シナリオは若干遅れ気味で進んではいる。
それ以外はなんら問題はなかった。
ただ、この遅れが致命的な問題にならなければ良が・・・。
そう考えながら猫は地球まで乗ってきた艦の中で格勢力の拠点を
ハッキングし、監視をしていた。
プロローグ4 −始まりの花は二度咲く−
テンカワ・アキトがユーチャリスに乗り復讐の旅にでてから数日。
戦闘特化に遺伝子操作されたショウマは研修という形で
数ヶ月、パイロットとして連合宇宙軍戦艦「ライラック」に就任することになった。
ライラックのブリッジ内。ライラック艦長が挨拶をしていた。
黒髪の優男であり、いわゆる今時の艦長スタイルであるが、
戦争中は木連の艦長でもあった男。いわゆる優人でもあるのだ。
「遠いところお疲れ様です。ライラック艦長アララギです。よろしくお願いします。」
「サラシナ ショウマ パイロットです。よろしくおねがいします。」
そう少年が緊張気味に答える。
「もっと、楽にしてもらってかまわないよ。そうでないと緊急時に疲れてしまうからね。」
そう優しい声で気遣うも
「はい。心遣いありがとうございます。」
少年のほうはなかなか堅苦しさ消すことができない。
「そうだ、ショウマ君は、電子の妖精をしっているかい?」
「電子の妖精・・・ですか?」
「そう、史上最年少の美少女艦長ホシノ・ルリ。彼女のことを、電子の妖精。
そう兵士達がいいだしてね。」
「えっと、名前ぐらいしか。」
なんでそんなことを言うのか不思議に思いながら少年が答える。
「おお、そうかでは、まだ見たことないんだね。よし、折角だ顔くらい覚えておくといい。」
「はぁ。」
そうボンヤリ答えるとアララギはショウマに近づきながら端末をとりだし、
ホシノルリの映像を投影する。
「おお・・・!!カワイイですね。」
そう少年が声を漏らす。
「そうだろう、そうだろう、まさに可憐。君にも妖精のよさが分かってもらえて嬉しいよ。」
「ええ、ええ、こんな美人なかなかいませんよね。」
そう、元気よく答える。
「そうか。では、もしよければ電子の妖精ファンクラブに入らないかい。」
「あるんですか!是非とも入れてください。」
その後、少年と青年は意気投合し、電子の妖精の話題で盛り上がったのは言うまでもない。
∽
その頃ナデシコCのブリッジでは・・・。
「ばかばっか。」
「え?艦長なにかいいました?」
「いえ、なんでもないですよハーリー君。すこし独り言を無性に言いたくなっただけです。」
「独り言ですか・・・?」
そんな独り言をルリが言ったとか言わなかったとか・・・。
∽
ショウマ就任から数週間が過ぎ、
火星の衛星軌道上にいた連合宇宙軍戦艦「ライラック」に緊急援護通信が入っる。
ライラックはそのまま援護に向かうも、ライラックからさらに外回りを回っていた基地は
すでにほぼ壊滅状態にあった。しかし、そこに7つの人型兵器の影が映る。
1機は真紅の、あとの6機は灰色であった。
「こちら、ライラック座標、犯人と思われる不審な人型兵器7機確認。
拿捕せよ。抵抗する場合撃墜も許可する。」
「了解!」
ショウマを含むエステバリス2のパイロットたちが声を合わせ転送された
座標データのほうへ向かって闇を駆けて行く。
「いた!赤い奴。」
そうショウマが確認したと思っうと、
いきなりこちらに向かってデストーションアタックを仕掛けてくる。
「ちぃ!」
ショウマは何よりも速く人を超えた反応をするが、エステバリス2はそれについてこれない。
それでも何とか回避することはできた、が無理な体勢でそれを戻すに時間がかかってしまい
反撃のタイミングを失う。
(コイツ、すごい嫌な感じがする。)
そう体勢を立て直しながら、ショウマは思い出していた。
家を失ったときにもに感じた狂気ともいえる殺意を。
(まさか、コイツ!)
