ねこのかみさまのおはなし
そのねこにはかなしいおもいでがありました。
それはあかいゆきのおもいで。
ねこはおもいでからめをそむけたたかうことからにげていました。
でもあかいゆきはかくじつにかれのもとへとせまっていたのです。
ねこはきずついたともをおもって、じぶんをうらんでなきました。
だれかかのじょをたすけてください。
かのじょがたすかるのなら、こんどこそボクはおちてくるそらのことごとくをおしもどし
おしよせるなみのことごとくをきりさいて、ちをはいてしぬまでたたかいます。
めいやくは、はたされました。
2252/06/03/9:24
アイザワ=ユウイチ 舞踏再開
都市船・シルチス
海の見える護岸、そこはジョギングコースになっている。
もちろん都市船に作られた作り物の海岸線なのだが。
そこで、煙を吐きながら金髪リーゼントとその部下はヘロヘロになって歩いていた。
「追い出されましたね」
「気にするな。あんな悪の本部なんか、なくなった方がせいせいするぜ」
「なんかですね。結果的に正義の味方をしたような気が」
部下Aは海に蹴り落とされた。
おぼれる部下A。
金髪リーゼントは、ケッ、とつぶやくと、顔をあげた。
白い服を着た娘が、泣きそうな顔で護岸に座っている。
次の瞬間には顔を拭いて櫛でリーゼントを整える。
薔薇を持って手まで握っていた。
「俺の名前はアーサー。 アーサー・バルフォア。
ま、ちょっとは名の知れた悪の大幹部だ。
いや、そんなことは気にしなくていい。 いや、気にするな。
お嬢さん、なんでそんなに悲しい顔をするのかい。 俺に話してくれないか。
ちったあ力になれるかも知れないぜ?」
金髪リーゼントは、ウインクしてみせた。 HELP!HELP ME!と背後に声。
突然の提案にビックリして、その金色の瞳で見上げる少女。
「あ…いえ、私……私のことが分かるんですか?」
「何だと!? 分かった。 世界を滅ぼそう、爆破だ! 爆破!!
こんなかわいい娘を排除する世界なんて間違っている!」
アーサーは彼女の情報子量が自棄に少ない事に気がついて爆破スイッチを押した。
爆破されるどこかの女神像。
「ちょっ、ちょっとちょっと。 ボス」
「なんだ?」
水浸しの部下Aが、背を伸ばしてアーサーに耳打ちした。
「良く見てくださいよ。 その子、電子妖精ですよ?」
「チッチッチ、純粋な悪の前には、種族の違いなんて大した問題じゃないさ。
それより俺は今、愛のために悪の限りをつくしたい気分だ」
電子妖精と言うのは戦艦を1人で操艦できるマンマシンインターフェイスの通称である。
一応、人権は有るのだが一般的に人造人間扱いである。
はじめて実戦投入されたホシノ=ルリ大佐の2つ名にあやかって電子妖精と命名されている。
以前は非人道的だとかそんな理由で研究は休止していたが、宇宙人が大挙して攻め入ってきた前大戦でなりふりかまわなくなって量産されている。
一部の人道団体などが非難の声明を上げているが、これの投入がされなければ太陽系は100の宇宙人に占領されていただろうというのが専らな意見である。
おかげで製造元のネルガルはウハウハである。
まぁ、世の中そんなものだ。
作者がファンの人に石を投げられながら電子妖精についての説明をしている間もアーサーは破壊活動にいそしんでいた。
ああ、愛、ああ、LOVEを連呼して爆破スイッチを連打している。
あっ、やっぱこいつは馬鹿だ。
次々吹っ飛ぶ高層ビル。
冒険艦・大爆天号
「第1ウインドウボール スタンドバイ」
「第2ウインドウボール スタンドバイ」
「第3ウインドウボール スタンドバイ」
「第4ウインドウボール スタンドバイ」
「降下用意!降下用意! 現在位置、ソル星系マーズ沖10万km」
「準備はいいですか? 祐一さん。 制限時間は180秒です」
「いつの間にここはウインドウボールなんて導入したんだ?」
「こっちの方が大量の情報を処理できるんです」
「そんなほいほい節操も無く」
「版権を気にしないでいいのがSSのいい所ですね。
ウチには腕のいいメカニックがそろってますから。
残り174秒。160秒の段階で接続を開始します」
「第11ウインドウボール スタンドバイ」
「第12ウインドウボール スタンドバイ」
「第14ウインドウボール スタンドバイ」
「第15ウインドウボール スタンドバイ」
「遅れました。第13ウインドウ スタンドバイ」
「全ウインドウボール、スタンドバイ」
エレベータが、ゆっくりとあがり始める。
腕を組んでそこにそびえ立つ1人の教師の姿が合った。
エレベータが揺れて、止まる。
「残り166秒。 “ラスト・ミラクル”スタンドバイ。」
「空間接続用意。最終減速開始。降下用意!」
「降下用意 時差調整トリムよし」
「降下用意 倍率ドン。2045倍速から減速開始します」
「七つの世界最後の希望とかなんとか、ぶっちゃけ人として失っちゃいけないいろんなものをあなたに託します」
「うわっ、なんていい加減な」
「そこはいい加減な世界観のお話ですから。なお今回もマニュアル発進でお願いします。空間接続用意。最終加速開始」
「降下用意 全準備完了」
巨大なトンネルのはるか遠くから、明りが、次々と点灯を開始する。
赤いランプが3 2 1 と点灯する。
「よーい。どん」
次の瞬間、祐一は「くそっ、覚えてろ」と叫んだ後、クラウチングスタートの体勢から地面を蹴った。
足元の粉砕バットを拾って全力ダッシュ。
2秒で16km地点を突破し、5秒で180km地点を突破する。
ちなみにカタパルトの支援はない。(マニュアルだから)
白煙を残してあっと言うまに見えなくなった。
都市船・シルチス
『残り127秒』
「そこまでだ! 簡単な公式って奴を教育してやるぜ!」
「何処の誰だ?」
「馬鹿です」
「そんなもの見れば分かる。 何処の馬鹿だ?」
「誰が馬鹿だ! 俺ほど頭のいい奴はいない!」
やって来て早々絶技シールド突撃を放つ。
「あれー」どっかーん
「のー」どっかーん
「うぉっ」どっかーん
金髪リーゼントをぼろぼろにしてアーサーは言った。
「くっそー 溜め無しで絶技撃ちやがって」
「ギャグと突っ込み用の絶技は溜め無しで打てるルールを失念していたお前の負けだ。
おとなしく務所に入れ」
「どうかな? 爆破スイッチは俺の手の中にあるんだぜ?」
ユウイチは粉砕バット"No.666_ルリ様"を振り子打法でフルスイング。
「Noっ!」っと悲鳴が上がる。
「な? 終わりだっただろ?」
「くっ、生意気なガキだ」
「おれは22だ」
年齢を低く見積もられた東洋人の怒りの足の裏を受けて今度こそアーサーはぶっ倒れた。
『残り52秒』
「楽勝だ。 介入終了、これより帰還する」
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