「年明けですから一応、年賀状出しましょうか。
ついでに、今後の予定なども聞いておきましょう」
こうして大ルリはアキトに年賀メールを出し…
「……こういう慣習に意義は見出せませんが、まぁ…出しましょうか。
ついでに、料理の事も聞いてみましょう。ちょっと、興味ありますし…」
こうして小ルリもアキトに年賀メールを出し……
【……フフッ……】
そして、誰かがワラった・・・
『光と闇に祝福を』三次創作 年賀SS小ネタ
年の初めに○○レター
【メールが〜来てるよ〜〜】
ナデシコ出航から少し経ち、ミスマル・ユリカが軍を挑発する事になる、その日…
目を覚ましたアキトの元へ、20通近くのメールが殺到していた。
「多いな……ん? そうか、年賀状か。
思兼、差出人を読み上げてくれ」
【了〜解。まず、明日香からカグヤ・オニキリマル+三名、アメジスト・テンカワ、シノダ・ツバキ、シノダ・アイ】
「アタシ達、十把一絡げ?」
「所詮は脇役、という事なのね…」
「それは言っちゃ駄目よ。悲しくなるから…」
【他からは劉・紅玉、オガワ・トウジ、オガワ・サチコ、(姓不詳)シゲル、アクア・クリムゾン、シェリー♪】
「うぉぉぉおおおん!!
俺にも名字をくれ〜〜!!!」
【艦内からは…】
「ちょっと待て! なんでアクア・クリムゾンとシェリーから来てるんだ!?」
(というか、シェリー『♪』ってなんだよ…)
【え…? お正月だからじゃないですか?】
「いや…そういう事じゃなくてだな……まぁいい。削除しといてくれ」
「しくしくしく…」
「しくしくしく…(アクアの真似)」
【はい…削除しました。では続いて、艦内からのメール差出人を読み上げます】
「ああ。頼む」
…結局、艦内からも親しい人達全員から年賀状を貰ったアキトだったが……
【…その他に“送信元不明”のメールが一通あるのですが…】
「不明…? 誰からだ?」
【ルリルリ、となっています】
(ルリルリ…ルリか、ルリちゃんか?
送信元不明というのは、解らんが…)
「開くべきか…いや、もしウィルスだったら……
でも、思兼のチェックを通ったから届いたんだよな?
…よし、開こう」
余談だが、艦内・艦外の通信は思兼が一元的に管理している。
その為、ウィンドウ通信以外の音声通信や電子メール等も、一度思兼を通す端末…コミュニケが使われていた。
そのコミュニケを操作し、アキトは少し怪しいメールを開いた・・・
新年明けましておめでとうございます。 昨年は『宜しくお願いします。』 『今年は』有難う御座いました。 |
「・・・なんだ? このメール…今年が終わって、去年が始まってるぞ・・?」
こんな事を『年賀状で尋ねるのもなんですが、』 今後の『料理』予定などを確認します。 |
「こ、今後の料理予定? 俺の? …何かあったかな?」
まず『基本は、目玉焼き』突破ですね。 問題は『焼き加減』の対処ですが… |
(俺……馬鹿にされてる?
いくら料理から離れていたって、流石にそれくらい…)
これはエステバリス『教えてくれれば、なんとか出来る』と思います。 |
(って、何故そこでエステバリス?!
それとも、まさか……出来ちゃったりするのか!?)
アキトの脳裏には、ごっついフライパンを持つエステの姿が…
何とも、シュールな光景ではある。
その次は…『ゆで』コロニーですね。 |
「茹でる?!」
ナデシコでは『どの位茹でればいいのか、難しい』と思いますが… 取り敢えず、『基本習得のために』こっちでどうにか『出来ないかと』思っています。 『テンカワさんは』サツキミドリ『をどう茹でれば』良いと思いますか? |
(テンカワさん…? という事は、コレを書いたのはルリちゃんの方か!)
「まさか、ホントに茹でたりしないよな……
だ、大丈夫…だよな」
ナデシコでどうやって茹でるのかとか、何の基本なのかとか、色々突っ込む所はあるが…
アキトは取り敢えず、メールを読み進める事にした。
『そう言えば…』サツキミドリにはエステが有りましたけど、『どのくらい塩を振れば良いんでしょう?』 |
「…ぶッ!!」
(や、ヤる気だ。ルリちゃんは本気と書いてマジと読むくらいヤる気だ…!