そう思うと赤い期待に通信を無理やりつなぐ。
「やはりホクシンか!」
ショウマが怒りを込めるかのように名前を叫ぶ。
「こんなところで出くわすとはな、実験体。貴様に奪われたこの左目、
記念に貴様と同じ赤い眼で再生させてもらった。」
そう片目が赤い男が言うと、灰色の機体が襲い掛かり、
いくつかかわすもそのまま、ボールが跳ねるように飛ばされる。
「ちぃ、機体の反応が遅すぎる!」
イラツキながら今一度体勢を立て直す。
「ふふ・・・どうした。実験体。自慢の戦闘能力にマシンがついてこないようだな。」
ニヤリとわらいながら北辰が言う。
その間にも味方が撃墜されたという情報が次々とショウマのコクピットに入ってくる。
(くそっ。落ち着けショウマ。コイツは反応速度を優先にカスタムしてあるんだ。
スペック的には十分コッチのほうが速いんだ。
機体がついてこないならコッチが機体に合わせないと。)
そう自分に言い聞かせる。しかしIFSは脳に直結してるともいっていい操縦方法。
生まれつきの戦闘能力でエース級の操縦であるとはいえ
エステバリスには最近乗ったばかりの彼には簡単に調整などいかない。
それに相手が一流のパイロットで複数いるのならなおさら一方的になるばかりである。
そしてディストーションフィールドがほとんど切れそうになると、
ここぞとばかりに赤い機体が体当たりを仕掛けてくる。
「これは、かわせない!!?」
そう思った瞬間
黒い影が一瞬あらわれ、赤い機体を弾き飛ばす。
突然の乱入。両者は驚いていた。
(この機体・・・、ネルガルで一度だけ見たことがある。たしか・・・ブラックセレナ。
ということはテンカワ・アキト!)
すると音声のみの通信が入る。
「ここはいい。ヤツらは僕が倒す。君は部隊のメンバーを回収して戻りなさい。」
低く落ち着いた声であった。
(むぅ!だが・・・ええい、くそ!)
自らの現状をしり、言われることが最優先事項と理解するも
それをすることに対してなんともいえない悔しさと不甲斐なさであふれかえる。
「ショウマ機、撃墜された隊員を回収して帰艦します。」
と、苦虫をすりつぶしたかの様な表情で母艦に連絡をする。
(くそぉ・・・!!)
そう心の中で叫びながら黒と赤と灰色の影は闇の中へ消えていくのを見つめるのであった。
∽
それから数ヶ月後、事件は起きる。
地球連合宇宙軍第三艦隊所属 戦艦「アマリリス」
ブリッジに女性の声で、シラヒメ応答してください。と何度も声がかかる
それに重なり投影されたモニタに反応が起こる
一人の男性が、ボース粒子増大。と報告 その後スクリーンを拡大させると
そこには識別信号なし、確認不可能とかかれた文字に何かが移っている。
それを確かめるように黒髪優男な艦長が、センサー切り替えと言うと
最大感度でうつされるもはっきりとは映らないが、人型兵器にも見えた。
「なんだ?なんだアレは?あれはいったい・・・」
そう、言ったのはアオイ・ジュン中佐であった。
∽
リッチなつくりの部屋で、ロンゲの色男と猫がお茶をしていた。
「んー見つかちゃったねぇ。黒い王子様。」
そう、カップのティーをすすりながら男が喋る。
「もっと早く見つかるかと思ったのだが、意外と王子様もなかなか。
しかし、ロボットに幽霊をつけるとはなかなか洒落てる。」
そういいながら尻尾から伸びたワイヤーを操りカップのティーをすする。
昼の暖かい日差しが入る部屋の中、男と猫のお茶会は続く。
「で、連合宇宙軍は蚊帳の外。事故調査委員会と統合軍の合同調査はやる気なし。ですか?」
「おやおや、その理由を知ってる人がよく言うねぇ。
でも、少佐の気がかりはもっと違うとこにあるように思うけどねぇ。」
「フフフフ、さすが優秀な会長さんだ。よくお見通しで。まぁただの杞憂であればいいんですが。」
「そうだねぇ、少佐が悩むほどだそんな面倒ごとはおきてほしくないねぇ。」
「時に、ナガレ君、花と妖精を出してもらえたかな?」
「もちろん、ナデシコBにはガス漏れ検査しにいってもらったさ。」
そんな話の中、ナガレのとこに連絡が入る。
少しの間話し、終えるとカップのティーを飲み干し
「どうやら、火星の後継者が本性を表したようだねぇ。」
フムといったかんじで流し目で猫をみる。
