ここで会うのは初めてですね。
私の名前は近衛 詠春、見た目はどこにでもいそうなお兄さんですが、実は関西呪術協会の長を務めています。
それに私はかの英雄、ナギ・スプリングフィールドと戦友であったりと実は凄い人なんですよ。
しかしですね、情けない話ですが剣術で琴葉に負けちゃいましたよ。
まぁ元々琴葉は武術の才があったこともあり、出会った頃から彼女の実力は恐ろしいものでした。
ただ体力の問題で彼女は全力で数分しか戦う事が出来ず、私が勝利してきた訳ですが…………
はぁ…………長としての威厳も最近ない気がしますし…………どうしたものでしょうね……
えっ!?今回の私の仕事はこれだけなんですか!?
はぁ…………溜まっている仕事でも片付けますかね……
魔法先生ネギま! ―深淵より呼ばれし者― 第9話
「はっ!てりゃぁ!」
「ふふふ……ほら、動作が大きくなっていますよ」
「くっ!?」
関西呪術協会総本部の庭先で繰り広げられる真剣を用いた戦い。
一方はまだ小さな少年であるが、振るわれる刀は荒々しくも鋭さがある。
そしてもう一方は袴を着た女性で、少年が振るう刀をいとも容易く弾き返していた。
少年はもちろんルークのことであり、女性は琴葉のことである。
現在2人は日課となった午後の修行に励んでいた。
と言うのもルークが京都を訪れて既に3年の月日が経過し彼は現在12歳。
身体も成長期に入りルークは立派に成長している様で、最近になってようやく京都へ来た目的を果たそうとしていた。
「またやっちまった……改めていきます!」
それは幼馴染兼使用人が使っていたシグムント流を使いこなせるようになること。
琴葉を相手にルークはローレライから与えられた知識を元にシグムント流を物にしようとしているのだが、
琴葉の攻撃に意識を集中し過ぎると、いつの間にか元々身についたアルバート流を使用してしまうのである。
改めて意識しだしたルークの剣は先ほどの荒々しさが無くなりはしたが、それでも鋭さを感じさせるものだった。
「その調子ですよ…………ではここで問題です♪」
それを琴葉も感心した様子で見ると、突然突拍子もないことを言い出した。
「げっ!?」
それを聞いて思わず変な声を上げるルーク。
琴葉が言った問題と言うのは、実は修行のメニューの1つなのである。
ルークの1日は、まず午前中は勉学に励み、午後は剣術の修行となっている。
そして琴葉の言った問題とは午前中に習った事の復習というわけなのである。
「――――では、答えをどうぞ♪」
そうこう言っている間に琴葉は問題を出し――――
「え…えぇっと…………」
ルークは答えを思い出せずにいた。
「ほらほら、止まってはダメですよ」
答えを思い出そうと必死になっているルークであるが、琴葉は容赦なく攻撃を放つ。
基本的に琴葉はルークの攻撃を受ける側であるのだが、問題を出題した際は攻め手となるのである。
と言うのも、この修行の目的は同時に複数の事を出来るようにする為の物なのである。
「おわっとっとっと……(やばい……思い出せない!?)」
そんな琴葉の攻めを必死に受け流しつつ、ルークは頭をフル回転させるがあと少しのところで答えを思い出せなかった。
「残り時間10秒ですよ。それとまた動きが大きくなっていますよ」
「あっ!?(というか今はそれどころじゃない!?早く思い出さないとマズイ!)」
さり気なく注意をする琴葉であるが、ルークはそれどころでは無いようである。
と言うのも、もし問題に答えれないと――――
「3…2…1…はい、時間切れです。それでは罰として今日は――――斬岩剣にいたしましょうか♪」
神鳴流奥義がランダムに放たれるのである。
「やばいっ!?」
気を全身に纏い構えると、今にも飛び出しそうな琴葉。
ちなみに彼女の持つ野太刀は気の力により通常では有り得ないほどに光り輝いていた。
そしてルークはそれを見てマジで焦り始めていた。
「ふふふふふ、ではいきますよ♪神鳴流奥義――斬岩剣!」
焦った様子のルークを見て微笑むと、琴葉は一気にルークの眼前にまで接近し、高速で剣を振るった。
「ちっ!」
それに対しルークは左手に持っていた刀を両手で構えると気を集中させ――――
「粋護陣!」
さらに気の壁を周囲に展開した。
「気の扱いに関しては上達しているようですね――――しかし!」
