが、どうやら光四郎はアニメの中に入ってしまったらしい。
死んではいないし、転生というのも何とも変な話なので、こういう表現の方がしっくりくるのでそうした。
そして、もう1つ決め手になったのが、光四郎の倒れていた場所の近くに置かれていたという2つのトランクだった。
2人に聞いたところ、そうだと言う。
とりあず光四郎はそれで今は中身を確認しているのだが……。

「カードばっかだよ……」

もちろん遊戯王のだ。
しかも大量に。

「すげー!俺こんないっぱい持ってる人初めて見たよ!!」

「龍亞、はしゃぎすぎ」

光四郎の出したカードに興奮する龍亞と、その様子を見て注意する龍可。
しかし、龍可も光四郎の持っているカード群は珍しいようで視線はこちらに向けている。

(ドラグニティ、シンクロン、融合ジャンク、銀河聖刻、セイクリッド……か)

デッキはデッキで以前光四郎が使っていた物で、ちゃんと固まったままだ。
どうやら1つにはデッキ、もう1つには大量のカードが○次元ポケットのように押し込まれた状態で入るらしい。
正直言って、違和感ばりばりで怖い。
が、便利なのは確かなのでとりあえず利点は大きいだろうと納得する光四郎。

「で、デュエルできそう?」

龍亞がしきりに興奮しながら、催促してくる。
待ちきれないのだろう。
先程、荷物の中を確認してあればすると光四郎が答えたからだ。
この分ならすぐにできるだろう。

「ああ、できるな。デッキもあったし」

「じゃあやろ!早く!早く!」

そう言って光四郎の手を引いて庭に向かう龍亞。
光四郎はそれに苦笑し、龍可は呆れていた。



























そして、庭に入った光四郎と龍亞。
二人共デュエルディスクを装着している。
何と、トランクの中にデュエルディスクも入っていたのだ。
ご都合主義万歳と言いたいところだが、ほんとあのトランク便利だなと改めて思う光四郎。

(えーと、これで装着かな?)

ディスクの構造からこの辺りで装着するのかなと試してみると、自動的にデュエルディスクが左腕に装着される。

(……やっぱり便利だ)

そして、光四郎の準備ができたのを龍亞が確認したのか声をかけてくる。

「よし!じゃあやろ!っておっとっと!」

と言って龍亞が元気よく手を挙げたのだが、先程からデュエルディスクのサイズが大きいのかバランスを崩したり、ずったりしてしまっている。
そんな様子に龍可も呆れているようだ。
そして、それを見兼ねた光四郎は龍亞に近寄り、たまたま持っていた手短なリボンで腕とディスクを固定する。

「これでいいか?」

「うん、ありがと!光四郎って優しいんだね!」

「そうでもないさ。とりあえず始めよう」

そう言って光四郎が元の位置に戻り、互いにディスクを構える。

「「決闘!!」」


光四郎:LP4000 手札5枚

龍亞:LP4000 手札5枚

「先攻は俺だ!ドロー!シャッキーン!!」

(元気いっぱいだなぁ……)

龍亞 手札6枚

龍亞の様子を眺めながらとことんそう思う光四郎。
ついでに先攻を勝手に取られている。

「俺はD・モバホンを召喚!」

D・モバホン ATK100 手札5枚

(そういえば龍亞のデッキはディフォーマーだったな。……俺個人としてはいい思い出がねぇ)

主に展開力とかダイレクトアタックとか……調子に乗って神を出された時とか……。
という感じで光四郎が思い出に浸っている間に龍亞は効果を発動する。

「モバホンは攻撃表示の時、ダイヤルの1〜6で止まった数字の分だけデッキからカードをめくり、その中にレベル4以下のDがいたら特殊召喚できるんだ。ダ イヤル〜・オン!」

出た目は4。

(高い確率で引くだろうな)

順番にカードがめくられていく。
死者蘇生、ダブルツールD&C、D・マグネンU、D・スピードユニット。

「よし、俺はD・マグネンUを守備表示で特殊召喚!」

D・マグネンU  DEF800

「カードを一枚伏せてターンエンドだよ!」

龍亞 LP 4000
フィールド モバホン、マグネンU、伏せカード一枚
手札 4枚

光四郎 LP4000
フィールド なし
手札 5枚

さて、こちらの番だ。

「俺のターンドロー」

光四郎 手札6枚。

「俺は『調和の宝札』を発動。手札の攻撃力1000以下のドラゴン族チューナーを一枚捨て、デッキからカードを二枚ドローする。俺はドラグニティーファラ ンクスを捨てて、二枚ドロー」

