−グレートマジンガー以来、現在型スーパーロボットには剣を武器として扱うものが多い。
特に代表的なのが今は亡き(この表現は語弊があるが、事実上破壊されたのでそう表現する)ボルテスVの
天空剣だろう。ボルテスチームの「剛健一」がボルテスで繰り出した幾多の剣技はスーパーロボット乗りの間では、
伝説となっており、グレートマジンガーの剣鉄也、ダンクーガの藤原忍(近頃は剣技に関しては忍が担当になったようだ)
などがこぞって剣技の研鑽に励むほどの影響力であった。そしてダンガイオーもそうであった。

「ダンガイオーチームか。久しぶりだな」
「うん。前の大戦の時以来だから数年ぶりだね」
「お前ってやつは……ロール、どうもギャップが……」
「慣れてくださいよ」
「相変わらずですね、鉄也さん。ジュンさんとうまくやってます?」
「ま、まあな」
「それにしてもあんたはいつもと変わらず劇画チックな顔だよな」
「そうそう♪」
「……ほっとけ。こういう顔は生まれつきだ」

剣鉄也は欧州へ到着したダンガイオーチームを出迎えていた。
現在、稼働中のスーパーロボットのパイロットでは年長組に属する彼はスーパーロボット乗り達を司馬亮と共に束ねる立場にある。
そのため事実上、頭脳役を務めていると過言ではない。
因みに今回合流したダンガイオーチームの面々は超能力者の集まりで、何れも強力な能力を持つ。
ただし、デメリットもある。チームの中心人物で、宇宙海賊バンカーが最も狙っている「ミア・アリス」は強大無比な能力を持つもの、
制御しきれないという難点があるし、メインパイロットのロール・クランは「走らないと能力を発揮できない」。それとチームが結成された際に
皆、改造され、当初は記憶が操作されていたのだが、様々な要因が相成って二重人格になってしまった者もいる。ロールだ。
彼は元々はある星の対宇宙海賊のバンカーレジスタンスの英雄であったが、仲間に殺害された。その状態から蘇生させられた際に
彼生来の「熱血漢」的人格は体に残った死の恐怖からか表に出なくなり、代わりに現在のような「草食系」的な気弱な人格が作られ、
主人格となっている。ただしダンガイオー搭乗、合体時だけは本来の人格が表に現れ、スーパーロボット乗りらしい「叫び」を見せる。
因みに彼等のチームは男1人、女3人の珍しい女性主体の構成。女性陣はいずれも美少女(一人怪力だが)である。

鉄也は生来持つ「老け顔」を気にしてるのか、ダンガイオーチームの「パイ・サンダー」のこの一言にムっとなる。
顔の事はなるべく触れられたくないらしい。(ちなみにその点はなのは達やドラえもんたちにも指摘されており、
その度に凄く落ち込んでいる。またまた別行動中のケーン・ワカバ曰く`鉄也さんの顔のことには触れてやるな`との事)

「事情は聞きました。この数年で色々あったんですね」
「ああ。最悪なのが、ザンスカール帝国の残党のテロだよ。奴らのおかげで今や動けるのは俺らとゲッターチーム、
後は獣戦機隊くらいだ。
近頃はそのせいでてんてこ舞いで、おちおち休んでられないのさ」
「ザンスカール帝国の奴らはいったい何考えてんだ?スーパーロボットを破壊しちまえば自分たちが危なくなるんだぞ」
「さあな。奴らにしてみればスーパーロボットは`連邦の抑圧、圧政に根拠を与える危険な物`だそうだ。
自分たちが危なくなるのを顧みないんだからな。」
「まだんな事言ってんのかよ……宇宙怪獣は退治したが、宇宙には星間国家がまだまだあるんだぜ」
「そう言うって事は、君たちはなんか掴んだのか?」
「うん。バンカーへのレジスタンスをやってる星は宇宙にはいくらでもあるけど、
最近、イスカンダルより遠い二重銀河にある星間帝国が台頭してきてね……」
「そんな所にも国家があるのか……まあ、宇宙は広いから何があっても不思議じゃない」

