「久しぶりだな遊星!」
「久しぶり・・・まだ二日しかたっていないぞ?」
「気分の問題だよ、流せよそこは。」

フォーチュンカップ控え室で遊星を見つけ話しかける。
双子とさっき龍亜に紹介された氷室と矢薙の二人も一緒だ。

「黒薔薇の魔女に遭遇したんだってな?」
「ああ、ありゃ凄かったよ!ソリットビジョンじゃなくて実際にばーって吹き飛ばされてさ!」

遊星に聞いたはずが矢薙の爺さんが答える。
だが実際に吹き飛ばされた?

「どういうことだ?実際にカードが影響を及ぼすってことか?」
「分からない、だが魔女も何か不思議な力を持っているようだ。」

魔女もねぇ・・・今の段階じゃシグナーの痣が何か分かってないからそれのせいだと思っているのかね。

「まぁ考えても仕方ない事だ、今は大会に集中しようぜ。」
「そうだな。」

話をしている内にそろそろ開会式の時間となった。

「遊星も蒼真も頑張れー!」
「二人とも頑張ってね!」
「まぁ気楽にやるさ。」
「あぁ。」

双子に声援を送られながら歩き出す。
さて、この大会に参加したことで変な事にならなきゃいいが・・・。


「良かったのですか?」
「何がですか?」

ゴドウィンが開会式のために会場へ歩いていると一緒にいるイェーガーから質問が飛んでくる。

「今回の参加者変更のことです。あのシグナーの可能性のある少女のはずがまったく関係のない男になっている。」
「いいんですよ。あの男には何かある。普通じゃない何かが。」

実際男について調べたイェーガーは言いたい事が分かっている。
あの男、朝霧蒼真は得体が知れない。何せ出自が分からないのだ。
不動遊星に招待状を渡したときにもう一人男が居たのをゴドウィンに報告し、念のため調べて欲しいと言われた。
治安維持局の総力を挙げて調べたにも関わらず、去年より以前の男の所在が掴めない。
はっきり言って何も分からないといっても過言ではない。一日やそこらでは限界があるとはいえ、打てる手を全て打った。
なのに分からない。これはどう考えても異常だ。

「あの男も何らかの形で関わるとお考えで?」
「おそらく、間違いないでしょう。」

だが、このタイミングでの詳細不明の男・・・それに何か薄ら寒いものを感じながら開会式会場へ急いだ。


開会式は波乱の幕開けだった。
マーカー付きの遊星に不満の空気が流れ、ボマーと言う男がそれを諌める。
それに感動したのか長官から拍手が出て、会場にも伝播する。

「はぁ、いい事言うねぇ。」

一人呟く。実際あんな行動できるかと言ったら微妙だ。
正しいと分かっていても二の足踏んじまうな。

「気を取り直して、一回戦の組み合わせはこうだ!」

トーナメントの組み合わせが表示される。
さて、俺の出番は・・・?

「うわ、一番最初かよ。やりにくいなぁ。」
「ふっ、気楽にやればいいさ。」

そう言われる。さっき同じ事を言ってた俺に対する嫌味かそれは。
こんな大舞台いやでも緊張するっての・・・。
対戦相手は・・・死羅?誰だ?

「最初からライディングデュエルで始まるぞ、これは盛り上がってきたぁ!初戦の二人は準備を開始してくれぇ!」

MCの掛け声と共に舞台の選手達が降りて行く。
一戦目からライディングか・・・何を使うかな。
自分のD・ホイールの元へ向かいながら使うデッキを考える。
モンスター中心のこれで行くか。

「蒼真、頑張れよ。」
「あぁ、サンキュ。」

遊星に激励され、腰のホルダーからデッキを取り出しセット。
D・ホイールに乗り込み走り出す。

「来たぞー!二人居る今大会最年少のうち一人!弱冠16歳にして長官のお墨付きを持つデュエリスト!朝霧蒼真だー!」

出てくると同時にMCの紹介が会場中に響く。
何か照れくさいというか気恥ずかしいと言うか・・・なんだかなぁ。

「対戦相手はデュエルしたものは恐怖からカードを持てなくなると噂の蘇る死神!死羅だー!」

マントに包まれた男がD・ホイールに乗り出てくる。
互いにスタート位置に停まり、合図を待つ。

「さぁ、デュエルの時間だ!フィールド魔法、スピードワールド!セーット、オーン!」

MCの声と共にデュエルモードに切り替わり、スピードワールドが発動する。
開始のカウントダウンが始まり、緊張が走る。

「いざ、ライディングデュエル!アクセラレーション!」

二人同時に走り出す。と同時に死羅のマントが飛んで行く。

「待たせたな、炎城ムクロの登場だぁ!」
「炎城ムクロだとっ!?」
「これは驚きだぁ!死羅だと思っていたが、実は打倒キングを目指す炎のD・ホイーラー!炎城ムクロだぁ!」

