機動戦艦ナデシコ


〜For Dearest Sister〜



第一話
「兄らしく、妹らしく」でいこう







2195年
それは、木星の向こうからやってきた・・・・。


〜火星宙域〜

「敵は真っ直ぐに火星に向かっています。予想到達地点は同南極!」

オペレーターのものと思われる声がブリッジに響き渡る。オペレーターはモニターを 見ながら、自分の上官であるフクベ提督に状況を報告していた。

「敵の目的地は火星に間違いないな・・・。やつを火星におろしてはならんぞ!ここ で迎え撃つぞ!各艦、射程に入ったら打ちまくれ!」

フクベ提督の声がブリッジにこだまする。

「敵、なおも前進!敵チューリップより多数の戦艦が出てきました。・・・・敵艦 隊、各艦の射程に入りました!」

「てぇぇー!!」

フクベの号令により味方艦隊よりいっせいにビームが放たれる。しかし、それと同時 に敵艦隊からもビームが放たれた。敵艦隊のビームはフクベたちのビーム砲を捻じ曲 げフクベ率いる連合宇宙軍の艦隊に命中していく。

「ぬぅ・・・、重力波砲か・・・。」

フクベは苦虫を噛み潰したような顔でそうつぶやく。

「敵チューリップから多数の機動兵器射出!」

オペレーターの声と同時にチューリップからバッタ、ジョロなどの小型兵器が数百単 位で出現した。

「レーザー、いっせい発射!・・・・効かない!?」

「敵チュ−リップ、まもなく火星圏内にはいります!」

オペレータより驚愕の報告が入る。フクベはその報告を聞き何かを決心したような顔 になる。

「総員退避!本艦をぶつける!」

フクベの声が響くと同時に戦艦のブリッジ部分を切り離し、戦艦の本体はチューリッ プめがけて進んでいきチュ−リップの側面に激突する。

チューリップはそのまま火星へと落下していった・・・。



〜火星ユートピアコロニー地下シェルター〜


「はい。こんなものしかないけど。」

そう言ってぼさぼさ頭の青年、テンカワ・アキトが7,8歳の少女にみかんを手渡 す。

「わあ・・ありがとうお兄ちゃん!デートしよ!」

みかんをもらった少女は嬉しさのあまりかさらりととんでもないことを言う。その言 葉にアキトはずっこけ、母親らしき人はクスクスと微笑んでいる。

アキトは少女に微笑み、地球にいる自分の義妹に思いを馳せる。

「(ルリちゃん、地球で元気にしてるかな?研究のために2ヶ月前に地球に行ってか ら通信でしか話していないからな・・・。研究所の人たちとなじめたのかなぁ?少し はましになったけど基本的に無愛想だからなぁ・・・。し、心配になってきた(汗) 早く会いたいな・・・。・・・父さんと母さんは無事なのかな・・。多分研究所の シェルターにいると思うんだけど。生きていてくれよ・・・。ルリちゃんを悲しませ るようなことはしないでくれよな。)」

アキトが両親について考えていると少女が話しかけてきた。

「わたしね、アイっていうの。」

アイがそういい終わるのが早いか、シェルターの壁がバッタによって破壊される。

「あぶない!!」

アキトはそういうとアイたち親子をかばうように地面に伏せる。

「きゃぁ〜!!」

煙の中からバッタが姿を現すと、シェルター内の人々は我先にと出口におしよせる。 アキトはそれを横目においてあった車へと乗り込む。

「俺がやつを抑えます!その隙に!」

「お兄ちゃぁん!!」

「いっけぇぇ!!」

アイの叫び声とともにアキトを乗せた車が発進する。勢いに乗った車はバッタを壁に 叩きつける。

「まだまだぁ!!」

車はアキトの意志が乗り移ったのかさらに勢いづく。これはこの車がIFS(イメー ジ・フィードバック・システム)使用であることも関係している。IFSとは自分の イメージしたことをそのまま機械に伝えるシステムのことで、難しい操作などは要求 されないが、正確にイメージできなければいけない。

「つぶれろぉぉ!!」

アキトの声がシェルター内に響き、バッタの目が割れた。

「お兄ちゃん!すごい、すごぉい!」

アイが感嘆の悲鳴を上げる。同時に後ろのほうではシェルターの出口が開きかけてい た。

「ようし!開くぞぉ!」

シェルターの出口が開き、人々は驚愕の表情になる。出口の先には無数のバッタが存 在していた。

ドカァァン!!