鉄也はこの時、ダンガイオーチームから後々に地球を脅かす脅威となる国家のことを知る。
地球をにとって第五(ゼントラーディ軍、ガミラス帝国、白色彗星帝国、鉄人兵団に次ぐという事で)の脅威となる
星間国家「暗黒星団帝国」。ダンガイオーチームはミア以外のメンバーは異星人であるので、その存在を知っていたのだ。
この時点から一年後に宇宙戦艦ヤマトが出会うことになる「敵」はこの時点で地球にその存在が示唆されていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

‐機動部隊の奮戦により、艦隊の周りの制空権をとりあえずはは確保したロンド・ベルは集結地点へ進路を向けた。
艦に着艦した黒江は箒を皆へ紹介。箒は無事にロンド・ベルへ迎えられた。幹部らは箒を「民間協力者」として迎えるか、
「軍人」として扱った上で軍に入隊させるかで意見が割れたもの、箒が持ち込んだ「IS<インフィニット・ストラトス>」が
当然ながら異世界の産物なので、戦後に政治家や軍の一部勢力の政治的駆け引きに利用されかねない危険性が報告されたため、
箒を「志願兵」として扱う事で、政治家などから『護る』目的も兼ねようとの結論が導き出され、
なのは同様に軍人としての一定の教育を施す事が決定された。

「え、ええぇっ!?私が……正規の軍人に?」
「我々としてもこれは避けたい事なんだが、君の持ち込んだインフィニット・ストラトスは政治家や商売人達の駆け引きに
利用されかねない代物だ。これが平時なら穏やかにいったと思うが、今は戦時だからな……すまない」

ブライトは箒にISが政治家や商売人達の駆け引きの道具として使われるのを避けたいらしく、箒に対しバツの悪い表情を見せる。
ドラえもんたちやなのは達に対してもそうだが、彼は子供に戦争をさせることを`大人たちが不甲斐ない為だ`と考えている。
これは彼が一年戦争の時に職業軍人として志願したばかりであった時に、
士官候補生であった自分が艦長の責務を果たさなければならなくなった事、当時10代半ばの少年に過ぎないアムロをそのまま
ガンダムのパイロットとし、アムロに多大な負担を強いた事への経験から来るものだ。
更に、ジュドー・アーシタは出会った当時は本当に子供と言える年で、それにも関わらず、エースパイロットとしてエゥーゴを支えた。
当時のエゥーゴは最早、当初の理念は失われ、当時の政府同様の腐敗が見え隠れしており、
「後からひょっこりやって来て、自分たちはそのおこぼれに預かるだけ」な戦後処理の光景に憤ったジュドーの怒りを受け止めるために、
敢えて殴られるといった行動を取ったことからもわかる。

「そんな……私こそ皆さんにご迷惑かけて……」

彼女を軍人としてしまったことを詫びるブライトに対し戸惑いを見せる箒。箒も本来ならこの世界では戸籍も何もあったものでは無く、
下手すれば身元不明者として処理されていてもおかしくはない。軍人にするという事は各方面にそれ相応の根回しを必要とする行為
というのは素人である箒でもわかる。

−そういえばラウラも軍人だったな。奴は生まれた時から軍人としての生き方しか叩きこまれていないという感じだったな。
階級は確か……少佐だったな、何故アイツがそこまで高い階級なのか……今となっては気になるな。

箒は黒江から教えられる形で軍隊の組織の構図を改めて知った。佐官以上は作戦単位での指揮官を任じられる場合があり、
大尉から昇進する際に更に専門的教育を受ける(ただし近頃は戦功で出世し、後から教育を受けるケースも多いが)。
例えば、旧日本陸軍ではエリートコースに行くのに陸軍士官学校→戦後は曰くつきとなった陸軍大学校に進学する事を必要とした。
ラウラがどの軍に在籍しているのかは聞いてはいないが、IS登場以前のどの兵器も使えたという噂をそのまま受け取ると、
陸海空軍を渡り歩き、最後に特殊部隊「シュヴァルツェ・ハーゼ」の隊長の座に落ち着いたというのが適当だろうか。それにしても
10代後半で少佐というのは高すぎるきらいがあるので、その理由を本人に聞きたくなった。(箒の師である黒江達も余程の戦功が無い限りは
原隊では尉官である)

「君の階級はISを動かす都合上、少尉とする。士官扱いになった方が色々と動きやすいからね」
「少尉……ですか。私にそんな重責が務まるかどうか……」
「そう堅苦しくならんでいい。今の軍隊では士官は意外に楽なものだからね」