ムクロ・・・炎城ムクロ?誰だそれ。
正直な話、対戦相手どころか勝敗にすら興味は無い。どうせ優勝する気なんて無いし。
ただ初戦敗退なんて面白くないな。

「まぁ、飛び入りは別に構わない。」
「話が分かる奴だな、嫌いじゃないぜ!」

そう言ってスピードを上げる炎城。
遅れないようにこちらも速度を上げる。

「長官からの許可が出た!デュエルは問題なく開始されるぞ!次のコーナーを取った方の先攻からスタートだ!」

主催者がOK出したのなら遠慮なくデュエルするだけだな。
速度を上げてコーナーに差し掛かる。

「先攻は頂くぜぇ!」
「なっ!?」

急な加速を見せてコーナーを抜けて行くムクロ。
良く抜けるなあの速度で・・・。

「俺のターン、ドロー!手札からバーニング・スカルヘッドを召喚!そしてカードを3枚伏せ、ターンエンドだ。」

出てくるのは燃えている頭蓋骨。
攻撃力1000でリバース3枚、罠だろうな。

「俺のターン、ドロー。俺はゾンビ・マスターを攻撃表示で召喚!」

ネクロマンサーと言うのが正しい気もするモンスターが現れる。
とりあえず攻めてみるか。

「ゾンビ・マスターでバーニング・スカルヘッドに攻撃!」
「罠発動!ゼロ・ガード!」

ムクロの罠が発動すると、スカルヘッドの攻撃力が0になる。

「このカードはこのターン、俺のモンスター一体を攻撃力0にする代わりに戦闘で破壊されなくする!」
「破壊できなくとも大ダメージ受けてもらうぜ!」

1800ものダメージを受け、スピードカウンターが減るかと思ったがむしろ増えている。

「何故カウンターが減らない!?」
「それはなぁ、この罠を発動してたからよ!」

ムクロの場で表になっていたのは罠カード、デス・アクセル。
なるほどな、だからむしろ増えていたのか。

「俺はカードを二枚伏せ、ターンエンドだ!」
「俺のターン!ドロー!俺はSp−サモン・スピーダーを発動!この効果でスカルベースを特殊召喚!さらにスカルヘッドとスカルベースをリリースし、スカル・フレイムをアドバンス召喚!」

アドバンス召喚まで無駄の無い構築、いい引きをしているな。

「スカルベースをアドバンス召喚のためにリリースしたとき、一枚ドローできる。」
「手札補充も万全か、さすがだな。」
「当たり前よぉ!そしてバトル!スカル・フレイムでゾンビ・マスターに攻撃!」

ゾンビマスターは破壊され、800ポイントのダメージを受ける。

「だが、罠発動!時の機械ータイム・マシーン!この効果でゾンビ・マスターは場に戻る!」

大型の機械が現れその中からゾンビ・マスターが・・・機械からゾンビってシュールだな。

「はっ!やるじゃねぇか!だがまだだよ、永続罠スピードブースターを発動するぜ!」

大型のブースターが炎城のホイールに装備される。
スピードブースターか、なるほどな。だが無駄だぜ!




後書き

とりあえず週1とかすごいぎりぎりだった真面目に申し訳なさがいっぱいです。
言い訳させてもらえるなら時期が夏休み真っ盛りということで仕事が忙しくて・・・。
しかも人手不足で色々な時間帯出ているので本当に身体が付いてこない。

こんな所で区切って投稿するのも短くて微妙なんですが時間が取れなくて書けませんでした。
せめて炎城戦片付けたかった・・・。

しかも今回実は後書きで蒼真君に登場していただいて少し自身の説明でもしてもらおうかと思ったんですが・・・
余裕が無くてもう無理でした。ごめんなさい。

次回はお盆があるので大分間が空きます。
真面目に時間帯ずれてきたのが一番辛くて・・・生活リズムが安定しないって辛いですね。



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