「や〜ん、もう♪雄真ったら。チ・コ・ク・よ♥」



   遅れてくるといったろうが!!!そう叫ばずにはいられないが、そこを何とかぐっとこらる。

   しかし、彼の姿を見た瞬間、いくつもの青筋を立てる雄真であった。





はぴねす!
〜Magic & Fairy Tale〜
Tale1 バレンタインイヴ
占い師の憂鬱



   「な〜に〜?そんなに怖い顔して?」


   「気にするな・・・・・・お前のその格好にすこ〜し殺意を芽生えただけだ・・・・・・」

  
   「ふふっ♪・・・・・・かわいいでしょ?お気に入りなの♥」



   そういってその場でくるっっと一回転する。

   そして、短めのスカートがふわりと風をなでる。

   男としてはそこに目がいってしまうのは、ほぼ本能といってもよいか。

   彼が男だと聞いて、果たして信じるものはいるのだろうか。

   少なくとも雄真は動じないが、周りの 男の目を引いたことは確かである。




   現在の彼の格好は実に渋めの色を基調とした服装だ。

   白いブラウスに黒い短めのスカート、その上から紫色のカーディガンのようなものをはおっている。

   おしゃれのアクセントとしてか、首に巻いた黒いリボンも特徴的だ。

   どこから見ても女の子らしい格好である。



   そんな彼の格好と今の行動を鑑みて、ふか〜いため息をつく。



   「今度はため息?なにくら〜い顔してんのよ」


   「お前はいいよな〜?服装からして女だもんよ。

    そりゃ〜抵抗ないよな〜・・・・・・そんなお前に俺の気持ちなんて・・・・・・」


   「あっ!雄真、もしかしてチョコレート売り場に行くの、恥ずかしいんだ〜。」


   「そりゃ、普通の男は恥ずかしいわい。」



   もちろん彼も年頃の男の子なのだから、周り中女の子だらけではそれはとても恥ずかしい。   

   もしかしたら、あらぬ誤解を受けてしまう可能性もある。

   救いの一つとしては、戦場の女豹たちが戦いに夢中で、彼に気がつかない、

   というなんとも他力本願的な道しか残されていない。



   「まあ、そうよねぇ〜・・・・・・」



   口元に指を当てながら、少し思案顔の準。

   ここで某メカニックがいたのなら、こう叫んでいたに違いない。

   “こんなこともあろうかと”と・・・・・・。

   実際に準はそんな顔をしている。



   「でもね、あたしに任せて!実はね・・・・・・雄真がそう言うと思って

    ちゃ〜んと秘策を用意してきたの」


   「なんだって!?」


   「そうか、準、誤解して悪かった。やはりお前は俺の朋友だ」


   「いいの、わかってくれたのならそれで・・・・・・」



   なんだかヒジョーにキケンな橋を渡ろうとしているように見えるが、

   実際にはそんなことは起こりえないので、一つ演出として、大目に見ていただきたい。

   しかし、これがムッサイ男と男じゃなくてホントによかった。

   ただし、片方は女の子にしか見えない男の子、片方は美形の快男児。

   腐女子受けするのは確実であろう。

   ともかく、雄真は準がちゃんと自分の事を考えてくれたので、えらく感動したようだ。



   「で、その秘策とは?」


   「ふふふ・・・・・・それわ・・・・・・」


   「それは・・・・・・?」


   「シンデレラだいさくせ〜〜〜〜ん♪というわけで、はい、コレ♪」


   「ん?なんだ?この紙袋は・・・・・・な、なに!?こ、これは!!!!?」



   おもむろに準は紙袋を雄真に渡す。

   かなり重量感を感じるが、そこを無視しつつ、紙袋を開く。

   あふれんばかりの輝きを放ちつつ、その中に入っていたものとは・・・・・・!?



