――シーブックは Ex-Sガンダムで出撃した。その重武装でジオン残党のモビルスーツを狙撃。箒を救出する。ビームスマートガンのビームは狂いなくザクの腕をぶち抜き、箒に脱出の機会を与える。その命中精度は一年戦争中のジムスナイパー系列に匹敵するほどの精密射撃であるが、マニュアルでそれを実行したところはさすがだ。
「箒、脱出だ!今ならできるはずだ」
「は、はい!」
シーブックの声に促されるように、箒は撃ちぬかれ、単なる金属の塊と化したザクの腕から最大推力で抜け出す。Ex-Sは更に別のドムから斬りかかられるが、これをビームサーベルで受け止める。歴代のガンダム乗りの中でも技量が高い部位に入る彼の得意な芸当であった。Ex-Sはどちらかと言うと、射撃武器が充実し、射撃武器による高速戦闘に向いているのだが、ガンダムタイプである都合上、全ての面での性能は量産機とは次元が違うものだ。特にSガンダムは20m級MSの単機での戦闘能力が追求されていた時勢の頃に、ダブルゼータの対抗馬として、共に当時のエゥーゴのフラッグシップ機の座を争った機体であるので尚更であった。
「どけぇ貴様ら!」
ビームサーベルのパワーでそのままヒートサーベルを押し切ると瞬時に振り返り、そのままドムを一刀両断する。全備重量が150トンを超え、モビルスーツとしては重量機であるのを感じさないほどのEx-Sの軽快な機動性と運動性に、なのはと箒は思わず目を見張る。
「ガンダムというのはあのような動きも可能なのか……?」
[「あたしもガンダムタイプの戦闘は何度か見てるんですけど、これは凄いですよ……たしかあれって150トン以上あるはずって聞いてるんで」
「150トンだと!まったくこの世界は常識はずれだな」
「ええ」
箒はモビルスーツの見せる軽快な動きに脱帽していた。機械に人間のような動きをさせるのは難事で、20世紀中には現実に実現出来なかった光景。21世紀に入って技術の進歩でだいぶ実現には近づいたもの、人形ロボの実現
は完全とは言いがたいという時代の住民であった彼女には、モビルスーツのこの軽快な動きは脱帽モノであったらしい。しかしこの世界には既に数多のスーパー戦隊メカがあり、それらが後の世に残した稼働データがドラえもんなどのロボの開発に貢献し、OTMなどと混じり合って可変戦闘機を生み出したりしていたのだが、もちろんまだその事はなのは共々知らない。
「チィ、ガンダム風情に!!」
ジオン残党軍らは手持ちの火器を一斉掃射するが、Ex-Sは紙一重で回避する。
「逃げ回りゃ死にはしない」
機体の態勢を立て直したシーブックは、歴代中でも、量産機ではない、純然たるガンダムタイプとしては史上二例しか存在しない武装である、インコムを使用した。ただしリフレクターインコムと呼ばれる種類なので、機体本体からビームを放つ必要があるが、ニュータイプパイロットの手にかかればオールレンジ攻撃をファンネルとは違った動きで行えるデバイスとなる。
「インコムを使うのは初めてだが……やってみるか!」
ビームスマートガンと各部ビームカノンを同時に発射し、それをリフレクターインコムで偏向させ、オールレンジ攻撃を行う。元々、Sガンダムは人工知能「ALICE」によるサポートが売りであった。しかし製造された機体の内、最初に実戦投入され、活躍した機体にしか搭載していなかった上、機体が失われたので再現不能となった。それを軍はサナリィ製のバイオコンピュータと新型の制御OSとの組み合わせで火器管制及び操作を簡略化する方法で補った。そのため、操縦に問われる技量の難度はZとZZよりは低く、ニュータイプ能力を備える者であれば「Z系の中では一番操縦が軽い」と言われるほどの操作のしやすさを得た。シーブックほどの腕があれば、リフレクターインコムの動作はコンピュータよりも正確にできるので、今回はほぼマニュアル操作である。複数のビームをインコムで偏向させ、ジオン残党軍のモビルスーツを複数同時に沈黙させる。