「では、少し忙しくなるか。まぁ我々はあとは覗いてるだけだが。」
と答えると、尻尾にワイヤー式マニュピュレータをしまいくねくねと尻尾自体をくねらしていた。
「いいねぇー気楽で。」
「でも、楽しい同窓会なんだろう?いいじゃないか。」
「ただどちらかというと、僕は彼らにとって悪者だからねぇ。」
やれやれといった感じで答える。
「そうか、なかなか上に立つものはつらいな。
ああ、そうだ後で小型の人用ディストーションフィールド発振機を渡しておこう。」
そうニヤリと笑う。
「じゃ準備しますか。」
∽
墓場。イネス・フレサンジュの名前のある墓の通路の石畳の下。
テンカワ・アキト、ホシノ・ルリ、そして北辰がそこに向かうという情報を手にした猫は、
丁度、自分の力で持ち上がる石畳の石の下、地面の中にこっそり隠れていた。
そして、温度センサ、Xレイのセンサで監視していた。
ここでテンカワアキト、ホシノルリに死なれては計画がパーになる。
そんなこんなで見張りにきたものの、別の護衛をナガレがだしていたようだ。
まぁ数が多いことに問題はない。そのまま自分も加勢するまでと思っていたが、
彼の誤算はここで起きる。
テンカワ・アキト、ホシノ・ルリ、ハルカ・ミナト、3名が墓の前にそろい
黙祷を捧げると、北辰一味があらわれる。アキトが発砲し命中するも無傷。
そこにシークレットサービスの月臣 元一朗が現れる。そこまでは良かった。
唯一つ、重さ的に上げられるピッタリの石畳の上に男が立ったこと以外は。
猫は飛び出そうとするが石畳の石はあがらない。今一度試すが上がらない。
(あ、あがらない??計算まちがえたのか?)
そう思い猫がセンサーレベルを上げ真上を見上げると、男の足、そして体が見えた。
(な・・・! つ〜〜き〜〜お〜〜みぃ〜〜〜)
男一人の重さでピッタリ持ち上がる石にしたために、
まったくをもって持ち上がらなくなってしまったのだ。
そんなこんなで、遅れてでるのもカッコが悪いのでバレないように、
北辰にあわせてボソンジャンプで艦に帰ったのは極秘事項である。
ちなみにボソンジャンプで地面から外に出なかったのは
小型ボソンジャンプの存在を隠したかったからである。というのは、
そのとき彼がそれに気が付かなかった故のイイワケでもある。
∽
この後の計画は、勝手にナガレの計画で回っていたので異星組は高みの見物。
ついでに猫はショウマも呼び戻していた。
彼用の超高速反応の機体を実験的に作製するためでもある。
そうしてこの事件はクライマックスを迎える。
雪の火星、高い崖の上でナデシコCを見あげる3人と1匹の姿。
「すばらしいな、私の頭脳までナデシコは侵入してきたよ。危うく乗っ取られるとこだった。」
そう猫が言う。
「大丈夫なんですか?」
そういいながら、双眼鏡を緋色の眼をした少年が、特殊交渉士の少女に渡す。
「対抗すると存在がばれるから、電子頭脳の半分と通信系のすべてをオフにした。
あとは生きた脳で何とか。さすがに生きてる脳にまではハッキングできないさ。」
「あー、あれ、なんか7機、敵がきましたよ。」
そう言って少女、同じ指が6本の短髪長身の男に双眼鏡を渡す。
赤いのを先頭にして灰色が6機。
「どうやら、来たようだね。北辰が。どうするショウマ君出撃するかい?」
そう、猫が彼に顔を向け問うと、
「いえ、やめときます。奴は、もう彼の得物ですから。
もし彼が負けたのなら僕がでますけどね。」
そう、言うも拳を強く握り僅かに震えている。
「ふむ・・・そうか。そしてその王子様の登場。いい演出だ。」
そう彼の震えに気づきながら気づかないように戦場を見つめる。
そうして、アキトは北辰を倒し草壁春樹の逮捕そしてミスマル・ユリカの救出。
これで火星の後継者事件は幕を閉じ、すべての元凶はさり終わるはずだったのだが、
そうは問屋が卸さないのが世の常か・・・。
ナデシコCの電子制圧も解除され火星にいた3人と一匹はすべての機器をオフにしていた艦を
起動させていく。すると通信が入る。
それは遥か彼方、彼らの故郷ハイドランジア連合から通信であった。
ブリッジでチェックをしていたネメシアが大声を上げて急いで猫少佐に連絡をとる。
「た、た、たいへんです!!ハイドランジアからの通信です!!