   「ふわふわフリルに女の子がたっぷり、スイートピンクのブラウス、

    オシャレの要はスカートでしょ!レース使いのティアードスカートに挑戦、

    ティアードにはブーツがよく似合う、キャメルのロングブーツ、

    ファー付コートでオシャレも寒さも対策バッチリ♪身も心もフワフワ♪

    あとね、これがインナーだから、カップはAあれば大丈夫よね♪」


   「まあ、ステキっ!これで私も舞踏会にいけるのねっ♪」


   「これで万事オッケーよ♪」


   「っっっんなわけあるかっ!!!!!」


   「いっった〜〜〜い!!ノったくせ にぃ・・・・・・」



   早い話が、“雄真女装セット”であ る。

   これが準の考え付いた、戦場対策である。

   しかし、雄真のノリツッコミにより、その思惑は完璧に頓挫してしまった。



   「おまえは俺に男を捨てろってのか?ん?」


   「いたたたたた・・・・・・ぐりぐりはんた〜〜〜い!!!」



   準の意見は無視しつつ、こめかみにこぶしを当て、グリグリと腕を回す。

   格闘術を習っていたため、その腕力は半端ではないが、

   もちろん、彼はそれ相応の手加減は加えている。

   毎回準が何かをやらかしたときは、お仕置きと称し、雄真はぐりぐり攻撃を行うのである。



   「んもぅ、雄真が恥ずかしくないようにって持ってきたのに・・・・・・

    ちゃんと雄真の体型に合わせて計算してきたのよ〜!!」


   「お前と一緒にするんじゃない!!

    第一なんだ、この狙いをすましたような服の組み合わせは!!