「……ドラグニティ?」

龍亞が聞きなれない単語に首を傾げる。
どうやらドラグニティはまだ有名なシリーズではないようだ。
もしくは龍亞が知らないかのどちらかである。

「デュエルしていればわかるさ」

光四郎 手札7枚。

「俺はドラグニティーアキュリスを通常召喚」

ドラグニティーアキュリス ATK1000 手札6枚

「こいつの効果はドラグニティと名の付くモンスターが手札にいる時、選択したモンスターを特殊召喚して装備する効果がある。俺はドラグニティーミリトゥム を特殊召喚し、アキュリスを装備」

ドラグニティーミリトゥム ATK1700 手札5枚

「さらにミリトゥムの効果。1ターンに一度、ドラグニティと名の付いた装備カードを自分フィールド上に特殊召喚できる。俺はアキュリスを特殊召喚」

ドラグニティーアキュリス ATK1000

(悪いが、最初から飛ばす)

この判断、小学生相手に大人気ない。

「俺はレベル4『ドラグニティーミリトゥム』に、レベル2チューナーモンスター『ドラグニティーアキュリス』をチューニング!」

☆4+☆2=☆6

「えぇ!?2ターン目からいきなりシンクロ召喚!?」

「凄い……」

2ターン目からのシンクロ召喚に驚く龍亞と龍可。
しかし、光四郎にとってこれは普通。
もちろん今回は手札がいいというのもあるが。

「シンクロ召喚!天空へと駆け上げれ!ドラグニティナイトーガジャルグ!!」

ドラグニティナイトーガジャルグ ATK2400

ちなみに光四郎が口上を言わなかったのはめんどくさいのと恥ずかしいの2点があったからである。

「げ……攻撃力が2400……」

「バトルだ!ガジャルグでマグネンUを攻撃!」

ガジャルグに乗った鳥獣の騎士が槍を掲げて突っ込む。
あまりのリアルさに内心「ソリッドビジョンすげー……!」と感動してしまう光四郎。

「待ってました!罠カード『ディフォーム』発動!」

次の瞬間、モバホンが守備表示となり、ガジャルグの攻撃が止まる。
そして、攻撃を止められたガジャルグは元の位置に戻った。

「ディフォームは自分フィールドのDが攻撃対象になった時、攻撃モンスター一体の攻撃を無効にして攻撃対象に選択されたDの表示形式を変更するんだ」

D・マグネンU ATK800

「そういう罠か。面白いな」

「へへーそうでしょ」

まさかあんな罠で防ぐとは思わなかった光四郎。
しかし、止められることは想定済みなので、メインフェイズ2に入る。

「なら、俺はガジャルグの効果発動。1ターンに1度デッキからレベル4以下の鳥獣族またはドラゴン族を手札に加え、その後手札から鳥獣族またはドラゴン族 を一枚捨てる」

光四郎はデッキの中身を確認する。

「俺が加えるのはドラグニティードゥクス。そして、手札のBFー精鋭のゼピュロスを墓地に送る。カードを二枚伏せてターンエンド」

光四郎 LP4000
フィールド ドラグニティナイトーガジャルグ 伏せカード2枚。
手札3枚。

龍亞 LP4000
フィールド モバホン、マグネンU
手札 4枚

「よ〜し、俺のターン。ドロー!」

龍亞 手札5枚

「俺はD・モバホンを攻撃表示にして効果を発動するよ!ダイヤル〜・オン!」

出た目は3。
めくったカードは、D・ボードン、D・ラジオン、D・スコープン。

(全部モンスターじゃねえかよ)

思わず内心で突っ込みを入れてしまう光四郎。

「う〜ん、俺はD・ラジオンを選択!そして、特殊召喚!」

D・ラジオン ATK1000

「ラジオンは表側攻撃表示でフィールドに存在する限り、Dと名の付いたカードの攻撃力を800ポイントアップさせるんだ」

D・モバホン ATK100→900
D・マグネンU  ATK800→1600
D・ラジオン  ATK1000→1800

「だが、この瞬間罠カード発動!奈落の落とし穴!攻撃力1500以上のモンスターが召喚、特殊召喚された時に発動し、そのモンスターを破壊し、除外する! ラジオンの攻撃力は召喚時に1800となるため、適用される!ラジオンを除外!」