どうすればそんな事が出来るのか解らんが、ルリちゃんを止めないと……)
アキトには見えていた。
『魔女の大釜』とでも言うようなモノで、コロニーの模型を茹でる無表情なルリが。
・・・無論、幻覚であろうが。
『さて、茹で』サツキミドリは『そんな感じですが』… そこを抜けたら、暫くは『チャーハンですかね?』 |
(ルリちゃん…ふ、普通に戻った?
でも、サツキミドリ抜けたら暫くチャーハンって、なに?)
ここで注意すべき点は、女性『を切る時』にむやみやたらと『手を切らない』事。 |
(さ、更に壊れてる――ッ!!)
アキトの混乱は重力加速の64倍程の加速度で深まっていく…
女性『を扱う際は』気を付けないと、前回のような女難『…でいいんですか?』 |
(・・・いや、そんな事俺に聞かれても…アレ? 何で俺が逆行者だと……
ルリちゃんには話していないはずだけど…?)
『それから、』ラピスがヤマダさん『炒めるのにも』注意が必要ですね。 「ゲキガンフレア〜」とか言って、『手を焼かないように気を付け』ないと… |
「なにぃ!?
そんな…まさか、ラピスまで……」
(何故だ!! やっぱり、俺の復讐に巻き込んだのが教育に悪かったのか?!)
『その先はいよいよ、』火星『ライス』ですけど… |
(火星ライス…? 今までの文からして、まさか……
火星食べちゃいますか!? ご飯にのせて!?)
ここまで読み進めたアキトは、とうとうテンパり具合がMAXとなっていた。
そのメールに書かれている事が全て本当のことだと信じるくらいに…
ジャンパー…いえ、その事はまたいずれ相談しましょう。 『でも、折角ですから“テンカワさんの味”が欲しいです。』 |
「……がーん」
(俺…狙われてる!?
ど…どうしよう、どうしたら、どうすれば…)
それではこの辺で失礼します。 ルリ |
メールを読み終えたアキトは・・・
ドサッ…
ベッドに倒れ込んでいた。
「ゆ…夢、だよな。
たちの悪い初夢…いや、初夢は元旦に寝たとき見る夢だったか?
ともかく、もう一度寝よう。起きればあの<謎の年賀状>も無くなってるさ」
目覚ましのタイマーを二十分送らせてセットし、アキトは再びベッドに潜り込む。
・
・
・
そして、目覚めたとき…あのメールは無くなっていた。
代わりに、ルリ・ミルヒシュトラーセとホシノ・ルリからの年賀状が来ていたのだが…
その事にアキトは安堵し、すぐにソレを忘れていく…しかし……
アキトは気付かなかった。2通の年賀状と、謎の年賀状の共通部分に。
…ソレを読んでいたとき、撮影されていた事にも・・・
後日談その1
「あ、テンカワさん、味見――」
ダダダダダダ・・・!!
「あ…」
「おや、ルリ坊。どうしたんだい?」
「ホウメイさん…実はまた・・・」
「ああ…ルリ坊が味見って言った途端に逃げ出したって?」
「はい。ホウメイさん、お願いできますか?」
「解ったよ。まったく…しょうがないねぇ、テンカワも…」
「仕方ないですよ。なんでも、お正月に物凄い悪夢を見たとか言ってましたから」
後日談その2
――某所――
「ふふふ……驚愕のアキト・テンパったアキト、げっと。
混ぜメールに気付いてないみたいだし…
アキトのメールボックスにハッキングした甲斐があった。
めったにない表情だから、アメジストにも見せないと…
コレをカグヤに渡して、お年玉貰うのも良いかも」
終わっとけ。
ちゃんちゃん♪
<後書けば>
むぅ・・・年末年始をMXで潰してしまった…
既に年が明けて一週間以上…最早年賀には遅いですね。
しかも、年賀モノですらない気もしますが…
取り敢えず、SS…ではなくて、小ネタの投稿です。
ナデシコでは、少なくともルリは求められてる…との事で、ルリをネタに。
ルリがアキトと過ごした数カ月で料理に興味を持ったというIF設定…本編でもお弁当貰ってたりしましたし。
…とは言え、あまりルリと関係ないような話に…
ラピス誰かが壊れてますが、そこは見なかった事に…
これを読んでクスッとでも笑って頂ければ感無量。
タイトルは「年の初めに混信レター」を予定していましたが…
むしろ「電波レター」とかかな…?
メールの中『』で括られてる部分が小ルリの方のメール、それ以外が大ルリのメールでした。
さて…ではそんなとこで、書き逃げます。さよ〜なら〜〜