    ったく、もういい、俺は帰って惰眠を貪ることにする。」



   と、彼は言っているが、そんなところまで師匠に似たくはない。というところが本音だ。

   ちなみに、彼も結構な美を備えているため、

   女装すれば、それなりに女の子に見えないこともない。

   狙いを済ました服の組み合わせに、なんか釈然としない感情を捨てつつ、

   彼は家に帰ろうとするが、次の準の一言は彼の足止めには十分であった。




   「いいの・・・・・・?」


   「ん?なんだって?」


   「ふふふっ、今年の雄真へのチョコレートはケーキね♪」


   「なにっ!!!!?」


   「アイアイ傘とか描いちゃおっかなぁ〜♪

    そしたらあっという間にクラス中、いいえ、学園中の話題を二人占め・・・・・・♥」



   夢見る少女のように瞳を輝かせる準。

   彼の瞳には今2、3日後の未来が顔をのぞかせている。

   もちろん、雄真がここで逃げた後の世界になるが・・・・・・。

   ちなみに雄真はというと、実に渋い顔をして、明らかな拒絶反応を示していた。



   「くっ、ひ、卑怯な・・・・・・!!」


   「ふふふっ♪じゃあ、付き合ってくれるわよね?」


   「お、俺はまけたわけじゃねぇ〜〜〜〜!!!!」


   「きっまり〜♪」



   これにて第二次交渉戦線は雄真の叫びをのこしつつ、再び準の勝利で終わるのだった。

   敗れたりとはいえ、引きずられていくその様に、

   ドナドナの音楽がよくあっていたとかいなかったとか。

   ともかく、憐れ雄真はチョコレート戦線へと派遣されるのだった。






   無茶な司令官の命令が響き、女の戦場と化したデパートは、まさに阿鼻叫喚、骨肉の争いであった。

   流れ弾を回避しつつ、目標に接近、相手にやられる前にすかさずターゲットを奪い取る。

   時にはその戦火の渦に巻き込まれ、四苦八苦しながら雄真は戦果を挙げていった。

   ちなみに準は手馴れたものか、ひょいひょいとチョコをかごの中に入れていったという。






   「ふぅ〜、大漁大漁♪」


   「・・・・・・・・・・・・はぁ」



   ほくほくした満面の笑顔を浮かべる準とは対称的に、溜め息をつく雄真。

   戦線撤退直後の彼らの様子である。



   「なによ、元気ないわねぇ〜」


   「まったく、2時間もぶっ通しで付き合わせやがって・・・・・・

    ハチなら死んでたな、こりゃ。俺に感謝しやがれ!!!」



   準は呆れたように言うが、端から見た男子が

   女子の中、男一人でさまざまな戦果を上げた彼に、

   惜しみない拍手を送っていたに違いない。

   もちろんそこには憐憫の情を忘れてはならない。



   「ああ、おれの心は既にここにあらず、

    はるか地底の底まで行き着いてしまったか・・・・・・」


   「や〜い、おっんな〜のなっかに〜おっとこがひっとり〜♪」


   「おまえ、自分が男だという自覚はないのか?ないよなぁ〜・・・・・・」



   さも、自分は女の子、男はあなた一人だけ、と言いたげだ。

   もちろん、今の彼に自分は男という自覚は皆無のようだ。

   そのことを確認したのか、雄真の落胆ぶりは目を覆うほどで、

   まかり間違えば、雄真の発する不幸オーラに、周りの人が飲み込まれそうな勢いだ。



   「まったく、本気であれは俺じゃなきゃどうにもならんぞ。

    並大抵のやつなら5分持つかどうかだな。まさに弱肉強食の世界だ。

    日ごろから鍛えといて、損はなかったな・・・・・・。」


   「そんなこといって♪女の子にもみくちゃにされて嬉しかったくせに☆」



   チョコレート売り場での状況を反芻しながら、雄真はひそかに

   師匠に感謝していた。まさかここのような形で日ごろの修行の成果が出ようとは

   彼の師匠にしても夢にも思うまい、と雄真は語る。

   準は茶化してみるが、雄真はそれを首を横に振って拒絶した。




   「踏ん張るだけで精一杯だったよ。バランスとるのも一苦労だった・・・・・・。

    いや、ほんとすごかったよ・・・・・・。楽しむ余裕はないがな。

    それに、周りを見て思ったが、こんなに買い込んでいるやつもいなかったな。」



   現在、雄真と準は両手にそれぞれチョコレートいっぱいの紙袋を持っている。

   ざっと数えて、40〜50は下らないであろう。

   その数を鑑みて、雄真は一つの思いに行き当たった。



   「クラスの人数分を超えているから・・・・・・ファンクラブの分もか?」


   「あったり〜♪さすが雄真、いい勘してるわねぇ♪

    でも、これでも足りるかどうか微妙なのよねぇ〜。」


   「まったく、律儀なやつだよな、お前は。」



   こういうところは昔から変わっておらず、

   雄真もそこだけはとりわけ準に感心している。

   少なくとも彼の交友関係の中で、これだけ律儀なやつは

   彼を置いてほかにいないと思っている。




   「心配しなくても、雄真には本命あげるからダイジョウブ♥」


   「そんなものよりも、俺におごれ・・・・・・。ん?」



   ふと目線を移すと、見覚えのある女性が

   明らかに重そうな袋を持って歩いていた。



   「あれは・・・・・・小雪さんか?」


   「小雪さん?・・・・・・あ、ほんとだ」



   高峰小雪。言わずもがな、瑞穂坂学園の生徒である。

   学年は雄真たちより一つ上の魔法科の先輩だ。

   雄真と小雪の出会いは衝(笑)撃的なものであった。

   小雪が雄真を見てつぶやいた一言、



   『あなたとても不幸な相をおもちですね』



   である。それからというもの、廊下などで出会っては不幸な予言を残して去っていくようになった。

   もちろん、雄真がその不幸な出来事を回避できたかといえば、否である。

   すべて的中し、不幸街道まっしぐらな状態だ。

   ちなみに、小雪は占い研究会の部長であり、

   不幸な出来事に関してのみ、的中率は100%である。

   つまり、予言されたが最後、確実に的中するのである。



   「小雪さ〜ん!!」


   「あら、雄真さん・・・・・・。それに・・・・・・準さん・・・・・・でしたっけ?」


   「はい、小雪さんもチョコレート買いにきたんですか?」


   「はい、そうです。」


   「もしかして、それ全部チョコレート・・・・・・ですか?」


   「はい。」



   重そうな袋にはぎっしりとチョコレートが詰まっていた。

   いったい何個あるのだろうか?

   一人でたくさん買い込むのはかなりの労力がいることを雄真は先の戦場で理解している。

   これだけのチョコレートをどうやって手に入れたのか?