「く、くぅ……奴はバケモノか……!」
隊長機である、ドムのパイロットは思わず僚機の三分の一を一挙に撃破・沈黙させられた事に思わずそう呻く。ジオン残党軍の旧型モビルスーツは基本的に連邦軍のそれと比べて装甲材質的に脆く、防御力が低い。連邦軍の機体とと同等の防御力を手に入れたのは現在、流通しているガンダリウム合金の祖である、ガンダリウムγ合金をアクシズ時代に実用化してからで、それ以前は連邦軍の強力な矛のビームに、ほぼ為す術もなく撃破されていた。その証明がこの戦闘である。現にインコムで偏向されたビームでザク改などが容易く沈黙させられた事からも分かる。
「なのは、箒。ここは俺がどうにかする。下がるんだ。智子や綾香には俺から連絡を入れる」
「はいっ」
シーブックはなのはと箒をその場から下がらせ、単機で残りの残党を相手取った。単機で複数の機体を相手取って生き残れる腕を、彼が持っていることを暗に示すと同時に、ひとえにSガンダムが一騎当千ができるほどに優れている事の表れでもあった。次の瞬間、Ex-Sのビームサーベルととドムのヒートサーベルがぶつかり合い……。
なのはと箒はここで初めて自分たちのお呼びでない戦いというものを知り、互いに力になれないという意味の悔しさを感じ、互いに力を鍛えていく事になる。
――さて、黒江はドラグナー遊撃隊と合流。D-1カスタムの空戦性能を初めて目にした。メタルアーマーはモビルスーツより戦闘機に近い空戦性能を元から有するため、モビルスーツと比べると空戦性能において有利であるのだが、宇宙ではそれほどの差がないのでモビルスーツを置き換えるには至らず、むしろ双方ともに主力兵器として運用する方向で決着した。
「バイアランか!相手にとって不足はねぇ!」
ケーンはスロットルを押しこみ、最大速力であるマッハ1でバイアランとすれ違う。その瞬間に、レーザーソードを使い、バイアランの片腕を斬り落とす。バイアランは腕部の固定武装がメガ粒子砲であるので、戦闘能力を早くも半減させたという事になる。一気にたたみかける。
「必殺!ドラグナー三枚下ろし!!」
メタルアーマーの地上での利点はモビルスーツより全般的に空戦性能が優れているという利点である。バイアランは例外的に空戦能力を備えているが、改修でもしないかぎり飛べる距離がメタルアーマーの比ではない。特にグリプス戦役時から改修はされているだろうが、小細工の域は出ない。ケーンはバイアランの懐に愛機を飛び込ませ、レーザーソードを振るって敵機を三枚におろす。頭部・胴体・下半身の具合に、である。
「見たか!これがドラグナーの力だ!!」
勝ち誇るケーン。ドラグナーのD-1の戦果はは主に彼の操縦技術の賜物である。ドラグナーは実は連邦が造った兵器ではなく、ギガノス帝国が確立させた兵器分野である。その次世代試作機を開発者が機体と研究成果ごと連邦に持ち込み、それらと実戦データを組み合わせて制式量産型のドラグーンが造られ、総合スペックでは実はそちらの方が高性能であるが、それに合わせるようにこちらも大改装されたので、パイロットの腕と相成って、ヒロイック的な活躍をしているのは、連邦の兵器の一種のお約束であった。
「どすこ〜い!!」