先ほどの大量ボソンジャンプで敵に遺跡の場所がこの地球圏内だとバレたとの報告です。
9ヵ月後、9ヵ月前後にこの太陽系につくと予想されます。」
それを聞くと、猫は真剣な顔になる。
そしてそのまま無言でブリッジに行き、ナガレに連絡をとることにした。
ブリッジに大きくナガレが映し出される。
「いやぁーご苦労様。作戦大成功。死傷者も最小限ですんだよ。」
そう上機嫌ででるナガレ。
「すまない。すべて丸く収まらなくなった。
むしろ、最悪な事態になる可能性がでた。」
そうフロックスは真剣に言う。
「何か、あったのかい?」
不思議そうに聞くと。
「ああ、ワケはまた地球についてから話そう。
わざわざ我々が君らの遺跡の使い方に口を挟んだ理由をだ。」
∽
暗い部屋に男が4人、女性2人、猫が一匹、集まっていた。
真ん中に連合宇宙軍提督の、御統・コウイチロウが座り、
そのとなりにはチョビヒゲのプロスペクターが立っている
右にネルガルメンバー、ネルガル会長のアカツキ・ナガレ、その秘書のエリナ・キンジョウ・ウォン
そして、パイロット兼ネルガルシークレットサービスのサラシナ・ショウマらが座っている。
一方、左にはハイドランジア連合のメンバー
特殊交渉士、ネメシア少尉に、軍医兼艦制御士のアリウム少尉、
そして特別捜査官で、機械仕掛けの猫、フロックス少佐が座っている。
「しかし、異星人とは信じがたい・・・が、今までの映像を見るとそう理解するのが正しいな。
遺跡もあることだ。」
そう鼻の下に立派なヒゲをはやした御統提督が発言する。
「ええ、ええ、私も驚きました。猫が喋ってディストーションフィールドを張ったときは
信じるしかなかったですよ。」
と、丸めがねをさわりながらプロスペクターも同意する。
「今までのヒサゴプラン打破の作戦は半分、彼らの元で動いていたといってもかまいません。」
そう、クールな秘書のエリナが発言。
「で、君たちはどうしたいのかね?作戦が成功したあとにわざわざ特使が我々に挨拶するとは
なにかあるのではないかね?」
「ええ、そのことでお話があります。我々とこの地球の運命を賭けた戦いになるでしょう。」
そう、特殊交渉士の女性が言う。
「分かりやすく、我々のことから話したほうがいいでしょう。では少し長くなりますがお聞きください。」
そう、猫が喋る。
猫は長い話を淡々と語る。
ハイドランジア連合。それは昔から遺跡を利用して高度な技術をもつ生命体との交流を図り、
連合として組織化した、地球から遥か彼方の遠い遠い宇宙の一角です。
しいて言えば私と、隣にいるネメシア、アリウムとは違う星の生まれです。
分け合って私は彼らの母星フィソステギア星の登録になってますが、
生まれた星も生命の種としても違います。
ですが仲良くこうやって任務を遂行することができます。
しかし、沢山集まればまた仲良くできないこともあります。
その中でもその遺跡を自分たちの物にしようと思う人達も沢山います。
実のところ遺跡は我々も誰が作ったのかは今だ不明。
いくつか宇宙に存在してるようですが我々が知っているのは地球と我々の所だけです。
その遺跡を我が物にしようとする者を止めるために
幾度も法律やら条約やらで取り締まったりもしましたがなかなかうまくいかず、
今回の火星の後継者のような事件が度々我々の連合でも起こりました。
そして戦争が起きれば沢山の人が死にます。
それはここよりも科学発達した我々の星でも同じこと。
私の体を見て分かりますが、私も体をほぼすべて戦争でなくしました。
運良く、脳が生きてたのでこの機械の体で生きてますけどね。
まぁそんな争いの中で元凶がなくなってしまえば平和になるのでは?
遺跡が無くなればすべてはリセットされ死んだ人間も生き返るのでは?