   そういった疑問を突きつけてみたいが、

   返答に困る答えが返ってきたら恐ろしいと、冷や汗を流すばかりだ。



   「ずいぶん買い込みましたね・・・・・・。」


   「ちょっと、重たいです・・・・・・。」


   「よければ、俺が持ちましょうか?まだ幾分余裕はありますが・・・・・・。」


   「いえ、大丈夫です。すぐにしまいますので・・・・・・。」


   「しまう・・・・・・?」


   「よいしょっと・・・・・・」



   雄真の申し出を断ると、チョコレートの入った袋を置く。

   何事かと、疑問を抱きつつ観察していると、しゃがみこんで

   何かを念じ始めた。



   「ムムム・・・・・・えいっ!!」


   「おおおおぉぉぉぉ!!」



   小雪の言葉と同時に、チョコレートの入った袋は小さくなり、

   小雪の着ている、エプロンのポケットに吸い込まれるように入っていった。

   これをみた雄真は一言つぶやいた。


   「四次元ポケットみたいだな」


   「いえ、魔法ですよ。」



   即座に返答するが、誰がどう見ても

   最初にそれ見たものの感想としてはそうとしか言いようがない。

   しかも、重さなど微塵も感じさせることなく、すくっと立ち上がった。



   「これで身軽になりました。」


   「物理法則、どうなってるんですか?激しく気になるんですけど・・・・・・。」


   「気にしないででください」



   小雪は一仕事終えたような充実感いっぱいの笑みを浮かべた。

   質量を無視したあたり、やはり四次元ポケットなのでは?

   という感想を抱いてしまいそうになるが、ご都合主義としてこの場は話を進めてしまおう。



   「ところで、そんなにチョコ買い込んで誰に渡すんですか?」


   「いえ、違います・・・・・・」


   「え?」


   「占い・・・・・・」



   すこし表情に翳りが見える。占いで何か失敗があったのか?

   そんな疑問も思い浮かんだりするが、小雪に限ってそんなことはないと首を横に振る。

   きっと占いか何かで使うのだろうと雄真はたずねてみることにした。



   「あ、もしかして占いのお客さんに渡すつもりなんですか?」


   「残念、ハズレです・・・・・・。」


   「う〜ん、じゃあ、いったい・・・・・・」


   「実は、少し前からチョコレートに関する占いが多くて・・・・・・

    でも、わたしはチョコレートに疎くて・・・・・・

    ちゃんと答えることができませんでした・・・・・・。」



   どうやら、本当に失敗談であったらしい。

   珍しいこともあるもんだと、準と雄真は小雪の話に耳を傾けていた。

   そして、その話を聞いて、今回の小雪の行動に納得したのだった。



   「なるほど、それで実際に買いに来てみたわけですか」


   「はい」


   「なんだ、てっきり小雪さんもバレンタインに夢中なクチだとおもいましたよ」


   「雄真さん・・・・・・」


   「なんですか?小雪さん」



   小雪は少し声のトーンを落としながら、

   すてられそうな子犬のような目を向ける。

   呼ばれた雄真はすぐに反応し、小雪の言葉に耳を傾けた。

   そこで彼が聞いたのは、意外な彼女の疑問であった。



   「さっきからずっと気になっていたんですが・・・・・・

    バレンタインデーって、なんですか?」


   「・・・・・・え〜っと、もしかして小雪さん、

    バレンタインデーを知らないと・・・・・・?」


   「・・・・・・」



   しょんぼりしながら、こくんとうなずく小雪。

   どうやら占いのことが相当堪えているらしい。

   彼女の能力にも起因するのか、起こってしまったことを

   かなり気にしてしまうようだ。生真面目な性格である。



   「あの〜、それじゃあ、なんでみんながチョコレートを買っているとおもったんですか?」


   「それは・・・・・・」


   「それは?」


   「・・・・・・今、巷で大ブーム?」



   雄真の問いに少し思案して答えてみたが、ハズレである。

   準も雄真の隣で聞いていたが、これには苦笑していた。

   この人にも小中学生の頃があったはずなのだが、

   ことさらこのような話題に無頓着な女の子も珍しいものである。

   ともかく、ここでわかったことは、小雪は“バレンタインデーを理解していない”

   この一点が重要な項目であった。

   雄真は苦笑しながらも、小雪に今日という日を教えることにした。



   「あの〜、小雪さん、バレンタインデーって言うのは

    “女の子から好きな男の子にチョコレートを贈ろう”

