彼はギターをかき鳴らす。
それだけで、道行く魔物が彼の脇へ移動する。
ティアはその不思議な光景を見ていた。


「ルーク、説明して頂戴。
 一体これは何なの?」
「これ?
 これはギターの音にフォニムを乗せて、魔物の戦闘意識をなくしてやっているんだ」
「成長したのね、ルーク」
「いや、師匠のおかげさ」
「?」
「ほら、馬車のおっちゃんが見えたぜ?」


渓谷の出口近くには、馬車の親父が立っていた。
水を汲みに来ているのだろう。
親父はこちらに簡単に気づいた。


「お、お前ら漆黒の・・・」
「そんなのと一緒にすんな!
 それよりおっちゃん・・・」


ここは馬車の中。
橋が爆破され、大型戦艦『タルタロス』が通ったにもかかわらず、
ルークは眠っていた。


(いくらなんでも、ガルドを用意してて
 話の流れを無視してエンゲーブに向かわせるのはだめよ・・・)


ティアは心の中で泣いていた。


場所はまた飛んでエンゲーブ。
着いたときには、前のように泥棒騒ぎが起きていた。


「よっく飽きないでさわぐなぁ」
「過去に戻ったのは私たちだけよ、しょうがないわ」
「そうですよ、そこのところを解らないなんて・・・
 ルークはやはりルークですね」
「「ジェイドォ!?」」


いつの間にか後ろには恐怖のメガネ大魔王、ジェイド・カーティス
が立っていた。


「二人とも、今日はゆっくりと休息をとってください。
 明日には森に行ってこの騒動を静めましょう」
「もちろんだ、行くぞティア」
「えぇ、大佐もゆっくりと・・・」
「お気遣いありがとうございます」


翌朝、ルークは爆睡していた。
そのあまりの爆睡っぷりにティアは起こしにくくなっていた。


「ルー・・・」
「ふ〜〜がぁ!〜〜〜〜・・・・ふぅ」


このとおりだ。
そのとき、ティアのよこをでかい人形が通り過ぎていった。


『十六夜天舞』!


「ぐっはぁぁぁぁ!!! 腹の・・・ミゾ・・・に」


ルークはダウンした。
その隣ではポーズを決めているアニスが立っていた。


「オラクル騎士団、フォンマスターガーディアン所属
 アニス・タトリンしょーり!」
「長いわ・・・、じゃなくて! ルークが・・・」
「わりぃアニス、てまかけさせたな」


いきなり起き上がったルークは、道具を持って外に歩いていった。
アニスもその後ろをついていった。
残ったティアは涙してこういった。


「この小説、というかこのストーリー、
 何か変・・・」




場所は飛んでチーグルの森。
ティアはもう吹っ切れて元の調子に戻り、
全員やる気満々となっている。


道中もルークのギターにより、敵と戦わずにすんだ。
着いた先はチーグルたちが住む大木の中だった。
そのなかで、よぼよぼのチーグルがルークたちにはなしかけた。


「おや、これはこれは・・・
 ミュウの行ったとおり、客人が来ましたわい」
「長老、僕達は・・・」
「解っております。
 導師、用件は泥棒のことじゃな? それならやりましたぞ」
「なぜ、そのようなことを?」
「森の一角にライガの女王が住み着いての・・・」
「どうにかすりゃいいんだろ? やってやるよ」
「それは助かる・・・、ミュウ、後は頼んだぞ」 


長老チーグルがミュウと呼ばれるチーグルに、ソーサラーリングをつける。
ミュウは突然喋りだした。


「ご主人様、お久しぶりですの!」
「あぁ、これからも頼むぜ」
「はいですの! それでは皆さん、行くですの!」


ルーク一行はミュウを従えて、前と同じくライガの元へ進んだ。


案外とすんなり巣の中に入ってこれた。
ライガの女王、ライガクィーンは目の前で鎮座していた。
ミュウが必死で話すも、またも吹き飛ばされる。


「交渉決裂・・・ですか?」
「そうですの〜〜〜・・・」
「どうするの、大佐。
 今の私たちなら一発だよ?」
「そうね、さっさとけりを・・」
「まて!」


ルークがギターを構え、皆を静止させる。


「ルーク、どうするつもりですか?」
「任せてくれ」
「しかし・・・!」
「ジェイド、私からもお願いです。
 任せてみましょう」
「解りました。しかし、状況から見て危険と判断したら・・・」