琴葉はルークの粋護陣と呼ばれる防御壁・気を送る事で強化した武器の様子を確認し、成長を素直に喜んでいた。
「なっ!?粋護陣があっさりと!」
しかし琴葉が放つ斬岩剣はその防御壁を容易く切り裂いてしまった。
「これで終わりですか?」
そう言いながらも剣の速度を落とす事無く、琴葉の野太刀はルークへと向かう。
「くっ、まだだぁぁぁぁ!」
ルークは気合を入れなおすように叫ぶと、琴葉の一撃に正面からぶつかっていった。
「ふふふ、良い気迫ですね」
琴葉もそれに答えるように、粋護陣を切り裂いた勢いのままルーク目掛けて振りかざす。
それは気で強化された刃同士が正面よりぶつかり合い、鉄と鉄が生み出す音と共に大きな衝撃波を生んだ。
そして、ルークは琴葉の一撃を受け止める事に成功した。
「くそっ!(刀が――砕ける!?)」
が、ルークの気で強化された刀は徐々に刃こぼれし始めていた。
「(さぁ、ルーク――――どうしますか?)」
このままでは砕けるであろう刀を見て焦るルーク、そして琴葉は何かをやらかす事に期待しているようであった。
「(ならば砕ける前に――――瞬動!)」
その琴葉の期待に、ルークは気で強化して刀を手放し、刀が砕ける前に行動を起こした。
ルークは瞬動を利用し、一気に後方に下がる。
一方の力が消えた事で琴葉はルークの刀を切り裂くと、後方に下がったルークに追撃をかける。
「はぁぁぁぁ!」
迫り来る琴葉の攻撃を前に、ルークはまたも気合を込める形で叫ぶと、魔力と気を体に纏いオーバーリミッツを発動させた。
そして両腕を天空にかざすと、ルークの体内より光の粒子が出現し、それが頭上で収束していく。
それはやがて1つの形となり、不思議な形状の剣が姿を現した。
「これで決めてやる!響け!集え!――――」
その剣を持ち、ルークは迫り来る琴葉に大振りな斬撃を放ち――――
「全てを滅する刃と化せ!――――」
現在使えるであろう、最大級の斬撃を放とうとした。
「ロスト・フォン・ドラ「そこまでですよ♪」ぐはっ!?」
が、琴葉が高速で懐に飛び込み強烈な一撃を与え、あっさりと妨害されてしまった。
その一撃をボディーに受けたルークは吹き飛ばされていた。
「ルーク、今あなたは何を学ぼうとしていたのでしょうか?」
自分が使用できるであろう最強の技をあっさりと封じられ、さらにボディーへのダメージが思いのほかキツイのか、
パッと見凹んでいるルークに琴葉はゆっくりと近づくとやさしく言葉遣いで質問する。
「えぇっと…………シグムント流を学ぼうと思っています」
その琴葉の穏やかな雰囲気に痛みを忘れ緊張しながら答えるルーク。
「そうですね。では先ほど使用していたの剣術の名称を教えていただけますか?」
ルークの答えに満足したのか、さらに笑顔を見せ始めた琴葉。
「…………アルバート流です」
しかしルークは痛みを忘れるほどの嫌な予感がしていた。
「私の勝利しようとするのはいい事です。しかし修行の目的を忘れられては困ります」
「は…はい」
未だに穏やかな雰囲気の琴葉のお説教が始まり、自分の予感が外れている事を祈るルーク。
「と言う事で罰として――――決戦奥義です♪」
「…………はっ?」
しかし、ルークの嫌な予感は的中していた。
「斬岩剣同様、手加減はしておきますので心配はいりません。では行きますよ、神鳴流決戦奥義――――真・雷光剣♪」
「ちょ…待っ――――ぐわぁぁぁぁ!?」
神鳴流決戦奥義、真・雷光剣――――それは広範囲を破壊する決戦奥義の名に相応しいほどの威力であった。
そんな破壊力満点の技を受け、ルークは衝撃に巻き込まれるとあっさりと意識を失う事となる。
「あらあら、ずいぶんと汚れてしまったようですね。さっ、綺麗にしましょうね♪」
そんなルークを、とても決戦奥義をぶつけた本人とは思えないような発言をしつつ、
琴葉は衝撃波で汚れてしまったルークをやさしく抱きかかえると、大浴場へと進んでいった。
数分後、恥ずかしさで爆発したルークの叫びが総本山に木魂することを追記しておく。
さらに、総本山専属の庭師が徹夜に徹夜を重ね、決戦奥義で荒野と化した庭を復活させた事を追記しておく。
さて、先ほども述べた事だが、ルークが京都に訪れて3年の月日が経っていた。
ということで、ここで突然ですがその3年間の出来事を軽く説明するとしよう!