    をキャッチコピーにした、某チョコレート会・・・・・・ぐおっ。」


   「ではなくて、女の子が男の子に思い を打ち明ける日。

    で、好きな男にチョコレートをプレゼントするっていう日なんですよ。」



   雄真が余計なことを言おうとしたため、彼の足を思いっきり踏みつけ、

   すかさず小雪との会話に混じり、準は答えた。



   「・・・・・・そうだったんですか」


   「女の子にとっては一大イベントなんですよ♥」


   「何すんだ、準!!!俺が間違ったこといったか!!!?」


   「雄真は黙ってて♪でないと明日はケーキよ♪」


   「ぐっ!!?」



   小雪は何か思い至ったのか、また思考の世界に没頭していた。

   その間に復活した雄真であるが、彼の抗議は

   準の一言のによって完全に沈黙させられた。



   「それでみんなあんなに一生懸命だったんですね」


   「そうそう」


   「・・・・・・なるほどです。これで明日からはチョコレートの相談をされても大丈夫ですね」


   「いや、明日からそんなに相談されないかと・・・・・・。」



   今回の相談と、彼女たちの行動に納得がいったようだ。

   笑顔を浮かべながら、これからは大丈夫と言いたげだが、今日は既にイブの休日だ。

   相談があるとは思えないし、雄真のツッコミどおり、明日はもう相談などされないだろう。

   もし相談して悪い結果が出ようものなら、

   それこそ勇気を振り絞り、告白しようとしている女の子にとって、

   死刑宣告よりもタチが悪いのは明らかだ。



   「お二人とも、ありがとうございました」


   
   雄真と準にお礼をのべ、すたすたと商店街を歩いていく。

   その後姿を見送りながら、雄真は一抹の思考を無視することはできず、

   準に同意を求めてみた。



   「よくわかってなさそうだな・・・・・・小雪さん・・・・・・」


   「そう・・・・・・かもね・・・・・・」



   もう一度説明しようか?と思うが、当事者はすでに人ごみの中。

   来年の今頃まで、彼女は今日という日のことを覚えているのか。

   甚だ疑問の残る一時であった。



   「で、俺たちはどうする?」


   「あたしのほうは大体終わり、雄真は?」


   「俺はもとから買う気ねぇし。」



   小雪を見送った後、これからどうするかを考える。

   といっても、雄真は何をするわけでもない。

   ただ準の買い物に付き合っただけなのだから。

   しいて言えば、準におごられるという用事は残っているのである。



   「いいじゃない、男の子から女の子にチョコを渡すってのもアリだと思うな。

    雄真は気になる女の子とか、いないの?」


   「気になる娘ねぇ・・・・・・。」



   準に言われて考えてみるものの、

   ことさら人付き合いといえば仲間内の男三人集(うち一人は女装)

   しかないのだから、思い当たるわけもない。



   「そういえば雄真に浮いた話は聞かないわねぇ」


   「おれはその話に否が応でも持ち上がらせようっていう人物は知っているがな。」


   「それは雄真にもっと青春を謳歌してもらおうと・・・・・・」


   「本人にその気がないのに、そんなこといわれてもなぁ。」



   実のところ、準はめぼしい女の子がいると、何とかして雄真と引き合わせようとする。

   過去に何度かそういったことをしていたが、あえなくすべて撃沈している。

   引き合わせる前に、雄真が逃げるのである。

   こういうときのいやな予感を感じるのか、全力疾走で逃げ出すのだ。



   「それじゃ、思い切ってあたしと・・・・・・」


   「断る!!!!」


   「チェ・・・・・・そんな力強く否定しなくても・・・・・・。」


   「お前の場合はシャレにならんからな。」



   妥当案を出すが、雄真はきっぱりと断った。それも力強く目いっぱいだ。

   準は不満そうに言うが、雄真はこれでも足りないくらいといわんばかり。

   前回でも言ったが、学校での雄真と準は有名だ。

   本気で付き合っているんじゃないか?と噂が巻き起こるほど。

   魔法科でどう伝わっているかは解らないが、普通科のほうでは

   知らない人が珍しいくらいである。

   つまり、準がことのほか気合を入れてしまうと、本気でシャレにもならないのだ。





   その後商店街を闊歩し、約束の報酬を手に入れた。

   すべてが終わった頃にはもう夕方近くになっていた。

   両手に荷物を抱え、公園の中の道を通る。

   俗に言うショートカットというやつである。

   ここを通ると、準の家まではもうすぐそこである。

   雄真と準が公園の中ごろまで差し掛かると、ブラスが話しかけてきた。



   (マスター、マスター。)


   (なんだ?ブラス?)