イオンの頼みによりジェイドは考えを抑えた。
ルークのほうは、ギターを構えライガクィーンと対峙している。


「いくぜ、『俺の歌をきけぇ』!」


ギターをかき鳴らす。
ライガの反応は変わらないが、攻撃をしようとは考えていないようだった。


『君と一緒にすごせる様になれたって、
 一緒に笑いあえたって』


ライガの周りを覆う電気が、弱まっていた。
そればかりか、この空間が異様な雰囲気に包まれていた。


「これは・・・!」
「大佐、これは?」
「ギターの音から発するセブンスフォニムと、
 ルークの声から出るセブンスフォニムがあいまってこのような感覚を作り出しています。
 まるでフォニムに包まれているかのようだ・・・」


ライガが後ろに下がっていく。
ルークはそれに伴い、一歩ずつ近づいていく。


『どんな幸運が僕らに降り注いだって、
 不幸が襲ってきても、
 それから逃げ切れたって、』


ライガは堪えきれず攻撃を仕掛けた。
その攻撃の数々を、的確に避けていくルーク。
ライガはついにルークたちだけじゃなく、周りの壁までも攻撃しだした。


「ルーク! このままじゃ、ここが崩れるわ!」
「解ってる! 先に出ていろ、俺は大丈夫だから!」
「だけど!」
「ティア、行きましょう。ここでくたばるようなものじゃないはずです。
 導師、アニスも早く!」


ついにこの場に残ったのはルークとライガクィーンだけとなった。
ライガクィーンは明らかにスタミナ切れを起こしているようだった。
ルークは歌い続けた。


『I can never succeed in escaping!
 狂おしいほどの恐怖!
 お前がいるだけで俺は、
 この恐怖から、逃げ切れちゃうのさ!』


歌い終わると、洞窟は崩れだした。
ルークはその瞬間、ライガクィーンの背中に飛び乗った。


そのころティアたちは。


「ルーク!」
「大佐、これちょっと拙いいんじゃ…」
「そうですね」


洞窟が崩れるのを外から見ていた四人と一匹。
一匹はさっきからチョコチョコ動くし、ティアはうろたえていた。
その中で一人だけ涼しい顔をしていた。


「皆さん安心を、彼はもうじき出てきますよ」


『1 2 3 4 5 6 Let`s escaping!
 お前の、お前の、心に飛び込む!
 お前さえいれば俺は、怖くわないから!』


歌い終わったかと思うと、崩れた岩から飛び出してきたルーク。
飛び出してきた穴からは、ライガの子供が出てきた。
その場にいた全員が驚いたが、もっと驚くことがあった。


ライガの子供はあろうことか、ルークになついていた。


対するルークもまんざらではないようだった。


「ご主人様、すごいの!」
「すごい…! アリエッタ以外にも魔物と意思疎通できるなんて」


イオンとミュウはその光景をにこやかに見ていた。
ジェイドは何かを深く考えていた。
ティアはかねてから考えていた疑問をぶつけた。


「大佐、これは一体…」
「これはきっとセブンスフォニムの影響によるものでしょう」
「セブンスフォニムの?」
「はい。ギターから出る音とルークの声、この二つの音から
 セブンスフォニムが発生したんです。さらにそれによって、
 魔物の心に影響をもたらしたのでしょう」
「そうですか…」


なにはともあれ、こうしてライガクィーンとの戦闘は終わった。
そのことについては、一同はほっとしていることだろう。









あとがき
どうも、ZEROです。
皆さんに言うことが一つあります。
今回の歌については、僕の弟により作られたマクロスセブンの歌を出しています。
これからもそのつもりです。
そうしないと、ジャスラっ○がうるさいらしくて・・・
文才はありませんが、どうか長く見ていってください






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