ルークが京都に訪れてわずか1週間足らずで近衛家に迎えられ、刹那も木乃香と同居を果たした。
それにより、ルークは歳相応の生活を送る事となる。
起きて、食べて、遊んで、勉強して、修行して、最後に眠りに着く。
屋敷に閉じ込められていた前の世界での幼き日々。
魔法界で『紅き翼』の魔道士として駆け回っていた日々。
どちらもとかけ離れた、普通でいて穏やか日々。
特にこちらの世界に来てからのルークは同世代と遊ぶ機会が精々アスナとぐらいであった為、
木乃香と刹那の存在は大きかった。
アスナは言うなれば寡黙な少女である。
対して刹那はまぁ大人しい方である。
しかし木乃香は違っていた。
刹那やルークと一緒に過ごせる日々がよっぽど嬉しかったのか、気持ちが爆発していたのである。
もう、ルークや刹那を連れ回すは引っ張り回すはで様々な事をしでかしていた。
その引っ張り回される光景を微笑ましく見ていられたのは琴葉くらいであり、
女中たちはイタズラの常習犯となりつつある木乃香(悪気は無い)に悩まされ、
それに巻き込まれるルーク達に対しては哀れみを含む目で見つめたりするほどだったのだ。
当初は7歳な17歳というどっちだか判断しづらい年齢のルークであった為、
あまり子供らしい遊びを好んでいなかったのだが、最終的には状況に流されあっさりと馴染んでいた。
とまぁ、こんな感じでノンビリと時間は流れて約10ヶ月後の1996年3月(ルーク来日は春と夏の間くらい)
ルークは数えで10歳・木乃香と刹那が8歳になるこの年に、木乃香と刹那が麻帆良学園に通う事となったのだ。
それは表向き、琴葉が願っていた普通の生活を送ってもらう為であった。
しかし、実際はルークが京都に来て以来、誘拐を目論む連中が増えた為である。
ただでさえ、木乃香の魔力を狙う連中がゴロゴロといたと言うのに、
ルークの譜術の力を手に入れ様とする連中が増えた事が原因であった。
特にルークを狙う者達は西洋魔術師が多く、その者達は容赦なく魔法をぶっ放す無礼な輩が多かった。
ちなみに、これらの輩の行動により、呪術協会での西洋魔術師におけるイメージは非常に悪くなった。
そしてそれらの出現の原因となるルークのイメージも当然悪くなるかに見えた。
しかし実際は、先の木乃香爆走事件と、彼の横で笑顔を見せる『とある女性』のプレッシャーに思考が麻痺したのか、
ルークの好感度が鰻上りとなったのはこの事件での裏話である。
さらに、そのプレッシャーが多少ルークにも影響を及ぼし、母と呼んで欲しいと言う琴葉の願いを
あっさりと了承してしまったのもまた別の裏話である。
話が逸れたが、その連中は木乃香に魔法の存在を知らせたくない詠春・琴葉にとっての悩みの種である。
そこでルークを残し、木乃香が学校に通う事を名目とし、麻帆良に送り込む事となった。
ルークが一緒に行かないのはこの様な事が関連しているのだが、事情を知らない木乃香はそれに猛反発していた。