ラジオンが落とし穴に嵌り、除外される。
ただし、結構コミカルだった。

(かなり……シュールな光景だったな……)

ラジオンが除外される様子にそう感想を抱いた光四郎。

「そして、ラジオンが除外された事により龍亞のモンスターの攻撃力は元に戻る」

D・モバホン ATK100
D・マグネンU  ATK800

そして、龍亞はというと、若干悔しそうである。

「うぅ〜、俺のラジオンがぁ〜。こうなったら、俺はD・ボードンを召喚だ!」

D・ボードン ATK500 手札4枚

先程めくった中にもあったカードだ。
手札に持っていたようだ。
とすると、先程の光四郎の奈落の落とし穴でラジオンを除外したのは正解だったと言える。
でなければ、負けが確定していた。
なぜかと言えば。

「D・ボードンが表側攻撃表示の時、自分フィールド上のDと名の付いたカードはダイレクトアタックができるよ!」

という事なのである。
先程の攻撃力アップを加えていたら一気にライフが0になっていた。

(まずい。俺に攻撃を防ぐカードはない)

「バトルだよ!モバホン、マグネンU、ボードンでダイレクトアタック!!ドドーン!!」

光四郎 LP4000-100-500-800=2600

見事にライフをそれなりに持っていかれる。
というのも……。

(初期ライフ4000は結構きつい……)

内心この初期ライフのきつさを改めて光四郎は実感していた。

「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド!さ、光四郎の番だよ!」

「待った!エンドフェイズにサイクロン発動!龍亞の伏せた内俺から見て右のカードを破壊する!」

「えぇ!?」

発動したサイクロンが龍亞の伏せたカードの内一枚を破壊する。
破壊したのは重力解除。

(よし、いいカードを破壊した)

フリーチェーンのカードを唯一発動できないセットしたターンで破壊したのはおいしい。

「うぅ、俺の重力解除が……ターンエンド………」

対する龍亞はしょぼんとしている。

龍亞 LP4000
フィールド モバホン、マグネンU、ボードン 伏せカード1枚
手札2枚

光四郎 LP2600
フィールド ドラグニティナイトーガジャルグ
手札3枚

「俺のターン!ドロー!」

光四郎 手札4枚

(……上手くいけば、このターンで決められるか)

「俺はドラグニティードゥクスを召喚する!」

ドラグニティードゥクス ATK1500 手札3枚。

「ドラグニティードゥクスの効果。このカードが召喚に成功した時、墓地にあるドラグニティと名の付いたドラゴン族モンスターを装備できる。俺は墓地のドラ グニティーファランクスを選択!」

ドゥクスにファランクスが憑依するような形で装備される。

「さらに、ドゥクスのもう1つの効果。自分フィールド上にいるドラグニティと名の付いたモンスターの数だけ攻撃力が200ポイントアップする!俺のフィー ルドには3体!よって600ポイントアップ!」

ドラグニティードゥクス ATK 2100

「あれ?ファランクスも含むの?」

龍亞の問いに光四郎は頷く。

「ああ。魔法・罠ゾーンもその対象に入るんだ」

「うぅ、攻撃力2000超えが2体も……」

「まだだぜ。龍亞」

「え?」

攻撃力の高いモンスター達に龍亞はしょんぼりしていたが、まだこれからだとニヤリとする光四郎。

「装備されたファランクスの効果!このカードが装備カードとなっている場合、フィールド上に特殊召喚できる!こい、ファランクス!」

ドゥクスから解放されたファランクスがフィールドに降り立つ。

ドラグニティーファランクス ATK500

「そして、レベル4『ドラグニティードゥクス』に、レベル2チューナーモンスター『ドラグニティーファランクス』をチューニング!」

「えぇ、またぁ!?」

☆4+☆2=☆6

「シンクロ召喚!疾れ!ドラグニティナイトーヴァジュランダ!!」

ドラグテニィナイトーヴァジュランダ  ATK1900

「さらに、ドラグニティナイトーヴァジュランダの効果!このカードがシンクロ召喚に成功した時、墓地に存在するレベル3以下のドラグニティと名の付いたド ラゴン族モンスターを装備カード扱いとして装備できる!俺は、ドラグニティーアキュリスを装備する!」