   (横のほうを見てくれ)



   言われて横を振り向いてみると、

   女の子と男の子二人がじゃれあっているように見える。

   しかし、よくよく様子を見てみると、

   女の子が男の子二人にいじめられているように見受けられた。



   (女の子・・・・・・いじめられてる・・・・・・みたい・・・・・・)


   (ゆ、許せません!!!・・・・・・ここはわたしの正義の炎で・・・・・・)


   (危ないほうに走るな、イリス。俺が止めるから・・・・・・。)


   「ん?どうしたの?」



   精霊たちの声を聞きながら、どうしようか思案する。

   といっても、彼はもうとめることにしたようだ。

   精霊約一名が危ない方向に走りかけたのが決定打である。

   準も隣を歩いていたが、急に雄真が止まったため、

   何事かと彼の視線を追ってみた。






   「誰にやるんだ?言ったら返してやるよ」


   「いやぁ〜っ!!」


   「けんじ、パスいくぞ!!」


   「オーライ!」


   「あっ・・・・・・!!」



   どうやら女の子が持っていたチョコレートを男の子二人が奪ったようだ。

   悲鳴をあげながら、チョコレートの箱を追いかける女の子。

   そんな行動を予見しつつ、男の子はけんじと呼ばれた子に

   チョコレートの入った箱を投げ渡した。

   小さく女の子の悲鳴が上がる。

   しかし、地面に落ちることはなく、けんじの腕の中に納まった。



   「ほ〜ら、こっちだこっちぃ!!」


   「あけてみようぜ、手紙とか入ってるかもしんね〜ぞ!」


   「あ、だめっ、やめてっ!!」



   男の立ちの行動はさらにエスカレートするようだ。   

   これ以上いくと、どうなるか解らない。

   子供は歯止めというものがきかないものだから。



   「ちょっと、あれ、ひどくない?」


   「・・・・・・とめてくる。」


   「え・・・・・・?あ、うん。相手は子供だから、ほどほどにね。」


   「大丈夫さ、ちょっとお仕置きしてくるだけだ、ふふふっ。」


   「だ、だいじょうぶかなぁ・・・・・・」



   雄真は昔のことがあってか、イジメということに対してはかなり敏感だ。

   それは嫌悪というよりも憎悪というもののほうが強い。

   そこまで強い拒絶反応を示すのである。

   そのことを多少なりとも知っている準は、少々助言をしつつ

   暴走気味の雄真を見送ることしかできなかった。



   「おい、お前ら・・・・・・」


   「そこまでにしたら?」


   「そうそう、そこまでに・・・・・・あれ?」



   止めに入ろうとした雄真とは別の方向から、女の子の声で止めがはいる。

   目線を向けると、そこには瑞穂坂学園の制服を着た女の子が立っていた。

   背中にあるマジックワンドをみると、どうやら魔法科の生徒らしい。



   このことで完全にタイミングを逸してしまった雄真は、

   少し離れ、状況の推移を見守るほかなかった。

   勢いよく飛び出したはいいものの、準の手前、

   このとき雄真はちょっぴり恥ずかしかったとかそうでなかったとか。

TO  BE CONTINUED


    なかがきという名の座談会(シルフェニア出張版)

あいつらにいったい何を言われるやら・・・・・・

は〜い、今日はめでたいクリスマス♪
みんなでわんさかジングルベルな人も
そうでないシングルベルの人も
メリークリスマ〜ス♥
渡良瀬準で〜す♪ヨロシクね♪
今日のゲストは小雪先輩で〜す♪

今回はクリスマス増量スペシャルだそうです

なんかひどくないか?それ・・・・・・

まあまあまあまあ、
今日はめでたいクリスマス、
ちょっとした暴言は無礼講って事で♪

いまので読者の大半を敵に回したと思うのは俺の気のせいか?

まあ、敵に回したとしても、それを引き受けるのは
作者さんですから、大丈夫ですよ♪

何気にスケープゴートにされた!!!?

そうですね♪じゃ、がんばってくださいね♪

というわけで、ちょっと早いが、お便りのコーナーだ

ここでは皆さんがこの作品に送ってくれた
Web拍手に作者が答えてくれるコーナーですよ〜♪

感想掲示板に書いてくれた方には感想掲示板のほうで
返事をお返しいたしますが、御礼はここでも述べさせていただきます

今回はちょっと多いからな、手っ取り早く3連いくぞ

   がんばってください!!応援しています!!
   何か中途半端に終わってる感じが
   春姫との出会いがどうなるのか楽しみにしています

という、3つのコメントだ

あらら〜、辛辣な一言がありますね〜

まあ、あの時は仕方なかったな
どうして女装の話を上のほうに書きたかったからな

それで、区切れが悪くなったら意味がないじゃないか?