「どうしたんだ!?」

アキトは爆発音に驚き振り返った。そこには先ほどまでの人の影はなく無数のバッタ に埋め尽くされていた。

「うそだろ!?」

先ほどまで押さえつけていたバッタまでもが活動を再開しアキトに襲い掛かる。

「はっ!?くそぉ!!」

周囲のバッタたちの目が妖しく光り始める。

「(俺はこんなところで死ねない!あの日ルリちゃんを守ってやるって決めたん だぁぁ!!)」

アキトは腰にさしていたブラスターを抜き、車から飛び降り転がりながらバッタめが けて弾を放つ。ブラスターの弾は正確にバッタの目を打ち抜く。

「いけるかっ!?」

アキトは同じようにほかのバッタにも攻撃を仕掛けていく。だが数が多すぎた。

ドン!ドン!カチッ・・カチッ・・。

「弾切れ!?くっそぉぉぉ!!」

アキトが叫び声を上げている隙にバッタたちはアキトを取り囲んでしまった。

「逃げ場なしか・・・。でもあきらめない!!」

「う・・・うおぉぉぉぉぉっ!!」

そのときアキトの首にぶら下がっていたペンダントが輝きを放つ。それと同時にアキ トの意識は暗転した。

「(ルリちゃん・・・・。)」





〜ナガサキ・サセボシティ〜


原っぱとも草原ともいえるような所に唐突に光があつまる。やがてそれは人の形を形 成していき一人の青年が倒れこんだ。

「ル、ルリちゃん・・・。」

青年はそううめくようにつぶやくと気を失ったのか動かなくなった。



「さてと、帰って夕方の仕込みをしねぇとな。一人で全部やんのはさすがにつらい ぜ。」

そう言いながら街から歩いてくる人物がいた。サセボシティにある雪谷食堂を一人で 切り盛りしているサイゾウであった。雪谷食堂は決して売れない店ではない。むしろ サセボシティでもトップクラスの売れ行きを誇る。しかしその店はサイゾウ一人で運 営されている。そのわけはサイゾウが頑固一徹だったからである。もちろんサイゾウ のもとでの修行を望む者もいた、しかしサイゾウはそのすべてをつっぱねてきた。こ れが頑固といわれる理由でもある。そして雪谷食堂が繁盛する理由でもある。常連の 客は彼のそんなところを理解しており味が変わらないことを嬉しくも思っている。サ イゾウの頑固さをたとえるなら某野球漫画の親父といって所だろうか。