などと考えるものたちが現れました。戦争で悲しんだ者は多く、
何をしても平和に暮らしたいと願う者も多く、
この騒ぎはとうとう戦争になりました。それは恐ろしい勢いでした。
なぜなら、戦争で自分たちの目標が達成すれば死んでも蘇ると信じて
戦いだしたからです。それに遺跡が無くなれば平和になるという考えは
正しい事の様にも見えます。ただ問題があったのです。
それは生命の起源についてです。我々の生命の誕生にあの遺跡が一役かっていたという
事実がわかったのです。つまり、遺跡を破壊すれば生命の誕生すら無効になってしまうという
可能性がでてきたのです。それを察知した我々も必死に戦いましたが、
すでに沢山の民が真実を失い狂気に惑わされたために守り切れず、
結局我々の遺跡は破壊されました。しかしながら唯一我々の存在の可能性を救う方法がありました。
それは、遺跡に納められたデータを移動させる方法。
しかし、我々の技術でも遺跡のデータを保存するなんてことはできません。
ですが、遺跡のデータを遺跡に移すことは可能とわかりました。
別の遺跡の存在の可能性は高かったので必死に我々は探し出し、
そしてようやく探し当てた遺跡がこの地球圏、火星の遺跡。
我々の遺跡を使いこちらの遺跡にリンクしてすべてのデータを移動させることが
破壊前にでき。最悪の状況は免れました。
そうして戦争は終結、無駄に血を流しすぎたこと、それを後悔し静かに幕を引きました。
しかし、何人かの人は諦めず、リセットされない理由を探り当ててしまいました。
幸いにも、ここの遺跡の場所まではその時彼らは知ることはできずにいました。
それから時がすぎ、遺跡の一部を再生することができこちらの様子を監視
すると、イレギュラーなデータを観測。それもかなり大きく異質なデータとして現れました。
最悪なことに逆算すると何処で飛んでるのか分かってしまうデータであり、
こちらの遺跡の存在場所を敵に知られてしまうことにもつながると判断され
我々が派遣になりました。原因の断定及びその原因の解消のため。
そして、今回その原因は解消されすべては内々に終わるはずでしたが
最後で最後に、残念なことに火星の後継者の大量ジャンプ
あれのデータが膨大で敵にバレたと報告が入りました。
そう、長々と淡々と彼が話し終わる。
「つまりは、遺跡を巡ってこの太陽系を異星人が攻めてくるということでいいのかね。」
そう提督が低い声で冷静にいう。
「そういうことです。こちらの問題を持ち込んでホントに申し訳ない。」
そう猫が謝る。
「つまり、僕らは圧倒的な技術差のある敵と戦争をしないといけないってことだね。」
そうロンゲの会長が言う。
「その通りです。その為に我々の計画に協力していただきたいのです。」
そう、水色の髪のネメシアがお願いをする。
その真剣な眼差しを御統提督は見るも
「しかしな・・・その言葉何処まで信じていいのかもわからんしな。」
と考える。そこにロンゲが助け舟を出すように
「まぁ、でも今回のユリカ嬢奪還の作戦が成功したのはほとんど彼らの功績といってもいいですし
それに、彼らが本気を出せば、遺跡だけかっぱらって逃げるってことも容易でしょうしね。
それをせずにこうやって頭を下げにきてるんだから、信じて見てはどうです?」
そう、ちらりと横目でハイドラシアチームを見ながら発言すると、
「そうか・・・ユリカ・・・ユリカ、ゴメンネ。パパは早くユリカに会いに行きたいのに
会議が入ってしまって。ゆ〜り〜かぁ〜。」
そう泣きながら提督が暴走しだす。
「えっとーそうですね・・・返答は三日後でよろしいです。
敵が来るのは約9ヶ月後になりそうですから・・・。アハハ・・・・。」
暴走する提督に引きながら言葉を返すネメシアであった。
∽
三日後、協力の許可はでた。すべての計画は敵が表に現れるまで極秘裏に進められることになる。
遥かに強力な異星人に対抗するための兵器の開発が急ピッチ始まることとなる。
しかし問題がここでも発生する。
計画の最大の要、ハイドランジアでも通用するほどの新造戦艦建造についてである。
僅か9ヶ月でという非常に短い期間。しかもナデシコB,Cを建造したばかりである。
お金、人材、材料、を集めるのだけでも洒落にならないのである。