D-2カスタムは火力面では実は戦艦大和より高火力である。両肩のレールキャノンは口径が64cmと、支援用モビルスーツの代表格のガンキャノンやジムキャノンUが裸足で逃げ出すほどの火力を誇る。そのため、支援用モビルスーツはビーム兵器を備えたジムキャノンU、小型モビルスーツであるGキャノンを除く、大抵のモデルが完全に陳腐化してしまい、ジムキャノンUやGキャノンの系列を除くと、現在では開発が殆ど行われていない。おまけにD兵器の開発者であるラング・プラート博士曰く、「撃ちゃ当たるように造ってある」というほどの命中精度の高さであり、これにより支援用モビルスーツの任務は一部がメタルアーマーに取って代わられているほどだ。実際、D-2カスタムの砲撃を食らったティターンズの空戦型モビルスーツや可変モビルスーツは制御を失って落ちていく。
「D-3もちょっといいところ見せてやるぜ!」
D-3はハッキングを得意とする電子戦機である。その能力の高さはコズミック・イラの量子コンピュータにも通じるほどで、その報には当のプラート博士も感嘆したという。そのため、ミサイルの制御を奪う事はお手の物で、アッシマーの制御OSに細工をし、ロックオンを不能にする芸当も可能である。それがD-3の最大の威力である。アッシマーの射撃武器を無力化させ、D-1カスタムとD-2カスタムに落とさせる。ライトはすぐに黒江へ通信を入れる
「ええと、黒江大尉、でいいんですよね?」
「あ、ああ」
「今のうちに補給を受けて。この場は俺達でどーにかなりまっせ。ブライトさんには俺らから断りいれておきますよ」
「す、すまん。恩に着る!」
――こうしてラー・カイラムへ帰還した黒江はアストナージ・メドッソに装備が弾づまりを起こした事を愚痴った。
「アストナージさん、聞いてよ。ホ5が弾づまり起こしたんだぜ?」
「そいつは運悪かったなぁ。君の時代の航空機関砲は弾づまり起こす可能性があるんだが、精度が悪い個体だったんだろうね」
「再出撃の時は何持ってく?九九式20ミリか?」
「いや、ドイツのMK108を持ってく。重いけど威力あるかんね。さあて、今のうちに寝ときますよ。魔力を回復させないとね」
「んじゃ刀も予備用意しとくから」
「頼んます」
自室ですぐに寝て休息し、魔力の回復を待って再出撃を期す。戦闘機であれば燃料と弾薬補給などで事足りるが、ウィッチや魔導師だとそうはいかない。補給を受け、4,5時間の休息の後に黒江は再出撃した。その際に間をおいて襲撃してきた敵戦闘機に対する、アムロの判断により、残党軍の戦闘機を掃討する任を与えられ、戦っていた。残党軍の戦闘機は主に連邦系とジオン系の混合であり、文字通りに雑多な機種の集まりであった。ちなみに智子は別行動をとっていたので、パトロール飛行中に黒江とばったりと出会い、そのまま合流したのである。そこで本来はなのはと箒を配下のはずだったが、シーブックから連絡を受けたアムロからの指示により、彼女ら二人で編隊を組んで戦うことになったのである。
「ジオンの……ええと、ドップに連邦軍のセイバーフィッシュにTINコッドか。戦争博物館に来た気分だなこりゃ」
「一年戦争中の旧型を今頃持ちだしてくるなんてね。連中は何考えてるのよ」
智子は現在の連邦軍第一線級の戦闘機―コスモタイガーU――とは性能的に差が大きい、一年戦争中の旧型機が襲いかかってくるのを見て、思わず憮然とした態度を見せる。自分たちの時代で言えば、「戦間期の機体で1945年時点の最新鋭機を迎え撃つ」のと同じようなものなためか、不満なようだ。
「侮んなよ、穴拭。旧型で新型を倒した例なんてあっちこっちに転がってるんだからな」
「わかってるわよ」