今度はアキュリスがヴァジュランダに憑依形で装備される。

「す、すげぇ……毎ターンシンクロ召喚……」

龍亞も毎ターンのシンクロ召喚に驚いているようだ。

「ねぇ、光四郎」

「ん?」

「ドラグニティってモンスターを装備する事で効果を発揮するモンスターって事?」

龍可の問いに光四郎は頷いた。

「ああ。ドラグニティはドラグニティを装備する事で真価を発揮するモンスターだ。そこからさらに効果を発揮したり、シンクロ召喚に繋げる事で動かすシリー ズなんだよ。ま、墓地に必要なカードが溜まっている事が前提なんだけどね」

「……そうなんだ」

どうやらこのシリーズの凄さが龍可にもわかってもらえたようである。
さて、続きをしなければならない。

「続けるぞ?龍亞」

「あ、うん。でもさ、何でシンクロ召喚したの?」

「ん?」

「だってドゥクスの方が攻撃力が高かったじゃん」

(ああ、そういう事か)

「確かに今の時点ではな。だから、シンクロ召喚した答えを今見せてやる」

「え?」

「ヴァジュランダのもう1つの効果発動!このカードに装備されているアキュリスを墓地に送る事で、このターンのエンドフェイズまで攻撃力を二倍にする!」

「「二倍!?」」

ドラグニティナイトーヴァジュランダ ATK1900→3800

「攻撃力3800!?」

「す、凄い……」

(け、けど俺の伏せカードはD・バインド!これなら攻撃できないから、いくら攻撃力が高くても大丈夫だもんね!)

と引きつりながらも安心している龍亞だったが、次の光四郎の行動でその安心が崩れ去る事になる。

「さらに、墓地に送られたアキュリスの効果!魔法・罠ゾーンにあるこのカードが墓地に送られた時、フィールド上のカード一枚を破壊する!俺は龍亞の伏せ カードを破壊!」

「ああ!俺のD・バインドがぁ!?これじゃあ攻撃を受けちゃうよ〜(泣)」

(やっぱりD・バインドだったか……)

攻撃表示に変更して、あえて放置。
このカードがあるのではないかと光四郎は思ったが、やはりそうだった。
そして、防御の手段を破壊された龍亞はもう涙目である。

「もう、しっかりしてよ龍亞!まだ決闘は終わってないのよ!」

「だってさぁ〜「いくぞ?龍亞」あ……」

うろたえている相手に攻撃する。
それが決闘である。
血も涙もない話ではあるが。

「バトル!ガジャルグでボードンを攻撃!」

今度はガジャルグ自身に噛み砕かれ、破壊されるボードン。

ガジャルグ ATK2400  VS  ボードン  ATK500

龍亞 LP4000-1900=2100

「うわぁ!ボードン!」

「続いてヴァジュランダでモバホンに攻撃!」

ヴァジュランダ ATK3800  VS  モバホン  ATK100

ヴァジュランダ自身が槍状の気と風を纏う事で、その体ごと突進し、モバホンを木っ端微塵に粉砕した。

「うわああぁぁぁぁ!!!」

龍亞 LP2100-3700=-1600

こうして、龍亞と光四郎の決闘は光四郎の大人気ない攻撃で光四郎の勝ちという結果で幕を閉じた。



























そして、勝負がついたのは良かったが。

「グスッ……」

最後の悲惨さに龍亞が半泣き状態なのである。

(う〜ん、相手がディフォーマーだからと言って、やりすぎたか)

龍亞と決闘をやって光四郎は思い出したのだが、この頃の龍亞のデュエルタクティクスは低かった。
しかし4ターンで決着が着いたとはいえ、今回のは悪くはなかったと光四郎は思う。
単に今回はこちらの手札が良かった部分と運が良かった部分が大きかったのだ。
だから、半泣きになる程でもないと思うのだが……。

