―――人々の間で密やかに語り継がれたそれは、十数年も昔の話―――
―――奪われた多くの命を背負い、多くの命を奪い続けた、一人の大罪人の物語―――
今回のそれは、地球のごく普通の一軒家に住み、ごく普通に幸せな家庭で語られる事になる。
機動戦艦ナデシコ
〜未来−あの忘れえぬ日々へ〜
表札に『ホシノ カイト・ルリ・ハルト・リル』と書かれた家。
地球のとある家庭、結婚10年にして熱々のバカップリで知られる夫婦が住む家である。
夕飯後、男は愛する妻の淹れてくれたお茶を啜りながら、椅子に深く座り込んだ。
妻はいまは台所で片付けをしている、食事は夫婦で交代で作るルールであり
今日は夫である彼が料理を作り、妻である彼女が洗い物、明日はその逆である。
愛する妻の洗い物姿を見ながら、愛する妻のお茶を啜る、彼にとって至福の時間であった。
かちゃかちゃという音と共に、透き通るような銀色の髪がさらさらと揺れる。
年下の妻は10年連れ添ったいまでも可憐なままの少女のようだった。
けっして彼がロリ○ン気味だからだと言うわけで
はないが(笑)
まさに幼い頃に呼ばれた『妖精』さながらの美しさである。
対する夫の彼、特別美形、というほどではないが、割と整った顔立ちをした30代前半くらいの男。
『最近老けたかな・・・』というのが悩みの、いつまでも若々しいままの妻とは違い、ごく普通の男。
彼――カイトが今回の語り手である。
「パパー」「お父さん」
「ん、どうした?
パジャマ姿の2人の子供、息子のハルトと娘のリルに呼びかけられ、カイトは振り向いた。
「お父さん、寝る前に何か本を読んでください」
「僕もー」
母に似て透き通るような白い肌と、父親譲りの黒髪を持つ、やはり母親似のクールな愛娘、リル。
そして父親に似てわんぱくで、母親似の銀髪を持った息子、ハルト。
2人を足して半分に割ったかのような物凄い遺伝をした2人(笑)に頼まれたお願い、本。
「うーむ・・・」
(つっても家にある本は全部読んで聞かせちまったし・・・)
「駄目・・・ですか・・・?」
「えー、駄目なのー?」
心底がっかりそうな我が子達。
「うっ・・・いや・・・そっ、そうだ!あれならどうだ?ハルトもリルも好きだったろ?テンカワアキトの話!」
苦し紛れの選択、だが子供達の反応は嬉々とした物だった。
「え!テンカワアキトの話!?やった!あれ凄くかっこいいんだよねー!」
「楽しみです」
(うっ・・・しまったかなぁ・・・)
内心苦し紛れに選んだこの選択をかなり悔いたカイトであったが、すぐに後悔は消えた。
(まぁ・・・こんなに愛する我が子達が喜んでるなら、いっか・・・)
「じゃあ、話すぞ?・・・これはお父さんが若いときの話なんだけどな・・・
その時お父さんはナデシコって言う戦艦で一緒に戦ったお父さんとお母さんの仲間、それがテンカワアキトだったんだ――」
カイトの口から出たテンカワアキトの歴史、それは紛れも無く全てが真実の歴史。
話し(実験等教育に悪影響な所は削除)を話し終えた頃には、もう夜10時を回っていた。
「と、いうわけでテンカワアキトのその後を知る者は誰も居ない、という事さ」
話が終わった後、ソファーに座った4人はしーんとした空気に包まれた。
それぞれ思うところは違うらしく、ハルトはアキトの決意やら戦闘のところに感動し、言葉も出ないほどだったり。
リルはその人生の儚さ?みたいな物に涙を流して共感していたり。
ルリは懐かしい思い出に浸ってみたり・・・っていつのまにルリが!?