しかし琴葉はそれを予測しており、刹那も麻帆良に通わせる事で木乃香の機嫌を取り、
神鳴流を学べなくなる事に不安を覚えていた刹那には、葛葉 刀子を同行させることで対処した。
こうしてその他条件を飲ませる事で、最終的に2人は麻帆良に向かう事となった。
そして木乃香が京都を離れた事により、ルークの修行は本格的に開始した。
まずルークが学んだもの、それは気のコントロールであった。
ルーク自身は既に気を用いた技を使用できるのだが、身体能力や身に纏う武器・防具の強化などを行う事は出来なかった。
今までのルークは気を意識して体に纏うような事を特にせず、オーバーリミッツの時だけ身体の強化を行ってきた。
しかしこれではフェアリーリングを装備しているとは言え、燃費が非常に悪かったのだ。
ちなみに学校に行っていないルークには、勉強の時間も用意されており、木乃香たちが居なくなった日より
勉強と修行の一体化が始まり、ルークの学力は鰻上りであったと言う。
とまぁ、修行に勉学に励む日々が続く事で、剣の実力も頭脳もしっかりと鍛えられていく中、
麻帆良に行った木乃香からの手紙により、ルークの今後を左右する出来音が起こる事となる。
その手紙の内容は極普通の物であり、木乃香たちが麻帆良に行って以来、
毎月必ず送られて来る手紙と何ら変わりは無かった。
ただ1つ違うのは、麻帆良祭の招待券が入っていた事であった(手紙が来たのは1997年春)
これを見た琴葉はルークと行く気満々となり、ルークもタカミチに会える事や、アスナの様子の確認、
エヴァに預けたグミのことが気になっていたので、すぐさま行く事が決まった。
そして、迎えた麻帆良際当日。
初日からちゃっかりと来ていたルークと琴葉(詠春は家でお留守番中)は、まず学園長への挨拶へと向かう。
そこでルークは学園長が琴葉の父である事を知り、驚愕していたが今は軽くスルーしておこう。
改めて軽く自己紹介をした後、琴葉は学園長に少し用事があるので先に楽しんで来る様言われたルークは
1人学園を散策する事となる。
そこで――――
「あっ!ルゥ兄やんかぁ♪会いたかったぇ♪」
「お…お久しぶりです……ルークさん」
木乃香・刹那と再会し、子供らしく遊びまわり。
「やぁ、ルーク君。久しぶりだね。しばらく見ないうちに大きくなったものだよ」
タカミチに再会し、修行の日々やアスナの事についてたくさん話し。
「ほぉ……久しぶりに見たと思えばずいぶん成長…………し…身長が抜かれているだと!?
な…何だ、その勝ち誇った顔は!?」
「ケケケ、御主人モ大変ソウダナ」
エヴァに再会し、襲われ…………
「やぁ、ルーク君。数年ぶりの再会の訳ですが、元気そうで何よりですね」
アルと意外な形で再会していた。
そう、あのアルとである。
この再会は今回の話で結構重要な出来事なので、ルークとアルの再会を軽く公開!