そこで、猫の目に止まったのは回収されたばかりのボロボロではあるが最高の材料で建造され、
以前は最強の戦艦と呼ばれたナデシコAであった。これを元にあらゆる新技術、異星技術を
フルに投入した戦艦を造るというのである。
ナデシコAには彼らが地球に来るのに乗ってきた艦のパーツまでもが大量に使用された。
そして、もう一つ、新型機動兵器の開発も行われた。
新技術や、異星での戦闘方法、武装が取り入れられ、一新されることになる。
一つは、人型を捨てて、母艦級の火力でありながら高機動をもち
人型汎用兵器の支援から単機強襲までを行い、作戦の幅を飛躍的に広げる機動兵器、「デンファレ」
もう一つは基本おなじみの人型ロボット。
フレームは同じでも各パイロットに合わせた兵装や戦い方をあわせつつ
地、空、宙に対応した究極の人型汎用兵器、「エステバリスMk−Vシリーズ」
結局のところどれも量産できるような代物ではなくなっていた。
そんな忙しい中人手不足を解消させていたのが猫によって大量新造された虫型ロボット
通称「ジョロン」である。見た目はジョロであるが陸海空宙まで汎用に動き
そのタイプによってさまざまな作業をする。戦闘からお茶汲み、艦の修理まで。
もちろんナデシコAにも大量に乗せる。
人を沢山乗せるというのはやはりその分生態維持がかかってしまうからである。
特に長距離航行をして、いつ補給できるか分からない様な場合には、
いつでも補給できる電気だけで動いてくれるロボットのほうが都合がよいからである。
そして、8ヶ月後ネルガルのメンバーによってもう一つの準備が進められた。
アンチジャンプの設置である。名前の通りボソンジャンプを封じるフィールドを張る装置。
これはハイドランシア連合の技術をまんまコピーした代物である。
いきなりボソンジャンプで遺跡の目の前につっこまれたり、地球に攻め込まれないための物で
計画の要ともなる最重要課題である。幸いにも木星と火星の間に岩石の群れ、
小惑星帯があったためにそこに約126個のアンチジャンプを隠すように設置された。。
すなわち、全アンチジャンプが作動すれば小惑星帯の外から内に飛ぶことも、
内から外に飛ぶことも、内から内に飛ぶこともできなくなるということになるのである。
お陰で、ボソンジャンプ不可能という混乱を引き起こすこととになり、調査にでた艦が多数。
ナデシコCもその艦の一つである。アンチジャンプが理由と知っていたナガレだが
知っているということを隠すためにもあえてナデシコを出した。
そしてそれが幸いして早期の敵の発見につながる。
敵の行動は迅速であった。どうやらこちらに来る前にハイドラシア連合に叩かれたためか
かなり負傷しているようで、まず彼らは修理や製造の可能なプラントを占拠した。
統合軍が戦うもあっけなく惨敗。そして、一部の統合軍が裏で何か取引をしたのか
彼らと手を組みだし、リセッターとして宣戦布告。
その後2ヶ月ほど静かにしてると思いきや突然艦隊を火星に向かって出した。
それを阻止するために連合地球軍は艦隊を送り出す。
そして不運にもナデシコCもその戦いに巻き込まれることになる。
そのナデシコCが最前線に立つ少し前のネルガル月支部の月宙域。
「どうだ?ショウマ。」
そう人型機動兵器のコクピットに猫の映像が投影される。
「これ、すごいですよ。どの機体も僕の動きについてこれなかったのに
このMk−V、完全についてきます。これならいけますよ。」
「そうか、では次、ディストーションミラージュのテストにいくぞ。」
「はい。」
「いいか、さっきも説明したが、ディストーションフィールドの応用で
そいつは、攻撃を捻じ曲げるのでなくあらゆるセンサーに使われる波や粒子だけを捻じ曲げ、
虚像を作り上げセンサーを誤認させるフィールドだ。
もちろん、そのままだと中から見てるほうも虚像を見ることになる。
そこで、フィールドと同期を合わせ味方のみ正常に表示させる。
その同期合わせをディストーション・ミラージュ発生30秒後に行う良いな?」
「了解。では、3、2、1、オン」
返事をし、カウントダウンをしたショウマはスイッチをオンに。
すると、通信は消え、エネルギー供給外になりバッテリー使用のマーク表示
そして時間が秒単位でカウントされる。周りの映像をみると