こういう時に熱くなりやすい性格である智子とは対照的に黒江は冷静である。黒江は智子を窘め、戦略を立てる。二人共優秀な指揮官であるが、飛行編隊指揮官としての技量としては黒江のほうが一枚上手である。これは欧州派兵時に激戦区でありながら彼女指揮下の編隊が挙げた高い戦果と配下ウィッチの戦闘での損耗率が他の部隊より格段に低い事などから陸軍内で「魔のクロエ」と諢名された事が主な理由だ。今回の現役復帰後は年齢が実年齢が20代になったために、落ち着きが増し、今は同僚の智子からも多大な信頼を寄せられるほどの確かな戦闘指揮で、智子と編隊を組む時は彼女が指揮官に収まる。今回もそれであった。
「今回はジャムっるなよっ!」
黒江は再出撃の際には大火力のカールスラント製の30ミリ砲を選んで来ており、重いもの、ジェット戦闘機を落とせる火力を持つために弾数を犠牲にしても威力の方を取ったのだ。魔力強化が成された30ミリ砲はセイバーフィッシュの精悍なボディを撃ちぬき、撃墜する。レシプロストライカーでジェット機を迎え撃つ事はある種の挑戦である。元の世界でもネウロイに超音速飛行が可能な種もボチボチ出始めているし、将来、統合戦闘航空団を脅かすほどの凄く強く、疾い個体が出現するとも限らない。無論、ジェットストライカーは各国で造られているが、開発には成功したというが、量産配備は先の事――1944年時点――だし、少なくとも当面は現行レシプロストライカーで戦う必要がある。そのために戦法を模索する必要があった。これは既にあがりを迎えているはずの彼女らが後輩らにしてやれる事なのだ。
「チィっ!魔女の分際で!!」
TINコッドのパイロットは操縦桿を動かし、黒江と智子に挑んだ。この時期にはウィッチの存在は残党軍にも知れ渡っており、魔力を使う、女性である点を差して魔女という蔑称で呼ばれていた。これは科学文明全盛の時代に魔法というオカルトがあることへの反発と、この時代にまで未だに男たちの間で微妙ではあるもの、命脈を保つ男尊女卑の風潮が彼らにそう言わせていたのだ。男女平等の世の中であっても、こうした考えはやはり生じてしまう。急降下からの引き起こしを絶好の好機と見た彼は25ミリ砲のトリガーを引く。
「ぐううう……!」
シールド強度が最盛期当時のモノで安定化した智子達と言えど、未来世界製のバルカン砲の打撃力は堪える。貫通には至らないが、未来世界の高初速のバルカン砲を防御するのは一苦労だ。二人のかつての上官であり、シールド防御の名手として知られた江藤敏子中佐――45年復帰時は大佐――であれば、弾をシールドで逸らす芸当を行えるが、生憎、二人は防御に関する技量は江藤には及ばない。攻撃技量に関しては歴代ウィッチ中、随一の二人も、そこがかつての師には及ばない点であった。
「くそっ……奴ら考えたな。引き起こしの時を狙ってくるとは。穴拭、なんとか隙を突け!」
「わかってる!」
黒江は智子に指示を飛ばす。智子はその趣旨を既に理解していた。反転し、ミサイルを撃ってくるのを見切り、ストライカーの利点である、可変戦闘機張りの空中機動でミサイルを機銃で迎撃する。智子の機銃は精度がいい「ホ5『20ミリ機関砲』」だったせいもあり、迎撃は成功。煙と雲にに紛れて敵機に接近する。
「ミサイルを迎撃された!?……くそっ、こんな時に限ってミノフスキー粒子の濃度が……奴はどこだ、どこから来る…!」
TINコッドのパイロットは全神経を研ぎ澄ました。殺気を機体越しに感じるためだ。ベテランパイロットはこの方法を身につける事で生き延びてきたというが、彼もその例に漏れず、殺気を感じるという、おおよそ第二次世界大戦序盤当時のような所業もこの時代においては的を得ていた。ニュータイプなどが登場し、戦場を席巻するようになったこの時代、ニュータイプほどでなくても「考えるな、感じるんだ」と、往年のカンフー映画の名優「ブルー◯・リー」よろしくの芸当が「生き残れる秘訣」としてパイロットの間でまことしやかに囁かれていた。
「うぉぉぉぉあああぉっ!」