「懐かしいですね・・・もうあれから10年も経ってしまいましたか・・・」
「いや・・・ルリ・・・?いったいいつから居たのでしょーか・・・?」
「さっ、そろそろ良い子は寝る時間ですよ、お部屋に戻りましょーね」
「はぁい・・・おやすみパパ」「おやすみなさい、お父さん」
カイトの問いかけは軽やかにスルーされ、子供達はルリに連れられ部屋へと戻って行った。
「・・・ふうっ、10年か・・・そういえば、もう10年も経っちまったんだな・・・」
1人残ったソファーで、残された寂しさやらを紛らわすためにため息を付いて哀愁を漂わせてみせるカイト(笑)
カチャ・・・
「お疲れさま、なんか今日は懐かしい気分になっちゃったな、ルリ」
子供部屋から戻ってきたルリに、なんとなく労いの言葉をかけて、ソファーにスペースを空ける。
「そうですね・・・私も、なんか懐かしい気分になりました・・・」
「ルリ・・・?」
十分にスペースのあるソファーにルリは、何故か寄り添うほどに密着して座った。
「ふふっ、あの時は若かったですよね、あの後貴方を追ってナデシコCで宇宙中を追いかけたりして・・・」
「・・・ああ、そうだなぁ・・・あの頃からルリは段々積極的になってきてたっけ・・・」
軍にハッキングをかけて火星の後継者の非道な実験の公開やらコロニー爆破は全部火星の後継者だとか・・・
いろいろあること無い事でっちあげて俺の罪状まで無かった事にして・・・ちょっと積極的すぎたようだけど(笑)
「あの頃から自分の本当の気持ちにはっきり気づけましたから・・・アキトさん、貴方の事が好きだって・・・」
「はは・・・ナデシコCのクルーも大変だったろうに」
そう、あの後ルリの元へ戻った俺、アキトはアカツキの協力で戸籍を抹消し、
昔の戦友の名前を勝手にもらって(笑)カイトとしてルリと結婚したのだ。
正式な戸籍ではないのでホシノ姓、ホシノカイトだ。
2人きりの時はアキトと呼びたいというルリの可愛い願いのため、
俺はいまだに『テンカワ アキト』を捨てきれないでいるけれど。
ルリにとって、そして多分俺にとっても、『テンカワ
アキト』は忘れえぬ思い出なのだろう。
「アキトさん、私幸せです・・・でも、もっともっと、幸せになりましょうね・・・」
「そうだな・・・俺も、もっともっとルリを幸せにしてみせる、愛してるよ、ルリ・・・」
重なる2人の影、懐かしい思い出をネタに2人の愛は今夜も熱く燃え上がるのだった。
・・・といっても昨日も一昨日も別の理由で燃え上がってはいたのだけれど(笑)
ハルトとリルに新たな妹弟が出来る日は割りと近そうである(爆)
一方、子供部屋にて
「ねぇ・・・」
「ん、どうかした?」
「お父さん達さ、本当に隠し通せてると思ってるのかな?」
「んー・・・思ってるんじゃない?パパはあんまり『テンカワアキト』は好きじゃないみたいだしさ」
「ハルトはお父さんの事どう思う?私は『アキト』なお父さんもかっこよくて好き」
「そうだなー、パパって昔は強かったんだし、僕もパパみたいになりたいな」
「なれるんじゃない?お父さんて昔は女の人にいっぱい好かれて大変だったみたいだけど、ハルトも今月ラブレター7枚でしょ?」
ちなみに今月に入って今日で10日目である(笑)
「いや・・・そういう意味じゃないんだけど・・・(汗)そういうリルこそどうなんだよ?」
「私のはなんかファンクラブの人たちが処分してるみたいだから、0枚」
通称リルリル親衛隊、現在会員50名を超える猛者達である、もちろん本人非公認(笑)
「・・・確かさ、ママも昔そういうのあったって言ってたよね・・・」
「うん・・・」
「ま、がんばってね・・・」
「・・・リ、リルこそ・・・好きなやつが出来たときにしんえーたいに邪魔されないといいけど・・・」
「うっ・・・」
「「・・・はぁ・・・」」
そんな将来が微妙に不安な2人の愛の結晶達であった(笑)
なんとなく後書き
こんにちわ♪ お久しぶりの雪夜です☆
カイト×ルリと見せかけてしっかりアキト×ルリでした!(笑)
雪夜はアキト×ルリ作家なのでそれ以外は書けないのです!!(おいおい(汗))
しかし子供達はしっかりしてますね、むしろしっかりしすぎ(汗)
ルリの血を受け継いでやはり天才なのでしょうか・・・。
あと、ややこしくなったので後書きキャラ召還コメントは控えさせていただく事になりました(涙)
後に復活するかもしれませんが期待できません。(駄目作家故に・・・)
楽しみにしてくださっていた方(いないかもだけど(汗))申し訳ございません;;
そして毎回ありがたい感想をくださっている『〜光と闇に祝福を〜』世界のルリ様。
申し訳ございません
テンカワルリ、惜しくも実現しませんでした(涙)
代わりに救世主の紅さんが実現させてくださったので喜ばしい限りです(ニコッ)
本文中のあの勢いならばサッカーチームは実現するやもしれませんが・・・(爆)
次は長編出せるといいなっと☆
感想を書かせていただきます。
雪夜さんご復帰! いや〜凄いです♪ 一度休み始めるとなかなか復帰できない物なんですが、雪夜さんは根性が違いますね♪
まあ大抵駄作家よりは根性があるものです。大体基準は一体な
んなんです?
ふん! しらんだろうが、親サイトたるあのHPのお方が言っておられた心理だ!
なる
ほど、あの人は貴方なんか比べ物にならないほど作家さんをよく見てきたでしょうからね…
ふふん! どうだ! 恐れ入ったか!
そういえば、最近私の絵描いてませ
んね…そろそろ、あのお方が必殺技をぶちかましに来る頃ではないんです
か?
くっ!? 確かに…あの恐怖の代名詞! Ruri
The Riverside Holeに吹き飛ばされたら幾ら私でも…(汗)
ふふっ、大丈夫ですよ、先ずは私が吹き飛ばしてあげますから♪
待て! 一応現在〜光と闇に祝福を〜の続きを今書いてるんだぞ!
雪夜さんのように私を立ててくださ
る作家さんに鞍替えすればいいだけのことです!
ひょえ〜(泣)
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