周りの景色が突然移動したり、消えたりあっちゃこっちゃに映りだす。
そして、30秒が過ぎ同期をあわせると通信が入り、自らの見ている景色もさっきと同じものに戻る。
「これはおどろいたね。同期合わせる前までショウマ君のエステバリスが分身してるように見えたよ。」
そう、ロンゲの会長ナガレが通信に割り込んでくる。
「そっちはしっかり見えているか?」
猫がデンファレから通信を出し確認する。
「ええ、しっかり見えます。」
ショウマが答えると
「こちらも、しっかりと確認できますよー。」
とナデシコからのネメシアの顔が投影され、
ショウマのコクピットは投影された映像でいっぱいになると。
「あ、キャッチが入っちゃった。それじゃまた後で。」
とナガレの画面が落ちる。
そのまま数秒テストを繰り返していると。ナガレの画面が映る。
「まずい連絡がはいった。、リセッターが動き出し、それに対抗して連合地球軍も動いた。
それにナデシコCにも参戦の要請をだしたらしい。」
ナガレがそう伝える。
「そうか。よし、作戦をCからDに移行。このままナデシコAplus、テスト中だが出航準備。
一部未完成だが資材を組み込み次第完成させながら戦闘予測宙域に向かう。
ネメシア各員に出航命令を、集合時間は12時間後だ。」
すると猫がキリリと声をはらして言う。
「了解しました。」
∽
ナデシコAplusは13時間後出航した。
ナデシコAplus外見はほとんどナデシコAと変わらないが
スペック、内装は大幅に変更された。
新型の相転移エンジンに高圧縮グラビティブラスト
桁違いに強固なディストーションフィールドに
空気を艦の外回りにも留めて置く大気フィールド
さらに、対相転移砲用の逆算相転移フィールド発生装置
ジョロン、デンファレ用の専用ゲート及び整備室なども造られた。
それ以外にもさまざまな兵装システムが組み込まれた。
もちろん、オモイカネ用のハードウエアも一新された。
ただし、オモイカネは現在ナデシコCにあるのでベツのOSが現在は入っていた。
また、ブリッジも大幅変更された。元々ブリッジ部分がなかったこともあり、
この部分は大幅に変更されたが、ナデシコCのようにワンマンオペレーションシステムで
動かすのではなく複数の特化技能者によって動かされるようにされていた。
これはエステバリスMk−Vシリーズがパイトッロにあわせて造られているように
始めから乗るメンバーを想定して専用に造ったのである。
そして、戦闘中域に入る頃には、ナデシコCは壮絶な艦隊戦に入っていた。
「このまま、先に出るぞ!ショウマ。」
「エステバリスの加速で間に合いますか??」
「デンファレにMk−Vに乗せていく、デンファレでならこの距離なら速い。」
そう猫がいうと自分専用のコクピットに入る。
「おまえらー退却だ!。デンファレ、Mk−Vがでるぞぉーーー。」
そう倉庫の中でメガネの痩せこけた男が叫ぶ。
武装コンテナがボディの大半を占めるデンファレが最大加速でMk−Vを乗せて敵陣に向かう。
「ルリ少佐ぁー。今から助けに行きますからねぇーまっててくださいよぉぉーーー。」
そう、電子の妖精ファンクラブ。ナンバーNo79が叫ぶ。
「な・・なぁ。お前が戦闘に入るとおチャラけるのはワザとか?」
猫があきれたように聞く。
それから数分。
「敵陣確認、マズイぞ!ナデシコCすでにディストーションフィールドロスト。」
「僕がMk−Vで前方を叩きます! 」
「急げ!次の砲撃まで時間がないぞ!!」
そう猫が言うと2機は解散して各自バラバラに移動する。
「間に合え!!間に合えぇーーー!!うぉぉぉぉ」
MK−Vは戦艦にたどりつくや問答無用に巨大な大剣を振りかざす。
一瞬で大剣は敵のディストーションフィールドを中和させ艦に突き刺さり艦は爆発する。
「宇宙に咲きし一輪の花。その側に住む妖精を守りし鋼鉄の騎兵、ここに参上!!」
そう、勝手に騒ぐショウマ。
敵もMk−Vを狙うがディストーションミラージュのせいでトンチンカンな所を攻撃していく。
しかもとてつもない機動力で弾1発も当てることができない。
そしてもう一つの機動兵器、デンファレはコンテナから次々と
虫型ロボットにコンテナをつけたような物を射出するとそいつらが
ミサイルやら銃弾やらを解き放っていきディストーションフィールドを