「さあ、帰ったらまた大忙しだなっと。・・・なんだ?」

そう言い終るとサイゾウはおもむろに草むらへと入っていく。そこには先ほど気を 失った青年が倒れていた。

「おい!あんたどうしたんだ!?おいっ!!」

そう言ってサイゾウは青年の体をゆするが反応がない。念のため脈などをはかってみ るが脈はあるようなので安心した。

「何だ行き倒れか・・、脅かしやがって。ちっ、しゃあねぇうちに運んでくか。」

そう言ってサイゾウは青年を担ぎ岐路に着いた。




〜サセボシティ雪谷食堂〜


「・・・・ここは?」

先ほどサイゾウが運んできた青年が目を覚ました。

「やっと目を覚ましたか。まったく世話をかけさせやがる。」

すぐそばにいたサイゾウが憎まれ口を叩く。青年はそれに気づき声の主を見据える。

「ここはどこなんですか?まさか天国!?」

「何馬鹿なこと言ってんだよ。ここはサセボシティにある雪谷食堂。んで俺はサイゾ ウだ。お前さん名前は?」

「俺はテンカワ・アキトっす。・・・サセボってナガサキの!?ってことはここは地 球!?」

アキトは驚愕のの表情を浮かべサイゾウにせまる。

「はあ?何言ってやがんだ?ここが地球じゃなけりゃどこだって言うんだ?」

サイゾウはあきれたようにそう言うと何かを思いついたような顔になる。

「アキト、おめぇここがどこかわかってなかったみてぇだが、どっからきたんだ?」

「俺は・・・ユートピアコロニーにいました。」

「ユートピアコロニーだと!?おめぇそりゃ火星じゃねぇか!!いったいどうやって ・・・・・。」

「わかりません・・・・。気がついたらここでしたから。それより、ありがとうござ いますサイゾウさん。何かお礼を・・・・。」

グゥ・・・

アキトがそこまで言うと、どこからともなくそんな音が鳴った。

「アキト・・・とりあえず飯でも食うか?」

「すみません・・・・。」

サイゾウは腕を組み笑いをこらえながら、アキトは顔を赤くしうつむきながらそれぞ れいった。



〜サセボシティ繁華街〜


「はあ・・・。今日の昼食はどこで食べましょうかね。」

そう一人ごちながらひとりの少女が繁華街を歩いていた。その少女は綺麗な銀色の髪 をなびかせており、一見どこかのお嬢様の雰囲気を出していた。

「さっきサーバーを覗いたときに見た情報、ユートピアコロニーが・・・・・アキト さん・・・。何も食べる気になんかならないのですが。・・・ここは?」

考え事をしながら歩いていたせいか少女はどうやら迷ってしまったようである。

「しかたありません。店の人に聞いてみることにしましょう。」

そういって少女は店の中に入っていった。表には準備中の看板と「雪谷食堂」と書か れた看板とがあった。



時は少しさかのぼる・・・


「すいません、サイゾウさん・・・。助けてもらっておまけに飯まで。」

アキトは食べている手を止め、サイゾウにむかっていった。サイゾウも下ごしらえの 準備の手を止めアキトに向き直る。

「はあ?いまさら何言ってやがんだ。ここまできたらかわんねぇよ。行き倒れほっと くほど落ちちゃいねぇんでね。」

「(サイゾウさん、ホントにいい人だ。口ぶりはあんなだけどその裏に優しさがあ る。それに料理は一級品だ。・・こんな人のところで修行ができたら・・。そう だ!) サイゾウさん、何かお礼させてください。それで、もしよければここで働かせてくだ さい!一応コック志望なんで基本的なことはできますから。」

アキトはそうサイゾウに懇願した。サイゾウは腕を組み何かを考えていた。そして顔 を上げて口を開く。

「俺はよ、弟子はとらねぇんだ。今までそうしてきたしこれからだってそうするつも りだ。」

それを聞いたアキトは落胆する。

「そうですか・・・・。」

「おめぇ人の話は最後まで聞けよな。まったく・・・。誰もお前をここで働かせ ねぇって言ってねぇだろうが。事情を察するに、住むところすらねぇんだろ?なら住 み込みでうちで働けよ。おっと、住み込みだから給料はそんなによくねぇぞ。それで 文句があるなら・・・・。」

サイゾウがそこまで言ったとき、アキトはものすごい速さでサイゾウに飛びついた。

「ありがとうございます!ありがとうございます!俺、地球に知り合いなんていなく て・・。でも探さなくちゃいけない子がいるんです。俺にとって大事な・・ものすご く大事な子なんです!!」

「わかった!わかったからはなさねぇか!男同士でなんて気もちわりぃぜ・・・。」

ガラガラ・・・

サイゾウがそこまで言ったとき店のドアが唐突に開いた。

「あの・・・。」

そこには銀色の髪で金色の目をした少女が恥ずかしそうに立っていた。それを見たア キトの顔が驚愕のものへと変わっていく。

「お客さん、看板見なかったのか?今は準備中・・・って、アキトどうかしたの か?」

アキトの変化に気づいたサイゾウが声をかける。

・・・ルリちゃん?