それは麻帆良際3日目の事だった。
その日は琴葉が木乃香・刹那と共に回っていくこととなり、チャチャゼロはエヴァの家に預け中の為、
ルークは1人で散策していた。
そんな時である。
「やぁ、ルーク君。数年ぶりの再会の訳ですが、元気そうで何よりですね」
突如、一切の気配を感じさせる事無くルークの背後にアルが出現したのだ。
「うわっ!?――――ってアルかよ。全く、驚かさないでくれ…………ってアルなのか!?」
当然、突如背後に立たれたルークは驚いたがそれが見知った者だったのですぐに冷静になった。
しかし、冷静になることで新たなる驚きがあることに気がついた。
ナギと共に消えたアルがそこに居たのだから当然といえば当然であった。
「はい、あなたが知っているアルビレオ・イマで間違いないですよ♪」
しかしアルは、相変わらずのほほんとした雰囲気軽く言ってのけた。
「な…何だろ…………久しぶりの再会のはずだけど久しぶりな気がしなくなってきた」
ルークはその雰囲気に飲まれつつあった。
「まぁ細かい事はいいじゃないですか。それよりもルーク君に渡したいものがあるのですよ」
アルはせっかくの再会を細かい事と言って軽く流すと、ローブの中より1冊の本を取り出した。
「それは?」
「これはナギが持っていた魔道書の1つです。ルーク君にはこう言った方が分かりやすいでしょう。
『聖なる焔の光』を召喚する際に用いた魔道書です」
「そ…それが俺を呼び出すときに用いた魔道書!?」
そう、この世界にルークが来るきっかけとなった重要な魔道書――――それが今アルの手元にあるのだ。
「ナギに頼まれていたんですよ。これをルーク君に渡すようにと」
「ナギが俺に?」
「えぇ、少しこれを――――」
そういうとアルは魔道書を開き、ルークに見えるように持ち直し――――
「読んでくれますか?」
読んで欲しいと言ってきたのだ。
「読めばいいのか?えぇっと……『2つの世界の相違点で特に重要になるのは音素の有無である。
これにより、2つの世界の生物はそれぞれの世界で環境に適応できず、死に至る可能性が高い事がわかっている』
これでいいのか?」
それをルークは特に疑問も持たずに1文を読み上げた。
「えぇ、十分です。これで確信が持てましたので」
そのルークが読み終えたことで、アルの中で1つの答えが浮かび上がっていた。
「確信?」
「そうです。さて、ルーク君、あなたが今読んだ文字は何と呼ぶのですか?」
「何語って……フォニック文字に決まっているだろ?」
「フォニック文字ですか…………見たことも聞いたこともの無い文字ですね」
「それはそうだろ。俺の居た世界の文字なんだから当たり前だぞ」
「そうですよね。では先ほど読んでいただいた文字は?」
「だからフォニック文字だって言って…………あり?」
そう、先ほど読んでいた魔道書の1文――――それはこの世界では有り得ない文字だったのである。
「この魔道書は、ルーク君を召喚する以前は最初の見開きに召喚の呪文が載っており、後は全て白紙のページでした。
しかし、ルーク君が召喚されたことで、魔道書に文字が刻まれたようです。」
「そうだったのか。でもどうして今頃になって?」
「今頃になって渡す事になった理由の1つは単純にナギが魔道書の変化に気がつかなかったからです。
気がついたのは皆さんと別れてからの事でしたからね」
「ナギらしいといえばナギらしいな」
「そうですね。そして2つ目は私が麻帆良を離れる事が出来ない為。
ついでに言うと麻帆良際が行われる時期にしか行動できない為、ルーク君が居る京都に届ける事が出来なかった訳です」
「麻帆良際の時しか行動できないって……何かあるのか?」
「それについては内緒です――――が、きっといつか話せる日が来るでしょう。その日まで待っていてください」
「そっか…………その話にはナギの事も含まれるのか?」
ルークにとって最も知りたいナギの情報をさり気なく聞き出そうとするルーク。
「ふふふ……さぁ、どうでしょうね♪」
その質問にアルは関係あると言っているような態度を取っていた。
「……わかった。その日が来るまでに俺は強くなる事にするよ」
しかし、それと同時に今は聞くべきでないと言っている気がするので、ルークはその日が来る事を待つことにした。
「それは助かりますね。それではこの魔道書はルーク君にお渡ししておきます」
そんなルークの言葉に感謝しつつ、アルはルークに魔道書を渡そうとしていた。
「あぁ、ありがとう。これが…………なっ…なんだ!?」