「ほら、泣かない泣かない」

「な、泣いてない!」

そんな龍亞を龍可が慰めている。
とりあえずほったらかしもまずいので、アドバイスをする事にした。

「デュエルを楽しんでやってるのは伝わってきた。だけど、少し後先を考えなかったのが良くなかったな」

「え?」

涙を拭いた龍亞と慰めていた龍可が光四郎を見上げる。
光四郎は続けた。

「防御手段として重力解除とD・バインドを用意したのは良かったが、俺がサイクロンやアキュリスの効果で破壊してくるまでは予想してなかっただろ」

「あ……うん」

「このような事はそう何度も起こる訳でもないが、そういった時の対処へのカードも必要だ。俺の使用した奈落の落とし穴みたいにな」

「あ……!」

それで龍亞も気づいてくれたようだ。

「今度は相手の反撃や対応も読んで決闘するようにな」

「うん!俺、頑張るよ!それで光四郎、また決闘してくれる?」

「……それはいいんだが、そろそろ俺の宿をどうするか決めないとな」

今は昼だが、直に夕方になる時間帯だ。
この子達の世話になる訳にはいかないだろう。
光四郎にはこの家に居候するという考えはなかった。

「えぇ!?うちに泊まっていかないの!?」

だが、龍亞は光四郎が家に泊まっていくものだと思っていたようだ。

「君達に迷惑はかけられない。幸いIDカードもあるからなんとかなるだろう」

そう、何故か光四郎のIDカードは存在していた。
この世界の誰かに憑依した可能性もあるが、それは考えづらかった。
容姿が寝る前の自分と大差ないからである。

「ダメだよ!それに、俺光四郎の力になりたいんだ!」

「しかしだな……」

「いいんじゃない?うちに泊まるって事で」

「龍可?」

龍可までそう言ってきたので、光四郎は龍可に視線を向ける。

「さっきの話からすると、帰る家ないんでしょ?それに、光四郎さん悪い人には見えないし」

ここまで言ってくれるのは嬉しいが、単純に信じすぎるのもどうかと思う光四郎。

「だが、両親に迷惑がかかるだろ。今日はいないようだが」

すると、龍可が苦笑した。

「両親は今日だけじゃなくてずっといないわ。今海外で仕事してて、ここに住んでるのは私達2人だけだから」

「そういう事だからさ。ね?泊まってよ!」

2人が真剣な眼で勧めてくるのと、2人暮らしというのが若干心配になったので、光四郎は考えた末この双子の提案を受け入れる事にした。

「……わかった。世話になる。これからもよろしく頼むよ」

「やったぁー!じゃあさ、もう一回決闘やろ!」

「はいはい(苦笑)」

こうして、光四郎は龍亞と龍可の家に居候する事になった。
ちなみに続きでした決闘も光四郎の勝ちであった事はここに記述しておく。
そして、これより2年後、光四郎もこの世界の運命とも言える出来事に巻き込まれていく。





















あとがき


どうも、お久しぶりです。
今回は以前から考えていた遊戯王を書いてみました。
現在就活で忙しいため、全く書けない状況ですが、とりあえず自身が今ちゃんと書けているか確かめるため書いてみました。
久しぶりのお試し短編ですが、楽しんで頂けたなら嬉しいです。

今作は5D'sを題材に三人称で書いてみました。
俗にある転生系やトリップ系ですね。
私自身転生系は個人的に好きになれない部分があるので、そういう表現はあえて濁していますが。
しかし、デュエルを書くのは難しいですね(汗)
ちゃんと書こうと思えば思うほど難しいですし、展開を考えるのがまた大変で……。
遊戯王の小説を書かれている黒い鳩さんや他の作家さん方を尊敬します、本当に……。
今回はドラグニティを使用しましたが、デュエルでここはこうした方がいいなどのアドバイスがあれば是非掲示板に書いて頂けるとありがたいです。
後、この作品を長編で連載するとなればガジャルグやヴァジュランダの技名募集中します。
こちらも提案してくださるとありがたいです。

今回は私の復帰作とお試しも兼ねていたので、短編のみに留めています。
一応GX編も投稿しますので、どちらが良かったまたは連載してほしいなどがあれば掲示板やWEB拍手に書いてください。
今後のデュエル作品を書いていく上で参考にしていきたいので、是非たくさんの意見などをよろしくお願いします。



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