智子は雲から出た瞬間、疾風の誉エンジンをエンジンがお釈迦になるのを承知で、スロットル全開。更に緊急出力さえ使って敵機に接近していた。その時の加速度は一時的にスペックを超える程のモノであり、ジェット機に迫るモノだった。
「来るか!」
智子が雲を突っ切って真っ直ぐ突っ込んでくるのを視認した彼は機銃の照準を合わせ、更にスロットルを開く。真っ向から打ち破るためだ。
「あ、穴拭!」
黒江は思わず叫んでしまう。ストライカーの排気口は赤熱化しつある。緊急出力の長時間の維持のため、冷却が落ち着いていないのだ。実際、シャーリーが超音速飛行に成功した際にはストライカーは機能停止し、脱落している。そこまでとは行かないが、魔導エンジンにかなりの負担を強いているのは間違いない。
「はぁあああっ!!」
切っ先に魔力を集中。敵機を一気に横一文字に切り裂く。この瞬間、パイロットは「馬鹿な……」と呆然とし、続く言葉は無く、脱出した。
「全く、無茶しやがる、お前って奴は……」
「まぁ、ね。たまにはにはこーいう事もしないとね。コツは掴んだし、行くわよ!」
「ストライカーは大丈夫かよ?」
「これくらいでへばるような部品使ってないわよ。整備班に頼んでチューンアップしてもらったんだから」
残りの敵機を片付けるべく、二人は空を駆け抜けた。不思議と勝てる気がする。そう智子は感じていた。これが後の歴史改変の前では初の、二人で『編隊を組んでの戦闘』だった。これ以後、智子と黒江は度々、編隊を組んで飛んでいく。そして、二人の組み合わせが『扶桑空軍の誇る翼』として名を馳せていくのは、もう少し後の話。
――こちらは仮面ライダーBLACKRX。ボスガンが自身の縁戚の子供らを人質に取ったのを救出すべく、負傷の身を押して戦いに赴いた。その後を霞のジョーが追い、二人はその現場に駆けつけた。だが、人質は救出したもの、ボスガンの怪魔稲妻剣によって霞のジョーが
叩き斬られてしまった。
「ジョーぉぉぉぉ!!」
南光太郎の絶叫が響き、辺りに霞のジョーの鮮血と斬られた生体部分の皮膚が飛び散る。怪魔稲妻剣の前には改造人間である霞のジョーもひとたまりもなかったのだ。奇しくもその瞬間、光を取り戻した光太郎はジョーに駆け寄る。鮮血を辺りに散らしながら膝を付く霞のジョー。
「ジョー、しっかりしろ、死ぬな、死ぬな……!」
「あ、兄貴……俺はだいじょ……」
霞のジョーは光太郎を安心させようと、この一言を振り絞るようにして言った直後、意識を失う。
「ジョーぉぉぉぉぉ!!」
ジョーの血で真っ赤にそまったその手に、ジョーの名を今一度絶叫する光太郎。仲間を傷つけたボスガンへの凄まじい怒りを表すように怒りに燃える。
「ボスガン!!貴様許さぁぁぁん!!……変ッ身!!」
この時、キングストーンが光太郎の激しい怒りに感応したのか、通常のRXではなく、バイオライダーへ一気に変身していた。
「俺は怒りの王子!!RX・バイオライダー!!」
これにはボスガンも呆然とし、言葉を失う。そしてバイオライダーは怒りのままに叫ぶ。
「ボスガン!!貴様のような卑劣な奴は剣士でも貴族でもない!!俺が討ち倒してやる!!」
バシッと決めポーズを決めるバイオライダー。怒りに燃える彼の腕にはバイオブレードが既に召喚済みだ。
「バイオライダー、俺達もいるぞ!!」
そこに、バイオライダーの前に援軍が現れる。スカイライダーらが到着したのだ。
「スカイライダー!!」
「仮面ライダースーパー1!」
カッコよく決めポーズをバシッっと決めて名乗りを上げるダブルライダー。思わぬライダー側の援軍にボスガンは思わず人間臭い台詞でスカイライダーらを非難する。
「ぬぅぅぅ、貴様らいつから準備、いや待機していたのだ!!」
「生憎だったな。俺達は貴様達の後をつけていたのさ!」