返す言葉もございません

まあ、応援メッセージもあることですし、
プラスマイナスゼロって事でいいじゃないですか?

学園のアイドルと雄真との出会いを楽しみにしている人が多いですね?

正直、下地は出来ているんだが・・・・・・
これで出すとどうなるのか、後が怖い気がするんだよなぁ

だとすると、やっぱり投稿して反応を見るべきですね

はあ、やっぱりそうなるのかぁ・・・・・・
あまり気が進まんが、がんばるか!!!

そうそう、そのいきですよ♪

さて、つぎは私ですね。えっと・・・・・・

   「ヒミツの妹心」で"イリス"と"イリア"、
   混在しているように見えますが…修正された方がよろしいかとです
   (笑) 更新期待してます!!

との事ですが・・・・・・

なんですと?

これは早目にみてきたほうがいいんじゃないですか?

すぐにいってくる!!!
スクランブル!!!発進!!!!
じぇあ!!!!

いってしまったな・・・・・・

だいじょ〜ぶ♪あのひとのことだからすぐ戻ってくるわよ

とか言っている間に、ホントに戻ってきましたね

いやあ、まいったまいった
まさか、へんなところでミスっているとは・・・・・・
早速修正もしたぞ

イリスが聞いたら怒るぞ?きっと・・・・・・

な、何とか秘密にしておいてくれ

善処はするが期待するなよ?

では、最後は私ですね♪少し長いですね、なになに、

   面白かったですよ><b はぴねすのSS探して辿り着いた者っす。
   雄真のお師匠様の正体とか、使ってる術の正体とかも気になりますね〜。
   クロスものなのでしょうか??
   そしてもうひとつ気になるのが、春姫の立ち位置ですな。
   本作のプロローグ部分を見ると、イジメの最中無視決め込んでたみたいだし、
   原作通りにはいかないでしょうね
   つか、その状況だと魔法科にいないんじゃないかと。
   ともあれ、次話も期待してます! ブクマに入れ込み入れ込み(^^)

との事ですよ?月さん?

これは強力な固定ファンがついたな

ますます手が抜けなくなったな・・・・・・

あら、手を抜くつもりだったんですか?

もともとこの小説自体遊びで描いたもんだからな
面白半分でかいてみたが・・・・・・
ここまで反響があるとは
俺自身も予想外だったぞ?

まあ、俺は特殊能力持っていても
生かせる部分がまったく異なるから
今は普通科に通っているんだけどな

そのおかげであたしは晴れて
雄真とおなじ教室にいるんだけどね♪

わたしは・・・・・・少し残念です・・・・・・

それはまたなんで?

だって、魔法科の校舎にいればいち早く
雄真さんの危機を伝えることができるじゃないですか

でも、まったく回避できてないんですよね・・・・・・

まあ、これも運命というやつだな

あと、何かとのクロスか?といわれても・・・・・・

前々からかいている二つの小説の
オリジナル部分を持ってきているだけだからな・・・・・・
精霊とか雄真の習っている武術とかはな

そろそろ次回予告の時間ですね

ついに皆さんご注目のアイドルの登場だな

ここで月さんの腕が試されるんですね♪

さも楽しそうに言うんじゃね・・・・・・
こっちはプレッシャーでいに穴が開きそうだというのに・・・・・・

そこまで緊張してんのかよ・・・・・・

俺の苦労なんぞわかるわけがなかろう

まあ、そんなことはともかく・・・・・・

さらっと流された!!?

だって、所詮は他人事ですから♪

ああ、その・・・・・・同情する

いいさ、いいさ。おれは雄真よりも不幸のどん底ですよ〜だ
おっと、忘れるところであった。掲示板のほうで感想をいただきました
柊南 飛鳥さん、龍の子供さん、誠にありがとうございました
以後、さらに精進を心がけますので今後ともよろしくお願いいたします

さて、そろそろお開きだな

わたしは今回は終了ですね

はい、小雪さん、今回はありがとうございました。

いえいえ、こちらこそ。またお話できる機会を楽しみにしてます

じゃあ、こっちも楽しみしておこうか

そのときはまた雄真さんの危機をお知らせしますね♪

それだけは勘弁してください

べつにいいじゃないか、面白そうだし

俺は面白くない!!!

それでは今回はこのへんで

ばいば〜い♪

某月某日
渡良瀬家前より実況中継



月(ユエ)さん への感想は掲示板で お願いします♪


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