士官の内、尉官は2200年現在では主に操縦士によく見る階級である。連邦軍に「士官学校未卒業の者は佐官へ昇進しない」という規則があったため、
士官学校卒業者が佐官へ進むコース以外に、アムロのような現場からの叩き上げが任じられる最高階級としても機能していた。
だが度重なる戦乱で佐官が不足したために、暫定的に大尉に少佐以上が本来負う責務を行える権限が与えられて戦乱を勝ち抜いた。
そのため、現在の地球連邦軍では「中尉までは楽だが、大尉からが大変だ」という言葉があるという。
無論、少尉以上の階級の軍人には作戦会議への参加の義務などが生じるもの、下士官や兵よりは普段の生活は楽である。
(コンピュータが発達したためにデスクワークも思い切り楽になっているおかげでもあるが)
連邦軍軍服(ロンド・ベル仕様)が階級章と共に手渡される。テキストもセットだ。

−勉強は嫌いなほうではないもの、軍人としての知識を完全に身につけてしまうると何かズレてしまいそうな気が……。
いや、これならラウラに勝てるかもしれない……。

……と、内なる野望と「軍人として生きることで女の子としての常識からずれてしまう」可能性の板挟みに、微妙な気持ちな箒であった。

 

 

 

 

 

 

− 同時刻 日本 地球連邦軍・極東支部内技術部

「うぅ〜む。ガンバスターII プロトタイプにダメ出しが出されたとは……」
「名前が不味いんじゃ?リアル系ぽいし」
「要求性能はクリアしたはずなんだがなぁ……。となりの部署のプランBの方はどうなんだ?」
「グレートマジンガーを參考にしてガンバスターの基本設計をリファインしたモノらしい。
なんでもG・GBというコードネームとか……」
「グレートガンバスターねぇ。初代の純粋な発展機なのが受けたのか?」
「さあ……」

ここではかつて宇宙怪獣という知的生命体の天敵に対し戦果を挙げた「ガンバスター」の後継機開発が進められていた。
もはや宇宙怪獣がいなくなった都合上、それを仮想敵と定めたバスターマシンの整備には疑問が出されたもの、
ダンガイオーチームより「二重銀河の新たな星間帝国」の損害が示唆された事により、予算が通って開発は予定通りに進められていた。

ガンバスター後継機は2つの部署から異なる案が出された。一つはヱルトリウムなどの第5世代技術を取り入れた「ガンバスターU」。
もう一つは初代の設計にグレートマジンガー的要素を付け加え、次世代型縮退炉を積んだ強化発展型「グレートガンバスター」。
当初はエンジンの技術などから「60%増しのパワー」という謳い文句から、前者が有力とされたが、
後者の次世代型縮退炉が超高出力を達成した(開発者曰く、無限)
事で後者に軍の関心は移り、
グレートガンバスターがバスターマシン4、5号の称号を得て制式採用の運びとなった。
ガンバスターUも要求性能は達成していたもの、グレートの圧倒的パワーの前には赤子同然であり、コンペに敗北した。

 

−ガンバスターUが要求性能をクリアしていながらも、何故バスターマシンの系譜に名を連ねる事が叶わなかったのか?
それはあまりにも基本設計に手を加えすぎたがため、元ヱクセリヲン乗員であった、ある軍需担当の武官がそれを知るなり、
`オオタ・コウイチロウ元中佐の意志が篭っていない!!`と毛嫌いし、
意図的にコンペに落選するように仕組んだとの噂がガンバスターUの開発元からは絶えなかった。
しかし実際は、単純に初代の血統を受け継いだグレートガンバスターが予想を遙かに超える高性能を達成した事に加え、
初代ガンバスターとその搭乗者の功績を後世に伝える意味を重視しただけなのだが)

落選したガンバスターUのその後の運命は公式記録には殆ど残されていないが、
非公式の文献によれば、「その後に起こった地球本土の戦いでテストパイロットの手によって実戦投入され、
一定の戦果を挙げたとの記述がなされているが、その本には軍の公式記録との食い違いも見受けられ、真偽は不明である)

グレートガンバスターは完成後直ちに軍に採用されたが、搭乗者がいないので軍本部の直轄物として扱われつつ、
その想定された搭乗者が現れるのを待った。『あの2人の帰還を待つかのようだ』と扱う人員にはそう言われていた……。