「そしてこの場にいるのは俺達だけではない。あれを見ろ!」
スーパー1が宣言すると、そこには一人の男が立っていた。一見すると「純白のタキシードをきた風見志郎」にしか見えなかった。
「残念だったなボスガン。貴様の考える事はとっくにお見通しだ」
「貴様は仮面ライダーV3!」
「ハッハッハッ、残念だが私は風見志郎ではない!」
「何!?」
「ジャッカー電撃隊行動隊長、番場壮吉。ヨロシク」
番場壮吉はそう宣言すると、ビッグワンへ変身する。
「ビィィクワン!」
そして同時に現れたのは……。
「レッドファルコン!!」
「レッドターボ!!」
「ニンジャレッド・サスケ!!」
「なっ、なっ、なっ!?おのれ貴様らそれでも正義を掲げる者かぁ〜!?卑怯な……」
「やいボスガン!RXを騙し討ちしようとしたテメーが言う台詞じゃねーわい!!成敗!」
ボスガンはニンジャレッドに勢い良く啖呵を切られ、それを合図に一斉に襲いかかって来る歴代ヒーロー達。怒りに燃える彼らはもはや雑兵のチャップなどでは足止め不可能。蜘蛛の子を散らすように蹴散らされていく。
「ぬ、ぬううううう!」
ここに至り、あまりの理不尽さに半分、声が震えてきたボスガン。RXやスカイライダー、スーパー1のみならず、ビッグワンに率いられて、三人の歴代スーパー戦隊のレッドまでもが駆けつけた結果、四方を囲まれ、前門の虎、後門の狼ならぬ、前門の戦隊レッド、後門のバイオライダーという、正に四面楚歌の様相を呈してしまったボスガン。果たして、彼はヒーローの魔手から無事に生き残る事ができるのであろうか。それは彼の運次第であるが、今回は運悪くも、怒りに燃える彼らの猛撃を食らう羽目に陥った。
「食らえ!隠流・満月斬りぃぃぃ!」
「ファルコンブレイク!」
「ビッグワンフィニッシュ!!」
「GTクラッシュ!!」
立て続けに彼らの個人単位での必殺技を食らい、派手に吹き飛ぶ。更に追い打ちをかける三人ライダー。スカイライダーとスーパー1がダブルキックを見舞い、バイオライダーがバイオブレードで怪魔稲妻剣を弾き返す。
「ぬ、ぬうううう!!おのれヒーロー共!」
「ボスガン様!退避を!」
彼の配下の怪魔獣人『ガイナギンガム』がとっさにかばいに入るも、怒りのバイオライダーの前には障壁にもならず、スパークカッターで一刀両断されてしまう。進退窮まるボスガンは撤退し、ヒーロー達の勝利に終わった。が、その後、ボスガンは抜け駆けの罪でジャーク将軍から拷問される羽目になったという(自業自得だが)。この後、ボスガンは剣で彼らに屈辱を味わされ尽くした事から、新たに『電磁波剣』をこしられ、逆襲を目論むのであった。この顛末は圭子達に伝えられ、圭子は思わずボスガンに同情してしまったとか。
――帰還後 ブリーディングルーム
「今回は役に立てませんでしたね」
「ああ……もっと強くならねば。特訓あるのみだぞ、なのは」
「ええ。例のシミュレータの試験データ取ってくれってことなんで、一緒にやりません?」
「そうだな。やってみるか」
この時期、時空管理局と地球連邦軍は共同で魔導師・MSなどの機動兵器との共同訓練のためのシミュレータを試作しており、その稼働データ取りをロンド・ベル隊で行っていた。このシミュレータは、なのはやスバル、後にフェイト、更にはパワードスーツを持つ箒もデータ撮りのために使用し、数度ほどのアップデートを経て、新暦75年及び、西暦2201年以降に普及していく。精度はロンド・ベル隊の実戦データを基にしているだけあって高く、機動六課にも設置され、ミッドチルダ動乱で活用されていくのであった。
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