それを素直に受け取ったルークであったが、それを手に持った瞬間、魔道書に異変が生じた。
「これは……どうやら魔力と気が溢れ出ている様ですね」
突然、魔道書を持ったルークがOVL(咸卦法)を発動させたのである。
そしてそれを慌てる事も無く、冷静に分析し始めるアル。
「どう…なって……いるんだ!?……制御…できない!」
一方のルークにはとってこんな現象は初めてだったので焦っていた。
そして制御できない魔力と気が融合した力は魔道書に注がれると、魔道書から数え切れない程の光の粒子が出現した。
それは、やがてルークの前面で集約していき1つの形を形成していく。
そう、それは――――
「ロ…ローレライの鍵!?」
ルークが最後の決戦で使用していた、第七音素で構成された剣であった。
「ローレライと言う名称はルーク君に多様な知識を与えた者の名でしたね」
「あ…あぁ、この剣はそのローレライとユリアって言う昔の人が作り出した剣なんだが……」
アルの質問に答えるルークであるが、その視線は突如現れた剣に釘付けであった。
そして剣を握ろうとするルークであったが――――
「えっ!?」
「おや?また粒子に戻りましたね」
ローレライの剣はまたも粒子となり始めたのだ。
そしてその粒子は、ルークの体内に入り込んでしまったのだった。
「これは……もしかしてあの時の状況なのか……」
突如起きた今の現象にルークは1つ思い当たるものがあった。
それは過去に1度、ローレライの鍵を構成する宝珠を体内に取り込んでしまった時のことである。
「ルーク君、先ほどの剣はどこに?」
「恐らく……だけど俺の体内に入ってしまったみたいだ」
「恐らくと言う事は確信はないのですね。それではその魔道書を調べてみては?」
「うーん、そうだな。そうしてみるよ」
その後、ルークが魔道書の中を調べる事で先ほどの疑問は解決することとなる。
そして、それと同時に、ルークの身体についてなども記載されており、どれも重要な事ばかりだった。
特に、ルークが持つ固有スキルの情報が非常に役立った。
ルークが持つ固有スキル――それはルークの世界に存在した第一超振動と言う力を用いた物である。
第一超振動とは、音素同士・元素同士の結合を解放し、物質の破壊・再構成を可能とする現象である。
こちらの世界に来てからも、物質を元素レベルで分解・再構成を可能とする力は使えるようである。
そして、先ほど出たり消えりしていたローレライの剣はルークのこの力が使われる事で分解され、
体内に取り込む事が可能な様である。
尚、体内にローレライの鍵が取り込めるのは、この世界に存在しないはずの音素と呼ばれる物質に
ローレライの鍵を分解する事が出切るのが理由の1つであり単純に第一超振動で分解した物質を取り込む事は出来ない。
これは仲間内が使っていた『コンタミネーション現象』と呼ばれる現象を利用したものであり、
ルークがローレライの宝珠を体内に取り込んでいた時の事を参考にしているようである。
ちなみに第一超振動の発動条件は、OVLを発動する事で使用可能となっている。
この他にも、様々な情報が記載られていたのだがその日はアルと分かれる事となり、
またその日で京都に帰る事となっていたので、後は京都に帰ってから見ることとした。
こうして、魔道書の内容によりルークの戦術も増えていき、琴葉の訓練で着実に力をつけていく事となる。
そして、時は流れて2001年 4月――
ルークは再び麻帆良の地に訪れていた。
第10話に続く
あとがき
どうも、お久しぶりのズズでございます。
前回の投稿より2週間以上も時間が空いてしまい申し訳ありません。
ちょっと……というかかなり課題が切羽詰ってきてしまい、息抜きをする暇すらありませんでした。
私としては今年中にネギ君を登場させようと今回の話はかなり詰め込んだのですが……これが今年最後の投稿となりそうです。
今回のお話は本来2・3話分のネタを強引に詰め込んでいるので説明が多くて面白くないかもしれませんが、
これが精一杯でございます。何卒これでご勘弁を(汗
そうそう、詰め込め切れなかったネタの補足ですが…………多すぎてどれを説明したらいいか判りません(滝汗
ですから1点だけ補足をさせていただきます。
まず魔道書に文字を記入したのはローレライです。
ルークに与えられなかった知識の一部、それと鍵を渡す為に利用したようです。
残りも少しずつ説明をしていきますので少々お待ちいただければ幸いです。
あっ、それと今回の話で年数がややこしいと思った方などはいますでしょうか?