アキトはそうつぶやくと少女のほうへと歩いていく。少女もアキトに気づいたのか驚 きの表情を浮かべる。

「・・・アキトさん?アキトさん!アキトさん!」

そう言いながら少女、ルリはアキトに飛びつく。アキトもそれを待ち構えていたよう にしっかりと受け止め抱きしめる。

「ルリちゃん、元気だったかい?」

「アキトさん、私は元気でしたよ。・・・じゃなくて!!どうして無事なんです か!?というかどうしてここにいるんですか!?」

「ルリちゃん、落ち着いて。ゆっくり話そう。ね?」

ルリはマシンガンのようにそうまくしたてる。アキトはそんなルリをなだめながら 言った。

「・・・はい。」

話がひと段落したのを見計らってサイゾウが口を開く。

「お前さんら知り合いか?」

「はい。そうですサイゾウさん。この子がさっき話してた子ですよ。」

ルリはまだ初対面の人間にはうまく話せないのでアキトがサイゾウにそう告げる。

「ほう・・・。んで、その子はおめぇとはどういう関係なんだ?」

サイゾウがどこか勘ぐったような目でアキトを見る。

「この子・・・ルリちゃんと俺は・・・。」

アキトはそこまで言うとルリに目配せをする。そして二人同時に口を開く。

「「兄妹です!」」





続く






あとがき

紅「どうも紅です。それでは前回の予告通りアシスタントの人に来てもらいました。 どうぞ!」
ルリ「こんにちは、アシスタントのホシノルリです。一応この話のメインキャラらし いです・・・出番なんかほんのちょっとだったのに・・・。 よろしくお願いします。」
紅「あの・・・もしかして怒ってらっしゃいます??(汗)」
ルリ「当たり前じゃないですか!8つですよ8つ!!これがなんの数かあなたにわか るのですか!?」
紅「あの〜・・・ルリちゃん?キャラ変わってない?」
ルリ「そんなことはどうでもいいんですよ!!台詞の数ですよ!わかってないんです か!?」
紅「はい!?すみません。それはともかくとして、ここはあとがきなんだから何かコ メントしてもらわないと・・・(汗)」
ルリ「しょうがないですね・・。こんな駄文なんて突っ込みどころ満載なんでどこか ら突っ込んでいいものやら・・・。」
紅「まあそう言わずにお願いしますよ。」
ルリ「とりあえず、アキトさんの両親が生きているのは何でなんですか?」
紅「それはのちのちわかってくると思うからここではいえないね。ほかには?」
ルリ「あとは・・・アキトさん、ブラスターなんて使えたんですか?」
紅「それについては外伝でも書こうかと思案中さ。文中にもあったけどルリちゃんを 守るためにつけた力だと思っててくれていいよ。」
ルリ「あとは、いつになったらナデシコに乗るんですか?タイトルからすると発進し ててもおかしくないですよ?」
紅「うっ・・。正直いつになることやら(泣)書いてる途中で書きたいこととか出て くるんだよね。」
ルリ「それはあなたがダメ作家だからでしょう?そんなことははじめからわかってい たことですが。」
紅「そこまで言わなくたって・・。」
ルリ「とにかく!PCゲームにはまってないで早く続きを書きなさい!別にあなたの 駄文を読みたいと思う方もいらっしゃるとは思えないですが、投稿させていただいて る義務だと思いなさい。」
紅「ゲームじゃなくてレポートやってるんだよ・・。」
ルリ「いい訳と泣き言なんか聞きたくありません!今すぐ取り掛かりなさい!」
紅「善処します・・・。」
ルリ「それでは、次回もよろしくお願いしますね。」
紅「それ、こっちのせりふなのに・・・・。


感想
紅さん兄バカ計画始動〜♪ って前回と同じか…(汗) でも、今回のアキトは兄バカだねぇ。
い え! これぞ正しい私の兄の姿です♪  だって、アキトさんには私しか見えないんですから♪
たっ、確かに…(汗) でも、紅さんのアキト君はと言う事だし…こっちでは無理だよ、ね?
やは り、この駄作家から鞍替えすべ きでしょうかね?
はははは(汗) でも、再会早いね…ここで再開するとこの後一年ナデシコ出航まで結構間が空くね。
なるほど、ナデシコ出航までラブラブ話を続けて貰えそうですね♪ 一年あれば子供 だって(喜)
…実年齢を考えてから言ってくれ…(汗) 十歳じゃまだ、子供は不可能だよ。
それ もそうですねね…(汗) 兎に角、次回に期待です♪

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