 

「グレートガンバスター……ねぇ。あの子が聞いたら喜びそうな名前な事」

かつての「トップ部隊」の制服を着込んだこの19歳ほどの`少女`はユング・フロイト。
トップ部隊きってのエースとして名を馳せていた人物である。彼女は銀河殴りこみ艦隊からの使者として
艦隊に先行する形で地球圏へ帰還を果たしたのである。彼女が志願したわけは「ノリコとの約束を果たすため」である。
因みに階級は少佐である。

「少佐、ご苦労様です」
「ありがとう。銀河殴りこみ艦隊の帰還はまだまだかかるけどノリコ達のためにグレートを用意してくれるなんて、
将軍も粋な計らいをしてくれるわね」
「ええ。グレートが作られる事になったのはアレのおかげですがね」
「`U`ねぇ。リアルチックな名前だから初代の開発メンバーが怒るのも無理はないわね」
「ガンバスターは兵器ではなく`根性と努力`のスーパーロボットですからね。Uの開発メンバーはスペックだけを見て
`超える`ことだけを考えていたかも知れませんね」
「スペックだけじゃ達成できない事は多いわ。それをあの人達はわかってるのかしら」

ユングはガンバスターU(正確にはガンバスターUプロトタイプ)をそう揶揄した。
初代からの設計変更は失敗してしまい、ストレートに初代を『強くした』グレートが採用されたのはノリコのお召星ではないかと
ついつい考えてしまう。トマホークなどがブレードに変更されるなど、グレートマジンガー的な要素と意匠が加えられたグレートガンバスターの
合体時の姿を写した写真に、ユングは往時のタカヤ・ノリコらの姿を重ねていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐伊豆付近 

衛星軌道上の物体でありながらも地上からでも視認できる大きさを誇る建造中の一隻の超弩級戦艦が見える。
それは地球連邦軍が建造を急ぐヱルトリウム級2番艦「アレクシオン」であった。

「あれは何ですか?とミサカは質問します」

日本のとある地で、過去に組織から仮面ライダー達によって保護され、
仮面ライダーに協力する形でこの時代を生きている「御坂美琴のクローン」−もはや総称である妹達(シスターズ)と呼ばれることも少なくなった‐
その数少ない生き残り(何故200年もの間、彼女らが保存されていたのかは仮面ライダー達にも分からない。
ただし一号の推測によればその有用性を組織が見込んでいたためかも知れないとの事)の一人が、
仮面ライダースーパー1=沖一也と会話している。美琴が輸送機内で感じた予感は少なからず的中していたのだ。
コールドスリープから目覚めてまだそんなには間はないらしく、服は適当なものだ。

「あれはアレクシオン。ヱルトリウム級の2番艦で、連邦軍再建計画の中心的存在だと言う代物だ」
「たしかアレはエスパーとイルカが動かしていたような……とミサカは疑問を口にします」
「そうだ。だが、あれは色々問題を起こした。有無を言わさずに戦艦に乗させるを知った訓練中の電脳イルカたちが憤慨して、裁判を起こした。
結果、見事に権利が認められて、今では他の職業についてるイルカだっているぞ」
「この時代は夢がありますね。……とミサカは微笑ましく思います」

「ミサカ」は沖一也のVジェットの後部座席に跨りながらツーリングを楽しんでいた。
いずれ『お姉さま』とも会いたいのだが、今の段階では仮面ライダー一号に止められている。
彼女としては会う`時`をひたすら待つのはいささか性に合わないが、美琴と会えない以上は従うしかない。
その点は歯痒さを感じている。

−`お姉さま`を動揺させてはならない−

それがこの時代に美琴がいることを知ったこのミサカの考えであった。いずれ平和になった時に会えれば良い。

沖一也と共にいるこの「ミサカ」が計画凍結時に生き残っていた10032号から20000号(`打ち止め`含めれば20001号まで。
美琴のいた時間軸から後に出現したミサカワーストは別計画の産物であるため除外)のうちどの個体かどうかは、
今のところこの個体の記憶がハッキリしていないので不明。ミサカネットワークへの再接続はまだ試行前らしいが……。

沖一也はこの個体が何故保存されていたのか。それを調べていた。ZX=村雨良からの連絡が入ったのはその時だった。

 

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