もし判り辛いようでしたら年表でも作ろうかと考えております(作者もややこしくてたまらないので)
さて、気を取り直してweb拍手返しでございます♪
今回もたくさんありがとうございます。
しかし更新をサボってしまったので溜まりすぎて大変なので質問のみ変えさせていただけます。
11/30
0:34 『正直な話、残念でなりません。文章力がそれなりにあるんですが、内容がちょっと。
八話までみた感じ、明らかにルークマンセーな作品にしか見えません。
幾らルークがアッシュの能力などを受け継いでいたとしてもあんな強力な譜術を使えるとは思えません。
むしろ使えるとは思えません。むしろ使えるのはせいぜいゲームでアッシュが使っていたものだけでしょう。
第七音素を除いたとしても、他の音素を使いこなすにはかなりの素質がいります。
実際、六種類の譜術が使えるのはジェイドやネビリムぐらいですし、
まともに譜術の鍛練をしていないルークがほいほい使える代物ではないと思います。
剣技においてはまぁ、劣化版や見よう見真似程度の技なら使えるとは思いますが、実践で使える程強力なものとは思え。
で、一番の萎えどころがルーク×ティアではない所。
幾らなんでもそう簡単にティアとの想いを断ち切れるとは思えません。
むしろ無理。レプリカだとわかって最後まで『自分』を見守ってくれたティアとの想いはかなり堅いと思います。
そう考えると、やっぱり残念でなりません。ルークの嫁はティアだけだと思います。』
な…長いので少し整理いたしました(汗
やっぱりマンセーな作品になっていますか…………
どうしても息抜きとして書いているので気をつけてはいますがどうしてもそういう方向になってしまうのですよね。
気をつけますです(汗
次に譜術ですが、体を作り変えられた際、体を作り変えられたこと・ロレの知識で可能となっています。
と言うか、この設定は結構無茶だとはわかっているのですが、ルークに強力な譜術を使えるようにするのは、
必要な措置でして、ルーク自身が狙われるでもしないと敵キャラとなるキャラを登場させづらいからなのです。
ですから珍しい魔法、それでいて強力な魔法を使うルークが狙われると言う状況にしたかったのです。
剣技においても、ロレの知識・それとルーク自身が見てきた物でどうにかなるということでお願いします。
ティアに関してはどうしようもないですねぇ(汗
と言うか、ぶっちゃけますとですね、私は結構アビスの小説を読み漁っており、
ルクティアに飽きて来ている今日この頃でございます。
そもそもアビスの小説を書こうとした際も、ルーク×リグレットが書ける!なんて単純な思いで決意しているものでして(笑
あっ、決してティアが嫌いとかではないですからね?甘々を見すぎてお腹いっぱいなだけですので。
それと私は甘々な小説を書ける自信がないので過剰な期待は禁物です(笑
基本的にギャグがメインなので(これもどうかとは思いますが……)
と言うかふと気がついたのですが、ルクティアを推奨する意見が増えたのってもしかして6話のweb拍手が原因ですかね?
カップリングについて聞かれたので、カップリングと言う言葉を使って答えたのですが…………
6話の拍手で言っていたのは別にルークの彼女を募集しているのではなく、
絡んで欲しいキャラの希望を聞きたかっただけなのです。
例えば原作で言う、『亜子とネギのデート』みたいなイベントを色々と言って欲しかったんですよね(汗
こういう意見が全く来ないと思ったら説明不足だった事に今更気がついてしまいました(涙
という事で今日はしっかり慌てずに募集させていただきます♪
ルークと絡んで欲しいキャラを大募集中です!