弱めていく。そこをグラビィティーブラストや、ディストーションアンカーで貫いていく。
そして、ミサイルや弾を撃ち切った武装ロボはディストーションアタックに攻撃を変えていく。
敵が突然の襲撃にやっと体勢を整えた頃には、ナデシコAplusが射程内にはいっていた。
「ショウマ、ナデシコApulsの砲撃が来るぞ、一時撤退だ。」
「了解。」
「グラビティブラストハッシャシマーース!」
そう妙なナマリの男の声。いまだになまって地球の言葉を発している。
漆黒の咆哮のあとに僅かな静寂。
そして漆黒の塊が光の連鎖を生み出していく。
∽
ナデシコC ブリッジ
「ナデシコAplusグラビティブラスト発射。
グラビティブラスト敵陣中央まで突破!次々に敵艦破壊していきます。」
投影された巨大な映像には強力なイッパツのグラビティブラストが
艦のディストーションフィールドを簡単に貫きつぎつぎと瞬く光の連鎖を生み出していく。
「おいおい・・・ネルガルはあんなものを隠し持っていたのか・・・?」
そうロンゲの男がぼやくと、通信が入る。
「むふん、ルリルリまたせたな!」
モニタにメガネのコケタ男がニヤニヤ笑ってるのが映りこむ。
「え? どうしてセイヤさんがここに?」
このときはじめて無表情だった少女が驚く。
「こんなこともあろうかとってな!ご都合主義だと笑わば笑え!
しかし見よ!見よ!この燃える展開!このメカニック!!
そしてこの生まれ変わった我らがマイホーム!ハハハハハ!」
そう顔にヒッカキ傷のあるウリバタケがどこかで言ったせりふを言う。
「どうでもいいですけど、セイヤさん。その強力な戦艦どうやって用意したんです?
ご都合主義じゃちょっと・・・。」
そう、電子の妖精が返す。すると、
「ああ、すまないね。説明もいいけどその前にすることがある。ドッキングいいかな?」
そう猫の顔が映ると。ナデシコCメンバー全員「はぁ??」の表情。
そしてナデシコAplus、ナデシコCのドッキング。
互いの主要メンバを集め、ナガレ、御統提督が映像で現れ会議になる。
決定事項は以下
ナデシコAplus、艦長をホシノ・ルリとし木星へ向かいプラントの奪還。
一部メンバーは地球に戻りナデシコCを改造そのまま火星の防衛。
そしてメンバーの人事移動があり機材やらオモイカネの移動。
機材の移動はそこそこに新規ナデシコAplusの主要メンバーは集まり作戦会議。
メンバーは以下
ホシノ・ルリ 艦長
マキビ・ハリ 通信士
タカスギ・サブロウタ パイロット
ウリバタケ・セイヤ 整備士
フロックス 戦闘指揮件パイロット
サラシナ・ショウマ パイロット
わずか6名であるが、顔を合わせながら自己紹介。
ハリ少年は、猫が喋ってるとかなんとか騒ぎまくりで、
サブロウタは猫の首根っこを掴んでブラブラさせてフロックスとにらめっこ。
ショウマはルリをチラチラちら見する始末で、会議にならない。
そして地面に猫が足をつけると、突然
「腹へったな!」
と一言するとみんながロボットって腹へるんかい!とツッコミ顔で振り返る。
「ああ美味いラーメンが食いたいな。そう美味いラーメンだ。
もってるのだろう?美味いラーメンをつくるレシピを。ルリ少佐?
じゃ、次はそのラーメンを作れるコック見つけにいくことに決定!」
そういい猫は銀髪の少女を見てニヤリと笑う。
「え・・・・!」
少女が少し驚いた顔をする。
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あとがき
やっとプロローグおわりましたわー
プロローグなのでかなり話をすっとばして書いてますので
すこし話がわかりにくいとはおもいますが。
まぁーそんなこんなで、次回はラーメン屋のオヤッサンを確保ですね!<ぇ
では、次回の予告、ショウマ君のセリフから・・・
「だったら、テンカワ・アキト!僕が貴方を殺します!!」
あれ?なんかすごいこといってますよ・・・。
いいんですか?ショウマ君・・・彼はあくまでも主人公で王子様だよ?
殺せるわけないじゃぁーん!
さぁさぁ、次回ラーメンの話からテンカワ抹殺宣言?
それではーまた次回お会いしましょう。
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