軽くシチュエーションを書いていただければこちらも考えやすいし、そちらの要望にも応え易いので、
もしよろしければよろしくお願いいたします。
と言うかネタ下さい(笑
1:27 『今回はチャコがお休みなんですね(泣)』
あっ……チャコに触れるの忘れてた(笑
チャコはですね、メンタルシンボルをつけて睡眠をとる事が多くなっています。
回復速度はかなり遅く、ちょっと本気を出せばすぐに魔力がすっからかんになる為、休息を覚えてるんですよね。
決して、私が忘れていたりイチイチ発言をカタカナに変換するのが面倒だとかじゃないですからね?(笑
14:36 『次はそろそろ「神鳴流」での修行風景でしょうか?頑張って下さい!』
ルークは神鳴流の基礎である気の修行は受けておりますが神鳴流を使う事は出来ません。
修行風景についてはもっと書きたかったのですが、全く進行しなくなるので大幅に切り取りました。
もしこの先、ネタに詰まったりして希望があれば今回の切られた部分などを番外編で書いて見たいと思います。
14:36 『アッシュは必ずくる!!そしてこういうはずだ』
14:37 『「俺はレプリカなんぞに救われたいとは思ねー!!」って』
うーん…………たしかに言いそう(笑
そして言わせたい(爆笑
出る機会があれば採用させていただきます。
21:20 『いっその事ネギを女の子にしてしまえばアスナフラグも可能になるのでは?と期待っ!』
ネギ君女の子化ですか…………一応ネギ君は数少ないルークより年下の男の子キャラなのでそれは無理です(汗
アスナは絡みが多いので期待していただければ幸いかと。
12/2
0:08 『京都編もいいけどそろそろネギ出てこないかな?まだ、まだ先になるかな?』
京都幼少編は今回で終わりです♪
次回より麻帆良が舞台です――が、年数でわかる様に、木乃香達が中学に進学した辺りのお話です。
何とサブキャラのグラサンのおっさんとか黒人のおっさんとかが活躍する!?かもな内容となっております(笑
ネギの登場は2・3話後に出来れば頑張ります(つまり来年となりました、すいません)
0:27 『ルークの修行どうなっているのかな?いっそのこと左手でアルバート流右手でシグムント流の二刀流にしては』
二刀流については私がイメージ出来ないので難しそうです。
一応、16巻で刀子と戦っていた刹那位には二刀を使える設定です。
12/3
0:29 『面白かったです。原作については、気にしなくてもよいかと。スズ様の作品ですし、思ったようになされば。』
アビスの設定からはどうしてもかけ離れてしまう事が多いのでこう言って貰えると助かります♪
でも読んで下さるのは皆さんですし、どちらも楽しめる事が一番なので…………ネタ下さい!(これが本性です)
それと私は『ズズ』ですよ!(涙
0:31 『まあ譜術か魔法位無いと、あのトンチキ連中とは戦えんしなぁ…ただ僭越ながら一つ。』
0:32 『浮遊術ないし何らかの飛行手段がないと、この先やってけんかなと思いますよ。』
0:33 『術戦には必須だし。』
やっぱり飛べるほうが便利か…………
一応、浮遊術については以前言ったマント以外にネタがあり、そちらを採用するかもしれないので少々お待ち下さい。
7:58 『・・・そのうちルークのかっこうが、ねこねここねこになりそうないきおいですね(汗)』
やっぱりテイルズ系の醍醐味はコスチューム変化ですよね♪
しかしネタな格好が出来るタイミングが微妙ですな。
精々武道会ぐらいでしょうかね……そこまで頑張って続けれたらいいなぁ(苦笑
12/8
19:36 『居合い拳の拳がお米券の券になってますよw』
は………恥ずかしい!?!?!?
何て凡ミスを私は…………はい、手持ちのデータは速攻で修正しました。
来年くらいになると思いますが、迷惑をかけない程度に修正していきたいと思います。
とまぁ、課題に追い込まれて妙なテンションでお送りしてきましたが本日はこの辺で。
と言うか恐らく今年はこの辺でと言うべきかも知れませんね(汗
今年中の更新は時間が出来れば頑張ってみようと思いますが、あまり期待はしないで下さいね。
最低でも1月の中旬には課題の提出も終わっていると思いますのでそれまでお待ちくださいませ。
そうそう、拍手や掲示板は頻繁に覗いておりますのでネタ等があればどしどしお願いいたします。
移動時間などにネタを練る時間はあるので私の息抜きにも繋がりますので♪
それでは本日はこの辺で失礼いたします。
少々、早いですが良いお年を〜♪
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